JP2007109508A - フラッシュランプ点灯装置 - Google Patents

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【課題】フラッシュランプを高い入力で、且つパルス半値全幅が300μs以下の短い点灯パルスで点灯させるに際し、点灯する繰り返し周波数が高くなっても照度分布を安定させることができ、均一な照度分布の紫外線を放射できるようにすること。
【解決手段】シマー電流回路20よりシマー電流を流してシマー放電を発生させ、コンデンサC1に充電エネルギーを蓄えた後、スイッチSWを閉じてフラッシュランプ10にパルス電流を流すことで、シマー放電経路に沿って主放電を成長させ点灯させる。上記シマー放電時に印加するシマー電流の電流値I[mA]を少なくとも、4×10-3・D1.5 ・F・P以上(P:バルブ1内に封入した発光気体の封入圧[kPa]、D:放電管の管内直径[mm]、F:繰り返しの点灯周波数[Hz])以上とする。これにより照度分布を安定させ、均一な照度分布の紫外線を放射することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、フラッシュランプ点灯装置に関する。特に、強度の高い紫外線を放射するフラッシュランプを点灯するフラッシュランプ点灯装置であって、該フラッシュランプの点灯時にシマー放電を利用するフラッシュランプ点灯装置に関するものである。
従来から、耐侯・退色試験や表面改質等の分野で波長300nm程度のエネルギーの高い光(紫外線)が利用されている。これらの紫外線を放射する光源としては、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、フラッシュランプ等が一般的に多く用いられている。特に、フラッシュランプは、連続点灯する他のランプに比べて、高い電流を印加しても電極等に対する負荷が小さく、点灯時のランプ電流密度を非常に高めることができる。このような高いランプ電流密度は、放電時のプラズマ温度を高くするために有用であり、波長300nm以下の紫外線の効率的な放射を実現できる。
フラッシュランプにおいては、ランプ電流密度を上げるために、種々の方法が検討されている。例えば、発光管部の断面積を小さくすることで放電時のプラズマを発光管により絞り込むことが良く知られている。しかし、放電時のプラズマを発光管により絞り込む、いわゆる管壁安定型のフラッシュランプでは、発光管の内表面が直接的に高温のプラズマに曝されるため、該発光管の内表面が劣化しない程度の温度で点灯する必要があり、あまり高い入力を該フラッシュランプへ入れることができない。
また、フラッシュランプにおけるランプ電流密度を上げるその他の方法としては、アークが発光管内に成長し、該発光管断面に均一に広がる時間よりも放電パルス幅を短くし、実効的な放電の断面積を小さくする方法が考えられる。この方法において、プラズマが成長する場所は、該発光管のほぼ中心であることが望ましい。該プラズマをほぼ中心付近で発生させるためには、該フラッシュランプの始動用として一般的に利用されている外部トリガ線を利用することができない。外部トリガ線を用いた場合は、放電は該外部トリガ線側に沿ってプラズマを発生するためである。プラズマが外部トリガ線側に偏ったものとなれば、該外部トリガ線側の管壁負荷が局所的に大きくなり、該発光管内壁のトリガ線側が白濁等の劣化を生じ、最悪の場合は破裂に至る、という問題がある。
始動用の外部トリガ線を用いないフラッシュランプとしては、陰極と陽極の間に始動用の補助電極を別に設ける方法が知られている(特許文献1参照)。
しかし、この方法では補助電極が高温のプラズマにフラッシュ点灯の度に曝されることとなり、高い入力を該フラッシュランプへ入れると該補助電極を構成する電極材料が蒸発し、フラッシュランプの短寿命につながるといった問題があった。
始動用の外部トリガ線を用いないフラッシュランプとして知られているその他の方法としては、陰極・陽極間で予めシマー放電させ、シマー放電経路に沿って主放電を成長させるものがある。
例えば、特許文献2には、YAGレーザの励起用ランプの陰極・陽極間にシマー電流の放電を開始させ、ランプがシマー点灯することが開示されている。また、シマ一点灯により繰り返しパルス点灯時のランプ寿命を延ばしたり、レーザ点灯の為のフラッシュ点灯の電流立ち上がり時間を短縮することができる点が記載されている。
また、特許文献3には、シマー放電での繰り返し点灯時に、コンデンサに蓄積されたエネルギーが主放電電流としてフラッシュランプに流れ込む場合に、シマー電流の立ち消えを防ぐ目的でランプ抵抗が正特性となるシマー電流領域(数A以上)で駆動する方法が開示されている。
特公平7−120518号公報 特開2000−252557号公報 特許第3157518号公報
