JP4166082B2 - 椅子型マッサージ機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揉み及び叩きマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機に関するものであり、より具体的には、マッサージを施す施療指の突出量のずれを小さくして、違和感のないマッサージを施すことのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被施療者が腰掛けて、首筋から肩、背中、腰のマッサージを受ける椅子型マッサージ機がある。
椅子型マッサージ機は、椅子の背凭れの内部にマッサージユニットを昇降自在に配備して構成される。マッサージユニットには、左右一対の施療指が背凭れから突出するように配備される。
【0003】
施療指は、後記するように、揉み軸に傾斜し偏心した状態で枢支され、叩き軸に互いに位相が180度ずれた偏心カムを介して接続される。
揉み軸を回転することにより、施療指は左右に接近及び離間して、被施療者に揉みマッサージを施し、叩き軸を回転させることにより、左右の施療指を交互に前後に往復移動して、被施療者に叩きマッサージを施す(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−143253号公報(第4頁、図2及び図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、施療指は、叩き軸に位相が180度ずれた偏心カムを介して接続されているから、叩き動作を停止したときに、一方の施療指が前方に突出し、他方の施療指が後退した状態になることがある。
左右の施療指の突出量がアンバランスな状態で、揉みマッサージやマッサージユニットを背凭れに沿って上下に移動させるローリングマッサージ等を行なった場合、前方に突出した施療指は、被施療者に強く当たり、後退している施療指は、被施療者にほとんど当たらない。
このようなマッサージは、被施療者に違和感を与えるだけでなく、強く当たる施療指が痛みを与えたり、ほとんど当たらない施療指が物足りなさを感じさせ、左右均等なマッサージを受けることができず、施療効果を低下させてしまうことがあった。
【0006】
本発明の目的は、叩きマッサージ終了時の施療指の突出量のずれを小さくすることのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者が腰掛ける椅子に配備された背凭れ(12)と、
該背凭れ(12)の長手方向に沿って上下に往復移動可能なマッサージユニット(20)と、
該マッサージユニット(20)に略水平に配備された揉み軸 (40) と、
揉み軸 (40) に夫々傾斜し且つ偏心した状態で枢支された左右一対の揺動レバー (33)(33) の先端に揉み玉 (31)(31a) を具えた左右一対の施療指(30)(30)と、
マッサージユニット(20)に略水平に配備され、叩きモータ(51)によって回転する叩き軸(50)と、
該叩き軸 (50) に、互いに位相が180度ずれた位置に連繋され、他端が夫々前記左右一対の揺動レバー (33)(33) の基端側に連繋されたロッド (55)(55) とを具え、
揉み軸 (40) の回転によって、左右一対の施療指 (30)(30) を左右に揺動して左右の揉み玉を接近離間させて揉み動作を行い、叩き軸 (50) の回転によって、ロッド (55)(55) を介して左右の施療指 (30)(30) を交互に前後に往復動作させて叩き動作を行うものであって、
施療指(30)(30)の突出量を検知する突出量検知手段(90)を具え、
叩きモータ(51)の停止を、突出量検知手段(90)によって、左右の両施療指(30)(30)の突出量が揃ったことが検知されたときに合わせて行なうようにしたものである。
【0008】
【作用及び効果】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、突出量検知手段(90)によって、施療指(30)(30)の突出量を検知し、叩きモータ(51)を回転させて行なう叩きマッサージ等の終了時の叩きモータ(51)の停止位置を、左右の両施療指(30)(30)の突出量が揃った位置としている。
従って、次に行なわれる揉みマッサージやローリングマッサージの際に、被施療者が違和感や痛み、物足りなさを感じることはなく、効果の高いマッサージを施すことができる。また、これらマッサージを左右均等な力で受けることができる。
【0009】
なお、施療指(30)(30)は、左右の突出量が多少異なっても、被施療者に当たることによって、そのずれが修復されることがある。この場合は、修復可能な範囲、例えば、左右の施療指(30)(30)の突出量のずれが最大でない位置で、叩きモータ(51)を停止させるようにすればよい。
