JP4475729B2 - 感光性樹脂組成物およびそれを用いてなる感光性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等のパターン形成に用いられる感光性樹脂組成物およびそれを用いてなる感光性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プリント配線板やリードフレーム等の製造において、微細な回路パターンや形状パターンを形成する際には、感光性樹脂組成物を層形成してなる感光性フィルムが用いられている。
【0003】
上記感光性フィルムとしては、通常、感光性樹脂組成物層の片面に光透過性の支持体フィルムが、また感光性樹脂組成物層の他面に保護フィルムが積層された多層構造のフィルムが用いられている。そして、上記感光性樹脂組成物層の形成材料としては、例えば、ウレタンモノマーを用いた感光性樹脂組成物(特開平10−142789号公報)や、ポリエチレンポリプロピレンブロックモノマー類を用いた感光性樹脂組成物(特開平11−184081号公報)等が用いられている。
【0004】
上記感光性フィルムを用いた回路パターンの形成は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、基板上に銅箔を積層した回路基板用基材を準備し、保護フィルム(カバーフィルム)層を剥がしながら、上記基板面に感光性樹脂組成物層を貼着させる。その上にパターンマスクを載置し、露光工程、現像工程、エッチング工程を経由させることにより回路パターンを形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、回路パターンのファインピッチ化に伴い、解像度の向上が要求されるようになってきており、そのため感光性フィルムの薄膜化が要望されている。しかしながら、上記従来の感光性樹脂組成物を用いてなる感光性フィルムをより薄膜とした場合、基板上へのラミネート時にスルーホール周辺の厚みがさらに薄くなるため、テント膜強度が低下して、テント膜が破れる等の問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高解像度で、テント膜強度に優れた感光性樹脂組成物およびそれを用いてなる感光性フィルムの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、バインダー成分(A)、モノマー成分(B)および光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物であって、上記モノマー成分(B)が、少なくとも下記の一般式(1)で表される化合物(B1)と、エチレン性不飽和化合物とを含有しており、上記化合物(B1)の含有量がモノマー成分(B)全体の3〜70重量%の範囲である感光性樹脂組成物を第1の要旨とする。
【0008】
【化2】
【0009】
また、本発明は、感光性樹脂組成物層の片面に支持体フィルムが積層され、上記感光性樹脂組成物層の他面に保護フィルムが積層されてなる感光性フィルムであって、上記感光性樹脂組成物層が、上記感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである感光性フィルムを第2の要旨とする。
【0010】
すなわち、本発明者らは、高解像度で、薄膜でもテント膜強度に優れた感光性フィルムを得るべく、感光性樹脂組成物を中心に鋭意研究を重ねた。その結果、バインダー成分(A)および光重合開始剤(C)とともに、少なくとも上記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有するモノマー成分(B)を用いることにより、硬化速度に優れ、硬化した被膜の硬度と可撓性のバランスが良好になり、所期の目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
そして、上記バインダー成分(A)が、少なくともスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体またはα−スチンレンと(メタ)アクリル酸の共重合体(A1)を含有していると、硬化性に優れ、レジスト剥離が容易となる。
【0012】
また、上記バインダー成分(A)中のスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体またはα−スチンレンと(メタ)アクリル酸の共重合体(A1)の含有量が特定の範囲に設定されていると、レジスト剥離時間を短縮でき、レジスト剥離形状を小さくすることができる。
【0013】
さらに、上記光重合開始剤(C)が、ロフィン二量体(C1)およびp−アミノフェニルケトン類(C2)の双方を少なくとも含有していると、解像度および細線の密着性に優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、バインダー成分(A)と、モノマー成分(B)と、光重合開始剤(C)とを用いて得ることができる。そして、本発明は、上記モノマー成分(B)が、少なくとも前記一般式(1)で表される化合物(B1)と、エチレン性不飽和化合物とを含有していることが最大の特徴である。
【0016】
上記バインダー成分(A)は、少なくともスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、またはα−スチンレンと(メタ)アクリル酸の共重合体(A1)(以下、「スチレン−アクリル系重合体(A1)」と略す。)を含有するものが好ましい。なかでも、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましい。
【0017】
そして、上記スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合比(重量比)は、スチレン/(メタ)アクリル酸=55/45〜85/15の範囲が好ましい。
【0018】
上記スチレン−アクリル系重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜40,000の範囲が好ましく、特に好ましくは10,000〜30,000である。
【0019】
