JP4466642B2 - 3−5族化合物半導体の製造方法 - Google Patents

3−5族化合物半導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は化合物半導体の製造方法に係り、特に3族元素と5族元素とからなる3−5族化合物半導体の製造方法に関する。
発光ダイオードやレーザダイオード等の発光デバイスや電子デバイスの作製に、GaAs、AlGaAs、AlGaInP、GaInAsP等の3−5族化合物半導体が広く用いられている。これらのデバイスに用いる化合物半導体は、液相エピタキシャル法や有機金属気相成長法(以下、MOCVD法という)、分子線エピタキシー法等を用いて成長される。最近では特にMOCVD法が広く用いられている。
MOCVD法は、原料として有機金属ガスと水素化物ガスとをリアクタに供給し、リアクタの内部に置かれた支持体を加熱しながら、この支持体の上に載置された基板結晶上に化合物半導体を成長させる方法である。
発光デバイスや電子デバイス等を得るには、基板上に同種又は異種の化合物半導体を複数連続して成長させる必要がある。例えば、AlGaInPを用いた発光ダイオードの場合、n型GaAs基板上にn型GaAsからなるバッファ層、n型AlGaInPからなる下部クラッド層、n型AlGaInPからなる活性層、p型AlGaInPからなる上部クラッド層、p型AlGaAs又はp型GaPからなる電流拡散層等を連続して成長させる。
このような積層構造のデバイスを製造する場合、基板上に成長された積層構造のウエハの表面のモフォロジーが悪くなるという問題が発生することがある。すなわち、積層構造の内部で結晶欠陥が発生し、さらにこれを起点とし欠陥がウエハの表面にまで到達してピットやヒロック(成長丘)を形成することがある。これらの結晶欠陥はデバイス効率の低下や電気的特性の劣化を引き起こし、デバイス作製における歩留まり低下の原因となる。
したがって、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであって、良質な結晶性を有する化合物半導体の製造方法を提供するものである。
本発明は、リアクタの中の支持体の上に3−5族化合物半導体からなる基板を載置する第一の工程と、前記基板上に有機金属気相成長法により3−5族化合物半導体を成長させる第二の工程とを含む3−5族化合物半導体の製造方法であって、前記第一の工程の前に、前記基板に含まれる5族元素と同種の5族元素を含む化合物半導体をリアクタの内壁及び支持体の上に堆積させる第三の工程を備えることを特徴とする3−5族化合物半導体の製造方法である。この構成により、基板とその上に接して最初に成長させる化合物半導体との界面における結晶欠陥の発生を抑制することができるという作用を有する。
本発明によれば、基板とその上に接して最初に成長させる化合物半導体との界面における結晶欠陥の発生を抑制することができるので、これらの化合物半導体の積層構造を用いた発光デバイスや電子デバイスの製造歩留まりを向上させることができるという優れた効果が得られる。
請求項1に記載の発明は、リアクタの中の支持体上に3−5族化合物半導体からなる基板を載置し、前記基板上に有機金属気相成長法により3−5族化合物半導体の積層構造を成長させ、3−5族化合物半導体を繰り返し製造する製造方法において、リアクタの中の支持体上に載置した基板上に所望の化合物半導体を成長させる第一の工程と、連続して前記基板に含まれる5族元素と同じ5族元素を含む化合物半導体を前記積層構造の最表面の層として成長させるとともにリアクタの内壁及び支持体の上に堆積させる第二の工程と、リアクタから化合物半導体を成長させた前記基板を取り出し、前記最表面の層を除去する第三の工程と、基板を取り出した後のリアクタの中の支持体上に3−5族化合物半導体からなる新たな基板を載置する第四の工程と、を備えることを特徴とする3−5族化合物半導体の製造方法である。この構成により3−5族化合物半導体の製造を継続的に行うことができるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1に本発明の一実施の形態に係る化合物半導体の製造方法を実施するための結晶成長装置の概略図を示す。結晶成長装置100は、リアクタ101と原料ガス11の供給系102と排気系103とを有する。リアクタ101の内部にはウエハを載置させる支持体1が設けられており、支持体1の上にGaAs等からなる基板2が載置されている。支持体1はグラファイト等の熱伝導率の高い材料を用いて形成され、結晶の成長時には支持体1の下部に設けられたヒーター3により約400℃から約1000℃程度の高温に加熱される。リアクタ101は、このような高温に耐えられるように選択された石英やステンレス、モリブデン等の材料を用いた部品により構成されている。
