JP4472293B2 - 獣毛繊維製品中の獣毛繊維の混用率鑑定法 - Google Patents

獣毛繊維製品中の獣毛繊維の混用率鑑定法 Download PDF

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Description

本発明は、複数種の獣毛繊維が混紡されている獣毛繊維製品における、獣毛繊維の混用率を鑑定する方法に関する。
現在、獣毛繊維製品に使用されている由来する動物の種類を鑑別し、混用率を求めるための方法として、日本で主に行われているのは、JIS L 1030-1(日本規格協会)で定められている顕微鏡試験による繊維鑑別法、及びJIS L 1030-2(日本規格協会)で定められている顕微鏡を用いて繊維本数を計数し、繊維混用率を求める方法である。その他の方法として例えば電子顕微鏡による鑑別やDNA鑑別による獣毛繊維製品の鑑別方法が挙げられる。
上記のうち光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて観察する鑑別方法は、いずれも獣毛繊維の形状、スケールの形状、太さ、光沢やぬめり感などの獣毛繊維の構造を観察する形態学的判別による鑑別方法である。
獣毛繊維は動物の毛に由来する天然繊維であることから、繊維形状が均一でなく、また、表面加工されることによって外観の形状が変化し、動物種を判定する上で特徴となる構造が消失することが多い。従って、顕微鏡による形態学的観察により獣毛繊維の種類を鑑別するには、専門的な知識と経験が必要である。
例えば、ヤギ由来の獣毛繊維の一つであるカシミヤは、一般に細くて柔らかく、手触りや風合いがよい。ヒツジ由来のウールは、カシミヤに比べて一般に太くて硬く、手触りや風合いが悪いとされている。しかし、カシミヤの中でも太く、硬いものや、ウールの中でも細く、柔らかいものがある。現に幼少のヒツジから採られる毛は細くて柔らかいものが多いと言われている。また、表面構造を改変することによりウールの手触りや風合いの改善をする加工や、特定の表面構造を除去することによって洗濯後に獣毛繊維製品が縮む現象の改善を図った防縮加工が近年増加している。このような処理が施されている場合、顕微鏡の観察による獣毛の鑑別は専門家にとっても困難なものとなる。
また、ヤクは4000m以上の高地に生息するウシ科の動物で、高地に生息する動物独特の細くて柔らかい毛を有している。このヤク由来の獣毛から得られる繊維はソフトで保温力があるので、流通量は少ないものの一部で非常に好まれている。しかし、ヤク由来の獣毛繊維の形状はカシミヤと大変よく似ており、顕微鏡鑑別では最も判別が困難な動物の毛の1つである。なお、取引価格においては一般にカシミヤよりも安く、羊毛よりも高い。
しかしながら、ヤク、カシミヤとウールでは取引価格において大きな格差があるため、獣毛繊維製品の組成がヤクであるのか、カシミヤであるのか、ウールであるのか、2種混以上であれば各混用率がどの程度であるのかを科学的に証明できる鑑別法が求められている。
近年様々な分野で生物種を同定することを目的として、DNAを用いる同定方法が利用されている。これは生物種ごとに特異的であるDNA配列を利用するものであり、この特異的な配列を確認することは生物種を同定する方法として充分な科学的な根拠があると認知されている。
この際、微量試料中の目的とする配列を簡易的に確認する方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCR)にて所望の配列を増幅させ、目的とする配列が含まれているか否かを電気泳動法にて確認する方法が採用されている。獣毛種の由来についても、このPCR法を利用した獣毛のDNA鑑別法が知られており、鑑別のための各動物種に応じたプライマーも報告されている(非特許文献1,2など)。また例えば特許文献1はウシ、らくだ、ヤギ及びヒツジ種由来の獣毛繊維をDNAにより鑑別する方法を開示している。かかる方法により、経験に頼っていた鑑別からより客観性の高い鑑別が可能となった。
しかしながら現在知られている鑑別法では、獣毛繊維中に特定の動物種のDNAが含まれるか否かを判定する定性試験であり、複数種由来の獣毛繊維が混用されている場合に各繊維の混用率の測定に採用することはできない。
PCR法の原理を利用して、試料中に含まれる特定のDNAを定量する方法として、PCR工程における増幅産物の量を測定することによって鋳型液に含まれるDNA量を推定する方法であるリアルタイムPCRあるいは定量PCRと呼ばれる方法(以下リアルタイムPCRという)が知られている。
リアルタイムPCRは、PCRの増幅産物1サイクルまたは数サイクル毎の量を蛍光プローブを用いて検出し、その蛍光強度の変化を測定することによってPCR工程前に試料に含まれていた鋳型DNAの量を推定するものである。リアルタイムPCRの原理、操作方法はすでに確立されており、例えばABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン(株))のごとく、リアルタイムPCRを実施するための装置も知られている。
しかしながら、獣毛繊維は薬剤による処理を受けていることが多いことに加えて、DNA抽出時に使用する蛋白質分解酵素の活性が一定でないこと、精製作業が煩雑であるために元々損傷を受けやすいDNAが分解されたり、切断されたりすることなどDNA抽出に関する誤差要因が大きい。また、試料からのDNA抽出液中に含まれるPCR工程における阻害物質の量が一定ではないことによりリアルタイムPCRでの測定値の過小評価が起こるというような影響もある。従ってリアルタイムPCRによって獣毛繊維に含まれる各動物種由来のDNAの絶対量を測定し、これらを比較したとしても、正確な混用率を得ることは不可能である。
