JP4467223B2 - 均熱装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば樹脂成型品、半導体ウエハ、液晶パネル等の被加工物を、加工される定盤上で均一に加熱あるいは冷却することができる均熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は例えば特開平9−327827号公報に示された従来の均熱装置の要部を示す正面断面図である。図において、1は板状部材であり、下面側に同心状及び放射状に配置された複数の溝2が形成された第1の板状部材1aと、上記各溝2を覆うように第1の板状部材1aの下面部に例えばろう付け等で接合された第2の板状部材1bからなる。3は第1の板状部材1aに設けられた各溝2と第2の板状部材1bとで形成された複数の流通路であり、その内部は真空排気された後、所定量の作動液4が充填されている。5はこれら流通路3を形成した板状部材1からなる定盤、6はこの定盤5の表面上に載置された被加工物である。
【0003】
上記のように構成された均熱装置において、定盤5の下面側から、例えば電気ヒータ等のヒータ(図示せず)により図中矢印で示すように加熱されると、各流通路3内の作動液4も加熱され、蒸気となって密封された流通路3内を形成している空間に拡散し、この蒸気は流通路3内の温度の低い図の上面側で凝縮潜熱として熱を放出しながら液化する。そして液化した作動液4は流通路3の内部で下面側に流下して還流し、この動作が順次繰り返されることにより、ヒータから定盤5の上面に熱輸送され、定盤5を均熱化し、載置された被加工物6が均一に加熱される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された従来の均熱装置は、真空減圧のあと封入された作動液4の蒸発及び凝縮による潜熱移動によってヒータからの熱を均一に定盤5表面に伝熱する構造のものである。この場合、作動液4に水を使用すると蒸発及び凝縮特性が高く、高い均熱性を得ることができるが、その容器を形成する板状部材1は作動液4との適合性の良い銅系材料で構成する必要があるため、重量が重くなる一方、表面硬度が低いため使用時に傷が付き易いなどという問題があった。また、銅系材料は、アルミニウム系あるいは鉄系材料と比べて切削性が悪いため、生産性が悪く、加工コストが高いという問題もあった。
【0005】
この発明は上記のような従来技術の課題を解消するためになされたものであり、簡潔な構成で定盤の均熱性を確保して、軽量化を図り、表面硬度、及び加工性を改善し、生産性の向上及び低コスト化を可能にした均熱装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る均熱装置は、被加工物を保持する定盤と、この定盤の表面温度を均一化する均熱手段とを備えた均熱装置において、上記定盤は、外周縁部から中心部方向へ放射状に設けられた複数の挿通孔を有してなり、上記均熱手段は、上記定盤の挿通孔にそれぞれ挿通された密封容器を形成する複数のパイプ材とこのパイプ材に封入された作動液とからなるヒートパイプを用いてなるものであって、上記定盤の中心部に、パイプ材相互を互いに連通する連通部を設け、ヒートパイプを形成してなるものである。
【0013】
また、この発明の請求項2に係る均熱装置は、請求項1において、連通部にヒータを熱的に接触させて設けたものである。
【0014】
また、この発明の請求項3に係る均熱装置は、被加工物を保持する定盤と、この定盤の表面温度を均一化する均熱手段とを備えた均熱装置において、上記定盤は、外周縁部から中心部方向へ放射状に設けられた複数の挿通孔を有してなり、上記均熱手段は、上記定盤の挿通孔にそれぞれ挿通された密封容器を形成する複数のパイプ材とこのパイプ材に封入された作動液とからなるヒートパイプを用いてなるものであって、上記定盤の外周部に沿って、上記各パイプ材相互を互いに連通する連通部を設け、ヒートパイプを形成してなるものである。
【0015】
また、この発明の請求項4に係る均熱装置は、請求項3において、上記連通部にヒータ及び冷却手段の少なくとも一つを熱的に接触させて設けてなるものである。
【0016】
