JP4469472B2 - 接続装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造が簡単でかつ信頼性の高い配管要素等の2部材の接続装置に関する。さらに特定すれば、本発明は油圧配管等の高圧流体の配管要素の接続に適し、かつ緩み等を防止することができる接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2つの部材、たとえば油圧システムの配管要素を接続する装置としては、螺子により締結される継手装置が汎用されている。このような継手装置は、構造が簡単であるが、緩みが生じやすい等の本質的な不具合がある。
【0003】
すなわち、螺子による締結は、締め付けにより発生する各部の弾性力により、雄螺子と雌螺子の螺条の間に生じる摩擦力により、この締結状態を維持する。このような締結状態にある螺子に振動等が作用すると、この振動による各部の慣性力により、雄螺子と雌螺子が微小ではあるが相対的に回動することがある。
【0004】
この場合に、この螺子の締め付け方向の回動抵抗は大きいが、緩み方向の回動抵抗は小さい。一般に振動により発生する慣性力は、正逆両方向に等しいものであるが、上記のように螺子の回動抵抗が方向により差があるため、緩み方向の回動量の方が大きくなる傾向がある。このため、長期間の間振動等が作用すると、次第に螺子の緩みが発生する。このような螺子による締結は、配管要素の接続装置ばかりでなく、各種の部材を螺子により締結して接続する場合一般に共通した問題である。
【0005】
このような螺子の緩みを減少させるためにスプリングワッシャを介在させる等のことがなされているが、本質的に螺子の緩みの傾向は解消できない。また、螺子を締結した後に、セフティワイヤ等で固定する対策はあるが、このセフティワイヤ掛け作業は面倒であり、非能率的である等の不具合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の事情に基づいてなされたもので、構造が簡単であるとともに緩み等を生じることがなく、信頼性の高い配管要素等の2部材の接続装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、互いに接続すべき第1および第2の2つの部材を対向させた状態で接続する接続装置であって、上記の第1および第2の部材の端部の外周にそれぞれ取付けられ上記の第1および第2の部材に対して回転自在でかつ軸方向の移動を規制された環状の本体部を有しており互いに相補形に嵌合する同じ形状の第1および第2の嵌合部材を備えている。第1および第2の嵌合部材の夫々は、本体部の先端から軸方向に突設された複数の嵌合突部と、これら嵌合突部の間に形成され相手方の嵌合部材の複数の嵌合突部と周方向に所定の隙間を形成した状態で軸方向に嵌合し第1および第2の嵌合部材の互いの周方向への所定角度の回動を許容する複数の嵌合凹部と、上記の嵌合突部の側面に周方向に突出して形成され上記の第1および第2の嵌合部材が相対的に周方向に回動することにより係合して上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の移動を規制する係合面を有している係止鉤部と、を含んでいる。上記接続装置はさらに、上記の第1および第2の部材の端部間に設けられ、上記の第1および第2の嵌合部材の複数の嵌合突部と複数の嵌合凹部とが嵌合し上記の第1および第2の嵌合部材の係止鉤部の係合面が互いに係合した状態で弾性変形され、その弾性力により上記の第1および第2の部材を互いに軸方向に離間させる方向に付勢して上記の第1および第2の嵌合部材の係止鉤部の係合面の摩擦力によりこの係合状態を維持させる付勢部材を備えている。