JP4471610B2 - 電子管 - Google Patents

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Description

本発明は、電子管に関する。
光の入射に応じて光電子を放出する光電面と、光電子を増幅して検出する半導体素子もしくは多段のダイノードからなる検出部とを有する各種電子管が提案されている。
多段のダイノードを用いた電子管として、筒状の外囲器の端部に設けられたフェースプレートに光電子放出陰極が形成され、フェースプレートに対向して多段のダイノードが設けられている電子管がある。この電子管では、フェースプレートに光電子放出陰極形成のための材料を蒸着させる蒸発器を備えている。蒸発器は、ダイノード群を囲む筒の外部に設けられており、蒸発器から蒸発した材料がダイノードに付着するのを防止している。また、複数の集束電極が設けられ、蒸発器から蒸発した材料が外囲器の内壁など意図しない箇所に付着するのを防止する役割も果たしている(例えば、特許文献1参照)。
一方半導体素子を用いた電子管として、電子管の内部に電子線照射型ダイオードを封入した電子管がある。この電子管では、半導体素子の周囲に電子の進路を制限する遮蔽板が設けられている(例えば、特許文献2参照)。
半導体素子としてアバランシェフォトダイオード(以下、APDという)を用いた電子管としては、絶縁容器の両端に入射窓と導電性ステムとを互いに対向するように配置し、光電面を入射窓の内壁に形成し、APDを導電性ステム上に配置したものが提案されている。導電性ステムは、光電面に向かう方向に突出している。入射窓に光電面を形成する際に、絶縁容器に設けられた貫通孔からアルカリ金属等の金属蒸気を所定の順番で注入し、予め堆積されているアンチモンと反応させる。(例えば、特許文献3参照)。
特開平02−288145号公報(第3−4頁) 特開平06−318447号公報(第5−8頁、第1図) 特開平09−297055号公報(第4−9頁、第4図)
ここで、検出部としては半導体素子がダイノード群に比べ、応答速度、リーク電流、コストなどの点で優れている。
そこで、本発明は、電子打ち込み型の半導体素子を備え、好ましくない場所への金属の付着を簡単な構成にて防止した電子管を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、内壁の所定の部分に光電面が形成された外囲器と、一端と他端とを有し前記他端が前記外囲器に接続され前記一端が前記外囲器の内部側に前記光電面に向かって突出した絶縁性の筒と、前記外囲器内部の前記筒の前記一端に設けられ、中心位置と前記中心位置を囲む外周縁とを有する固定板と、前記固定板上の前記中心位置に前記光電面に対向するように固定された電子打ち込み型半導体素子と、前記固定板上の前記中心位置と前記外周縁との間の位置に固定され前記半導体素子を囲み前記筒の中心軸に平行に前記光電面に向かって延びる第1の筒状の壁と、前記外囲器内部の前記固定板より前記光電面側であって、前記固定板の前記外周縁から前記筒の中心軸に平行に前記光電面に向かって延びる仮想延長面と前記第1の筒状の壁との間の位置に配置された金属蒸気を発生させる蒸着源と、を有し、前記外囲器は接地電位を印加され、前記半導体素子はプラス極性の電位を印加され、前記光電面に入射した光により放出される光電子を前記半導体素子により検出することを特徴とする電子管を提供している。
請求項1に記載の電子管は、外囲器の内壁の所定の部分に光電面が形成されている。絶縁性の筒は一端と他端とを有し、前記他端が前記外囲器に接続され、前記一端が外囲器内部側に光電面に向かって突出している。外囲器の内部の絶縁性の筒の一端に固定板が設けられ、固定板上に半導体素子と第1の筒状の壁とが固定されている。半導体素子は第1の筒状の壁に囲まれている。蒸着源は、前記外囲器内部の該固定板より該光電面側であって、かつ、前記第1の筒状の壁の外側で前記固定板の前記外周縁から前記筒の中心軸に平行に前記光電面に向かって延びる仮想延長面より内側に配置されている。蒸着源は金属蒸気を発生させ、光電面を形成する材料となる。半導体素子は、光電面から発生する光電子を検出する。半導体素子は絶縁性の筒により外囲器と絶縁されている。外囲器は接地電位、半導体素子はプラスの極性を印加される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子管であって、前記外囲器は、筒状の基部と、略球面状に湾曲した第1本体部と略球面状に湾曲し前記第1本体部と前記基部とを接続する第2本体部とからなる本体とを有し、前記半導体素子は、前記基部の中心軸と前記基部内に位置した前記第2本体部の仮想延長曲面との交点より前記本体側に位置していることを特徴とする。
請求項2に記載の電子管では、外囲器は、基部と本体とを有する。基部は筒状であり、本体はいずれも略球面状に湾曲した第1本体部と第2本体部とからなる。第2本体部は、基部と第1本体部とを接続している。半導体素子は、第2本体部の仮想延長曲面と基部の中心軸との交点よりも本体側に位置している。
請求項3に記載の発明は、請求項1乃至請求項2のいずれか一に記載の電子管であって、前記筒の前記一端は前記外囲器の前記本体内に突出していることを特徴とする。
請求項3に記載の電子管では、絶縁性の筒の一端は、外囲器の本体内に突出している。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子管であって、前記固定板は、前記筒の一端に導電性支持部を介して接続された内側ステムからなり、前記外囲器内に設けられ、前記筒の一端から前記筒外部側に突出し、前記筒の一端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする。
請求項4に記載の電子管においては、絶縁性の筒の一端に導電性支持部を介して内側ステムが接続され、半導体素子は内側ステムに配置されている。導電性部材は、外囲器内に設けられ、筒の一端から筒外部側に突出し、筒の一端近傍における電界強度を緩和する。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子管であって、前記外囲器は、前記筒の他端に接続され少なくとも前記筒の他端と接続する部分が導電性を有する外側ステムを有し、前記外囲器内に設けられ、前記筒の他端から前記筒外部側に突出し、前記筒の他端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする。
請求項5に記載の電子管においては、外囲器は外側ステムを有している。外側ステムは、筒の他端に接続され、少なくとも筒の他端と接続する部分が導電性を有している。導電性部材は、外囲器内に設けられ、筒の他端から前記筒外部側に突出し、筒の他端近傍における電界強度を緩和する。
請求項6に記載の発明は、内壁の所定の部分に光電面が形成された外囲器と、一端と他端とを有し、前記他端が前記外囲器に接続され、前記一端が前記外囲器の内部側に突出した絶縁性の筒と、前記外囲器内部の前記筒の前記一端に設けられた電子打ち込み型半導体素子と、前記筒の前記一端に設けられ、前記半導体素子を囲む第1の筒状の壁と、前記筒の前記一端に設けられ、前記外囲器内部の前記第1の筒状の壁の外側に位置し、金属蒸気を発生させる蒸着源と、前記筒の前記一端に設けられ、前記蒸着源を囲む第2の筒状の壁と、を有し、前記外囲器は接地電位を印加され、前記半導体素子はプラス極性の電位を印加され、前記光電面に入射した光により放出される光電子を前記半導体素子により検出することを特徴とする電子管を提供している。
