次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、本発明によるシート状物の異物除去方法及び異物除去装置について説明する。本発明による複数のシート状物の異物除去方法は、複数のシート状物の表面等に付着する異物を、それらシート状物の表面等から除去する方法である。また、本発明による複数のシート状物の異物除去装置は、複数のシート状物の表面等に付着する異物を、それらシート状物の表面等から除去する異物除去手段を有する装置である。ここで、シート状物の表面等に付着した異物は、液体、固体、又はそれら両方のいずれであってもよい。なお、液体は、純粋な溶媒、溶液の溶剤、溶液、並びに懸濁液及び乳濁液などの分散系の分散媒のいずれであってもよい。また、固体は、懸濁液及び乳濁液などの分散系の分散質を含み、液体及び固体の両方は、これらの分散系を含む。さらに、シート状物の表面は、表及び裏面の片方及びそれらの両方を含む。また、異物は、シート状物の表面等に付着した、シート状物に本来含まれない物質である。
ここで、シート状物の表面等に付着した異物が、液体である場合には、本発明による複数のシート状物の異物除去方法は、複数のシート状物の表面から液体である異物を蒸発させることになるため、複数のシート状物の表面等を乾燥させる複数のシート状物の乾燥方法とすることができる。同様に、本発明による複数のシート状物の異物除去装置は、複数のシート状物の表面等を乾燥させる乾燥手段を有する複数のシート状物の乾燥装置とすることができる。
また、シート状物の表面等に付着した異物が、固体である場合には、本発明による複数のシート状物の異物除去方法は、複数のシート状物の表面等から固体である異物を取り除くことになるため、複数のシート状物の表面等を洗浄する複数のシート状物の洗浄方法とすることができる。同様に、本発明による複数のシート状物の異物除去装置は、複数のシート状物の表面等を洗浄する洗浄手段を有する複数のシート状物の洗浄装置とすることができる。
さらに、シート状物の表面等に付着した異物が、液体及び固体の両方(混合物)である場合には、シート状物の表面等を乾燥させてシート状物の表面等に付着した液体を除去した後、シート状物の表面等を洗浄してシート状物の表面等に残留する固体を除去すればよい。すなわち、本発明によるシート状物の乾燥方法及び乾燥装置を用いた後、本発明によるシート状物の洗浄方法及び洗浄装置を用いればよい。ただし、本発明によるシート状物の乾燥装置及びシート状物の洗浄装置は、共通の装置を用いることができる。このようにして、シート状物の表面等に付着した異物が、液体及び固体の両方(混合物)である場合には、本発明による複数のシート状物の異物除去方法は、本発明によるシート状物の乾燥方法及び本発明によるシート状物の洗浄方法の組み合わせとすることができる。また、本発明による複数のシート状物の異物除去装置は、本発明によるシート状物の乾燥装置及び本発明によるシート状物の洗浄装置の一方又は組み合わせとすることができる。
次に、本発明によるシート状物の乾燥方法及びシート状物の乾燥装置について説明する。本発明によるシート状物の乾燥方法においては、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の表面等を乾燥させる。例えば、図7に示すように、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の複数の間隙に、矢印に示すように気体を通過させて、複数のシート状物11の表面を乾燥させる。また、本発明によるシート状物の乾燥装置においては、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて複数のシート状物の表面等を乾燥させる乾燥手段を有する。例えば、図8に示すように、シート状物の乾燥装置は、少なくとも、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に気体を通過させることができる乾燥手段21を有する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物の表面等の乾燥とは、シート状物に付着した液体を除去することを意味する。シート状物に付着した液体の種類は、蒸発させることが可能な液体であれば、特に限定されず、溶剤などの水性及び/又は油性の液体である。例えば、シート状物に付着した液体は、ある溶液をシート状物に塗布した後にシート状物に残留するその溶液の溶媒(残留溶媒)であってもよい。
また、本発明による乾燥方法及び乾燥装置が適用されるシート状物は、それらの間隙に、後述する実質的に所謂ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することができれば、その形状、大きさ、及び材質は特に限定されない。シート状物は、プラスチック及び紙など様々な材料で形成され、シート状物の例としては、例えば、銀塩のレントゲンフィルムのようなプラスチックフィルム、紙に感熱発色層を設けた感熱紙のような印刷用紙、液晶又はプラズマディスプレイ関連のシート部品などが挙げられる。ただし、複数のシート状物の形状は、実質的に同一の形状であることが好ましい。複数のシート状物の形状が実質的に同一であれば、それらのシート状物の間を通過する気体は、実質的に同一の流れを生じ、ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することが容易である。また、複数のシート状物の間隙に気体を通過させるために、シート状物は、実質的に平坦な形状(輪郭の形状は問わない)を有すること、特に枚葉のシート状物であることが好ましい。
これらの複数のシート状物は、互いに接触して並置される。ここで、本明細書及び特許請求の範囲における“互いに接触して並置された”とは、複数のシート状物の各々について、あるシート状物の少なくとも一方の面が、その面又はそれらの面側に隣接するシート状物の面の少なくとも一部分と接触し、且つ複数のシート状物が、並べて置かれていることを意味する。また、複数のシート状物の各々は、互いに接触して並置されていればよいが、好ましくは、複数のシート状物の各々が、それぞれ独立に鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するように、配置される。なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物が、鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するとは、鉛直方向から0度の角度で直立する又は鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜することを意味する。より詳しくは、鉛直方向から0度の角度で直立するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向に対して垂直であることを意味し、鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向と鉛直方向に対して垂直な方向との間にあることを意味する。このように、複数のシート状物に働く重力の作用によって複数のシート状物が互いに密着することを低減して、複数のシート状物の間隙に気体が容易に通過することができるように、複数のシート状物は、好ましくは、いずれも鉛直方向から90度の角度で傾斜しておらず、すなわち、水平に配置されず、直立又は傾斜して配置される。さらに、複数のシート状物の重量によって複数のシート状物が互いに密着することは好ましくないため、複数のシート状物は、好ましくは、おおよそ鉛直方向から0度の角度で、直立に並置される。また、互いに接触して並置された複数のシート状物を、直線状又は曲線状に配置してもよいし、円形のような閉曲線状に配置してもよい。ここで、互いに接触して並置された複数のシート状物は、直線状又は円形に配置することが好ましい。このように複数のシート状物を直線状又は円形に配置すると、複数のシート状物の端部に気体を吹付けることが容易である。また、複数のシート状物直線状又は曲線状に配置するために、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる保持体としての枠体を用いてもよい。枠体は、複数のシート状物の下側端部を支持する部分と、並置された複数のシート状物のうち最も端側のシート状物を支持する部分とを有してもよい。枠体のこれらの部分は、平板であっても、気体が通過することが可能な柵状の形状を有してもよい。
複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて保持する間隔、例えば、複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて並置させることができる枠体の長さは、好ましくは、(液体が付着してない単一のシート状物の厚さ+0.05mm以上0.40mm以下の値)×(液体が付着してないシート状物の数)+2mm以上10mm以下の値で表される長さである。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより、複数のシート状物を適度に離間させることができ、より安定して複数のシート状物の間に気体を通過させることができる。すなわち、より安定して複数のシート状物を乾燥させることができる。
また、枠体は、複数のシート状物の間隙を通過する気体の方向に沿った、複数のシート状物の前後に、例えば、枠体における気体の入り口側及び出口側に、複数のシート状物の全て又は一部が枠体から脱落することを防止するための部材(例えば、複数のシート状物の脱落防止用の棒)を有していてもよい。
さらに、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる枠体は、本発明によるシート状物の乾燥装置の本体に対して引き出し式の枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の乾燥装置の本体へ容易に装着することができると共に、複数のシート状物を、シート状物の乾燥装置の本体から容易に取り出すことができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置の本体に対して着脱可能な枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の乾燥装置の本体に対して容易に着脱することができると共に、乾燥させた複数のシート状物を、所望の場所へ容易に運搬することができる。
さらに、実質的に同一の形状を有する複数のシート状物は、互いに整列されることが好ましい。ただし、複数のシート状物の各々を特定の位置に位置決めする必要はない。複数のシート状物が整列されている場合には、複数のシート状物の間隙を気体が比較的均一に通過するため、それら複数にシート状物の間隔を比較的均一に広げる(離間させる)ことができる。その結果、複数のシート状物の表面等を比較的均一に乾燥させることができる。
互いに接触して並置された複数のシート状物に吹付けて複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体の種類は、その気体が使用される温度で化学的及び物理的反応を起こさなければ特に限定されないが、通常は、容易に入手可能な(乾燥した)空気が使用される。
また、好ましくは、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を、循環させると共に再利用してもよい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を用いて、複数のシート状物を乾燥させる。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の乾燥条件を、より容易に制御することができる。
本発明によるシート状物の乾燥方法においては、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間に間隙を形成する(前記複数のシート状物を離間させる)ことができる。すなわち、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間隔は、吹付けられた気体の圧力により広げられ、それらの広げられた間隙を、吹付ける気体が通過することになる。ここで、気体が吹付けられた複数のシート状物の間隙には、シート状物の間隙を通過する気体の速さに応じて、理想的にはベルヌーイの定理により決定される圧力が生じる。つまり、通過する気体の速さが大きい間隙では、圧力が小さくなり、通過する気体の速さが小さい間隙では、圧力が相対的に大きくなる。その結果、複数のシート状物の間隙間における圧力差が無くなるまで、複数のシート状物は、移動する。そして、複数のシート状物の間隙を通過する気体の速さがほぼ均一になり、複数のシート状物の間隙における圧力も均一になると、複数のシート状物の間隔もほぼ均一となる。また、複数のシート状物は、気体が複数のシート状物の間隙を通過している間は、互いに密着しない。このようにして、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の間隙に存在する気体を強制的に換気し、複数のシート状物の表面等を乾燥させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置における乾燥手段は、上記のように、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させることができるものであれば、特に限定されない。このような乾燥手段としては、例えば、図8に示すように、特定方向に気体としての空気を流出させることができる単一の流出口としてのノズル22を備えた乾燥手段21が挙げられる。図8に示す乾燥手段は、乾燥手段の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口から空気を吸引し、ノズル22から空気を流出させる。図8においては、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部に向かって、乾燥手段21のノズル22から流出する空気を吹付け、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に空気を通過させて、複数のシート状物11の表面を乾燥させる。また、乾燥手段として、図18(a)〜(c)に示すような、気体としての空気を流出させることができる複数の流出口としてのノズルスリット502を有する乾燥手段21も挙げられる。図18に示す乾燥手段21は、乾燥手段21の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口501から空気を吸引し、乾燥手段21の前部に設けられた複数のノズルスリット502を介して空気を流出させる。これにより、単一の乾燥手段21から複数の空気の流れを複数のシート状物に同時に吹付けることができる。なお、図18に示す乾燥手段21の内部には、空気の入口から吸引された空気の流れを調整するために、パンチングメタル(孔開き鋼板)である整流板503を有することが好ましい。
さらに、本発明によるシート状物の乾燥装置における乾燥手段は、好ましくは、乾燥手段から流出される気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。すなわち、本発明によるシート状物の乾燥方法において、好ましくは、複数のシート状物に吹付ける気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。このようにして、複数のシート状物の乾燥条件を、所望の条件に、より容易に制御することができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置における乾燥手段は、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を循環させると共に、複数のシート状物を乾燥させるために再利用することができる手段を有することが好ましい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を複数のシート状物に吹付ける。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の乾燥条件を、より容易に制御することができる。
なお、複数のシート状物が並置された方向における、気体としての空気を流出させることができる単一又は複数の気体の流出口の間隔は、好ましくは、2mm以上15mm以下である。例えば、図8に示す乾燥手段21のノズル22、及び、複数のシート状物が並置された方向における、図18に示す乾燥手段21のノズルスリット502の間隔が、2mm以上15mm以下である。
また、図8に示す乾燥手段21のノズル22及び図18に示す乾燥手段21のノズルスリット502における気体の流出口から、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部までの距離は、好ましくは、2mm以上30mm以下である。
加えて、本発明によるシート状物の乾燥装置は、複数のシート状物に吹付ける気体に含まれる微粒子を除去するために、中性能微粒子除去フィルター、高性能微粒子除去(HEPA)フィルター、及び超高性能微粒子除去(ULPA)フィルターを有してもよい。複数のシート状物に吹付ける気体から微粒子を除去するためのこれらのフィルターを用いることによって、複数のシート状物を乾燥させる際に、複数のシート状物に吹付けられる気体に含まれる微粒子が、複数のシート状物に付着することを予防することができる。
上記の本発明によるシート状物の乾燥方法によれば、複数のシート状物の表面を容易に且つ効率良く乾燥させることができる。すなわち、本発明によるシート状物の乾燥方法によれば、連続した長いシート状物ではなく、互いに接触して並置された複数のシート状物の表面等を乾燥させるため、短時間で複数のシート状物の表面等を乾燥させることができる。また、複数のシート状物の各々を所定の位置に位置決めする必要がないため、シート状物の表面等を乾燥させるための作業工数を小さくすることができる。さらに、本発明によるシート状物の乾燥方法によれば、複数のシート状物を鉛直方向に積載することなく、互いに接触して並置させ、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の表面等を効率よく乾燥させることができる。また、複数のシート状物を治具などで互いに固定する必要がなく、シート状物の面全体にわたって気体を通過させることができるため、シート状物の表面等を比較的均一に乾燥させることができる。
加えて、本発明によるシート状物の乾燥装置を用いれば、互いに接触して並置された複数のシート状物の間隙に気体を通過させる際に、複数のシート状物の間隔を比較的小さくすることができるため、複数のシート状物を並置するスペースを小さくすることができる。また、本発明によるシート状物の乾燥装置においては、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間隔をほぼ均一に維持するため、複数のシート状物の各々を配置するための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材などが不要である。このため、シート状物の乾燥装置の大きさを小さくし、シート状物の乾燥装置に関する設備コストを小さくすることができる。例えば、図8に示すような乾燥装置において、複数のシート状物11の間隙に空気を通過させると、複数のシート状物11の間隔は、0.1mm〜数mm程度になる。これらの値は、複数のシート状物の各々を置くための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材の間隔、10mm〜25mm程度よりもはるかに小さい。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法及び乾燥装置において、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する。言い換えれば、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、ある角度だけ傾斜した方向に、複数のシート状物の間隙を通過する。ここで、上記のある角度とは、シート状物の乾燥方法及び乾燥装置における様々な条件によって適宜定められる角度であり、0度を超えて180度未満の角度であり、その符号(鉛直方向からの傾斜の向き)は、正及び負のいずれであってもよい(いずれの向きであってもよい)。また、この角度は、シート状物を乾燥させる工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図9に示すように、乾燥手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、角度θだけ傾斜した方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体などのような乾燥装置の部材に阻害されることなく、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙に通過させることができる。例えば、乾燥装置が、複数のシート状物を支持する支持体を有する場合に、気体が、支持体に当たらないように、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることができる。その結果、シート状物の表面等をより効率よく乾燥させることができる。