上記スチレン−アクリル系重合体(A1)の含有量は、バインダー成分(A)全体の10〜40重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは15〜35重量%の範囲である。すなわち、上記スチレン−アクリル系重合体(A1)の含有量が10重量%未満であると、硬化性およびレジスト剥離性が劣る傾向がみられ、逆に40重量%を超えると、細線の密着性が劣る傾向がみられるからである。
【0020】
上記スチレン−アクリル系重合体(A1)以外のバインダー成分(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸を主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸およびその他の共重合可能なモノマーを共重合させてなるアクリル系重合体を用いることが好ましい。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0022】
上記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0023】
上記その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等があげられる。
【0024】
上記バインダー成分(A)とともに用いられるモノマー成分(B)は、少なくとも下記の一般式(1)で表される化合物(B1)と、エチレン性不飽和化合物とを含有するものが用いられる。
【0025】
【化3】
【0026】
上記一般式(1)において、Rで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等があげられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0027】
上記一般式(1)において、R1 ,R2 で表される炭素数2〜5のアルキレン基としては、例えば、−(CH2 )a −(但し、aは2〜5の整数)、−CH2 CH(CH3 )−等があげられる。なかでも、−CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )−が好ましい。
【0028】
上記一般式(1)において、Xで表される炭素数2〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、−(CH2 )6 −の他、下記に示すものがあげられる。なかでも、−(CH2 )6 −が好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】
上記一般式(1)において、Yで表されるビスフェノールから誘導される2価の基としては、特に限定はないが、下記の式(2)で表されるビスフェノールAから誘導された2価の基が好ましい。
【0031】
【化5】
【0032】
上記一般式(1)において、mは1〜20の整数が好ましく、特に好ましくは2〜10の整数である。また、nは1〜20の整数が好ましく、特に好ましくは2〜10の整数である。
【0033】
そして、上記一般式(1)で表される化合物(B1)のなかでも、R=−CH3 、R1 =−CH2 CH2 −、R2 =−CH2 CH2 −、X=−(CH2 )6 −、Yは前記式(2)で表される基、m=5、n=5で表される化合物、およびR=−CH3 、R1 =−CH2 CH(CH3 )−、R2 =−CH2 CH2 −、X=−(CH2 )6 −、Yは前記式(2)で表される基、m=5、n=5で表される化合物が特に好ましい。
【0034】
上記一般式(1)で表される化合物(B1)以外のモノマー成分(B)としては、エチレン性不飽和化合物が用いられ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシヒバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーがあげられる。また、上記多官能モノマーとともに単官能モノマーを適当量併用することもでき、このような単官能モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等があげられる。
【0035】
上記一般式(1)で表される化合物(B1)の含有量は、モノマー成分(B)全体の3〜70重量%の範囲に設定する必要があり、好ましくは5〜50重量%である。すなわち、上記化合物(B1)の含有量が3重量%未満であると、テント膜信頼性の効果がなくなり、逆に70重量%を超えると、レジスト形状の悪化、解像力、密着力が低下するからである。
【0036】
そして、上記バインダー成分(A)とモノマー成分(B)の混合比(重量比)は、A/B=90/10〜20/80の範囲が好ましく、特に好ましくはA/B=70/30〜30/70である。すなわち、モノマー成分(B)の重量比が10未満であると、硬化速度が遅くなり、逆にモノマー成分(B)の重量比が80を超えると、剥離速度が遅くなるおそれがあるからである。
【0037】
上記バインダー成分(A)およびモノマー成分(B)とともに用いられる光重合開始剤(C)は、ロフィン二量体(C1)およびp−アミノフェニルケトン類(C2)の双方を少なくとも含有するものが好ましい。
【0038】
上記ロフィン二量体(C1)は、ロフィン(2,4,5−トリフェニルイミダゾール)の二量体であれば特に限定はなく、例えば、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フルオロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メトキシフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(p−メトキシフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,4,2′,4′−ビス〔ビ(p−メトキシフェニル)〕−5,5′−ジフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5,4′,5′−ジフェニル−1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(p−メチルチオフェニル)−4,5,4′,5′−ジフェニル−1,1′−ビイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)−1,1′−ビイミダゾール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾールが好ましい。
