JP4477225B2 - 半導電性ロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加した導電性部材を用い、像担持体に接触配置させることで像担持体表面を所定の電位に帯電する接触帯電装置に用いられる半導電性ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により電子写真感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱や圧力等により転写材上にトナー画像を定着して画像形成物を得るものである。また、転写材上に転写されずに電子写真感光体上に残ったトナー粒子は、クリーニング工程により電子写真感光体上より除去される。
【0003】
また従来、電子写真の帯電装置としては、コロナ帯電器が使用されてきた。近年、これに代って、接触帯電装置が実用化されてきている。これは、低オゾンや低電力を目的としており、この中でも特に帯電部材として導電ローラーを用いたローラー帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0004】
ローラー帯電では、導電性の弾性ローラーを被帯電体に加圧当接させ、これに電圧を印加することによって被帯電体への帯電を行う。
【0005】
具体的には、帯電は帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、ある閾値電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。一例を示すと、厚さ25μmの有機電子写真感光体(OPC感光体)に対して帯電ローラーを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば電子写真感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に電子写真感光体の表面電位が増加する。以後、この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0006】
つまり、電子写真に必要とされる電子写真感光体の表面電位Vdを得るためには、帯電ローラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法をDC帯電と称する。
【0007】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、電子写真感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、電子写真感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0008】
このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加するAC帯電方式が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。近年、像担持体にローラー状の帯電部材を接触させ前記像担持体表面を帯電する接触帯電が広く用いられている。接触帯電部材は、その構造が簡単であることやオゾンの発生量が極めて少ない等の利点を有している。
【0009】
米国特許4,967,231号明細書にあるように、導電性基層上に導電性シームレスチューブにより表層を形成した例が示されている。更には、特開平5−2313号公報にはフッ素樹脂からなるシームレスチューブが開示され、特開平5−96648号公報には導電性の異なる層構成よりなる多層チューブが開示されている。帯電部材としての製造にかかる方法としては、前記従来技術として、挿入により形成する方法が挙げられている。特開平6−58325号公報にあるように、クロスヘッド押し出し機を用いた表面形成方法が開示されている。
【0010】
このような、シームレスチューブによりローラー層を形成する方法は、発泡体で形成された支持体上を被覆することにより、平滑面を形成でき、均一な帯電ができるという特徴を有する。
【0011】
しかし、チューブ内径をd(mm)と被覆すべき支持体の外径をD(mm)としたとき、D>dの場合、シームレスチューブは、物理的方法により押し広げ嵌合するが、押出し成形を用いた場合、まずチューブ内径が支持体外径と同等又は小さめに押出され、次いで嵌合が可能なように、例えば圧力によりチューブ内径を押し広げ、支持体を挿入する手段により支持体を被覆する。
【0012】
このように、シームレスチューブを製造し嵌合する工程において、必ず押し広げる工程があり、シームレスチューブ抵抗が変化し、安定した生産が難しいという課題が存在する。
【0013】
特開平10−221924号公報にあるように、導電材として針状物を使用し、これにより伸縮に対して、抵抗変動を制御する方法がある。
【0014】
しかし、針状物を使用する場合、針状物のアスペクト比の比率分布に制限があり、また針状物であるために混練前後でその構造が保持される必要がある。更に、これら針状物はコスト高になる。
【0015】
また、カーボンブラックを用いた場合、バインダー樹脂に対してカーボンブラックは少なくとも15質量%含まなければ伸びに対する抵抗変化を低減することができない。
【0016】
しかし、バインダー樹脂に対する全顔料分がある一定以上の割合を含む場合、溶融樹脂の流動性が低下するため、シームレスチューブ作製の際に表面が粗れる欠点がある。
【0017】
シームレスチューブを用いる利点はあるが、被覆膜形成時に押し広げるという工程を経るために、製造工程中での抵抗変動、伸び又は縮みに対する抵抗値変動があり、嵌合後長期にわたり抵抗値を安定に保ちにくいという難点があった。
【0018】
