JP4473394B2 - カラーフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラーフィルタおよびその製造方法に係り、特に表示品質に優れたカラー液晶表示装置の製造が可能なカラーフィルタとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フラットディスプレイとして、カラー液晶表示装置が注目されている。カラー液晶表示装置の一例として、ブラックマトリックス、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層、透明導電層(共通電極)および配向層を備えたカラーフィルタと、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極および配向層を備えたTFTアレイ基板とを所定の間隙をもたせて向かい合わせ、この間隙部に液晶材料を注入して液晶層としたものがある。このようなカラー液晶表示装置では、間隙部が液晶層の厚みそのものであり、カラー液晶表示装置に要求される高速応答性、高コントラスト比、広視野角等の良好な表示性能を可能とするためには、液晶層の厚み、すなわち、カラーフィルタとTFTアレイ基板の間隙距離を厳密に一定に保持する必要がある。
【0003】
従来、カラー液晶表示装置における液晶層の厚みを決定する方法として、カラーフィルタとTFTアレイ基板との間隙に、ガラスやアルミナ、プラスチック等からなるスペーサーと称する粒子あるいは棒状体を多数混合した液晶を注入する方法がある。そして、スペーサーの大きさをもって両基板の間隙部の大きさ、つまり、液晶層の厚みが決定される。
【0004】
しかし、上述のようなカラーフィルタとTFTアレイ基板との間隙部を形成する方法では、カラー液晶表示装置の動作の上で次のような問題点が生じる。すなわち、基板面上に散在させるスペーサーの密度が適正で、かつ、基板面上にスペーサーが均一に分散されていなければ、カラー液晶表示装置の全面に亘って大きさが均一な間隙部は形成されない。一般に、スペーサーとして100個/mm2程度の大量の粒子を液晶に混合しているので、特に粘度の高い液晶を用いた場合、カラーフィルタとTFT基板との間隙部に注入した後に均一にスペーサーが分散せずに、スペーサーが一部に溜まるという現象が生じることがある。このような現象が生じると、スペーサーが溜まった部分の表示品質が悪化し、また、間隙部の厚みのばらつき偏差が大きくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解消するために、間隙(液晶層の厚み)を決定するための柱状凸部を備えたカラーフィルタが提案されている(特開平4−318816号等)。しかしながら、このカラーフィルタでは、着色層を形成し、この着色層を覆うように保護層を塗布形成した後に、光感光性樹脂を塗布して再度フォトリソグラフィー工程により柱状凸部をブラックマトリックス上の所定箇所に形成するので、工程が煩雑である。
【0006】
また、例えば、近年注目されているIPS(In-Plane Switching)液晶モードでは、TN液晶モードよりも更に精密な基板間隙の制御が要求されている。一方、TN液晶モードにおいても、高速動作化や低消費電力化を目的として、液晶セルの狭ギャップ化が進められている。このような要求に応えるために、柱状凸部の高さの精度を±0.2μm以下とするには、感光性樹脂の高い塗布精度が要求され、スループット、歩留等が問題となっている。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、液晶層の厚み設定用としての柱状凸部と透明保護層を備え、表示品質に優れたカラー液晶表示装置の製造を可能とするカラーフィルタと、このようなカラーフィルタを簡便に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のカラーフィルタの製造方法は、転写基材上に、光硬化性樹脂組成物を塗布して柱状凸部に要求される高さに応じた厚みを有するように形成した柱状凸部形成層と、該柱状凸部形成層上にアルカリ不溶性樹脂組成物を塗布して透明保護層に要求される厚みを有するように形成した透明保護層形成層とを備える積層ドライフィルムを作製し、該積層ドライフィルムの該透明保護層形成層側を、所定のパターンで複数色からなる着色層を形成した基板の該着色層を覆うように重ねる第1の工程、前記転写基材側から柱状凸部の形成パターンに相当する開口部を備えたフォトマスクを介して前記柱状凸部形成層を露光する第2の工程、前記転写基材を剥離して前記柱状凸部形成層と前記透明保護層形成層とを転写した後、前記柱状凸部形成層をアルカリ現像することにより、少なくとも前記着色層を覆うように透明保護層を形成するとともに、該透明保護層上の複数の所定部位に透明な柱状凸部を形成する第3の工程、を有するような構成とした。
【0010】
このような本発明では、積層ドライフィルムの柱状凸部形成層を露光した後のアルカリ現像において、透明保護層形成層は均一な厚みを保ったまま残存して透明保護層となり、柱状凸部形成層の露光部には柱状凸部が形成され、上記柱状凸部は液晶層の厚み設定用スペーサとして必要な高さをもつとともに、高精度の高さ設定が可能であり、また、透明保護層はカラーフィルタ表面を平坦化するとともに、着色層に含有される成分の液晶層への溶出を防止する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明のカラーフィルタ