特開2000−325098号 Molecular speciation of animal fibers, Paul F Hamlyn他, JSDC Volume 114 March 1998, P78-80
本発明は、リアルタイムPCR法を応用して、獣毛混用繊維製品において用いられている獣毛種の比率を正確かつ簡便に確認することができる方法を提供することを目的とする。
家庭用品品質表示法において、繊維の組成表示はその混用率(%)を示すことが求められている。従って本発明者らは、獣毛繊維に含まれる各動物種由来DNAの絶対量を得るのではなく、獣毛繊維に含まれる各動物種由来のDNAの混合比を、既知の混合比の標準混合獣毛繊維により得られる値にて補正することによって、獣毛繊維の混用率を得る方法を完成した。
即ち本発明は、以下の工程:
1) 被検獣毛繊維製品からDNAを抽出する工程、
2) 1)で抽出したDNAを鋳型として、被検獣毛繊維製品中に含まれる獣毛が由来する各動物種に特異的なプライマーと、該プライマーにより増幅される配列を特異的に検出するプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、各動物種由来のDNA量の相対値の比率を得る工程、
3) 予め用意された、実質的に100%純粋な獣毛繊維を複数の比率で混合した標準混合獣毛繊維を用いて得た各動物種由来の獣毛の混用率と各動物種由来のDNA量の相対値の比率との対応表に基づいて、2)で得た各種動物種由来のDNA量の相対値の比率を補正して、被検獣毛繊維の混用率を得る工程
を含む、獣毛繊維製品に含まれる獣毛の混用率を調べる方法を提供する。
本発明の方法によって、2以上の獣毛繊維を含む獣毛繊維製品中の獣毛の混用率を定量的に得ることができる。
本発明はさらに、本発明の獣毛繊維の混用率を調べるために有用な、ヤギ、ヤクおよびヒツジ種に特異的なプライマーペアおよび該プライマーペアにより増幅される遺伝子断片に特異的に結合するプローブを提供する。
本発明はまた、上記プライマーペアとプローブを含む、各獣毛種遺伝子検出または定量用キットを提供する。
発明の実施の形態
本発明において「獣毛繊維」とは動物の毛部分を意味する。本明細書において「獣毛繊維製品」の語には、動物から刈り取られた、処理をされていない原毛、洗毛、精練、漂白、染色、加工などを施したもの、更にこれらを紡いだ糸を含むものとする。また、「獣毛繊維製品」には、糸、織物、編物などに加工された製品、衣類等の最終製品へと加工された製品のいずれも含有するものとし、また従来知られた加工、例えば防縮、防皺、撥水、防虫、消臭、防汚加工等を施された製品も含まれるものとする。さらに、毛を刈り取ることなく、毛皮として提供される獣毛も本明細書においては「獣毛繊維製品」に含まれるものとする。
本発明の方法においては、まず被検対象となる獣毛繊維製品の、混用が考えられる獣毛の種類を確認する。混用されている獣毛種が予め知られている場合には、この段階は不要である。獣毛種の確認は従来から行われている方法のいずれで行ってもよく、例えばJIS-1030に規定される方法、特に顕微鏡法を用いることができる。
獣毛種の確認は、従来知られているDNA鑑別法を用いて行っても良い。DNA鑑別法においては被検対象繊維より抽出されたDNAを鋳型とし、混用が考えられる獣毛に特異的であるよう設計されたプライマーを用いてPCR反応を行い、PCR増幅産物を解析して予測したDNA配列が含まれているか否かを判断する定性的なものである。(Molecular speciation of animal fibers, Paul F Hamlyn他, JSDC Volume 114 March 1998, P78-80)。獣毛種の鑑別に用い得るプライマーとしては様々のものが知られており、例えばG. Nelson et al., Textile Research Journal 62(10) 590-595(1992)記載のものが好適に用いられる。または、本発明で提供されるヤク、ヒツジおよびヤギに特異的な各プライマーペアを用いてもよい。
あるいは、特開2000−325098に記載の方法によってウシ種、らくだ種、ヤギ種およびヒツジ種由来の獣毛繊維の混用の有無を確認してもよい。
次いで被検獣毛繊維からDNAを抽出する。必要に応じて、DNAの抽出処理の前に獣毛繊維の洗浄を行ってもよい。特に被検対象である獣毛繊維製品に繊維屑や油脂分が付着している場合には、洗浄をすることが好ましい。なお、上記獣毛の種類の確認に際してPCR反応を用いる場合には、以下に示す方法により抽出したDNAの一部を獣毛種の確認に、一部を各獣毛種の混用率の鑑別に用いればよい。
獣毛繊維製品からのDNAの抽出は、従来公知のいずれの方法を用いてもよく、特に限定されない。DNA抽出液中の不純物がPCRに影響を与えないこと、また続くリアルタイムPCRによる測定において、Ctが30以下となるようなDNA量とすることが好適である。
具体的には、例えば、獣毛繊維製品を細切し、これをDNA抽出溶液へ浸漬する方法が挙げられる。DNA抽出液としては、適当なプロテアーゼと界面活性剤であるSDSやポリエチレングリコール、およびEDTA、DTTを含有するものが例示され、これらに限らずDNA抽出液として市販されているものがいずれも好適に用いられる。
