JP4472519B2 - ヘキサフルオロイソブチレンおよびそのより高い同族体およびそれらの誘導体のフルオロスルファート - Google Patents
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Description
(BF3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファート(CH2=C(CF3)CF2OSO2F)の製造)
BF3約0.05%を含有する、ヘキサフルオロイソブチレン(60g、0.36モル)およびSO3(14ml、0.33モル)を鋼製オートクレーブに装入した。オートクレーブを閉め、18℃に温め、40時間振盪した。次いで、オートクレーブを冷却し、開き、内容物を冷たい(−10℃)濃硫酸(H2SO4)30mlで洗浄する。有機層を分離し、蒸留して、ヘキサフルオロイソブチレン(15g)およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(57.5g、収率85%、沸点(b.pt.)104〜106℃)が得られる。転化率は75%である。
MS(m/z、種、強度%):225[M−F]+(<1);161[M−SO2F]+(12);145[M−OSO2F]+(100);95[M−C3F3H]+(16);69[CF3]+(20)。
(SbF5を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの製造)
SbF51重量%を含有する三酸化硫黄を50ml鋼管に装入する。次いで、鋼管を−70℃に冷却し、真空にし、次いでヘキサフルオロイソブチレン(32.8g、0.2モル)を添加する。一定間隔を空けて鋼管を振盪しながら20℃で48時間維持し、その後、−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−30℃)濃H2SO4で洗浄し、次いで25℃に温める。ヘキサフルオロイソブチレン(14g)を冷却トラップ中に回収する。残留物(15.7g)は、CH2=C(CF3)CF2OSO2F(収率70%)、および一般式CH2=C(CF3)CF2(OSO2)nOSO2F(n=1、2、および3)のピロスルファートの混合物である。ビスフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2は検出されない。この実施例によって、反応のための触媒としてSbF5の有用性が実証されている。
(B(OMe)3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの製造)
オートクレーブに、SO3(28ml)、ホウ酸トリメチル(B(OMe)3)0.3gおよびヘキサフルオロイソブテン(130g、0.79モル)を装入する。その混合物を周囲温度で40時間振盪する。4つのかかる反応からの生成物を合わせ、蒸留して、ヘキサフルオロイソブテン(49g)、97℃未満で沸騰するヘキサフルオロイソブテンとCH2=C(CF3)CF2OSO2Fとの混合物(60g)、およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(451.4g、64%)(沸点98〜108℃)が得られる。この実施例から、反応のための触媒としてB(OMe)3の有用性が実証されている。
(BF3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンジフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2の製造)
BF3約0.5%を含有する、ヘキサフルオロイソブチレン(96g、0.59モル)およびSO3(76g、0.95モル)を鋼製オートクレーブに装入し、18〜20℃で72時間攪拌する。次いで、オートクレーブを−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−20℃)濃硫酸(H2SO4)で洗浄する。次いで、反応混合物を蒸留し、その結果ヘキサフルオロイソブチレン(13.9g);CH2=C(CF3)CF2OSO2F(65.8g、53.7%);CH2=C(CF2OSO2F)2(40.6g、25%)(15mm Hgで沸点71〜73℃)が得られる。この実施例から、SO3とヘキサフルオロイソブチレンとのモル比を>1に上げた結果として、ジフルオロスルファートが生成されることが示されている。ジフルオロスルファートの量を増加するために、SO3とヘキサフルオロイソブチレンとの比をさらに上げることのみ必要である。>2のモル比では、ジフルオロスルファートが主要な生成物であると予想することができる。
19F NMRδ−126.7(m,(OSO2F);−8.6(m,(CF2)。MS(m/z、種、強度%):225[M−OSO2F]+(49.9);145[CH2=C(CF3)CF2]+(95.2);123[C4H2H3O]+(100);141[C4HF4O]+(40.5);95[C3H2F3]+(29.5);83[SO2F]+(88.5);76[C3H2F2]+(40);75[C3HF2]+(56.2);69[CF3]+(25.3)。
(B(OMe)3を用いた、CH2=C(CF3)C2F5(3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン)のフルオロスルファートの製造)
3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン(CH2=C(CF3)C2F5)(10g、46ミリモル)、SO3(3.6g、46ミリモル)およびB(OMe)3(1滴)をガラス管に入れる。そのカラス管を密閉し、一定間隔を空けて振盪しながら、18〜21℃で7日間維持する。次いで、その管を−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−30℃)濃硫酸(H2SO4)で洗浄し、蒸留する。3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン(2g)およびCH2=C(C2F5)CF2OSO2F(8g)(沸点137℃)が回収される。収率は59%である。この実施例から、フルオロスルホン化反応はヘキサフルオロイソブチレンに限定されないが、ヘキサフルオロイソブチレンのより高い同族体で有効であることが示されている。
