JP4476537B2 - トンネル換気設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル両端の各坑口から外部空気を吸い込み、このトンネルから分岐した排気坑に設けられた排風機によって汚染空気をトンネル外に排出するトンネル換気設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、道路トンネルにおいては、トンネル利用者の安全性および快適性を確保するために、視界環境を確保し、トンネル内の汚染物質を許容値以下に維持することが望まれる。そのため、トンネル内に換気機を設置し、その換気機を用いて換気制御が行なわれている。
【0003】
トンネルの換気にはさまざまな方式があるが、近年、環境に対する意識の高まりから、集中換気式と呼ばれる方式を採用する場合が増加している。図5は、この集中換気式のトンネルを、交通方向が一方向の一方通行トンネルに適用した場合を模式的に示している。
【0004】
この方式では、トンネル1の両端の各坑口2,3から外部空気を吸い込み、このトンネル1から分岐した排気坑4に設けられた排風機5によって汚染空気をトンネル1外に排出する方式で、汚染空気を坑口2,3から排出させないようにしている。ここで、トンネル1は一方通行であるため坑口2が車の進入口2であり、坑口3が出口となる。排気坑4は出口3近くから分岐している。
【0005】
このトンネル1内には、その中央部近く及び出口3近くの場所に風向風速計(AV)6Aおよび6Bがそれぞれ設置されている。また、排気抗4の入口近くには、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI計)8或いは一酸化炭素濃度計(CO計)9が設置されている。なお、煙霧透過率計(VI計)8は物質中を透過する光の割合から汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO計)9は一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
【0006】
このトンネル1の場合、排風機5を運転することにより、前述のように、トンネル1の進入口2および出口3から外部空気を吸い込み、汚染物質を含んだトンネル1内の空気を排気坑4から外部に排出し、汚染物質を除去している。
【0007】
すなわち、集中排気式トンネルでは、車の走行等によってトンネル1に生じる風で、入口2または出口3から汚染物質が流出すること(以下、吹き抜けと呼ぶ)を防止し、進入口2または出口3周辺の環境に対する影響を極力小さくしている。
【0008】
このように、集中排気式トンネルでは、進入口2または出口3からの吹き抜けを防止するため、トンネル1内の汚染物質濃度を許容値以下に維持するのみならず、常に、トンネル1の内部、すなわち、排風機5に向かって風を流す必要がある。この状態を集中排気状態と呼ぶ。
【0009】
図5には、集中排気状態での風の流れUr1、Ur2を矢示で示している。集中排気式トンネルでは、この集中排気状態を維持するために風速制御を行なっている。図6に、この風速制御装置の制御構成を示している。ここでは、集中排気状態を維持するための風速管理値を設定し、その設定した風速管理値を換気機フィードバック制御手段10においてトンネル1内の風向風速計6A、6Bの計測値と比較する。そして、この風向風速計6A、6Bの風速が、集中排気方向に向かって前記風速管理値以上となるように排風機5を制御する。
【0010】
この場合、風速管理値は集中排気方向を正とすると、風の流れUr1、Ur2の方向が負にならなければ良いわけであるが、風速値はかなり変動が激しいことが知られているので、実際はマージンをとり、1.5[m/s]〜2.0[m/s]程度の風速値を設定している場合が多い。
【0011】
また、換気機フィードバック制御手段10は、前述のように風速計測値と風速管理値とを比較し、トンネル1内の風速が管理値を下回らないように排風機5に対する風量指令値を演算し出力する。この結果、集中排気状態が維持され、坑口周辺環境への影響を小さくしている。
【0012】
なお、換気機フィードバック制御手段10では、PI制御やファジイ制御等、様々な制御方式が用いられている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このような集中排気式トンネルにおいて、排風機5の排風量を増加させた場合、排風量増加の影響は、その殆どが排風機5の下流側(出口3側)の風速Ur2の増加となって現れる。このため、出口3からの吹き抜け防止の効果は期待できるが、排風機5直前で計測される煙霧透過率計測値、すなわち、汚染濃度改善効果はあまり期待できない。