【0010】
施療指(30)(30)の突出量を検知する突出量検知手段(90)は、左右両施療指(30)(30)の突出量を夫々検出し、その差を求めるようにしてもよいし、一方の施療指(30)の突出量から左右の両施療指(30)(30)の突出量のずれを検出してもよい。また、左右の施療指(30)(30)の突出量を直接検知するのではなく、叩き軸(50)や、叩き軸(50)と叩きモータ(51)とを連繋する減速装置(52)の回転位置を検知して、施療指(30)(30)の突出量を検知することもできる。
さらに、叩きモータ(51)にエンコーダを配備して、エンコーダパルスを検出して、左右の施療指(30)(30)の突出量を検知することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
椅子型マッサージ機は、被施療者の腰掛ける座部の後端に背凭れ(12)をフレーム等で傾動自在且つ位置決め可能に連結したものである。背凭れ(12)は、当て布やクッション等(図示せず)にて外周を包囲されている。なお、本発明は、以下で説明する椅子型マッサージ機の機構に限定されるものではない。
【0012】
背凭れの内部構成
背凭れ(12)の内部には、図1及び図2に示すように、背凭れ(12)の長手方向に沿って上下方向に平行に伸びる左右一対のガイドレール(14)が配備されている。各ガイドレール(14)(14)は、断面形状がコ字状であって、溝が対向するように配置される。溝には、開口側にラック(16)が刻設されている(図3参照)。ガイドレール(14)(14)には、後述のマッサージユニット(20)が昇降可能に取り付けられている。
【0013】
マッサージユニット(20)は、図1乃至図3に示すように、メインシャーシ(21)から突設された4つのローラ(23)(23)(65)(65)がガイドレール(14)(14)に嵌まり、昇降可能となっている。メインシャーシ(21)には、マッサージユニット(20)のすべての構成部品が搭載される。
メインシャーシ(21)は、後方及び側方が開口しており、中央には、図3及び図4に示すように、縦向きに補助シャーシ(22)(22)が間隔を開けて固定されている。
【0014】
下側のローラ(23)(23)は、補助シャーシ(22)(22)の下部を左右に貫通し、メインシャーシ(21)の両側から突出する上下回転軸(24)の先端に嵌まっており、上下回転軸(24)には、ローラ(23)(23)の内側にガイドレール(14)(14)のラック(16)(16)と噛合するギア(25)(25)が固定されている。上下回転軸(24)は、減速装置(27)を介して上下用モータ(26)に連繋されており、上下用モータ(26)を駆動することによって、ラック(16)(16)と噛み合ったギア(25)(25)が回転して、マッサージユニット(20)はガイドレール(14)(14)に沿って昇降する。減速装置(27)は、プーリとベルト、ウォームとウォームホイールの組み合わせから構成することができる。なお、図4では、減速装置(27)のプーリ間を連繋するベルトを省略している。
【0015】
施療指の構造及び揉み、叩き機構
被施療者にマッサージを施す施療指(30)(30)は、図3乃至図5に示すように、補助シャーシ(22)(22)の略中央に軸支された揉み軸(40)と、該揉み軸(40)の下方に支持された叩き軸(50)に連繋される。揉み軸(40)及び叩き軸(50)は、図3及び図4に示すように、メインシャーシ(21)に搭載された夫々揉みモータ(41)、叩きモータ(51)に減速装置(42)(52)を介して連繋されている。揉みモータ(41)及び叩きモータ(51)は、図示省略する制御手段によって、回転及び停止が制御される。揉み軸(40)と揉みモータ(41)間の減速装置(42)は、プーリとベルト、ウォームとウォームホイールの組み合わせから構成することができる。なお、図4では、減速装置(42)(52)のプーリ間を連繋するベルトを省略している。
施療指(30)(30)は、図4及び図5に示すように、揉み軸(40)に夫々傾斜し、偏心した状態で枢支され、メインシャーシ(21)の前面に開設された孔(21a)から前方に向けて突出する揺動レバー(33)(33)と、該揺動レバー(33)(33)の先端に枢支され、中央がくの字型に屈曲したマッサージアーム(32)(32)と、該マッサージアーム(32)(32)の上下に枢支された揉み玉(31)(31)(31a)(31a)を具える。
【0016】
叩き軸(50)には、図4及び図5に示すように、互いに位相が180度ずれた偏心カム(53)(53)が枢支されており、両偏心カム(53)(53)は、揺動レバー(33)(33)の揉み軸(40)側後端に取り付けられた自在継手(54)(54)と、ロッド(55)(55)を介して接続されている。
