以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、複数の冷媒回路系統を含んでおり、空気を吸入し各冷媒回路系統に対応する蒸発器を通過した空気を合流させた後に室内に吹き出すように構成された空気調和装置の一例としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、室内の冷房等を行う装置である。
空気調和装置1は、いわゆるセパレートタイプの空気調和装置であり、主として、複数(ここでは、2台)の室外ユニット2、3と、室内ユニット5と、室外ユニット2、3と室内ユニット5とを接続する冷媒連絡管6、7、8、9とを備えており、独立して蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことが可能な複数系統(ここでは、2系統)の冷媒回路10、11を構成している。
<室外ユニット>
室外ユニット2、3は、いずれも室外に設置されている。そして、第1室外ユニット2は、第1冷媒回路10の一部を構成する第1室外側冷媒回路10aを備えており、第2室外ユニット3は、第2冷媒回路11の一部を構成する第2室外側冷媒回路11aを備えている。
まず、第1室外ユニット2の第1室外側冷媒回路10aの構成について説明する。第1室外側冷媒回路10aは、主として、第1室外熱交換器21を有している。第1室外熱交換器21は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなり、室外空気を熱源として、高圧冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。第1室外熱交換器21の出口は、冷媒連絡管6を介して室内ユニット5(より具体的には、後述の第1膨張機構41)に接続されており、第1室外熱交換器21の入口は、冷媒連絡管7を介して室内ユニット5(より具体的には、後述の第1圧縮機43の吐出側)に接続されている。また、第1室外ユニット2は、本実施形態において、ユニット内に室外空気を吸入して、第1室外熱交換器21において冷媒と熱交換させた後に、ユニット外に排出するための第1室外ファン22を備えている。この第1室外ファン22は、第1室外ファン用モータ23によって駆動されるように構成されている。また、第1室外ユニット2は、第1室外ユニット2を構成する第1室外ファン22等の各部の動作を制御する第1室外側制御部24を備えている。そして、第1室外側制御部24は、第1室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリ等を有しており、室内ユニット5の室内側制御部50(後述)との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
次に、第2室外ユニット3の第2室外側冷媒回路11aの構成について説明する。第2室外側冷媒回路11aは、第1室外側冷媒回路10aと同様に、主として、高圧冷媒の冷却器として機能する熱交換器である第2室外熱交換器31を有している。第2室外熱交換器31の出口は、冷媒連絡管8を介して室内ユニット5(より具体的には、後述の第2膨張機構51)に接続されており、第2室外熱交換器31の入口は、冷媒連絡管9を介して室内ユニット5(より具体的には、後述の第2圧縮機53の吐出側)に接続されている。また、第2室外ユニット3は、第1室外ユニット2と同様に、第2室外ファン用モータ33によって駆動される第2室外ファン32を備えている。また、第2室外ユニット3は、第1室外ユニット2と同様に、第2室外ユニット3を構成する第2室外ファン32等の各部の動作を制御する第2室外側制御部34を備えており、室内ユニット5の室内側制御部50(後述)との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<室内ユニット>
室内ユニット5は、室内に設置されており、第1冷媒回路10の一部を構成する第1室内側冷媒回路10bと、第2冷媒回路11の一部を構成する第2室内側冷媒回路11bとを備えている。
まず、室内ユニット5の第1室内側冷媒回路10bの構成について説明する。この第1室内側冷媒回路10bは、主として、第1膨張機構41と、第1室内熱交換器42と、第1圧縮機43とを有している。第1膨張機構41は、主として、第1室外ユニット2の第1室外熱交換器21において冷却された冷媒の減圧を行うために、冷媒連絡管6を介して第1室外熱交換器21の出口に接続された電動膨張弁である。第1室内熱交換器42は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなり、低圧冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する熱交換器である。第1室内熱交換器42の入口は、第1膨張機構41に接続されており、第1室内熱交換器42の出口は、第1圧縮機43の吸入側に接続されている。第1圧縮機43は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して高圧冷媒として吐出する機能を有する容積式圧縮機であり、第1圧縮機用モータ44によって駆動されるように構成されている。本実施形態において、第1圧縮機43は密閉型圧縮機であり、第1圧縮機用モータ44は第1圧縮機43のケーシング内に内蔵されている。本実施形態において、第1圧縮機用モータ44は、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動されるようになっており、第1圧縮機43は、第1圧縮機用モータ44の周波数(すなわち、回転数)を可変することによって、運転容量を可変することが可能である。また、この第1圧縮機43の圧縮要素としては、本実施形態において、スクロール型の圧縮要素が使用されている。そして、第1圧縮機43の吸入側は、第1室内熱交換器42の出口に接続されており、第1圧縮機43の吐出側は、冷媒連絡管7を介して第1室外ユニット2の第1室外熱交換器21の入口に接続されている。
次に、室内ユニット5の第2室内側冷媒回路11bの構成について説明する。この第2室内側冷媒回路11bは、第1室内側冷媒回路10bと同様に、主として、第2膨張機構51と、第2室内熱交換器52と、第2圧縮機53とを有している。第2膨張機構51は、主として、第2室外ユニット3の第2室外熱交換器31において冷却された冷媒の減圧を行うために、冷媒連絡管8を介して第2室外熱交換器31の出口に接続された電動膨張弁である。第2室内熱交換器52は、第1室内熱交換器42と同様に、低圧冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する熱交換器である。第2室内熱交換器52の入口は、第2膨張機構51に接続されており、第2室内熱交換器52の出口は、第2圧縮機53の吸入側に接続されている。第2圧縮機53は、第1圧縮機43と同様に、低圧冷媒を吸入し、圧縮して高圧冷媒として吐出する機能を有する密閉型の容積式圧縮機であり、第2圧縮機53のケーシング内に内蔵された第2圧縮機用モータ54によって駆動されるように構成されている。また、第2圧縮機用モータ54は、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動されるようになっており、第2圧縮機53は、第2圧縮機用モータ54の周波数(すなわち、回転数)を可変することによって、運転容量を可変することが可能である。そして、第2圧縮機53の吸入側は、第2室内熱交換器52の出口に接続されており、第2圧縮機53の吐出側は、冷媒連絡管9を介して第2室外ユニット3の第2室外熱交換器31の入口に接続されている。
