以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図5に示すものは本発明に係るマッサージ機における機構ユニットで、この機構ユニットはたとえば図10に示す椅子9の背もたれ90内に配されて背もたれ90内を上下に自走するものであり、フレームを構成する左右の側板91,91間には上下駆動軸51と強弱駆動軸61とが架設されており、また図6に示すところの可動ユニットが両側板91,91間に配設されている。
上記の上下駆動軸51は、図7にも示すように、一方の側板91に固定された上下駆動用モータ50の出力がギアボックス52内のギア群を介して伝達されることで回転駆動されるものであり、その両端にはピニオン53ところ54とが夫々取り付けられている。ころ54は図5に示すころ55と共に上記背もたれ90内に配されたレール(図示せず)内を転動し、ピニオン53は上記レールに付設されたラック(図示せず)と噛合する。
上記の強弱駆動軸61は図8にも示すように他方の側板91に固定された強弱駆動用モータ60の出力がギアボックス62内のギア群を介して伝達されることで回転駆動されるものであり、その両端部には夫々上記可動ユニットを回転させるためのギア63,63が取り付けられている。
可動ユニットは、左右一対のギアプレート30,30間に幅駆動軸31と2本のスライドガイド軸32,32及びたたき駆動軸41を架設するとともに、左右一対の施療子ユニット1,1(図5及び図6では一方の施療子ユニット1のみを示している)を取り付けたもので、両ギアプレート30,30に対して軸回りの回転が自在となっている幅駆動軸31,31の両端が上記一対の側板91,91で支持されることで上記両側板91,91間に配設され、ギアプレート30,30の外周面の歯部300,300を上記のギア63,63に噛合させる。なお、幅駆動軸31の一端は、一方の側板91に取り付けた幅駆動用モータ35の出力がプーリ36及びベルト37を介して伝達されるプーリ38に連結されるものであり、このために幅駆動軸31は幅駆動用モータ35の出力で軸回りの回転を行う。
また可動ユニットにおける一方のギアプレート30上にはたたき駆動用のモータ40が取り付けられている。このモータ40の出力はプーリ42,44とベルト43とによって上記たたき駆動軸41に伝達される。なお、たたき駆動軸41は左右で偏心方向が異なるクランク軸として形成されている。
施療子ユニット1は、図9に示すように、施療子支持部材としてのアームベースプレート10と、たたき板11、施療子アーム12、第1アーム13、第2アーム14、ローラ型の2つの施療子1a,1b等からなるもので、アームベースプレート10は上記幅駆動軸31のねじ部に螺合する送りナット33と、上記スライドガイド軸32,32にスライド自在に嵌合するスライダー34,34とを備えて、幅駆動軸31の回転によって幅駆動軸31及びスライドガイド軸32の軸方向位置を変化させるものであり、また、幅駆動軸31に形成されたねじ部は、片側が逆ねじで形成されていることから、左右一対の施療子ユニット1における各アームベースプレート10は、幅駆動軸31の回転によって、互いに接近したり離れたりするものである。
そして上記たたき板11はアームベースプレート10に軸着され、たたき板11に施療子アーム12と第2アーム14とが軸100によって軸着され、施療子アーム12に第1アーム13が軸101によって軸着されている。また、たたき板11に設けた軸102と、クランク軸である前記たたき駆動軸41とがリンク45によって連結されている。
さらに2つの施療子1a,1bのうちの主施療子である施療子1aが先端部に取り付けられた第1アーム13と、副施療子である施療子1bが先端部に取り付けられた第2アーム14とが連動リンク15によって結合されている。また、アームベースプレート10と施療子アーム12から突出させた突片121とが揺動連動リンク19,18によって連結されている。尚、対をなす他方の施療子ユニット1は図示の施療子ユニット1の対称形となっている。