上述したようにフラッシュランプにおけるランプ電流密度を上げる方法として、アークが発光管断面に均一に広がる時間よりも放電パルス幅を短くし、実効的な放電の断面積を小さくする方法が考えられるが、この場合は前述したように始動用として一般的に利用されている外部トリガ線を利用することはできない。
そこで、シマー放電を利用してシマー放電経路に沿って主放電を成長させることが考えられる。
しかしながら、フラッシュランプの起動時にシマー放電を利用する場合、幅の長いパルスで点灯させ、フラッシュランプの発光管管壁までプラズマが広がるように点灯させる場合は、高い繰り返し周波数で点灯しても安定した照度分布を提供できるのに対して、該発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止するような、パルス半値全幅が300μsec以下の幅の短い点灯パルスで点灯すると、繰り返し点灯周波数が高くなると各フラッシュ点灯時の照度分布が崩れてくるといった問題があった。
また、高い入力を該フラッシュランプに投入し、短い点灯パルスで点灯する場合、起動時にシマー放電を利用して起動しているにもかかわらず、発光管の内面に局所的に白濁等を引き起こす場合が頻発した。結果として、フラッシュランプから発生する紫外線を照射する際の照度分布にショットごとのばらつきを生じ、被照射物への均一な処理ができないという問題があった。
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、フラッシュランプを高い入力で、且つ短い点灯パルスで点灯させるに際し、点灯する繰り返し周波数が高くなっても、点灯時のフラッシュの照度分布を安定させることができ、また、発光管の内表面に局所的に発生していた白濁等が無く、均一な照度分布の紫外線を放射できるフラッシュランプ点灯装置を提供することにある。
シマー放電を利用して起動しているフラッシュランプであっても、前記したように、発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止するような幅の短い点灯パルスで点灯させる場合は、繰り返し点灯させる点灯周波数が高くなると各フラッシュ点灯毎に照度分布が崩れるという問題があった。
本発明者が種々検討した結果、その理由は、フラッシュ点灯後の発光管内で封入ガスの熱対流等による乱れに起因して、主放電後のシマー放電自身が乱され、この乱されたシマー放電の経路に沿って、その後の主放電が形成されるので、結果としてフラッシュ点灯時のプラズマが乱されるためであることが判った。
特に、発光管の管壁によってプラズマを絞るのでは無く、該発光管内(径方向)に該プラズマが広がるまでの時間より短いパルス幅で点灯すると、前記の封入ガスの熱対流等による乱れが該発光管で抑制されることが無く、該シマー放電の形成される放電経路を不規則に曲げてしまう。
また、本発明者はシマー放電の放電経路の乱れは、時間と共に徐々に減少することを見出した。この減少する時間(回復時間)は、該フラッシュランプの発光気体の封入圧(P)、管内直径(D)、及びシマー電流の電流値(I)に依存することが判った。
そこで、封入圧(P)、管内直径(D)、及びシマー電流の電流値(I)を適切に設定し、該フラッシュランプを繰り返し点灯する周波数Fが、上記回復時間より長くなるようにすることで、該シマー放電の形成される放電経路の乱れを抑制することができるものと考えられる。
本発明者は実験により、シマー放電の形成される放電経路の乱れを抑制することができる条件を調べた。その結果、以下のようにすれば、発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止するような幅の短い点灯パルス(パルス半値全幅が300μs以下)で点灯させる場合であっても、放電経路の乱れを抑制でき、点灯時のフラッシュの照度分布を安定させることができることを見出した。
すなわち、本発明においては、一対の電極が配置された略管状の放電管内に発光気体を封入したフラッシュランプと、該フラッシュランプにシマー電流を供給するシマー回路と、フラッシュランプに主放電電流を供給する主放電回路を有し、発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止するパルス半値全幅が300μsの主放電電流を供給して点灯させるフラッシュランプの点灯装置において、上記発光気体の封入圧をP[kPa]、該放電管の管内直径をD[mm]、繰り返しの点灯周波数をF[Hz]としたときに、シマー放電時に印加する該シマー電流の電流値I[mA]を少なくとも、4×10-3・D1.5 ・F・P以上とした。