また、室内ユニット5は、本実施形態において、ユニット内に吸入口(図示せず)から室内空気(図1中の矢印A参照)を吸入して、ユニット内に収容された第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、熱交換された図示しない吹出口から供給空気(図1中の矢印D参照)として室内に吹き出すための室内ファン45を備えている。この室内ファン45は、室内ファン用モータ46によって駆動されるように構成されている。ここで、各冷媒回路10a、10bに対応する室内熱交換器42、52は、この室内ファン45によって生成される空気流に対して並列に配置されており、また、室内ファン45は、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52の両方に共通に設けられているため、各冷媒回路10a、10bに対応する室内熱交換器42、52を通過した空気(図1中の矢印B及び矢印C参照)は、室内ファン45によって合流された後に、室内に吹き出されるようになっている。
また、室内ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内ユニット5には、第1圧縮機43の吸入圧力Ps1を検出する第1吸入圧力センサ47と、第1圧縮機43の吐出圧力Pd1を検出する第1吐出圧力センサ48と、第1圧縮機43の吸入温度Ts1を検出する第1吸入温度センサ49と、第2圧縮機53の吸入圧力Ps2を検出する第2吸入圧力センサ57と、第2圧縮機53の吐出圧力Pd2を検出する第2吐出圧力センサ58と、第2圧縮機53の第2吸入温度Ts2を検出する第2吸入温度センサ59と、ユニット内に吸入される室内空気の温度(以下、吸入空気温度Tiとする)及び相対湿度(以下、吸入空気相対湿度RHiとする)を室内熱交換器42、52の上流側において検知する吸入空気温度・湿度センサ55と、ユニット外に吹き出される室内空気の温度(以下、吹出空気温度Toとする)を室内熱交換器42、52の下流側において検知する吹出空気温度センサ56とが設けられている。また、室内ユニット5は、室内ユニット5を構成する圧縮機43、53、膨張機構41、51や室内ファン45等の各部の動作を制御する室内側制御部50を備えている。この室内側制御部50は、室内ユニット5の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、第1室外ユニット2の第1室外側制御部24及び第2室外ユニット3の第2室外側制御部34との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
以上のように、この空気調和装置1では、第1室外側冷媒回路10aと第1室内側冷媒回路10bとが冷媒連絡管6、7を介して接続されることで蒸気圧縮式の第1冷媒回路10が構成され、そして、第2室外側冷媒回路11aと第2室内側冷媒回路11bとが冷媒連絡管8、9を介して接続されることで蒸気圧縮式の第2冷媒回路11が構成されており、各冷媒回路系統がそれぞれ独立して蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことが可能な構成、すなわち、圧縮機、冷却器、膨張機構及び蒸発器をそれぞれ有する複数(ここでは、2つ)の冷媒回路系統を含んだ構成になっている。また、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)は、これらの蒸発器に共通に設けられた室内ファン45を備えた1つの室内ユニット5に収容されており、この室内ファン45によって生成される空気流に対して並列に配置されているため、この空気調和装置1は、空気を吸入し、各冷媒回路系統に対応する蒸発器を通過した空気を合流させた後に、室内に吹き出すことが可能になっている。
また、室内側制御部50と室外側制御部24、34とによって、空気調和装置1の制御装置12が構成されている。この制御装置12には、図2に示されるように、各種センサ47〜49、55〜59が検知した状態量(圧力値や温度値等)に対応する信号を取り込むことができるようになっている。これらの信号は、制御装置12において、空気調和装置1の運転制御を行うために使用される。ここで、図2は、空気調和装置1の制御装置12の制御ブロック図(室内側制御部50及び室外側制御部24、34については、制御装置12としてまとめて図示)である。
(2)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置1の基本動作について、図1を用いて説明する。
圧縮機43、53、室内ファン45及び室外ファン22、32を起動すると、第1冷媒回路10においては、以下のような冷凍サイクル運転が行われる。まず、低圧冷媒は、室内ユニット5の第1圧縮機43に吸入されて圧縮されて高圧冷媒となる。その後、高圧冷媒は、冷媒連絡管7を経由して第1室外ユニット2に送られ、第1室外熱交換器21において、第1室外ファン22によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。そして、第1室外熱交換器21において冷却された高圧冷媒は、冷媒連絡管6を経由して室内ユニット5に送られる。この室内ユニット5に送られた高圧冷媒は、第1膨張機構41によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって第1室内熱交換器42に送られ、第1室内熱交換器42において、室内ファン45によって供給される空気(図1中の矢印A参照)の一部(より具体的には、第2室内熱交換器52を通過する空気を除いた空気の一部)と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して低圧冷媒となる。この第1室内熱交換器42において加熱された低圧冷媒は、再び、第1圧縮機43に吸入される。
また、第2冷媒回路11においても、第1冷媒回路10と同様の冷凍サイクル運転が行われる。まず、低圧冷媒は、室内ユニット5の第2圧縮機53に吸入されて圧縮されて高圧冷媒となる。その後、高圧冷媒は、冷媒連絡管9を経由して第2室外ユニット3に送られ、第2室外熱交換器31において、第2室外ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。そして、第2室外熱交換器31において冷却された高圧冷媒は、冷媒連絡管8を経由して室内ユニット5に送られる。この室内ユニット5に送られた高圧冷媒は、第2膨張機構51によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって第2室内熱交換器52に送られ、第2室内熱交換器52において、室内ファン45によって供給される空気(図1中の矢印A参照)の一部(より具体的には、第1室内熱交換器42を通過する空気を除いた空気の一部)と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して低圧冷媒となる。この第2室内熱交換器52において加熱された低圧冷媒は、再び、第2圧縮機43に吸入される。
そして、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過した空気(図1中の矢印B参照)と、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過した空気(図1中の矢印C参照)とは、室内ファン45によって合流された後に、室内に吹き出されることになる。これにより、冷房運転や除湿運転が行われる(図1中の矢印D参照)。