【0039】
上記ロフィン二量体(C1)の含有量は、上記バインダー成分(A)とモノマー成分(B)の合計量100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜6部である。すなわち、1部未満であると、感度が低くなり、逆に10部を超えると、現像槽に析出し汚染が生じるおそれがあるからである。
【0040】
上記p−アミノフェニルケトン類(C2)としては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノベンゾフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p′−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン〔ミヒラーズケトン〕、p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等があげられる。なかでも、p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0041】
上記p−アミノフェニルケトン類(C2)の含有量は、上記バインダー成分(A)とモノマー成分(B)の合計量100部に対して、0.02〜0.5部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.3部である。すなわち、0.02部未満であると、感度、解像力が低下し、逆に0.5部を超えると、密着力が低下するおそれがあるからである。
【0042】
そして、上記ロフィン二量体(C1)およびp−アミノフェニルケトン類(C2)以外の光重合開始剤(C)としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、9−フェニルアクリジン、2−エチルアントラキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等があげられる。
【0043】
なお、本発明の感光性樹脂組成物には、上記バインダー成分(A)、モノマー成分(B)および光重合開始剤(C)に加えて、染料(色素、変色剤)、熱重合禁止剤、可塑剤、密着付与剤、酸化防止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤等を配合しても差し支えない。上記色素としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等があげられる。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記バインダー成分(A)、モノマー成分(B)および光重合開始剤(C)を必須成分とし、これに必要に応じて色素等の他の成分を配合し、混合することにより調製することができる。
【0045】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物を用いてなる感光性樹脂組成物層の片面に支持体フィルム(キャリアフィルム)が積層形成されているとともに、感光性樹脂組成物層の他面には保護フィルム(カバーフィルム)が積層形成された3層構造の感光性フィルムが代表的にあげられる。
【0046】
上記支持体フィルムとしては特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等があげられ、好ましくはPETフィルムである。
【0047】
上記保護フィルムは、感光性フィルムをロール状にして用いる場合に、粘着性を有する感光性樹脂組成物層の支持体フィルムへの転着等を防止する目的で使用されるものであり、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム(CPP,OPP)、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)フィルム、ナイロンフィルム等があげられ、好ましくはPEフィルムである。
【0048】
本発明の感光性フィルムは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、上記支持体フィルムの片面に、本発明の感光性樹脂組成物を均一に塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥して感光性樹脂組成物層を形成する。ついで、上記感光性樹脂組成物層の他面に保護フィルムを加圧積層することにより、感光性樹脂組成物層の片面に支持体フィルムが、また感光性樹脂組成物層の他面に保護フィルムがそれぞれ積層されてなる3層構造の感光性フィルムを作製することができる。
【0049】
本発明の感光性フィルムにおいて、感光性樹脂組成物層の厚みは、40μm以下が好ましく、特に好ましくは5〜30μmである。すなわち、感光性樹脂組成物層の厚みが40μmを超えると、充分な解像度を得ることが困難となるからである。また、上記支持体フィルムの厚みは、通常、5〜25μmであり、好ましくは12〜20μmである。すなわち、5μm未満では、フィルムが柔軟すぎて取り扱いに不便であり、逆に25μmを超えると、解像度が低下したり、コストアップとなり好ましくないからである。上記保護フィルムの厚みは、通常、10〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
【0050】
本発明の感光性フィルムは、例えば、プリント配線板,リードフレーム等の製造や、金属の精密加工等に用いられる。本発明の感光性フィルムを用いたプリント配線板の製法について、以下に説明する。
【0051】
〔露光〕
感光性フィルムによって画像を形成させるには、感光性樹脂組成物層の表面から保護フィルムを剥離した後、その感光性樹脂組成物層の表面を、銅張基板や42アロイ、SUS等の金属面に貼り付ける。ついで、上記感光性樹脂組成物層の反対側面の支持体フィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。上記露光は、通常、紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ等が用いられる。なお、必要に応じて、紫外線照射後に加熱を行い、硬化の完全を図ることも可能である。