また、この発明の請求項5に係る均熱装置は、請求項1から請求項4において、上記定盤は、アルミニウム系材料または鉄系材料からなるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1、図2はこの発明の実施の形態1になる均熱装置の要部構成を説明するもので、図1は平面図、図2は図1の要部を拡大して示す側面断面図である。図において、7は例えばアルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が良好でかつ軽量な材料、あるいは鉄、ステンレス等の硬度の高い材料から成り、周縁部から中心部方向に放射状に複数の挿通孔8が形成された板状部材である。
【0018】
9は均熱手段としてのヒートパイプであり、密封容器を形成するパイプ材としての一端部を閉じた銅パイプ10の内部を排気した後、所定量の作動液4を充填し、密封されたものである。このヒートパイプ9は上記板状部材7の各挿通孔8にそれぞれ嵌め込まれている。11は上記均熱手段としてのヒートパイプ9を備えた定盤である。
【0019】
なお、均熱手段としては図示しているヒートパイプ9の他、電気ヒータなどの加熱手段、及び/または水冷装置などの冷却手段、定盤11の温度を検知する温度センサ、及び温度センサの検知結果に応じて加熱手段や冷却手段を制御する制御手段などを具備しているが、従来装置と同様であるので、図示及び説明を省略する。また、各図を通じて同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0020】
次に動作について説明する。上記のように構成された実施の形態1になる均熱装置において、定盤11の下面から、例えば図示しないヒータ等の加熱手段により、図中、矢印で示すように加熱されると、ヒートパイプ9内の作動液4も加熱され、蒸気となって密封された銅パイプ10内の空間に拡散し、さらにその蒸気は銅パイプ10内の温度の低い図2の上面側で凝縮潜熱として熱を放出し液化する。
【0021】
そして液化した作動液4は銅パイプ10の内部で下面側に流下して還流し、この動作が順次繰り返される。ヒートパイプ9内はこのようなサイクルで熱輸送され、均一な温度に保たれる。ヒートパイプ9により運ばれた熱は、板状部材7に熱伝導され、定盤11の表面を均一な温度に保つ。このようにして定盤11の表面温度を均一にし、定盤11上に載置され、保持された図示を省略している被加工物を均一に加熱することができる。
【0022】
以上のように、この実施の形態1によれば、図示しない被加工物を保持する定盤11を構成する板状部材7と均熱手段を構成するヒートパイプ9とを別の材料を用いて構成するようにしたことにより、板状部材7として銅などの切削性の悪い材料を使う必要がなくなり、例えば熱伝導性が良好でかつ軽量な材料である、例えばアルミニウムあるいはアルミニウム合金など比重の低い材料を使用することで軽量化が図られ、熱応答性を上げることができると共に、表面の加工性が良くなるので、加工コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、板状部材7として硬度の高い材料である例えば鉄あるいはステンレスなどの鉄系素材を使用した場合には、加工性が優れ、かつ表面硬度を高くすることができ、表面に傷がつきにくい定盤を容易に形成できるという効果が得られる。なお、上記パイプ材10としては、加工性に優れた例えば銅、銅合金などからなる市販のパイプ材などは好ましく用いることができる。
【0024】
実施の形態2.
図3は実施の形態2に係る均熱装置の要部構成を示す部分断面図である。図において、12は内面に多数の溝12aを設けた密封容器を形成するパイプ材としての銅パイプであり、内部を排気した後、所定量の作動液4を充填されてヒートパイプ9が形成されている。板状部材7の挿通孔8にはこのヒートパイプ9が挿入され、定盤11を構成している。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0025】
上記銅パイプ12は、一般の熱交換器などに広く使用されている銅を素材とする内面溝付き管をそのまま利用することができるので、入手性も良く、このような内面溝付の銅パイプ12を使用することにより、伝熱面積の拡大と、作動液4の沸騰促進ができるので、ヒートパイプによる熱輸送効果が増加し、定盤11の表面温度をより均一にすることができる。なお、図ではこの銅パイプ12の内面溝12aが山形でネジ状に加工されたものについて示したが、この内面溝12aは例えば軸方向に加工された溝であってもよく、要するに伝熱面積が増加し、沸騰促進が行なえる凹凸状、ひげ状、スポンジ状ないしはそれに類した形状に加工されたものであれば同様の効果が期待できる。
【0026】
実施の形態3.