上下に並ぶ一対の施療子1a,1bに掴み動作を行わせる掴み駆動部は、エアによって伸縮動作を行うアクチュエータA1で構成されており、一対の受け板20,20と両受け板20,20間に配されたエアバッグ21とからなるアクチュエータA1は、一方の受け板20が上記揺動連動リンク18に、エアバッグカバーを備えた他方の受け板20が第2アーム14の先端部から突出させた突片141に夫々連結されて配設されている。揺動連動リンク18と突片141とを連結しているリニアスライトレール17は、アクチュエータA1を伸張させた時にエアバッグ21が座屈してしまうことを防ぐためのものである。
また、施療子ユニット1は、アクチュエータA1と同じく一対の受け板20,20と両受け板20,20間に配されたエアバッグ21とから構成されてエアによって伸縮動作を行うアクチュエータA2を備えている。このアクチュエータA2は、一方の受け板20が前記たたき駆動用のリンク45上に固定され、他方の受け板20が前記軸102によって回転自在に支持されたレバー16に取り付けられたもので、レバー16は施療子アーム12の後縁に接触するころ160を備えている。なお、図5中の95は上記アクチュエータA1,A2を作動させるためのエアポンプや電磁弁を納めたエア駆動ユニットである。
以上のように構成された機構ユニットの動作について説明すると、まず上下駆動用モータ50で上下駆動軸51を駆動する時、機構ユニットは前述の椅子の背もたれ内を上下に自走して施療子1a,1bの位置を上下に変更する。また、強弱駆動用モータ60で強弱駆動軸61を駆動すれば、強弱駆動軸61が備えるギア63がギアプレート30を幅駆動軸31の軸回りに回転させるために、ギアプレート30と一体にアームベースプレート10が回転するものであり、このために図14に示すように幅駆動軸11から見た施療子1aの背もたれ前方への突出量が小さい状態と、図4に示すように幅駆動軸11から見た施療子1aの前方突出量が大きい状態とを得ることができる。つまり、施療子1aの前方突出量を変化させることによる強弱調整を行うことができる。また、幅駆動用モータ35によって幅駆動軸31を回転させる時、前述のように左右一対の施療子ユニット1,1は幅方向(左右方向)において接近離反し、左右の施療子1a,1a、1b,1bの間隔を変更する。
ちなみにこのマッサージ機は、上記3つのモータ50,60,35による上記各動作を組み合わせることで、いわゆる探みマッサージを実現しているものであり、図32〜図34にその例を示す。各図(a)はモータの動作状態を、各図(b)は施療子1a,1bの幅方向及び上下方向の動きを、各図(c)は施療子1a,1bの前方突出方向及び上下方向の動きを示している。なお、このような駆動制御を可能とするために、上下位置センサーS2や幅位置センサーS1などのほか、図11に示すように、強弱位置、各モータの回転速度(回転角度)等を検出するセンサを設けて、フィードバック制御を行っている。図11中の8はマイクロコンピュータからなる制御部である。
たたき駆動用のモータ40でクランク軸であるたたき駆動軸41を回転させる時、リンク45がたたき板11を前後方向に揺動させるものであり、たたき板11に施療子アーム12とアーム13,14を介して取り付けられた施療子1aは、前後に細かく動くたたき動作を行う。
そしてアクチュエータA1を伸張させたならば、図15に示すように、施療子ユニット1の第2アーム14が押されて軸100を中心に回動すると同時に、連動リンク15によって第1アーム13が軸101を中心に逆方向に回動するものであり、このために各アーム13,14に設けられた施療子1a,1bは相互に接近して掴み動作を行う。特に施療子1aは軸100よりも前方側に位置している軸101を中心に回動する第1アーム13の先端に取り付けられているために、図15に示すように、強弱調整を強に設定した状態で肩を掴む時、施療子1aが肩を斜め前方側から人体の肩に当たって後方側に押し込み、施療子1bは人体背面を前方側に押し込むという動作を得ることができるものであり、このために肩を掴む(摘む)という動作をきわめて的確に行うことができる。なお、強弱調整を弱にした状態では、施療子1a,1bの前後方向位置はほぼ同じところとなるために、人体背面を上下から掴むという動作を得ることができる。