DNAの抽出操作は、典型的にはプロテアーゼを含有するDNA抽出液に試料を投入し、50℃で12時間以上、ゆっくり撹拌しながらインキュベーションすればよい。インキュベーション終了後、試料を再度撹拌し、遠心分離により不溶物を沈殿させる。得られる上清中に含まれるDNAを、常套の方法、例えば当業者によく知られたフェノールとクロロホルムを用いた方法により単離、精製する。
こうして獣毛繊維製品により単離されたDNAを鋳型とし、上記で鑑別した各動物種由来のDNAを特異的に認識するプライマーペア、該プライマーペアによる増幅量に応じて蛍光を発することのできる標識プローブ、およびDNAポリメラーゼを含有する条件下でPCR反応を行い、得られる増幅産物の量を示す蛍光強度をリアルタイムで、即ち一定サイクル毎、例えば1サイクル毎にモニターする。このリアルタイムPCR法については、上記の通りすでに確立された方法であり、市販の装置を用いて行えばよい。
リアルタイムPCR法により得られる蛍光強度を増幅産物の量に対応させるためには、各種濃度の標準DNA試料を鋳型としたリアルタイムPCR反応を被検試料と同じ条件下で行い、その増幅産物の量をリアルタイムでモニターして検量線を作成すればよい。増幅産物を得るための蛍光標識プローブとしては例えば以下に説明するTaqManプローブがある。また、二本鎖DNAに特異的に結合する色素であるSYBRグリーン等が知られているが、測定値の正確さからTaqManプローブが好適に用いられる。
得られる蛍光強度の解析方法、検量線の作成方法等は、市販の装置に添付されている説明書に基づいて、添付のコンピュータープログラムによって容易に行うことができる
別途、被検獣毛繊維中に混用されている各動物種由来の獣毛を実質的に100%含む獣毛繊維を複数比率で混合した標準混合獣毛繊維を作成する。この標準混合獣毛繊維から上記と同様にしてDNAを抽出する。抽出したDNAを鋳型として各動物種に特異的なプライマーペアおよび該プライマーペアを特異的に検出するプローブを用いてリアルタイムPCRを行って、抽出したDNA中の各動物種由来のDNA量の相対値をそれぞれ得る。標準混合獣毛繊維中の各動物種由来繊維の混合比と、各動物に由来するDNA量の相対値の比の対比表を予め作成しておく。
この予め用意された対比表に基づき、被検動物繊維の各プライマーペアによる一次測定値の比を補正する。かかる補正をすることによって、従来得ることのできなかった、正確な混用率を求めることができる。
本発明はさらに、本発明の方法に有用な各動物種に特異的なプライマーペアおよび該動物種を特異的に検出し得るプローブを提供する。本発明で提供されるプライマー及びプローブは、ヤクが由来する動物であるヤク、ウールが由来する動物であるヒツジおよびカシミヤが由来する動物であるヤギをそれぞれ検出、定量するために有用である。
プライマーペアおよびプローブの調製:
獣毛製品は、製品となるまでに様々な処理を受けるためにすでにDNAが損傷を受けている場合が多い。また、ヤク種、ヤギ種およびヒツジ種間はDNA配列が一部類似している。このため、特に保存性が高く、なおかつ種特異性が高いDNA配列の部分を対象としたプライマーとプローブを用いることが必要である。単にヤク種、ヤギ種やヒツジ種のDNA配列が知られているからといって、実用可能なプライマーやプローブを作成することは容易ではない。リアルタイムPCRでの測定の理論上、増幅効率が一定しているほど測定値の信頼性が上がるため、特異性が高いだけではなく、鋳型DNAへのプライマーおよびプローブのアニーリング容易さも考慮しなくてはならない。このバランスが取れたプライマーとプローブを作成することは容易ではない。
TaqManプローブは上記の通り、オリゴヌクレオチドプローブにレポーター蛍光色素とクエンチャー蛍光色素が結合したものである。レポーター蛍光色素としては、公知の各種のものをいずれも用いることが出来、例えばFAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)のようなフルオレッセイン系蛍光色素が好ましい。クエンチャー蛍光色素としても、公知の各種のものをいずれも用いることが出来、例えばTAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)のようなローダミン系蛍光色素が好ましい。本態様においても、FAMおよびTAMRAをレポーター及びクエンチャーとして用いた。
本発明者らは、ヤク、ヤギおよびヒツジについてそれぞれDNAの保存性が比較的良く、なおかつ変異率が高い、生物種ごとに特有の配列を持つとされているミトコンドリアDNAの公知配列を利用して独自にプライマーペアを設計した。また、各プライマーによる増幅を特異的に検出するためのTaqManプローブを設計した。
プローブのレポーター蛍光色素として5’末端にFAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)を、クエンチャー蛍光色素として3’末端にTAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)を連結した。
本発明者らが新たに設計したプライマーおよびプローブは以下の通りである:
ヒツジ用プライマーペア1
woolF7404:5'-AACCAGGAGAACTGCGTTTACT-3' (配列番号1)
woolR7626:5'-TTTGATCCGCAAATTTCTGA-3' (配列番号2)
ヒツジ用プローブ1
woolT7562:5'-FAM-ACAACCCTTATGTCAACTCGTCCAGGCC-TAMRA-3'(配列番号3)
ヒツジ用プライマーペア2