図4及び図5は実施の形態3による均熱装置を説明するもので、図4はヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図、図5は全体の平面図である。図において、13は板状部材7の挿通孔8と、ヒートパイプの周囲に充填された、例えば熱伝導性コンパウンドなどの熱伝導性の高い充填材、14は挿通孔8の中心部側端部と板状部材7の下面部とを連通するように設けられた抜き穴(空気穴)である。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0027】
挿通孔8にヒートパイプ9を直接挿入する場合、ヒートパイプ9の外径を挿通孔8の内径より若干小さくする必要があるため、板状部材7とヒートパイプ9との間に微小な隙間が生じている。この隙間の熱抵抗により、ヒートパイプ9の均熱効果が低下することになるが、この実施の形態3では、その隙間部分に熱伝導性のよい充填材13が緊密に充填されていることにより、ヒートパイプ9と板状部材7の間の熱抵抗を低減させ、定盤11の表面の均熱性をより上げることが出来る。
【0028】
またこの実施の形態3では、挿通孔8の中心部側に抜き穴14を設け、ヒートパイプ9の周囲に充填材13を塗布して挿通孔8に挿入する際に、抜き穴14から外部に挿通孔8の中の空気や余分の充填材を容易に逃がすことができるので、ヒートパイプ9を挿通孔8に容易に挿入することができ、組立性が向上する。
【0029】
実施の形態4.
図6は実施の形態4になる均熱装置のヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図である。図において、15は板状部材7の挿通孔8に並行に設けられた楔穴、16はこの楔穴15に板状部材7の外周側から嵌め込まれた楔部材である。この楔部材16は挿通孔8に挿通されたヒートパイプ9に沿って打ち込まれ、挿通孔8の内壁面にヒートパイプ9の外周面を矢印A方向に押し付けている。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0030】
上記実施の形態4によれば、楔部材16を打ち込むことにより、ヒートパイプ9が挿通孔8の壁面に押し付けられるので、熱伝導性コンパウンドなどの材料無しでもヒートパイプ9と板状部材7の間の接触熱抵抗を小さくすることができ、定盤11表面の均熱性を向上させることができる。また、熱伝導性コンパウンドなどの充填材を使用しなくて良いので、コンパウンドの経時的変化及び熱サイクルや衝撃等によるコンパウンドの劣化、剥離などの心配が無く、定盤11の均熱性能を長期にわたり維持することができる効果が得られる。なお、上記図6では楔部材16によりヒートパイプ9を矢印A方向に押し付けるようにしたが、該方向はこれに限定されるものではない。
【0031】
実施の形態5.
図7は実施の形態5に係る均熱装置のヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図である。図において、板状部材7の挿通孔8には一端部を閉じたパイプ材としての銅パイプ17が挿入されている。他端部側に一体的に形成された口出し部18より銅パイプ17の内部に、例えば水圧などにより圧力をかけることにより、銅パイプ17を内径側から拡大(拡径)し、板状部材7の挿通孔8に密着させる。その後、銅パイプ17の内部を図示を省略している真空ポンプにより排気した後、所定量の作動液を充填し、口出し部18を密封することにより、ヒートパイプとする。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0032】
このように実施の形態5によれば、銅パイプ17を挿通孔8の内部で拡径することにより、銅パイプ17の外周面を板状部材7の内壁に均一に密着させることができ、銅パイプ17と挿通孔8との間の接触熱抵抗をより一層低減させることができ、定盤11の均熱性能をさらに改善することができる。
【0033】
実施の形態6.