そして、上記の係止鉤部の係合面は、係合面に上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の負荷が作用しない場合には、上記周方向に沿って延びている一端縁を有しており、上記の係止鉤部は、係合面に上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の負荷が作用した場合には、上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の先端縁部に押された上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の根元部が上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記係合面の上記先端縁部の押圧方向に変形するとともに、上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の先端縁部に押された上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の根元部が上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記係合面の上記先端縁部の押圧方向に変形する、ことを特徴とする。
【0008】
したがって、この係止鉤部の係合面の摩擦により、上記の嵌合部材の相対的な回動が防止されて締結状態が維持されるが、この係止面は周方向に沿った方向に係合しているため、正逆いずれの方向についても、その回動抵抗力は等しい。そして、前述のように振動により発生する慣性力は正逆両方向で等しいので、振動によりこれら嵌合部材が一方向に優先的に回動するような傾向を生じることはない。よって、振動による緩みを確実に防止することができる。
【0009】
また、この接続装置は、基本的には互いに嵌合、係合する嵌合部材と、弾性部材とから構成されており、その構造も簡単であり、製造も容易でコストを低減することができる。
【0012】
さらに、前述のような摩擦力に加えて、変形による形状的な噛み合いにより嵌合部材の係合解除方向の回動を阻止するので、より信頼性が高い。また、この係止鉤部の係合面は、無負荷の状態ではオーバーハング状にはなっておらず、これらの係合面を係合させる際、すなわちこの接続装置を結合する際に、嵌合部材を不必要に軸方向に余分に移動させる必要はなく、接続作業がより簡単である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。図1ないし図3には本発明の第1の実施形態を示し、このものは、航空機の油圧システムの配管要素の接続装置等、高い信頼性を要求される接続装置に適したものである。
【0014】
図中の1a,1bは接続すべき第1および第2の部材である第1および第2の配管要素であって、この実施形態の場合には油圧配管である。この第1の配管1a、第2の配管1bは同径のものであるが、もちろん、径の相違する配管を接続する場合、または他の配管要素を接続する場合でも同様である。
【0015】
また、図中の2はこれらの配管1a,1bを突き合せた状態で接続するための嵌合部材である。この実施形態の場合には、これら嵌合部材2は互いに相補形に嵌合する同じ形状のものである。
【0016】
この嵌合部材2は、環状の本体部3を有し、その先端面からは複数、この実施形態の場合には6個の嵌合突部8が一体に突設され、またこれらの嵌合突部8の間には嵌合凹部7が形成されている。これら嵌合部材2は、上述の如く相補形であるので、上記の嵌合突部8は、相手方の嵌合部材2の嵌合凹部7内に軸方向に嵌合するものであるが、周方向には所定の隙間が形成され、これら嵌合部材2は互いに周方向に所定角度だけ回動自在となっている。
【0017】
また、上記の各嵌合突部8の一側面には、それぞれ係止鉤部9が形成されており、これら係止鉤部9は、相手方の嵌合部材2の嵌合突部8の係止鉤部9に互いに周方向に沿って係合し、これら嵌合部材2が互いに軸方向に離反する方向の移動を規制する。なお、これらの係止鉤部9の形状等は後述する。
【0018】
なお、上記の嵌合突部8は、先端側に向かって周方向の幅が狭くなるようなテーパ状の形状をなしており、互いの嵌合が容易となるように構成されている。また、その一側面、すなわち上記の係止鉤部9が形成されている側面は、軸方向に沿っている。
【0019】
また、上記の第1および第2の配管1a,1bの先端部には、それぞれ付勢部材10が設けられている。この実施形態の場合には、これらの付勢部材10は上記の配管1a,1bの先端部に一体に形成されている。
【0020】