本発明においては、シマー放電時に印加する該シマー電流の電流値I[mA]を少なくとも、4×10-3・D1.5 ・F・P(P[kPa]:発光気体の封入圧、D[mm]:放電管の管内直径、F[Hz]:繰り返しの点灯周波数)以上としたので、発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止するような幅の短い点灯パルスで点灯させる場合であっても、シマー放電の形成される放電経路の乱れを無くすことができ、点灯時のフラッシュの照度分布を安定させることができる。
また、発光管の内表面に局所的に発生していた白濁等が無く、均一な照度分布の紫外線を放射することが可能となる。
図1に本発明に係るフラッシュランプ10の構成を示す。石英製の円筒状バルブ1の中心軸上に2つの対向する電極2a,2bが設置されており、バルブ1内にはキセノン(X
e)が封入されている。電極2a,2bには電極棒3a,3bが接続され、電極棒3a,3bは封止部4を介して、外部に導出されている。
コンデンサC1と充電電源E1とスイッチSWから構成される主放電回路21が設けられ、これとは並列に抵抗Rを介してシマー電流を流すためのシマー電流回路20が接続されている。
フラッシュランプ10の両極にスイッチSWを介して接続されたコンデンサC1に充電電源E1より給電し、充電エネルギーを蓄え、スイッチSWを閉じることにより、フラッシュランプ10を流れるパルス電流を発生させる。また、シマー電流回路20からフラッシュランプ10にシマー電流が供給される。
外部トリガ線5はバルブ1の外側に絶縁保持部6を介して隣接設置されている。外部トリガ線5と主放電回路21とはパルストランスPTを介して接続されており、図示しないパルストランス駆動回路により外部トリガ線5に高電圧パルスを印加することでシマー放電を始動する。
図2に本発明のフラッシュランプを点灯するための点灯回路の構成例を示す。
主放電回路21は、IGBT等からなるスイッチング素子Q1を備え、スイッチング素子Q1は、パルス幅制御手段30により制御されるスイッチ開閉制御手段31により開閉が制御される。
スイッチング素子Q1がオンになると、コンデンサC1に充電されていたエネルギーがスイッチング素子Q1、ダイオードD1を介して流れ、電流がフラッシュランプ10に供給される。コンデンサC1は充電電圧制御手段32により制御される充電電源E1により充電される。
シマー電流回路20は、シマー電源E2、ダイオードD2、可変抵抗VR1の直列回路から構成され、上記主放電回路21と並列にランプ10に接続されている。
シマー電流値はランプ10に直列に接続された可変抵抗値VR1を、ランプ内径(D)および点灯周波数(F)に基づいて抵抗値設定手段33により設定する。
図1、図2に示すフラッシュランプおよび点灯回路を用いて、シマー放電の乱れ(放電路の湾曲)が時間と共に回復する様子を調べた。
ここで、使用したランプの形状は、図1に示したように棒状であり、バルブ1内には、発光気体としてXeガスが封入圧80KPaで封入されている。また、電極間の距離は3
6mmである。
バルブ1の材料は石英ガラス管であり、バルブ内径が3mm、6mm、8mmのものを使用して以下の実験を行なった。
(1)シマー電流とシマー放電の湾曲からの回復時間
発光気体の封入圧(P)を80kPa、管内直径(D)を6mmに固定し主放電後のシマー放電の湾曲の有無を調べた。その結果を図3に示す。
図3に示すように、シマー放電の電流値(I)が100mAでは回復までの時間(tr[msec])は50ms、400mAでは12msであった。
図4は、バルブ内径6mm、シマー電流値100mAでのシマー放電の湾曲および回復を模式的に示す図である。 (a) は主放電後にシマー放電路が湾曲している状態を示す。(b)は放電路が湾曲した状態の後、湾曲のないシマー放電路に回復した状態を示す。
(a)は主放電から12ms後であり、(b)は主放電から96ms後であり、主放電終了後12msでは、シマー放電が湾曲しており、96ms後には回復して乱れた状態が安定した状態に回復している。
(2)[封入圧/シマー電流値]の値と回復時間との関係
フラッシュランプの発光管内に封入された発光気体の圧力によって、シマー放電の放電経路の湾曲(乱れ)の度合いが影響されると考えられる。
具体的には、圧力が高いほど乱れが大きくなり、回復時間は長くなると考えられる。逆に、シマー放電を維持しているシマー電流の電流値が大きいほど封入ガスの乱れに対して電極間を直進して放電を形成する力が大きくなり、回復時間は短くなると考えられる。
そこで、該フラッシュランプの発光管内直径を6mmと固定して、[封入圧/シマー電流値]の値と回復時間との関係を調べた。更に、該発光管内直径を3mm、8mmと変えた場合についても、同様の実験を行った。
これらの結果を図5に示す。同図の横軸はP[kPa]/I[mA](P:封入圧、I:シマー電流値)、縦軸は回復時間(tr[ms])である。