ここで、上記の複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略垂直とは、完全な垂直及び垂直とみなせる状態を含む。また、言い換えれば、上記の鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、傾斜する角度は、好ましくは、略直角である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略直角とは、完全な直角及び直角とみなせる角度を含む。例えば、図9に示すように、乾燥手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から略直角な方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向に、複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に設けられた場合に、気体を支持体に吹付けることなく通過させることができる。その結果、支持体が複数のシート状物の下側に設けられた場合に、シート状物の表面等をより効率よく乾燥させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法及び乾燥装置において、複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けられる。また、この角度は、シート状物を乾燥させる工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図10に示すように、乾燥手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ、角度φだけ傾斜して、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
このように、複数のシート状物の間隙を通過する気体を、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けることで、気体を複数のシート状物の端部に吹付けた場合に、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させることができる。その結果、複数のシート状物の間で複数のシート状物の表面等を均等に乾燥させることができる。ここで、上記のある角度(気体を複数のシート状物に吹付ける領域に与えられる長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ傾斜する角度)とは、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、二枚以上のシート状物の重なり合いをより少なくするには、好ましくは、0.7度以上であり、より好ましくは1.0度以上であり、後述する隣接するシート状物の頻繁な接触(ばたつき)を防止するには、好ましくは15度以下であり、より好ましくは10度以下である。特に好ましくは、例えば乾燥手段21のノズル22の傾斜角度のような、上記のある角度は、1度以上10度以下である。
一方、複数のシート状物の間隙を通過する気体を鉛直方向に複数のシート状物の端部に吹付けるか、又は上記のある角度が小さ過ぎる(おおむね0.7度未満である)場合には、隣接する二枚以上のシート状物の間隙のみを気体が通過し、これら隣接する二枚以上のシート状物の間隙における圧力のみが小さくなる。その結果、上記の隣接する二枚以上のシート状物が互いに重なり合う。そして、互いに重なり合った隣接するシート状物は、その周囲を気体が通過することにより、複数のシート状物が並置された方向に移動する。この場合には、互いに重なり合ったシート状物における隣接するシート状物が接触する面で乾燥が不十分となる。その結果、各々のシート状物の表面等を確実に均一に乾燥させることができず、複数のシート状物の表面等における乾燥に関してばらつきが生じる場合がある。
さらに、上記のある角度が大き過ぎる(おおむね15度を超える)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、それら二枚一組のシート状物の間隙における比較的上側又は下側の部分を気体が通過することになり、その間隙における上側又は下側の部分の圧力が減少する。その結果、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分が頻繁に接触し、シート状物の材料によっては、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分にキズが形成されてしまう場合がある。また、上記のある角度がさらに大きい(おおむね数十度以上である)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、複数のシート状物の間隙における上側及び下側部分を気体が通過しない場合もある。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物の上側及び下側部分付近の表面等における乾燥が不十分となる。すなわち、複数のシート状物の間隙を気体が均一に通過しないため、複数のシート状物の表面等を均一に乾燥させることが困難になる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法において、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。本発明によるシート状物の乾燥装置においては、乾燥手段は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び乾燥手段が移動する向きは、片方又は両方の向きのいずれでもよい。
複数のシート状物を直線状又は曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び乾燥手段が移動する向きは両方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置及び乾燥手段は、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する。例えば、図11に示すように、乾燥手段21(又はノズル22)の位置及び乾燥手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物11に吹付けられる位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って往復運動させる。
また、複数のシート状物を閉曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び乾燥手段が移動する向きは片方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動し、乾燥手段は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の外側又は内側で、複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動する。例えば、図12に示すように、乾燥手段21(又はノズル22)の位置及び乾燥手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物11に吹付けられる位置を、円形に配置された複数のシート状物11の配列に沿って一方向に移動させる。この場合、乾燥手段21は、上記の直線状のノズル22を有する乾燥手段21に加えて、例えば、図13に示すように、円柱面から空気が流出するノズル22’が設けられた円柱形状の乾燥手段21’を用いてもよい。すなわち、円柱形状の乾燥手段21’を、円形に配置された複数のシート状物11の内側に配置し、空気を円柱面に設けられたノズル22’から流出すると共に円柱形状の乾燥手段21’を回転させてもよい。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び乾燥手段が移動する速さは、大きいほど、シート状物に気体が吹付けられる時間が短くなるため、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減することができる。しかしながら、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び乾燥手段が移動する速さが大きすぎると、複数のシート状物の間隙に気体を十分に通過させることが困難になり、シート状物の表面等を均一に乾燥させることが困難になる。
例えば、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び乾燥手段が移動する速さは、好ましくは、20mm/分以上700mm/分以下である。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び乾燥手段が移動する速さが、20mm/分以上であるので、シート状物に気体が吹付けられる時間が、長過ぎることがなく、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を、抑制することができる。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び乾燥手段が移動する速さが、700mm/分以下であるので、複数のシート状物の間隙に気体を、十分に通過させることでき、シート状物の表面等を均一に乾燥させることができる。
このように、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は乾燥手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させることによって、互いに接触して並置された多数のシート状物に気体を吹付けることが可能となり、特に乾燥手段から気体が流出する範囲よりも広い範囲にわたって気体を吹付けることができる。その結果、互いに接触して並置された多数のシート状物を離間させると共に多数のシート状物の間隙に気体を通過させることができ、多数のシート状物の表面等を乾燥させることができる。また、小型の乾燥手段を用いればよいため、シート状物の乾燥装置に関する設備コストを低減することができる。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は乾燥手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる代わりに、本発明によるシート状物の乾燥方法及び乾燥装置において、互いに接触して並置された複数のシート状物の全てに気体を一度に吹付けて、複数のシート状物の全てを離間させると共に複数のシート状物の間における全ての間隙に気体を同時に通過させてもよい。このように、互いに接触して並置された複数のシート状物における全ての間隙に気体を同時に通過させることができるため、複数のシート状物における全ての表面等を一度に乾燥させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法において、複数のシート状物に気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体は、複数のシート状物の端部に吹付けられる。また、この角度は、シート状物を乾燥させる工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。本発明によるシート状物の乾燥装置においては、乾燥手段は、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、鉛直方向から、気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、ある角度だけ傾斜して、気体を複数のシート状物の端部に吹付ける。例えば、図14に示すように、乾燥手段21及び複数のシート状物11に乾燥手段21のノズル22から流出する空気を吹付ける位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って移動させ、空気を、鉛直方向から、乾燥手段21及び空気を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、角度φだけ傾斜させて、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
なお、複数のシート状物が互いに直線状又は曲線状に並置されており、複数のシート状物における気体を吹付ける位置及び乾燥手段が、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する場合には、往復運動の往路及び復路で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させればよい。すなわち、互いに直線状又は曲線状に接触して並置された複数のシート状物の両端で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させる。また、上記のある角度は、上述したように、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、二枚以上のシート状物の重なり合いをより少なくするには、好ましくは、0.7度以上であり、より好ましくは1.0度以上であり、後述する隣接するシート状物の頻繁な接触(ばたつき)を防止するには、好ましくは15度以下であり、より好ましくは10度以下である。
互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の間隔を広げる際に、シート状物と支持体との間に摩擦力が働く。このため、シート状物の下側部分の動きは、比較的小さい。一方、シート状物の上側部分は、摩擦力などの束縛力が働かないため、比較的自由に動くことができる。このため、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。よって、シート状物の上側部分には、シート状物の材料によっては、キズが形成される場合がある。
なお、支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)は、6μm以下であることが好ましい。ここで、支持体におけるシート状物と接触する面は、鏡面を含む。支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)が、6μm以下である場合には、シート状物とシート状物の支持体との間の摩擦力が、小さく、シート状物の上側部分のみならず、シート状物の下側部分の動きが、比較的自由になる。このとき、複数のシート状物の上側部分の間及び複数のシート状物の下側部分の間に、より均一に気体を通過させることができ、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減させ、シート状物に形成されるキズを低減することができる。
また、支持体におけるシート状物と接触する面の材料は、好ましくは、テフロン(登録商標)(ポリ(テトラフルオロエチレン))である。
ここで、上記のように、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、気体は、最初に、複数のシート状物の下側部分に吹付けられ、その後、複数のシート状物の上側部分に吹付けられる。最初に気体が複数のシート状物の下側部分に吹付けられることによって、複数のシート状物の下側部分における間隔をおおよそ均一にし、複数のシート状物を安定化させた後、複数のシート状物の上側部分に気体を吹付けることができる。これにより、シート状物の上側部分の動きを低減させ、シート状物の上側部分の隣接するシート状物との頻繁な接触(ばたつき)も低減させることができる。その結果、隣接するシート状物の頻繁な接触によるキズなどを低減することができる。逆に、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きへある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、複数のシート状物の上側部分に最初に気体が吹付けられ、複数のシート状物が安定化されないため、隣接するシート状物の上側部分の頻繁な接触を低減することができず、好ましくない。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置において、乾燥手段は、好ましくは、前記気体の流量を制御する手段を有する。これにより、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率を高めることができる。乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を制御する方法としては、乾燥手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくする又は小さくする方法、及び乾燥手段における気体が流出する面積を増加させる又は減少させる方法のいずれも適宜用いることができる。
ここで、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さが大きいと、複数のシート状物の表面等を乾燥させる速度を大きくすることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を乾燥させることに要する時間を短縮することができる。しかしながら、乾燥手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触も増加する場合がある。一方、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。このため、乾燥手段から流出する気体の速さを大きくせずに、乾燥手段における気体が流出する面積を調節することで、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を調節し、複数のシート状物の表面等を乾燥させることに要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することもできる。
本発明によるシート状物の乾燥方法及び乾燥装置において、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、好ましくは、15m/分以上35m/分以下である。上述したように、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、15m/分未満である場合には、複数のシート状物の表面等を乾燥させることに要する時間を短縮することが困難であることがある。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、35m/分を超える場合には、隣接するシート状物の頻繁な接触が、増加することがある。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法において、第一の時刻における気体の速さは、好ましくは、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きい。すなわち、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、先の第一の時刻で大きく、後の第二の時刻で小さい。複数のシート状物の表面等を乾燥させる工程は、通常、図15に示すように、乾燥の条件が一定であるとすると、比較的短い時間では、乾燥速度がおおむね一定である恒率乾燥で乾燥が進行し、時間が経過と共に乾燥速度が連続的に減少する減率乾燥で進行する。
よって、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、乾燥の工程が恒率乾燥で進行するような先の第一の時刻で大きくすることで、複数のシート状物の表面等を乾燥させるために要する時間を短縮することができる。なお、先の第一の時刻では、シート状物の表面等の乾燥があまり進行していないため、シート状物の質量が相対的に大きく、隣接するシート状物の頻繁な接触は、比較的起こりにくい。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、乾燥の工程が減率乾燥で進行するような後の第二の時刻で小さくすることによって、隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。すなわち、後の第二の時刻では、シート状物の表面等の乾燥が進行して、シート状物が軽量化されているため、隣接するシート状物の頻繁な接触が容易に起こり得るが、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を効果的に低減することができる。このように、第一の時刻における気体の速さを、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きくすることで、複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率を向上させることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を乾燥させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法において、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さい。すなわち、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくし、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくする。
