JP4466682B2 - 流体混合装置 - Google Patents

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Description

本発明は、2以上の液体や気体等の流体を混合して混合流体にする技術分野に属し、特に、この混合流体をマイクロメーターオーダーで迅速に混合する技術に関する。
近年、化学合成や化学分析の分野において、2以上の化学物質を化学反応させるに際し、反応時間を短縮したり副反応を抑制するため、流動化したこれら化学物質を細径に流動させ合流及び分割を繰り返し、均一化された混合流体の作製を経て、化学反応させる技術が注目されている。この混合流体の均一化を高効率で実行するための流体混合装置は、一片が数十〜数百μm程度の断面の流路が、微細加工技術により基板に成形されたものであって、マイクロミキサ又はマイクロリアクタと通称されている。
既に、そのようなマイクロリアクタとして、複数の略Y字形状の流路をそのY字上側の分岐部分が他の流路のY字下側の集束部分に接続するように連結させ、このY字形状の流路の複数を平板上に溝状に形成するとともにこの平板を適宜積層させた構成が、公知となっている(例えば、特許文献1)。
この公知技術によれば、マイクロリアクタに投入された二種類の流体は、直列に連結された複数のY字形状の流路を一直線に流動する際に、合体・分割を繰り返すことにより、混合が進行することになる。
また、他の公知例として、貫通孔を設けた平板の複数を積層させるとともにこの貫通孔の配列・形状に創作を凝らし、二種類の流体が、この貫通孔を通過する過程で合流/分割を繰り返すことにより、混合が実行されるものがある(例えば、特許文献2)。
特表平11−511689号公報(図2、図10参照) 特開2002−346353号公報(図1、図2参照)
特許文献1に記載のマイクロリアクタでは、二種類の流体を混合させる流路が一本であることにより、混合流体にマイクロメーターオーダーの均一性を付与しようとすれば、直列に連結されるY字形状の流路の段数を相当数増加させる必要がある。一方、このように直列に連結されるY字形状の流路の段数が増加すれば、流体の流動に伴う圧力損失が増大して、混合流体の生産性が低下することが避けられない。
特許文献2に記載のマイクロリアクタにおいても、混合流体にマイクロメーターオーダーの均一性を付与しようとすれば、貫通孔の設けられた平板の積層数を相当数増加させる必要がある。一方、このように平板の積層数が増加すれば、マイクロリアクタの厚みが増加し、リアクタ内部の温度制御性が低下する。係る場合、二種類の流体を混合して吸発熱を伴い進行する化学反応の制御が困難になる。
本発明は、これらの問題を解決することを課題とし、高度に均一化された混合流体を高い生産性で製造するとともに小型でかつ優れた温度制御性を備えた流体混合装置を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために本発明は、第1流体と第2流体とを混合して混合流体にする流体混合装置において、前記第1流体が導入されるm個(m=2,3,…)の第1流体導入路の群と、前記第1流体導入路と交互に配列され前記第2流体が導入される複数個の第2流体導入路の群と、前記第1流体導入路及び前記第2流体導入路の先端が二方向に分岐してなる第1分岐路の群と、前記第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第1合流路の群と、第n−1合流路(n=2,3,…)の先端が二方向に分岐してなる第n分岐路の群と、前記第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第n合流路の群と、終端に位置する前記第n合流路を延長し前記混合流体を導出する混合流体導出路の群と、前記第1分岐路の群のうち前記第1流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第1流路板と、前記第1分岐路の群のうち前記第2流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第2流路板とを備え、第n−1分岐路(n=2,3,…)、その一方の先端に連結する第n−1合流路(n=2,3,…)及び第n分岐路は前記第1流路板又は前記第2流路板のいずれかのものに設けられ、第n−1分岐路(n=2,3,…)の他方の先端に連結する第n−1合流路(n=2,3,…)及び第n分岐路は前記第1流路板及び前記第2流路板のうちこの第n−1分岐路が設けられているものとは異なるものに設けられていることを特徴とする。