Wool F 1788 : 5'-AATCCCTTAGAAGTCCCACTACTCAA-3' (配列番号10)
Wool R 1930 : 5'-TACACGCCTAGTGCGATGGTAA-3' (配列番号11)
ヒツジ用プローブ2
Wool T 1853 : 5'-FAM-AGCTCACCATAGCCTCATAGAAGGGAACCG-TAMRA-3' (配列番号12)
ヤギ用プライマーペア
yagiF874:5'-TTAGTTGAATTAGGCCATGAAGCA-3'(配列番号4)
yagiR953:5'-TTAATAGGCTTGAGTGCATTGTATTTACT-3'(配列番号5)
ヤギ用プローブ
yagiT901:5'-FAM-ACACACCGCCCGTCACCCTCC-TAMRA-3'(配列番号6)
ヤク用プライマーペア
Yak F 883:5'-GCTTTCTCTATCCTAATCCTTGCTCTTA-3' (配列番号13)
Yak R 964:5'-GGCTGAGTGGTCGGAAGATTAT-3' (配列番号14)
ヤク用プローブ
Yak T 913:5'-FAM-CCCCTACTGCACACTTCCAAACAACGAA-TAMRA-3' (配列番号15)
ヤク、ヒツジ、ヤギ共通プライマーペア
12SrRNAF531:5'-TACAGAAACAAAATTATTCGCCAGAGT-3'(配列番号7)
12SrRNAR607:5'-GGGTATAAAGCACCGCCAAGT-3'(配列番号8)
ヤク、ヒツジ、ヤギ共通プローブ
12SrRNAT560:5'-FAM-TACCGGCAACAGCCCGAAACTCAAA-TAMRA-3'(配列番号9)
リアルタイムPCRに用い得る上記各プライマーペアおよびプローブを含む各獣毛種由来遺伝子検出または定量用キットもまた、本発明の範囲に含まれる。なお、該キットには、PCR反応に通常使用することが知られている試薬やバッファー類、例えばDNAポリメラーゼや反応溶液等を含んでいてもよい。
なお本発明の実施例では、リアルタイムPCRの検出手段としてTaqManPCR法を用いた。このTaqMan PCRは、リポーター色素とクエンチャー色素とが結合されたプローブの存在下でPCRを行い、標的核酸の増幅に伴って増加する蛍光強度を測定することにより、被検試料中の標的核酸を検出・定量する技術である[Christian et al.,Genome Research 6: 986-994(1996)]。当該技術は、増幅反応と蛍光強度の測定とを同時に実施するものであり、鋳型にハイブリダイズした標識プローブの分解によって遊離する蛍光リポーター色素をリアルタイムで検出し、検出器に連結したコンピューターで増幅産物を自動的に分析する。
TaqManPCRにおいては、蛍光強度を測定しながらPCR反応を行う。被検試料中に標的配列を有するDNAが含まれている場合、DNAの増幅が起こり、増幅産物にハイブリダイズした蛍光標識プローブがDNAポリメラーゼの作用により分解する。蛍光強度は、あるサイクル数を過ぎると検出限界を超え、急激に増加する。そして、被検試料中の標的配列を有するDNAの量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が、急に増加する。従って、蛍光強度の急激な増加が始まるサイクル数を調べることにより、被検試料中の被検試料中の標的配列を有するDNAを定量することができる。
具体的には、DNAの量を横軸に蛍光強度の急激な増加が検出されたサイクル数を縦軸とし検量線を作成しておけば、被検試料由来のDNAを鋳型としたときの、検出限界を超えたときのサイクル数(Ct値とする)を調べることにより、被検試料中のDNA量を測定することができる。
本発明のプライマーおよびプローブを用いて獣毛繊維製品におけるヒツジ、ヤギおよびヤク由来の獣毛種の混用率を測定した実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
カシミヤ及びウールの由来の獣毛繊維繊維製品(二種混合)から本発明の方法にてカシミヤ(ヤギ)とウール(ヒツジ)の混用率を測定した。
なお、試料はカシミヤ100%の原毛とウール100%の原毛を用い、標準値を得るために、重量比100:0〜0:100の割合で混合したものを用いた。
試薬、使用器具等は可能な限り滅菌処理し、DNA操作に使用するに適したものを使用した。
獣毛繊維製品からのDNA抽出
1.各種比率でカシミヤ原毛とウール原毛を混合した試料を細切し、それぞれ50mg取り、2.0ml容のエッペンドルフテストチューブへ投入した。
2.ここへDNA抽出バッファー(DNAextractionbuffer(DEB)(400mMTris-HClpH8.0,60mMEDTA,1%SDS,0.1% PEG-400,5mMDTT)を1mlと、10UのプロテイナーゼKを投入し、50℃で12時間以上ゆっくりと撹拌しながらインキュベーションした。
3.インキュベーション後の試料を撹拌し、9500G、5分間遠心分離した。上清を別のチューブに移し、300μlのフェノールを加え、15分間混合した。
4.300μlのクロロホルムを加え、5分間混合した。
5.270G,1分間遠心分離した。上清を別のチューブに移し、0℃で15分間保冷した。
6.11000G,5分間遠心分離し、上清をマイクロコン-100を用いて精製した。得られたDNAを30μlの10mMTris-HCl(pH8.0)中へ懸濁した。