例えば、複数のシート状物の間隙における上側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲)を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における下側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲を除く部分)を流れる気体の速さよりも、5m/分以上10m/分以下だけ小さい。
上述したように、互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。また、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを大きくすることで、複数のシート状物の表面等を乾燥させるために要する時間を短縮することができ、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
よって、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくすることで、比較的自由に動くことができるシート状物の上側部分の動きを低減し、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。また、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくすることで、支持体との摩擦力などによって比較的動きが束縛されており、隣接するシート状物と接触する頻度が比較的低いシート状物の下側部分の表面等における乾燥速度を向上させ、複数のシート状物の表面等を乾燥させるために要する時間を短縮することができる。このように、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さを、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さくすることで、複数のシート状物の表面等を乾燥させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置は、好ましくは、乾燥手段を含む断熱室をさらに有する。例えば、図16に示すように、乾燥装置は、乾燥手段21及び複数のシート状物11を含む断熱室31を有する。
このようにシート状物の乾燥装置が、乾燥手段を含む断熱室をさらに有するため、複数のシート状物及び乾燥手段の両方を断熱室内に入れることができる。ここで、断熱室は、所定の時間の間、乾燥手段から流出する気体の温度が冷却され、所定の温度よりも低い温度の気体が複数のシート状物の間隙を通過することを低減し、乾燥手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度(すなわち、複数のシート状物の周囲温度)をおおむね保持することを可能にする。これにより、おおむね一定の温度の気体を、複数のシート状物に吹付け、複数のシート状物の間隙に通過させることができる。なお、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が高いほど、複数のシート状物の表面等を乾燥させる時間を短縮することができ、複数のシート状物の表面等における乾燥の効率を高めることができる。ただし、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が高すぎる場合には、シート状物の劣化又は変質が生ずる場合もある。このように、シート状物の乾燥装置が、断熱室を有することで、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度の下降による複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率の低下を低減することができる。
断熱室は、好ましくは、50mmの厚さを備えたガラスウールの層及びそのガラスウールの層の表面を被覆するステンレススチールの層を含むカバーを含む。このようにして、断熱室の断熱性を向上させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥装置においては、断熱室は、好ましくは、断熱室の内部の温度を制御する手段を有する。断熱室の内部の温度を制御する手段は、ヒーターなどの加熱手段及び冷却手段の一方又は両方であり得る。
このように断熱室が、断熱室の内部の温度を制御する手段を有することで、断熱室の内部の温度を制御し、断熱室の内部に配置された乾燥手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、所望の値よりも上昇又は下降することを低減することができる。また、断熱室の内部の温度を制御し、断熱室の内部に配置された複数のシート状物の温度が、所定の温度よりも上昇又は下降することを低減することができる。なお、シート状物の温度が高すぎる場合には、シートの状物の材料によっては、シート状物が劣化又は変質する場合がある。そのため、複数のシート状物に吹付ける気体の温度における上昇及び複数のシート状物の温度における上昇を低減することで、シート状物の材料に依存するシート状物の劣化又は変質を低減することができる。また、複数のシート状物に吹付ける気体の温度における下降及び複数のシート状物の温度における下降を低減することで、複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率の低下を低減することができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法においては、複数のシート状物の周囲温度は、好ましくは、常温よりも高い。ここで、本明細書及び特許請求の範囲における常温とは、例えば室温のような本発明によるシート状物の乾燥方法を実施する環境によって決まる温度であり、おおむね5℃以上35℃以下の範囲にある温度である。また、本明細書及び特許請求の範囲における複数のシート状物の周囲温度とは、複数のシート状物の間隙に気体を通過させる際における複数のシート状物を取り巻く環境の温度である。本発明によるシート状物の乾燥装置においては、断熱室の内部における温度を常温より高くすればよい。
このように、複数のシート状物の周囲温度を常温よりも高くすることで、複数のシート状物の端部に吹付けられる気体の温度が常温より高い場合に、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、複数のシート状物の周囲温度によって下降することを低減することができる。これにより、複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率が低下することを低減することができる。
なお、好ましくは、乾燥手段から流出する気体の温度は、複数のシート状物の周囲温度よりも高い。乾燥手段から流出する気体の温度を、複数のシート状物の周囲温度よりも高くすることによって、複数のシート状物を、より早く乾燥させることができる。より好ましくは、乾燥手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の周囲温度の差は、10℃以内である。この場合には、乾燥手段から流出した気体が、複数のシート状物を通過する間に、顕著には加熱又は冷却されず、複数のシート状物の間に、ほぼ同様の温度の気体を通過させることができる。よって、複数のシート状物を、より均一に乾燥させることができる。
また、本発明によるシート状物の乾燥方法においては、第一の時刻における複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度は、好ましくは、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の温度よりも低い。すなわち、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度は、先の第一の時刻で低く、後の第二の時刻で高い。
シート状物の表面に溶液のような液体が塗布してあり、その液体に含有される溶質などの物質が、溶剤のような液体の媒質の存在下で高温にすると化学反応を起こして変化するような場合に、シート状物の表面等に残留する媒質が比較的多い初期の時間に、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度を低くすることで、シート状物の表面等に塗布された液体における化学反応を低減することができる。すなわち、シート状物の表面等に塗布された液体に含有される物質を化学変化させることなく、液体の媒質を蒸発させて、シートの表面等を乾燥させることができる。また、シート状物の表面等に残留する媒質が比較的少ない後の時間では、液体に含有される物質の化学反応が起こる確率は減少するため、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度を高くして、シート状物の表面等に残留する媒質の蒸発を促進させることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率を向上させることができる。このように、第一の時刻における複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度を、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の温度よりも低くすることで、シート状物の表面等に塗布された液体における化学反応を低減すると共に複数のシート状物の表面等を乾燥させる効率を向上させることができる。
次に、本発明によるシート状物の洗浄方法及びシート状物の洗浄装置について説明する。本発明によるシート状物の洗浄方法においても、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の表面等を洗浄する。例えば、図7に示すように、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の複数の間隙に、矢印に示すように気体を通過させて、複数のシート状物11の表面を洗浄する。また、本発明によるシート状物の洗浄装置においても、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて複数のシート状物の表面等を洗浄する洗浄手段を有する。例えば、図8に示すように、シート状物の洗浄装置は、少なくとも、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に気体を通過させることができる洗浄手段21を有する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物の表面等の洗浄とは、シート状物に付着した固体を除去することを意味する。シート状物に付着した個体の種類は、取り除くことが可能な固体であれば、特に限定されず、埃及び塵などの固体である。
また、本発明による洗浄方法及び洗浄装置が適用されるシート状物も、それらの間隙に、後述する実質的に所謂ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することができれば、その形状、大きさ、及び材質は特に限定されない。シート状物は、プラスチック及び紙など様々な材料で形成され、シート状物の例としては、例えば、銀塩のレントゲンフィルムのようなプラスチックフィルム、紙に感熱発色層を設けた感熱紙のような印刷用紙、液晶又はプラズマディスプレイ関連のシート部品などが挙げられる。ただし、複数のシート状物の形状は、実質的に同一の形状であることが好ましい。複数のシート状物の形状が実質的に同一であれば、それらのシート状物の間を通過する気体は、実質的に同一の流れを生じ、ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することが容易である。また、複数のシート状物の間隙に気体を通過させるために、シート状物は、実質的に平坦な形状(輪郭の形状は問わない)を有すること、特に枚葉のシート状物であることが好ましい。
これらの複数のシート状物もまた、互いに接触して並置される。ここで、本明細書及び特許請求の範囲における“互いに接触して並置された”とは、複数のシート状物の各々について、あるシート状物の少なくとも一方の面が、その面又はそれらの面側に隣接するシート状物の面の少なくとも一部分と接触し、且つ複数のシート状物が、並べて置かれていることを意味する。また、複数のシート状物の各々は、互いに接触して並置されていればよいが、好ましくは、複数のシート状物の各々が、それぞれ独立に鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するように、配置される。なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物が、鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するとは、鉛直方向から0度の角度で直立する又は鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜することを意味する。より詳しくは、鉛直方向から0度の角度で直立するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向に対して垂直であることを意味し、鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向と鉛直方向に対して垂直な方向との間にあることを意味する。このように、複数のシート状物に働く重力の作用によって複数のシート状物が互いに密着することを低減して、複数のシート状物の間隙に気体が容易に通過することができるように、複数のシート状物は、好ましくは、いずれも鉛直方向から90度の角度で傾斜しておらず、すなわち、水平に配置されず、直立又は傾斜して配置される。さらに、複数のシート状物の重量によって複数のシート状物が互いに密着することは好ましくないため、複数のシート状物は、好ましくは、おおよそ鉛直方向から0度の角度で、直立に並置される。また、互いに接触して並置された複数のシート状物を、直線状又は曲線状に配置してもよいし、円形のような閉曲線状に配置してもよい。ここで、互いに接触して並置された複数のシート状物は、直線状又は円形に配置することが好ましい。このように複数のシート状物を直線状又は円形に配置すると、複数のシート状物の端部に気体を吹付けることが容易である。また、複数のシート状物直線状又は曲線状に配置するために、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる保持体としての枠体を用いてもよい。枠体は、複数のシート状物の下側端部を支持する部分と、並置された複数のシート状物のうち最も端側のシート状物を支持する部分とを有してもよい。枠体のこれらの部分は、平板であっても、気体が通過することが可能な柵状の形状を有してもよい。
複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて保持する間隔、例えば、複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて並置させることができる枠体の長さは、好ましくは、(液体が付着してない単一のシート状物の厚さ+0.05mm以上0.40mm以下の値)×(液体が付着してないシート状物の数)+2mm以上10mm以下の値で表される長さである。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより、複数のシート状物を適度に離間させることができ、より安定して複数のシート状物の間に気体を通過させることができる。すなわち、より安定して複数のシート状物を洗浄することができる。
また、枠体は、複数のシート状物の間隙を通過する気体の方向に沿った、複数のシート状物の前後に、例えば、枠体における気体の入り口側及び出口側に、複数のシート状物の全て又は一部が枠体から脱落することを防止するための部材(例えば、複数のシート状物の脱落防止用の棒)を有していてもよい。
さらに、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる枠体は、本発明によるシート状物の洗浄装置の本体に対して引き出し式の枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の洗浄装置の本体へ容易に装着することができると共に、複数のシート状物を、シート状物の洗浄装置の本体から容易に取り出すことができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄装置の本体に対して着脱可能な枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の洗浄装置の本体に対して容易に着脱することができると共に、洗浄された複数のシート状物を、所望の場所へ容易に運搬することができる。
さらに、実質的に同一の形状を有する複数のシート状物は、互いに整列されることが好ましい。ただし、複数のシート状物の各々を特定の位置に位置決めする必要はない。複数のシート状物が整列されている場合には、複数のシート状物の間隙を気体が比較的均一に通過するため、それら複数にシート状物の間隔を比較的均一に広げる(離間させる)ことができる。その結果、複数のシート状物の表面等を比較的均一に洗浄することができる。
互いに接触して並置された複数のシート状物に吹付けて複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体の種類は、その気体が使用される温度で化学的及び物理的反応を起こさなければ特に限定されないが、通常は、容易に入手可能な(乾燥した)空気が使用される。
また、好ましくは、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を、循環させると共に再利用してもよい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を用いて、複数のシート状物を洗浄する。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の洗浄条件を、より容易に制御することができる。
本発明によるシート状物の洗浄方法においてもまた、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間に間隙を形成する(前記複数のシート状物を離間させる)ことができる。すなわち、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間隔は、吹付けられた気体の圧力により広げられ、それらの広げられた間隙を、吹付ける気体が通過することになる。ここで、気体が吹付けられた複数のシート状物の間隙には、シート状物の間隙を通過する気体の速さに応じて、理想的にはベルヌーイの定理により決定される圧力が生じる。つまり、通過する気体の速さが大きい間隙では、圧力が小さくなり、通過する気体の速さが小さい間隙では、圧力が相対的に大きくなる。その結果、複数のシート状物の間隙間における圧力差が無くなるまで、複数のシート状物は、移動する。そして、複数のシート状物の間隙を通過する気体の速さがほぼ均一になり、複数のシート状物の間隙における圧力も均一になると、複数のシート状物の間隔もほぼ均一となる。また、複数のシート状物は、気体が複数のシート状物の間隙を通過している間は、互いに密着しない。このようにして、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の間隙に気体を流し、複数のシート状物の表面等を洗浄することができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄装置における洗浄手段は、上記のように、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させることができるものであれば、特に限定されない。このような洗浄手段としては、例えば、図8に示すように、特定方向に気体としての空気を流出させることができる単一の流出口としてのノズル22を備えた洗浄手段21が挙げられる。図8に示す洗浄手段は、洗浄手段の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口から空気を吸引し、ノズル22から空気を流出させる。図8においては、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部に向かって、洗浄手段21のノズル22から流出する空気を吹付け、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に空気を通過させて、複数のシート状物11の表面を洗浄する。また、洗浄手段として、図18(a)〜(c)に示すような、気体としての空気を流出させることができる複数の流出口としてのノズルスリット502を有する洗浄手段21も挙げられる。図18に示す洗浄手段21は、洗浄手段21の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口501から空気を吸引し、洗浄手段21の前部に設けられた複数のノズルスリット502を介して空気を流出させる。これにより、単一の洗浄手段21から複数の空気の流れを複数のシート状物に同時に吹付けることができる。なお、図18に示す洗浄手段21の内部には、空気の入口から吸引された空気の流れを調整するために、パンチングメタル(孔開き鋼板)である整流板503を有することが好ましい。