【0014】
また、吹き抜けを防止するために、トンネル1内に設置されているジェットファンを換気方向(Ur1方向)とは逆方向に運転することが考えられている。このジェットファンの逆方向運転台数を増加させると、吹き抜け防止効果は期待できるが、煙霧透過率計測値の低下を伴う。また、この逆方向運転台数を減少させると、煙霧透過率計測値の改善効果は期待できるが、吹き抜け発生の恐れがある。
【0015】
このように、問題が複雑に絡み合い、吹き抜けを防止し、かつトンネル内汚染状態を改善するための有効な制御が達成できなかった。
【0016】
本発明の目的は、トンネル坑口からの吹き抜けを防止し、トンネル内汚染状態を改善する制御方式を用いた集中排気式トンネルにおけるトンネル換気設備を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によるトンネル換気設備は、トンネル両端の各坑口から外部空気を吸い込み、このトンネルの交通方向下流側においてトンネルから分岐した排気坑に設けられた排風機によって汚染空気をトンネル外に排出するトンネル換気設備であって、このトンネル内の前記交通方向出口側の坑口近くに配置され、前記排気坑入口から前記出口側の坑口までの出口区間における風向風速を計測する風向風速計と、前記トンネル内の排気坑入口近くに配置され、この排気坑入口近くの空気汚染濃度を計測する汚染濃度計と、前記トンネル内に設けられ、このトンネルの前記交通方向入口側の坑口から前記交通方向出口側の坑口への吹き抜け方向の空気の流れに対する逆向きの流れを発生させ、かつその逆向き運転量を変化可能なジェットファンと、前記風向風速計の風向風速値と汚染濃度計の計測値を入力し、予め設定した空気汚染濃度の目標値及び風速管理値に基づき、ファジイ制御によって、前記トンネル内の空気が前記坑口から外部に流出する吹き抜けを防止し、かつトンネル内の汚染濃度が設定値以下となるように前記排風機の運転量と前記ジェットファンの運転方向および運転量を制御する換気機制御手段とを備え、前記換気機制御手段による処理内容は、前記汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合は、前記出口区間の風向風速に関わらず前記ジェットファンの逆向き運転量をかなり減少させ、前記排風機については、前記出口区間の風向風速が前記吹き抜け方向に大の場合はその運転量をかなり増大させ、前記出口区間の風向風速が前記吹き抜け方向とは逆向きの通常の換気方向に大の場合はその運転量を普通に減少させ、前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して前記吹き抜け方向に大の場合は、前記汚染濃度計の計測値に関わらず前記排風機の運転量をかなり増大させ、前記ジェットファンの逆向き運転量については、前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合はかなり減少させ、適正範囲より良い場合は少し増加させるように設定したことを特徴とする。
ただし、かなり、普通に、少し、との表現は、該当する運転量の修正量を、大、中、小の3段階に区分したうちの各段階をあらわしており、かなりは修正量大を意味し、普通には修正量中を意味し、少しは修正量小を意味する。
【0019】
本発明では、換気機制御手段は、前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して前記通常の換気方向に大の場合は、排風機の運転量は汚染濃度計の計測値に関わらず普通に減少させ、ジェットファンの吹き抜け方向とは逆向きの運転量は、汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合にはかなり減少させるように処理内容をさらに設定してもよい。
【0020】
本発明では、換気機制御手段は、前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して適正範囲であれば、排風機の運転量は汚染濃度計の計測値に関わらずそのままとし、汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合にはジェットファンの吹き抜け方向とは逆向きの運転量をかなり減少させるように処理内容さらに設定してもよい。