請求項6に記載の電子管は、外囲器の内壁の所定の部分に光電面が形成されている。絶縁性の筒は、一端と他端とを有し、他端が外囲器に接続され、一端が外囲器の内部側に突出している。外囲器の内部の筒の一端に半導体素子が備えられ、半導体素子は筒の一端に設けられた第1の筒状の壁に囲まれ、絶縁性の筒により外囲器と絶縁されている。第1の筒状の壁の外側には蒸着源が配置されている。蒸着源は筒の一端に設けられ、筒の一端に設けられた第2の筒状の壁に囲まれている。外囲器は接地電位、半導体素子はプラスの極性を印加される。蒸着源は金属蒸気を発生させ、光電面を形成する材料となる。半導体素子は、光電面から発生する光電子を検出する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子管であって、前記外囲器は、筒状の基部と、略球面状に湾曲した第1本体部と略球面状に湾曲し前記第1本体部と前記基部とを接続する第2本体部とからなる本体とを有し、前記半導体素子は、前記基部の中心軸と前記基部内に位置した前記第2本体部の仮想延長曲面との交点より前記本体側に設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の電子管では、外囲器は、基部と本体とを有する。基部は筒状であり、本体はいずれも略球面状に湾曲した第1本体部と第2本体部とからなる。第2本体部は、基部と第1本体部とを接続している。半導体素子は、第2本体部の仮想延長曲面と基部の中心軸との交点よりも本体側に位置している。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7のいずれか一項に記載の電子管であって、前記筒の前記一端は前記外囲器の前記本体内に突出していることを特徴とする。
請求項8に記載の電子管では、絶縁性の筒の一端は、外囲器の本体内に突出している。
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子管であって、前記筒の一端に導電性支持部を介して接続された内側ステムを更に備え、前記内側ステムに前記半導体素子が配置され、前記外囲器内部に設けられ、前記筒の一端から前記筒外部側に突出し、前記筒の一端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする。
請求項9に記載の電子管においては、絶縁性の筒の一端に導電性支持部を介して内側ステムが接続され、半導体素子は内側ステムに配置されている。導電性部材は、外囲器内部に設けられ、筒の一端から筒外部側に突出している。導電性部材は、筒の一端近傍における電界強度を緩和する。
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子管であって、前記外囲器は、前記筒の他端に接続され少なくとも前記筒の他端と接続する部分が導電性を有する外側ステムを有し、前記外囲器内部に設けられ、前記筒の他端から前記筒外部側に突出し、前記筒の他端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする。
請求項10に記載の電子管においては、外囲器は外側ステムを有している。外側ステムは、筒の他端に接続され、少なくとも筒の他端と接続する部分が導電性を有している。導電性部材は、外囲器内部に設けられ、筒の他端から筒外部側に突出している。導電性部材は、筒の他端近傍における電界強度を緩和する。
請求項1に記載の電子管においては、蒸着源は、固定板より光電面側における第1の筒状の壁の外側で、かつ、固定板の外周縁の仮想延長面より内側の位置に配置されている。よって、光電面の下地膜を形成する際に金属蒸気が外囲器の所定の場所に効率よく蒸着される。このように光電面を必要最小限の所定部分に制限することで、有効でない部分より放出される暗電流出力の信号への寄与を低減することができる。
また、第1の筒状の壁により半導体素子が囲まれているので、半導体素子に金属蒸気が付着し特性が劣化するのを、最小のスペースで防止していると共に、入射する光電子の入射方向が制限され、検出感度を高めることができる。半導体素子を囲むの第1の筒状の壁の外側に蒸着源を配置したので、外囲器の広い範囲に光電面を形成することが可能になる。
また、外囲器に接地電圧を、半導体素子にプラス極性の電圧を与えるので、絶縁性の筒の外部側端部を接地電圧とすることができ、絶対値の大きい電位が外部環境に露出されない。よって使用時の扱いが容易であり、外囲器と外部環境との間の放電も防止できる。このため、水チェレンコフ実験など、水中での使用が可能となる。
請求項2に記載の電子管においては、略球状に湾曲した曲面を有する本体の所定の部分に光電面が形成され、半導体素子が基部内の第2本体部の仮想延長曲面と基部の中心軸との交点よりも本体側に位置している。光電面を略球面状に湾曲した曲面上に形成するため、光電面を広く形成できる。しかも、光電面と半導体素子とに電位差を与えることにより、半導体素子を中心とした略同心球状の電位勾配を生じさせることができる。このため、有効エリアが広い光電面から放出された光電子を有効エリアの小さい半導体素子に収束することが可能で、発生した電子が半導体素子上に効率よく収束して入射し、電子の検出感度を高めることができる。さらに、半導体素子自体が小さいので、応答性が良く、リーク電流が小さく、コストも低い。
請求項3に記載の電子管においては、外囲器に接地電圧を、半導体素子にプラス極性の電圧を与えるので、絶縁性の筒の外部側端部を接地電圧とすることができ、絶対値の大きい電圧が外部環境に露出されない。よって使用時の扱いが容易で、外囲器と外部環境との間の放電も防止できる。
請求項4に記載の電子管では、絶縁性の筒の内部側端部と導電性支持部との接点近傍の電界強度を緩和することにより、放電を防止することができる。このため、光電面と半導体素子との間に大きな電位差を与えて、高い検出効率を得ることが可能である。
請求項5に記載の電子管では、絶縁性の筒の外側端部と外側ステムとの接点近傍の電界強度を緩和することにより、放電を防止することができる。このため、光電面と半導体素子との間に大きな電位差を与えて、高い検出効率を得ることが可能である。
請求項6に記載の電子管においては、蒸着源が第2の筒状の壁に囲まれている。よって、光電面を形成する際に金属蒸気が、外囲器の所定の場所以外に付着することを、筒状の壁という簡単な構成にて防止することができる。このように光電面を必要最小限の所定部分に制限することで、有効でない部分より放出される暗電流出力の信号への寄与を低減することができる。
また、第1の筒状の壁により半導体素子が囲まれているので、半導体素子に金属蒸気が付着し特性が劣化するのを、最小のスペースで防止していると共に、入射する光電子の入射方向が制限され、検出感度を高めることができる。半導体素子を囲むの第1の筒状の壁の外側に蒸着源を配置したので、外囲器の広い範囲に光電面を形成することが可能になる。
また、外囲器に接地電圧を、半導体素子にプラス極性の電圧を与えるので、絶縁性の筒の外部側端部を接地電圧とすることができ、絶対値の大きい電位が外部環境に露出されない。よって使用時の扱いが容易であり、外囲器と外部環境との間の放電も防止できる。このため、水チェレンコフ実験など、水中での使用が可能となる。
請求項7に記載の電子管においては、略球状に湾曲した曲面を有する本体の所定の部分に光電面が形成され、半導体素子が基部内の第2本体部の仮想延長曲面と基部の中心軸との交点よりも本体側に設けられている。光電面を略球面状に湾曲した曲面上に形成するため、光電面を広く形成できる。しかも、光電面と半導体素子とに電位差を与えることにより、半導体素子を中心とした略同心球状の電位勾配を生じさせることができる。このため、有効エリアが広い光電面から放出された光電子を有効エリアの小さい半導体素子に収束することが可能で、発生した電子が半導体素子上に効率よく収束して入射し、電子の検出感度を高めることができる。さらに、半導体素子自体が小さいので、応答性が良く、リーク電流が小さく、コストも低い。
請求項8に記載の電子管においては、外囲器に接地電圧を、半導体素子にプラス極性の電圧を与えるので、絶縁性の筒の外部側端部を接地電圧とすることができ、絶対値の大きい電圧が外部環境に露出されない。よって使用時の扱いが容易で、外囲器と外部環境との間の放電も防止できる。
請求項9に記載の電子管では、絶縁性の筒の内部側端部と導電性支持部との接点近傍の電界強度を緩和することにより、放電を防止することができる。このため、光電面と半導体素子との間に大きな電位差を与えて、高い検出効率を得ることが可能である。
請求項10に記載の電子管では、絶縁性の筒の外側端部と外側ステムとの接点近傍の電界強度を緩和することにより、放電を防止することができる。このため、光電面と半導体素子との間に大きな電位差を与えて、高い検出効率を得ることが可能である。
本発明の実施の形態による電子管について、図1乃至図12に基づき説明する。
図1は、本実施の形態にかかる電子管1の概略縦断面図である。
図1に示すように電子管1は、外囲器2と電子検出部10とを備えている。外囲器2は軸Zを有している。電子検出部10は、外囲器2の内側に軸Zに沿って突出している。電子検出部10は軸Zを中心軸として延びる略円筒状をしている。