この付勢部材10は、弾性を有する金属材料で形成され、先端側に突出した円錐形のリップ部12を備えている。そして、これらリップ部12が互いに軸方向に押圧されることにより、これらリップ部12は図2に示すように弾性変形し、その弾性力によりこれら配管1a,1bを互いに軸方向に離間させるように付勢する。
【0021】
なお。この実施形態の場合には、これらの付勢部材10のリップ部12が密接することにより、これらの間で液密または気密を維持するように構成されており、したがってこの実施形態の場合には、これらの付勢部材10はこれらの配管1a,1bの間の密封を維持するシール部材として兼用されている。
【0022】
また、上記の配管1a,1bの端部の外周には、段部11が形成されており、前記の嵌合部材2の環状の本体部3はこの段部11に嵌合している。したがって、これらの嵌合部材2は、これらの配管1a,1bの端部に回動自在でかつ先端部側への軸方向の移動を規制して取り付けられている。
【0023】
このような接続装置により配管1a,1bを接続する場合には、まず配管1a,1bの端部および嵌合部材2を互いに同軸状に対向させる。そして、嵌合部材2を互いに近接させ、それらの嵌合突部8を嵌合凹部7内に軸方向に嵌合させる。また、これとともに、配管1a,1bの端部は互いに近接し、その先端部の付勢部材10のリップ部12が当接する。
【0024】
そして、この状態からさらに嵌合部材2を近接させることにより、上記のリップ部12が図2に示すように弾性変形して密着し、シール性を発揮する。そして、この状態で上記の嵌合部材2を相対的に回動させると、各嵌合突部8の係止鉤部9が互いに軸方向に係合し、これら嵌合部材2および配管1a,1bが離間するような軸方向の移動を規制する。
【0025】
この場合に、上記の付勢部材10のリップ部12の弾性力により、上記の嵌合部材2が互いに離反する方向に強く付勢される。この荷重は、係止鉤部9の係合面に作用し、その摩擦力によりこれら嵌合部材2が互いに回動するのを規制し、この係止鉤部9の係合解除を防止する。このようにして、図2に示すように、これら配管1a,1bの接続が完了する。なお、この接続装置の接続を解除する場合には、上記と逆の操作をおこなう。
【0026】
なお、この接続状態でこの接続装置の部分に振動等が作用した場合に、各部の慣性力により、嵌合部材2が互いに回動する方向の荷重が作用する。そして、この振動が強い場合には、前記の係止鉤部9の係合面が回動方向すなわち周方向に微小距離だけ相対的に移動する場合がある。
【0027】
しかし、この実施形態では、上記の係止鉤部9の係合は、周方向に沿った方向の係合であるため、これら係止鉤部9がより強く係合する方向の摩擦力と、これら係止鉤部9の係合が解除される方向の摩擦力は互いに等しい。そして、前述のように、振動による慣性力は、これら嵌合部材2の正逆両方向の回動方向について等しい。よって、従来の螺子の締結にように、摩擦力に方向性がなく、これら係止鉤部9の係合が振動等により不所望に緩むことはなく、信頼性が高い。
【0028】
また、この実施形態のものは、構造が簡単でコストが低いとともに、接続や接続解除の操作が簡単である。また、振動等による緩みがないので、従来の螺子による締結の場合のようにセフティワイヤ掛け等を必要としない。
【0029】
なお、上記のような接続操作は、手作業でも可能であるが、作業をより容易とするために、図7および図8に示すような接続工具が使用される。この接続工具は、回動自在に枢着された一対のレバー51を備えている。そして、これらのレバー51の先端にはホルダー部材52,53が取り付けられている。
【0030】
一方のホルダー部材53内には内筒54が設けられ、この内筒54の外周面にはたとえば逆ねじの螺条56が形成され、上記のホルダー部材53の内面の雌螺子(図示せず)と螺合している。そして、この内筒54の先端部には、ホルダー部55が形成されている。また、上記の内筒54は、板ばね57およびピン58により付勢されており、この内筒54が回動した際に元の回動位置まで戻すように付勢されている。
【0031】
なお、上記のホルダー部材52,53、内筒54、ホルダー部55等は、図8に示すように円環の一部を切除した形状をなしており、側方からこの接続装置の嵌合部材2に嵌合可能となっている。
【0032】