さらに、本発明によるシート状物の洗浄装置における洗浄手段は、好ましくは、洗浄手段から流出される気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。すなわち、本発明によるシート状物の洗浄方法において、好ましくは、複数のシート状物に吹付ける気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。このようにして、複数のシート状物の洗浄条件を、所望の条件に、より容易に制御することができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄装置における洗浄手段は、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を循環させると共に、複数のシート状物を乾燥させるために再利用することができる手段を有することが好ましい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を複数のシート状物に吹付ける。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の洗浄条件を、より容易に制御することができる。
なお、複数のシート状物が並置された方向における、気体としての空気を流出させることができる単一又は複数の気体の流出口の間隔は、好ましくは、2mm以上15mm以下である。例えば、図8に示す洗浄手段21のノズル22、及び、複数のシート状物が並置された方向における、図18に示す洗浄手段21のノズルスリット502の間隔が、2mm以上15mm以下である。
また、図8に示す洗浄手段21のノズル22及び図18に示す洗浄手段21のノズルスリット502における気体の流出口から、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部までの距離は、好ましくは、2mm以上30mm以下である。
加えて、本発明によるシート状物の洗浄装置は、複数のシート状物に吹付ける気体に含まれる微粒子を除去するために、中性能微粒子除去フィルター、高性能微粒子除去(HEPA)フィルター、及び超高性能微粒子除去(ULPA)フィルターを有してもよい。複数のシート状物に吹付ける気体から微粒子を除去するためのこれらのフィルターを用いることによって、複数のシート状物を洗浄させる際に、複数のシート状物に吹付けられる気体に含まれる微粒子が、複数のシート状物に付着することを予防することができる。
上記の本発明によるシート状物の洗浄方法によれば、複数のシート状物の表面を容易に且つ効率良く洗浄することができる。すなわち、本発明によるシート状物の洗浄方法によれば、連続した長いシート状物ではなく、互いに接触して並置された複数のシート状物の表面等を洗浄するため、短時間で複数のシート状物の表面等を洗浄することができる。また、複数のシート状物の各々を所定の位置に位置決めする必要がないため、シート状物の表面等を洗浄するための作業工数を小さくすることができる。さらに、本発明によるシート状物の洗浄方法によれば、複数のシート状物を鉛直方向に積載することなく、互いに接触して並置させ、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の表面等を効率よく洗浄することができる。また、複数のシート状物を治具などで互いに固定する必要がなく、シート状物の面全体にわたって気体を通過させることができるため、シート状物の表面等を比較的均一に洗浄することができる。
加えて、本発明によるシート状物の洗浄装置を用いれば、互いに接触して並置された複数のシート状物の間隙に気体を通過させる際に、複数のシート状物の間隔を比較的小さくすることができるため、複数のシート状物を並置するスペースを小さくすることができる。また、本発明によるシート状物の洗浄装置においてもまた、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間隔をほぼ均一に維持するため、複数のシート状物の各々を配置するための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材などが不要である。このため、シート状物の洗浄装置の大きさを小さくし、シート状物の洗浄装置に関する設備コストを小さくすることができる。例えば、図8に示すような洗浄装置において、複数のシート状物11の間隙に空気を通過させると、複数のシート状物11の間隔は、0.1mm〜数mm程度になる。これらの値は、複数のシート状物の各々を置くための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材の間隔、10mm〜25mm程度よりもはるかに小さい。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法及び洗浄装置においてもまた、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する。言い換えれば、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、ある角度だけ傾斜した方向に、複数のシート状物の間隙を通過する。ここで、上記のある角度とは、シート状物の洗浄方法及び洗浄装置における様々な条件によって適宜定められる角度であり、0度を超えて180度未満の角度であり、その符号(鉛直方向からの傾斜の向き)は、正及び負のいずれであってもよい(いずれの向きであってもよい)。また、この角度は、シート状物を洗浄させる工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図9に示すように、洗浄手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、角度θだけ傾斜した方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体などのような洗浄装置の部材に阻害されることなく、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙に通過させることができる。例えば、洗浄装置が、複数のシート状物を支持する支持体を有する場合に、気体が、支持体に当たらないように、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることができる。その結果、シート状物の表面等をより効率よく洗浄することができる。
ここで、上記の複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略垂直とは、完全な垂直及び垂直とみなせる状態を含む。また、言い換えれば、上記の鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、傾斜する角度は、好ましくは、略直角である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略直角とは、完全な直角及び直角とみなせる角度を含む。例えば、図9に示すように、洗浄手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から略直角な方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向に、複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に設けられた場合に、気体を支持体に吹付けることなく通過させることができる。その結果、支持体が複数のシート状物の下側に設けられた場合に、シート状物の表面等をより効率よく洗浄することができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法及び洗浄装置においてもまた、複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けられる。また、この角度は、シート状物を洗浄させる工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図10に示すように、洗浄手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ、角度φだけ傾斜して、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
このように、複数のシート状物の間隙を通過する気体を、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けることで、気体を複数のシート状物の端部に吹付けた場合に、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させることができる。その結果、複数のシート状物の間で複数のシート状物の表面等を均等に洗浄することができる。ここで、上記のある角度(気体を複数のシート状物に吹付ける領域に与えられる長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ傾斜する角度)とは、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、二枚以上のシート状物の重なり合いをより少なくするには、好ましくは、0.7度以上であり、より好ましくは1.0度以上であり、後述する隣接するシート状物との頻繁な接触(ばたつき)を防止するには、好ましくは15度以下であり、より好ましくは10度以下である。特に好ましくは、例えば洗浄手段21のノズル22の傾斜角度のような、上記のある角度は、1度以上10度以下である。
一方、複数のシート状物の間隙を通過する気体を鉛直方向に複数のシート状物の端部に吹付けるか、又は上記のある角度が小さ過ぎる(おおむね0.7度未満である)場合には、隣接する二枚以上のシート状物の間隙のみを気体が通過し、これら隣接する二枚以上のシート状物の間隙における圧力のみが小さくなる。その結果、上記の隣接する二枚以上のシート状物が互いに重なり合う。そして、互いに重なり合った隣接するシート状物は、その周囲を気体が通過することにより、複数のシート状物が並置された方向に移動する。この場合には、互いに重なり合ったシート状物における隣接するシート状物が接触する面で洗浄が不十分となる。その結果、各々のシート状物の表面等を確実に均一に洗浄することができず、複数のシート状物の表面等における洗浄に関してばらつきが生じる場合がある。
さらに、上記のある角度が大き過ぎる(おおむね15度を超える)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、それら二枚一組のシート状物の間隙における比較的上側又は下側の部分を気体が通過することになり、その間隙における上側又は下側の部分の圧力が減少する。その結果、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分が頻繁に接触し、シート状物の材料によっては、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分にキズが形成されてしまう場合がある。また、上記のある角度がさらに大きい(おおむね数十度以上である)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、複数のシート状物の間隙における上側及び下側部分を気体が通過しない場合もある。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物の上側及び下側部分付近の表面における洗浄が不十分となる。すなわち、複数のシート状物の間隙を気体が均一に通過しないため、複数のシート状物の表面等を均一に洗浄することが困難になる。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法においてもまた、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。本発明によるシート状物の洗浄装置においてもまた、洗浄手段は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び洗浄手段が移動する向きは、片方又は両方の向きのいずれでもよい。
複数のシート状物を直線状又は曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び洗浄手段が移動する向きは両方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置及び洗浄手段は、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する。例えば、図11に示すように、洗浄手段21(又はノズル22)の位置及び洗浄手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物11に吹付けられる位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って往復運動させる。
また、複数のシート状物を閉曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び洗浄手段が移動する向きは片方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動し、洗浄手段は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の外側又は内側で、複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動する。例えば、図12に示すように、洗浄手段21(又はノズル22)の位置及び洗浄手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物に吹付けられる位置を、円形に配置された複数のシート状物11の配列に沿って一方向に移動させる。この場合、洗浄手段21は、上記の直線状のノズル22を有する洗浄手段21に加えて、例えば、図13に示すように、円柱面から空気が流出するノズル22’が設けられた円柱形状の洗浄手段21’を用いてもよい。すなわち、円柱形状の洗浄手段21’を、円形に配置された複数のシート状物11の内側に配置し、空気を円柱面に設けられたノズル22’から流出すると共に円柱形状の洗浄手段21’を回転させてもよい。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び洗浄手段が移動する速さは、大きいほど、シート状物に気体が吹付けられる時間が短くなるため、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減することができる。しかしながら、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び洗浄手段が移動する速さが大きすぎると、複数のシート状物の間隙に気体を十分に通過させることが困難になり、シート状物の表面等を均一に洗浄することが困難になる。
例えば、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び洗浄手段が移動する速さは、好ましくは、20mm/分以上700mm/分以下である。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び洗浄手段が移動する速さが、20mm/分以上であるので、シート状物に気体が吹付けられる時間が、長過ぎることがなく、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を、抑制することができる。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び洗浄手段が移動する速さが、700mm/分以下であるので、複数のシート状物の間隙に気体を、十分に通過させることができ、シート状物の表面等を均一に洗浄することができる。
このように、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は洗浄手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させることによって、互いに接触して並置された多数のシート状物に気体を吹付けることが可能となり、特に洗浄手段から気体が流出する範囲よりも広い範囲にわたって気体を吹付けることができる。その結果、互いに接触して並置された多数のシート状物を離間させると共に多数のシート状物の間隙に気体を通過させることができ、多数のシート状物の表面等を洗浄することができる。また、小型の洗浄手段を用いればよいため、シート状物の洗浄装置に関する設備コストを低減することができる。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は洗浄手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる代わりに、本発明によるシート状物の洗浄方法及び洗浄装置においてもまた、互いに接触して並置された複数のシート状物の全てに気体を一度に吹付けて、複数のシート状物の全てを離間させると共に複数のシート状物の間における全ての間隙に気体を同時に通過させてもよい。このように、互いに接触して並置された複数のシート状物における全ての間隙に気体を同時に通過させることができるため、複数のシート状物における全ての表面等を一度に洗浄することができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法においてもまた、複数のシート状物に気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体は、複数のシート状物の端部に吹付けられる。本発明によるシート状物の洗浄装置においてもまた、洗浄手段は、複数のシート状物が接触して並置された方向に沿って移動すると共に、鉛直方向から、気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、所定の角度だけ傾いた方向に沿って、気体を複数のシート状物の端部に吹付ける。例えば、図14に示すように、洗浄手段21及び複数のシート状物11に洗浄手段21のノズル22から流出する空気を吹付ける位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って移動させ、空気を、鉛直方向から、洗浄手段21及び空気を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、角度φだけ傾斜させて、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
なお、複数のシート状物が互いに直線状又は曲線状に並置されており、複数のシート状物における気体を吹付ける位置及び洗浄手段が、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する場合には、往復運動の往路及び復路で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させればよい。すなわち、互いに直線状又は曲線状に接触して並置された複数のシート状物の両端で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させる。また、上記のある角度は、上述したように、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、おおむね1.0度以上2.0度以下であることが好ましい。
互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の間隔を広げる際に、シート状物と支持体との間に摩擦力が働く。このため、シート状物の下側部分の動きは、比較的小さい。一方、シート状物の上側部分は、摩擦力などの束縛力が働かないため、比較的自由に動くことができる。このため、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。よって、シート状物の上側部分には、シート状物の材料によっては、キズが形成される場合がある。
なお、支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)は、6μm以下であることが好ましい。ここで、支持体におけるシート状物と接触する面は、鏡面を含む。支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)が、6μm以下である場合には、シート状物とシート状物の支持体との間の摩擦力が、小さく、シート状物の上側部分のみならず、シート状物の下側部分の動きが、比較的自由になる。このとき、複数のシート状物の上側部分の間及び複数のシート状物の下側部分の間に、より均一に気体を通過させることができ、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減させ、シート状物に形成されるキズを低減することができる。
また、支持体におけるシート状物と接触する面の材料は、好ましくは、テフロン(登録商標)(ポリ(テトラフルオロエチレン))である。