外囲器2は、ガラスバルブ3と外側ステム6とを備えている。ガラスバルブ3は、透明なガラスで形成されている。
ガラスバルブ3は、ガラスバルブ本体4と円筒状のガラスバルブ基部5とを備えている。ガラスバルブ本体4とガラスバルブ基部5とは一体的に形成されている。ガラスバルブ本体4は、軸Zの周りに略球状の形状を有している。ガラスバルブ本体4の軸Zに沿った断面は、図に示すように、軸Zに直交する第1の径R1と中心軸Zに沿った第2の径R2とを有している。ガラスバルブ本体4の軸Zに沿った断面は、第1の径R1が第2の径R2より大きな略楕円形状である。ガラスバルブ基部5は軸Zの周りに円筒状に延びている。
ガラスバルブ本体4は、上側半球部4aと下側半球部4bとを一体的に備えている。上側半球部4aは、略球面状に湾曲した半球状をしておりガラスバルブ本体4の図における上側半球を構成している。下側半球部4bも略球面状に湾曲した半球状をしており、ガラスバルブ本体4の図における下側半球を構成している。下側半球部4bの上端が上側半球部4aの下端に接続し、下側半球部4bの下端がガラスバルブ基部5の上端に接続し、もって、ガラスバルブ3が一体的に構成されている。下側半球部4bの仮想延長曲面Iは、ガラスバルブ基部5内において、基準点Sにて軸Zと交差している。
上側半球部4aの内壁には光電面11が形成されている。光電面11は、アンチモン(Sb)、マンガン(Mn)、カリウム(K)、セシウム(Cs)が蒸着されて形成された薄膜である。
下側半球部4bの内壁には導電性薄膜13が形成されている。導電性薄膜13の図における上端部が光電面11の図における下端部に接触している。導電性薄膜13は、クロムの薄膜である。ただし、導電性薄膜13をアルミニウムの薄膜で形成しても良い。
外側ステム6は、導電性材料であるコバール金属で形成されている。外側ステム6は、ステム底面60とステム内側壁61とステム外側壁62とからなる。ステム底面60は、軸Zを中心とした略円環状で、軸Zに近づくにつれ図における下側に傾斜している。ステム内側壁61とステム外側壁62とは、共に、中心軸が軸Zに一致した円筒形状をしており、それぞれ、ステム底面60の内側端部と外側端部とから上側に延びている。ステム外側壁62の図における上側端部がガラスバルブ基部5の下側端部に気密に接続されている。ステム内側壁61の図における上側端部が電子検出部10の図における下側端部に気密に接続されている。こうして、略円筒状の電子検出部10は、円筒状のガラスバルブ基部5と同軸状に、外側ステム6側から光電面11側に向かって突出している。
円筒状のガラスバルブ基部5と略円筒状の電子検出部10との間には、ガラスバルブ基部5及び電子検出部10と同軸状に、円筒状の隔壁26が設けられている。隔壁26は例えばステンレススティール等の導電性材料からなる。隔壁26の図における下端はステム底面60に接続されている。隔壁26の上端部の位置は、軸Zに平行な方向において、基準点Sよりも外側ステム6側(すなわち、図において下側)にある。隔壁26の上端部は、下側半球部4bの仮想延長曲面Iよりもガラスバルブ基部5側(すなわち、図において下側)に位置している。
隔壁26の外側面、すなわち、ガラスバルブ基部5に面した側には、2つのアルカリ源27,27が設けられている。2つのアルカリ源27,27は、軸Zに対して対称な2つの位置に配置されている。各アルカリ源27は、支持部27a、保持板27b、取付部27c、及び、6個の容器27dを備えている。なお、図1には、1個の容器27dのみが示されている。各容器27dは、軸Zに平行な方向において、隔壁26の上端部より外側ステム6側(すなわち、図において下側)に位置している。
ステム底面60上における電子検出部10と隔壁26との間の位置には、開口60aが形成されている。開口60aは排気管7と連通している。排気管7は、例えばコバール金属管である。
排気管7にはガラス管63が接続されている。ガラス管63は例えばコバールガラスである。ガラス管63は端部65で封止されている。
電子検出部10は、絶縁性筒9を備えている。絶縁性筒9は、例えばセラミックで形成されている。絶縁性筒9は、軸Zを中心軸として延びる円筒形状をしている。
絶縁性筒9の図における下端は、ステム内側壁61の上端に気密に接続されている。絶縁性筒9の図における下端には導電性フランジ23が設けられている。絶縁性筒9の図における上端には電子検出部頭部8が配置されている。電子検出部頭部8は光電面11に対向している。絶縁性筒9の上端には導電性フランジ21も設けられている。導電性フランジ21、23は、共に、軸Zから遠ざかる方向、すなわち、絶縁性筒9からガラスバルブ基部5に向かう方向に突出し軸Zに直交する平面上に円周状に広がる板状をしている。なお、絶縁性筒9の図における上端は、隔壁26の上端より軸Zに平行な方向において外側ステム6の側(すなわち、図における下側)に位置している。
電子検出部頭部8は導電性支持部89を備えている。導電性支持部89は軸Zを中心軸とする円筒状である。導電性支持部89の図における下端部は絶縁性筒9の上端と気密に接続されている。
電子検出部頭部8はさらに内側ステム80を備えている。内側ステム80は、軸Zを中心軸とする略円盤状である。内側ステム80の外側端部が導電性支持部89の図における上端に気密に接続されている。内側ステム80上には、APD(Avalanche Photo Diode(アバランシェフォトダイオード))15と、2個のマンガンビード17と、2個のアンチモンビード19とが配置されている。内側ステム80上には、APD15とマンガンビード17とアンチモンビード19とをガラスバルブ3のうち上側半球部4aに対向させる遮蔽部70が配置されている。
APD15は、軸Z上に位置し、かつ、基準点Sよりもガラスバルブ本体4側(図において上側)に配置されている。したがって、APD15の位置は、軸Zに平行な方向において、隔壁26の上端部よりもガラスバルブ本体4側(図において上側)である。
絶縁性筒9の内側には、電子検出部頭部8に接続された電気回路90が充填材94により封入されている。充填材94は、例えば、シリコーン等の絶縁材料である。電気回路90の出力端子N1,N2と入力端子N3,N4とが、充填材94の外側に露出している。出力端子N1,N2が外部回路100に接続されている。入力端子N3,N4が図示しない外部電源に接続されている。
図2は、図1のII−II線縦断面図である。換言すれば、図1と図2とは、軸Z周りにおいて互いに90゜ずれた2つの角度位置における電子管1の縦断面を示している。なお、図2では、明確化を図るため、絶縁性筒9内部の電気回路90の図示を省略している。
図2に示す角度位置では、導電性薄膜13の一部がガラスバルブ本体4からガラスバルブ基部5にまで延びている。この導電性薄膜13の部分を薄膜延長部13aという。接続用電極12が、ステム底面60から延び、ステム底面60と薄膜延長部13aとを接続している。したがって、導電性薄膜13と外側ステム6とは電気的に導通している。このため、光電面11と外側ステム6とは互いに電気的に導通している。
次に、図1乃至図7を参照しながら、電子検出部10の構成についてより詳細に説明する。
図3は、図1に示した電子検出部10の縦断面の構造をより詳細に示している。図4は、電子検出部10の電子検出部頭部8を、光電面11側から見た平面図である。
図3に示すように、導電性フランジ23は、絶縁性筒9と導電性を有するステム内側壁61との接続部に設けられている。導電性フランジ23は導電性材料から形成されている。導電性フランジ23は、絶縁性筒9とステム内側壁61との両方に接続されている。
導電性フランジ23は、接続部23aとフランジ本体部23bと立ち上がり部23cと先端丸み部23dとを備えている。接続部23aは円筒状をしており、円筒状のステム内側壁61の外側面に固定されている。フランジ本体部23bは、軸Zから離れる方向に延びる円環板状をしている。立ち上がり部23cはフランジ本体部23bの外側端部から軸Zに平行に上方向に延びた円筒状をしている。先端丸み部23dは、立ち上がり部23cの上端部から軸Zから離れる方向に延び、かつ、接続部23aやフランジ本体部23b、及び、立ち上がり部23cの厚みより厚く丸みを帯びた肉厚形状になっている。