図1は本発明のカラーフィルタの実施形態の一例を示す部分平面図であり、図2はA−A線における縦断面図である。図1および図2において、本発明のカラーフィルタ1は、基板2と、この基板2上に形成されたブラックマトリックス3および着色層5を備え、ブラックマトリックス3および着色層5を覆うように透明保護層6が形成されており、さらに、ブラックマトリックス3の所定の複数の箇所(図1では5箇所)には透明な柱状凸部7が上記の透明保護層6と一体的に形成されている。
【0012】
上記のカラーフィルタ1を構成する基板2としては、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに適している。
【0013】
また、カラーフィルタ1を構成するブラックマトリックス3は、着色層5からなる表示画素部の間および着色層5の形成領域の外側に設けられている。このようなブラックマトリックス3は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングして形成したもの等、いずれであってもよい。
【0014】
また、着色層5は、赤色パターン5R、緑色パターン5Gおよび青色パターン5Bが所望のパターン形状で配列されており、所望の着色材を含有した感光性樹脂を使用した顔料分散法により形成することができ、さらに、印刷法、電着法、転写法等の公知の方法により形成することができる。また、着色層5を、例えば、赤色パターン5Rが最も薄く、緑色パターン5G、青色パターン5Bの順に厚くすることにより、着色層5の各色ごとに最適な液晶層厚みを設定するようにしてもよい。
【0015】
透明保護層6は、カラーフィルタ1の表面を平坦化するとともに、着色層5に含有される成分の液晶層への溶出を防止するために設けられたものである。この透明保護層6の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルタ1の表面状態等考慮して設定することができ、例えば、0.1〜3.0μmの範囲で設定することができる。このような透明保護層6は、カラーフィルタ1をTFTアレイ基板と貼り合わせたときに液晶層と接するような着色層5を少なくとも覆うように形成される。
【0016】
上記の透明保護層6は、アルカリ不溶性樹脂の硬化物を主成分として含有するものである。ここで、主成分とは、50重量%以上を占めることを意味する。使用するアルカリ不溶性樹脂としては、酸価の低いエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の光透過性を有する樹脂を挙げることができる。上記のアルカリ不溶性樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下、好ましくは20mgKOH/g以下とすることができる。
また、上記のアルカリ不溶性樹脂の硬化物以外の含有物としては、架橋剤、シランカップラー等を含有することができる。
【0017】
また、柱状凸部7は、カラーフィルタ1をTFTアレイ基板と貼り合わせたときにスペーサーとして作用するものである。この柱状凸部7は、上記の透明保護層6よりも2〜10μm程度の範囲で突出するように一定の高さをもつものであり、突出量はカラー液晶表示装置の液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状凸部7の形成密度は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状凸部7の形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、着色層5を構成する赤色パターン5R、緑色パターン5Gおよび青色パターン5Bの1組に1個の割合で必要十分なスペーサー機能を発現する。このような柱状凸部7の形状は、図示例では円柱形状となっているが、これに限定されるものではなく、角柱形状、截頭錐体形状等であってもよい。
【0018】
上記の柱状凸部7は、光硬化性樹脂の硬化物を主成分として含有するものである。ここで、主成分とは、50重量%以上を占めることを意味する。使用する光硬化性樹脂としては、従来公知の透明性を有する光硬化性樹脂を挙げることができ、例えば、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸、グリシジルエステル、ポリオールグリシジルエステル、脂肪酸または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ基と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂:メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエステル化合物:N−メチロールメラミン、N−メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)N−メチロール(メタ)アクリルアミド等と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエステル化合物:無水マレイン酸と共重合可能なモノマー類とを重合して得られるポリマーとヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸との反応物等の1種または2種以上の組み合わせ等から、柱状凸部7に要求される機械的強度、光透過率等を考慮して選定することができる。また、上記の光硬化性樹脂の硬化物以外の含有物としては、重合開始剤、モノマー、シランカップラー等を含有することができる。