「F」の前にある上つき添字は、分子上のフッ素原子を特定する。
C1F3−C2F2−C(=CH2)−C3F2OSO2 4F
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと(CF3)2CFO−との反応)
新たに乾燥させたフッ化カリウム(KF)(2.4g、0.041モル)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)(9.3g、0.056モル)および無水ジグリム(10ml)から製造された(CF3)2CFOKに、CH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)を20℃で添加する。その反応混合物を2時間攪拌し、次いで水に注ぎ、有機層を分離する。その有機層を希塩酸で、次いで重炭酸ナトリウム溶液、次いで水で洗浄し、その後にそれを硫酸マグネシウム(MgSO4)上で乾燥させる。反応混合物の蒸留によって、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)2(10.2g、収率75%、沸点87〜88℃)が得られる。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと(CF3)2CFO−との反応)
ドライボックス中でKF(12g)およびジグリム(55ml)を250mlフラスコに装入する。ドライアイス凝縮器を介してHFA(40.5g)を混合物に添加する。固体を完全に溶解する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(49g)を一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、その結果液体が得られ、それを再蒸留して(回転バンド蒸留塔)、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)2(沸点84〜86℃、収率55%)36.3gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとヘキサフルオロイソプロパノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(15ml)、およびヘキサフルオロイソプロパノール(13.7g)を100mlフラスコに装入する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(20.0g)を3〜12℃で一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で2時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られる。それを再蒸留して(回転バンド蒸留塔)、収率83%で沸点92〜93℃の生成物21.1gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとフッ化トリフルオロアセチルとの反応)
フッ化トリフルオロアセチル(6g、0.051モル)を、KF(2.4g、0.041マイル)と無水ジグリム(15ml)との混合物中に泡立てる。反応混合物を20℃で30分間攪拌し、次いでCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)を少しずつ加える。得られた混合物を20℃で1時間攪拌する。ヘキサフルオロイソブチレンを反応混合物から蒸留し、残留物を水に注ぐ。有機層を分離し、そして次に重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留によって、3,3−ジフルオロ−3−ペンタフルオロエトキシ−2−トリフルオロメチルプロペン(CH2=C(CF3)CF2OCF2CF3)(3.5g、収率31%、沸点67℃)が得られる。
C1F3−C(=CH2)C2F2−O−C3F2C4F3
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとトリフルオロエタノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(20ml)を100mlフラスコに装入する。2,2,2−トリフルオロエタノール(8.05g)を混合物に添加する。混合物を氷水浴中で冷却しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(19.5g)を一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られ、それを再蒸留し(回転バンド蒸留塔)その結果、収率30%で沸点85〜86℃のCH2=C(CF3)CF2OCH2CF35.8gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと1,1−ジヒドロパーフルオロプロパノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(20ml)を100mlフラスコに装入する。1,1−ジヒドロパーフルオロプロパノール(24.0g)を添加する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(19.5g)を0〜5℃で一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られ、それを再蒸留し(回転バンド蒸留塔)その結果、200mm Hgで沸点54℃のCH2=C(CF3)CF2OCH2CF2CF327.3gが得られる。収率は58%である。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