かかる構成により本発明は、第1流体及び第2流体が導入される導入路がそれぞれ複数存在することにより、二種類の流体の混合を、並列配置される複数の合流路において、同時処理することができる。そして並列配置される複数の合流路が、分岐路を介し、さらに直列方向にn段構成されることになる。そして流体は、この各段における合流路を通過するたびに分岐され、分岐された半分の流体は、並列方向に隣り合い同じく分岐された半分の流体に合流し、これを繰り返すことになる。これにより、直列方向の段数を増加させなくても流体の混合の度合いを高めることができ、また直列方向の段数が少なくてすむために流体の流動に伴う圧力損失を低減することができる。さらに、並列配置される複数の第1流体及び第2流体の導入路を増加させることが容易な構成であるために、第1流体及び第2流体の入力量を容易に向上させることができる。
また、第1流体、第2流体及びこれらの混合流体が流れる流路は、高密度で形成することが容易でかつ二枚又は三枚の基板上に形成することが可能であるので、占有体積を小さくかつ比表面積を大きく構成することができる。
本発明によれば、高度に均一化された混合流体を高い生産性で製造するとともに、小型でかつ優れた温度制御性を備えた流体混合装置を提供することができる。
(第1実施形態)
図1から図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示される分解斜視図のように、第1実施形態の流体混合装置10は、配送板50に第1流路板30及び第2流路板40が積層されて構成されている。
このように構成される流体混合装置10は、配送板50の入力路51,52から第1流体及び第2流体を入力し、流路板30,40に形成される流路31,42(適宜図2参照)を流動させることによりこれらを混合し、配送板50の出力路54から混合流体として出力するものである。
第1流路31は、第1流路板30の片面(図中下面)に溝状に刻設されているものであり、第2流路42は、第2流路板40の片面(図中上面)に溝状に刻設されているものである。そして、第1流路板30及び第2流路板40がこれら流路が刻設されている片面同士で面接触していることにより、第1流体及び第2流体が流動して両者が混合される流路(適宜図2参照)が形成されることになる。
また、第1流路板30には、第1流路31を包囲するようにして封止溝33が刻設され、第2流路板40には、第2流路42を包囲するようにして封止溝43が刻設されている。これにより、これら封止溝33,43に封止部材25を係入することにより、第1流路31及び第2流路42を流動する流体が外部に漏洩することが防止される。
また、配送板50にも、第2流路板40との間に配設する封止部材(図示せず)を係入させる封止溝53,53が刻設されている。この封止溝53,53は、第1流体が通過する第1分割孔57の群、第2流体が通過する第2分割孔58の群、混合流体が通過する第3分割孔59の群をそれぞれ包囲するようにして刻設されている。これにより、第1流体、第2流体及び混合流体が、配送板50及び第2流路板40の接触面にて外部漏洩するのを防止するとともに、相互に混入することも防止される。
また、第1流路板30、第2流路板40及び配送板50の周縁には、これらを積層して固定する締結部材(図示略)を係入するための締結孔35,45,55が設けられている。さらに、位置決孔36,46,56が設けられ、第1流路31、第2流路42及び分割孔57,58,59が規定通りに位置決めされる(適宜図2参照)。
これらの第1流路板30、第2流路板40及び配送板50の材質は、金属、シリコン、ガラス、プラスチック材料等、流体に合わせて適宜選択することができる。また、流路31,42の流路幅、深さなどの寸法は数十μmから数mm程度が望ましく、そのような加工は、エッチングや機械加工などの方法を適宜選択することが可能である。
ところで、本実施形態に示す流体混合装置10は、図示されるように流路31,42が二次元平面に展開されるものであるので、図示されるように板状で比表面積が大きい構成をとるために温度制御性に優れる特徴を有する。
このため、本実施形態に示す流体混合装置10を化学反応器として使用する場合などにおいて、その温度制御を実施する場合には、流体混合装置10の全体を恒温槽(図示せず)に設置したり、上下の平面上にヒータ、ペルチエ素子又は温水ジャケット(図示せず)などの温調手段を設置したりする。
次に図2を参照して説明を続ける。