導電性フランジ21は、絶縁性筒9と導電性支持部89との接続部に設けられている。導電性フランジ21は導電性材料から形成されている。導電性フランジ21は、絶縁性筒9と導電性支持部89との両方に接続されている。
導電性フランジ21は、接続部21aとフランジ本体部21bと先端丸み部21cとを備えている。接続部21aは円筒状をしており、円筒状の導電性支持部89の外側面に固定されている。フランジ本体部21bは、軸Zから離れる方向に延びる円環板状をしている。先端丸み部21cは、フランジ本体部21bの外周部に形成され、フランジ本体部21bの厚みより厚く丸みを帯びた肉厚形状になっている。
導電性支持部89は例えばコバール金属等の導電性材料からなる。
内側ステム80は、APD用ステム16と台座87とからなる。台座87は、中心が外囲器2の軸Zと一致する略円環形状をしている。台座87は導電性材料から形成されている。台座87の下側面の外周部は円筒状の導電性支持部89の上端に固定されている。台座87の中央部には貫通孔87aが形成されている。貫通孔87aは軸Zを中心とする円形状をしている。台座87は軸Zの周りを円周状に延びる外周縁87bを有している。この外周縁87bが内側ステム80の外周縁を規定している。図3及び図6に示すように、外周縁87bの仮想延長曲面Mが、外周縁87bから軸Zに略平行に図3における上方向に延びている。したがって、外周縁87bの仮想延長曲面Mは、図1に示すように、外周縁87bから軸Zに略平行に上側半球部4a(光電面11)へ向かって延びている。
APD用ステム16は、台座87の図における下側から貫通孔87aを気密に塞ぐように配置され、台座87に対し固定されている。APD用ステム16も中心が軸Zに一致する円盤形状をしており、導電性材料で形成されている。
APD15は、APD用ステム16の上部の軸Z上の位置に上側半球部4a(光電面11)に対向するように配置されている。
台座87の貫通孔87aの周囲には、12個の電極83(図6参照)が配置されている。図3には、12個のうち2個の電極83のみが示されている。各電極83は台座87を貫通している。各電極87は、ガラスなどの絶縁材料85により台座87に対して電気的に絶縁され、かつ、気密に封止されている。
2つのマンガンビード17は軸Zに対して対称な2つの位置に配置されている。2つのアンチモンビード19は、2つのマンガンビード17の外側に、やはり、軸Zに対して対称な2つの位置に配置されている。マンガンビード17およびアンチモンビード19は、それぞれ、図示しないワイヤヒータ81(図4、図6参照)に保持されている。各ワイヤヒータ81は、12個の電極83(図6参照)のうち対応する2本の電極83に接続されている。
図1,図3,図4,及び、図6より明らかなように、マンガンビード17およびアンチモンビード19は、内側ステム80(より詳しくは、台座87)より上側(上側半球面4a(光電面11)に向かう側)であって、かつ、台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mより内側(台座87の中心であるZ軸に近づく側)に配置されている。
遮蔽部70は、内側ステム80を覆うように備えられている。
図3及び図4に示すように、遮蔽部70は、キャップ73とカバー71とからなる。キャップ73とカバー71とは導電性材料で形成されている。キャップ73は、中心軸が軸Zと一致した円形蓋形状をしている。キャップ73は、内側壁部72、外側壁部74、及び、内側壁部72と外側壁部74とを接続する天井面76を備えている。内側壁部72と外側壁部74とは軸Zを中心軸とする同心円筒状であり、図1及び図3に示すように、軸Zに略平行に上側半球面4a(光電面11)に向かって延びている。外側壁部74は、図1,図3に示すように、台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mにほぼ沿って台座87から光電面11に向かって延びている。天井面76の中心部には貫通孔73aが形成されている。貫通孔73aは、円形でその中心軸は軸Zと一致している。天井面76の貫通孔73aの外側には2つの貫通孔75が形成されている。2つの貫通孔75は円形状である。2つの貫通孔75は貫通孔73aに対し対称な2つの位置に形成されている。天井面76の2つの貫通孔75の更に外側には、2つの貫通孔77が形成されている。2つの貫通孔77も円形状である。2つの貫通孔77も貫通孔73aに対し対称な2つの位置に形成されている。ワイヤヒータ81に保持されたマンガンビード17は貫通孔75内に位置している。ワイヤヒータ81に保持されたアンチモンビード19は貫通孔77内に位置している。
カバー71は、キャップ73の貫通孔73a内に配置されている。カバー71は、中心が軸Zに一致した円形蓋状である。カバー71は、外側壁部71aと天井面71bとを備えている。外側壁部71aは軸Zを中心軸とする円筒状であり、図1及び図3に示すように、軸Zに略平行に上側半球部4a(光電面11)に向かって延びている。カバー71の外周(すなわち、外側壁部71a)がキャップ73の内側壁部72に接続されている。カバー71の天井面71bには貫通孔79が形成されている。貫通孔79は、中心が軸Zに一致した円形状である。カバー71は、APD15の上部に位置している。
カバー71と内側壁部72とは、APD15をマンガンビード17およびアンチモンビード19から隔離している。外側壁部74は、マンガンビード17およびアンチモンビード19を取り囲んでいる。
このように、本実施の形態では、マンガンビード17とアンチモンビード19とは、台座87より上側半球部4a側であって、台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mとカバー71の外側壁部71aとの間に配置されている。すなわち、マンガンビード17とアンチモンビード19とは、カバー71の外側壁部71aの外側(すなわち、外側壁部71aよりZ軸から遠ざかる側)で、かつ、台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mより内側(仮想延長曲面MよりZ軸に近づく側)に配置されている。したがって、後述するように、台座87とキャップ73の天井面76と外側壁部74とは、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がガラスバルブ基部5や下側半球部4b、及び、外側ステム6の内壁に付着するのを防止し、マンガン蒸気やアンチモン蒸気を上側半球部4aの内壁の軸Zを中心とした略全領域に蒸着させることができる。したがって、上側半球部4aの内壁の略全領域に光電面11の下地膜を形成することができる。しかも、カバー71は、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がAPD15に付着するのを防止することができる。
APD用ステム16の下側面にはピン30が固定されている。ピン30はAPD用ステム16と電気的に導通している。また、ピン32がAPD用ステム16を貫通している。ピン32は、ガラスなどの絶縁材料31により、APD用ステム16から電気的に絶縁され、かつ、気密に封止されている。
電気回路90は、コンデンサC1、C2、アンプA1、出力端子N1,N2、入力端子N3,N4を備えている。ピン30とコンデンサC1の一方の端子とが入力端子N3に接続されている。コンデンサC1の他方の端子が出力端子N1に接続されている。ピン32とコンデンサC2の一方の端子とが入力端子N4に接続されている。コンデンサC2の他方の端子がアンプA1を介して出力端子N2に接続されている。入力端子N3,N4は、図示しない外部電源に接続され、出力端子N1,N2は、外部回路100に接続されている。ここで、外部回路100は、抵抗Rを有している。外部回路100は、出力端子N1を接地する。抵抗Rは出力端子N1とN2との間に接続されている。
次に、図5を参照しながらAPD15の構成について説明する。
図5に示すように、APD15は、APD用ステム16上に、カバー71の開口部79に対向して配置されている。APD15は導電性の接着剤49を介してAPD用ステム16に固定されている。
