JP4475171B2 - フラッシュランプ - Google Patents
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Description
図6は、発光管が単結晶アルミナ(Cr濃度0.1wt.ppm未満)からなるフラッシュランプを、管壁負荷40kW/cm2に設定して点灯したときの、点灯初期と1万回点灯後の放射光のスペクトルを示す図である。縦軸は波長800nmの強度に対する相対放射強度を示し、横軸は波長を示している。
このように、管壁負荷40kW/cm2という高負荷で点灯した場合、紫外線の放射強度は、特に波長300nm近傍より低波長側において著しく低下する。
更に、この発明が解決しようとする課題は、上記フラッシュランプを用いた殺菌方法において、工業的に要求されるラインスピードに見合うスピードで殺菌を行うことができて、長時間の使用においても紫外線強度が低下することがない、フラッシュランプを用いた殺菌方法を提供することにある。
更に、この発明が解決しようとする課題は、上記フラッシュランプを用いた殺菌装置において工業的に要求されるラインスピードに見合うスピードで殺菌を行うことができて、長時間の使用においても紫外線強度が低下することがない、フラッシュランプ装置を提供することにある。
本願第1の発明は、単結晶アルミナからなる発光管を具備してなるフラッシュランプにおいて、管壁負荷が40kW/cm2以上となるよう設定する共に、前記発光管に含まれるCr濃度が0.1wt.ppm以上、50wt.ppm以下であることを特徴とする。
しかしながら、Cr濃度が50wt.ppmを超えて含有された場合には、照度が低下する。この理由は、Crの光吸収の増加によって管内壁の温度が上昇し、熱応力の増加によるクラックが発生するからと考えられる。
従って、Crが0.1wt.ppm以上、50wt.ppm以下の割合で添加されていることにより、管壁負荷が40kW/cm2以上となるように高い入力で点灯した場合でも、紫外線強度が低下することなく、表面改質や洗浄・殺菌等の分野で好適に使用できるようになる。
上記構成にかかるフラッシュランプによれば、管壁負荷が40kW/cm2以上の高い入力で点灯し、点灯回数が1万回点灯しても、紫外域の照度維持率を高い値に保持することが可能となる。
この理由は、先にも述べたように、単結晶アルミナを発光管とするフラッシュランプにおいて、点灯に伴って紫外域の光強度が低下する機構は、フラッシュランプ点灯の際に発光管である単結晶アルミナ中にカラーセンターが生成し紫外域の光が吸収されることによるが、単結晶アルミナ中にCrが0.1wt.ppm以上の割合で存在することで、単結晶アルミナに照射される紫外光の一部がCrに吸収され、カラーセンターの生成が抑制されると推察され、300nm以下の紫外線の光強度の低下に対して著しい抑制効果が得られるようになる。
しかして、Cr濃度が60wt.ppm以上となると照度が低下する。この理由についても明確ではないが、Crの光吸収の増加によって管内壁の温度が上昇し、熱応力の増加によるクラックが発生するからと考えられる。
このようにキセノンなどの希ガスを封入したフラッシュランプは、紫外域から赤外域に渡る連続的な放射スペクトルを発光する。
一方、DNAの光吸収スペクトルは260nm付近で最大となるため、上述の用途のうち殺菌の分野ではこの波長付近の光を利用することが有効である。
本発明者はスペクトル中に含まれる殺菌に有効な光の割合、具体的には130nm〜300nmの光強度の割合に注目し、この比率を調整することで殺菌の効率を向上させ工業的に要求される処理速度が実現されることを見出した。
フラッシュランプを、波長130nm〜1000nmの範囲の積分放射強度Aと、130nm〜300nmの範囲の積分放射強度Bとしたとき、比率B/Aが0.08以上として点灯した場合、1回の照射で十分な殺菌効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例を図1及び図2〜図5に基づいて説明する。