図2に示される平面図は、第1実施形態に係る流体混合装置10の上面視方向から見込んだ流路の構成を示すものであって、第1流路31及び第2流路42を重ね合わせたものである。また図2に示される流路31,42は、流体が流動する直列方向に、分岐路13,15,17,19及び合流路14,16,18,20の組み合わせが複数段(図では12段)形成され、この直列方向に直交する並列方向に第1流体導入路11及び第2流体導入路12の組み合わせが複数列(図では4列)形成されているものが例示されている。
第1流体導入路11(11,11,…11)は、配送板50(図1参照)の第1分割孔57から第1流体が導入されるものであって、この第1流体が流動する方向に対し直交する方向に複数個(図中4個)が並列配置した群をなしている。
第2流体導入路12は、配送板50(図1参照)の第2分割孔58から第2流体が導入されるものであって、第1流体導入路11と交互に配列され複数個(図中4個)の群をなしている。
第1分岐路13は、第1流体導入路11の先端が第1流体の流動方向に向かって二方向に分岐してなるもの、第2流体導入路12の先端が第2流体の流動方向に向かって二方向に分岐してなるものであって、これらが交互に並列配置して群をなしている。
第1合流路14は、第1分岐路13の二つある先端のうち一方の先端が他(隣り)の第1分岐路13の他方の先端に合流してなるものであって、その複数が交互に並列配置して群をなしている。
第2分岐路15は、第1合流路14の先端が、流体の流動方向に向かって二方向に分岐してなるものであって、その複数が並列配置して群をなしている。
第2合流路16は、第2分岐路15の二つある先端のうち一方の先端が他(隣り)の第2分岐路15の他方の先端に合流してなるものであって、その複数が並列配置して群をなしている。
このように、第1分岐路13の群と第1合流路14の群との組み合わせを第1段、第2分岐路15の群と第2合流路16の群との組み合わせを第2段のように定義した場合、流路31,42は、直列に接続される任意の段数(第n段)から構成されることになる。
ここで、第n段における第n分岐路19は、第n−1合流路18(n=2,3,…)の先端が二方向に分岐してなるものであって、その複数が並列配置して群をなしている。
そして、第n合流路20は、第n分岐路19の二つある先端のうち一方の先端が他(隣り)の第n分岐路19の他方の先端に合流してなるものであって、その複数が交互に並列配置して群をなしている。
混合流体導出路21は、流体の流動方向の終端(最終段)に位置する第n合流路20が延長してなるものであって、第1流体及び第2流体が各段において合流と分岐を複数回(n回)繰り返してなる混合流体を導出する部位であって、配送板50(図1参照)の第3分割孔59に連結している。
次に図3を参照して説明を続ける。
図3(a)に示される平面図は、第1流路板30を、流体混合装置10(図1参照)の上面視方向から臨むものであって、破線で示される第1流路31及び封止溝33はその反対面に刻設されている。図3(b)に示される平面図は、第2流路板40を、流体混合装置10の上面視方向から臨むものであって、実線で示される流路及び封止溝43はその面に刻設されている。
第1流路板30には、第1分岐路13の群(図2参照)のうち第1分岐路13Aが、第1流体導入路11Aから分岐して設けられている。そして、第1流路板30には、第n−1分岐路17A(n=2,3,…)、その一方の先端に連結する第n−1合流路18A(n=2,3,…)及び第n分岐路19Aが設けられている。また第1流路板30における第n−1分岐路17Aの他方の先端に連結するものは、第2流路板40に設けられている第n−1合流路18B(n=2,3,…)及び第n分岐路19Bとなっている。
第2流路板40には、第1分岐路13の群(図2参照)のうち第2流体導入路12Bから分岐する第1分岐路13Bが設けられている。そして、第2流路板40には、第n−1分岐路17B(n=2,3,…)、その一方の先端に連結する第n−1合流路18B(n=2,3,…)及び第n分岐路19Bが設けられている。また第2流路板40における第n−1分岐路17Bの他方の先端に連結するものは、第1流路板30に設けられている第n−1合流路18A(n=2,3,…)及び第n分岐路19Aとなっている。
図3(c)に示される平面図は、配送板50を、流体混合装置10(図1参照)の上面視方向から臨むものであって、実線で示される分割孔57,58,59はその面に開口するものであって、封止溝53もその面に刻設されている。
第1流体入力路51は、配送板50の第1分割孔57及び第2流路板40の通過孔47Bを介して第1流路板30上の第1流体導入路11Aの群に連通するものである。そして、配送板50の側面に開口する第1流体入力路51の開口端から第1流体を入力すると、この第1流体が、第1流体導入路11Aに導入されるようになっている。