ここで、上記のように、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、気体は、最初に、複数のシート状物の下側部分に吹付けられ、その後、複数のシート状物の上側部分に吹付けられる。最初に気体が複数のシート状物の下側部分に吹付けられることによって、複数のシート状物の下側部分における間隔をおおよそ均一にし、複数のシート状物を安定化させた後、複数のシート状物の上側部分に気体を吹付けることができる。これにより、シート状物の上側部分の動きを低減させ、シート状物の上側部分の隣接するシート状物との頻繁な接触(ばたつき)も低減させることができる。その結果、隣接するシート状物の頻繁な接触によるキズなどを低減することができる。逆に、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きへある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、複数のシート状物の上側部分に最初に気体が吹付けられ、複数のシート状物が安定化されないため、隣接するシート状物の上側部分の頻繁な接触を低減することができず、好ましくない。
また、本発明によるシート状物の洗浄装置においてもまた、洗浄手段は、好ましくは、前記気体の流量を制御する手段を有する。これにより、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物の表面等を洗浄する効率を高めることができる。洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を制御する方法としては、洗浄手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくする又は小さくする方法、及び洗浄手段における気体が流出する面積を増加させる又は減少させる方法のいずれも適宜用いることができる。
ここで、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さが大きいと、複数のシート状物の表面等を洗浄する速度を大きくすることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を洗浄することに要する時間を短縮することができる。しかしながら、洗浄手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触も増加する場合がある。一方、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。このため、洗浄手段から流出する気体の速さを大きくせずに、洗浄手段における気体が流出する面積を調節することで、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を調節し、複数のシート状物の表面等を洗浄することに要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することもできる。
本発明によるシート状物の洗浄方法及び洗浄装置において、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、好ましくは、15m/分以上35m/分以下である。上述したように、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、15m/分未満である場合には、複数のシート状物の表面等を洗浄することに要する時間を短縮することが困難であることがある。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、35m/分を超える場合には、隣接するシート状物の頻繁な接触が、増加することがある。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法においてもまた、第一の時刻における気体の速さは、好ましくは、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きい。すなわち、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、先の第一の時刻で大きく、後の第二の時刻で小さい。複数のシート状物の表面等を洗浄する工程は、通常、洗浄の条件が一定であるとすると、比較的短い時間では、洗浄速度がおおむね一定である工程で進行し、時間が経過と共に洗浄速度が連続的に減少する工程で進行する。
よって、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、洗浄の工程がおおむね一定の洗浄速度で進行するような先の第一の時刻で大きくすることで、複数のシート状物の表面等を洗浄するために要する時間を短縮することができる。なお、先の第一の時刻では、シート状物の表面等の洗浄があまり進行していないため、シート状物の質量が相対的に大きく、隣接するシート状物の頻繁な接触は、比較的起こりにくい。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、洗浄の工程が連続的に減少する洗浄速度で進行するような後の第二の時刻で小さくすることによって、隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。すなわち、後の第二の時刻では、シート状物の表面等の洗浄が進行して、シート状物が軽量化されているため、隣接するシート状物の頻繁な接触が容易に起こり得るが、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を効果的に低減することができる。このように、第一の時刻における気体の速さを、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きくすることで、複数のシート状物の表面等を洗浄する効率を向上させることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を洗浄するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
また、本発明によるシート状物の洗浄方法においてもまた、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さい。すなわち、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくし、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくする。
例えば、複数のシート状物の間隙における上側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲)を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における下側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲を除く部分)を流れる気体の速さよりも、5m/分以上10m/分以下だけ小さい。
上述したように、互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。また、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを大きくすることで、複数のシート状物の表面を洗浄するために要する時間を短縮することができ、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
よって、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくすることで、比較的自由に動くことができるシート状物の上側部分の動きを低減し、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。また、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくすることで、支持体との摩擦力などによって比較的動きが束縛されており、隣接するシート状物と接触する頻度が比較的低いシート状物の下側部分の表面等における洗浄速度を向上させ、複数のシート状物の表面等を洗浄するために要する時間を短縮することができる。このように、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さを、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さくすることで、複数のシート状物の表面等を洗浄するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
さらに、本発明によれば、複数のシート状物を容易に且つ効率良く冷却することが可能な複数のシート状物の冷却方法、並びに設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物を冷却するための複数のシート状物の冷却装置を提供することができる。
具体的には、本発明による複数のシート状物の冷却方法は、鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を冷却することを特徴とする。本発明による複数のシート状物の冷却方法によれば、複数のシート状物を容易に且つ効率良く冷却することが可能な複数のシート状物の冷却方法を提供することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記気体は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙を通過する。この場合には、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向である。この場合には、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記気体は、前記複数のシート状物の端部に吹付けられ、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜している。この場合には、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。この場合には、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜している。この場合には、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、第一の時刻における前記気体の速さは、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の速さよりも大きい。この場合には、複数のシート状物を冷却するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる前記気体の速さは、前記間隙における前記第一の部分より下側の第二の部分を流れる前記気体の速さよりも小さい。この場合には、複数のシート状物を冷却するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却方法において、前記複数のシート状物の周囲温度は、常温よりも低い。この場合には、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、上昇することを低減して、複数のシート状物を冷却する効率が低下することを低減することができる。
本発明による複数のシート状物の冷却装置は、鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を冷却する冷却手段を有することを特徴とする。本発明による複数のシート状物の冷却装置によれば、設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物を冷却するための複数のシート状物の冷却装置を提供することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙に前記気体を通過させる。この場合には、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向である。この場合には、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段は、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付ける。この場合には、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。この場合には、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を冷却することができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付ける。この場合には、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段は、前記気体の流量を制御する手段を有する。この場合には、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物を冷却する効率を高めることができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記冷却手段を含む断熱室をさらに有する。この場合には、複数のシート状物の周囲温度をおおむね保持し、おおむね一定の温度の気体を、複数のシート状物に吹付け、複数のシート状物の間隙に通過させることができる。
好ましくは、本発明による複数のシート状物の冷却装置において、前記断熱室は、該断熱室の内部の温度を制御する手段を有する。この場合には、断熱室の内部の温度を制御して、シート状物の材料に依存するシート状物の劣化又は変質を低減すると共に複数のシート状物を冷却する効率の低下を低減することができる。
本発明による複数のシート状物の冷却方法及び冷却装置を、上述した本発明による複数のシート状物の洗浄方法及び洗浄装置と組み合わせることもできる。すなわち、複数のシート状物を冷却且つ洗浄することができる。なお、本発明による複数のシート状物の冷却方法及び冷却装置を、本発明による複数のシート状物の洗浄方法及び洗浄装置と組み合わせる場合には、本発明による複数のシート状物の冷却装置及び本発明による複数のシート状物の洗浄装置には、共通の装置を用いることができる。
次に、本発明によるシート状物の冷却方法及びシート状物の冷却装置について説明する。本発明によるシート状物の冷却方法においては、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の表面等を冷却する。例えば、図7に示すように、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の複数の間隙に、矢印に示すように気体を通過させて、複数のシート状物11の表面を冷却する。また、本発明によるシート状物の冷却装置においては、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて複数のシート状物の表面等を冷却する冷却手段を有する。例えば、図8に示すように、シート状物の冷却装置は、少なくとも、互いに接触して並置された複数のシート状物11に矢印で示すように気体を吹付けることにより、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に気体を通過させることができる冷却手段21を有する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物の表面等の冷却とは、シート状物の温度を低下させることを意味する。
また、本発明による冷却方法及び冷却装置が適用されるシート状物は、それらの間隙に、後述する実質的に所謂ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することができれば、その形状、大きさ、及び材質は特に限定されない。シート状物は、プラスチック及び紙など様々な材料で形成され、シート状物の例としては、例えば、銀塩のレントゲンフィルムのようなプラスチックフィルム、紙に感熱発色層を設けた感熱紙のような印刷用紙、液晶又はプラズマディスプレイ関連のシート部品などが挙げられる。ただし、複数のシート状物の形状は、実質的に同一の形状であることが好ましい。複数のシート状物の形状が実質的に同一であれば、それらのシート状物の間を通過する気体は、実質的に同一の流れを生じ、ベルヌーイの定理に従った気体の通過を実現することが容易である。また、複数のシート状物の間隙に気体を通過させるために、シート状物は、実質的に平坦な形状(輪郭の形状は問わない)を有すること、特に枚葉のシート状物であることが好ましい。
これらの複数のシート状物は、互いに接触して並置される。ここで、本明細書及び特許請求の範囲における“互いに接触して並置された”とは、複数のシート状物の各々について、あるシート状物の少なくとも一方の面が、その面又はそれらの面側に隣接するシート状物の面の少なくとも一部分と接触し、且つ複数のシート状物が、並べて置かれていることを意味する。また、複数のシート状物の各々は、互いに接触して並置されていればよいが、好ましくは、複数のシート状物の各々が、それぞれ独立に鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するように、配置される。なお、本明細書及び特許請求の範囲におけるシート状物が、鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜するとは、鉛直方向から0度の角度で直立する又は鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜することを意味する。より詳しくは、鉛直方向から0度の角度で直立するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向に対して垂直であることを意味し、鉛直方向から0度を超えて90度未満の角度で傾斜するとは、シート状物の表面の法線方向が鉛直方向と鉛直方向に対して垂直な方向との間にあることを意味する。このように、複数のシート状物に働く重力の作用によって複数のシート状物が互いに密着することを低減して、複数のシート状物の間隙に気体が容易に通過することができるように、複数のシート状物は、好ましくは、いずれも鉛直方向から90度の角度で傾斜しておらず、すなわち、水平に配置されず、直立又は傾斜して配置される。さらに、複数のシート状物の重量によって複数のシート状物が互いに密着することは好ましくないため、複数のシート状物は、好ましくは、おおよそ鉛直方向から0度の角度で、直立に並置される。また、互いに接触して並置された複数のシート状物を、直線状又は曲線状に配置してもよいし、円形のような閉曲線状に配置してもよい。ここで、互いに接触して並置された複数のシート状物は、直線状又は円形に配置することが好ましい。このように複数のシート状物を直線状又は円形に配置すると、複数のシート状物の端部に気体を吹付けることが容易である。また、複数のシート状物直線状又は曲線状に配置するために、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる保持体としての枠体を用いてもよい。枠体は、複数のシート状物の下側端部を支持する部分と、並置された複数のシート状物のうち最も端側のシート状物を支持する部分とを有してもよい。枠体のこれらの部分は、平板であっても、気体が通過することが可能な柵状の形状を有してもよい。
複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて保持する間隔、例えば、複数のシート状物が並置された方向における複数のシート状物をまとめて並置させることができる枠体の長さは、好ましくは、(液体が付着してない単一のシート状物の厚さ+0.05mm以上0.40mm以下の値)×(液体が付着してないシート状物の数)+2mm以上10mm以下の値で表される長さである。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより、複数のシート状物を適度に離間させることができ、より安定して複数のシート状物の間に気体を通過させることができる。すなわち、より安定して複数のシート状物を冷却することができる。
また、枠体は、複数のシート状物の間隙を通過する気体の方向に沿った、複数のシート状物の前後に、例えば、枠体における気体の入り口側及び出口側に、複数のシート状物の全て又は一部が枠体から脱落することを防止するための部材(例えば、複数のシート状物の脱落防止用の棒)を有していてもよい。
さらに、複数のシート状物の全て又は一部をまとめて並置させることができる枠体は、本発明によるシート状物の冷却装置の本体に対して引き出し式の枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の冷却装置の本体へ容易に装着することができると共に、複数のシート状物を、シート状物の冷却装置の本体から容易に取り出すことができる。
また、本発明によるシート状物の冷却装置の本体に対して着脱可能な枠体であってもよい。この場合には、複数のシート状物を、シート状物の冷却装置の本体に対して容易に着脱することができると共に、冷却させた複数のシート状物を、所望の場所へ容易に運搬することができる。