図8は、実施の形態6になる均熱装置の要部構成を示す側面断面図である。図において、11はヒートパイプ9が挿入された定盤であり、23は定盤11の外周部の下面部に取り付けられたドーナツ状の面状発熱体、シースヒータ等のヒータである。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
上記のように構成された実施の形態6によれば、定盤11の外周側の下面部にヒータ23を配置することによって、定盤11の外周側からの放熱を補い、外周側から内径側にはヒートパイプ9による熱輸送を行なうことで、外周側と内径側の温度差を低減して定盤11全体としての均熱性を発揮することができる。この場合、面状発熱体、シースヒータなどのヒータ23の設置面積は定盤の全面積に配置する必要がないので、均熱装置を安価に製作でき、低コスト化が図れるという効果がある。
【0035】
実施の形態7.
図9は実施の形態7による均熱装置の要部を示す底面図である。図において、24は定盤11の下面部に分割して配置された複数のヒータである。これらのヒータ24は、図示を省略している加熱制御装置と、定盤11の周方向に設けられた温度センサを用いて、定盤11の表面が均熱化するように個別に制御される。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0036】
定盤11に、図示を省略している互いに独立した複数のヒートパイプが放射状に埋め込まれただけの均熱装置では、定盤11の円周方向に温度分布が生じ、積極的に均熱化する機能がないので、円周方向に温度分布が付き易くなる場合があるが、この実施の形態7においては、図9に示すように複数のヒータ24を定盤11の外周側に分散して配置し、それぞれのヒータ24を個別に温度制御をすることで、円周方向に生じる温度分布を均一にすることが可能になる。
【0037】
実施の形態8.
図10は、実施の形態8による均熱装置の要部構成を示す側面断面図である。図において、11は複数のヒートパイプ9が周縁部から中心部方向に挿入された定盤であり、23は定盤11の外周部の下面部に配置された面状発熱体、シースヒータ等のヒータである。25は空気や水等の冷却媒体26がその内部を流通する冷却手段であり、定盤11の中央部の下面部に熱的に接触して取り付けられている。上記ヒータ23、及び冷却手段25は図示しない制御装置により定盤11の表面温度が所望の設定値となるように制御される。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0038】
上記のように構成された実施の形態8によれば、加熱時は定盤11の外周側の放熱を外周側に配置したヒータ23で補いながら高精度の温度分布を確保することが出来るとともに、冷却時には中央部の下面に取り付けた冷却手段25に冷却媒体26を流すことで、ヒートパイプ9により定盤11の外周側の熱を中央部に輸送して全体を均一に冷却することが可能となる。
【0039】
これにより、定盤11及び定盤上面に載置される被加工物の温度上昇、温度降下を短時間でおこなうことができるとともに温度上昇時、下降時においても温度分布を均一に保ちながら定盤11の温度変更ができ、被加工物の各部に一様な温度分布履歴を与えることができるので、均質な製品の加工が可能となる。
【0040】
実施の形態9.
図11、及び図12は実施の形態9による均熱装置の要部構成を示すもので、図11は平面図、図12は側面断面図である。図において、板状部材7に放射状に設けられた挿通孔8に対し、密封容器を形成するパイプ材としての一端部を閉じた銅パイプ10が開口部側を定盤11の中心部に向けて挿入されている。定盤11の中心部にはハブ状の連通部19が配設され、各銅パイプ10における定盤11の中心部側端部が連通部19に接合されて互いに連通され、この内部を真空排気後、所定量の作動液を充填することにより全体で一つのヒートパイプ9が形成されている。
【0041】
上記した実施の形態1から8では、定盤11の半径方向の温度分布に対しては有効なヒートパイプ配置となっているが、円周方向の温度分布が発生した場合にはヒートパイプの均熱効果が発揮されないため、円周方向に温度分布が付き易い用途の場合には、この実施の形態9のようにして各ヒートパイプ9を互いに連通することにより、作動液4の蒸気を全体に一様にゆきわたらせ、定盤11表面の円周方向の均熱性も向上させることが可能になる。また、ヒートパイプの回路が一回路となり、排気及び作動液の充填を一度で行なうことができ、生産性を向上することができる。
【0042】
実施の形態10.