こうして得られた各試料由来のDNAをそれぞれ鋳型とし、本発明のプライマーとプローブを用いて、リアルタイムPCRによる測定を行った。(いずれもプライマー(フォーワード、リバース)、プローブの順に記載)
ヤギ種用プライマー及びプローブyagiF874,yagiR953,yagiT901
ヒツジ種用プライマー及びプローブwoolF7404,woolR7626,woolT7562
スタンダード用プライマー及びプローブ(検量線作成) 12SrRNAF531,12SrRNAR607,12SrRNAT560
PCR反応液
滅菌水 20μl
TaqManUniversalPCRMasterMix 25μl
プライマー(フォワード、リバース) 各1μl(50pmol)
TaqManプローブ 1μl(12.5pmol)
DNA試料 2μl
PCR反応液には、アプライドバイオシステムズジャパン(株)のTaqMan Universal PCR MasterMixを使用した。また、ネガティブコントロールとして、DNA試料の代わりに2μlの10mMTris-HCl(pH8.0)を投入したものを用いて同様に以下のPCRサイクルに供した。
PCR反応条件
50℃2分間
95℃10分間
95℃15秒間,60℃1分間、40サイクル
リアルタイムPCRの測定条件の設定
リアルタイムPCR装置として、ABI PRISM 7000(アプライドバイオシステムズジャパン(株))を用いた。上述の通り、プローブにはレポーターとしてFAM、クエンチャーとしてTAMRAを用いていることから、検出器の設定もこれに合わせた。なお、各PCR反応はいずれも2連で行った。
1)threshold line設定と検量線の作成
ウール100%の原毛から抽出したDNA抽出液(スタンダード)を原液、2倍希釈、4倍希釈した試料について、スタンダード用プライマー及びプローブ12SrRNAF531,12SrRNAR607,12SrRNAT560を用いたリアルタイムPCR反応を行った。各サイクルにおける蛍光強度を測定し、各濃度において蛍光強度が指数増加を示す蛍光強度をthreshold lineとして設定した。スタンダードDNA試料の原液、2倍、4倍希釈液中のDNAの濃度(Qty)をそれぞれ100、50、25と設定し、threshold lineに達した際のサイクル数(Ct)と濃度の対数値との間の検量線を作成した(図1)。
以下のリアルタイムPCRでは、threshold lineおよび検量線のいずれもこの値を用いた。
2)標準混合獣毛繊維中の混用率とDNA量の相対値の比の対比表の作成
ウール100%およびカシミヤ100%の原毛を混合して、カシミヤ分を表1に示す量含有する試料、即ち試料中のヤギの混用率が表1に示す値となる標準混合獣毛繊維を作成した。各標準混合獣毛繊維のDNAを、上記と同様にして抽出した。各試料から抽出されたDNA液をヤギ種用プライマー及びプローブ:yagiF874、yagiR953、yagiT901、ヒツジ種用プライマー及びプローブwoolF7404,woolR7626、woolT7562をそれぞれ用いてリアルタイムPCR反応を行った。
PCR反応条件は上記と同じであり、1)で得たthreshold lineに達した際のサイクル数(Ct)から検量線によりDNA量の相対値(Qty)を得た。Qty値は2連で測定した平均値を用いた。
標準混合獣毛繊維においてヤギ種およびヒツジ種それぞれのプライマー及びプローブを用いて得られたQty値における、ヤギ種のQty値の割合Psを式1:
Ps=Y/(Y+W)×100 (1)
Ps:ヤギおよびヒツジの測定値の合計に対するヤギ種測定値の比率
Y:ヤギ種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
により計算した。得られたDNAの一次量と標準混合獣毛繊維中のヤギの混用率とを対応付けた表を作成した(表1)。
Figure 0004472293
なお、ネガティブコントロールとしてDNA試料に代えてトリスバッファーを投入した場合には、蛍光が検出されず、Ct値は得られなかった。
3)混用率の測定
カシミヤ100%原毛10%、およびウール100%原毛90%を混合した試料を作成し、これを5つに分けてそれぞれについてDNA抽出操作を行い、ヤギ及びヒツジ用プライマー、プローブをそれぞれ用いたリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRはそれぞれ2連で行った。得られた結果を上記で設定した条件により解析し、平均Qty値を得た。結果を表2に示す。
Figure 0004472293
ヤギ種及びヒツジ種の測定結果である平均Qtyの値より式2:
P=Y/(Y+W)×100 (2)
P:ヤギ種測定値の比率
Y:ヤギ種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
によりヤギ種測定値の比率(P値)を得た。次いで、得られたP値を式3に当てはめて混用率を測定した。
式3:
Q=(P−SM)×(BT−ST)÷(BM−SM)+ST (3)
式3において、各記号は以下の値を示す
Q:ヤギの混用率
SM:表1のPs値中、P値より小さく、かつ最大の値
BM:表1のPs値において、P値よりも大きく、かつ最小の値
ST:表1においてSMで適用されるPs値に対応するヤギの混用率
BT:表1においてBMで適用されるPs値に対応するヤギの混用率
表2の結果を上記式3により計算した結果を表3に示す。
Figure 0004472293