さらに、実質的に同一の形状を有する複数のシート状物は、互いに整列されることが好ましい。ただし、複数のシート状物の各々を特定の位置に位置決めする必要はない。複数のシート状物が整列されている場合には、複数のシート状物の間隙を気体が比較的均一に通過するため、それら複数にシート状物の間隔を比較的均一に広げる(離間させる)ことができる。その結果、複数のシート状物の表面等を比較的均一に冷却することができる。
互いに接触して並置された複数のシート状物に吹付けて複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体の種類は、その気体が使用される温度で化学的及び物理的反応を起こさなければ特に限定されないが、通常は、容易に入手可能な(冷却した)空気が使用される。
また、好ましくは、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を、循環させると共に再利用してもよい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を用いて、複数のシート状物を冷却する。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の冷却条件を、より容易に制御することができる。
本発明によるシート状物の冷却方法においては、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間に間隙を形成する(前記複数のシート状物を離間させる)ことができる。すなわち、互いに接触して並置された複数のシート状物の端部に気体を吹付けることで、複数のシート状物の間隔は、吹付けられた気体の圧力により広げられ、それらの広げられた間隙を、吹付ける気体が通過することになる。ここで、気体が吹付けられた複数のシート状物の間隙には、シート状物の間隙を通過する気体の速さに応じて、理想的にはベルヌーイの定理により決定される圧力が生じる。つまり、通過する気体の速さが大きい間隙では、圧力が小さくなり、通過する気体の速さが小さい間隙では、圧力が相対的に大きくなる。その結果、複数のシート状物の間隙間における圧力差が無くなるまで、複数のシート状物は、移動する。そして、複数のシート状物の間隙を通過する気体の速さがほぼ均一になり、複数のシート状物の間隙における圧力も均一になると、複数のシート状物の間隔もほぼ均一となる。また、複数のシート状物は、気体が複数のシート状物の間隙を通過している間は、互いに密着しない。このようにして、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の間隙に存在する気体を強制的に換気し、複数のシート状物の表面等を冷却することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却装置における冷却手段は、上記のように、互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させることができるものであれば、特に限定されない。このような冷却手段としては、例えば、図8に示すように、特定方向に気体としての空気を流出させることができる単一の流出口としてのノズル22を備えた冷却手段21が挙げられる。図8に示す冷却手段は、冷却手段の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口から空気を吸引し、ノズル22から空気を流出させる。図8においては、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部に向かって、冷却手段21のノズル22から流出する空気を吹付け、複数のシート状物11を離間させると共に複数のシート状物11の間隙に空気を通過させて、複数のシート状物11の表面を冷却する。また、冷却手段として、図18(a)〜(c)に示すような、気体としての空気を流出させることができる複数の流出口としてのノズルスリット502を有する冷却手段21も挙げられる。図18に示す冷却手段21は、冷却手段21の背後に設けられた(単数又は複数の)空気の入口501から空気を吸引し、冷却手段21の前部に設けられた複数のノズルスリット502を介して空気を流出させる。これにより、単一の冷却手段21から複数の空気の流れを複数のシート状物に同時に吹付けることができる。なお、図18に示す冷却手段21の内部には、空気の入口から吸引された空気の流れを調整するために、パンチングメタル(孔開き鋼板)である整流板503を有することが好ましい。
さらに、本発明によるシート状物の冷却装置における冷却手段は、好ましくは、冷却手段から流出される気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。すなわち、本発明によるシート状物の冷却方法において、好ましくは、複数のシート状物に吹付ける気体の温度、速度、及び流出時間を制御することができる。このようにして、複数のシート状物の冷却条件を、所望の条件に、より容易に制御することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却装置における冷却手段は、複数のシート状物の間隙を通過した気体の全部又は一部を循環させると共に、複数のシート状物を冷却するために再利用することができる手段を有することが好ましい。複数のシート状物の間隙を通過した気体の一部を再利用する場合には、新鮮な気体と再利用される気体を混合し、再利用される気体及び新鮮な気体を混合して得られる気体を複数のシート状物に吹付ける。このようにして、複数のシート状物の間隙を通過した気体の条件を基準として、複数のシート状物の間隙を通過する気体の条件を、すなわち複数のシート状物の冷却条件を、より容易に制御することができる。
なお、複数のシート状物が並置された方向における、気体としての空気を流出させることができる単一又は複数の気体の流出口の間隔は、好ましくは、2mm以上15mm以下である。例えば、図8に示す冷却手段21のノズル22、及び、複数のシート状物が並置された方向における、図18に示す冷却手段21のノズルスリット502の間隔が、2mm以上15mm以下である。
また、図8に示す冷却手段21のノズル22及び図18に示す冷却手段21のノズルスリット502における気体の流出口から、互いに接触して並置された複数のシート状物11の端部までの距離は、好ましくは、2mm以上30mm以下である。
加えて、本発明によるシート状物の冷却装置は、複数のシート状物に吹付ける気体に含まれる微粒子を除去するために、中性能微粒子除去フィルター、高性能微粒子除去(HEPA)フィルター、及び超高性能微粒子除去(ULPA)フィルターを有してもよい。複数のシート状物に吹付ける気体から微粒子を除去するためのこれらのフィルターを用いることによって、複数のシート状物を冷却する際に、複数のシート状物に吹付けられる気体に含まれる微粒子が、複数のシート状物に付着することを予防することができる。
上記の本発明によるシート状物の冷却方法によれば、複数のシート状物の表面を容易に且つ効率良く冷却することができる。すなわち、本発明によるシート状物の冷却方法によれば、連続した長いシート状物ではなく、互いに接触して並置された複数のシート状物の表面等を冷却するため、短時間で複数のシート状物の表面等を冷却することができる。また、複数のシート状物の各々を所定の位置に位置決めする必要がないため、シート状物の表面等を冷却するための作業工数を小さくすることができる。さらに、本発明によるシート状物の冷却方法によれば、複数のシート状物を鉛直方向に積載することなく、互いに接触して並置させ、複数のシート状物の間隙に気体を通過させることで、複数のシート状物の表面等を効率よく冷却することができる。また、複数のシート状物を治具などで互いに固定する必要がなく、シート状物の面全体にわたって気体を通過させることができるため、シート状物の表面等を比較的均一に冷却することができる。
加えて、本発明によるシート状物の冷却装置を用いれば、互いに接触して並置された複数のシート状物の間隙に気体を通過させる際に、複数のシート状物の間隔を比較的小さくすることができるため、複数のシート状物を並置するスペースを小さくすることができる。また、本発明によるシート状物の冷却装置においては、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間隔をほぼ均一に維持するため、複数のシート状物の各々を配置するための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材などが不要である。このため、シート状物の冷却装置の大きさを小さくし、シート状物の冷却装置に関する設備コストを小さくすることができる。例えば、図8に示すような冷却装置において、複数のシート状物11の間隙に空気を通過させると、複数のシート状物11の間隔は、0.1mm〜数mm程度になる。これらの値は、複数のシート状物の各々を置くための棚及び複数のシート状物の各々を分離するための部材の間隔、10mm〜25mm程度よりもはるかに小さい。
また、本発明によるシート状物の冷却方法及び冷却装置において、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する。言い換えれば、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、ある角度だけ傾斜した方向に、複数のシート状物の間隙を通過する。ここで、上記のある角度とは、シート状物の冷却方法及び冷却装置における様々な条件によって適宜定められる角度であり、0度を超えて180度未満の角度であり、その符号(鉛直方向からの傾斜の向き)は、正及び負のいずれであってもよい(いずれの向きであってもよい)。また、この角度は、シート状物を冷却する工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図9に示すように、冷却手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、角度θだけ傾斜した方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体などのような冷却装置の部材に阻害されることなく、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙に通過させることができる。例えば、冷却装置が、複数のシート状物を支持する支持体を有する場合に、気体が、支持体に当たらないように、気体を複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることができる。その結果、シート状物の表面等をより効率よく冷却することができる。
ここで、上記の複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略垂直とは、完全な垂直及び垂直とみなせる状態を含む。また、言い換えれば、上記の鉛直方向から、鉛直方向及び複数のシート状物が並置された方向と垂直な方向へ、傾斜する角度は、好ましくは、略直角である。なお、本明細書及び特許請求の範囲における略直角とは、完全な直角及び直角とみなせる角度を含む。例えば、図9に示すように、冷却手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から略直角な方向に、複数のシート状物11に吹付けると共に複数のシート状物11の間隙を通過させる。
このように、複数のシート状物に吹付けられると共に複数のシート状物の間隙を通過する気体を、複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向に、複数のシート状物に吹付けると共に複数のシート状物の間隙を通過させることで、複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に設けられた場合に、気体を支持体に吹付けることなく通過させることができる。その結果、支持体が複数のシート状物の下側に設けられた場合に、シート状物の表面等をより効率よく冷却することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却方法及び冷却装置において、複数のシート状物の間隙を通過する気体は、好ましくは、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けられる。また、この角度は、シート状物を冷却する工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。例えば、図10に示すように、冷却手段21のノズル22から流出する空気を、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ、角度φだけ傾斜して、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
このように、複数のシート状物の間隙を通過する気体を、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へある角度だけ傾斜しているように、複数のシート状物の端部に吹付けることで、気体を複数のシート状物の端部に吹付けた場合に、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させることができる。その結果、複数のシート状物の間で複数のシート状物の表面等を均等に冷却することができる。ここで、上記のある角度(気体を複数のシート状物に吹付ける領域に与えられる長手方向の軸が、鉛直方向から複数のシート状物が並置された方向へ傾斜する角度)とは、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、二枚以上のシート状物の重なり合いをより少なくするには、好ましくは、0.7度以上であり、より好ましくは1.0度以上であり、後述する隣接するシート状物の頻繁な接触(ばたつき)を防止するには、好ましくは15度以下であり、より好ましくは10度以下である。特に好ましくは、例えば冷却手段21のノズル22の傾斜角度のような、上記のある角度は、1度以上10度以下である。
一方、複数のシート状物の間隙を通過する気体を鉛直方向に複数のシート状物の端部に吹付けるか、又は上記のある角度が小さ過ぎる(おおむね0.7度未満である)場合には、隣接する二枚以上のシート状物の間隙のみを気体が通過し、これら隣接する二枚以上のシート状物の間隙における圧力のみが小さくなる。その結果、上記の隣接する二枚以上のシート状物が互いに重なり合う。そして、互いに重なり合った隣接するシート状物は、その周囲を気体が通過することにより、複数のシート状物が並置された方向に移動する。この場合には、互いに重なり合ったシート状物における隣接するシート状物が接触する面で冷却が不十分となる。その結果、各々のシート状物の表面等を確実に均一に冷却することができず、複数のシート状物の表面等における冷却に関してばらつきが生じる場合がある。
さらに、上記のある角度が大き過ぎる(おおむね15度を超える)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、それら二枚一組のシート状物の間隙における比較的上側又は下側の部分を気体が通過することになり、その間隙における上側又は下側の部分の圧力が減少する。その結果、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分が頻繁に接触し、シート状物の材料によっては、周辺の二枚一組のシート状物の上側又は下側部分にキズが形成されてしまう場合がある。また、上記のある角度がさらに大きい(おおむね数十度以上である)場合には、複数のシート状物が並置された方向における周辺の二枚一組のシート状物の間隙においては、複数のシート状物の間隙における上側及び下側部分を気体が通過しない場合もある。この場合には、互いに接触して並置された複数のシート状物の上側及び下側部分付近の表面等における冷却が不十分となる。すなわち、複数のシート状物の間隙を気体が均一に通過しないため、複数のシート状物の表面等を均一に冷却することが困難になる。
また、本発明によるシート状物の冷却方法において、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。本発明によるシート状物の冷却装置においては、冷却手段は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動する。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び冷却手段が移動する向きは、片方又は両方の向きのいずれでもよい。
複数のシート状物を直線状又は曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び冷却手段が移動する向きは両方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置及び冷却手段は、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する。例えば、図11に示すように、冷却手段21(又はノズル22)の位置及び冷却手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物11に吹付けられる位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って往復運動させる。
また、複数のシート状物を閉曲線状に配置した場合には、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する向き及び冷却手段が移動する向きは片方、すなわち、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動し、冷却手段は、閉曲線状に配置された複数のシート状物の外側又は内側で、複数のシート状物の配列に沿って一方向に移動する。例えば、図12に示すように、冷却手段21(又はノズル22)の位置及び冷却手段21のノズル22から流出する空気が複数のシート状物11に吹付けられる位置を、円形に配置された複数のシート状物11の配列に沿って一方向に移動させる。この場合、冷却手段21は、上記の直線状のノズル22を有する冷却手段21に加えて、例えば、図13に示すように、円柱面から空気が流出するノズル22’が設けられた円柱形状の冷却手段21’を用いてもよい。すなわち、円柱形状の冷却手段21’を、円形に配置された複数のシート状物11の内側に配置し、空気を円柱面に設けられたノズル22’から流出すると共に円柱形状の冷却手段21’を回転させてもよい。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び冷却手段が移動する速さは、大きいほど、シート状物に気体が吹付けられる時間が短くなるため、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減することができる。しかしながら、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び冷却手段が移動する速さが大きすぎると、複数のシート状物の間隙に気体を十分に通過させることが困難になり、シート状物の表面等を均一に冷却することが困難になる。
例えば、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び冷却手段が移動する速さは、好ましくは、20mm/分以上700mm/分以下である。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び冷却手段が移動する速さが、20mm/分以上であるので、シート状物に気体が吹付けられる時間が、長過ぎることがなく、気体が吹付けられた隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を、抑制することができる。複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置が移動する速さ及び冷却手段が移動する速さが、700mm/分以下であるので、複数のシート状物の間隙に気体を、十分に通過させることでき、シート状物の表面等を均一に冷却することができる。
このように、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は冷却手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させることによって、互いに接触して並置された多数のシート状物に気体を吹付けることが可能となり、特に冷却手段から気体が流出する範囲よりも広い範囲にわたって気体を吹付けることができる。その結果、互いに接触して並置された多数のシート状物を離間させると共に多数のシート状物の間隙に気体を通過させることができ、多数のシート状物の表面等を冷却することができる。また、小型の冷却手段を用いればよいため、シート状物の冷却装置に関する設備コストを低減することができる。