第2流体入力路52は、配送板50の第2分割孔58を介して第2流路板40上の第2流体導入路12Bの群に連通するものである。そして、配送板50の側面に開口する第2流体入力路52の開口端から第2流体を入力すると、この第2流体が、第2流体導入路12Bに導入されるようになっている。
混合流体出力路54は、配送板50の第3分割孔59を介して第2流路板40上の混合流体導出路21Bの群に連通するとともに、通過孔49Bを介して第1流路板30上の混合流体導出路21Aの群に連通するものである。そして、第1流体及び第2流体が流路31,42を流動してなる混合流体は、この混合流体出力路54から出力されるようになっている。
このように、第1流体及び第2流体を流動させて混合流体にする流路31,42は、最小で2枚の流路板を積層させて構成すことが可能である。またこれら流路31,42は、流動する流体の曲率が小さな状態で互いに合流/分岐を繰り返すため、流体の圧力損失が小さく大流量で流動することが容易である。また平板面上に流路が二次元に展開するため、熱の授受面積が大きく、熱の制御性に優れる特徴を有する。
次に図4を参照して、第1実施形態に係る流体混合装置の動作の説明を行う。
図4(a)は図2のうち第1分割孔57,第2分割孔58を含む部分の拡大図である。そして、図4(b)は図4(a)のうちY1,Y2方向の断面図である。また図4(c)は図4(a)のうちX1,X2,X3,X4方向の断面図である。
まず、第1分割孔57,57から導入された第1流体は、第1流体導入路11A,11Aを直列方向に流動する(第1流体入力段階)。同時に、第2分割孔58から導入された第2流体は、第2流体導入路12Bを直列方向に流動する(第2流体入力段階)。
次に、第1流体導入路11A,11Aを流れる第1流体が第1分岐路13A,13Aで二方向に分岐して流動すると同時に第2流体導入路12Bを流れる第2流体が第1分岐路13Bで二方向に分岐して流動する(第1分岐段階)。
この第1分岐段階では、図4(b)のY1,Y2断面及び図4(c)のX1断面に示されるように、第1流体及び第2流体が互いに混合することなく第1分岐路13A,13Bで分岐され流動している。
そして、第1分岐路13Aにおける第1流体の二方向に分岐した流体のうち一方が、第2流体導入路12Bにおける第2流体の二方向に分岐した流体のうち他方に合流し、第1合流路14A,14Bを直列方向に流動する(第1合流段階)。
この第1合流段階では、図4(b)のY1,Y2断面及び図4(c)のX2断面に示されるように、第1分岐路13Aを流動する第1流体と、第1分岐路13Bを流動する第2流体とが、層流状態を維持したまま第1合流路14A,14Bで合流し二層流体になる。
次に、前記した第n−1合流段階(n=2)で合流した二層流体のそれぞれがさらに第n分岐路15A,15B(n=2)において二方向に分岐する(第n分岐段階)。
この第n分岐段階(n=2)では、図4(b)のY1,Y2断面及び図4(c)のX3断面に示されるように、前記した二層流体がその層状態を維持したまま第2分岐路15A,15Bで分岐され流動している。
さらにこの二方向に分岐した流体のうち一方が他の二方向に分岐した流体のうち他方に合流し、第n合流路16A,16B(n=2)を直列方向に流動する(第n合流段階)。
この第n合流段階(n=2)では、図4(b)のY1,Y2断面及び図4(c)のX4断面に示されるように、第2分岐路15Aを流動する二層流体と、第2分岐路15Bを流動する二層流体とが、その層流状態を維持したまま第2合流路16A,16Bで合流し四層流体になる。
そして、前記した第n分岐段階及び第n合流段階をさらに複数段階(n=3,4…)繰り返すことで、第1流体と第2流体とはそれぞれが薄く交互に積層する多層流体となって混合が進行することになる。このように、分岐と合流とが交互にn回繰り返されることで流体の多層化は2のn乗となる。
最後に、前記した第n合流段階のうち最終段階で得られるものを混合流体として導出路21(図2参照)から導出する(混合流体導出段階)。このようにして、第1流体と第2流体とを混合させることにより、流体の流動に伴う圧力損失を増大させることなく短時間のうちにマイクロメーターオーダーで均一化された混合流体を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、図5から図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の流体混合装置10を構成する部材のうちすでに第1実施形態において説明したものと構成及び作用が同一のものについては、図中同一の符号を付すとともに、すでに行った説明を援用して詳細な説明の記載を省略することとする。
