JP4477452B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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即ち、本発明の目的は、
(1)熱可塑性樹脂100重量部並びにピッチ、ポリアクリロニトリル、ポリカルボジイミド、ポリイミド、ポリベンゾアゾールおよびアラミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性炭素前駆体1〜150重量部と熱不融成分0.001〜15重量部からなる混合物から前駆体繊維を形成する工程、
(2)前駆体繊維を沃素と酸素の混合ガス雰囲気下で安定化処理に付して安定化前駆体繊維を形成する工程、
(3)安定化前駆体繊維から熱可塑性樹脂を熱分解で除去して繊維状炭素前駆体を形成する工程、
(4)繊維状炭素前駆体を炭素化もしくは黒鉛化する工程、
を経る、炭素繊維の製造方法によって達成することができる。
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、安定化前駆体繊維を製造後、容易に除去される必要がある。このため、酸素または不活性ガス雰囲気下、350℃以上600℃未満の温度で5時間保持することで、初期重量の15wt%以下、より好ましくは10wt%以下、さらには5wt%以下にまで分解する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が好ましく使用される。これらの中でもガス透過性が高く、容易に熱分解しうる熱可塑性樹脂として、例えば下記式(I)で表されるポリオレフィン系の熱可塑性樹脂やポリエチレンなどが好ましく使用される。
本発明に用いられる熱可塑性炭素前駆体は、酸素または酸素と沃素との混合ガス雰囲気下、200℃以上350℃未満で2〜30時間保持した後、次いで350℃以上500℃未満の温度で5時間保持することで、初期重量の80wt%以上が残存する熱可塑性炭素前駆体を用いるのが好ましい。上記条件で、残存量が初期重量の80%未満であると、熱可塑性炭素前駆体から充分な炭化率で炭素繊維を得ることができず、好ましくない。
本発明で使用する熱不溶成分は炭素繊維の表面に付着し、安定化前駆体繊維から炭素繊維を製造する工程において、炭素繊維が軟化することにより生じる炭素繊維同士の融着を抑えるスペーサ−の役割を果たす。
本発明で使用する混合物は、熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体と熱不溶成分とから製造される。本発明で使用する混合物から、繊維径が1μm未満である炭素繊維を製造するためには、熱可塑性炭素前駆体の熱可塑性樹脂中への分散径が0.01〜50μmとなるのが好ましい。熱可塑性炭素前駆体の熱可塑性樹脂(I)中への分散径が0.01〜50μmの範囲を逸脱すると、高性能複合材料用としての炭素繊維を製造することが困難となることがある。熱可塑性炭素前駆体の分散径のより好ましい範囲は0.01〜30μmである。また、熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体からなる混合物を、300℃で3分間保持した後、熱可塑性炭素前駆体の熱可塑性樹脂中への分散径が0.01〜50μmであることが好ましい。
本発明の炭素繊維は、上述の熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体と熱不溶成分からなる混合物から製造することができる。即ち、本発明の炭素繊維は、(5−1)熱可塑性樹脂100重量部と熱可塑性炭素前駆体1〜150重量部と熱不溶成分0.001〜15重量部からなる混合物から前駆体繊維を形成する工程、(5−2)前駆体繊維を安定化処理に付して前駆体繊維中の熱可塑性炭素前駆体を安定化して安定化前駆体繊維を形成する工程、(5−3)安定化前駆体繊維から熱可塑性樹脂を除去して繊維状炭素前駆体を形成する工程、そして、(5−4)繊維状炭素前駆体を炭素化もしくは黒鉛化する工程を経ることで製造される。各工程について、以下に詳細に説明する。
本発明では、熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体と熱不溶成分の溶融混練で得た混合物から前駆体繊維を形成する。前駆体繊維を製造する方法としては、熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体とからなる混合物を紡糸口金より溶融紡糸することにより得る方法などを例示することができる。溶融紡糸する際の紡糸温度としては150℃〜400℃、好ましくは180℃〜350℃である。紡糸引取り速度としては10m/分〜2000m/分である事が好ましい。また、別法として熱可塑性樹脂と熱可塑性炭素前駆体の溶融混練で得た混合物から、メルトブロー法により前駆体繊維を形成する方法も例示することができる。メルトブローの条件としては、吐出ダイ温度が150〜400℃、ガス温度が150〜400℃の範囲が好適に用いられる。メルトブローの気体噴出速度は、前駆体繊維の繊維径に影響するが、気体噴出速度は、通常2000〜100m/sであり、より好ましくは1000〜200m/sである。