【0052】
〔現像〕
露光後は、上記感光性樹脂組成物層上の支持体フィルムを剥離除去してから現像を行う。上記感光性樹脂組成物が稀アルカリ現像型である場合、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等の0.3〜2重量%程度のアルカリ水溶液を用いて行う。なお、上記アルカリ水溶液中には、界面活性剤,消泡剤や、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0053】
〔エッチング、めっき〕
エッチングは、通常、塩化第二銅−塩酸水溶液や、塩化第二鉄−塩酸水溶液等の酸性エッチング液を用いて、常法に従って行う。希にアンモニア系のアルカリエッチング液も用いられる。めっき法は、脱脂剤、ソフトエッチッグ剤等のめっき前処理剤を用いて前処理を行った後、めっき液を用いてめっきを行う。
【0054】
〔硬化レジストの剥離除去〕
エッチングまたはめっき工程後、残っている硬化レジストの剥離を行う。硬化レジストの剥離除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の0.5〜5重量%程度の濃度のアルカリ水溶液あるいはエタノールアミン類等を含有する水溶液からなるアルカリ剥離液を用いて行う。
【0055】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0056】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0057】
〔バインダー成分(A)▲1▼〕
メタクリル酸メチルとスチレンとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸を57/15/5/23(重量比)の割合で重合させて得られた共重合体(Mw=60,000)の40重量%〔メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=9/1(重量比)〕溶液
【0058】
〔バインダー成分(A)▲2▼〕
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを54/19/22/5(重量比)の割合で重合させて得られた共重合体(Mw=80,000)の40重量%〔メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=7/3(重量比)〕溶液
【0059】
〔スチレン−アクリル系共重合体(A1)〕
スチレンとアクリル酸を75/25(重量比)の割合で重合させて得られた共重合体(Mw=20,000)の50重量%(メチルエチルケトン)溶液
【0060】
〔化合物(B1)▲1▼〕
前記一般式(1)において、R=−CH3 、R1 =−CH2 CH2 −、R2 =−CH2 CH2 −、X=−(CH2 )6 −、Yは前記式(2)で表される基、m=5、n=5で表される化合物
【0061】
〔化合物(B1)▲2▼〕
前記一般式(1)において、R=−CH3 、R1 =−CH2 CH(CH3 )−、R2 =−CH2 CH2 −、X=−(CH2 )6 −、Yは前記式(2)で表される基、m=5、n=5で表される化合物
【0062】
〔モノマー成分(B)▲1▼〕
ポリプロピレン変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学社製、ATM−4P)〔PO≒4〕
【0063】
〔モノマー成分(B)▲2▼〕
2,2′−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(新中村化学社製、BPE−500)〔EO≒10〕
【0064】
〔モノマー成分(B)▲3▼〕
2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社化学社製、HOA−MPE)
【0065】
〔モノマー成分(B)▲4▼〕
EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EO≒3)
【0066】
〔モノマー成分(B)▲5▼〕
ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、APG−400)
【0067】
〔モノマー成分(B)▲6▼〕
ヘキサメチレンジイソシアネートと、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレートとの反応物(日本油脂社製、ブレンマーPP−1000)
【0068】
〔ロフィン二量体(C1)〕
2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール
【0069】
〔p−アミノフェニルケトン類(C2)〕
p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0070】
【実施例1〜5、比較例1〜3】
下記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し混合して、感光性樹脂組成物を調製した。ついで、この感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて厚み19μmのPETフィルム(支持体フィルム)上に均一に塗布し、90℃のオーブンで5分間乾燥して、厚み30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。さらに、この感光性樹脂組成物層の他面に、厚み25μmのPEフィルム(保護フィルム)を積層し、これを1日放置して、感光性フィルムを得た。一方、厚み35μmの銅箔を貼り合わせてなる銅張基板(厚み1.6mm、大きさ250mm×200mm)を準備し、銅箔表面をスコッチブライトSF(住友3M社製)を用いてバフロール研磨し、水洗した後、空気流で乾燥させ、これをオーブンで60℃に予熱した。そして、この銅箔表面に、上記感光性フィルムのPEフィルム(保護フィルム)を剥離しながら、PETフィルム(支持体フィルム)と感光性樹脂組成物層からなるフィルムをハンド式ロールラミネータを用いてラミネートした(ラミネート条件:ホットロール温度100℃、ロール圧約0.3MPa、ラミネート速度1.5m/min)。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