算出された混用率から明らかなように、本発明の新規混用率測定方法を用いた測定結果により、家庭用品品質表示法に規定されている許容範囲である±5%以内の精度によって測定された。本実施例により、本願の方法及びプライマー、プローブは、ヤギ種とヒツジ種由来の獣毛繊維製品の混用率測定に好適に使用されることが確認された。
ヤク、カシミヤ及びウール由来の3種類の獣毛繊維を含有する製品からDNAを抽出し、本発明の方法にてヤク、カシミヤ(ヤギ)およびウール(ヒツジ)のそれぞれ混用率を測定した。
なお、試料はヤク100%の原毛、カシミヤ100%の原毛とウール100%の原毛を用い、標準値を得るために、重量比100:0:0〜0:100:0〜0:0:100の割合で混合したものを用いた。
1)検出限界の設定と検量線の作成
カシミヤ100%の原毛から抽出したDNA抽出液(スタンダード)を原液、2倍希釈、4倍希釈した試料について、スタンダード用プライマー及びプローブ12SrRNAF531,12SrRNAR607,12SrRNAT560を用いたリアルタイムPCR反応を行った。各サイクルにおける蛍光強度を測定し、各濃度において蛍光強度が指数増加を示す蛍光強度を検出限界(Threshold line)として設定した。スタンダードDNA試料の原液、2倍、4倍希釈液中のDNAの濃度(Qty)をそれぞれ100、50、25と設定し、検出限界に達した際のサイクル数(Ct)と濃度の対数値との間の検量線を作成した。
以下のリアルタイムPCRでは、検出限界および検量線のいずれもこの値を用いた。
2)標準混合獣毛試料中の各獣毛繊維混用比と標準値の設定
実施例2のリアルタイムPCRで用いたプライマー及びプローブは以下の通りである。
(順に、プライマー(フォーワード、リバース)、プローブ):
ヤギ種用プライマー及びプローブyagiF874,yagiR953,yagiT901
ヒツジ種用プライマー及びプローブ Wool F 1788, Wool R 1930, Wool T 1853
ヤク種用プライマー及びプローブ Yak F 883, Yak R 964, Yak T 913
スタンダード用プライマー及びプローブ(検量線作成) 12SrRNAF531,12SrRNAR607,12SrRNAT560
ヤク100%、ウール100%およびカシミヤ100%の原毛を重量比が100:0:0〜0:100:0〜0:0:100となるよう混合して標準混合獣毛試料を作成した。具体的には作成した標準混合獣毛繊維はヤクとカシミヤ、ヤクとウールおよびカシミヤとウールそれぞれの組合せについての2種の合計含有量に対する一方の種の含有量の割合が表4〜6それぞれに示されるものである。なお、標準混合獣毛繊維は3種類の獣毛繊維の混合物であるが、各表はそのうちの2種の間の混用率を規定しているものである。
各標準混合獣毛繊維のDNAを、実施例1と同様にして抽出し、各試料から抽出されたDNAを鋳型としてヤギ種用プライマー及びプローブ:yagiF874、yagiR953、yagiT901、ヒツジ種用プライマー及びプローブ Wool F 1788, Wool R 1930, Wool T 1853、ヤク種用プライマー及びプローブ Yak F 883, Yak R 964, Yak T 913をそれぞれ用いてリアルタイムPCR反応を行った。
PCR反応条件は実施例1と同じである。1)で得た検出限界に達した際のサイクル数(Ct)から検量線によりDNA量の相対値(相対値:Qty)を得た。Qty値は2連で測定した平均値を用いた。ヤギ、ヒツジおよびヤク種用プライマーおよびプローブを用いてそれぞれ得られた測定値から、ヤクとヤギ、ヤクとヒツジおよびヒツジとヤギのそれぞれ2種の間の比率を得、これを各2種の獣毛繊維の配合比率と対応付けた。
標準混合獣毛繊維においてヤク種及びヤギ種それぞれのプライマー及びプローブを用いて得られたQty値の合計における、ヤク種のQty値の割合Ps1を式4
Ps1=Y/(Y+C) (4)
Ps1:ヤクとヤギの測定値の合計におけるヤク種測定値の比率
Y:ヤク種の測定値
C:ヤギ種の測定値
により計算した。得られた値を、標準混合獣毛繊維中のヤクとヤギの合計含有量におけるヤクの含有量の割合と対応付けた(表4)。
標準混合獣毛繊維においてヤク種およびヒツジ種それぞれのプライマー及びプローブを用いて得られたQty値の合計における、ヤク種のQty値の割合Ps2を式5:
Ps2=Y/(Y+W) (5)
Ps2:ヤクとヒツジの測定値の合計におけるヤク種測定値の比率
Y:ヤク種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
により計算した。得られた値を、標準混合獣毛繊維中のヤクとヒツジの合計含有量におけるヤクの含有量の割合と対応付けた(表5)。
標準混合獣毛繊維においてヤギ種およびヒツジ種それぞれのプライマー及びプローブを用いて得られたQty値の合計における、ヤギ種のQty値の割合Ps3を式6:
Ps3=C/(C+W) (6)
Ps3:ヤギとヒツジの測定値の合計におけるヤギ種測定値の比率
C:ヤギ種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
により計算した。得られた値を、標準混合獣毛繊維中のヤギとヒツジの合計含有量におけるヤギの含有量の割合と対応付けた(表6)。
Figure 0004472293
Figure 0004472293
Figure 0004472293
なお、ネガティブコントロールとしてDNA試料に代えてトリスバッファーを投入した場合には、蛍光が検出されず、Ct値は得られなかった。
3)混用率の測定