このような接続工具50を使用して接続作業をする際には、この接続工具50のホルダー部材52およびホルダー部55を嵌合部材2の背面側に嵌合させ、レバー51を握ることにより、これら嵌合部材2を強い力で互いに近接させることができる。そして、このような軸方向の押圧力により、上記の内筒54が回動し、嵌合部材2を相対的に回動させ、係止鉤部9が自動的に係合する。なお、接続が完了してこのレバー51の押圧を解除すると、内筒54は板ばね57により元の位置まで回動する。
【0033】
このような接続工具50を使用することにより、前記の付勢機構10のリップ部12の弾性力が強い場合でも、この接続装置を容易に接続することができる。なお、この接続装置の取り外しの場合には、上記の内筒の螺条の方向が逆の工具を使用することができる。
【0034】
また、この実施形態では、係止鉤部9の形状について、緩みをより確実に防止し、かつ接続の際の作業性を良好にするため、図3に示すような形状に構成されている。なお、この図3には、その中央部に嵌合突部8を軸方向から見た正面図を示し、その左側には外側から見た側面図、右側には内側から見た側面図を示す。
【0035】
まず、上記の係止鉤部9の係合の緩みを防止するには、この係止鉤部9の係合面が、その先端縁が基端側に位置するように傾斜した形状、すなわちオーバーハング状をなしていることが好ましい。このようなオーバーハング状の係止鉤部9が係合すると、付勢機構10の軸方向の付勢力により、これらの係止鉤部9が噛み合う状態となり、緩みを防止できる。
【0036】
しかし、これらの係止鉤部9を上記のようなオーバーハング状とすると、これら係止鉤部9を係合させるには、このオーバーハング分だけ余分に嵌合部材2を近接させなければならず、作業性が損なわれる。特に、この実施形態のように、金属製のリップ部12を備えた付勢部材10を使用したような場合には、その弾性変形のストロークが小さいとともに、弾性力も大きいので、接続作業が面倒となる。
【0037】
この係止鉤部9の係合面をオーバーハング状とせず、周方向に沿った面とすれば、接続作業は容易となる。また、このように構成しても、前述のように、この接続装置の振動等による緩みは防止することができる。
【0038】
しかしながら、航空宇宙用の油圧その他の配管要素の接続装置のように、強い振動や過酷な条件に晒され、かつ高い信頼性を要求されるものでは、より高い緩み防止の対策が必要となる。
【0039】
この実施形態では、上記の条件を満足するため、この係止鉤部9は以下のように構成されている。すなわち、この係止鉤部9には、鉤状部の根元の応力集中を緩和させるために、円筒面からなる湾曲部20が形成されている。そして、この実施形態では、この湾曲部20が嵌合部材2の軸方向および周方向の両方向に対して傾斜して形成されている。そして、好ましくは、この係止鉤部9の係止面の先端縁23は、周方向に沿うように上記の軸方向および周方向に対する傾斜角度等が設定されている。
【0040】
このような構成により、この湾曲部20の一端縁22においては、この縁、すなわち係合面の縁は周方向に沿っており、オーバーハング状とはなっていない。また、他の部分では、この湾曲部20の傾斜により、この係止鉤部9の係合面は前述したようなオーバーハング状となり、この湾曲部20の他端縁1に近づくに従って、このオーバーハングは強くなる。
【0041】
このような形状の係止鉤部9が互いに係合する場合には、上記の一端縁22が相手の嵌合突部8の係止鉤部9の先端縁23と接触する。この一端縁22と先端縁23とは、直交しているので、これらの縁の交点は点接触となる。そして、上記の一端縁22は、周方向に沿っているので、これらの係止鉤部9は、周方向に沿って相対的に移動しながら係合する。よって、前述のようにこの係止鉤部をオーバーハング状とした場合のように、嵌合部材2を余分に近接させる必要はなく、接続作業が容易となる。
【0042】
そして、これらの係止鉤部9が互いに係合した状態で前記の付勢機構10による荷重、または配管1a,1bの内圧による軸方向の荷重が作用すると、上述したような一端縁22と先端縁23の点接触の部分は容易に弾性変形、または塑性変形し、これら一端縁22以外の部分の係合面が係合する。
【0043】
前述したように、上記の湾曲部20の傾斜によって、この一端縁22以外の部分はオーバーハング状となっているために、これらの部分が係合することにより、互いに噛み合った状態となり、これらの係止鉤部9の係合の緩みをより確実に防止することができる。