図5に示される分解斜視図のように、第2実施形態の流体混合装置10は、配送板50に第1流路板30、第2流路板40及び第3流路板60が積層されて構成されている。
このように構成される流体混合装置10は、配送板50の入力路51,52から第1流体及び第2流体を入力し、流路板30,40,60に形成される流路31,42,63(適宜図6参照)を流動させることによりこれらを混合し、配送板50の出力路54から混合流体として出力するものである。
図6に示される平面図は、第2実施形態に係る流体混合装置10(図5参照)の上面視方向から見込んだ流路の構成を示すものであって、第1流路31、第2流路42及び第3流路63を重ね合わせたものである。
なお、図6に示される流路31,42,63の詳細な説明は、すでに図2を参照して行った説明と同じであるので、その説明を援用して記載を省略する。
次に図7を参照して説明を続ける。
図7(a)に示される平面図は、第1流路板30を、流体混合装置10(図5参照)の上面視方向から臨むものであって、破線で示される第1流路31及び封止溝33はその反対面に刻設されている。図7(b)に示される平面図は、第3流路板60を、流体混合装置10(図5参照)の上面視方向から臨むものであって、実線で示される流路は貫通孔であって封止溝61,62は両面に刻設されている。図7(c)に示される平面図は、第2流路板40を、流体混合装置10(図5参照)の上面視方向から臨むものであって、実線で示される第2流路42及び封止溝43はその面に刻設されている。
第1流路板30には、第1分岐路13の群(図6参照)のうち第1分岐路13Aが、第3流路板60に設けられている第1流体導入路11Bから分岐するようにして設けられている。そして、第1流路板30には、第n−1分岐路17A(n=2,3,…)及びその一方の先端に連結する第n分岐路19Aが設けられている。また第1流路板30における第n−1分岐路17A(n=2,3,…)の他方の先端に連結するものは、第2流路板40に設けられている第n分岐路19Cとなっている。そして、第n−1分岐路17A,第n−1分岐路17C及び第n分岐路19Aは、第3流路板60に設けられている第n−1合流路18Bにより連結されている。
第2流路板40には、第1分岐路13の群(図6参照)のうち第2流体導入路12Bから分岐する第1分岐路13Cが設けられている。そして、第2流路板40には、第n−1分岐路17C(n=2,3,…)及びその一方の先端に連結する第n分岐路19Cが設けられている。また第2流路板40における第n−1分岐路17Cの他方の先端に連結するものは、第1流路板30に設けられている第n分岐路19Aとなっている。そして、第n−1分岐路17A,第n−1分岐路17C及び第n分岐路19Aは、第3流路板60に設けられている第n−1合流路18Bにより連結されている。
第2流路板40に設けられている通過孔47Cは、第3流路板60上の第1流体導入路11Bの群と配送板50(図5参照)の第1分割孔57とを連通させるものである。また通過孔48Cは、第3流路板60上の第2流体導入路12Bの群と配送板50(図5参照)の第2分割孔58とを連通させるものである。そして、通過孔49Cは、第3流路板60上の混合流体導出路21の群と配送板50(図5参照)の第3分割孔59とを連通させるものである。
このようにして、第1流体及び第2流体を流動させて混合流体にする流路31,42,63は、3枚の流路板を積層させて構成されることになる。
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る流体混合装置の動作の説明を行う。
図8(a)は図6のうち第1分割孔57,第2分割孔58を含む部分の拡大図である。そして、図8(b)は図8(a)のうちY1,Y2方向の断面図である。また図8(c)は図8(a)のうちX1,X2,X3,X4方向の断面図である。
まず、第1分割孔57,57から導入された第1流体は、第1流体導入路11B,11Bを直列方向に流動する(第1流体入力段階)。同時に、第2分割孔58から導入された第2流体は、第2流体導入路12Bを直列方向に流動する(第2流体入力段階)。
次に、第1流体導入路11B,11Bを流れる第1流体が第1分岐路13A,13Aで二方向に分岐して流動すると同時に第2流体導入路12Bを流れる第2流体が第1分岐路13Cで二方向に分岐して流動する(第1分岐段階)。
この第1分岐段階では、図8(b)のY1,Y2断面及び図8(c)のX1断面に示されるように、第1流体及び第2流体が互いに混合することなく第1分岐路13A,13Cで分岐され流動している。
そして、第1分岐路13Aにおける第1流体の二方向に分岐した流体のうち一方が、第1分岐路13Cにおける第2流体の二方向に分岐した流体のうち他方に合流し、第1合流路14Bを直列方向に流動する(第1合流段階)。