しかし、このような基本動作中においては、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷媒循環量等の運転状態の違いから、各蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気(ここでは、図1中の矢印B、Cで示される空気)間に温度差が生じてしまい、各冷媒回路系統に対応する蒸発器を通過した空気が合流した際に、装置内(ここでは、室内ユニット5内)において結露が生じるおそれがある。例えば、第2室内熱交換器52を通過した空気の温度To2に比べて第1室内熱交換器42を通過した空気の温度To2が低い場合を想定すると、図1及び図3に示されるように、室内空気(図1中の矢印A参照)は、吸入空気温度Ti及び吸入空気絶対湿度xi(すなわち、吸入空気相対湿度RHi)の状態(図3中の点A参照)でユニット内に吸入され、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過した空気(図1中の矢印B参照)は、温度To1及び絶対湿度xo1の状態(図3中の点B参照)まで冷却・除湿され、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過した空気(図1中の矢印C参照)は、温度To2及び絶対湿度xo2の状態(図3中の点C参照)まで冷却・除湿され、その後、第1室内熱交換器42を通過した空気と第2室内熱交換器52を通過した空気とが合流することになるが、第1室内熱交換器52を通過した空気は、合流の際に、第1室内熱交換器42を通過した空気によって加熱されて、図3中の点Bの状態から点Dの状態に変化し、第2室内熱交換器52を通過した空気は、合流の際に、第1室内熱交換器42を通過した空気によって冷却されて、図3中の点Cの状態から点Dの状態に変化することになるため、その結果、第1室内熱交換器42を通過した空気中に含まれる水分の一部が結露して、吹出空気温度To及び吹出空気絶対湿度xo(吹出空気相対湿度100%)の状態(図3中の点D参照)になる。ここで、図3は、複数の冷媒回路系統を含んでおり、空気を吸入し各冷媒回路系統に対応する蒸発器を通過した空気を合流させた後に室内に吹き出すように構成された空気調和装置の動作を示す空気線図である。
これに対して、以下に説明するような運転制御を行って、装置内において結露が生じるのを防ぐようにしている。
(3)第1実施形態(蒸発温度均等化制御)
本実施形態においては、上述のような装置内(ここでは、室内ユニット5内)における結露が生じるのを防ぐために、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度間の温度差である蒸発温度差がしきい値を超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御する蒸発温度均等化制御を行うことで、各蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気が合流した際に生じる結露量を無視できる程度まで少なくして、装置内において結露が生じるのを防ぐようにしている。
以下、この蒸発温度均等化制御について、図1〜図4及び図5を用いて説明する。ここで、図4は、本実施形態にかかる蒸発温度均等化制御を示すフローチャートであり、図5は、本実施形態にかかる蒸発温度均等化制御又は後述の第2実施形態にかかる冷却能力均等化制御を採用した場合における空気調和装置の動作を示す空気線図である。
まず、ステップS1において、空気調和装置1の室内ユニット5の吹出空気温度Toと空気調和装置1の室内ユニット5の吸入空気の露点(以下、吸入空気露点Tdewとする)との比較を行い、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転であるかどうかを判定する。より具体的には、吸入空気温度・湿度センサ55によって検出される吸入空気温度Ti及び吸入空気相対湿度RHiから吸入空気露点Tdewを演算し、この吸入空気露点Tdewに定数αを加えた値と吹出空気温度センサ56によって検出された吹出空気温度Toとを比較して、吹出空気温度Toのほうが低ければ、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転であるものと判定し、吹出空気温度Toのほうが高ければ、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転でないものと判定する。ここで、定数αは、センサ55、56の検出誤差等を補正するための値である。
そして、このステップS1において、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転であるものと判定された場合には、図3に示されるような各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気が合流した際に結露が生じているものとして、ステップS2以降の処理に移行し、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転でないものと判定された場合には、このステップS1の処理が繰り返される。
次に、ステップS2において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度(以下、第1冷媒回路10における蒸発温度を第1蒸発温度Te1とし、第1冷媒回路10における蒸発温度を第2蒸発温度Te2とする)を求める。より具体的には、第1蒸発温度Te1は、第1吸入圧力センサ47によって検出される吸入圧力Ps1を飽和温度に換算することによって得られ、第2蒸発温度Te2は、第2吸入圧力センサ57によって検出される吸入圧力Ps2を飽和温度に換算することによって得られる。尚、蒸発温度Te1、Te2を取得する方法は、吸入圧力を飽和温度に換算する方法に限られるものではなく、例えば、各室内熱交換器42、52に温度センサを設けて、各温度センサによって検出される温度値から蒸発温度Te1、Te2を取得するようにしてもよい。
次に、ステップS3において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度Te1、Te2間の温度差である蒸発温度差(ここでは、Te2−Te1とする)がしきい蒸発温度差βを超えているかどうかを判定する。ここでは、第1冷媒回路10における第1蒸発温度Te1が第2冷媒回路11における第2蒸発温度Te2よりも低く、しかも、この蒸発温度差が、しきい蒸発温度差βよりも大きいかどうかを判定する。ここで、各蒸発温度Te1、Te2が、各冷媒回路10、11における冷却能力(より具体的には、各室内熱交換器42、52における交換熱量)にほぼ対応するものと考えると、この蒸発温度差は、第1冷媒回路10の冷却能力(以下、第1冷却能力Q1とする)と第2冷媒回路11の冷却能力(以下、第2冷却能力Q2とする)との冷却能力差にほぼ対応することになる。このため、このステップS3における処理は、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図3中の点B、点C参照)間の温度差(ここでは、To2−To1)が大きく、両空気が合流した際に室内ユニット5内において結露が生じる状態であるかどうか(すなわち、図3に示されるような状態であるかどうか)の判定をしていることになる。そして、この判定に使用されるしきい蒸発温度差βは、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる状態に対応するように設定されている。
そして、このステップS3において、冷媒回路10、11間の蒸発温度差(ここでは、Te2−Te1)がしきい蒸発温度差βを超えていると判定された場合、すなわち、第1冷媒回路10に対応する第1蒸発温度Te1が第2冷媒回路11に対応する第2蒸発温度Te2がよりも低く、しかも、この蒸発温度差が、しきい蒸発温度差βよりも大きいと判定された場合には、ステップS4の処理に移行し、冷媒回路10、11間の蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えていないと判定された場合、すなわち、この蒸発温度差がしきい蒸発温度差βよりも小さいと判定された場合には、ステップS5の処理に移行する。