【0044】
なお、図3においては、理解を容易にするために、上記の湾曲部20の傾斜角度を大きく描いてあるが、実際の製品では、この傾斜角度は僅かでよい。そして、上記の付勢部材10の弾性力による荷重、または配管1a,1bの内圧による軸方向の荷重により、上記の一端縁22の部分から順次変形しながらこの係止鉤部9の係合面が全面的に接触、係合するように設計することが好ましい。また、この係止鉤部9の全面が接触した状態においても、一端縁22の部分、すなわち最も応力の大きい部分において塑性変形が生じないように設計することが好ましい。このような設計は、この嵌合部材2の材料の物性、荷重下における変形の解析、その他の条件から、上記のような好ましい設計を行うことができる。
【0045】
なお、上記の係止鉤部9の形状、構成は上記の実施形態のものには限定されない。たとえば、図4には、本発明の第2の実施形態における係止鉤部9の形状を示し、この図4は図3に対応した図で、図3と同様に嵌合突部8の正面図、外側および内側から見た側面図を示す。
【0046】
この実施形態のものは、嵌合突部8の側面に円筒面またはテーパの付された円筒面等から構成された切除溝25を斜めに形成したものである。この切除溝25は、応力集中を防止するため、その一端部に向けて次第に浅くなって消滅しており、他端部は、この係止鉤部9の係合面に達している。
【0047】
従って、この切除溝25の達している部分27では、この係止鉤部9の係合面はオーバーハング状に形成されている。また、この切除溝25の達していない部分26では、この係合面は周方向に沿った平面状に形成されている。なお、この部分26の幅は、この係止鉤部9の全幅の半分以上の幅に設定されている。
【0048】
このような係止鉤部9が互いに係合すると、切除溝25の達していない部分26の係合面、すなわち平面状の係合面同士が、中央部において相手方の係止鉤部9の達していない部分26と重複する。従って、この中央部の重複した部分で、これら係止鉤部9は周方向に沿って案内され、容易に係合する。
【0049】
そして、この係合状態にある係止鉤部9に前述のような荷重が作用すると、この中央部の重複した部分が変形し、その両側の切除溝25の達している部分27すなわちオーバーハング状の部分が順次接触嵌合してゆき、これらのオーバーハング状の部分が噛み合い、この係止鉤部9の係合の緩みを防止する。
【0050】
なお、この実施形態の係止鉤部9の構成は、上記の点以外は前記の第1の実施形態と同様の構成であり、また各部の変形、接触の態様も前記の第1の実施形態の場合と同様に設計される。
【0051】
また、図5には、第3の実施形態における係止鉤部9の構成を示す。このものは、嵌合部材2がアルミニウム合金等、比較的弾性係数の小さい材料、すなわち比較的変形しやすい材料で形成されている場合に適したものである。
【0052】
この実施形態のものは、係止鉤部9の係合面9aは周方向に沿った平面状をなしている。したがつて、この係止鉤部9は、周方向に沿って相対的に移動して係合する。
【0053】
そして、この嵌合突部8の前端面は、高周波焼入れ、その他の表面処理などにより、表面部分のみが硬化され、硬化層30が形成されている。したがって、これらの係止鉤部9が係合した状態で前述のような荷重が作用すると、この係止鉤部9の係合面9aが変形するが、上記の硬化層30の部分は変形し難いので、結果的にこの係合面9aはオーバーハング状に変形した状態で噛み合う。よって、この係止鉤部9に緩みをより効果的に防止することができる。
【0054】
この実施形態のものは、係止鉤部9の形状が単純であり、加工が容易でコストを低減することができる。なお、上記の点以外は、この第3の実施形態のものは、前述の第1の実施形態のものと同様である。
【0055】
また、図6には本発明の第4の実施形態における係止鉤部9の構成を嵌合突部8の正面図および断面図で示す。このものは、嵌合部材2が合成樹脂材料等、軟質で変形しやすい材料で形成されている場合に適するものである。
【0056】