また、施療子ユニット1における第1アーム13を備えた施療子アーム12と第2アーム14は、軸100によってたたき板11に軸着されて、図14(a)(b)や図4(a)(b)に示す範囲内で揺動自在となっていることから、上記掴み動作を含む各種マッサージ動作に際して、施療子1a,1bが共に人体の背面に接するように倣い動作を行うものであり、このために掴み動作にあたって施療子1a,1bが確実に人体をつまむことになる。なお、第2アーム14がアクチュエータA1によってアームベースプレート10に連結されているが、アクチュエータA1はアームベースプレート10に直接連結されるのではなく、揺動連動リンク18,19を介して連結されているために、アクチュエータA1が上記揺動を阻害してしまうことはない。
前記掴み動作は、前述の上下駆動や幅駆動や強弱駆動と組み合わせて行うこともできる。つまり、人体の肩をつまんだ状態の施療子1a,1bを上方に移動させたり、人体の首側に寄せたりすることができる。
アクチュエータA1を伸張させることは、上下に並ぶ施療子1a,1bの間隔を変更することになるために、人体をつまむことだけでなく、ある間隔で固定してしまうことで、たとえば探みマッサージに際しての人体の抑圧感覚を異ならせることにも用いることができる。また、エアバッグ21内の空気圧を調整することにより、さらに上記抑圧感覚を変化させることができる。
ここにおいて、第2アーム14の動きを第1アーム13に伝えて第1アーム13を第2アーム14とは逆方向に回動させる連動リンク15であるが、この連動リンク15の両アーム13,14との2つの連結点は、アクチュエータA1を縮めた通常時、図15(a)に示すように、ほぼ一直線上に並ぶようにしていることから、施療子1aのみが人体に接触するようにしている時、施療子1a側からの負荷外力によって、第1アーム13が回転してしまうということはない。
また、軸100から第2アーム14における施療子1bの支持軸までの距離よりも、軸100から第2アーム14におけるアクチュエータA1が連結されている点までの距離の方を長くしているために、アクチュエータA1を伸張させるためのエアポンプが100kPa以下のエア圧力の家庭用の小さなものであっても、施療子1b,1aにおいて十分な掴み力を発生させることができるものとなっている。アクチュエータA1の直線的伸張をサポートする前記リニアスライトレール17の存在もエア圧力の利用の点において有効である。
このほか、アクチュエータA1によって押されて第2アーム14が回動することで施療子1bが力Fで人体を抑圧する時、連動リンク15の存在によって第1アーム13が逆方向に回動して施療子1aが力Pで人体を抑圧することになるが、上記力Pが力Fとほぼ等しく(0.7F<P<1.3F)なるように、アーム13,14の長さや連動リンク15の連結点の位置を定めており、人体を施療子1a、1bでつかんだ時、施療子アーム12が大きく回動して力を損失してしまうという事態が生じないようにしている。
下方側に位置する施療子1bは図18に示すように施療子1aよりも幅が短いものとすることも好ましい。具体的には2〜3倍の差を両者の幅に持たせる。人体の肩部を手指で掴む時、拇指を背中側に、他の指を肩の上面側に当てることになるが、この点を模したものとすることができる。