図13、及び図14は、実施の形態10になる均熱装置の概要構成を示す平面図、及び側面断面図である。図において、10は両端部を閉じ、一端部近傍に連通孔10aを有するパイプ材としての銅パイプである。7aは板状部材7の中心部側下部に、挿通孔8と連通して設けられた開口部であり、上記銅パイプ10を挿通孔8に挿通したときに該銅パイプの連通孔10aの位置に合致するように、かつ連通孔10aの直径よりも大きな直径で設けられている。20は連通管であり、上部が上記開口部7aを挿通して銅パイプ10の連通孔10aに気密に配管接続され、下部が定盤11中心部下部に配設された連通部19と気密に配管接続され、全体が一つの密閉容器として連通され、内部を真空排気した後、所定量の作動液4が充填されてヒ一トパイプ9が構成されている。
【0043】
前記実施の形態9では、板状部材7の中心部に連通部19を埋め込むための空間を設けているので、定盤中心部の剛性が若干低下し、また、銅パイプ10の中心部側端部と連通部との接続加工がしづらい面があるが、この実施の形態10の場合には、連通部19を定盤11の下部に配置したので、定盤中心部の剛性を低下させることがなく、銅パイプ10の一端部と連通部19との接続加工が容易になる。このようにして各銅パイプ10をそれぞれ互いに連通にすることにより、作動液の蒸気を全体に一様にゆきわたらせ、定盤11表面の円周方向の均熱性も向上させることが可能になる。
【0044】
実施の形態11.
図15は実施の形態11による均熱装置の要部構成を示す断面図である。図において、31は連通部19を構成する銅パイプの周囲に熱的に接触させて設けられたヒータであり、図示を省略している制御装置により熱量の制御が行われる。この実施の形態11は前記実施の形態10の連通部19にヒータ31を配置した構成としており、その他の構成は実施の形態10と同様であるので説明を省略する。
【0045】
上記のように構成された実施の形態11によれば、連通部19の内部で作動液の蒸気を発生させ、この蒸気をヒートパイプ9の各部に一様に拡散させることができるので、ヒータ31を定盤11に接触させて使用する場合のような接触ムラなどによる温度分布の悪化を除去することができる。また、ヒータ31を連通部19に集中させることができるので、ヒータ31を小形化でき、コストを低減することができる。
【0046】
実施の形態12.
図16、及び図17は実施の形態12による均熱装置の要部構成を示す平面図及びその側面断面図である。図において、21は板状部材7の外周囲に沿って円環状に設けられた銅パイプからなる連通部であり、板状部材7の複数の挿通孔8に挿入された各銅パイプ(パイプ材)10と一体的に形成された接続部10bとそれぞれ連通管22により互いに連通して結合され、一つの密封容器を形成している。その内部を真空排気し、所定量の作動液4を充填することでヒートパイプ9が構成されている。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
この実施の形態12によれば、各銅パイプ10を定盤11の外周部で互いに連通させて一つのヒ−トパイプ9としたことにより、作動液4の蒸気が定盤11の全体に一様にゆきわたり、定盤11表面の円周方向の均熱性も向上することが可能になるとともに、定盤11の剛性を低下させることなく、また、定盤11の厚みをアップすることなく、定盤表面全体の均熱性の向上を図ることが出来る。さらに、連通部21が板状部材7の外側に配設されているので、連通管22との接続加工も容易である。
【0048】
実施の形態13.