図5では、回復時間と(封入圧/シマー電流値)の関係は比例している。
(3)発光管内直径と回復時間との関係
次に、該フラッシュランプの発光管内直径を変えた場合の効果を確認する。該発光管内直径(D)が大きいほど封入された発光気体が動く空間が大きくなるため該発光気体による乱れが大きくなり、該シマー放電の湾曲の度合いは強くなる。これに伴い、回復時間は長くなると考えられる。
図6では、封入圧を80kPaと一定にし、シマー電流値を100mA、200mA、400mAの各場合について、管内直径と回復時間の関係を調べた。これより回復時間は管内直径の1.5乗に比例することが判った。
図3から図6までの結果により、回復時間は次のように表せる。
(a)図3、図6より、回復時間と発光気体の封入圧とシマー放電の電流値とは回復時間と比例関係にある。すなわち、以下の(1)式の関係にある。
tr∝D1.5 ・(P/I) …(1)
(b)図3の各シマー放電の電流値において、該シマー放電の湾曲が無くなる時間を回復時間と定義して比例定数を求める。
I=100[mA]の場合、P=80[kPa]、D=6[mm]をそれぞれ代入すると、D1.5 ・(P/I)の値は11.8となる。
この条件での回復時間を50msと言えるので、trを[s]単位で表したときの(1)式の比例定数は4.2×10-3となる。
I=400[mA]の場合、P=80[kPa]、D=6[ mm] をそれぞれ代入すると、D1.5 (P/I)の値は2.94となる。
この条件での回復時間を12msと言えるので、trを[s]単位で表したときの(1)式の比例定数は4.1×10-3となる。
これより(1)式の比例定数はおよそ4×10-3と言える。
比例定数を(1)式に代入すれば、(1)式は次の(1’)式となる。
tr=4×10-3 ・D1.5 ・(P/I) …(1’)
これに基づき、シマー電流値[ mA] を管内直径、点灯周波数(F[Hz]:F=1/tr)に応じて次の式の範囲で点灯させれば、主放電間隔よりも短い回復時間が得られ、湾曲の無い主放電形状が得られる。
I≧4×10-3 ・D1.5 ・F・P …(2)
次に、シマー電流Iの上限について検討した。
過度にIを大きくした場合、電極の損傷及び管壁の白濁が激しくなり、照度低下、出力不安定を招く。特に電極へのダメージを考えると、I[mA]を電極直径d[mm]で除した値(I/d)にして2×103 以上では電極損傷及び管壁白濁による照度低下、出力不安定が著しくなり、実用上好ましくないことが判った。
すなわち、シマー電流値[mA]を次式の範囲とすれば、湾曲(乱れ)の無い主放電形状が得られ、かつ電極損傷及び管壁白濁による照度低下・出力不安定のない良好な点灯が可能である。
2×103 ・d≧I≧4×10-3・D1.5 ・F・P …(3)
管径・封入圧・点灯周波数に応じ(3)式に基づいてシマー電流値を決定する手段を設けることで、湾曲(乱れ)の無い主放電形状を得て、かつ電極損傷及び管壁白濁による照度低下・出力不安定のない良好な点灯が可能となる。
本発明に係るフラッシュランプの構成を示す図である。 本発明のフラッシュランプ点灯装置の構成例を示す図である。 シマー電流と、シマー放電の湾曲からの回復時間を示す図である。 シマー放電の湾曲および回復を模式的に示す図である。 [封入圧P/シマー電流値I]と回復時間Trの関係を示す図である。 管内直径と回復時間の関係を示す図である。
符号の説明
1 バルブ
2a,2b 電極
3a,3b 電極棒
4 封止部
5 外部トリガ線
10 フラッシュランプ
20 シマー電流回路
21 主放電回路
C1 コンデンサ
D1,D2 ダイオード
E1 充電電源
E2 シマー電源
PT パルストランス
Q1 スイッチング素子
VR1 可変抵抗
SW スイッチ



Claims (1)

  1. 発光管管壁までプラズマが成長するまでに放電を停止する、パルス半値全幅が300μs以下の主放電電流を供給して点灯させるフラッシュランプの点灯装置であって、
    上記点灯装置は、一対の電極が配置された略管状の放電管内に発光気体を封入したフラッシュランプと、該フラッシュランプにシマー電流を供給するシマー回路と、
    該フラッシュランプに主放電電流を供給する主放電回路とを具備し、該シマー回路と該主放電回路とが並列接続されており、
    該発光気体の封入圧をP[kPa]、該放電管の管内直径をD[mm]、繰り返しの点灯周波数をF[Hz]としたときに、シマー放電時に印加する該シマー電流の電流値I[mA]を少なくとも、4×10-3・D1.5 ・F・P以上とする
    ことを特徴とするフラッシュランプ点灯装置。




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