【0017】
揉み軸(40)には、揺動レバー(33)(33)が夫々傾斜した状態で枢支されており、揺動レバー(33)(33)はロッド(45)(45)に夫々接続されて回転が阻止されているから、揉み軸(40)を回転すると、揺動レバー(33)(33)の先端が左右に動く。これにより、マッサージアーム(32)(32)が左右に揺動し、上側の揉み玉(31)(31)どうし、及び、下側の揉み玉(31a)(31a)どうしが接近、離間を繰り返しながら往復移動して、揉み動作が行なわれる。
【0018】
また、叩きモータ(51)を回転すると、叩き軸(50)に偏心して連繋されたロッド(55)(55)を介して、施療指(30)(30)が上下方向を含んだ前後方向に往復移動して、叩き動作が行なわれる。
【0019】
施療指の突出量検知手段 (90)
上記叩き軸(50)と叩きモータ(51)とを連繋する減速装置(52)は、図3及び図4に示すように、叩きモータ(51)に取り付けられたプーリ(52b)と、叩き軸(50)に取り付けられたプーリ(52a)と、両プーリ(52a)(52b)を連結するベルト(52c)(図4ではベルト(52c)は省略している。)から構成される。叩き軸(50)のプーリ(52a)には、図3及び図4に示すように、マグネット(92)が配備され、該マグネット(92)の回転移行路と接近した位置に、メインシャーシ(21)からマグネット(92)を検知するセンサ(94)が配備されている。マグネット(92)は、左右の施療指(30)(30)の突出量が揃った位置、具体的には、叩き軸(50)の偏心カム(53)(53)が前後にずれた位置で、センサ(94)に検知されるように、プーリ(52a)に配備されている。センサ(94)として、ホール素子、コイル等を例示することができる。
【0020】
叩き軸(50)を回転させるマッサージ命令、例えば、叩きマッサージや、揉みと叩きマッサージを合わせたマッサージ、叩きとローリングマッサージを合わせたマッサージ、または、これらを組み合わせたプログラムマッサージ等が被施療者から制御手段に入力されると、叩きモータ(51)が回転する。
叩きモータ(51)の回転により、施療指(30)(30)の揉み玉(31)(31)は、上下方向を含んだ前後に往復し、被施療者に叩きマッサージ等が施される。
【0021】
被施療者が、制御手段に叩きマッサージ等の停止を入力したり、内部タイマー等によりマッサージが停止するとき、または、プログラムマッサージにおいて、叩きを含むマッサージが叩きを含まないマッサージに切り替えられるときに、叩きモータ(51)が停止する。
このとき、制御手段は、叩きモータ(51)を即座に停止させずに叩きモータ(51)を回転させ、停止命令入力直後に突出量検知手段(90)のセンサ(94)がマグネット(92)を検知したときに、叩きモータ(51)を停止させる。
これにより、施療指(30)(30)は、左右の揉み玉(31)(31)の突出量がほぼ揃った状態となり、以降のマッサージで揉み玉(31)(31)の突出量のずれによる不快感等を防止でき、効果の高い左右均等なマッサージを施すことができる。
【0022】
なお、叩きモータ(51)等の慣性力等により、叩きモータ(51)を停止させたときに、施療指(30)(30)の突出量がずれる場合には、これらを勘案してマグネット(92)の取付位置を変えればよい。
【0023】
また、施療指(30)(30)は、左右の突出量が多少異なっても、被施療者に当たることによって、そのずれが修復されることがある。従って、修復できない範囲を外すように叩きモータ(51)を停止させてもよい。例えば、施療指(30)(30)の突出量のずれが最大の位置を検知するようにマグネット(92)を配置し、センサ(94)がマグネット(92)を検知した後、次にマグネット(92)を検知するまでのタイミングで叩きモータ(51)を停止させるようにすればよい。
【0024】
せり出し機構 (60)
上記マッサージユニット(20)には、マッサージユニット(20)を図1及び図2に示すように、前後に移動させるせり出し機構(60)を配備し、マッサージ効果をさらに高めるようにしてもよい。せり出し機構(60)として以下のクランク機構(61)及びリンク機構(70)からなる構成を例示できる。
クランク機構(61)は、図5及び図6に示すように、揉み軸(40)の前方に配備されたクランク軸(62)と、上側のローラ(65)(65)(図6参照)が回転自在に嵌められたクランクピン(64)(64)(図5参照)とを、クランクアーム(63)(63)により接続して構成される。クランクピン(64)(64)は、クランク軸(62)に対して偏心しているため、クランク軸(62)を回転させると、クランクピン(64)(64)がクランク軸(62)を中心として周軌道を描く。なお、図示の実施例では、クランク軸(62)、クランクアーム(63)(63)及びクランクピン(64)(64)は、1本の金属棒から構成しており、図5に示すように、クランク軸(62)(62)を軸受(62a)(62a)によってメインシャーシ(21)に軸支している。