次に、ステップS4において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度Te1、Te2間の温度差である蒸発温度差(ここでは、Te2−Te1とする)が、しきい蒸発温度差βを超えないように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、この蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないように、各冷媒回路10、11を構成する圧縮機43、53の容量制御を行う。より具体的には、蒸発温度が低い側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を小さくする制御を行う。このような制御を行うと、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量が減少するため、第1冷却能力Q1が小さくなるとともに、第1蒸発温度Te1が高くなり、その結果、第1蒸発温度Te1が第2蒸発温度Te2に近づき、この蒸発温度差が小さくなる。そして、このステップS4の処理を、ステップS1→S2→S3→S4の順に繰り返すことで、図5に示されるように、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1が高くなって、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2に近づき、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。尚、上述においては、蒸発温度が低い側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を小さくする制御を行うことで、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないようにしているが、蒸発温度が高い側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を大きくする制御を行うことで、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないようにしてもよい。この場合においては、第2冷媒回路11を循環する冷媒流量が増加するため、第2冷却能力Q2が大きくなるとともに、第2蒸発温度Te2が低くなり、その結果、第2蒸発温度Te2が第1蒸発温度Te1に近づき、この蒸発温度差が小さくなる。そして、このステップS4の処理を、ステップS1→S2→S3→S4の順に繰り返すことで、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2が低くなって、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1に近づき、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。
次に、ステップS5において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度Te1、Te2間の温度差である蒸発温度差(ここでは、Te1−Te2とする)がしきい蒸発温度差βを超えているかどうかを判定する。ここでは、ステップS3とは逆に、第2冷媒回路11における第2蒸発温度Te2が第1冷媒回路10における第1蒸発温度Te1よりも低く、しかも、この蒸発温度差が、しきい蒸発温度差βよりも大きいかどうかを判定する。そして、このステップS5において、冷媒回路10、11間の蒸発温度差(ここでは、Te1−Te2)がしきい蒸発温度差βを超えていると判定された場合には、ステップS6の処理に移行し、冷媒回路10、11間の蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えていないと判定された場合には、ステップS6の処理を行うことなく、ステップS1の処理に戻る。
次に、ステップS6において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度Te1、Te2間の温度差である蒸発温度差(ここでは、Te1−Te2とする)が、しきい蒸発温度差βを超えないように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、この蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないように、各冷媒回路10、11を構成する圧縮機43、53の容量制御を行う。より具体的には、蒸発温度が低い側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を小さくする制御を行う。このような制御を行うと、第2冷媒回路11を循環する冷媒流量が減少するため、第2冷却能力Q2が小さくなるとともに、第2蒸発温度Te2が高くなり、その結果、第2蒸発温度Te2が第1蒸発温度Te1に近づき、この蒸発温度差が小さくなる。そして、このステップS6の処理を、ステップS1→S2→S3→S5→S6の順に繰り返すことで、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2が高くなって、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1に近づき、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。尚、上述においては、蒸発温度が低い側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を小さくする制御を行うことで、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないようにしているが、蒸発温度が高い側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を大きくする制御を行うことで、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないようにしてもよい。この場合においては、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量が増加するため、第1冷却能力Q1が大きくなるとともに、第1蒸発温度Te1が低くなるため、その結果、第1蒸発温度Te1が第2蒸発温度Te2に近づき、この蒸発温度差が小さくなる。そして、このステップS6の処理を、ステップS1→S2→S3→S5→S6の順に繰り返すことで、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1が低くなって、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2に近づき、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。
(4)第1実施形態の変形例
上述の第1実施形態の蒸発温度均等化制御では、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における蒸発温度(ここでは、第1蒸発温度Te1及び第2蒸発温度Te2)間の温度差である蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超える場合に、蒸発温度差がしきい蒸発温度差βを超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御しているが、蒸発温度に等価な状態量としての蒸発温度相当状態量間の差である蒸発温度差相当状態量がしきい蒸発温度差に等価なしきい蒸発温度差相当状態量を超える場合に、蒸発温度差相当状態量がしきい蒸発温度差相当状態量を超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御するようにしてもよい。例えば、第1実施形態においては、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する圧縮機43、53の吸入圧力(ここでは、第1吸入圧力Ps1及び第2吸入圧力Ps2)を第1蒸発温度Te1及び第2蒸発温度Te2に換算しているが、各吸入圧力Ps1、Ps2を蒸発温度差相当状態量として、蒸発温度Te1、Te2の代わりに使用し、各吸入圧力Ps1、Ps2間の圧力差を蒸発温度差相当状態量として使用し、さらに、しきい蒸発温度差βに等価なしきい蒸発温度差相当状態量を設定して、上述に示される第1実施形態の蒸発温度均等化制御と同様の制御を行うようにしてもよい。