次にアクチュエータA2を伸張させた時の動作について説明すると、このアクチュエータA2の伸張で前方側に向けて回動するレバー16は、ころ160によって施療子アーム12の後縁を押して施療子アーム12を回動させることで施療子1aを前方に移動させるとともに、空気ばねとしても機能するアクチュエータA2によって施療子アーム12をばね付勢する。この結果、図14や図4に示した施療子ユニットにおける第1アーム13を備えた施療子アーム12と第2アーム14との揺動自在な範囲が実質的に狭められるものであり、アクチュエータA2を最も伸張させた時には、上記揺動の範囲が実質的にほぼゼロとなって、前述の倣い動作を行わないものとなる。この場合、施療子1aによってより強いマッサージを得ることができる。また、揺動の範囲を狭くしたとはいえ、大きな荷重がかかった時にはアクチュエータA2が縮むために、安全性の点でも優れたものとなっている。
さらに、アクチュエータA2の伸張状態に応じて、上記倣い動作はエア圧によるばね付勢で荷重が加えられたものとなるために、施療子1a,1bを上下に移動させてさすりマッサージを行う場合、施療子1a,1bの負担割合が異なるマッサージをエア圧に応じて得ることができる。また、前述の掴み動作時も、人体の肩を掴む時、この荷重が加えられることで、肩の上面側に接触する施療子1aが逃げたりすることがなくなるために、より確実な掴みマッサージを得ることができる。更に図17に示すように、施療子1a,1bを下方に移動させる時、エア圧に応じた荷重値を越えた時に施療子アーム12が揺動を開始し、この結果施療子1aだけでなく施療子1bでも人体背面を押すことになる。
なお、アクチュエータA2を最大に伸張させた時、上記ころ160と施療子アーム12との当接部には、レバー16を圧縮する方向の力が働くように施療子アーム12の後縁の形状を定めておくことで、アクチュエータA2が発生する力以上の荷重が施療子1a,1b側から施療子アーム12に働いた時もアクチュエータA2を伸張状態に保つことができる。
また、第1アーム13を備えた施療子アーム12と第2アーム14との揺動自在な範囲の最大値は、施療子アーム12に設けたストッパ120によって定めており、また第2アーム14の施療子アーム12に対する回動範囲は、ストッパ140によって定めている。さらに、第2アーム14と施療子アーム12との間にはねじりコイルばね(図示せず)を配して、施療子1a,1bの間隔が広くなる方向に付勢している。
このほか、アクチュエータA2を伸張させる時、強弱駆動によって強に設定されているならば、いったん強弱設定を弱の状態として、この状態でアクチュエータA2を伸張させ(図16(a)参照)、その後、強弱設定を強に戻して図16(b)に示す状態になるように制御している。これはエア圧がさほど高くなくても確実にアクチュエータA2を伸張させることができるようにするためであり、このように制御することで、使用者の体重や体形や使用状態といった不確定要素を低減して切替動作を確実にすることができる。
図12及び図13はアクチュエータA1の駆動用であるエア駆動ユニット95の構成例を示しており、図12はアクチュエータA1(エアバッグ21)からの排気を自然排気で行うものを、図13はエアポンプ96の吸気によってエアバッグ21からの排気を強制排気で行うものを示している。後者の場合、施療子1a,1bを離間させる動作をより確実に行うことができる。なお、マッサージとしては、伸張のための給気よりも排気の方を速くすることが好ましい。
そして図19に示すように、人体側から施療子アーム12にかかる圧力を検出するための圧力検出部98を設けてあり、これにより、圧力検出部98で検出した圧力信号に基づいて強弱駆動部や幅駆動部、あるいは上下駆動部のうちの少なくとも一つ以上の駆動部に関して、その位置制御乃至速度制御の少なくとも一方をフィードバック制御することで、施療子アーム12の負荷圧力が常に予め設定した負荷圧力となるようにすることができ、また更に、この圧力検出部98により人体の肩の位置を検出するものであり、圧力検出部98について以下に説明する。
圧力検出部98は、強弱駆動部のギアボックス62内に弾性体64を設け、この弾性体64の弾性変位を検出して圧力(体圧力)を算出するもので、弾性体64と該弾性体64の弾性変位を検知する変位計とで主体が構成される。