【0022】
これらの発明では、トンネル内の坑口近くに配置された風向風速計によって吹き抜け状態を監視し、トンネル内の排気坑の入口近くに配置された汚染濃度計によってトンネル内汚染状態を監視し、それらの計測結果に基づき、トンネル内に設けられたジェットファンの運転方向および運転量や排気坑内の排風機の運転量を制御して、吹き抜けを防止し、かつトンネル内の汚染濃度を設定値以下に保つようにしている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるトンネル換気設備の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、この一実施の形態におけるトンネル11の内部構成を模式的に示している。このトンネル11も、その両端の各坑口12,13から外部空気を吸い込み、このトンネル11から分岐した排気坑14に設けられた排風機15によって汚染空気をトンネル11外に排出する集中排気方式である。また、トンネル11は一方通行とし、排気坑14は出口13近くから分岐している。
【0025】
また、トンネル11内の中央部近く及び出口13近くには、風向風速計(AV)16Aおよび16Bをそれぞれ設置し、排気抗14の入口近くには、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI計)18或いは一酸化炭素濃度計(CO計)19を設置している。
【0026】
さらに、トンネル11内の天井には、複数台(図の例では8台)のジェットファン(JF)22が、トンネル軸方向に約100m間隔で2台ずつ設置されている。このジェットファン22は、トンネル11の軸流方向の風を生じさせるもので、正逆運転可能に構成されている。
【0027】
次に、図2により、トンネル内部に対する換気制御システムの構成を説明する。同図において、23は換気機制御手段で、その入力側には、出口13付近の区間24の風向風速値Ur2を計測する風向風速計16Bと、排気坑14の入口近く、すなわち、排風機15直前の煙霧透過率(以下、“排風機直前煙霧透過率"と呼ぶ)VIを計測する煙霧透過率計18とが接続されている。また、出力側には排風機15やジェットファン22からなるトンネル換気機26が接続されている。
【0028】
換気機制御手段23は、風向風速計6Bから風速計測値Ur2を入力すると共に、煙霧透過率計8から排風機直前煙霧透過率VIを入力する。そして、所定の演算処理の結果、排風機15に対する風量指令値QEを出力すると共に、ジェットファン22を吹き出し方向(図示Ur1と同じ方向)に対し逆向きの風を生じさせる、逆向き運転台数の指令値NjFを出力する。
【0029】
したがって、換気機26の一つであるジェットファン22は、逆向き運転台数指令値NjFを受けて、指令台数だけ逆向き方向に稼動される。また、換気機26の他の一つである排風機15は、排風機風量指令値QEを受けて、その指令値に基づいた風量を排気させるように稼動される。
【0030】
このようなシステム制御構成において、まず、風向風速計16Bでは、排風機15より下流側となる出口区間24の風がトンネル出口13方向に吹いていないかをチェックするため、出口区間24の風向及び風速Ur2[m/s]を計測して、換気機制御手段23に入力させる。また、排風機直前の煙霧透過率計18では、トンネル11内で最も汚染濃度が高くなる排風機直前煙霧透過率VI[%]を計測して、換気機制御手段23に入力させる。
【0031】
換気機制御手段23では、この風向風速計測値Ur2[m/s]と排風機直前煙霧透過率VI[%]とを基に、後記する制御処理にしたがって、排風機風量指令値QEおよびジェットファン逆向き運転台数指令値NJFをそれぞれ決定し、トンネル換気機26に出力する。
【0032】
次に、換気機制御手段23の処理内容を図3を用いて説明する。
【0033】
図3は、換気機制御手段23にファジイ制御を適用した場合を示しており、その処理内容をマトリックス20で示している。すなわち、横軸は出口区間24の風向風速計測値Ur2[m/s]を、縦軸は排風機直前煙霧透過率VI[%]をそれぞれ示している。また、Lは修正量大(かなり)を、Mは修正量中(普通に)を、Sは修正量小(少し)を、Zは修正不要を、それぞれ示している。
【0034】