【0019】
上記の透明保護層6と柱状凸部7を備える本発明のカラーフィルタ1に配向層を設けて配向処理(ラビング)した後、TFTアレイ基板と貼り合わせた場合、柱状凸部7がカラーフィルタ1とTFTアレイ基板との間に間隙を形成する。そして、柱状凸部7は、R、G、Bの3色の着色層を積層して形成された柱状凸部にみられるような、レベリング現象による高さ精度不良、および、各色ごとの位置合わせ不良が生じないので、その高さ精度と位置精度が極めて高いものであり、したがって、両基板の間隙精度は極めて高いものとなる。一方、透明保護層6は、微細な凹凸が存在するカラーフィルタ1の表面を平坦なものとし、液晶の配向に悪影響を与える表面粗さを低減するとともに、着色層に微量含まれるイオン性不純物等が液晶層へ溶出して表示品質に悪影響を及ぼすことを防止する。
尚、本発明のカラーフィルタは、図3に示されるように、ブラックマトリックス3を備えず、非画素部分に位置する着色層5上に上述の柱状凸部7を形成したもの等であってもよい。
【0020】
本発明のカラーフィルタ製造方法
次に、カラーフィルタ製造方法の一実施形態について、図1および図2に示されたカラーフィルタ1を例に図4および図5を参照しながら説明する。
【0021】
(第1の工程)
カラーフィルタ製造方法の第1の工程では、基板上に所定のパターンで複数色からなる着色層を形成した後、少なくとも着色層を覆うように基板上に積層ドライフィルムの透明保護層形成層側を重ねる。すなわち、まず、基板2上にブラックマトリックス3を形成し(図4(A))、次いで、基板2上の赤色パターン形成領域に赤色パターン5R、緑色パターン形成領域に緑色パターン5G、さらに、青色パターン形成領域に青色パターン5Bを形成して着色層5とする(図4(B))。次に、ブラックマトリックス3および着色層5を覆うように積層ドライフィルム11の透明保護層形成層14側を重ねる(図4(C))。
【0022】
上記のブラックマトリックス3の形成は、例えば、以下のように行うことができる。まず、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成したクロム等の金属薄膜、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有した樹脂層等からなる遮光層を基板2上に形成し、この遮光層上に公知のポジ型あるいはネガ型の感光性レジストを用いて感光性レジスト層を形成する。次いで、感光性レジスト層をブラックマトリックス用のフォトマスクを介して露光、現像し、露出した遮光層をエッチングした後、残存する感光性レジスト層を除去することによって、ブラックマトリックス3を形成する。
【0023】
また、上記の着色層5の形成は、例えば、以下のように行うことができる。まず、ブラックマトリックス3を覆うように基板2上に赤色着色材を含有した赤色感光性樹脂層を形成し、所定のフォトマスクを介して上記の赤色感光性樹脂層を露光して現像を行うことにより、基板2上の赤色パターン形成領域に赤色パターン5Rを形成する。以下、同様に、基板2上の緑色パターン形成領域に緑色パターン5Gを形成し、さらに、基板2上の青色パターン形成領域に青色パターン5Bを形成する。
【0024】
また、上記の積層ドライフィルム11は、転写基材12上に柱状凸部形成層13と透明保護層形成層14とを積層したものである。転写基材12は、後述する第2の工程において、露光に用いる光を透過する可撓性材料を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイト、ポリイミド等の樹脂シートを用いることができる。
【0025】
柱状凸部形成層13は、転写基材12上に光硬化性樹脂組成物を塗布して形成したものであり、厚みは柱状凸部に要求される高さに応じて適宜設定することができ、例えば、3〜12μmの範囲で設定することができる。光硬化性樹脂組成物としては、上述の光硬化性樹脂と、重合開始剤、モノマー等の混合物を溶剤により適切な粘度に調整したものを用いることができる。塗布方法としては、特に制限はなく、ロールコート、ダイコート、グラビアコート、ビードコート、カーテンコート等の従来公知の塗布手段により塗布を行うことができる。
【0026】
透明保護層形成層14は、上記の柱状凸部形成層13上にアルカリ不溶性樹脂組成物を塗布して形成したものであり、厚みは透明保護層として要求される厚みに応じて適宜設定することができ、例えば、0.1〜4μm程度の範囲で設定することができる。アルカリ不溶性樹脂組成物としては、上述のアルカリ不溶性樹脂と、架橋剤、シランカップラー等の混合物を溶剤により適切な粘度に調整したものを用いることができる。塗布方法としては、特に制限はなく、ロールコート、スピンコート等の従来公知の塗布手段により塗布を行うことができる。
【0027】
(第2の工程)