なお、複数のシート状物の端部における気体を吹付ける位置を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる、又は冷却手段を、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動させる代わりに、本発明によるシート状物の冷却方法及び冷却装置において、互いに接触して並置された複数のシート状物の全てに気体を一度に吹付けて、複数のシート状物の全てを離間させると共に複数のシート状物の間における全ての間隙に気体を同時に通過させてもよい。このように、互いに接触して並置された複数のシート状物における全ての間隙に気体を同時に通過させることができるため、複数のシート状物における全ての表面等を一度に冷却することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却方法において、複数のシート状物に気体を吹付ける位置は、好ましくは、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体は、複数のシート状物の端部に吹付けられる。また、この角度は、シート状物を冷却する工程において、一定であってもよく、変動させてもよい。本発明によるシート状物の冷却装置においては、冷却手段は、複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、鉛直方向から、気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、ある角度だけ傾斜して、気体を複数のシート状物の端部に吹付ける。例えば、図14に示すように、冷却手段21及び複数のシート状物11に冷却手段21のノズル22から流出する空気を吹付ける位置を、複数のシート状物11が並置された方向に沿って移動させ、空気を、鉛直方向から、冷却手段21及び空気を吹付ける位置が移動する向きと反対側へ、角度φだけ傾斜させて、複数のシート状物11の端部に吹付ける。
なお、複数のシート状物が互いに直線状又は曲線状に並置されており、複数のシート状物における気体を吹付ける位置及び冷却手段が、複数のシート状物が並置された方向に沿って往復運動する場合には、往復運動の往路及び復路で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させればよい。すなわち、互いに直線状又は曲線状に接触して並置された複数のシート状物の両端で、鉛直方向からの上記のある角度の向きを反転させる。また、上記のある角度は、上述したように、シート状物の材料及び形状などの様々な因子に依存するが、二枚以上のシート状物の重なり合いをより少なくするには、好ましくは、0.7度以上であり、より好ましくは1.0度以上であり、後述する隣接するシート状物の頻繁な接触(ばたつき)を防止するには、好ましくは15度以下であり、より好ましくは10度以下である。
互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、複数のシート状物を離間させると共に複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、複数のシート状物の間隔を広げる際に、シート状物と支持体との間に摩擦力が働く。このため、シート状物の下側部分の動きは、比較的小さい。一方、シート状物の上側部分は、摩擦力などの束縛力が働かないため、比較的自由に動くことができる。このため、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。よって、シート状物の上側部分には、シート状物の材料によっては、キズが形成される場合がある。
なお、支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)は、6μm以下であることが好ましい。ここで、支持体におけるシート状物と接触する面は、鏡面を含む。支持体におけるシート状物と接触する面の粗さ(十点平均粗さ)が、6μm以下である場合には、シート状物とシート状物の支持体との間の摩擦力が、小さく、シート状物の上側部分のみならず、シート状物の下側部分の動きが、比較的自由になる。このとき、複数のシート状物の上側部分の間及び複数のシート状物の下側部分の間に、より均一に気体を通過させることができ、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減させ、シート状物に形成されるキズを低減することができる。
また、支持体におけるシート状物と接触する面の材料は、好ましくは、テフロン(登録商標)(ポリ(テトラフルオロエチレン))である。
ここで、上記のように、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きと反対側へある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、気体は、最初に、複数のシート状物の下側部分に吹付けられ、その後、複数のシート状物の上側部分に吹付けられる。最初に気体が複数のシート状物の下側部分に吹付けられることによって、複数のシート状物の下側部分における間隔をおおよそ均一にし、複数のシート状物を安定化させた後、複数のシート状物の上側部分に気体を吹付けることができる。これにより、シート状物の上側部分の動きを低減させ、シート状物の上側部分の隣接するシート状物との頻繁な接触(ばたつき)も低減させることができる。その結果、隣接するシート状物の頻繁な接触によるキズなどを低減することができる。逆に、気体を複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、長手方向の軸が、鉛直方向から気体を吹付ける位置が移動する向きへある角度だけ傾斜しているように、気体を複数のシート状物の端部に吹付けると、複数のシート状物の上側部分に最初に気体が吹付けられ、複数のシート状物が安定化されないため、隣接するシート状物の上側部分の頻繁な接触を低減することができず、好ましくない。
また、本発明によるシート状物の冷却装置において、冷却手段は、好ましくは、前記気体の流量を制御する手段を有する。これにより、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物の表面等を冷却する効率を高めることができる。冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を制御する方法としては、冷却手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくする又は小さくする方法、及び冷却手段における気体が流出する面積を増加させる又は減少させる方法のいずれも適宜用いることができる。
ここで、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さが大きいと、複数のシート状物の表面等を冷却する速度を大きくすることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を冷却することに要する時間を短縮することができる。しかしながら、冷却手段の単位面積から流出する気体の流量、すなわち気体の速さを大きくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触も増加する場合がある。一方、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすると、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。このため、冷却手段から流出する気体の速さを大きくせずに、冷却手段における気体が流出する面積を調節することで、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を調節し、複数のシート状物の表面等を冷却することに要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することもできる。
本発明によるシート状物の冷却方法及び冷却装置において、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、好ましくは、15m/分以上35m/分以下である。上述したように、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、15m/分未満である場合には、複数のシート状物の表面等を冷却することに要する時間を短縮することが困難であることがある。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さが、35m/分を超える場合には、隣接するシート状物の頻繁な接触が、増加することがある。
また、本発明によるシート状物の冷却方法において、第一の時刻における気体の速さは、好ましくは、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きい。すなわち、複数のシート状物に吹付ける気体の速さは、先の第一の時刻で大きく、後の第二の時刻で小さい。複数のシート状物の表面等を冷却する工程は、通常、図15に示すように、冷却の条件が一定であるとすると、比較的短い時間では、冷却速度がおおむね一定である恒率冷却で冷却が進行し、時間が経過と共に冷却速度が連続的に減少する減率冷却で進行する。
よって、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、冷却の工程が恒率冷却で進行するような先の第一の時刻で大きくすることで、複数のシート状物の表面等を冷却するために要する時間を短縮することができる。なお、先の第一の時刻では、シート状物の表面等の冷却があまり進行していないため、シート状物の質量が相対的に大きく、隣接するシート状物の頻繁な接触は、比較的起こりにくい。また、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを、冷却の工程が減率冷却で進行するような後の第二の時刻で小さくすることによって、隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。すなわち、後の第二の時刻では、シート状物の表面等の冷却が進行して、シート状物が軽量化されているため、隣接するシート状物の頻繁な接触が容易に起こり得るが、複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を効果的に低減することができる。このように、第一の時刻における気体の速さを、第一の時刻よりも後の第二の時刻における気体の速さよりも大きくすることで、複数のシート状物の表面等を冷却する効率を向上させることができる。すなわち、複数のシート状物の表面等を冷却するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
また、本発明によるシート状物の冷却方法において、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さい。すなわち、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくし、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくする。
例えば、複数のシート状物の間隙における上側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲)を流れる気体の速さは、好ましくは、複数のシート状物の間隙における下側部分(例えば、最上部から5cm以内の範囲を除く部分)を流れる気体の速さよりも、5m/分以上10m/分以下だけ小さい。
上述したように、互いに接触して並置された複数のシート状物を支持する支持体が、複数のシート状物の下側に配置されている場合には、シート状物の上側部分は、シート状物の下側部分と比較して、隣接するシート状物と容易に頻繁に接触する。また、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを大きくすることで、複数のシート状物の表面等を冷却するために要する時間を短縮することができ、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の速さを小さくすることで、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
よって、複数のシート状物の間隙における上側部分を流れる気体の速さを小さくすることで、比較的自由に動くことができるシート状物の上側部分の動きを低減し、隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。また、複数のシート状物の間隙における下側部分を流れる気体の速さを大きくすることで、支持体との摩擦力などによって比較的動きが束縛されており、隣接するシート状物と接触する頻度が比較的低いシート状物の下側部分の表面等における冷却速度を向上させ、複数のシート状物の表面等を冷却するために要する時間を短縮することができる。このように、複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる気体の速さを、複数のシート状物の間隙における第一の部分より下側の第二の部分を流れる気体の速さよりも小さくすることで、複数のシート状物の表面等を冷却するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却装置は、好ましくは、冷却手段を含む断熱室をさらに有する。例えば、図16に示すように、冷却装置は、冷却手段21及び複数のシート状物11を含む断熱室31を有する。
このようにシート状物の冷却装置が、冷却手段を含む断熱室をさらに有するため、複数のシート状物及び冷却手段の両方を断熱室内に入れることができる。ここで、断熱室は、所定の時間の間、冷却手段から流出する気体の温度が上昇し、所定の温度よりも高い温度の気体が複数のシート状物の間隙を通過することを低減し、冷却手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度(すなわち、複数のシート状物の周囲温度)をおおむね保持することを可能にする。これにより、おおむね一定の温度の気体を、複数のシート状物に吹付け、複数のシート状物の間隙に通過させることができる。なお、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が低いほど、複数のシート状物の表面等を冷却する時間を短縮することができ、複数のシート状物の表面等における冷却の効率を高めることができる。ただし、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が低すぎる場合には、シート状物の劣化又は変質が生ずる場合もある。このように、シート状物の冷却装置が、断熱室を有することで、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度の上昇による複数のシート状物の表面等を冷却する効率の低下を低減することができる。
断熱室は、好ましくは、50mmの厚さを備えたガラスウールの層及びそのガラスウールの層の表面を被覆するステンレススチールの層を含むカバーを含む。このようにして、断熱室の断熱性を向上させることができる。
また、本発明によるシート状物の冷却装置においては、断熱室は、好ましくは、断熱室の内部の温度を制御する手段を有する。断熱室の内部の温度を制御する手段は、ヒーターなどの加熱手段及び冷却手段の一方又は両方であり得る。
このように断熱室が、断熱室の内部の温度を制御する手段を有することで、断熱室の内部の温度を制御し、断熱室の内部に配置された冷却手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、所望の値よりも上昇又は下降することを低減することができる。また、断熱室の内部の温度を制御し、断熱室の内部に配置された複数のシート状物の温度が、所定の温度よりも上昇又は下降することを低減することができる。なお、シート状物の温度が低すぎる場合には、シートの状物の材料によっては、シート状物が劣化又は変質する場合がある。そのため、複数のシート状物に吹付ける気体の温度における下降及び複数のシート状物の温度における下降を低減することで、シート状物の材料に依存するシート状物の劣化又は変質を低減することができる。また、複数のシート状物に吹付ける気体の温度における上昇及び複数のシート状物の温度における上昇を低減することで、複数のシート状物の表面等を冷却する効率の低下を低減することができる。
また、本発明によるシート状物の冷却方法においては、複数のシート状物の周囲温度は、好ましくは、常温よりも低い。ここで、本明細書及び特許請求の範囲における常温とは、例えば室温のような本発明によるシート状物の冷却方法を実施する環境によって決まる温度であり、おおむね5℃以上35℃以下の範囲にある温度である。また、本明細書及び特許請求の範囲における複数のシート状物の周囲温度とは、複数のシート状物の間隙に気体を通過させる際における複数のシート状物を取り巻く環境の温度である。本発明によるシート状物の冷却装置においては、断熱室の内部における温度を常温より低くすればよい。
このように、複数のシート状物の周囲温度を常温よりも低くすることで、複数のシート状物の端部に吹付けられる気体の温度が常温より低い場合に、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、複数のシート状物の周囲温度によって上昇することを低減することができる。これにより、複数のシート状物の表面等を冷却する効率が低下することを低減することができる。
なお、好ましくは、冷却手段から流出する気体の温度は、複数のシート状物の周囲温度よりも低い。冷却手段から流出する気体の温度を、複数のシート状物の周囲温度よりも低くすることによって、複数のシート状物を、より早く冷却することができる。より好ましくは、冷却手段から流出する気体の温度及び複数のシート状物の周囲温度の差は、10℃以内である。この場合には、冷却手段から流出した気体が、複数のシート状物を通過する間に、顕著には加熱又は冷却されず、複数のシート状物の間に、ほぼ同様の温度の気体を通過させることができる。よって、複数のシート状物を、より均一に冷却することができる。
図17に示すように、200枚のシート状物の端部に、ブロワーのノズルから流出する空気を、シート状物の下側から上側へ吹付ける以外は、実施例1と同様の冷却装置及び冷却方法を使用して、シート状物を冷却した。その結果、実施例1と同様に、シート状物を十分冷却することができた。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
<付記>
(付記1)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を乾燥させることを特徴とするシート状物の乾燥方法。
付記1に記載の発明によれば、複数のシート状物を容易に且つ効率良く乾燥させることが可能な複数のシート状物の乾燥方法を提供することができる。
(付記2)前記気体は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙を通過することを特徴とする付記1に記載のシート状物の乾燥方法。
付記2に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く乾燥させることができる。
(付記3)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記2に記載のシート状物の乾燥方法。
付記3に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く乾燥させることができる。
ことができる。
(付記4)前記気体は、前記複数のシート状物の端部に吹付けられ、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜していることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記4に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に乾燥させることができる。
(付記5)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記5に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を乾燥させることができる。
(付記6)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜していることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記6に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記7)第一の時刻における前記気体の速さは、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の速さよりも大きいことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記7に記載の発明によれば、複数のシート状物を乾燥させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
(付記8)前記複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる前記気体の速さは、前記間隙における前記第一の部分より下側の第二の部分を流れる前記気体の速さよりも小さいことを特徴とする付記1乃至7のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記8に記載の発明によれば、複数のシート状物を乾燥させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