本発明の製造方法における第二の工程では、上記で作成した前駆体繊維を沃素と酸素の混合ガス雰囲気下で安定化処理に付して前駆体繊維中の熱可塑性炭素前駆体の安定化と熱可塑性樹脂のゲル化を促進させて安定化前駆体繊維を形成する。熱可塑性炭素前駆体の安定化は炭素化もしくは黒鉛化された炭素繊維を得るために必要な工程であり、これを実施せず次工程である熱可塑性樹脂の除去を行った場合、熱可塑性炭素前駆体が熱分解するなどの問題が生じる。また、熱可塑性樹脂のゲル化は、熱分解による熱可塑性樹脂の除去時に、熱可塑性樹脂のメルトを抑える効果がある。このため、熱可塑性樹脂除去時に、プレフォームが作成されている場合、その形状を維持できるといった長所を有する。例えば、メルトブローで前駆体繊維を作成した場合、その形状は一般に不織布状となる。熱可塑性樹脂のゲル化が著しく低い場合、熱可塑性樹脂を除去する際、熱可塑性樹脂がメルトし、その結果不織布の形態を維持できなくなる。また、熱可塑性樹脂のメルトにより、不織布の緻密化が進行するといった問題を有する。本発明では、前駆体繊維中の熱可塑性炭素前駆体の安定化と熱可塑性樹脂のゲル化を促進させるための方法として、沃素と酸素の混合ガス雰囲気下で安定化処理する方法を好的に用いる。沃素と酸素の混合ガスによる不融化は、温度50〜350℃、好ましくは80〜300℃で、5時間以下、好ましくは2時間以下で所望のガス雰囲気中で処理する事が好ましい。
本発明の製造方法における第三の工程は安定化前駆体繊維に含まれる熱可塑性樹脂を熱分解で除去するものであり、具体的には安定化前駆体繊維中に含まれる熱可塑性樹脂を除去し、安定化された繊維状炭素前駆体のみを分離し、繊維状炭素前駆体を形成する。この工程では、繊維状炭素前駆体の熱分解をできるだけ抑え、かつ熱可塑性樹脂を分解除去し、繊維状炭素前駆体のみを分離する必要がある。
本発明の製造方法における第四の工程は、熱可塑性樹脂を初期重量の15wt%以下にまで除いた繊維状炭素前駆体を不活性ガス雰囲気中で炭素化もしくは黒鉛化し炭素繊維を製造するものである。本発明において繊維状炭素前駆体は不活性ガス雰囲気下での高温処理により炭素化もしくは黒鉛化することで、所望の炭素繊維となる。得られる炭素繊維の繊維径としては0.001μm〜2μmであることが好ましい。
上述の通りの製造方法を実施することで、繊維径が2μm未満である炭素繊維を製造することができる。なお、本発明では上記方法で作成した炭素繊維が不織布の形態であっても良い。なお、本発明で言う不織布とは繊維径0.001〜20μmの繊維が複雑に絡み合ってできた厚み1μm〜100000μm程度の面状形態を指す。
熱可塑性樹脂としてポリ−4−メチルペンテン−1(TPX:グレードRT-18[三井化学株式会社製])100重量部と熱可塑性炭素前駆体としてメソフェーズピッチAR−HP(三菱ガス化学株式会社製)11.1部と熱不融成分としてのカーボンブラック#3030B(三菱化学株式会社製)0.3重量部を同方向二軸押出機(株式会社日本製鋼所製TEX−30、バレル温度290℃、窒素気流下)で溶融混練して混合物を作成した。なお、透過型電子顕微鏡で評価した熱不融成分の平均一次粒子径は25nmであった。この条件で得られた混合物の、熱可塑性炭素前駆体の熱可塑性樹脂中への分散径は0.05〜2μmであった。また、この混合物を300℃で10分間保持したが、熱可塑性炭素前駆体の凝集は認められず、分散径は0.05〜2μmであった。
実施例1において、熱不融成分0.3重量部を用いなかったこと以外は同様の操作を行なって、炭素繊維を得た。図2に電子顕微鏡写真図を掲載するが、電子顕微鏡写真図からは炭素繊維同士の融着が観察された。
Claims (9)
- (1)熱可塑性樹脂100重量部並びにピッチ、ポリアクリロニトリル、ポリカルボジイミド、ポリイミド、ポリベンゾアゾールおよびアラミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性炭素前駆体1〜150重量部と熱不融成分0.001〜15重量部からなる混合物から前駆体繊維を形成する工程、
(2)前駆体繊維を沃素と酸素の混合ガス雰囲気下で安定化処理に付して安定化前駆体
繊維を形成する工程、
(3)安定化前駆体繊維から熱可塑性樹脂を熱分解で除去して繊維状炭素前駆体を形成する工程、
(4)繊維状炭素前駆体を炭素化もしくは黒鉛化する工程、
を経る、炭素繊維の製造方法。 - 熱不融成分としてカーボンブラックを用いる請求項1記載の製造方法。
- カーボンブラックの一次粒子径が1〜100nmである請求項2記載の製造方法。
- (1)の工程において前駆体繊維をメルトブロー法で形成する、請求項1記載の製造方法。
- (1)の工程において形成された前駆体繊維の繊維径が0.01〜20μmの範囲である、請求項1記載の製造方法。
- ピッチがメソフェーズピッチである、請求項1記載の製造方法。
- 熱可塑性樹脂がポリ−4−メチルペンテン−1またはその共重合体である、請求項7記載の製造方法。
- 熱可塑性樹脂がポリエチレンである、請求項7記載の製造方法。
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