JP4475791B2 - 成型品取出機の動作確認方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、成型品取出機の動作確認方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
成型品を保持するチャック部を、成形機の軸線方向(前後方向)、軸線直交方向(左右方向)及び上下方向の内、少なくとも左右方向へ移動(旋回移動する場合も含む)して成形機から成型品を取り出す成型品取出機にあっては、成型品の取出し動作を実行するに先立ってチャック部の移動位置、移動距離、移動速度、移動加速度等の各種移動データを入力する必要がある。
【0003】
このデータ入力作業は、成型品取出機に取り付けられたり、成形機の設置床面に配置された制御装置に一体若しくは別体に設けられた操作ボックスに配列された各種入力キーにより移動データを数値入力したり、手動でチャック部を移動操作して教示入力している。
【0004】
データの入力状態は操作ボックスに設けられた表示装置にデータの入力状態やチャック部の移動状態を表示して確認することができるが、データ入力後においてはチャック部を手動で実際に移動制御してデータの適否を確認する必要がある。
【0005】
この手動操作時においては、動作確認時における安全性を確保するため、操作ボックスに設けられた動作可能スイッチを一方の手で操作した状態で他方の手で手動操作スイッチが操作された際、即ち双方のスイッチが同時にON作動された際にチャック部の移動を許可するように制御している。
【0006】
しかしながら、実際の作業現場においては他の動作確認等も並行して行う必要から、多くの場合には動作可能スイッチと手動操作スイッチを同時にON作動させるために両方の手で作業できないのが実情であり、入力データによるチャック部の移動を正しく確認できなかった。
【0007】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたものであり、その課題とする処は、特定条件下においては片手操作により手動運転を可能にし、操作性を向上することができる成型品取出機の動作確認方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成型品を保持するチャック部を成形機の成形部と成形機外の解放位置との間で移動して成型品を取り出す成型品取出機において、チャック部を移動制御する制御手段にチャック部の移動データを入力する操作ボックスに設けられた動作可能手段及び手動操作手段が同時にON作動された際に入力された移動データに基づいてチャック部を移動制御して動作確認を可能にする。一方、操作ボックスに設けられた解除手段がON作動された際には動作可能手段のOFF状態にて手動操作手段のON作動により入力された移動データに基づいてチャック部の移動制御して動作確認を可能にする。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図に従って説明する。
図1及び図2において、成型品取出機1の本体フレーム3は成形機(図示せず)の固定側取付盤5の上部に固定され、該本体フレーム3は成形機の金型上方と成形機の正面側(または背面側)に至る長さで左右方向に延出している。
【0010】
該本体フレーム3上には走行体7が左右方向へ走行可能に支持され、該走行体7はサーボモータ等の左右駆動部材9(図2に示す)により左右方向へ往復移動される。
【0011】
走行体7を往復移動する駆動機構としては、本体フレーム3に取り付けられたラックギャに、走行体7に取り付けられたサーボモータの回転軸に設けられたピニオンギャを噛み合わせて往復移動するピニオン・ラックギャ機構、本体フレーム3の長手方向(左右方向)に軸線を有して回転可能に支持されると共に一端部にサーボモータが連結された送りねじに、走行体7に設けられたナットを噛み合わせて往復移動する送りねじ機構、本体フレーム3の長手方向両端部に回転可能に支持されたプーリに張設され、一部が走行体7に固定されたベルトを、一方のプーリに連結されたサーボモータにより走行させて往復移動するベルト機構または本体フレーム3の長手方向にわたって取り付けられた長尺状の永久磁石(または多数の極歯を有した電磁石)に相対して走行体7に設けられる多数の極歯を有した電磁石(または永久磁石)とからなるリニアモータ等の何れであってもよい。
【0012】
走行体7には前後方向へ延出する前後フレーム11が固定され、該前後フレーム11には前後走行体13が前後方向へ移動可能に支持されている。そして該前後走行体13はサーボモータ等の前後駆動部材15により前後方向へ往復移動される。前後走行体13を往復移動する駆動機構としては、上記した左右駆動機構と同様のピニオン・ラックギャ機構、送りねじ機構、ベルト機構及びリニアモータ等の何れであってもよい。