図20にギアボックス62内の伝達機構部の構成を示す。強弱駆動用モータ60の出力軸60aには回転継手71が取り付けてあり、この回転継手71には軸方向に移動可能にウォーム軸72が連結してある。ウォーム軸72にはベアリング73が設けてあると共に、このベアリング73はギアボックス62に固定した外輪軸受74内を軸方向に移動自在に嵌入されてあり、これによってウォーム軸72は軸方向に移動可能で且つ、強弱駆動用モータ60の回転によって回転継手71を介して回転する。ウォーム軸72には、軸方向の中央部の外表面にウォームギア72aを形成してあり、このウォームギア72aにはウォームホイール75が噛み合ってある。ウォームホイール75はギアボックス62に回転自在に軸支されると共に、その中心には強弱駆動軸61が同心状に設けてあり、ウォーム軸72が回転することでウォームホイール75及び強弱駆動軸61が回転し、施療子1aに上述したような人体に対する押圧力を与えるものである。
また、ウォーム軸72には、回転継手71に連結した側の端部近傍の外表面にフランジ部72bを形成してあり、このフランジ部72bの回転継手71側の側面を弾性体64となるコイルばねの一端にて弾圧し、前記コイルばねの内部に回転継手71を挿通した状態でコイルばねの他端をギアボックス62の壁面に弾圧して、ウォーム軸72を強弱駆動用モータ60から離れる方向に向けてばね付勢してある。
施療子1aを人体に対して押圧する場合、強弱駆動用モータ60が回転すると共に回転継手71を介してウォーム軸72が回転し、ウォームホイール75はウォーム軸72と噛み合っている部分が強弱駆動用モータ60から離れる方向に移動するように回転する。ウォーム軸72は、通常においては、弾性体64のコイルばねの付勢力にてウォーム軸72は強弱駆動用モータ60から最も遠ざかる位置まで離れて位置している。
そして、施療子1aに体圧力が加わると、ウォームホイール75にはウォーム軸72と噛み合っている部分を強弱駆動用モータ60に近づける方向に回転し、これによってウォーム軸72は上記弾性体64のコイルばねの付勢力に抗って移動するため、この変位を計測することで、変位と弾性体64のコイルばねのばね特性とから体圧力を算出することができる。
弾性体64の変位は、変位計によってウォーム軸72の変位を計測することで間接的に計測することができる。本実施形態では、図20,図21に示すように、ウォーム軸72の強弱駆動用モータ60と反対側の端部にフランジ状をしたギャップ検知体76を設けると共に、このギャップ検知体76とのギャップ(距離)を計測可能なギャップセンサ65(例えば渦電流式のような非接触変位計)をギアボックス62に取付けてある。
これにより体圧力は、図21に示すようにギャップセンサ65とウォーム軸72のギャップ検知体76との間のギャップの変位を計測することで算出可能となる。変位計にギャップセンサ65を用いることで、小型・軽量化が図れるが、変位計としてはその他にも、ギャップセンサ65のような非接触式ではなく、可変抵抗を用いたもの(例えばポテンショメータ)であってもよく、この場合には、電磁ノイズ等の外乱を受けて誤差を生じることがないものである。これにより、体圧力を検知するのに専用の多数の部品・機器を組み込む必要がなく、強弱駆動部のギアボックス62内のギア群を用いて弾性体64、変位計等のごく少数の部品を設けるだけで済み、多数の部品を介して体圧力を伝達することによる誤差の積算や、組み立て・補修が困難になるといったことがない。
次に、上記圧力検出部98による人体の肩の位置の判定について説明する。