APD15は、略正方形板状のn型の高濃度シリコン基板41と、高濃度シリコン基板41上の略中央位置に形成された円板状のp型のキャリア増倍層42とを備えている。キャリア倍増層42の外周には、キャリア増倍層42と同じ厚さで高濃度n型層よりなるガードリング層43が形成されている。キャリア増倍層42の表面には、高濃度p型層よりなる降伏電圧制御層44が形成されている。降伏電圧制御層44の表面は円形の電子入射面44aとして形成され、降伏電圧制御層44の周辺部分とガードリング層43とを架け渡すように、酸化膜45及び窒化膜46が形成されている。
降伏電圧制御層44にアノード電位を供給するために、APD15の最外面には円環状にアルミを蒸着して形成された入射面電極47が設けられている。APD15の最外面には、ガードリング層43と導通する周辺電極48が設けられている。この周辺電極48は、入射面電極47に対して所定の間隔をもって離間している。
高濃度n型シリコン基板41は、導電性接着剤49を介してAPD用ステム16と電気的に導通している。このため、高濃度n型シリコン基板41はピン30と電気的に導通している。一方、入射面電極47は、ワイヤ33により、貫通ピン32と接続されている。
図6は、電子検出部頭部8から遮蔽部70を取り外し、さらに、導電性フランジ21を取り外した状態を示している。絶縁性筒9の上部に導電性支持部89が配置されている。導電性支持部89の上部に内側ステム80が配置されている。内側ステム80は、台座87を有し、その貫通孔87aにAPD用ステム16が露出している。
APD用ステム16上には、APD15が配置されている。APD15の電子入射面44aが上方を向いている。APD用ステム16には絶縁材料31で絶縁されたピン32が固定されている。APD15は、ワイヤ33によりピン32と接続されている。
台座87には絶縁材料85により絶縁された12個の電極83が固定されている。12個の電極83は、貫通孔87aの周りを取り囲むように円周状に並んでいる。12個の電極83のうち4対の電極83にワイヤヒータ81が接続されている。各ワイヤヒータ81にマンガンビード17あるいはアンチモンビード19が保持されている。マンガンビード17、アンチモンビード19はビーズ形状である。
図7は、図6を参照して説明した電子検出部頭部8に導電性フランジ21および遮蔽部70を装着した状態を示している。導電性フランジ21は、絶縁性筒9の上端に絶縁性筒9と導電性支持部89との両方に接続するように固定されている。導電性フランジ21は、絶縁性筒9より遠ざかる方向に延びている。
キャップ73は台座87を上方から覆っている。遮蔽部70のキャップ73は、円形蓋状で、内側壁部72、外側壁部74、及び、天井面76を有している。天井面76には、円形貫通孔73aと2つの貫通孔75と2つの貫通孔77とが形成されている。ワイヤヒータ81に保持されたマンガンビード17が対応する貫通孔75により露出し、ワイヤヒータ81に保持されたアンチモンビード19が対応する貫通孔77により露出している。APD15の電子入射面44aがカバー71の貫通孔79により露出している。カバー71と内側壁部72とがAPD15をマンガンビード17およびアンチモンビード19から隔離すると共に、外側壁部74がマンガンビード17およびアンチモンビード19を取り囲んでいる。
次に、図1と図8の(A)と(B)とを参照しながら、アルカリ源27の構成について説明する。図8の(A)は、隔壁26の外側に設けられたアルカリ源27をガラスバルブ基部5側から見た状態を示す正面図であり、(B)は、アルカリ源27の斜視図である。
支持部27aは、軸Zと平行な方向に延びる部分と軸Zから半径方向に遠ざかる方向に延びる部分とを有するL字形の形状をしている。支持部27aは例えばステンレス製リボン(SUSリボン)である。支持部27aのうち軸Zと平行な方向に延びる部分が隔壁26の外側側面に固定されている。
保持板27bは、支持部27aのうち軸Zから遠ざかる方向に延びる部分の先端に固定されている。保持板27bは軸Zに対し直交し、円筒形状の隔壁26の円周方向に略平行に延びている。
保持板27bには6本の取付部27bが固定されている。各取付部27bの先端部に容器27dが固定されている。容器27dは、その側面に開口を有する容器である。6個の容器27dのうち5個の容器27dの内部には、図示しないアルカリ源ペレットが収納されている。残りの1個の容器27dの内部には、図示しないゲッターが収納されている。ゲッターは例えばバリウム、チタン等、不純物を吸着する作用のある物質である。
図1に示すように、電子管1には、2個のアルカリ源27が配置されている。一方のアルカリ源27に設けられた5個の容器27dには、アルカリ源ペレットとしてカリウム(K)のペレットが収納されている。他方のアルカリ源27に設けられた5個の容器27dには、アルカリ源ペレットとしてセシウム(Cs)のペレットが収納されている。
次に上記構成を有する電子管1の製造方法について説明する。
まず、導電性薄膜13が下側半球部4bの内壁に蒸着され、ステム外壁62が気密に接続されたガラスバルブ3を用意する。
また、隔壁26と接続用電極12とが固定され排気管7が接続されたステム底面60を用意する。なお、隔壁26には2つのアルカリ源27,27が固定されている。排気管7にはガラス管63が接続されている。なお、この時には、ガラス管63の長さは図1に示す長さより長く、また、ガラス管63は、排気管7と接続されている方の端部のみならず、反対側の端部も開口している。
また、電子検出部頭部8の導電性支持部89と絶縁性筒9とを気密に接続し、導電性フランジ21を導電性支持部89と絶縁性筒9とに接続する。また、絶縁性筒9とステム内壁61とを気密に接続し、導電性フランジ23を絶縁性筒9とステム内壁61とに接続する。
ステム内壁61とステム底面60とをレーザ溶接にて気密に接続する。ステム外壁62とステム底面60とをプラズマ溶接にて気密に接続する。この結果、電子検出部10が外囲器2内部に突出した構造を有する電子管1が作成される。
次に、以下の方法により、光電面11をガラスバルブ3の下側半球部4aの内壁に形成する。
まず、不図示の排気装置をガラス管63に接続し、ガラス管63および排気管7を介して外囲器2内部を排気する。こうして、電子管1内部を所定の真空度にする。
続いて、電極83を介してワイヤヒータ81を通電することによりマンガンビード17、アンチモンビード19を加熱する。マンガンビード17、アンチモンビード19は加熱されて金属蒸気を発生する。発生したマンガンおよびアンチモンの蒸気は、上側半球部4aの内壁に蒸着され、光電面11の下地膜となる。
このときカバー71、内側壁部72、外側壁部74は、APD15や、外囲器2内面の意図しない範囲(具体的には、下側半球部4bやガラスバルブ基部5や外側ステム6の内壁)に金属が蒸着するのを防止する。すなわち、APD15は、カバー71および内側壁部72により囲まれており、マンガンビード17およびアンチモンビード19から隔離されている。このため、金属蒸気がAPD15に付着しAPD15の特性を劣化させるのを防止する。カバー71や内側壁部72は、単純な筒形状を有し、面積の小さい部材ではあるが、APD15の近傍にAPD15を取り囲むように配置されているため、APD15をマンガンビード17およびアンチモンビード19から効果的に隔離する。
一方、外側壁部74は、マンガンビード17およびアンチモンビード19を取り囲んでいるため、金属蒸気が下側半球部4bやガラスバルブ基部5及び外側ステム6の内壁に付着するのを防止する。
また、マンガンビード17およびアンチモンビード19は、内側ステム80上の略中心に位置しているAPD15の周囲にAPD15に隣接して配置されているので、上側半球部4aの内壁の広い範囲にマンガンおよびアンチモンを蒸着することができる。
次に、外囲器2外部より電磁誘導によりアルカリ源27、27を誘導加熱する。カリウム(K)ペレット及びセシウム(Cs)ペレットが加熱され、容器27dの開口部から蒸気を発生させる。カリウムおよびセシウムは上側半球部4aの内壁に蒸着する。この結果、上側半球部4aの内壁上で、カリウム、セシウム、マンガン、および、アンチモンが反応して光電面11が形成される。
ここで、隔壁26はアルカリ源27、27と電子検出部10とを隔てている。したがって、カリウムやセシウムが絶縁性筒9に付着して絶縁性筒9表面の仕事関数を低下させ耐電圧を低下させたり電子管1内の電界に悪影響を及ぼしたりすることが防止されている。また、カリウムやセシウムがAPD15に付着して電子の検出効率を低下させることも防止されている。ゲッターは外囲器2内の不純物を吸着し、真空度維持を補助する。
こうして、上側半球部4aの内壁全体に光電面11が形成される。