カシミヤ、ヤク、ウールの原毛を表7に示す各混用割合で混合した試料を作成し、その試料についてそれぞれDNA抽出操作を行い、ヤク、ヤギ及びヒツジ用プライマー、プローブをそれぞれ用いたリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRはそれぞれ2連で行った。得られた結果を上記で設定した条件により解析し、平均Qty値を得た。結果を表7に示す。
Figure 0004472293
ヤク種及びヤギ種の測定結果である平均Qtyの値より式7:
Pyc=Y/(Y+C) (7)
Pyc:ヤク種とヤギ種の測定値の合計に対するヤク種測定値の比率
Y:ヤク種の測定値
C:ヤギ種の測定値
によりヤク種とヤギ種の測定値の合計に対するヤク種測定値の比率(Pyc値)を得た。次いで、得られたPyc値を式8に当てはめてヤク種とヤギ種の間の混用率を測定した。
式8:
Qyc=(Pyc−SM)×(BT−ST)÷(BM−SM)+ST
Qcy=100−Qyc
式8において、各記号は以下の値を示す
Qyc:ヤクとヤギの合計含有量に対するヤクの含有量の割合
Qcy:ヤクとヤギの比率におけるヤギの含有量の割合
SM:表4のPs1値中、Pyc値より小さく、かつ最大の値
BM:表4のPs1値において、Pyc値よりも大きく、かつ最小の値
ST:表4においてSMで適用されるPs1値に対応するヤクの混用率
BT:表4においてBMで適用されるPs1値に対応するヤクの混用率
ヤク種及びヒツジ種の測定結果である平均Qtyの値より式9:
Pyw=Y/(Y+W) (9)
Pyw:ヤク種とヒツジ種の測定値の合計に対するヤク種測定値の比率
Y:ヤク種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
によりヤク種とヒツジ種の測定値の合計に対するヤク種測定値の比率(Pyw値)を得た。次いで、得られたPyw値を式10に当てはめて混用率を測定した。
式10:
Qyw=(Pyw−SM)×(BT−ST)÷(BM−SM)+ST
Qwy=100−Qyw
式10において、各記号は以下の値を示す
Qyw:ヤクとヒツジの合計含有量におけるヤクの含有量の割合
Qwy:ヤクとヒツジの合計含有量におけるヒツジの含有量の割合
SM:表5のPs2値中、Pyw値より小さく、かつ最大の値
BM:表5のPs2値において、Pyw値よりも大きく、かつ最小の値
ST:表5においてSMで適用されるPs2値に対応するヤクの混用率
BT:表5においてBMで適用されるPs2値に対応するヤクの混用率
ヤギ種及びヒツジ種の測定結果である平均Qtyの値より式11:
Pcw=C/(C+W) (11)
Pcw:ヤギ種とヒツジ種の測定値の合計に対するヤギ種測定値の比率
C:ヤギ種の測定値
W:ヒツジ種の測定値
によりヤギ種とヒツジ種の測定値の合計に対するヤギ種測定値の比率(Pcw値)を得た。次いで、得られたPcw値を式12に当てはめ混用率を測定した。
式12:
Qcw=(Pcw−SM)×(BT−ST)÷(BM−SM)+ST
Qwc=100−Qcw
式12において、各記号は以下の値を示す
Qcw:ヤギとヒツジの合計含有量に対するヤギの含有量の割合
Qwc:ヤギとヒツジの合計含有量に対するヒツジの含有量の割合
SM:表6のPs3値中、Pcw値より小さく、かつ最大の値
BM:表6のPs3値において、Pcw値よりも大きく、かつ最小の値
ST:表6においてSMで適用されるPs3値に対応するヤギの混用率
BT:表6においてBMで適用されるPs3値に対応するヤギの混用率
上記で得られたQyc、Qcy、Qyw、Qwy、Qcw、Qwcを以下の式13に当てはめて、ヤク、ヤギ、ヒツジの各混用率を算出した。
式13:
Qc1=Qcy×Qyw
Qw1=Qwy×Qyc
Qy1=Qyc×Qyw
Rc1=Qc1/(Qc1+Qw1+Qy1)×100
Rw1=Qw1/(Qc1+Qw1+Qy1)×100
Qc2=Qcw×Qcy
Qw2=Qwc×Qcy
Qy2=Qyc×Qcw
Rc2=Qc2/(Qc2+Qw2+Qy2)×100
Rw2=Qw2/(Qc2+Qw2+Qy2)×100
Rc=(Rc1+Rc2)/2
Rw=(Rw1+Rw2)/2
Ry=100−Rc−Rw
上記式13において、各記号は以下の値を示す。
Qyc:ヤクとヤギの合計含有量に対するヤクの含有量の割合
Qcy:ヤクとヤギの合計含有量に対するヤギの含有量の割合
Qyw:ヤクとヒツジの合計含有量に対するヤクの含有量の割合
Qwy:ヤクとヒツジの合計含有量に対するヒツジの含有量の割合
Qcw:ヤギとヒツジの合計含有量に対するヤギの含有量の割合
Qwc:ヤギとヒツジにの合計含有量おけるヒツジの含有量の割合
Rc:ヤギの混用率
Rw:ヒツジの混用率
Ry:ヤクの混用率
表7の結果を上記式により計算した結果を表8に示す。
Figure 0004472293
算出された混用率から明らかなように、本発明の新規混用率測定方法を用いた測定結果により、家庭用品品質表示法に規定されている許容範囲である±5%以内の精度によって測定された。本実施例により、本願の方法及びプライマー、プローブは、ヤク種、ヤギ種とヒツジ種由来の獣毛繊維製品の混用率測定に好適に使用されることが確認された。
染色した獣毛繊維製品中の各獣毛繊維の混用率を測定した。
試料として、カシミアおよびウールの原毛をカシミア:ウールが90:10、50:50となるよう混ぜたもの、およびカシミア、ウールそれぞれ100%のものを用いた。各試料は酸性染料を用いてイエローまたはブラックに染色した。使用染料は以下の通りである:
イエロー:Lanyl Yellow G extra conc.
ブラック:Lanyl Black BG extra conc.