(CH2=C(CF2CF3)CF2OSO2Fと(CF3)2CFO−との反応)
新たに乾燥させたKF(3g、17.2ミリモル)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)(3g、18ミリモル)および無水ジグリム(15ml)から10℃で製造された(CF3)2CCFOKに、CH2=C(CF2CF3)CF2OSO2F(5g、17ミリモル)を20℃で添加する。その反応混合物を20℃で1時間攪拌し、次いで水に注ぎ、有機層を分離する。その有機層を重炭酸ナトリウム溶液、次いで水で洗浄し、その後にそれをMgSO4上で乾燥させる。反応混合物の蒸留によってCH2=C(CF2CF3)CF2OCF(CF3)2(4g、収率62%、沸点118〜120℃)が得られる。この実施例から、ヘキサフルオロイソブチレンのより高い同族体のフルオロスルファートが、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fの反応を特徴付ける穏やかな同じ条件下で求核剤と反応することが実証されている。
C1F3−C2F2−C(=CH2)−C3F2OC4F(C5F3)2
に示されるように、化合物上の特定のフッ素原子を特定する。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとメタノールとの反応)
無水メタノール(10ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(5g、0.02モル)に、トリエチルアミン(2.5g、0.02モル)を10℃で少しずつ加える。20分後、その反応混合物を水に注ぐ。有機層を分離し、そして次に希塩酸水溶液、水、重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。乾燥させた混合物の蒸留によって、3,3−ジフルオロ−3−メトキシ−2−トリフルオロメチルプロペン(1.8g、収率50%)が得られる。異性体1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−メトキシプロペン(約1%)およびCH2=C(CF3)COOCH3(約3%)もまた、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)によって検出される。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとペンタフルオロフェノールとの反応)
無水エチルエーテル(7ml)中のペンタフルオロフェノール(7.5g、0.040モル)およびトリエチルアミン(4.5g、0.044モル)を、20℃でエチルエーテル(14ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(11g、0.045モル)に少しずつ加える。その反応混合物を20℃で30分間攪拌し、そして次に水、希塩酸水溶液、水、重炭酸ナトリウム溶液、および水で洗浄し、得られたエーテル溶液をMgSO4上で乾燥させる。乾燥させた混合物の蒸留によって、CH2=C(CF3)CF2OC6F5(9.8g、収率73%、20mm Hgで沸点86〜88℃)が得られる。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2FとFSO2CF2COFとの反応)
実施例6の条件下で、KF(2.4g、0.041モル)、フルオロスルホンオキシジフルオロアセチルフルオライド(FSO2CF2COF)(96、0.05モル)およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)およびジグリム(10ml)から、CH2=C(CF3)CF2OCF2CF2SO2F(11g、収率78.6%、沸点124〜125℃)が得られる。
(CH2=C(CF2OSO2F)2とFSO2CF2COFとの反応)
無水ジグリム(30ml)中の新たに乾燥させたKF(3.9g、0.067モル)およびFSO2CF2COF(12g、0.067モル)から製造されたFSO2CF2CF2OKに、CH2=C(CF2OSO2F)2を少しずつ添加する。得られた混合物を20℃で3時間攪拌する。その反応混合物を水に注ぐ。有機層を重炭酸ナトリウムで、次いで水で洗浄し、次にMgSO4上で乾燥させる。蒸留によってCH2=C(CF3)CF2OSO2F(0.5g)およびCH2=C(CF2OCF2CF2SO2F)2(9g、収率58%、15mm Hgでの沸点95〜96℃)が得られる。
CH2=C(C4F2OC3F2C2F2SO2 1F)2
上のフッ素原子を特定する。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと塩化物との反応)
乾燥塩化リチウム(LiCl)(1.5g、0.036モル)と無水ジグリム(15ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(7.9g、0.032モル)を15分にわたり添加する。他の実施例に記載のようにその反応混合物を一般に仕上げ、2つの生成物、異性体:2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−クロロプロペン(CH2=C(CF3)CF2Cl)(80%)および1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−クロロプロペン(CF2=C(CF3)CH2Cl)(14%)がGC−MSおよび19F NMRによって同定される。反応混合物を20℃でさらに30分間攪拌する。ここで分析によって、30:1の比で存在するCH2=C(CF3)CF2ClおよびCF2=C(CF3)CH2Clの量が示される。反応混合物を0℃でさらに12時間維持し、ここでCH2=C(CF3)CF2Clが見出される唯一の生成物である。反応混合物を真空蒸留し、CH2=C(CF3)CF2Clを分離して、次いでそれを再蒸留してCH2=C(CF3)CF2Cl(沸点46〜48℃、収率72.4%)4.2gが得られる。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと臭素との反応)