このようにして得られた実施例品および比較例品を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表3および表4に併せて示した。
【0074】
〔感度〕
上記銅張基板上にラミネートした感光性樹脂組成物層の表面に、ストーファー21段ステップタブレット(光透過量が段階的に少なくなるように作られたネガフィルム)を、オーク製作所社製の露光機(EXM−1172−A00)を用いて、2kW超高圧水銀ショートアーク灯(平行光)で露光した。ついで、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を、最小現像時間の2倍の時間でスプレー現像した。各露光量と現像後に残った段数より、ストーファー21段ステップタブレット(ST)にて7段を与えるに足る露光量を調べた。
【0075】
〔解像性〕
上記銅張基板上にラミネートした感光性樹脂組成物層の表面に、ライン/スペース=1/1(10μm,15μm,20μm,25μm,30μm,35μm,40μm,45μm,50μm)の各々のパターンマスク(ガラスクロム乾板製)を真空密着させ、ストーファー21段ステップタブレットの7段相当量の露光量(ST7)で露光し、現像後にレジスト画像が解像される最小ライン幅を調べた。なお、現像条件は、上記の感度評価と同様にして行った。
【0076】
〔密着性〕
上記銅張基板上にラミネートした感光性樹脂組成物層の表面に、ライン幅(10μm,15μm,20μm,25μm,30μm,35μm,40μm,45μm,50μm)の独立細線の各々のパターンマスク(ガラスクロム乾板製)を密着させ、上記解像性の評価と同様にして現像を行い、密着性良好な独立細線部の最小ライン幅を調べた。
【0077】
〔テント膜信頼性〕
直径3mmのスルーホール(TH)が1050個空いた厚み0.6mmの基材を準備し、その表面に、上記感光性フィルムのPEフィルム(保護フィルム)を剥離しながら、PETフィルム(支持体フィルム)と感光性樹脂組成物層からなるフィルムを貼り付けた。そして、上記と同様の条件で露光および現像を行った後、テント膜の破れ数を調べ、これをテント膜信頼性とした。なお、評価は10枚現像後の平均破れ数で示した。
【0078】
〔テント膜強度〕
直径4.5mmのTHが空いた厚み1.6mmの基材を準備し、その表面に、上記感光性フィルムのPEフィルム(保護フィルム)を剥離しながら、PETフィルム(支持体フィルム)と感光性樹脂組成物層からなるフィルムを貼り付けた。そして、上記と同様の条件で露光および現像を行った後、直径2mmのテンションゲージを用いてテント膜強度を測定した。
【0079】
〔レジスト剥離速度〕
前記の解像性で述べたST7に相当するレジスト露光部(180mm×100mm)に、50℃の3重量%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーで吹き付け、レジスト剥離速度を測定した。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
上記表3および表4の結果から、実施例は、高解像度で、密着性に優れ、テント膜強度が高く、テント膜の破れが生じず、レジスト剥離性にも優れている。
【0083】
これに対して、比較例1〜3は、モノマー成分として、上記一般式(1)で表される化合物(B1)を用いていないため、テント膜強度が低く、テント膜の破れも多く、テント膜信頼性に著しく劣ることがわかる。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本発明の感光性フィルムは、バインダー成分(A)および光重合開始剤(C)とともに、少なくとも上記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有してなる特殊な感光性樹脂組成物を用いているため、高解像度で、薄膜でもテント膜強度に優れている。
【0085】
そして、上記バインダー成分(A)が、少なくともスチレン−アクリル系重合体(A1)を含有していると、硬化性に優れ、レジスト剥離が容易となる。
【0086】
また、上記バインダー成分(A)中のスチレン−アクリル系重合体(A1)の含有量が特定の範囲に設定されていると、レジスト剥離時間を短縮でき、レジスト剥離形状を小さくすることができる。
【0087】
さらに、上記光重合開始剤(C)が、ロフィン二量体(C1)およびp−アミノフェニルケトン類(C2)の双方を少なくとも含有していると、解像度および細線の密着性に優れる。
Claims (5)
- バインダー成分(A)が、少なくともスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体またはα−スチンレンと(メタ)アクリル酸の共重合体(A1)を含有している請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- バインダー成分(A)中のスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体またはα−スチンレンと(メタ)アクリル酸の共重合体(A1)の含有量が10〜40重量%の範囲である請求項2記載の感光性樹脂組成物。
- 光重合開始剤(C)が、ロフィン二量体(C1)およびp−アミノフェニルケトン類(C2)の双方を少なくとも含有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 感光性樹脂組成物層の片面に支持体フィルムが積層され、上記感光性樹脂組成物層の他面に保護フィルムが積層されてなる感光性フィルムであって、上記感光性樹脂組成物層が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする感光性フィルム。
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