また、伸び又は縮みに対する抵抗値変動を抑制するために導電顔料の含量を増やすことにより、表面平滑性が保たれないという難点があった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、伸縮に対する抵抗値変化を抑制し、かつ顔料増加に対しても優れた表面平滑性を保つ半導電性ロールを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、少なくとも支持部材と半導電性被覆部材を有する半導電性ロールにおいて、該半導電性被覆部材は、DBP吸油量100〜180cm3/100gのカーボンブラック15〜40質量%の範囲で含有し、該カーボンブラックを含む顔料成分の含有量が40質量%以下である、抵抗値が1×10 4 〜1×10 11 Ω・cmのシームレスチューブで形成されており、かつ、該シームレスチューブは、伸縮に対する抵抗値変化が、内径φ11.0mmに成形加工されたシームレスチューブを、EPDMゴム弾性層を有する外径が11.2mm及び12.0mmである径違いの2種類のローラー状支持部材にそれぞれに被覆してそれぞれの抵抗値を測定した場合に、外径11.2mmのものの抵抗値に対する外径12.0mmのものの抵抗値の比(φ12.0mm/φ11.2mm)が4.0以下であることを特徴とする半導電性ロールが提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
上記構成により、伸縮に対し安定した抵抗値を示し、かつ表面平滑性のある半導電性ロールを作製することができる。
【0023】
カーボンブラックとして、DBP吸油量が100cm3/100g未満のものを用いた場合、表面平滑性が保たれない。DBP吸油量が180cm3/100gを超える場合、導電性を中抵抗領域(1×104〜1×1011Ω・cm)に保つために必要なカーボンブラックをバインダー中に充分量混合することができないため、伸縮に対する抵抗変化が大きくなる。
【0024】
DBP吸油量100〜180cm3/100gのカーボンブラックの具体的な例として、トーカブラック(東海カーボン社製)、シースト(東海カーボン社製)、旭カーボンブラック(旭カーボン)及びColour CarbonBlack(デグサヒュルス)等が挙げられる。
【0025】
本発明において、DBP吸油量100〜180cm3/100gのカーボンブラックの配合割合は、半導電性被覆部材の全質量に対して15〜40質量%であることが必須であり、好ましくは25〜35質量%である。15質量%未満では伸びに対する抵抗変化が大きくなり、40質量%を超えるとチューブ表面が粗れる(鮫肌状になる)という問題が発生する。
【0026】
シームレスチューブのバインダーとして用いられるものとして、熱可塑性樹脂及びゴムが挙げられる。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレンプロピレン、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸メチル、スチレンブタジエン、ポリウレタン、ポリアミドポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラクロロエチレン、ヒドリンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンアクリルゴム、PFA、FEP、塩素化ゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。
【0027】
上記バインダーの添加剤としては、顔料、必要に応じて老化防止剤、軟化剤、可塑剤、補強剤及び充填剤等が挙げられる。顔料としては、上記カーボンブラックを必須とし、その他にグラファイト、金属酸化物を使用してもよい。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉛等が挙げられる。本発明においては、カーボンブラックを含む顔料成分は40質量%以下であることが必須である。40質量%を超えるとチューブ表面が粗れる(鮫肌状になる)という問題が発生する。
【0028】
次に、本発明の導電性被覆部材の製造方法を説明する。バインダーをカーボンブラック及び必要な添加剤と共に混練し、続いてペレット化する。得られたペレットを押出し成形機によりシームレスチューブとする。成形加工されたシームレスチューブを支持部材に被覆し、半導電性ロールとする。
【0029】
シームレスチューブ内径を被覆すべき支持体の外径よりも大とし、物理的、例えば熱によりチューブを収縮させ嵌合させるか、シームレスチューブ内径を被覆すべき支持体の外径よりも小とし、空気圧によりチューブを押し広げ嵌合させるかの手段がとられる。その例として、特開平10−228156号公報等がある。シームレスチューブの厚みは上限は1mm以下が好ましく、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下である。厚みの下限は特に規定しないが、例えば製造工程や取り扱いの困難さを考慮すると、10μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上であり、これが下限であろう。
【0030】
本発明において用いられる、被覆される支持部材としての構成、材質あるいは製造方法を例示する。
【0031】
材質としては、例えば特開平1−211799号公報等に開示があるが、導電性支持体として、鉄、銅及びステンレス等の金属、カーボン分散樹脂、金属あるいは金属酸化物分散樹脂等が用いられ、その形状としては、棒状が使用できる。構成としては、導電性支持体上に弾性層又は導電層又は抵抗層を設けたもの等が用いられ、ロール弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム及びブチルゴム等のゴム又はスポンジや、スチレンブタジエン、ポリウレタン、ポリエステル及びエチレン−酢ビ等の熱可塑性樹脂で形成することができる。