【0013】
前後走行体13にはチャック部17の昇降距離とほぼ一致する上下長さの上下フレーム19が固定され、該上下フレーム19には下部にチャック部17が取り付けられた取付けフレーム21が上下方向へ移動可能に支持されている。そして取付けフレーム21はサーボモータ等の上下駆動部材23により上下方向へ往復移動される。
【0014】
取付けフレーム21を上下動する上下駆動機構としては、上記した左右及び前後駆動機構と同様のピニオン・ラックギャ機構、送りねじ機構、ベルト機構及びリニアモータ等の何れであってもよい。
【0015】
チャック部17は取付けフレーム21の下部に対し、必要に応じて反転駆動部材25を介して取り付けられる。該チャック部17はチャック板17aと、チャック板17aの一面に設けられ、成型品を保持する吸着部材またはエアーシリンダ等の保持部材17bとから構成される。
【0016】
また、反転駆動部材25は保持部材17bが取り付けられたチャック板17aを可動金型(図示せず)に相対させる垂直位置と、該一面が下方向を向く平面位置との間で反転回動して成型品の取出し時及び解放時にチャック部17を姿勢制御する部材で、エアーシリンダや電動モータ(サーボモータを含む)とから構成される。
【0017】
そして左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23を駆動制御するサーボドライバー等の駆動制御回路や各種のエアーシリンダを駆動制御するバルブ制御回路等の制御装置を収容する制御ボックス27は本体フレーム3の長手方向の一方端部に固定されたり、成形機正面側(または背面側)の床面に設置される。
【0018】
該制御ボックス27に収容された制御装置にはチャック部17を所定の位置へ移動させるための位置データ、距離データ、左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23の回転軸速度データ、回転軸加減速度データ等の移動データを入力する可搬形の操作ボックス29が電気的に接続される。
【0019】
図1は成形機の正面側床面に配置したスタンド30に操作ボックス29を着脱可能に設けたものを示すが、操作ボックス29としては制御ボックス27の上面に固定的に取り付けた構造であってもよく、また走行フレーム3に固定された制御ボックス27に着脱可能に取り付けたものであってもよい。
【0020】
該操作ボックス29は、上記した各種の移動データを入力するための入力キー29a、入力データを表示したり、チャック部17の移動状態をグラフィック表示するLCD等の表示部材29b、後述する手動操作を可能にする動作可能キー29c、手動操作を実行する手動操作キー29d、解除キー29e等が設けられている。
【0021】
図3において、制御装置のCPU31にはメモリ手段33が接続され、該メモリ手段33のハードディスク領域には成型品取出機1を所定の取出し動作させるためのプログラムデータ、後述するチャック部17の移動データを入力する際に成型品取出機1を教示動作させるためのプログラムデータ等の各種プログラムデータが記憶される。また、メモリ手段33のワーク領域にはチャック部17を所定位置へ移動させるための位置データ、距離データ、回転軸速度データ、回転軸加減速度データ等の各種移動データが記憶される。
【0022】
CPU31には操作ボックス29がインターフェース35を介して接続され、操作された入力キー29aによるデータ、動作可能キー29cによる動作許可信号、手動操作キー29dによる手動運転指示信号、解除キー29eによる解除信号が入力されると共に表示部材29bに入力された移動データやチャック部17の移動状態をグラフィック表示するための表示データを表示させる。
【0023】
CPU31には左右駆動制御回路37、前後駆動制御回路39、上下駆動制御回路41及びシリンダーバルブ等のバルブ駆動制御回路42が夫々接続され、その内の駆動回路37、39、41には左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23が接続されている。
【0024】
そして夫々の駆動回路37、39、41、42はメモリ手段33に記憶されたチャック部17の移動データ及び左右駆動部材9、前後駆動部材15、上下駆動部材23に設けられたエンコーダ等の位置検出器(図示せず)からの位置信号に基づいて対応する左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23を駆動制御してチャック部17を所定動作させる。
【0025】