肩の位置は、施療子1aの体圧力の上基準値、下基準値を検知した時の施療子1aの位置の中央位置をとるものとする。即ち、強弱駆動部によって施療子1aを人体に徐々に押圧していくと、これに伴って圧力検出部98にて計測する体圧力が増大する。そして、体圧力が予め設定してある下基準値となった時の施療子1aの人体を押圧する方向への突出位置(本実施形態ではギアプレート30の回動角)を検知すると共に、体圧力が同様に予め設定してある上基準値となった時の施療子1aの人体を押圧する方向への突出位置(ギアプレート30の回動角)を検知し、この突出位置の中央位置を肩の位置と判定するものである。ここで、下基準値としては、マッサージ機においては実際には施療子1aの前方側に布や皮等からなる背もたれ90の前面部があり、施療子1aはこの前面部を介して人体を押圧するため前面部の前面側に人体が無い場合でも若干の押圧力を検知することから、この前面部を押圧する押圧力を下基準値に設定してあり、また上基準値としては、施療子1aによる人体への押圧力が過剰とならない(痛みを与えない)範囲の上限を上基準値に設定してあり、この上基準値を検出した高さと前記下基準値を検出した高さの中央を肩の高さとしてある。
体圧力によって移動するウォーム軸72のストロークは、ギアボックス62内のスペースによって所定の値をとるもので、このストローク内において該ストロークのほぼ全域を使って体圧力の下基準値、上基準値を有効に計測できるように設定するものである。ところが、弾性体64に線形ばねを用いると、計測できる体圧力の上限、下限内の範囲が狭くなるため、非線形ばねを用いることが好ましい。例えば、圧縮されて密着するまでの荷重が異なる複数の線形のばねを直列に配して非線形ばねとした場合、最初のばねが密着するまでは全てのばねが縮み、最初のばねが密着した後は該密着した以外のばねのみが縮むこととなり、最初と比べてばね定数(即ち単位縮み量当りの荷重)が大きくなり、以降、段階的にばね定数が大きくなる。これにより、最初は小さな荷重を精度良く計測することができるため、従来の計測可能な荷重範囲の下限よりも小さな荷重を測ることが可能となって、体重が極めて軽い人体に対して有効となる。例えば、複数の線形のばねを並列に配して非線形ばねとした場合、上記複数のばねを直列に配したものと反対の特性となり、同様にして体重が極めて重い人体に対して有効となる。
そして、本発明においては、施療子1a、1bが人体の肩位置よりも上方に位置している時に、上方側に位置する施療子1aを前方側に突出する方向へ付勢するように制御部8により制御するものである。施療子アーム12を上記検出した肩位置よりも下方から上方に上昇させる際、図1(a)→(b)→(c)→(d)に示すように施療子1aを前方に突出させていき、肩位置よりも上方に位置する状態では上方側の施療子1aが前方に突出すると共に下方側の施療子1bが肩よりも後方に没入した状態とする。施療子1aを前方側に突出する方向へ付勢するには、強弱駆動部を駆動するかあるいはアクチュエータA1を駆動すればよく、図1に示す例ではアクチュエータA1を駆動している。また、施療子アーム12を肩位置よりも下方から上方に上昇させる際、既に施療子1aが前方に突出した状態であればこの状態を維持するように制御する。
これにより、施療子1a、1bが人体の肩位置よりも上方に位置している時に、下方側の施療子1bが前方に突出していると、施療子アーム12を下方へ回動させて施療したりあるいは施療子アーム12を下降させた場合に図3に示すように下方側の施療子1bが人体の肩に当たってしまい、この状態では施療子アーム12は揺動範囲のほぼ限界であるため施療子1bはそれ以上上方に移動して逃げることができず、肩に過剰な押圧力がかかってしまう、といった事態を回避することができるものである。図2に示すように、上方側の施療子1aが前方に突出した状態で人体の肩位置に当たった場合には、施療子アーム12を下降させても施療子アーム12は揺動し得る範囲にあって、伸張したアクチュエータA1が圧縮されて施療子アーム12が揺動することで施療子1aが上方に移動して逃げることができ、肩に過剰な押圧力がかかることはない。
また、制御部8による制御方法の他例として、施療子1a、1bが肩の上方側から下降してくる際に、上方側の施療子1aを前方側に突出する方向へ付勢するように制御するようにしてもよい。これにより、上例と同様に施療子アーム12を下降させる場合に下方側の施療子1bが当たって肩に過剰な押圧力がかかるのを防止でき、また、施療子1a、1bが人体の肩位置よりも上方に位置している時に下方側の施療子1bが突出するようなマッサージも行うことができる。