(付記9)前記複数のシート状物の周囲温度は、常温よりも高いことを特徴とする付記1乃至8のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記9に記載の発明によれば、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、下降することを低減して、複数のシート状物を乾燥させる効率が低下することを低減することができる。
(付記10)第一の時刻における前記気体の温度は、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の温度よりも低いことを特徴とする付記1乃至9のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥方法。
付記10に記載の発明によれば、シート状物に塗布された液体における化学反応を低減すると共に複数のシート状物を乾燥させる効率を向上させることができる。
(付記11)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を乾燥させる乾燥手段を有することを特徴とするシート状物の乾燥装置。
付記11に記載の発明によれば、設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物を乾燥させるための複数のシート状物の乾燥装置を提供することができる。
(付記12)前記乾燥手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙に前記気体を通過させることを特徴とする付記11に記載のシート状物の乾燥装置。
付記12に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く乾燥させることができる。
(付記13)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記12に記載のシート状物の乾燥装置。
付記13に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く乾燥させることができる。
(付記14)前記乾燥手段は、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記11乃至13のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥装置。
付記14に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に乾燥させることができる。
(付記15)前記乾燥手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記11乃至14のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥装置。
付記15に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を乾燥させることができる。
(付記16)前記乾燥手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記11乃至13のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥装置。
付記16に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記17)前記乾燥手段は、前記気体の流量を制御する手段を有することを特徴とする付記11乃至16のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥装置。
付記17に記載の発明によれば、乾燥手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物を乾燥させる効率を高めることができる。
(付記18)前記乾燥手段を含む断熱室をさらに有することを特徴とする付記11乃至17のいずれか一つに記載のシート状物の乾燥装置。
付記18に記載の発明によれば、複数のシート状物の周囲温度をおおむね保持し、おおむね一定の温度の気体を、複数のシート状物に吹付け、複数のシート状物の間隙に通過させることができる。
(付記19)前記断熱室は、該断熱室の内部の温度を制御する手段を有することを特徴とする付記18に記載のシート状物の乾燥装置。
付記19に記載の発明によれば、断熱室の内部の温度を制御して、シート状物の材料に依存するシート状物の劣化又は変質を低減すると共に複数のシート状物を乾燥させる効率の低下を低減することができる。
(付記20)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を洗浄することを特徴とするシート状物の洗浄方法。
付記20に記載の発明によれば、複数のシート状物を容易に且つ効率良く洗浄することが可能な複数のシート状物の洗浄方法を提供することができる。
(付記21)前記気体は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙を通過することを特徴とする付記20に記載のシート状物の洗浄方法。
付記21に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く洗浄することができる。
(付記22)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記21に記載のシート状物の洗浄方法。
付記22に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く洗浄することができる。
(付記23)前記気体は、前記複数のシート状物の端部に吹付けられ、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜していることを特徴とする付記20乃至22のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄方法。
付記23に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に洗浄することができる。
(付記24)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記20乃至23のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄方法。
付記24に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を洗浄することができる。
(付記25)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜していることを特徴とする付記20乃至22のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄方法。
付記25に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記26)第一の時刻における前記気体の速さは、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の速さよりも大きいことを特徴とする付記20乃至25のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄方法。
付記26に記載の発明によれば、複数のシート状物を洗浄するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
(付記27)前記複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる前記気体の速さは、前記間隙における前記第一の部分より下側の第二の部分を流れる前記気体の速さよりも小さいことを特徴とする付記20乃至26のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄方法。
付記27に記載の発明によれば、複数のシート状物を洗浄するために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
(付記28)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を洗浄する洗浄手段を有することを特徴とするシート状物の洗浄装置。
付記28に記載の発明によれば、設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物を洗浄するための複数のシート状物の洗浄装置を提供することができる。
(付記29)前記洗浄手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙に前記気体を通過させることを特徴とする付記28に記載のシート状物の洗浄装置。
付記29に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く洗浄することができる。
(付記30)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記29に記載のシート状物の洗浄装置。
付記30に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く洗浄することができる。
(付記31)前記洗浄手段は、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記28乃至30のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄装置。
付記31に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に洗浄することができる。
(付記32)前記洗浄手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記28乃至31のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄装置。
付記32に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を洗浄することができる。
(付記33)前記洗浄手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記28乃至30のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄装置。
付記33に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記34)前記洗浄手段は、前記気体の流量を制御する手段を有することを特徴とする付記28乃至33のいずれか一つに記載のシート状物の洗浄装置。
付記34に記載の発明によれば、洗浄手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物を洗浄する効率を高めることができる。
(付記35)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物から異物を除去することを特徴とするシート状物の異物除去方法。
付記35に記載の発明によれば、複数のシート状物から異物を容易に且つ効率良く除去することが可能な複数のシート状物の異物除去方法を提供することができる。
(付記36)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物から異物を除去する異物除去手段を有することを特徴とするシート状物の異物除去装置。
付記36に記載の発明によれば、設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物から異物を除去するための複数のシート状物の異物除去装置を提供することができる。
(付記37)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を冷却させることを特徴とするシート状物の冷却方法。
付記37に記載の発明によれば、複数のシート状物を容易に且つ効率良く冷却させることが可能な複数のシート状物の冷却方法を提供することができる。
(付記38)前記気体は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙を通過することを特徴とする付記37に記載のシート状物の冷却方法。
付記38に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く冷却させることができる。
(付記39)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記38に記載のシート状物の冷却方法。
付記39に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く冷却させることができる。
ことができる。
(付記40)前記気体は、前記複数のシート状物の端部に吹付けられ、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜していることを特徴とする付記37乃至39のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記40に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に冷却させることができる。
(付記41)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記37乃至40のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記41に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を冷却させることができる。
(付記42)前記複数のシート状物の端部における前記気体を吹付ける位置は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動し、前記気体が前記複数のシート状物に吹付けられる領域は、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸は、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜していることを特徴とする付記37乃至39のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記42に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記43)第一の時刻における前記気体の速さは、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の速さよりも大きいことを特徴とする付記37乃至42のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記43に記載の発明によれば、複数のシート状物を冷却させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を有効に低減させることができる。
(付記44)前記複数のシート状物の間隙における第一の部分を流れる前記気体の速さは、前記間隙における前記第一の部分より下側の第二の部分を流れる前記気体の速さよりも小さいことを特徴とする付記37乃至43のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記44に記載の発明によれば、複数のシート状物を冷却させるために要する時間を短縮すると共に隣接するシート状物の頻繁な接触を低減することができる。
(付記45)前記複数のシート状物の周囲温度は、常温よりも高いことを特徴とする付記27乃至44のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記45に記載の発明によれば、複数のシート状物の間隙を通過する気体の温度が、下降することを低減して、複数のシート状物を冷却させる効率が低下することを低減することができる。
(付記46)第一の時刻における前記気体の温度は、前記第一の時刻よりも後の第二の時刻における前記気体の温度よりも低いことを特徴とする付記37乃至45のいずれか一つに記載のシート状物の冷却方法。
付記46に記載の発明によれば、シート状物に塗布された液体における化学反応を低減すると共に複数のシート状物を冷却させる効率を向上させることができる。
(付記47)鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された複数のシート状物に気体を吹付けることにより前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて前記複数のシート状物を冷却させる冷却手段を有することを特徴とするシート状物の冷却装置。
付記47に記載の発明によれば、設置スペース及び設備コストが小さい複数のシート状物を冷却させるための複数のシート状物の冷却装置を提供することができる。
(付記48)前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向に、前記複数のシート状物の間隙に前記気体を通過させることを特徴とする付記47に記載のシート状物の冷却装置。
付記48に記載の発明によれば、気体が複数のシート状物の間隙を通過することを妨げられず、複数のシート状物をより効率良く冷却させることができる。
(付記49)前記複数のシート状物が並置された方向に垂直な方向であって鉛直方向を除く方向は、前記複数のシート状物が並置された方向及び鉛直方向の両方に略垂直な方向であることを特徴とする付記48に記載のシート状物の冷却装置。
付記49に記載の発明によれば、鉛直方向に気体が通過することを障害する要因がある場合にも、複数のシート状物をより効率良く冷却させることができる。
(付記50)前記冷却手段は、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記複数のシート状物が並置された方向へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記47乃至49のいずれか一つに記載のシート状物の冷却装置。
付記50に記載の発明によれば、二枚以上のシート状物が互いに重なり合うことなく、気体を複数のシート状物の間隙に通過させて、複数のシート状物の間で複数のシート状物を均等に冷却させることができる。
(付記51)前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動することを特徴とする付記47乃至50のいずれか一つに記載のシート状物の冷却装置。
付記51に記載の発明によれば、互いに接触して並置された多数のシート状物の間隙に気体を通過させて、多数のシート状物を冷却させることができる。
(付記52)前記冷却手段は、前記複数のシート状物が並置された方向に沿って移動すると共に、前記気体を前記複数のシート状物に吹付ける領域が、長手方向の軸を有し、前記長手方向の軸が、鉛直方向から前記気体を吹付ける位置が前記移動する向きと反対側へ傾斜しているように、前記複数のシート状物の端部に前記気体を吹付けることを特徴とする付記47乃至49のいずれか一つに記載のシート状物の冷却装置。
付記52に記載の発明によれば、隣接する複数のシート状物の頻繁な接触を低減させることができる。
(付記53)前記冷却手段は、前記気体の流量を制御する手段を有することを特徴とする付記47乃至50のいずれか一つに記載のシート状物の冷却装置。
付記53に記載の発明によれば、冷却手段から複数のシート状物に吹付ける気体の流量を適切に制御し、複数のシート状物を冷却させる効率を高めることができる。
(付記54)前記冷却手段を含む断熱室をさらに有することを特徴とする付記47乃至53のいずれか一つに記載のシート状物の冷却装置。
付記54に記載の発明によれば、複数のシート状物の周囲温度をおおむね保持し、おおむね一定の温度の気体を、複数のシート状物に吹付け、複数のシート状物の間隙に通過させることができる。
(付記55)前記断熱室は、該断熱室の内部の温度を制御する手段を有することを特徴とする付記54に記載のシート状物の冷却装置。
付記55に記載の発明によれば、断熱室の内部の温度を制御して、シート状物の材料に依存するシート状物の劣化又は変質を低減すると共に複数のシート状物を冷却させる効率の低下を低減することができる。
(付記56)
鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された、液体が付着した複数のシート状物に、気体を吹付けることにより、前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、前記液体が付着した複数のシート状物を乾燥させることを特徴とするシート状物の乾燥方法。
付記56に記載の発明によれば、液体が付着した複数のシート状物を容易に且つ効率良く乾燥させることが可能な複数のシート状物の乾燥方法を提供することができる。
(付記57)
鉛直方向から0度以上90度未満の角度で直立又は傾斜すると共に互いに接触して並置された、液体が付着した複数のシート状物に、気体を吹付けることにより、前記複数のシート状物を離間させると共に前記複数のシート状物の間隙に気体を通過させて、前記液体が付着した複数のシート状物を乾燥させる乾燥手段を有することを特徴とするシート状物の乾燥装置。
付記57に記載の発明によれば、設置スペース及び設備コストが小さい液体が付着した複数のシート状物を乾燥させるための複数のシート状物の乾燥装置を提供することができる。