乾燥臭化ナトリウム(NaBr)(4.5g、0.044モル)と無水ジグリム(15ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(9g、0.037モル)を少しずつ加える。反応混合物を20℃で20分間攪拌し、次いで他の実施例に記載のように一般に仕上げ、2つの生成物、異性体:2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−ブロモプロペン(CH2=C(CF3)CF2Br)(67%)および1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−ブロモプロペン(CF2=C(CF3)CH2Br)(27%)がGC−MSおよび19F NMRによって同定される。反応混合物を真空蒸留し、CH2=C(CF3)CF2Brを分離して、次いでそれを再蒸留してCH2=C(CF3)CF2Cl(沸点69〜71℃、収率69%)5.5gが得られる。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとヨウ化物との反応)
乾燥ヨウ化ナトリウム(NaI)(7g、0.047モル)と無水ジグリム(20ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.04モル)を少しずつ加える。反応混合物一晩保持し、次いで水に注ぐ。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で、次いで水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留することによって、GC−MSおよび19F NMRに示されるように、2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−ヨードプロペン(CH2=C(CF3)CF2I)(10%)と1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−ヨードプロペン(CF2=C(CF3)CH2I)(90%)との混合物(6g、54%)が得られる。沸点98〜99℃。ジフルオロメチレン異性体CF2=C(CF3)CH2Iがこの実施例では優勢である。求核剤として塩化物を用いた実験(実施例17)によって、反応条件、実施例17の場合には時間を変化させて、メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比を制御できることが示されている。求核剤としてのヨウ化物によって、高い量のメチレンモノマーが生成される条件が簡単な実験作業で特定されるはずである。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとフッ化物との反応)
この実施例における生成物は、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと求核剤フッ化物イオンとの反応によって生成されるヘキサフルオロイソブチレンであることを留意のこと。これは一般に、実際的な反応ではないだろう。CH2=C(CF3)CF2OSO2Fはヘキサフルオロイソブチレンから生成される。その反応は、本発明の合成方法がいかに一般的かを実証するために本明細書に包含される。
(CH2=C(CF2OSO2F)2と塩化物との反応)
乾燥LiCl(2.5g、0.059モル)と無水ジグリム(20ml)との攪拌混合物に、CH2=C(CF2OSO2F)2(9g、0.028モル)を10℃で少しずつ加える。添加が完了して15分後、反応混合物は、2種類の異性体、CH2=C(CF2Cl)2およびCF2=C(CH2Cl)CF2Clを79:14の比で含有する(GC−MSおよび19F NMRによる分析)。反応混合物を20℃でさらに30分間攪拌する。異性体比(CH2=C(CF2Cl)2とCF2=C(CH2Cl)CF2Clとの)は、90:3に増加した。反応混合物を20℃でさらに2日間維持し、次いで蒸留し、その結果沸点85〜87℃のCH2=C(CF2Cl)24g(73%)が得られる。この実施例から、塩化物イオンでのジフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2の挙動は、フルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの挙動に類似していることが示されている。反応時間が長くなると、ジフルオロメチレン異性体の形成よりもメチレン異性体の形成を促進する。
(CH2=C(CF2OSO2F)2とヨウ化物との反応)
乾燥NaI(16.5g、0.055モル)と無水スルホラン(20ml)との攪拌混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF2OSO2F)2(15g、0.046モル)を少しずつ添加する。反応混合物を20℃でさらに20分間攪拌し、水に注ぐ。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で、水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留することによって、5mm Hgで沸点58〜59℃のCF2=C(CH2I)CF2I(7.9g、57%)が得られる。これらの反応条件下でメチレン異性体CH2=C(CF2I)CF2Iは見出されないが、求核剤として塩化物を用いた実験(実施例20)によって、反応条件、実施例20の場合には時間を変化させて、メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比を制御することができることが示されている。求核剤としてのヨウ化物によって、高い量のメチレンモノマーが生成される条件が簡単な実験作業で特定されるはずである。