この第1合流段階では、図8(b)のY1,Y2断面及び図8(c)のX2断面に示されるように、第1分岐路13Aを流動する第1流体と、第1分岐路13Cを流動する第2流体とが、第1合流路14Bの末端で正面衝突を起こして合流するために、この第1合流路14Bで旋回流を伴う旋回流体になる。
次に、前記した第n−1合流段階(n=2)で合流した旋回流体のそれぞれがさらに第n分岐路15A,15C(n=2)において二方向に分岐する(第n分岐段階)。
この第n分岐段階(n=2)では、図8(b)のY1,Y2断面及び図8(c)のX3断面に示されるように、前記した旋回流体がその旋回流を伴ったまま第2分岐路15A,15Cで分岐され流動している。
さらにこの二方向に分岐した流体のうち一方が他の二方向に分岐した流体のうち他方に合流し、第n合流路16B(n=2)を直列方向に流動する(第n合流段階)。
この第n合流段階(n=2)では、図8(b)のY1,Y2断面及び図8(c)のX4断面に示されるように、第2分岐路15Aを流動する旋回流体と、第2分岐路15Cを流動する旋回流体とが、第2合流路16Bの末端で正面衝突を起こして合流するのでこの第2合流路16Bでさらに複雑な旋回流体になる。
そして、前記した第n分岐段階及び第n合流段階をさらに複数段階(n=3,4…)繰り返すことで、第1流体と第2流体とはそれぞれが薄く交互に積層する旋回流体となって混合が進行することになる。
最後に、前記した第n合流段階のうち最終段階で得られるものを混合流体として導出路21(図6参照)から導出する(混合流体導出段階)。このようにして、第2実施形態においては、第1流体と第2流体とを合流/旋回/分割を繰り返して混合させることにより、第1実施形態の場合に比較してさらに細かく細分化された均質な混合流体を得ることができる。
以上記載した本実施形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、前記した流体混合装置10は、配送板50を配置して構成されるものであるが、この配送板50は必須の構成要素ではなく、第1流路31及び第2流路42にそれぞれ第1流体及び第2流体を直接送りこむ構成や、第3流路63に第1流体及び第2流体を直接送りこむ構成もとりうる。また実施形態では、積層した流路板を封止材で密閉し、締結部材で固定しているが、封止材を廃し流路板を接着・接合などの手法で密閉・固定してもよい。
さらに、本実施形態においては、流路31,42,63は、板材を刻設又は穿孔させることにより形成されているが、管状の配管で構成させる構成もとりうる。
また、混合流体の製造方法において、製造される混合流体の成分は二種類に限定されることはなく、複数成分を予め所定比率でブレンドしたものを第1流体及び第2流体として入力することにより、三種類以上の成分が混合した混合流体を製造することができる。
本発明に係る流体混合装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。 第1実施形態に係る流体混合装置に設けられている流路の構成を上面視により示した平面図である。 第1実施形態に係る流体混合装置において、(a)は第1流路板を、(b)は第2流路板を、(c)は配送板を、上面視により示した平面図である。 第1実施形態に係る流体混合装置において、(a)は図2の部分拡大図であって、(b)は図4(a)のY方向断面図であって、(c)は図4(a)のX方向断面図である。 本発明に係る流体混合装置の第2実施形態を示す分解斜視図である。 第2実施形態に係る流体混合装置に設けられている流路の構成を上面視により示した平面図である。 第2実施形態に係る流体混合装置において、(a)は第1流路板を、(b)は第3流路板を、(c)は第2流路板を、上面視により示した平面図である。 第2実施形態に係る流体混合装置において、(a)は図6の部分拡大図であって、(b)は図8(a)のY方向断面図であって、(c)は図8(a)のX方向断面図である。
符号の説明
10 流体混合装置
11,11A,11B 第1流体導入路
12,12B 第2流体導入路
13,13A,13B,13C 第1分岐路(分岐路)
14,14A,14B 第1合流路(合流路)
15,15A,15B,15C 第2分岐路(分岐路)
16,16A,16B, 第2合流路(合流路)
17A,17B,17C 第n−1分岐路(分岐路)
18,18A,18B 第n−1合流路(合流路)
19,19A,19B,19C 第n分岐路(分岐路)
20 第n合流路(合流路)
21,21A,21B 混合流体導出路(導出路)
30 第1流路板(流路板)