次に、成型品取出機1による成型品取出し動作の概略を説明すると、成形機の型開した金型の上方に待機したチャック部17を、上下駆動部材23の駆動により下降して金型間へ侵入させた後、前後駆動部材15を駆動してチャック部17を可動金型に向かって前進させて該可動金型内に保持された成型品に当接させる。
【0026】
該状態にて保持部材17bを作動して成型品を保持させた後、前後駆動部材15を逆転駆動してチャック部17を後退して成型品を可動金型内から抜き出した後、上下駆動部材23を逆転駆動して上昇したチャック部17を金型間から離脱させる。
【0027】
次に、左右駆動部材9駆動してチャック部17を右方向へ移動して解放位置上方に位置させた後、上下駆動部材23を駆動してチャック部17を、搬出コンベヤーや搬出シュータ若しくはコンテナ(何れも図示せず)上に移動した後、必要に応じて前後駆動部材15によりチャック部17を前進または反転駆動部材25を駆動してチャック部17を姿勢制御した後に保持部材17bによる成型品の保持を解除して取出し動作を終了する。
【0028】
上記取出し動作時におけるチャック部17の各移動位置、移動距離、目的位置に至るまでの移動速度、移動加減速度は、取出し動作に先立って操作ボックス29の入力キー29a等により入力される。
【0029】
なお、チャック部17の移動データの入力方法としては、入力キー29aにより夫々の数値を直接入力する方法の他にチャック部17を実際に移動して教示入力してもよい。また、その入力データ及び入力データによるチャック部17の移動状態については表示部材29bにグラフィック表示される。
【0030】
操作ボックス29により入力されたチャック部17の移動データはチャック部17を手動で実際に移動させて確認する必要がある。
この確認作業は、通常、動作可能キー29cをON操作した状態で手動操作キー29dをON操作、従って両方の手で夫々のスイッチをON作動させることにより夫々の左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23を駆動してチャック部17を移動させることにより確認している。
【0031】
しかし、実際の現場では、時として両手により動作可能キー29c及び動作操作キー29dを同時にON操作することが困難な場合があり、動作可能キー29cをON操作しない状態で、片手で手動操作キー29dをON操作してチャック部17の移動を確認する必要がある。
【0032】
以下に、上記の場合についての処理方法を説明する。
図4及び図5において、ステップ51において動作可能キー29cの操作を解除するために解除キー29eがON作動された否かを判定する。
【0033】
上記したように通常は、チャック部17の移動確認を、動作可能キー29c及び手動操作キー29dを両手でON作動させて行うため、解除キー29eがOFF状態になっており、ステップ51の判定がNOになる。
【0034】
これによりステップ53において動作可能キー29cがON作動されたか否かを判定し、動作可能キー29cがON作動された場合には、ステップ55において手動操作キー29dがON作動されたか否かを判定する。
【0035】
今、チャック部17に関する入力データを手動確認するために動作可能キー29c・手動操作キー29dの双方がON作動された際には、ステップ57において入力されたデータに基づいて対応する左右駆動部材9、前後駆動部材15及び上下駆動部材23を夫々駆動して動作確認処理を実行する。
【0036】
なお、ステップ53及びステップ55において夫々の動作可能キー29c・手動操作キー29dがON作動されず、判定がNOのとき、チャック部17の移動確認が行われないため、ステップ51に戻る。
【0037】
次に、チャック部17の動作確認を手動操作キー29dのON作動のみで行う場合には解除キー29eがON作動される。このため、ステップ51の判定がYESになり、ステップ59においてオペレータによるパスワードの入力処理を実行し、次にステップ61において入力されたパスワードが予め登録されたパスワードと一致するか否かを判定する。このように片手によるチャック部17の動作確認時にはオペレータにパスワードを入力させることにより動作確認作業における安全性を確保している。
【0038】
入力されたパスワードが一致しない場合にはステップ61の判定がNOになり、ステップ62においてブザーを鳴動したり、警告灯を点灯してエラー処理した後、ステップ59に戻る。反対にYESの場合にはステップ63において動作可能キー29cのOFF状態による手動操作キー29dのON作動を有効化する動作許可処理を実行し、次にステップ64においてタイマーをリセットした後に起動し、次にステップ65において動作許可処理から所定時間経過したか否かを判定する。
【0039】