(5)第2実施形態(冷却能力均等化制御)
本実施形態においては、上述のような装置内(ここでは、室内ユニット5内)における結露が生じるのを防ぐために、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力の比である冷却能力比がしきい値を超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御する冷却能力均等化制御を行うことで、第1実施形態の蒸発温度均等化制御と同様に、各蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気が合流した際に生じる結露量を無視できる程度まで少なくして、装置内において結露が生じるのを防ぐようにしている。
以下、この冷却能力均等化制御について、図1〜図3、図5及び図6を用いて説明する。ここで、図6は、本実施形態にかかる冷却能力均等化制御を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、空気調和装置1の室内ユニット5の吹出空気温度Toと空気調和装置1の室内ユニット5の吸入空気の露点(以下、吸入空気露点Tdewとする)との比較を行い、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転であるかどうかを判定する。尚、ステップS11の具体的な処理内容は、第1実施形態の蒸発温度均等化制御におけるステップS1の処理内容と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
次に、ステップS12において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力(ここでは、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2)を求める。より具体的には、第1冷媒回路10の第1冷却能力Q1は、第1冷媒回路10において安定的な冷凍サイクル運転が行われている際には、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量、すなわち、第1圧縮機43の第1運転容量G1と相関することから、この第1運転容量G1を第1圧縮機43の周波数f1(すなわち、回転数n1)、第1吸入圧力センサ47によって検出される第1吸入圧力Ps1、第1吐出圧力センサ48によって検出される第1吐出圧力Pd1、及び第1吸入温度センサ49によって検出される第1吸入温度Ts1等から演算し、運転容量と冷却能力との相関式等を用いて演算することによって得られる。また、第2冷媒回路11の第2冷却能力Q2は、第2冷媒回路11において安定的な冷凍サイクル運転が行われている際には、第2冷媒回路10を循環する冷媒流量、すなわち、第2圧縮機53の第2運転容量G2と相関することから、この第2運転容量G2を第2圧縮機53の周波数f2(すなわち、回転数n2)、第2吸入圧力センサ57によって検出される第2吸入圧力Ps2、第2吐出圧力センサ58によって検出される第2吐出圧力Pd2、及び第2吸入温度センサ59によって検出される第2吸入温度Ts2等から演算し、運転容量と冷却能力との相関式等を用いて演算することによって得られる。尚、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2を取得する方法は、上述の方法に限られるものではなく、例えば、各膨張機構41、51の入口側に温度センサを設けて、これらの温度センサによって検出される各冷媒温度及び各吐出圧力Pd1、Pd2を冷媒のエンタルピ(各室内熱交換器42、52の入口における冷媒のエンタルピに相当)に換算し、各吸入温度Ts1、Ts2及び各吸入圧力Ps1、Ps2を冷媒のエンタルピ(各室内熱交換器42、52の出口における冷媒のエンタルピに相当)に換算し、各入口出口間の冷媒のエンタルピ差に各運転容量G1、G2を乗算することによって、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2を取得するようにしてもよい。
次に、ステップS13において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力Q1、Q2の比である冷却能力比(ここでは、Q1/Q2とする)がしきい冷却能力比γを超えているかどうかを判定する。ここでは、第1冷媒回路10における第1冷却能力Q1が第2冷媒回路11における第2冷却能力Q2よりも大きく、しかも、この冷却能力比が、しきい冷却能力比γよりも大きいかどうかを判定する。ここで、各冷却能力Q1、Q2は、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図3中の点B、点C参照)間の温度差(ここでは、To2−To1)に対応するため、このステップS13における処理は、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図3中の点B、点C参照)間の温度差(ここでは、To2−To1)が大きく、両空気が合流した際に室内ユニット5内において結露が生じる状態であるかどうか(すなわち、図3に示されるような状態であるかどうか)の判定をしていることになる。そして、この判定に使用されるしきい冷却能力比γは、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる状態に対応するように設定されている。
そして、このステップS13において、冷媒回路10、11間の冷却能力比(ここでは、Q1/Q2)がしきい冷却能力比γを超えていると判定された場合、すなわち、第1冷媒回路10に対応する第1冷却能力Q1が第2冷媒回路11に対応する第2冷却能力Q2がよりも低く、しかも、この冷却能力比が、しきい冷却能力比γよりも大きいと判定された場合には、ステップS14の処理に移行し、冷媒回路10、11間の冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えていないと判定された場合、すなわち、この冷却能力比がしきい冷却能力比γよりも小さいと判定された場合には、ステップS15の処理に移行する。
次に、ステップS14において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力Q1、Q2の比である冷却能力比(ここでは、Q1/Q2)が、しきい冷却能力比γを超えないように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、この冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないように、各冷媒回路10、11を構成する圧縮機43、53の容量制御を行う。より具体的には、冷却能力が大きい側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を小さくする制御を行う。このような制御を行うと、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量が減少するため、第1冷却能力Q1が小さくなり、その結果、第1冷却能力Q1が第2冷却能力Q2に近づき、この冷却能力比が小さくなる。そして、このステップS14の処理を、ステップS11→S12→S13→S14の順に繰り返すことで、図5に示されるように、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1が高くなって、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2に近づき、冷却能力比がしきい冷却能力比γよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。