なお、本処理は予め設定した煙霧透過率目標値および風速管理値等を基に行なわれている。
【0035】
同図において、出口区間24の風速が吹き抜け方向(図1におけるUr2の矢印方向に対し逆向き)に大であり、且つ、煙霧透過率VIがかなり良好である場合(20A)は、排風量QEをかなり(L)増加させ、且つ、ジェットファンの逆向き運転台数(以下、逆転JF台数とする)を少し(S)増加させる。
【0036】
これは、排風量QEを増加させると、排風機15の下流側である出口区間24における吹き抜け方向の風速を弱める方向に作用する。また、逆転JF台数を増加させると、トンネル11内の吹き抜け方向(図1におけるUr1の矢印と同じ方向)の風速を弱める方向に作用する。これらの結果、出口13からの吹き抜けを防止できる。なお、逆転JF台数を増加させると煙霧透過率VIの低下を伴うが、増加台数が少し(S)であり、しかも、排煙霧透過率VIがもともとかなり良好なため問題はない。
【0037】
これらの結果、トンネル出口13からの吹き抜けは防止され、かつトンネル11内の煙霧透過率を良好な状態に維持できる。
【0038】
また、出口区間24の風速が吹き抜け方向に大であり、煙霧透過率VIが適正範囲である場合(20B)は、排風量QEはかなり(L)増加させるが、逆転JF台数は現状維持(Z)とする。
【0039】
このように、排風量QEを増加させることにより、排風機15の下流側である出口区間24の吹き抜けを抑制する。逆転JF台数を現状維持(Z)としたのは適正範囲にある煙霧透過率VIを維持するためである。
【0040】
この結果、トンネル出口13からの吹き抜けは防止され、かつトンネル11内の煙霧透過率を適正な状態に維持できる。
【0041】
また、出口区間24の風速は吹き抜け方向に大であり、しかも煙霧透過率VIがかなり悪化している場合(20C)は、排風量QEをかなり(L)増加させ、逆転JF台数をかなり(L)減少させる。
【0042】
これは、排風量QEを増加させることにより、排風機15の下流側である出口区間の吹き抜けを抑制し、逆転JF台数をかなり減少させることにより、排風機直前の煙霧透過率VIを改善させるためである。
【0043】
この結果、トンネル出口13からの吹き抜けは防止され、かつトンネル11内の煙霧透過率は悪化状態から改善される。
【0044】
次に、出口区間24の風速が適正(風向も図1におけるUr2の矢印と同じ方向で、出口13からの吹き抜けが生じない状態)な場合を説明する。まず、出口区間24の風速が上述のように適正であり、排風機直前煙霧透過率VIがかなり良好である場合(20D)、及び適正範囲である場合(20E)のいずれにおいても、排風量QEおよび逆転JF台数共に現状維持(Z)とする。
【0045】
これは、排風量QEおよび逆転JF台数が共に現状状態であっても、出口13からの吹き抜けが防止され、トンネル11内の煙霧透過率VIが良好または適正範囲となっているためである。
【0046】
これに対し、出口区間24の風速が適正であっても、煙霧透過率VIがかなり悪化している場合(20F)は、排風量QEは現状維持(Z)とし、逆転JF台数をかなり(L)減少させる。
【0047】
これは、排風量QEを現状維持としても、出口区間24の風速は適正範囲に維持され、トンネル出口13からの吹き抜けは生じず、また、逆転JF台数かなり減少させることにより、煙霧透過率VIが改善されるためである。
【0048】
この結果、トンネル出口13からの吹き抜け防止状態を維持しつつ、トンネル11内の煙霧透過率は悪化状態から改善される。
【0049】
次に、出口区間24の風速は通常の換気方向(図1におけるUr2の矢印と同じ方向)に大である場合を説明する。上述のように、出口区間24の風速が適正であり、排風機直前煙霧透過率VIがかなり良好である場合(20G)、及び適正範囲である場合(20H)のいずれにおいても、排風量QEは普通に(M)減少させる。また、逆転JF台数は現状維持(Z)とする。
【0050】
これは、排風量を減少させることにより、出口区間24での車両進行方向に対する逆風を低減すると共に、必要以上の換気風量を低減することにより電力消費を削減するためである。また、現状においてトンネル11内の煙霧透過率VIが良好または適正範囲であるため、逆転JF台数は現状維持としている。
【0051】
これに対し、出口区間24の風速は通常の換気方向に大であり、適正であるが、煙霧透過率VIがかなり悪化していなかる場合(20I)は、排風量QEは上述の場合と同様に普通に(M)減少させるが、逆転JF台数はかなり(L)減少させる。