31 第1流路(流路)
40 第2流路板(流路板)
42 第2流路(流路)
50 配送板
51 第1流体入力路(入力路)
52 第2流体入力路(入力路)
54 混合流体出力路(出力路)
60 第3流路板(流路板)
63 第3流路(流路)

Claims (3)

  1. 第1流体と第2流体とを混合して混合流体にする流体混合装置において、
    前記第1流体が導入されるm個(m=2,3,…)の第1流体導入路の群と、
    前記第1流体導入路と交互に配列され前記第2流体が導入される複数個の第2流体導入路の群と、
    前記第1流体導入路及び前記第2流体導入路の先端が二方向に分岐してなる第1分岐路の群と、
    前記第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第1合流路の群と、
    第n−1合流路(n=2,3,…)の先端が二方向に分岐してなる第n分岐路の群と、
    前記第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第n合流路の群と、
    終端に位置する前記第n合流路を延長し前記混合流体を導出する混合流体導出路の群と、
    前記第1分岐路の群のうち前記第1流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第1流路板と、
    前記第1分岐路の群のうち前記第2流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第2流路板とを備え、
    第n−1分岐路(n=2,3,…)、その一方の先端に連結する第n−1合流路(n=2,3,…)及び第n分岐路は前記第1流路板又は前記第2流路板のいずれかのものに設けられ、
    第n−1分岐路(n=2,3,…)の他方の先端に連結する第n−1合流路(n=2,3,…)及び第n分岐路は前記第1流路板及び前記第2流路板のうちこの第n−1分岐路が設けられているものとは異なるものに設けられていることを特徴とする流体混合装置。
  2. 第1流体と第2流体とを混合して混合流体にする流体混合装置において、
    前記第1流体が導入されるm個(m=2,3,…)の第1流体導入路の群と、
    前記第1流体導入路と交互に配列され前記第2流体が導入される複数個の第2流体導入路の群と、
    前記第1流体導入路及び前記第2流体導入路の先端が二方向に分岐してなる第1分岐路の群と、
    前記第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第1分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第1合流路の群と、
    第n−1合流路(n=2,3,…)の先端が二方向に分岐してなる第n分岐路の群と、
    前記第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端が別の流体導入路に設けられた第n分岐路の二つある先端のうち一方の先端に合流してなる第n合流路の群と、
    終端に位置する前記第n合流路を延長し前記混合流体を導出する混合流体導出路の群と、
    前記第1分岐路の群のうち前記第1流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第1流路板と、
    前記第1分岐路の群のうち前記第2流体導入路から分岐する第1分岐路が設けられる第2流路板とを備え、
    第n−1分岐路(n=2,3,…)及びその一方の先端に連結する第n分岐路は前記第1流路板又は前記第2流路板のいずれかのものに設けられ、
    第n−1分岐路(n=2,3,…)の他方の先端に連結する第n分岐路は前記第1流路板及び前記第2流路板のうちこの第n−1分岐路が設けられているものとは異なるものに設けられ、
    前記第n分岐路及び第n−1分岐路を連結する第n−1合流路が設けられる第3流路板が備えられていることを特徴とする流体混合装置。
  3. 請求項又は請求項に記載の流体混合装置において、
    前記第1流体導入路の群に連通し前記第1流体を入力する第1流体入力路と、
    前記第2流体導入路の群に連通し前記第2流体を入力する第2流体入力路と、
    前記混合流体導出路の群に連通し前記混合流体を出力する混合流体出力路と、を有する配送板を備え、
    前記配送板に前記第1流路板及び第2流路板が積層されて構成されることを特徴とする流体混合装置。
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