結晶成長時には、原料ガス供給系102より所望の化合物半導体を得るための原料ガス11をリアクタ101へ供給する。リアクタ101の内部では、ヒーター3により加熱されて高温に保持された支持体1とその上に載置された基板2により原料ガスが分解され、支持体1の上に堆積するとともに基板2の上に所望の化合物半導体が成長する。支持体1上への堆積または基板2への成長に用いられなかった余剰の原料ガス12は、排気系103へと送られる。
ここで、本発明の請求項1記載の発明の特徴は、所望の化合物半導体の成長に際し、基板に含まれる5族元素と同種の5族元素を含む化合物半導体を予めリアクタの内壁及び支持体の上に堆積させることとしたことである。また、基板に含まれるドーパントと同種のドーパントをさらに含む化合物半導体を予めリアクタの内壁及び支持体の上に堆積させることとしたことである。
図2は図1に示す本発明の一実施の形態に係る方法を実施するための結晶成長装置のリアクタ内部の一部を示す概略断面図である。リアクタ101の内部および支持体1の上には、一回前の結晶成長において堆積した化合物半導体の堆積物31が残存しているのが通常である。
ここで、支持体1の上に基板2を載置し化合物半導体21を成長させようとすると、支持体の温度を室温から約400℃〜1000℃の結晶成長温度に上昇させる過程でリアクタの内壁及び支持体の上の堆積物31が熱により再び分解してガス状となり、基板2の表面を汚染すると考えられる。これにより、基板2の上に最初に成長される化合物半導体21と基板2との界面で汚染に起因する結晶欠陥が生じることとなる。このような現象は、堆積物31と基板2とを構成する元素が異なる場合に特に顕著となる傾向がある。
本発明のように、所望の化合物半導体の成長に際し、予め基板を構成する元素と同じ化合物半導体を堆積させ、これによってリアクタの中に残存する堆積物を被覆すると、被覆した新たな堆積物を構成する元素と基板を構成する元素が同じであるので、所望の化合物半導体を成長させる際の昇温過程で堆積物が分解してガス状となっても、基板を構成する元素とほぼ同一であるので基板の表面を汚染することがなく、良質な表面を維持したまま結晶成長を開始することができる。
さらに、予め堆積させる化合物半導体に成長のための基板に含まれるドーパントと同種のドーパントを含ませると、所望の化合物半導体を成長させる際の昇温過程で堆積物から分解してガス化するドーパントが基板に含まれるドーパントと同種であるので、基板の表面からのドーパントの離脱による空孔、置換原子等の結晶欠陥の形成が抑制されるため、良質な基板表面の維持がより一層効果的となる。
(実施例1)
以下、AlGaInPを用いた発光ダイオードの製造方法を例にとり本発明の実施例を説明する。化合物半導体を用いた発光ダイオード等の積層構造の成長後、リアクタにSi、GaAs、サファイア等からなるダミーウエハを導入し、支持体の上にダミーウエハを載置する。ヒーターを用いて支持体とその上に載置したダミーウエハとを加熱し、AsH3ガスを流しながら結晶成長温度(例えば、650℃)にまで温度を上昇させる。次に、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)を流し始め、結晶成長を開始する。約1μm程度成長させた後、TMGの供給を止め、温度を降下させる。約400℃以下になった時点でAsH3ガスの供給を止める。さらに室温程度にまで温度を降下させた後、リアクタからダミーウエハを取り出す。以上の工程により、リアクタの内壁および支持体の表面ならびにダミーウエハの上にはGaAsからなる堆積物が堆積される。
次に、ドーパントとしてSiを含むn型GaAsからなる基板をリアクタに導入し、支持体の上に載置する。ヒーターを用いて支持体とその上に載置した基板とを加熱し、AsH3を流しながら結晶成長温度(例えば、650℃)にまで温度を上昇させる。次に、原料ガスとしてTMGとSiH4ガスを流し始め、SiドープGaAsからなるn型バッファ層を約1μmの厚さに成長させる。
原料ガスの供給を止めることによりn型バッファ層の成長を止めた後、引き続き原料ガスとしてTMG、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、PH3ガスおよびSiH4ガスを流し始め、SiドープAl0.35Ga0.15In0.5Pからなるn型クラッド層を約1μmの厚さに成長させる。
原料ガスの供給を止めることによりn型クラッド層の成長を止めた後、同様にしてアンドープAl0.1Ga0.4In0.5Pからなる活性層およびZnドープAl0.35Ga0.15In0.5Pからなるp型クラッド層をそれぞれ約0.5μmおよび約1μmの厚さに連続して成長させる。ここで、Znの原料ガスとしてはジメチル亜鉛(DMZ)を用いる。
原料ガスの供給を止めることによりp型クラッド層の成長を止めたのち、引き続き原料ガスとしてTMG、TMA、DMZおよびAsH3ガスを流し始め、ZnドープAl0.7Ga0.3Asからなるp型電流拡散層を約7μmの厚さに成長させる。
AsH3ガスを除く原料ガスの供給を止めることによりp型電流拡散層の成長を止めた後、AsH3ガスを流しながら温度を降下させる。室温程度になったらAsH3ガスの供給を止め十分に排気した後、リアクタから基板を取り出す。