まず、単結晶を作製する際のアルミナ融液中のCr濃度を調整することにより変化させ、Cr濃度が異なる単結晶アルミナ管を種々作製した。このように作製されたアルミナ管を、ICP質量分析によりCr濃度の同定を行った。得られたアルミナ管はCr濃度がそれぞれ0.1ppm、1ppm、3ppm、10ppm、30ppm、50ppm、60ppmの合計7種類であった。
図1の構成に基づき、単結晶アルミナ管よりなり、Cr濃度が様々な発光管を具備したフラッシュランプを作製した。フラッシュランプは、発光管の内径が10.4mm、外径が13mmであり、キセノンガスを60kPaで封入した。有効発光長は250mmであった。
また、発光管としてCrを添加していない従来の単結晶アルミナ管(Cr濃度0.1ppm未満)を用いて、発光管を除いて上記実施例1と同じ仕様の比較例に係るフラッシュランプを作製した。
比較例に係るフラッシュランプ及び上記実施例で得たフラッシュランプについて、管壁負荷を20kW/cm2、40kW/cm2、100kW/cm2、120kW/cm2に設定して、異なる条件で点灯し、その照度維持率とCr濃度の関係を調べた。なお、管壁負荷は次式で求める。
また、図3は、各管壁負荷について1万回点灯した際の、単結晶アルミナ管のCr濃度に対する300nm〜1000nmの波長範囲の照度維持率変化を示すグラフである。
Cr濃度が0.1wt.ppm〜50wt.ppmの範囲にある単結晶アルミナ管を用いたフラッシュランプによれば、管壁負荷40kW/cm2以上であっても95%以上の高い照度を維持した。
更にCr濃度が大きい60wt.ppmの単結晶アルミナ管を用いたフラッシュランプは、管壁負荷が最も低い20kW/cm2でも照度が90%に低下し、管壁負荷の大きさに応じて順次照度維持率が低下すると分かった。
このように、単結晶アルミナ製発光管のCr濃度が0.1wt.ppm〜50wt.ppmの範囲であると、管壁負荷40kW/cm2以上で点灯し、点灯回数が1万回に至っても、紫外域で95%以上の照度維持率を確保することが可能となる。
更に、上記フラッシュランプを用いて、実際に殺菌処理に効果があるかを検証するため、下記要領で実験を行った。
図4はこの実験系を模式的に示す構成図である。
フラッシュランプは、図1で示した基本構成を具備し、発光管が単結晶アルミナ管よりなり、Cr濃度は3wt.ppmであった。発光管は内径が10.4mm、外径が13mmであり、キセノンガスを60kPaが封入されたものであり、有効発光長は250mmであった。
このフラッシュランプを、B/Aの比率はランプへの投入エネルギーを800Jで一定にして点灯のパルス幅(閃光パルス波形の尖高値の1/2の高さにおける時間幅)を変化させることで調整をして、点灯を行った。
図5に示すように、B/Aが0.08未満のときは照射回数を3回、10回と増やすことで殺菌数が増加しており、照射回数が1回では十分に殺菌ができていないことがわかる。一方、B/Aが0.08以上では照射回数を増加させても殺菌数が変化しておらず、1回の照射で十分な殺菌が行われていると言える。
従って、B/Aを0.08以上にすれば1回の照射で殺菌を行うことが可能となり、工業的に要求される処理速度で殺菌を行うことができるとわかった。
20 封止部材
21 胴部
22 鍔部
25 封着材
35 電極棒
30 電極
S 放電空間
Claims (3)
- 単結晶アルミナからなる発光管を具備してなるフラッシュランプにおいて、
管壁負荷が40kW/cm2以上となるよう設定する共に、
前記発光管に含まれるCr濃度が0.1wt.ppm以上、50wt.ppm以下であることを特徴とするフラッシュランプ。 - 請求項1記載のフラッシュランプを用い、
該フラッシュランプからの波長130nm〜1000nmの範囲の積分放射強度Aと、波長130nm〜300nmの範囲の積分放射強度Bとの比率B/Aが、0.08以上であることを特徴とするフラッシュランプを用いた殺菌方法。 - 請求項1記載のフラッシュランプと、
該フラッシュランプを、波長130nm〜1000nmの範囲の積分放射強度Aと、波長130nm〜300nmの範囲の積分放射強度Bとの比率B/Aが、0.08以上であるよう点灯する点灯装置を具備したことを特徴とするフラッシュランプ殺菌装置。
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