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとシアン化物との反応)
10℃で無水アセトニトリル(15ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.04モル)に、シアン化ナトリウム(2.4g、0.04モル)を少しずつ加える。反応混合物を15℃で4時間攪拌し、次いで水に注ぐ。有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させる。蒸留によって、化合物の混合物(3.5g、50%、沸点120〜122℃):CF2=C(CF3)CH2CN(93%)およびNC−CH2CH(CF3)2(7%)が得られる。
(CH2=C(CF3)CF2OCH(CF3)2とCF2=CH2との重合)
CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)2を実施例8の方法に従って生成する。<−20℃に冷却された75mlステンレス鋼オートクレーブに、CH2=C(CF3)CF2OCH(CF3)211.6g、CF3CH2CF2CH3溶媒10ml、およびCF3CFHCFHCF2CF3中の約0.17M DP開始剤10mlを装入する。オートクレーブを冷却し、排気し、さらにフッ化ビニリデン(CF2=CH2)約2gをさらに装入する。オートクレーブを室温で一晩振盪する。その結果得られた濁った液体を窒素下、次いでポンプ真空下で乾燥させ、最後に75℃の真空オーブン内で66時間乾燥させて、白色のポリマー12.9gが得られる。ヘキサフルオロベンゼン中のフッ素NMRによって、そのポリマー組成物がフッ化ビニリデン53.4モル%およびCH2=C(CF3)CF2OCH(CF3)246.6モル%であることが分かる。25℃のヘキサフルオロベンゼン中のインヘレント粘度は0.116dL/gである。Hガルデン(Galden)ZT(商標)85溶媒[HCF2O(CF2O)m(CF2CF2O)nCF2H]3gにポリマー0.5gを溶解し、0.45μmPTFEシリンジフィルター(ワットマン・オートバイアル(Whatman Autovial)(登録商標))を用いてその濁りを濾過し、余分な溶媒を蒸発させ、75℃の真空オーブン内で16時間乾燥させることによって、少量の試料をDSC測定のために精製する。Tgは47℃である(10℃/分、N2、第2熱)。
(CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)2とCF2=CH2との重合)
CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)2を実施例7の方法に従って生成する。<−20℃に冷却された110mlステンレス鋼オートクレーブに、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)226g、CF3CFHCFHCF2CF3溶媒25ml、およびCF3CFHCFHCF2CF3中の約0.17M DP開始剤10mlを装入する。オートクレーブを冷却し、排気し、さらにフッ化ビニリデン(CF2=CH2)約5gをさらに装入する。オートクレーブを室温で一晩振盪する。その結果得られた粘性の液体を窒素下、次いでポンプ真空下で乾燥させ、最後に75℃の真空オーブン内で88時間乾燥させて、白色のポリマー26.7gが得られる。ヘキサフルオロベンゼン中で行われたフッ素NMRによって、そのポリマー組成物がCH2=C(CF3)CF2OCF(CF3)251モル%およびCH2=CF249モル%であることが分かる。
溶液の調製:透明な無色の溶液が、Hガルデン(Galden)(商標)ZT85溶媒18gでポリマー2gをローリングし、0.45μmガラス繊維ミクロファイバーシリンジフィルター(ワットマン・オートバイアル(Whatman Autovial)(商標))に通すことによって調製される。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 式CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)を有することを特徴とする化合物。
2. Rが、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、およびヘプタフルオロプロピルからなる群から選択されることを特徴とする1.に記載の化合物。
3. Rがトリフルオロメチルであることを特徴とする1.に記載の化合物。
4. Rがペンタフルオロエチルであることを特徴とする1.に記載の化合物。
5. 式CH2=C(CF2OSO2F)2を有することを特徴とする化合物。
6. 式CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有することを特徴とする化合物。
7. XがOCF2(CF(CF3)−O−CF2)nCF2SO2F(n=0〜5)であることを特徴とする6.に記載の化合物。
8. Xがハロゲンであることを特徴とする6.に記載の化合物。
9. Xがシアン化物であることを特徴とする6.に記載の化合物。
10. Xがアルコキシドであることを特徴とする6.に記載の化合物。
11. XがR’mCHnO(m=0〜3、n=3〜0、m+n=3であり、かつR’が、アルキル、フルオロアルキル、およびパーフルオロアルキルからなる群から選択される)であることを特徴とする6.に記載の化合物。
12. 複数のR’基が存在する場合に、それらが前記基から独立して選択されることを特徴とする11.に記載の化合物。
13. 前記アルキル、フルオロアルキル、およびパーフルオロアルキルが、直鎖状、分枝鎖状、または環状であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、かつ炭素原子1〜10個を含有してもよいことを特徴とする12.に記載の化合物。
14. Xが、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、およびパーフルオロアリールオキシからなる群から選択されることを特徴とする6.に記載の化合物。