このようにして得られた発光ダイオードの積層構造のウエハの表面の欠陥密度を測定したところ800/cm2であった。これに対し、本発明の方法を用いずに連続して発光ダイオードの積層構造を成長させたウエハの欠陥密度は11000/cm2であり、本発明の方法を用いた場合に比べ約14倍多かった。
さらに、発光ダイオードのウエハを通常の方法によりチップにして出力を評価したところ、本発明の方法を用いた場合、本発明の方法を用いない場合に比して約5倍高い出力が得られた。
(実施例2)
化合物半導体を用いた発光ダイオード等の積層構造の成長後、リアクタにSi、GaAs、サファイア等からなるダミーウエハを導入し、支持体の上にダミーウエハを載置する。ヒーターを用いて支持体とその上に載置したダミーウエハとを加熱し、AsH3ガスとSiH4ガスを流しながら結晶成長温度(例えば、650℃)にまで温度を上昇させる。次に、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)を流し始め、結晶成長を開始する。約1μm程度成長させた後、TMGの供給を止め、温度を降下させる。約400℃以下になった時点でAsH3ガスとSiH4ガスの供給を止める。さらに室温程度にまで温度を降下させた後、リアクタからダミーウエハを取り出す。以上の工程により、リアクタの内壁および支持体の表面ならびにダミーウエハの上にはSiを含むGaAsからなる堆積物が堆積される。
この後、実施例1と同様にして発光ダイオードの積層構造を成長させた。得られたウエハの表面の欠陥密度を測定したところ760/cm2であった。さらに、発光ダイオードのチップとして出力を評価したところ、実施例1のものとほぼ同等であった。
(実施例3)
上記実施例2において、ドーパントとしてSiを含むGaAsからなる堆積物を堆積させる工程に代えて、化合物半導体を用いた発光ダイオード等の積層構造の成長後に連続してドーパントとしてSiを含むn型GaAsを当該積層構造の最表面の層として成長させる。この後、実施例2と同様にして成長させた発光ダイオードの積層構造の結晶欠陥密度は、実施例1とほぼ同等であり、さらに発光ダイオードの出力も実施例1のものとほぼ同等であった。
本実施例のように発光ダイオード等の積層構造の最表面の層として基板と同種の5族元素及びドーパントを含む3−5族化合物半導体を成長させた場合には、この後の工程においてエッチング等により3−5族化合物半導体を除去することにより、通常の場合と同様にして発光ダイオード等を作製することができる。
このようにして、本発明の請求項1記載の発明を用いて継続的に3−5族化合物半導体の製造を実施すると、3−5族化合物半導体の堆積の工程で必要なダミーウエハを導入する必要がなくなる。
なお、ここでは、ドーパントとしてSiを含むn型GaAs基板の上にGaAsからなるバッファ層を成長させ、その上に積層構造を形成する場合に成長前にドーパントとしてSiを含むGaAsをリアクタ内部に堆積させる実施の態様について示したが、InP基板の上にInGaAsPからなる層またはInGaAsからなる層を成長させる場合には成長前にInPまたはInGaAsPを、GaAsP基板の上にGaAsPからなる層を成長させる場合には成長前にGaAsPをリアクタ内部に堆積しても良く、本発明の思想の範囲内である。その他本発明の思想を逸脱しない範囲で種々変形しても良い。
3族元素と5族元素とからなる3−5族化合物半導体の製造方法に有用である。
本発明の一実施の形態に係る化合物半導体の製造方法を実施するための結晶成長装置の概略図 図1に示す本発明の一実施の形態に係る方法を実施するための結晶成長装置のリアクタ内部の一部を示す概略断面図
符号の説明
1 支持体
2 基板
3 ヒーター
11 原料ガス
12 余剰の原料ガス
21 化合物半導体
31 堆積物
100 結晶成長装置
101 リアクタ
102 原料ガス供給系
103 排気系

Claims (1)

  1. リアクタの中の支持体上に3−5族化合物半導体からなる基板を載置し、前記基板上に有機金属気相成長法により3−5族化合物半導体の積層構造を成長させ、3−5族化合物半導体を製造する製造方法において、リアクタの中の支持体上に載置した基板上に所望の化合物半導体の積層構造を成長させる第一の工程と、連続して前記基板に含まれるドーパントと同じドーパントを含み、かつ前記基板に含まれる5族元素と同じ5族元素を含む化合物半導体を前記積層構造の最表面の層として成長させるとともにリアクタの内壁及び支持体の上に堆積させる第二の工程と、リアクタから化合物半導体を成長させた前記基板を取り出し、前記最表面の層を除去する第三の工程と、基板を取り出した後のリアクタの中の支持体上に3−5族化合物半導体からなる新たな基板を載置する第四の工程と、を備え、第一の工程から第四の工程をこの順に繰り返して3−5族化合物半導体の積層構造を繰り返し製造することを特徴とする3−5族化合物半導体の製造方法。
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