水中に染料3%、酢酸1%、エマルゲン910 0.3%を含有する染色液(pH4.0)へ、原毛試料を浸漬し、90℃にて15分間染色した。染色後、60℃の水中へ投入して徐冷し、次いで常温で水洗した。
各染色した試料について、実施例1と同様にしてカシミアとウールの混用率を測定し、既知の混用率と比較した。結果を表に示す。
Figure 0004472293
表9に示す結果から明らかな通り、染色によって変性した獣毛繊維であっても混用率を正確に測定できる。
リアルタイムPCRの検量線を示す。横軸は相対DNA量の対数値を、縦軸はthreshold lineに達したサイクル数を示す。

Claims (9)

  1. 1) 被検獣毛繊維製品からDNAを抽出する工程、
    2) 1)で抽出したDNAを鋳型として、被検獣毛繊維製品に含まれる獣毛が由来する各動物種に特異的なプライマーと、該プライマーにより増幅される配列を特異的に検出するプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、各動物種由来のDNA量の相対値の比率を得る工程、
    3) 予め用意された、実質的に100%純粋な獣毛繊維を複数の比率で混合した標準混合獣毛繊維を用いて得た各動物種由来の獣毛の混用率と各動物種由来のDNA量の相対値の比率との対応表に基づいて、2)で得た各種動物種由来のDNA量の相対値の比率を補正して、被検獣毛繊維製品の混用率を得る工程
    を含む、獣毛繊維製品に含まれる獣毛の混用率を調べる方法。
  2. 被検獣毛繊維製品に含まれる獣毛が由来する動物種を判別する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 被検獣毛繊維製品に含まれる獣毛が由来する動物種を判別する工程が、定性ポリメラーゼ連鎖反応により獣毛繊維中に含まれる動物種を判別する工程を含む、請求項1記載の方法。
  4. 獣毛繊維が、ヤク種、ヒツジ種及びヤギ種からなる群から選択される2以上の動物種に由来する繊維を含んでいる、請求項1〜3いずれかに記載の方法。
  5. プローブとして、TaqManプローブを用いる、請求項1〜4いずれかに記載の方法。
  6. ヒツジ種由来繊維およびヤギ種由来繊維が混用されている獣毛繊維中の、各繊維の混用率を調べるための方法であって、
    1)獣毛繊維からDNAを抽出する工程、
    2)抽出したDNAを鋳型として、5'-AACCAGGAGAACTGCGTTTACT-3'(配列番号1)および5'-TTTGATCCGCAAATTTCTGA-3'(配列番号2)からなるプライマーペアと5'-ACAACCCTTATGTCAACTCGTCCAGGCC-3'(配列番号3)を含むプローブ、もしくは5'-AATCCCTTAGAAGTCCCACTACTCAA-3'(配列番号10)および5'-TACACGCCTAGTGCGATGGTAA-3'(配列番号11)からなるプライマーペアと5'-AGCTCACCATAGCCTCATAGAAGGGAACCG-3'(配列番号12)を含むプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、抽出したDNA試料中のヒツジ種由来DNA量の相対値を得る工程、
    3)抽出したDNAを鋳型として、5'-TTAGTTGAATTAGGCCATGAAGCA-3'(配列番号4)および5'-TTAATAGGCTTGAGTGCATTGTATTTACT-3'(配列番号5)からなるプライマーペアと5'-ACACACCGCCCGTCACCCTCC-3'(配列番号6)を含むプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、抽出したDNA試料中のヤギ種由来DNA量の相対値を得る工程、
    4)予め用意された、ヒツジ種100%原毛、ヤギ種100%原毛、および両者を複数比率で混合した標準混合獣毛繊維からDNAを抽出し、抽出したDNAを鋳型として2)および3)と同一条件下でヒツジ種由来DNA量の相対値、およびヤギ種由来DNA量の相対値をそれぞれ得、両者の割合を原毛の混合比率と対応付けた表に基づいて相対値の比を補正して、ヤギ種およびヒツジ種由来繊維の混用率を得る工程
    を含む、獣毛繊維製品の混用率の鑑定方法。
  7. ヤク種、ヒツジ種およびヤギ種が由来の繊維が混用されている獣毛繊維中、各繊維の混用率を調べるための方法であって、
    1)獣毛繊維からDNAを抽出する工程、
    2)抽出したDNAを鋳型として、5'-AACCAGGAGAACTGCGTTTACT-3'(配列番号1)および5'-TTTGATCCGCAAATTTCTGA-3'(配列番号2)からなるプライマーペアと5'-ACAACCCTTATGTCAACTCGTCCAGGCC-3'(配列番号3)を含むプローブ、もしくは5'-AATCCCTTAGAAGTCCCACTACTCAA-3'(配列番号10)および5'-TACACGCCTAGTGCGATGGTAA-3'(配列番号11)からなるプライマーペアと5'-AGCTCACCATAGCCTCATAGAAGGGAACCG-3'(配列番号12)を含むプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、抽出したDNA試料中のヒツジ種由来DNA量の相対値を得る工程、
    3)抽出したDNAを鋳型として、5'-TTAGTTGAATTAGGCCATGAAGCA-3'(配列番号4)および5'-TTAATAGGCTTGAGTGCATTGTATTTACT-3'(配列番号5)からなるプライマーペアと5'-ACACACCGCCCGTCACCCTCC-3'(配列番号6)を含むプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、抽出したDNA試料中のヤギ種由来DNA量の相対値を得る工程、
    4)抽出したDNAを鋳型として、5'-GCTTTCTCTATCCTAATCCTTGCTCTTA-3'(配列番号13)および5'-GGCTGAGTGGTCGGAAGATTAT-3'(配列番号14)からなるプライマーペアと5'-CCCCTACTGCACACTTCCAAACAACGAA-3'(配列番号15)を含むプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、抽出したDNA試料中のヤク種由来DNA量の相対値を得る工程、
    5)予め用意された、ヤク種100%原毛、ヒツジ種100%原毛およびヤギ種100%原毛、およびこれらを複数比率で混合した標準混合獣毛繊維からDNAを抽出し、抽出されたDNAを鋳型として2)〜4)と同一条件下でそれぞれの動物種由来のDNA量の相対値を得、ヤク種とヒツジ種、ヒツジ種とヤギ種、およびヤク種とヤギ種それぞれの組合せにおける2種の相対値の比と2種の原毛の混合比率を対応付けた表に基づいて相対値の比を補正して、ヤク種、ヤギ種およびヒツジ種由来繊維の混用率を得る工程
    を含む、獣毛繊維製品の混用率の鑑定方法。
  8. リアルタイムPCRにおいて、DNA量の相対値を得るための検量線が、5'-TACAGAAACAAAATTATTCGCCAGAGT-3'(配列番号7)および5'-GGGTATAAAGCACCGCCAAGT-3'(配列番号8)をプライマーとし、5'-TACCGGCAACAGCCCGAAACTCAAA-3'(配列番号9)をプローブとして作成されたものである、請求項または記載の方法。
  9. プローブがTaqManプローブである、請求項6〜8いずれかに記載の方法。
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