15. 式CH2=C(CF2X)CF2X’(式中、XおよびX’が、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシドおよびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有することを特徴とする化合物。
16. XおよびX’がOCF2(CF(CF3)−O−CF2)nCF2SO2F(n=0〜5)であることを特徴とする15.に記載の化合物。
17. ルイス酸の存在下でCH2=C(R)CF3(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)をSO3と接触させ、CH2=C(R)CF3/SO3付加物を生成することを含むことを特徴とする方法。
18. ルイス酸の存在下でCH2=C(R)CF3(式中、RはCF3である)をSO3と接触させ、CH2=C(CF3)2/SO3付加物を生成することを含むことを特徴とする方法。
19. 最も高い収率で生成された前記付加物が、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fであることを特徴とする18.に記載の方法。
20. 最も高い収率で生成された前記付加物が、CH2=C(CF2OSO2F)2であることを特徴とする18.に記載の方法。
21. 前記ルイス酸が、BF3、B(OCH3)3、B(OR)3(Rがアルキル基である)、SbF5、SbCl5、BCl3、B(OC(=O)CF3)3、B(OSO2CF3)3、B2O3、H3BO3、およびNa2B4O7からなる群から選択されることを特徴とする17.に記載の方法。
22. 前記ルイス酸が、BF3、B(OCH3)3、およびSbF5からなる群から選択されることを特徴とする17.に記載の方法。
23. CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)を求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
24. CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
25. CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、次いで前記第1求核剤と異なる第2求核剤と接触させて、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
26. 前記求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする23.に記載の方法。
27. 前記第1求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする24.に記載の方法。
28. 前記第1求核剤および第2求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする25.に記載の方法。
29. 前記水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、およびチオールメルカプチドが、それらのアルカリ金属塩として存在することを特徴とする26.に記載の方法。
30. 前記CH2=C(R)CF2OSO2Fと求核剤との前記接触が、相溶性の溶媒中で行われることを特徴とする23.に記載の方法。
31. 前記溶媒が少なくとも1種類の非プロトン極性溶媒を含むことを特徴とする30.に記載の方法。
32. 前記溶媒がジグリムを含むことを特徴とする30.に記載の方法。
33. CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。
34. CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、ヒドロキシアルコキシド、エステルアルコキシドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。
35. 前記少なくとも1種類の他のモノマーが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、トリフルオロエチレン、および酢酸ビニルからなる群から選択されることを特徴とする33.に記載のコポリマー。
36. 式CF2=C(R)CH2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有することを特徴とする化合物。
37. 式CF2=C(CF2X)CH2X’(式中、XおよびX’が、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有することを特徴とする化合物。
Claims (5)
- 式CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい、またはCF 2 OSO 2 Fである)を有することを特徴とする化合物。
- Rは、CF 2 OSO 2 Fであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
- CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい、またはCF 2 OSO 2 Fである)を求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
- CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
- CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、次いで前記第1求核剤と異なる第2求核剤と接触させて、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
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