図18は実施の形態12による均熱装置の要部構成を模式的に示す平面図である。この実施の形態13では、上記実施の形態12の構成に対して、定盤11の外周部に設けた連通部21の周りにヒータ31あるいは冷却管からなる冷却手段41、またはヒータ31及び冷却手段41の両方を熱的に接触させて配置した構造としている。なお、上記ヒータ31、及び冷却手段41は図示しない制御装置により定盤11の表面温度が所望の設定値となるように制御される。その他の構成は上記実施の形態12と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
上記のように構成された実施の形態13においては、加熱時はヒータ31により連通部21を加熱し、作動液の蒸気を発生させ、この蒸気をヒートパイプ9の各部に一様に拡散させることができるので、ヒータを定盤11に接触させて使用する場合のようなヒータの接触ムラなどによる温度分布の悪化を除去することができる。
【0050】
また、冷却時は冷却手段41に冷媒を流すことで連通部21を冷却し、これにより蒸気を集中的に凝縮させることができるので、定盤11の全面にわたり均一温度で加熱及び冷却を行なうことができる。この構成の場合は加熱および冷却の面積が大きくとれるので、多量の加熱および冷却をおこなうことができ、温度上昇および温度降下を短時間で行なうことができるとともに、温度上昇時および温度降下時においても定盤11に置載される被加工物の全体に一様な温度分布履歴を与えることができるので、極めて均質な製品の加工が可能となる。
【0051】
ところで、上記実施の形態の説明では板状部材7として好ましく用いられる材料として、アルミニウム、アルミニウム合金などのアルミニウム系材料、鉄、ステンレスなどの鉄系材料を例示したが、これらのみに限定されるものではない。また、ヒートパイプ9を形成するパイプ材10、17としては、銅もしくは銅合金などの銅系材料を好ましく用いることができるが、均熱装置に要求される仕様等に応じて適宜の材料に変更することは差し支えない。また、挿通孔は定盤の周縁部から中心部方向に放射状に設けたものについて説明したが、必ずしも放射状である必要はなく、要するに熱が均等に伝達される配置であればよい。さらに、パイプ材10、17は断面円形のものを用いる場合について説明したが、楕円その他の形状でも差し支えない。
【0052】
また、上記した実施の形態6、7、及び8では、被加熱体が定盤の上面部にあって、ヒータあるいは冷却手段が定盤の下面部にあるものについて説明したが、被加熱体が定盤の下面部にあり、ヒータあるいは冷却手段が定盤の上面部にある場合でも、同様に定盤11を均一に加熱及び冷却する機能を発揮することができる。また、上記の各実施の形態では、定盤11が円形のものについて説明したが、定盤の形状は角形あるいは多角形などであってもよく、上記実施の形態のヒートパイプを備えているものであれば同様の効果を発揮することができる。
【0053】
また、上記実施の形態11および13では、連通部19及び21にヒータ31をらせん状に巻きつけたものを示したが、ヒータ31は作動液4を加熱する機能のものであればよく、形式、種類は任意で良い。また、上記実施の形態13では、連通部21に冷却管からなる冷却手段41をらせん状に巻きつけたもので説明したが、作動液の蒸気を冷却する機能のものであれば良く、熱的な結合のさせ方や冷媒の種類を問うものではない。また、冷却手段として電子冷凍などを含む他の任意の冷凍方式を使用して連通部等を冷却するものであっても良い。さらに、被加工物としては、樹脂成型品、半導体ウエハ、液晶パネル等に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明によれば次のような効果が得られる。
【0061】
請求項1に記載した第1の発明によれば、定盤の外周縁部から中心部へ放射状に設けられた複数の挿通孔に挿通されたヒートパイプにより、簡潔な構成で定盤の均熱性を確保して、定盤の軽量化を可能とし、しかも定盤の表面硬度または定盤表面の加工性の改善が可能な均熱装置を提供できるとともに、定盤の中心部に、各密封容器相互の連通部を設けたことにより、作動液の蒸気を定盤の全体に一様にゆきわたらせ、定盤表面の円周方向の均熱性も向上させることが可能になる。
【0062】
請求項2に記載した第2の発明によれば、連通部にヒータを熱的に接触させて設けたことにより、定盤表面を円周方向にも均一に加熱するようにでき、小形でコンパクトな加熱部とすることができる。
【0063】