図22及び図23に他の実施形態を示す。ここでは掴み駆動用のアクチュエータA1における一方の受け板20を第2アーム14に設けるとともに、他方の受け板20を施療子アーム12に取り付けており、またアクチュエータA2における一方の受け板20をリンク45に、他方の受け板20を施療子アーム12に取り付けている。
このものにおいても、アクチュエータA1を伸張させたならば、第2アーム14とこれに連動リンク15で連結された第1アーム13とが相互に接近する方向に回動するために、施療子1a,1bによって掴み動作を得ることができる。また、アクチュエータA2を伸張させたならば、施療子アーム12が軸100を中心に回動する。なお、本実施形態の場合、施療子1aを備えた第1アーム13とこれが設けられている施療子アーム12及び施療子1bを備えた第2アーム14の揺動が、アクチュエータA2による規制を受けた状態での動作となる点で、前記のものと相違する。
図24〜図29に更に他の実施形態を示す。これは上記の両側におけるたたき板11及び施療子アーム12を廃止して、施療子1aを備えた第1アーム13を第2アーム14と同じく軸100で直接アームベースプレート10に軸着するとともに、アクチュエータA1を第1アーム13と第2アーム14との間に介在させ、更にアクチュエータA2をリンク45と第1アーム13との間に介在させたものである。このものでは、施療子1aを備えた第1アーム13と第2アーム14との図25に示す揺動は、アクチュエータA2による規制を受けた状態での動作となり、アクチュエータA2のエアバッグ21の内部空間を外部に開放した状態では、施療子1aを備えた第1アーム13と第2アーム14はアクチュエータA2を伸縮させつつ揺動することになるとともに、アクチュエータA2に給気して伸張させた時にはアクチュエータA2が上記揺動の時の施療子1aの後退に関してばね荷重を加えるものとなる。尚、たたき駆動軸41に一端を連結したリンク45は、その他端を第1アーム13に連結しているのであるが、他端の軸48を第1アーム13に設けた長孔49に係合させることで上記揺動を妨げることがないようにしている。
また、アクチュエータA1を伸張させた時には、図27に示すように第2アーム14が回動して施療子1bが施療子1a側に接近し、更にアクチュエータA2を伸張させれば、図28に示すように第1アーム13と第2アーム14とが回動する。図29はアクチュエータA1を伸張させて掴み動作を行っている時にアクチュエータA2を伸張させた状態を示している。
このものでは、アクチュエータA1の伸張で施療子1bのみが施療子1a側に接近する方向に駆動されることになるが、この移動時、施療子1bが人体に当接して第2アーム14の回動が止められると、第1アーム13側がアクチュエータA1の伸張に伴って回動して施療子1aが施療子1b側に接近する方向に移動することになるために、このものにおいても支障なく人体を掴む動作を行うことができる。また、強弱調整を弱の状態にすれば、人体背面を背後から掴む動作を、強弱調整を強の状態にすれば、人体の肩を上面と背後から掴む動作を行うことができ、さらに掴み動作時にアクチュエータA2を図29に示すように伸張させることで、人体の負荷に対して施療子1aが逃げてしまうことがなくて、効果的な掴み動作を行うことができる。
図30及び図31に更に他の実施形態を示す。これは最初に示した実施形態におけるアクチュエータA2に代えて、施療子アーム12における軸100よりも下方側の部分と機構ユニットにおけるフレーム上部との間に引っ張りばね88を懸架して、施療子アーム12を前方側に回動させる付勢力を加えたものである。この付勢力は、強弱調整によって可動ユニット全体を前方側に回動させて図31に示す状態とすることで強くすることができる。