カラーフィルタ製造方法の第2の工程では、積層ドライフィルム11の転写基材12側から柱状凸部形成用のフォトマスクMを介して柱状凸部形成層13を露光する(図5(A))。このフォトマスクMには、柱状凸部7の形成パターンに相当する開口部mが形成されている。この露光により、柱状凸部形成層13の柱状凸部形成部位(フォトマスクMを介しての露光部)では光硬化性樹脂の硬化反応が進行する。
尚、この露光量を調整することにより、形成する柱状凸部の高さを制御することも可能である。
【0028】
(第3の工程)
カラーフィルタ製造方法の第3の工程では、まず、積層ドライフィルム11の転写基材12を剥離することにより、柱状凸部形成層13および透明保護層形成層14を転写する(図5(B))。
【0029】
次いで、アルカリ現像液により柱状凸部形成層13の現像が行われる。第2の工程において、上述のように柱状凸部7の形成部位で柱状凸部形成層13の硬化反応が生じているため、柱状凸部形成部位はアルカリ現像液に対してほとんど溶解性を示さない。したがって、アルカリ現像により、露光部では透明な柱状凸部7が形成され、柱状凸部形成部位以外の領域では、柱状凸部形成層13が溶解除去される。一方、透明保護層形成層14は、アルカリ現像液に溶解することなく、そのまま残存する。その後、ポストベーク処理を行うことにより、透明保護層6と、この上に一体的に柱状凸部7が設けられた本発明のカラーフィルタ1が得られる(図5(C))。
【0030】
形成された透明保護層6は、微細な凹凸が存在するカラーフィルタ1の表面を平坦なものとし、液晶の配向に悪影響を与える表面粗さを低減するとともに、着色層に微量含まれるイオン性不純物が液晶層へ溶出して表示品質が低下することを防止する。また、透明な柱状凸部7は、R、G、Bの3色の着色層の積層ではないため、レベリング現象による高さ精度の低下がないものである。このような透明保護層6と柱状凸部7は、上述のように1回のフォトリソグラフィー工程において同時に形成でき、かつ、積層ドライフィルムの各層の厚みの設定により透明保護層6の厚みと柱状凸部7の高さを任意に制御することができる。また、透明保護層は現像時間の影響を受けることなく常に所定の均一な厚みで形成できるので、現像の時間管理が容易なものとなる。さらに、保護層や柱状凸部を塗布形成するためのウエット工程が不要であるため工程が簡便なものとなる。
尚、上述の実施形態では、着色層5は顔料分散法により形成されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、染色法、印刷法、転写法等を用いることができ、また、基板2上に予め透明導電膜を形成して電着法を用いることもできる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
まず、転写基材として厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(パナック(株)製ルミラー)を準備し、このPETフィルム上に下記組成の光硬化性樹脂組成物をダイコート法により塗布、乾燥して厚みが下記表1に示すような柱状凸部形成層を作成した。
【0032】
(光硬化性樹脂組成物)
・樹脂 … 55重量部
(メチルメタクリレートとスチレン、メタクリレートの共重合体)
・モノマー … 30重量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・重合開始剤 … 5重量部
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア369)
・エピコート180S70 … 10重量部
(油化シェルエポキシ(株)製)
【0033】
さらに、この柱状凸部形成層上に下記組成のアルカリ不溶性樹脂組成物をダイコート法により塗布、乾燥して厚みが下記表1に示すような透明保護層形成層を作成して、4種の積層ドライフィルムA、B、C、Dを得た。
【0034】
(アルカリ不溶性樹脂組成物)
・樹脂 … 94重量部
(シクロヘキシルメタクリレートとスチレン、グリシジルメタクリレートの共重合体)
・トリメリット酸 … 3重量部
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン … 3重量部
【0035】
次に、カラーフィルタ用の基板として、300mm×400mm、厚さ0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法により金属クロムからなる遮光層(厚さ0.1μm)を成膜した。次いで、この遮光層に対して、通常のフォトリソグラフィー法によって感光性レジスト塗布、マスク露光、現像、エッチング、レジスト層剥離を行ってブラックマトリックスを形成した。
【0036】
次に、ブラックマトリックスが形成された基板全面に、赤色パターン用の感光性着色材料(富士フィルムオーリン(株)製カラーモザイクCR−7001)をスピンコート法により塗布して赤色感光性樹脂層を形成し、プレベーク(85℃、5分間)を行った。その後、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて赤色感光性樹脂層をアライメント露光し、現像液(富士フィルムオーリン(株)製カラーモザイク用現像液CDの希釈液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(200℃、30分間)を行って、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に赤色パターン(厚み1.5μm)を形成した。