今、手動操作キー29dのみによるチャック部17の手動操作確認が有効化されたにも拘らず、所定時間内にチャック部17の手動操作が実行されない場合には、チャック部17の手動操作以外の目的で手動操作キー29dが誤ってON作動される場合がある。このため、ステップ65の判定がYESの場合、ステップ67において動作可能キー29cの解除モードをリセットしてステップ51に戻る。これにより動作確認作業の安全性を確保する。
【0040】
一方、ステップ65がNOの場合、ステップ69において手動操作キー29dがON作動されたか否かを判定し、YESの場合にはステップ65に戻る。今、チャック部17の動作を手動確認するために手動操作キー29dがON操作されると、ステップ69の判定がYESになり、次にステップ71において入力されたデータに基づいてチャック部17を移動制御して動作確認処理を実行してステップ64に戻る。
【0041】
なお、動作可能キー29cの解除モードを強制終了するには操作ボックス29に設けられたリセットキー(図示せず)を操作して行う。
【0042】
本実施形態は、通常は動作可能キー29cと手動操作キー29dが同時にON作動された際に初めて入力データに基づいてチャック部17を手動運転して動作状態を確認することができるが、片手でしか操作できない状況下においては動作可能キー29cを解除して手動操作キー29dのみによる動作確認を有効化することができ、動作確認作業を効率的に行うことができる。
【0043】
また、手動操作キー29dのみによる動作確認を有効化する場合には、認証作業を設けることにより、また有効化後においても所定時間内に手動操作キー29dによる動作確認が実行されない場合には解除モードをリセットすることにより動作確認作業時における安全性を確保している。
【0044】
上記説明は、チャック部17を左右方向、前後方向及び上下方向に移動制御して成型品を取り出す形式としたが、本発明の成型品取出機1はチャック部17を少なくとも左右方向へ移動して成型品を取り出す形式であればよく、例えばチャック部17を金型間と解放位置との間で左右方向へ旋回移動させて成型品を取り出してもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、特定条件下においては片手操作により手動運転を可能にし、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型品取出機の全体斜視図である。
【図2】操作ボックスの斜視図である。
【図3】制御装置の概略を示す電気的ブロック図である。
【図4】解除モードの処理状態を示すフローチャートである。
【図5】解除モードの処理状態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−成型品取出機、17−チャック部、29−操作ボックス、29c−動作可能手段としての動作可能キー、29d−手動操作手段としての手動操作キー、29e−解除手段としての解除キー
Claims (6)
- 成型品を保持するチャック部を成形機の成形部と成形機外の解放位置との間で移動して成型品を取り出す成型品取出機において、チャック部を移動制御する制御手段にチャック部の移動データを入力する操作ボックスに設けられた動作可能手段及び手動操作手段が同時にON作動された際にチャック部を移動制御して動作確認を可能にすると共に操作ボックスに設けられた解除手段がON作動された際には動作可能手段のOFF状態にて手動操作手段のON作動によりチャック部の移動制御して動作確認を可能にする動作確認方法。
- 請求項1において、操作ボックスはチャック部を移動制御する制御手段を収容する制御ボックスに一体に設けられた成型品取出機の動作確認方法。
- 請求項1において、操作ボックスは可搬形からなり、制御手段と別体に設けられた成型品取出機の動作確認方法。
- 請求項1において、操作ボックスには表示部材を設け、該表示部材に入力された移動データ及び移動データによるチャック部の移動状態を表示して動作確認を可能にした成型品取出機の動作確認方法。
- 請求項1において、制御手段は解除手段がON作動された後に手動操作手段のOFF状態が所定の時間、継続したとき、解除手段をOFF状態に遷移する成型品取出機の動作確認方法。
- 請求項1において、制御手段に認証手段を設け、該認証手段により認証された際にのみ解除手段による解除モードへの移行を可能にする成型品取出機の動作確認方法。
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- 2000-10-30 JP JP2000329914A patent/JP4475791B2/ja not_active Expired - Lifetime
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