この実施形態のものは、係合鉤部9の係合面9aは、周方向に沿った平面で構成されている。そして、この嵌合突部8の前面部の内部には、インサート部材40が一体的に埋設されている。このインサート部材40は、硬質の材料、たとえば鋼材で形成された板状のものである。そして、その先端部41は係止鉤部9の係合面の先端縁部に刃状に露出している。なお、このインサート部材40には、複数の取付孔42が形成され、これらの取付孔42内に樹脂材料が充填され、この嵌合突部8内への埋設強度を高めるように構成されている。
【0057】
この実施形態のものは、前述の第3の実施形態と同様に、係止鉤部9が係合した状態で荷重が作用すると、係合面9aの部分が変形するが、インサート部材40は変形しないため、結果的にこの係合面9aはオーバーハング状に変形した状態で噛み合う。よって、この係止鉤部9に緩みをより効果的に防止することができる。
【0058】
この実施形態のものは、嵌合部材を射出成形する際に、上記のインサート部材40を係止鉤部9の近傍に埋設するだけで製造でき、コストを低減することができる。なお、上記の点以外は、この第4の実施形態のものは、前述の第1の実施形態のものと同様である。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態にも限定されない。たとえば、係止鉤部の構成、形状は上記のような実施形態には限定されず、各種のものが採用できる。また、航空宇宙用等、特に高い信頼性が要求される用途以外のものでは、係止鉤部の係合面は周方向に沿った方向に係合する単純な形状のものでもよい。
【0060】
また、上記の付勢部材は、前記の実施形態のものには限定されず、その他の任意の形状、構成のものが採用でき、必ずしも配管等の配管要素と一体のものでなくてもよく、別体のものでもよい。また、この付勢部材は必ずしもシール部材として兼用されるものには限定されず、付勢部材とシール部材は別体のものでもよい。
【0061】
さらに、本発明は油圧システムの配管要素を接続するものに限らず、その他の任意の配管要素、あるいは棒状の部材、その他の部材を接続するものに適用できることはもちろんであり、またこの接続装置の各部品の材料等も任意に選択することができる。
【0062】
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、係止鉤部の係合面の摩擦により、上記の嵌合部材の相対的な回動が防止されて締結状態が維持されるが、この係合面は周方向に沿った方向に係合しているため、正逆いずれの方向についても、その回動抵抗力は等しく、振動によりこれら嵌合部材が一方向に優先的に回動するような傾向を生じることはなく、振動による緩みを確実に防止することができる。
【0063】
また、この接続装置は、基本的には互いに嵌合、係合する嵌合部材と、弾性部材とから構成されており、その構造も簡単であり、製造も容易でコストを低減することができる等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の接続装置の接続解除状態の縦断面図。
【図2】第1の実施形態の接続装置の接続状態の縦断面図。
【図3】第1の実施形態の係止鉤部の正面図および側面図。
【図4】第2の実施形態の係止鉤部の正面図および側面図。
【図5】第3の実施形態の係止鉤部の断面図。
【図6】第4の実施形態の係止鉤部の正面図および断面図。
【図7】本発明の接続装置の接続作業に使用される接続工具の側面図。
【図8】図7の8−8矢視図。
【符号の説明】
1a,1b 配管
2 嵌合部材
8 嵌合突部
9 係止鉤部
10 付勢部材
12 リップ部

Claims (7)

  1. 互いに接続すべき第1および第2の2つの部材を対向させた状態で接続する接続装置であって、
    上記の第1および第2の部材の端部の外周にそれぞれ取付けられ、上記の第1および第2の部材に対して回転自在でかつ軸方向の移動を規制された環状の本体部を有しており互いに相補形に嵌合する同じ形状の第1および第2の嵌合部材を備えていて
    第1および第2の嵌合部材の夫々は、
    本体部の先端から軸方向に突設された複数の嵌合突部と、
    これら嵌合突部の間に形成され相手方の嵌合部材の複数の嵌合突部と周方向に所定の隙間を形成した状態で軸方向に嵌合し第1および第2の嵌合部材の互いの周方向への所定角度の回動を許容する複数の嵌合凹部と、