次に、ガラス管63を図示しない排気装置から取り外し、その端部65を速やかに気密に封止する。
以上の工程により、電子管1が製造される。
次に、電子管1の動作について説明する。
外側ステム6は接地される。この結果、接続用電極12、導電性薄膜13を介して、光電面11には接地電圧が印加される。
電気回路90の入力端子N4には、例えば20KVの電圧が印加される。この結果、ピン32を介して、APD15の降伏電圧制御層44、すなわちAPD15の電子入射面44aに20KVの電圧が印加される。
電気回路90の別の入力端子N3には、例えば20.3KVの電圧が印加される。この結果、ピン30を介して、APD用ステム16、台座87、及び、導電性支持部89に、20.3KVの逆バイアス電圧が印加される。
絶縁性筒9は、正の高電圧が印加されている導電性支持部89と、接地されている外側ステム6とを電気的に絶縁する。したがって、外囲器2とAPD15とは絶縁され、高電圧が外部環境に露出しない。電子管1はその扱いが容易となる。また、電子管1と外部環境との間での放電が起こるのが防止できる。このため、電子管1を水中でも使用することができる。
また、APD15は外囲器2内部に突出した絶縁性筒9の先端の内側ステム80上に設けられている。すなわち、APD15の直下から外囲器2と電気的に絶縁されている。このため、外囲器2内部の電界が乱されることがなく、光電面11から放出される電子をAPD15上に効率よく収束させ入射させることができる。
しかも、絶縁性筒9を外囲器2内部に突出するように設けたため、外囲器2の一部で絶縁する必要がない。このため、外囲器2の内壁に光電面11を広く形成することが可能となっており、光の検出感度を高めることができる。
電子管1の光電面11に光が入射すると、光電面11は入射した光に応じて電子を放出する。以下、図9を参照しながら、外囲器2内の電子の軌跡Lについてより詳細に説明する。
図9に示すように、APD15は基準点Sよりもガラスバルブ本体4側(すなわち、図の上部)に配置されている。ここで、点cは、ガラスバルブ本体4の中心を示す。
この場合、外囲器2とAPD15の電子入射面44aとの間の電位差により、略同心球状の等電位面Eが生じる。このため、光電面11から放出された電子は、図の軌跡Lに沿って飛翔する。よって光電面11から放出された電子は、点cより少し下部に位置しているAPD15表面近傍の点P1で収束する。
このように、APD15を基準点Sよりもガラスバルブ本体4側に備えたことで、略半球状という広い有効エリアを有する光電面11から放出された電子を狭い領域に収束することができる。有効エリアの大きい光電面11から放出される電子を、効率よく、有効エリアの小さいAPD15に入射させることができ、検出効率を向上させることができる。
なお、比較例として、APD15が基準点Sよりも下方のガラスバルブ基部5内に配置されている場合を考える。この場合には、外囲器2とAPD15との間の電位差により、等電位面Eが図10に示すように生じる。このため、電子は、光電面11から軌跡Lに沿って放出される。この結果、電子は点P2で収束することになる。電子は、APD15の位置では、図のように拡散状態となる。このため、光電面11から放出された電子は効率よくAPD15に入射することができない。
本実施の形態では、APD15はカバー71で覆われているので、電子の入射方向が更に制限され、APD15の電子検出感度が一層向上している。
また、壁26の上端は仮想延長曲面Iよりも下側にありガラスバルブ本体4側に突出していない。隔壁26の上端はAPD15よりも下側に位置している。このため、隔壁26がガラスバルブ本体4内の電界を乱すことも防止されている。
しかも、APD15は、高速応答性に優れ、リーク電流が小さく、製造部品が少ないために製造コストが低いといった利点をも備えている。
次に、図11を参照しながら、導電性フランジ21、23の作用について説明する。
絶縁性筒9の上端部は、正の高電圧が印加された導電性支持部89と接続されている。一方、絶縁性筒9の下端部は、接地されたステム内側壁61と接続されている。本実施の形態では、絶縁性筒9の上端部と導電性支持部89との接続部に導電性フランジ21を設け、絶縁性筒9の下端部と導電性を有するステム内側壁61との接続部に導電性フランジ23を設けている。このため、絶縁性筒9の導電性支持部89やステム内側壁61との接続部付近における電位勾配を緩和することができる。このため、絶縁性筒9の上下端部付近において等電位面が集中し電位勾配が大きくなってしまうことが防止される。このため、等電位面Eの略同心球状が絶縁性筒9の上下端部付近において歪んでしまうのを防止することができる。したがって、光電面11から放出された電子は効率よくAPD15に入射して検出される。よって、光電面11に入射した光を高感度に検出することができる。また、絶縁性筒9の上下端部で放電が生じるのも防止できる。このため、外囲器2とAPD15との間に大きな電位差を印加することができ、検出感度を向上させることができる。
しかも、導電性フランジ21、23の先端部21c、23dは、他の部分に比べて断面が広い肉厚形状をなし、しかも表面が湾曲している。このため、導電性フランジ21、23の先端部に電界が集中することが防止されている。
このように、導電性フランジ21、23によって絶縁性筒9の上下端部における電位勾配が緩和され、電子管1の内部には略同心球状の等電位面が形成される。このため、たとえ光電面11から放出された電子がAPD15で反射しても、この電子を再びAPD15に入射させることができ、反射電子による検出効率の劣化を最小限にすることができる。また、光電面11における入射光の入射時刻を、その入射箇所にかかわらず正確に計測できる。
なお、導電性フランジ21、23を設けないと、図12に示すように、絶縁性筒9の上端部付近の領域V、及び下端部付近の領域Wに複数の等電位面Eが集中し大きな電位勾配が生ずる。このため、光電面11から放射された電子は、領域V、Wで乱され、APD15に効率良く入射しなくなり、感度が低下したり雑音が増加したりする。また、領域V、W付近で放電が生じる危険性があるため外囲器2とAPD15との間に大きな電位差を与えることができなくなる。
光電面11から放射された電子は、APD15に入射すると、APD15内でエネルギーを失い、その際、多数の電子−正孔対を生成する。さらに、この電子は、アバランシェ増倍により増倍される。この結果、APD15内では、電子は、トータルで、約10倍増倍される。
増倍された電子は、ピン32を介して検出信号として出力される。検出信号は、コンデンサC2により低周波成分を除去され、入射電子によるパルス信号のみがアンプA1に入力する。アンプA1は、パルス信号を増幅する。一方、ピン30はコンデンサC1を介して出力端子N1に交流的に接続され、接地されている。このため、外部回路100は、APD15に入射した電子の量を、出力端子N1、N2間に接続された抵抗Rに生ずる電位差として、正確に検出することができる。
コンデンサC1、C2は絶縁性筒9内部のAPD15の近くに位置している。したがって、コンデンサC1、C2は、APD15から出力される信号の応答性を損なうことなく、雑音がなく直流成分を除去した出力信号を、外部回路100に供給することができる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる電子管1によれば、外囲器2に接地電圧を与えAPD15に正の高電圧を与えても、絶縁性筒9と外側ステム6との接続部を接地電圧とすることができるため、絶対値の大きい電圧が外部環境に露出されない。よって使用時の扱いが容易で、外囲器2と外部環境との間の放電も防止できる。さらに水中での使用も可能となり、例えば、水チェレンコフ実験にも使用することができる。
また、略球面状に湾曲した曲面を有するガラスバルブ本体4の所定の部分に光電面11が形成されているので、光電面11を広く形成できる。一方APD15はガラスバルブ基部5内の基準点Sよりもガラスバルブ本体4側に設けられている。このため、有効エリアが広い光電面11から放出された光電子を有効エリアの小さいAPD15に収束することが可能であり、発生した電子が半導体素子15上に効率よく収束して入射し、電子の検出感度を高めることができる。さらに、APD15は有効エリアが小さいので、高速応答性に優れ、リーク電流が小さく、しかも、製造コストも低い。