尚、上述においては、冷却能力が大きい側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を小さくする制御を行うことで、冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないようにしているが、冷却能力が小さい側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を大きくする制御を行うことで、冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないようにしてもよい。この場合においては、第2冷媒回路11を循環する冷媒流量が増加するため、第2冷却能力Q2が大きくなり、その結果、第2冷却能力Q2が第1冷却能力Q1に近づき、この冷却能力比が小さくなる。そして、このステップS14の処理を、ステップS11→S12→S13→S14の順に繰り返すことで、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2が低くなって、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1に近づき、冷却能力比がしきい冷却能力比γよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。
次に、ステップS15において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力Q1、Q2の比である冷却能力比(ここでは、Q2/Q1とする)がしきい冷却能力比γを超えているかどうかを判定する。ここでは、ステップS13とは逆に、第2冷媒回路11における第2冷却能力Q2が第1冷媒回路10における第1冷却能力Q1よりも大きく、しかも、この冷却能力比が、しきい冷却能力比γよりも大きいかどうかを判定する。そして、このステップS15において、冷媒回路10、11間の冷却能力比(ここでは、Q2/Q1)がしきい冷却能力比γを超えていると判定された場合には、ステップS16の処理に移行し、冷媒回路10、11間の冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えていないと判定された場合には、ステップS16の処理を行うことなく、ステップS11の処理に戻る。
次に、ステップS16において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力Q1、Q2の比である冷却能力比(ここでは、Q2/Q1)が、しきい冷却能力比γを超えないように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、この冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないように、各冷媒回路10、11を構成する圧縮機43、53の容量制御を行う。より具体的には、冷却能力が大きい側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を小さくする制御を行う。このような制御を行うと、第2冷媒回路11を循環する冷媒流量が減少するため、第2冷却能力Q2が小さくなり、その結果、第2冷却能力Q1が第1冷却能力Q1に近づき、この冷却能力比が小さくなる。そして、このステップS16の処理を、ステップS11→S12→S13→S15→S16の順に繰り返すことで、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2が高くなって、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1に近づき、冷却能力比がしきい冷却能力比γよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。尚、上述においては、冷却能力が大きい側の冷媒回路(ここでは、第2冷媒回路11)を構成する第2圧縮機53の運転容量を小さくする制御を行うことで、冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないようにしているが、冷却能力が小さい側の冷媒回路(ここでは、第1冷媒回路10)を構成する第1圧縮機43の運転容量を大きくする制御を行うことで、冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないようにしてもよい。この場合においては、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量が増加するため、第1冷却能力Q1が大きくなり、その結果、第1冷却能力Q1が第2冷却能力Q2に近づき、この冷却能力比が小さくなる。そして、このステップS16の処理を、ステップS11→S12→S13→S15→S16の順に繰り返すことで、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1が低くなって、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気の温度To2に近づき、冷却能力比がしきい冷却能力比γよりも小さくなると、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流した際に室内ユニット5内において生じる結露量が無視できる程度まで少なくなる。
尚、本実施形態における冷却能力均等化制御によって装置内において結露が生じるのを防ぐ場合には、各冷媒回路系統の冷却能力の均等化を行うものであるため、第1実施形態における蒸発温度均等化制御のような各冷媒回路系統の蒸発温度の均等化を行うものに比べて、直接的かつ正確に各蒸発器を通過する空気の温度を近づけることが可能な手法であるといえる。
(6)第2実施形態の変形例
上述の第2実施形態の冷却能力均等化制御では、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力(ここでは、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2)の比である冷却能力比がしきい冷却能力比γを超える場合に、冷却能力比がしきい冷却能力比γを超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御しているが、各冷媒回路系統における冷却能力の能力差である冷却能力差がしきい冷却能力差を超える場合に、冷却能力差がしきい冷却能力差を超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御するようにしてもよい。例えば、第2実施形態においては、ステップS13において、冷却能力比(ここでは、Q1/Q2)がしきい冷却能力比γを超えているかどうかを判定しているが、これに代えて、冷却能力差(ここでは、Q1−Q2)がしきい冷却能力差を超えているかどうかを判定し、また、ステップS15において、冷却能力比(ここでは、Q2/Q1)がしきい冷却能力比γを超えているかどうかを判定しているが、これに代えて、冷却能力差(ここでは、Q2−Q1)がしきい冷却能力差を超えているかどうかを判定するようにしてもよい。
(7)第3実施形態(湿度適正化制御)
本実施形態においては、上述のような装置内(ここでは、室内ユニット5内)における結露が生じるのを防ぐために、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力に基づいて各冷媒回路系統に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した空気の状態量を演算し、これらの演算された各空気の状態量に基づいて各冷媒回路系統に対応する蒸発器を通過した空気が合流した状態における相対湿度である合計相対湿度を演算し、この合計相対湿度がしきい合計相対湿度を超えないように、各冷媒回路系統を構成する機器を制御する湿度適正化制御を行うことで、各蒸発器を通過した後の空気間に温度差が生じる状態で運転を行いつつ、各蒸発器を通過した後の空気が合流する際に、温度の高い空気が温度の低い空気によって冷却されても結露が生じないようにして、装置内において結露が生じるのを防ぐようにしている。