【0052】
これは、排風量の減少により、出口区間24の車両進行方向に対する逆風を低減すると共に、逆転ジェットファンの運転台数を減少させることにより、煙霧透過率VIを改善するためである。
【0053】
この結果、トンネル出口区間24での車両に対する走行抵抗(逆風)が低減されると共に、トンネル11内の煙霧透過率は悪化状態から改善される。
【0054】
なお、図3のマトリクスにおける修正処理案は、トンネル形状や優先順位等に応じて適宜変更してもよい。
【0055】
図4は、図3の修正処理内容を表現したファジィ模式図で、(A)は排風量、すなわち、排風機風量指令値QEの修正量を示し、(B)は逆転JF台数の修正量を示している。
【0056】
図4(A)および(B)は、図3と同じく、横軸は出口区間24の風速計測値を、縦軸は煙霧透過率VIをそれぞれ示している。
【0057】
図4(A)では、出口区間24の風速が吹き抜け方向に大であればあるほど、排風量は、図示左側の増加方向に制御し、拭き抜けを防止すべく対応していることを示している。反対に、出口区間24の風速が通常の換気方向に大きくなるほど、排風量は図示右側の減少方向に制御し、省エネルギー対応をとることを表している。
【0058】
図4(B)では、煙霧透過率VIが悪化するほど、図示下方の逆転JF台数を減少させる方向に制御し、出口区間24の風速が吹き抜け方向に大きい場合のみ、図示上方の逆転JF台数を増加させる方向に制御していることを示している。
【0059】
このように、ファジィ制御を用いた場合、出口区間24やその付近における風速等の修正がソフト的に自然に近い状態で修正できるので、トンネル11内外の環境を自然に近い状態に保つことができる。
【0060】
上述した実施の形態によると、集中排気式の道路トンネルにおいて、排風量の増加は、トンネル内汚染状態の改善に対して殆ど期待できないが、吹き抜けに抑制に対しては排風量の増加が効果あり、また、逆転JT台数の減少は汚染状態改善を期待できるが吹き抜け発生の恐れがあり、さらに、逆転JTの増加は吹き抜け抑制を期待できるが汚染状態の低下を伴う、というように複雑に絡みあった問題を解決でき、トンネル内汚染濃度の改善と坑口からの吹き抜けによる汚染物質の坑口からの流出を防止することができる。
【0061】
以上、説明した制御処理を実現する手段としてファジィ制御を例示したが、PI制御等さまざまな制御方式を用いてもよい。
【0062】
なお、本実施の形態においては、一方通行トンネルを対象としたが、対面通行においても適用は可能である。この場合、トンネル11から分岐される排気坑14は坑口近くではなく、トンネル11の長さ方向中央部から分岐するように構成される。また、風向風速計は両坑口近くに設け、これら坑口近くの風向風速が、吹き抜け方向か通常の換気方向かを判断する。そして、どちらかの坑口で吹き抜け方向の風向風速が計測された場合は、集中排気機能を強めるため、排気坑に設けた排風機の風量を強める。また、トンネル内の汚染状態が良好であることを条件に、前記吹き抜け方向に対し、ジェットファンの送風方向を逆向きとする逆向JT台数を増加させる。
【0063】
トンネル内の汚染濃度は、排気坑の入口近くに設けた汚染濃度計により計測する。汚染濃度が高くなった場合は、前記逆向JT台数を減少させる。
【0064】
このように制御することにより、対面通行トンネルにも本発明を提供することができる。
【0065】
また、トンネル内の汚染濃状態を計測するものとして煙霧透過率計(VI計)を例示したが、これに代って一酸化炭素濃度計(CO計)用いたり、VI計とCO計の両方を併用してもよい。このほか汚染状態を検出できるものであればなんでもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、トンネル内汚染状態を改善すると共に、トンネル坑口からの吹き抜けを防止して汚染物質の坑口からの漏れ出しを防止できるので、トンネル内における安全性が向上すると共にトンネル坑口周辺の環境を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるトンネル換気設備の一実施の形態をトンネル内部について模式的に示した説明図である。
【図2】同上一実施の形態における制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】同上一実施の形態における換気機制御手段の処理内容をマトリックスで示した説明図である。