【0037】
同様に、緑色パターン用の感光性着色材料(富士フィルムオーリン(株)製カラーモザイクCG−7001)を用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に緑色パターン(厚み1.5μm)を形成した。さらに、青色パターン用の感光性着色材料(富士フィルムオーリン(株)製カラーモザイクCB−7001)を用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に青色パターン(厚み1.5μm)を形成した。
【0038】
次に、上記のように着色層が形成された基板上に、各積層ドライフィルムA、B、C、Dの透明保護層形成層側を重ね、加熱ラミネート処理を施した。(以上、第1の工程)
【0039】
次いで、超高圧水銀灯を露光光源とするプロキシミティ露光機にて、柱状凸部形成位置に所定形状の開口部を設けたフォトマスクを介して積層ドライフィルムのPETフィルム側から100mJ/cm2 の露光量で露光を行った。(以上、第2の工程)
【0040】
次に、積層ドライフィルムのPETフィルムを剥離して、柱状凸部形成層と透明保護層形成層とを基板上に転写し、次いで、基板を0.05%水酸化カリウム水溶液に60秒間浸漬して現像を行い、洗浄後、クリーンオーブン中でポストベーク(200℃、30分間)を行った。(以上、第3の工程)
【0041】
このような一連の処理により、図1および図2に示されるような構造のカラーフィルタ(試料1〜4)を得ることができた。この試料1〜4の各カラーフィルタの透明保護層の厚みは下記の表1に示されるものであった。
【0042】
【表1】
表1に示されるように、積層ドライフィルムの柱状凸部形成層の厚み、および、透明保護層形成層の厚みの設定によって、柱状凸部の高さと透明保護層の厚みを任意に制御可能であることが確認された。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば複数の透明な柱状凸部は液晶層の厚み設定用スペーサとして必要な高さをもつとともに、その高さを優れた精度で設定することができるので、例えば、IPS(In-Plane Switching)液晶モードのカラー液晶表示装置にも対応することができ、また、仮に画素部分に柱状凸部の一部が存在したとしても、透明であるために表示品質に悪影響を及ぼすことがほとんどなく、透明保護層はカラーフィルタ表面を平坦化するとともに、着色層に含有される成分の液晶層への溶出を防止するので、表示品質に優れ信頼性の高いカラー液晶表示装置が可能となる。このような柱状凸部および透明保護層を、転写基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布して形成した柱状凸部形成層とこの柱状凸部形成層上にアルカリ不溶性樹脂組成物を塗布して形成した透明保護層形成層とを備える積層ドライフィルムを用いた一回のフォトリソグラフィー工程で形成でき、従来の保護層や柱状凸部を塗布形成するためのウエット工程が不要となるので工程が簡便なものとなり、さらに、透明保護層は現像時間の影響を受けることなく常に所定の均一な厚みで形成できるので、現像の時間管理が容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの実施形態の一例を示す部分平面図である。
【図2】図1に示された本発明のカラーフィルタのA−A線における縦断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの他の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図5】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ
2…基板
3…ブラックマトリックス
5…着色層
6…透明保護層
7…柱状凸部
11…積層ドライフィルム
12…転写基材
13…柱状凸部形成層
14…透明保護層形成層
M…フォトマスク
Claims (1)
- 転写基材上に、光硬化性樹脂組成物を塗布して柱状凸部に要求される高さに応じた厚みを有するように形成した柱状凸部形成層と、該柱状凸部形成層上にアルカリ不溶性樹脂組成物を塗布して透明保護層に要求される厚みを有するように形成した透明保護層形成層とを備える積層ドライフィルムを作製し、該積層ドライフィルムの該透明保護層形成層側を、所定のパターンで複数色からなる着色層を形成した基板の該着色層を覆うように重ねる第1の工程、
前記転写基材側から柱状凸部の形成パターンに相当する開口部を備えたフォトマスクを介して前記柱状凸部形成層を露光する第2の工程、
前記転写基材を剥離して前記柱状凸部形成層と前記透明保護層形成層とを転写した後、前記柱状凸部形成層をアルカリ現像することにより、少なくとも前記着色層を覆うように透明保護層を形成するとともに、該透明保護層上の複数の所定部位に透明な柱状凸部を形成する第3の工程、を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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