以下、この湿度適正化制御について、図1〜図3、図7及び図8を用いて説明する。ここで、図7は、本実施形態にかかる湿度適正化制御を示すフローチャートであり、図8は、本実施形態にかかる湿度適正化制御を採用した場合における空気調和装置の動作を示す空気線図である。
まず、ステップS21において、空気調和装置1の室内ユニット5の吹出空気温度Toと空気調和装置1の室内ユニット5の吸入空気の露点(以下、吸入空気露点Tdewとする)との比較を行い、吹出空気中に水分が飽和した状態及びそれに近い状態における運転であるかどうかを判定する。尚、ステップS21の具体的な処理内容は、第1実施形態の蒸発温度均等化制御におけるステップS1の処理内容と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
次に、ステップS22において、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)における冷却能力(ここでは、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2)及び室内ファン45の風量Wを求める。より具体的には、第1冷媒回路10の第1冷却能力Q1は、第1冷媒回路10において安定的な冷凍サイクル運転が行われている際には、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量、すなわち、第1圧縮機43の第1運転容量G1と相関することから、この第1運転容量G1を第1圧縮機43の周波数f1(又は、回転数n1)、第1吸入圧力センサ47によって検出される第1吸入圧力Ps1、第1吐出圧力センサ48によって検出される第1吐出圧力Pd1、及び第1吸入温度センサ49によって検出される第1吸入温度Ts1等から演算し、運転容量と冷却能力との相関式等を用いて演算することによって得られる。また、第2冷媒回路11の第2冷却能力Q2は、第2冷媒回路11において安定的な冷凍サイクル運転が行われている際には、第2冷媒回路10を循環する冷媒流量、すなわち、第2圧縮機53の第2運転容量G2と相関することから、この第2運転容量G2を第2圧縮機53の周波数f2(又は、回転数n2)、第2吸入圧力センサ57によって検出される第2吸入圧力Ps2、第2吐出圧力センサ58によって検出される第2吐出圧力Pd2、及び第2吸入温度センサ59によって検出される第2吸入温度Ts2等から演算し、運転容量と冷却能力との相関式等を用いて演算することによって得られる。尚、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2を取得する方法は、上述の方法に限られるものではなく、例えば、各膨張機構41、51の入口側に温度センサを設けて、これらの温度センサによって検出される各冷媒温度及び各吐出圧力Pd1、Pd2を冷媒のエンタルピ(各室内熱交換器42、52の入口における冷媒のエンタルピに相当)に換算し、各吸入温度Ts1、Ts2及び各吸入圧力Ps1、Ps2を冷媒のエンタルピ(各室内熱交換器42、52の出口における冷媒のエンタルピに相当)に換算し、各入口出口間の冷媒のエンタルピ差に各運転容量G1、G2を乗算することによって、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2を取得するようにしてもよい。また、室内ファン45の風量Wは、主として、室内ファン45の静圧設定Pf(この値は、室内ファン45の設置条件・構造等によって決まる装置定数)から演算される。尚、室内ファン45がインバータ装置により風量を可変できる場合には、静圧設定Pfに加えて室内ファン45のファンの周波数ff(又は回転数nf)から演算される。
次に、ステップS23において、ステップS22において取得した冷却能力(ここでは、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2)及び室内ファン45の風量Wから、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)における入口出口間の空気のエンタルピ差(以下、第1室内熱交換器42側の空気のエンタルピ差を第1エンタルピ差Δh1とし、第2室内熱交換器52側の空気のエンタルピ差を第2エンタルピ差Δh2とする)を演算する。より具体的には、まず、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する風量(以下、第1風量W1とする)及び第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する風量(以下、第2風量W2とする)を、各室内熱交換器42、52における空気の通過面積の比及びステップS22において取得した室内ファン45の風量Wから演算する。そして、第1冷却能力Q1及び第1風量W1から第1エンタルピ差Δh1を演算し、第2冷却能力Q2及び第2風量W2から第2エンタルピ差Δh2を演算する。
次に、ステップS24において、吸入空気温度・湿度センサ55によって検出される吸入空気温度Ti及び吸入空気相対湿度RHiとステップS23において演算されたエンタルピ差Δh1、Δh2とから、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した空気の状態量としての温度及び相対湿度(以下、第1室内熱交換器42を通過した空気の温度及び相対湿度を第1出口温度To1及び第1出口相対湿度RHo1とし、第2室内熱交換器52を通過した空気の温度及び相対湿度を第2出口温度To2及び第2出口相対湿度RHo2とする)を演算する。より具体的には、吸入空気温度Ti及び吸入空気相対湿度RHiと第1エンタルピ差Δh1とから、第1室内熱交換器42を通過した空気のエンタルピ(以下、第1出口エンタルピho1とする)を演算し、この第1出口エンタルピho1から、第1出口温度To1及び第1出口相対湿度RHo1を演算する。また、吸入空気温度Ti及び吸入空気相対湿度RHiと第2エンタルピ差Δh2とから、第2室内熱交換器52を通過した空気のエンタルピ(以下、第2出口エンタルピho2とする)を演算し、この第2出口エンタルピho2から、第2出口温度To2及び第2出口相対湿度RHo2を演算する。
次に、ステップS25において、ステップS24において演算された各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した空気の状態量(ここでは、第1室内熱交換器42を通過した空気の第1出口温度To1、第1出口相対湿度RHo1及び第2室内熱交換器52を通過した空気の第2出口温度To2及び第2出口相対湿度RHo2)に基づいて、各蒸発器を通過した空気が合流した状態における相対湿度である合計相対湿度RHoを演算する。より具体的には、ステップS22において演算された各室内熱交換器42、52を通過する風量W1、W2と、ステップS24において演算された第1室内熱交換器42を通過した空気の第1出口温度To1及び第1出口相対湿度RHo1と、ステップS24において演算された第2室内熱交換器52を通過した空気の第2出口温度To2及び第2出口相対湿度RHo2とから、合計相対湿度RHoを演算する。
次に、ステップS26において、ステップS25において演算された合計相対湿度RHoがしきい合計相対湿度δを超えているかどうかを判定する。ここで、合計相対湿度RHoがしきい合計相対湿度δを超えている場合(すなわち、RHo<δの条件を満たさない場合)とは、例えば、図3に示されるように、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図3中の点B、点C参照)間の温度差(ここでは、To2−To1)が大きく、両空気が合流した際に室内ユニット5内において結露が生じる状態であることを示すものである。尚、この判定に使用されるしきい合計相対湿度δは、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気が合流する過程において冷却される側の空気が結露しない状態(図3においては、点Cから点Dになる過程において結露が生じない状態)に対応するように設定されている。