また、アルカリ源27と絶縁性筒9とは隔壁26により隔てられている。よって、アルカリ源27がアルカリ金属蒸気を発生させ外囲器2の所定の部分に光電面11を形成する際に、絶縁性筒9にアルカリ金属が蒸着されるのを防止することができる。絶縁性筒9にアルカリ金属が付着しないので、絶縁性筒9に付着したアルカリ金属が絶縁性筒9の耐電圧を低下させたり絶縁性筒9近傍の電界強度に悪影響を与えることがない。このため、電子を効率よく検出することが可能である。
さらにマンガンビード17、アンチモンビード19は筒状の外側壁部74に囲まれている。よって、光電面11を形成する際に、これらの金属蒸気が外囲器2の上側半球部4a以外に付着することを、単純かつ最小のスペースにて防止することができる。光電面11を必要最小限の上側半球部4aに制限することで、外囲器2の他の部分より電子が放出されることがなく、暗電流出力の信号への寄与を低減することができる。
また、APD15はカバー71および筒状の内側壁部72に囲まれているので、APD15にマンガンやアンチモンの金属蒸気が付着し特性が劣化するのを単純かつ最小のスペースで防止し、しかも、入射する光電子の入射方向を制限することにより検出感度を一層向上させている。
また、APD15の外側近傍にマンガンビード17、アンチモンビード19を配置したので、上側半球部4a全体という広い範囲に光電面11を形成することができる。
APD15からの信号を検出する際には、絶縁性筒9内部のAPD15の近くに配置されたコンデンサC1、C2にて直流成分が除去されるので、応答性を損なうことがない。また、電気回路90は充填材料94により絶縁性筒9内部に封入されているので、耐湿性が強化され、水中でも使用しやすい。しかも、電気回路90の端子N1〜N4を除く各部に直接手を触れることが防止されるため、安全性の面でも優れている。
<第1の変更例>
図13に示すように、ガラスバルブ本体4の軸Zを含む面における縦断面は、略円形状であっても良い。この場合、ガラスバルブ本体4の軸Zに直交する径と軸に沿った径とは略等しい。
この場合でも、APD15を、ガラスバルブ本体4の下側半球部4bの仮想延長曲面Iがガラスバルブ基部5内で軸Zと交差する基準点Sよりもガラスバルブ本体4側(図における上部側)に配置すれば良い。なお、図において、点cは、本体104の中心を表す。
外囲器2とAPD15との間の電位差により生ずる等電位面Eにより、電子は軌跡Lに沿って飛翔する。このため、電子は、点Cより少し下方に位置しているAPD15の表面近傍の点P3で収束する。
このように、基準点Sよりもガラスバルブ本体4側にAPD15を備えたことで、光電面11から放出される電子を効率よくAPD15に入射させることができ、検出効率を向上させることができる。
比較例として図14に、APD15を基準点Sよりも下方のガラスバルブ基部5内に配置した場合を示す。外囲器2とAPD15との間の電位差により生ずる等電位面Eにより、電子の軌跡Lは図のようになり、点P4で収束することになる。このため、APD15の位置では、電子は図のように拡散状態となる。よって、光電面11から放出された電子は、効率よくAPD15に入射しない。
<第2の変更例>
上記の実施の形態では、導電性フランジ21の外周端21cは、フランジ本体部21bより厚みが増した曲面を有する形状となっていた。しかしながら、導電性フランジ21の外周端21cは、図15に示すように、フランジ本体部21bの外周部を丸めて作成しても良い。
導電性フランジ23の先端まるみ部23dについても、同様に、立ち上がり部23cの外周端23dを丸めて作成しても良い。
<第3の変更例>
上記実施の形態では、図3を参照して説明したように、遮蔽部70のキャップ73は、内側壁部72と天井面76と外側壁部74とを備えていた。しかしながら、図16に示すように、キャップ73から内側壁部72と天井面76とを除去しても良い。この場合、キャップ73は外側壁部74のみからなる。
この場合でも、マンガンビード17やアンチモンビード19は、図1を参照して説明した上記実施の形態と同様、台座87より図において上側(すなわち、上側半球部4a側)であって、カバー71の外側壁部71aと台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mとの間に配置されている。したがって、台座87と外側壁部74とが、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がガラスバルブ基部5や外側ステム6や下側半球部4bの内壁に付着するのを防止することができる。カバー71が、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がAPD15に付着するのを防止することができる。
さらに、図17に示すように、遮蔽部70からキャップ73全体を除去してもよい。この場合には、遮蔽部70はカバー71のみからなる。この場合でも、図1を参照して説明した上記実施の形態と同様、マンガンビード17やアンチモンビード19は、台座87より図において上側(すなわち、上側半球部4a側)であって、カバー71の外側壁部71aと台座87の外周縁87bの仮想延長曲面Mとの間に配置されている。したがって、台座87が、マンガン蒸気やアンチモン蒸気が外側ステム6やガラスバルブ基部5の内壁に付着するのを防止することができる。カバー71が、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がAPD15に付着するのを防止することができる。
なお、図示しないが、キャップ71は、外側壁部71aを備えていればよく、天井面71bを備えていなくても良い。外側壁部71aが、マンガン蒸気やアンチモン蒸気がAPD15に付着するのを防止することができるからである。
<他の変更例>
上記実施の形態では、外側ステム6を構成するステム底面60、ステム外側壁62、及び、ステム内側壁61の全てがコバール金属で作成されていた。しかしながら、ステム底面60、ステム外側壁62、及び、ステム内側壁61は、コバール金属以外の導電性材料で作成しても良い。
さらに、外側ステム6のうちステム底面60及びステム外側壁62は絶縁性材料で作成しても良い。外側ステム6のうち、絶縁性筒9と接続されるステム内側壁61が導電性材料で作成されていればよい。ステム内側壁61のうち、絶縁性筒9と接続される部分だけが導電性材料で作成されているのでもよい。
上記実施の形態では、内側ステム80を構成する台座87とAPD用ステム16とは導電性材料で作成されていた。しかしながら、台座87とAPD用ステム16とは絶縁性材料で作成しても良い。APD用ステム16の少なくともピン30との接続点が導電性材料で作成されていれば良い。
光電面11は、上側半球部4a全体ではなく、上側半球部4aのうちの一部(例えば、Z軸を中心とした領域)に形成しても良い。その場合、導電性薄膜13はガラスバルブ本体4の残りの部分に形成し、光電面11と導電性薄膜13とを通電させる。
隔壁26は、導電性材料で形成しなくても良い。アルカリ源27、27からの蒸気が電子検出部10に蒸着するのを防止でき、電子管1内の電界を乱さないものであれば、他の材料でもよい。
マンガンビード17、アンチモンビード19は、上述した位置、個数でなくともよい。台座87上の他の場所に異なる個数設けてもよい。
上記の実施の形態では、内側ステム80は、APD用ステム16と台座87とからなり、APD用ステム16を台座87の貫通孔87aを塞ぐように台座87に対して固定していた。しかしながら、台座87を略円形状として、内側ステム80をこの台座87のみから構成するようにしても良い。台座87の略中央部にAPD15を配置すれば良い。
導電性フランジ21、23は、円筒状の電子検出部10の中心軸Zから円筒状のガラスバルブ基部5に向かう方向へ軸Zに直交する平面上に円周状に広がる板状であるが、これに限定されない。絶縁性筒9の上下端部から中心軸Zから遠ざかるように突出し、絶縁性筒9の上下端部付近の等電位面の集中を緩和すれば良い。導電性フランジ21、23の外周縁は丸みを帯びていなくてもよい。
絶縁性筒9の上端付近に等電位面が集中するおそれがない場合には、導電性フランジ21はなくてもよい。また、絶縁性筒9の下端付近に等電位面が集中するおそれがない場合には、導電性フランジ23はなくてもよい。
外囲器2にマイナス極性の電圧を印加し、APD15に接地電圧を印加しても良い。