    上記の嵌合突部の側面に周方向に突出して形成され上記の第1および第2の嵌合部材が相対的に周方向に回動することにより係合して上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の移動を規制する係合面を有している係止鉤部と、
    を含んでおり、
    上記接続装置はさらに、
    上記の第1および第2の部材の端部間に設けられ、上記の第1および第2の嵌合部材の複数の嵌合突部と複数の嵌合凹部とが嵌合し上記の第1および第2の嵌合部材の係止鉤部の係合面が互いに係合した状態で弾性変形され、その弾性力により上記の第1および第2の部材を互いに軸方向に離間させる方向に付勢して上記の第1および第2の嵌合部材の係止鉤部の係合面の摩擦力によりこの係合状態を維持させる付勢部材を備えていて、
    上記の係止鉤部の係合面は、係合面に上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の負荷が作用しない場合には、上記周方向に沿って延びている一端縁を有しており、
    上記の係止鉤部は、係合面に上記の第1および第2の嵌合部材が互いに軸方向に離間する方向の負荷が作用した場合には、上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の先端縁部に押された上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の根元部が上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記係合面の上記先端縁部の押圧方向に変形するとともに、上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の先端縁部に押された上記の第1の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記周方向における係合面の根元部が上記の第2の嵌合部材の上記の係止鉤部の上記係合面の上記先端縁部の押圧方向に変形する、
    ことを特徴とする接続装置。
  2. 前記の係止鉤部の前記係合面には、前記先端縁部を除き前記周方向に沿った一端縁から上記一端縁とは反対側の他端縁に向かうにつれて前記の係止鉤部が形成されている前記の嵌合突部における前記の軸方向の突出端に向かう方向に向かう傾斜面が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1の接続装置。
  3. 前記の係止鉤部の前記係合面の前記傾斜面は、前記先端縁部を除き前記周方向に沿った一端縁から前記一端縁とは反対側の他端縁に向かうにつれて前記の係止鉤部が形成されている前記の嵌合突部における前記の突出端に向かう方向および前記周方向において前記根元部分に向かう方向に傾斜して形成され、前記係合面に前記軸方向に離間する方向の負荷が作用した場合における前記係合面の前記根元部の応力集中を緩和する湾曲部である、
    ことを特徴とする請求項の接続装置。
  4. 前記の係止鉤部の前記係合面の前記傾斜面は、前記先端縁部を除き前記周方向に沿った一端縁から前記一端縁とは反対側の他端縁に向かうにつれて前記の係止鉤部が形成されている前記の嵌合突部における前記の突出端に向かう方向に延出して形成され、テーパの付された円筒面の一部により構成された切除溝である、
    ことを特徴とする請求項2の接続装置。
  5. 前記の係止鉤部の前記係合面は、前記先端縁部の硬度が他の部分の硬度よりも高く設定されている、
    ことを特徴とする請求項1の接続装置。
  6. 前記の係止鉤部の前記係合面は、前記先端縁部の内部に前記先端縁部の硬度を他の部分の硬度よりも高くするインサート部材が埋設されている、
    ことを特徴とする請求項1の接続装置。
  7. 前記の第1および第2の部材は第1および第2の配管要素であり、前記の付勢部材は上記の第1および第2の配管要素の間のシール部材を兼用している、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項の接続装置。
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