そして、このステップS26において、合計相対湿度RHoがしきい合計相対湿度δを超えていると判定された場合には、ステップS27の処理に移行し、合計相対湿度RHoがしきい合計相対湿度δを超えていないと判定された場合(すなわち、RHo<δの条件を満たす場合)には、ステップS21の処理に戻る。
次に、ステップS27において、ステップS22において取得した冷却能力(ここでは、第1冷却能力Q1及び第2冷却能力Q2)を比較して、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)のうち、どの冷媒回路系統における冷却能力が小さいかを判定する。
そして、このステップS27において冷却能力が小さいと判定された側の冷媒回路系統については、合計相対湿度RHoがしきい合計相対湿度δを超えないようにするために、その冷却能力が小さくなるように、各冷媒回路系統を構成する機器の制御を行う。例えば、図3に示されるように、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図3中の点B、点C参照)間の温度差(ここでは、To2−To1)が大きく、第2冷媒回路11における第2冷却能力Q2の方が小さい場合においては、ステップS28の処理に移行して、第2冷媒回路11における第2冷却能力Q2がさらに小さくなるように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、冷却能力が小さい側の冷媒回路系統(ここでは、第2冷媒回路11)における圧縮機(ここでは、第2圧縮機53)の運転容量を小さくすることで、第2冷媒回路11を循環する冷媒流量が減少させて、第2冷却能力Q2をさらに小さくする。そして、このステップS28の処理を、ステップS21→S22→S23→S24→S25→S26→S27→S28の順に繰り返すことで、図8に示されるように、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を通過する空気(図8中の点C)の温度To2が高くなって、相対湿度100%の線から遠ざかることになるため、その結果、各蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気間に温度差が生じる状態で運転を行いつつ、各蒸発器を通過した後の空気(図1中の矢印B、C及び図8中の点B、点C参照)が合流する際に、温度の高い空気が温度の低い空気によって冷却されても結露が生じないようにすることができる。
また、図3や図8とは逆に、各冷媒回路10、11に対応する室内熱交換器42、52を通過した後の空気(図1中の矢印B、C)間の温度差(ここでは、To1−To2)が大きく、第2冷媒回路11における第1冷却能力Q1の方が小さい場合においては、ステップS29の処理に移行して、第1冷媒回路10における第1冷却能力Q1がさらに小さくなるように、各冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)を構成する機器の制御を行う。本実施形態においては、冷却能力が小さい側の冷媒回路系統(ここでは、第1冷媒回路10)における圧縮機(ここでは、第1圧縮機43)の運転容量を小さくすることで、第1冷媒回路10を循環する冷媒流量が減少させて、第1冷却能力Q1をさらに小さくする。そして、このステップS29の処理を、ステップS21→S22→S23→S24→S25→S26→S27→S29の順に繰り返すことで、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を通過する空気の温度To1が高くなって、相対湿度100%の線から遠ざかることになるため、その結果、各蒸発器(ここでは、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)を通過した後の空気間に温度差が生じる状態で運転を行いつつ、各蒸発器を通過した後の空気(図1中の矢印B、C参照)が合流する際に、温度の高い空気が温度の低い空気によって冷却されても結露が生じないようにすることができる。
尚、本実施形態における湿度適正化制御によって装置内において結露が生じるのを防ぐ場合には、第1実施形態における蒸発温度均等化制御において蒸発温度が低い側の冷媒回路系統の蒸発温度を高くする方向に制御したり、第2実施形態における冷却能力均等化制御において冷却能力の大きい側の冷媒回路系統の冷却能力を小さくする方向に制御することによって装置内において結露が生じるのを防ぐ場合に比べて、冷却能力の小さい冷媒回路系統以外の冷媒回路系統における冷却能力が維持される傾向にあるため、装置内において結露が生じるのを防ぎつつ、除湿能力を高く維持したい場合に有利な手法であるといえる。
(8)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上述の実施形態及びその変形例が適用された空気調和装置1においては、複数の冷媒回路系統(具体的には、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する凝縮器(具体的には、第1室外熱交換器21及び第2室外熱交換器31)を、それぞれ系統ごとに、室外ユニット(具体的には、第1室外ユニット2及び第2室外ユニット3)に収容しているが、1つの室外ユニットにまとめて収容するようにしてもよい。
(B)
上述の実施形態及びその変形例が適用された空気調和装置1においては、各冷媒回路系統(具体的には、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応して各1台の圧縮機(具体的には、第1圧縮機43及び第2圧縮機53)が設けられているが、各冷媒回路系統の能力を大きくする場合等においては、各冷媒回路系統に複数台の圧縮機が設けられていてもよい。
(C)
上述の実施形態及びその変形例が適用された空気調和装置1においては、室内ユニットに圧縮機が設けられた、いわゆるリモートコンデンサタイプであったが、室外ユニットに圧縮機が設けられている等のように、他のタイプの空気調和装置であってもよい。
(D)
複数の冷媒回路系統(上述の実施形態及びその変形例では、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11)に対応する蒸発器(上述の実施形態及びその変形例では、第1室内熱交換器42及び第2室内熱交換器52)については、室内ファン45によって生成される空気流に対して並列に配置されたものであればよいため、フィンチューブ型の熱交換器が採用される場合には、伝熱管については複数の冷媒回路系統に対応するように分け、フィンについては複数の冷媒回路系統に共通して設けるようにしてもよい。
また、図9に示されるように、第1冷媒回路10に対応する第1室内熱交換器42を2つの部分42a、42bに分けるとともに、第2冷媒回路11に対応する第2室内熱交換器52を2つの部分52a、52bに分けて、空気流に対する並列配置を維持しつつ、これらを交互に並べる等のように、複数の冷媒回路系統に対応する蒸発器をさらに複数の部分に分けた構成にしてもよい。
(E)
上述の実施形態及びその変形例においては、複数の冷媒回路系統の例として、第1冷媒回路10及び第2冷媒回路11からなる2系統の構成を挙げているが、3系統以上の構成であってもよい。但し、この場合には、第1実施形態についてはステップS3、S4やステップS5、S6の処理が、第2実施形態についてはステップS13、S14やステップS15、S16の処理が、第3実施形態についてはステップS27、S28、S29の処理が、冷媒回路系統の数に応じて増加することになるが、2系統の場合と同様の制御を適用することが可能である。