排気管7の位置は、絶縁性筒9と隔壁26との間ではなく、例えば隔壁26とガラスバルブ基部5の間など他の位置でもよい。
絶縁性筒9は筒状であれば、円筒形状でなく、例えば、角型筒形状でもよい。
APD15の代わりに任意の電子打ち込み型半導体素子を採用しても良い。
APD15の位置は、電子の検出が充分に行なえるならば、基準点Sより下側でもよい。
アルカリ源27、27は絶縁性筒9に対して互いに対向するように設置されているが、この位置関係には限定されず、例えば互いに隣り合うように設置してもよい。隣り合うように設置することで、アルカリ源27、27を加熱する際、1つの電磁石で加熱が可能になるなど作業を簡略化できる。
絶縁性筒9内にアンプA1を備えていたが、アンプA1は設けなくてもよい。その場合、コンデンサーC1は出力端子N2に直接接続される。
以上、添付図面を参照しながら本発明による電子管の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変形や改良が可能である。
絶縁性筒9は設けなくてもよい。この場合、電子検出部頭部8の導電性支持部89をステム内側壁61と気密に接続させれば良い。
電気回路90のコンデンサC1、C2、アンプA1は、絶縁性の筒9の内部ではなく電子管1の外部に備えるようにしてもよい。
アルカリ源27、27は必ずしも電子管1内部に備える必要はない。外囲器2にアルカリ金属蒸気の導入口を設け、外部からアルカリ金属蒸気を導入して光電面11を形成するようにすればよい。その場合には、隔壁26はなくてもよい。
本発明にかかる電子管は、様々な光検出に使用できるが、水チェレンコフ実験等のように水中でのシングルフォトンの検出に特に効果がある。
本発明の実施の形態による電子管を示す概略断面図。 図1の電子管のII−II線縦断面図。 図1の電子管に設けられている電子検出部の縦断面及び電子検出部内部に設けられている電気回路を詳細に説明する図。 電子検出部の電子検出部頭部の上方からの平面図。 電子検出部のAPDを示す概略断面図。 遮蔽部がない場合の電子検出部頭部の概観斜視図。 電子検出部頭部の概観斜視図。 アルカリ源を示す図。(A)はアルカリ源の正面図、(B)はアルカリ源の概観斜視図。 電子管内部の等電位面Eおよび電子の軌跡Lを示す概略縦断面図。 比較例における電子管内部の等電位面Eおよび電子の軌跡Lを示す概略断面図。 導電性フランジ21、23による絶縁性筒9上下端付近の等電位面Eを示す概略縦断面図。 導電性フランジ21、23がない場合の絶縁性筒9上下端付近の等電位面Eを示す概略縦断面図。 ガラスバルブ本体の縦断面が円形の場合の等電位面Eおよび電子の軌跡Lを示す概略縦断面図。 比較例における等電位面Eおよび電子の軌跡Lを示す概略縦断面図。 変形例による導電性フランジの外周縁の縦断面図。 変形例による遮蔽部の構成を示す縦断面図。 別の変形例による遮蔽部の構成を示す縦断面図。
符号の説明
1 電子管
2 外囲器
3 ガラスバルブ
4 ガラスバルブ本体
4a 上側半球部
4b 下側半球部
5 ガラスバルブ基部
6 外側ステム
60 ステム底面
61 ステム内側壁
62 ステム外側壁
9 絶縁筒
15 APD
21、23 導電性フランジ
26 隔壁
27 アルカリ源
70 遮蔽部
71 カバー
71a 外側壁部
73 キャップ
72 内側壁部
74 外側壁部
80 内側ステム
87 台座
87b 外周縁
89 導電性支持部
I 下側半球部4bの仮想延長曲面
M 外周縁87bの仮想延長曲面
S 基準点
Z 軸

Claims (10)

  1. 内壁の所定の部分に光電面が形成された外囲器と、
    一端と他端とを有し前記他端が前記外囲器に接続され前記一端が前記外囲器の内部側に前記光電面に向かって突出した絶縁性の筒と、
    前記外囲器内部の前記筒の前記一端に設けられ、中心位置と前記中心位置を囲む外周縁とを有する固定板と、
    前記固定板上の前記中心位置に前記光電面に対向するように固定された電子打ち込み型半導体素子と、
    前記固定板上の前記中心位置と前記外周縁との間の位置に固定され前記半導体素子を囲み前記筒の中心軸に平行に前記光電面に向かって延びる第1の筒状の壁と、
    前記外囲器内部の前記固定板より前記光電面側であって、前記固定板の前記外周縁から前記筒の中心軸に平行に前記光電面に向かって延びる仮想延長面と前記第1の筒状の壁との間の位置に配置された金属蒸気を発生させる蒸着源と、
    を有し、
    前記外囲器は接地電位を印加され、前記半導体素子はプラス極性の電位を印加され、前記光電面に入射した光により放出される光電子を前記半導体素子により検出することを特徴とする電子管。
  2. 前記外囲器は、筒状の基部と、略球面状に湾曲した第1本体部と略球面状に湾曲し前記第1本体部と前記基部とを接続する第2本体部とからなる本体とを有し、
    前記半導体素子は、前記基部の中心軸と前記基部内に位置した前記第2本体部の仮想延長曲面との交点より前記本体側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の電子管。
  3. 前記筒の前記一端は前記外囲器の前記本体内に突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一に記載の電子管。
  4. 前記固定板は、前記筒の一端に導電性支持部を介して接続された内側ステムからなり、
    前記外囲器内に設けられ、前記筒の一端から前記筒外部側に突出し、前記筒の一端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子管。
  5. 前記外囲器は、前記筒の他端に接続され少なくとも前記筒の他端と接続する部分が導電性を有する外側ステムを有し、
    前記外囲器内に設けられ、前記筒の他端から前記筒外部側に突出し、前記筒の他端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子管。
  6. 内壁の所定の部分に光電面が形成された外囲器と、
    一端と他端とを有し、前記他端が前記外囲器に接続され、前記一端が前記外囲器の内部側に突出した絶縁性の筒と、
    前記外囲器内部の前記筒の前記一端に設けられた電子打ち込み型半導体素子と、
    前記筒の前記一端に設けられ、前記半導体素子を囲む第1の筒状の壁と、
    前記筒の前記一端に設けられ、前記外囲器内部の前記第1の筒状の壁の外側に位置し、金属蒸気を発生させる蒸着源と、
    前記筒の前記一端に設けられ、前記蒸着源を囲む第2の筒状の壁と、
    を有し、
    前記外囲器は接地電位を印加され、前記半導体素子はプラス極性の電位を印加され、前記光電面に入射した光により放出される光電子を前記半導体素子により検出することを特徴とする電子管。
  7. 前記外囲器は、筒状の基部と、略球面状に湾曲した第1本体部と略球面状に湾曲し前記第1本体部と前記基部とを接続する第2本体部とからなる本体とを有し、
    前記半導体素子は、前記基部の中心軸と前記基部内に位置した前記第2本体部の仮想延長曲面との交点より前記本体側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電子管。
  8. 前記筒の前記一端は前記外囲器の前記本体内に突出していることを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の電子管。
  9. 前記筒の一端に導電性支持部を介して接続された内側ステムを更に備え、前記内側ステムに前記半導体素子が配置され、
    前記外囲器内部に設けられ、前記筒の一端から前記筒外部側に突出し、前記筒の一端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子管。
  10. 前記外囲器は、前記筒の他端に接続され少なくとも前記筒の他端と接続する部分が導電性を有する外側ステムを有し、
    前記外囲器内部に設けられ、前記筒の他端から前記筒外部側に突出し、前記筒の他端近傍の電界強度を緩和する導電性部材をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子管。
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