請求項3に記載した第3の発明によれば、定盤の外周縁部から中心部へ放射状に設けられた複数の挿通孔に挿通されたヒートパイプにより、簡潔な構成で定盤の均熱性を確保して、定盤の軽量化を可能とし、しかも定盤の表面硬度または定盤表面の加工性の改善が可能な均熱装置を提供できるとともに、定盤の外周部に各密封容器の連通部を設けたことにより、定盤本体の剛性を低下させることなく、定盤表面からの突起部を設けずに、定盤の円周方向にも均熱効果をもたせることができ、定盤表面全体の均熱性向上をはかることができる。
【0064】
請求項4に記載した第4の発明によれば、外周部に設けた連通部にヒータ、および冷却手段の少なくとも一方を熱的に接触させて加熱あるいは冷却、または加熱と冷却の両方を行なえるようにしたことにより、定盤表面全体の均熱効果をもたせながら、多量の加熱及び冷却を行なうことができる。
【0065】
請求項5に記載した第5の発明によれば、定盤の加工性が高められることにより、定盤表面の硬度アップと生産性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による均熱装置の要部構成を示す平面図。
【図2】 図1の要部を拡大して示す側面断面図。
【図3】 実施の形態2による均熱装置の要部構成を示す部分断面図。
【図4】 実施の形態3による均熱装置のヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図。
【図5】 図4に示す均熱装置全体の平面図。
【図6】 実施の形態4になる均熱装置のヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図。
【図7】 実施の形態5になる均熱装置のヒートパイプ挿入部分の詳細を示す部分断面図。
【図8】 実施の形態6になる均熱装置の要部構成を示す側面断面図。
【図9】 実施の形態7による均熱装置の要部を示す底面図。
【図10】 実施の形態8による均熱装置の要部構成を示す側面断面図。
【図11】 実施の形態9による均熱装置の要部構成を示す平面図。
【図12】 図11に示す均熱装置の側面断面図。
【図13】 実施の形態10になる均熱装置の概要構成を示す平面図。
【図14】 図13に示す均熱装置の側面断面図。
【図15】 実施の形態11による均熱装置の要部構成を示す断面図。
【図16】 実施の形態12による均熱装置の要部構成を示す平面図。
【図17】 図16に示す均熱装置の側面断面図。
【図18】 実施の形態12による均熱装置の要部構成を模式的に示す平面図。
【図19】 従来の均熱装置の要部を示す正面断面図。
【符号の説明】
4 作動液、 5 定盤、 6 被加工物、 7 板状部材、 8 挿通孔、9 ヒートパイプ(均熱手段)、 10、17 パイプ材(銅パイプ)、 11 定盤、 13 熱伝導性コンパウンド(充填材)、 14 抜き穴、 15楔溝、 16 楔部材、 19、21 連通部、 20、22 連通管、 23、24、31 ヒータ、 25、41 冷却手段。
Claims (5)
- 被加工物を保持する定盤と、この定盤の表面温度を均一化する均熱手段とを備えた均熱装置において、上記定盤は、外周縁部から中心部方向へ放射状に設けられた複数の挿通孔を有してなり、上記均熱手段は、上記定盤の挿通孔にそれぞれ挿通された密封容器を形成する複数のパイプ材とこのパイプ材に封入された作動液とからなるヒートパイプを用いてなるものであって、上記定盤の中心部に、パイプ材相互を互いに連通する連通部を設け、ヒートパイプを形成してなることを特徴とする均熱装置。
- 上記連通部にヒータを熱的に接触させて設けたことを特徴とする請求項1に記載の均熱装置。
- 被加工物を保持する定盤と、この定盤の表面温度を均一化する均熱手段とを備えた均熱装置において、上記定盤は、外周縁部から中心部方向へ放射状に設けられた複数の挿通孔を有してなり、上記均熱手段は、上記定盤の挿通孔にそれぞれ挿通された密封容器を形成する複数のパイプ材とこのパイプ材に封入された作動液とからなるヒートパイプを用いてなるものであって、上記定盤の外周部に沿って、上記各パイプ材相互を互いに連通する連通部を設け、ヒートパイプを形成してなることを特徴とする均熱装置。
- 上記連通部にヒータ及び冷却手段の少なくとも一つを熱的に接触させて設けてなることを特徴とする請求項3に記載の均熱装置。
- 上記定盤は、アルミニウム系材料または鉄系材料からなることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の均熱装置。
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