【0032】
導電性の発現手段としては、例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂又は導電性樹脂等が用いられ、具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅及び鉄等の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル及び酸化チタン等の導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル等の樹脂中に分散したもの等が挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及びポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0033】
抵抗層は、導電性樹脂又は導電性粒子分散絶縁樹脂等を用いることができる。導電性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン及びカゼイン等の樹脂が挙げられる。導電性粒子分散絶縁樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化チタン等の導電性粒子を、ウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル等の絶縁性樹脂中に少量分散したもの等が挙げられる。
【0034】
半導電性ロールとして、支持部材とシームレスチューブを有する本発明の構成のものは、製造安定性に優れ、従来安定生産が難しいとされた中抵抗領域を安定して生産できる。
【0035】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0036】
<シームレスチューブ製造例>
表1に示す組成で、加圧式ニーダーを用いて200℃で15分間混練し、冷却粉砕後、二軸押し出し機によりペレット化した。
【0037】
更に、内径φ14.5mmのダイスと外径φ13.915mmのポイントを備えた単軸押出し機で押出し成形後、サイジング、冷却工程を経て、内径φ11.0mm、厚さ250μmのシームレスチューブに成形加工した。
【0038】
<比較シームレスチューブ製造例>
表1に示す組成で、シームレスチューブ製造例と同様の製造工程を経て、内径φ11.0mm、厚さ250μmのシームレスチューブを得た。
【0039】
【表1】
Figure 0004477225
【0040】
抵抗値の測定方法は次の通りである。成形加工されたシームレスチューブをEPDMゴム弾性層を有する径違いのローラー状支持部材(φ:11.2mm、12.0mm)に被覆する。温度25℃/湿度55%RHの環境下に24時間放置する。その後、シームレスチューブが被覆された各径違いの半導電性ロールをSUSドラム(φ30mm)に当接させ、SUSドラムを回転させ、200Vの直流電圧と500Vpp/300Hzの交流電圧を重畳印加し、電流値を測定し、その値から抵抗値を求めた。
【0041】
用いたカーボンブラックの諸物性を表2に示す。また、シームレスチューブの表面と伸縮に対する抵抗値変化の結果を表3に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0004477225
【0043】
【表3】
Figure 0004477225
【0044】
表3に示すように、比較例1からDBP吸油量が大きなカーボンブラックを用いると、伸びに対する抵抗変化は改善されるが、チューブ表面が粗れてしまう。また、比較例3に示すように、カーボンブラックの含有量が15質量%以下の場合、伸びに対する抵抗変化が大きくなってしまう。一方、実施例1及び2に示すように、カーボンブラックのDBP吸油量と含有量とを特定の範囲にすることにより、表面性が良くかつ、伸びに対する抵抗変化も1桁以下に抑えられていることが分かる。
【0045】
また、カーボンブラックの含有量が15〜25質量%又は35〜40質量%のとき、バインダーである熱可塑性エラストマー又はゴムの種類によっては、表面性と伸縮に対する抵抗変化の抑制の効果は、得られる場合と得られない場合がある。
【0046】
【発明の効果】
カーボンブラックのDBP吸油量と含有量とを特定の範囲にすることにより、伸縮に対し安定した抵抗値を示し、かつ表面平滑性のある導電性被覆部材を有する半導電性ロールを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導電性ロールの抵抗値測定に用いた装置の概略図である。

Claims (1)

  1. 少なくとも支持部材と半導電性被覆部材を有する半導電性ロールにおいて、該半導電性被覆部材は、DBP吸油量100〜180cm3/100gのカーボンブラック15〜40質量%の範囲で含有し、該カーボンブラックを含む顔料成分の含有量が40質量%以下である、抵抗値が1×10 4 〜1×10 11 Ω・cmのシームレスチューブで形成されており、かつ、該シームレスチューブは、伸縮に対する抵抗値変化が、内径φ11.0mmに成形加工されたシームレスチューブを、EPDMゴム弾性層を有する外径が11.2mm及び12.0mmである径違いの2種類のローラー状支持部材にそれぞれに被覆してそれぞれの抵抗値を測定した場合に、外径11.2mmのものの抵抗値に対する外径12.0mmのものの抵抗値の比(φ12.0mm/φ11.2mm)が4.0以下であることを特徴とする半導電性ロール。
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