【図4】同上一実施の形態における換気機制御手段の処理内容を示すファジィ模式図で、(A)は排風量QEの修正量を、(B)は逆転ジェットファンの運転台数修正量を示している。
【図5】従来の集中換気方式による一方通行トンネル内部を模式的に示した説明図である。
【図6】従来の装置のシステム構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
11 トンネル
12,13 坑口
14 排気坑
15 排風機
16A,16B 風向風速計
18 煙霧透過率計
19 一酸化炭素濃度計
23 換気機フィードバック制御手段
22 ジェットファン
24 出口区間
Claims (3)
- トンネル両端の各坑口から外部空気を吸い込み、このトンネルの交通方向下流側においてトンネルから分岐した排気坑に設けられた排風機によって汚染空気をトンネル外に排出するトンネル換気設備であって、
このトンネル内の前記交通方向出口側の坑口近くに配置され、前記排気坑入口から前記出口側の坑口までの出口区間における風向風速を計測する風向風速計と、
前記トンネル内の排気坑入口近くに配置され、この排気坑入口近くの空気汚染濃度を計測する汚染濃度計と、
前記トンネル内に設けられ、このトンネルの前記交通方向入口側の坑口から前記交通方向出口側の坑口への吹き抜け方向の空気の流れに対する逆向きの流れを発生させ、かつその逆向き運転量を変化可能なジェットファンと、
前記風向風速計の風向風速値と汚染濃度計の計測値を入力し、予め設定した空気汚染濃度の目標値及び風速管理値に基づき、ファジイ制御によって、前記トンネル内の空気が前記坑口から外部に流出する吹き抜けを防止し、かつトンネル内の汚染濃度が設定値以下となるように前記排風機の運転量と前記ジェットファンの運転方向および運転量を制御する換気機制御手段とを備え、
前記換気機制御手段による処理内容は、
前記汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合は、前記出口区間の風向風速に関わらず前記ジェットファンの逆向き運転量をかなり減少させ、前記排風機については、前記出口区間の風向風速が前記吹き抜け方向に大の場合はその運転量をかなり増大させ、前記出口区間の風向風速が前記吹き抜け方向とは逆向きの通常の換気方向に大の場合はその運転量を普通に減少させ、
前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して前記吹き抜け方向に大の場合は、前記汚染濃度計の計測値に関わらず前記排風機の運転量をかなり増大させ、前記ジェットファンの逆向き運転量については、前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合はかなり減少させ、適正範囲より良い場合は少し増加させる
ように設定したことを特徴とするトンネル換気設備。
ただし、かなり、普通に、少し、との表現は、該当する運転量の修正量を、大、中、小の3段階に区分したうちの各段階をあらわしており、かなりは修正量大を意味し、普通には修正量中を意味し、少しは修正量小を意味する。 - 前記換気機制御手段は、前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して前記通常の換気方向に大の場合は、排風機の運転量は汚染濃度計の計測値に関わらず普通に減少させ、ジェットファンの吹き抜け方向とは逆向きの運転量は、汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合にはかなり減少させるように処理内容がさらに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル換気設備。
- 前記換気機制御手段は、前記出口区間の風速が前記風速管理値に対して適正範囲であれば、排風機の運転量は汚染濃度計の計測値に関わらずそのままとし、汚染濃度計の計測値が前記空気汚染濃度の目標値に対して適正範囲より悪い場合にはジェットファンの吹き抜け方向とは逆向きの運転量をかなり減少させるように処理内容がさらに設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトンネル換気設備。
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