【0025】
補助シャーシ(22)には、図3に示すように、上下に軸受(22b)(22b)を具える支持片(22a)(22a)が突設されており、軸受(22b)(22b)には、図3、図4及び図6に示すように、ネジ溝の切られた傾動用ネジ軸(67)が枢支されている。傾動用ネジ軸(67)の上端は、プーリやベルト(図4では省略)からなる減速装置(68)を介してせり出し用モータ(69)に連繋されている。
傾動用ネジ軸(67)のネジが切られている部分にはナット(71)が螺合している。ナット(71)は樹脂製とすることができ、樹脂ナット(71)には、図6及び図7に示すようにリンク機構(70)が接続されている。リンク機構(70)は、リンク片(72)とリンク片(78)から構成することができる。
なお、以下では、リンク片(72)は、長手方向に伸縮可能となるように相互にスライド可能に構成された第1リンク片(73)と第2リンク片(75)から構成した例について説明する。
第1リンク片(73)は樹脂ナット(71)に前後方向に傾動可能に枢支されており、第1リンク片(73)の基端側近傍には、スライド用軸(74)が突設されている。
第2リンク片(75)は、第1リンク片(73)を両側から挟み込む一対の部材から構成され、夫々長手方向に長孔(76)が開設されている。第2リンク片(75)の長孔(76)は、夫々第1リンク片(73)のスライド用軸(74)にスライド可能に嵌まっている。
さらに、第2リンク片(75)の先端には、図6に示すように、軸(75a)が突設されており、前記スライド用軸(74)との間にはバネ(77)が張設されている。バネ(77)は、第2リンク片(75)を樹脂ナット(71)の方に向けて付勢し、無負荷の状態では、バネ(77)は、第2リンク片(75)が樹脂ナット(71)側に最も引き寄せたられた状態となっている。
【0026】
第2リンク片(75)の軸(75a)には、第3リンク片(78)が枢支されている。第3リンク片(78)は、中央で前方に向けて屈曲したリンク片であり、第3リンク片(78)の先端は、前記クランク軸(62)に固定されている。
【0027】
樹脂ナット(71)が傾動用ネジ軸(67)の上側に位置しているときには、第3リンク片(78)が第2リンク片(75)側に引き寄せられており、マッサージユニット(20)(メインシャーシ(21))は最も引き下がった位置にある(図1参照)。
【0028】
この状態から、傾動用ネジ軸(67)を回転させて、図7に示すように、樹脂ナット(71)を下側に移動させると(図7中矢印A方向)、樹脂ナット(71)の下方向への移動に伴って、第2リンク片(75)が第3リンク片(78)との係合部を下向きに引っ張り、第3リンク片(78)がクランク軸(62)を中心として回転する。第3リンク片(78)とクランク軸(62)は固定されているため、クランク軸(62)は、第3リンク片(78)と共に一体回転する。
【0029】
クランク軸(62)の両端のクランクピン(64)(64)は、ローラ(65)(65)によってガイドレール(14)(14)に沿ってのみ移動可能であり、前後に移動できないから、クランク軸(62)の回転により、マッサージユニット(20)は、上下回転軸(24)を中心として傾動する。上下回転軸(24)は、マッサージユニット(20)の下方に設けられているから、図2に示すように、マッサージユニット(20)の傾動により、施療指(30)(30)は前方にせり出す(図7中矢印Bで示す)。
【0030】
被施療者の肩位置で施療指(30)(30)をせり出させることにより、施療指(30)(30)は、被施療者の肩の上部まで届く。この状態で揉みモータ(41)及び/又は叩きモータ(51)を駆動することにより、被施療者の肩の上部を効果的にマッサージすることができる。
【0031】
また、被施療者の肩位置よりも下側、即ち、背中や腰位置に、施療指(30)(30)がある状態で、施療指(30)(30)をせり出させることにより、被施療者の背中や腰が指圧マッサージされる。また、この状態で、上下用モータ(26)を回転してマッサージユニット(20)を昇降させることにより、施療指(30)(30)が被施療者に強く押し当てられた状態のローリングマッサージを施すことができる。
【0032】
図2の状態から、傾動用ネジ軸(67)を逆回転させると、樹脂ナット(71)が上側に移動し、上記とは逆に、マッサージユニット(20)は後退し、施療指(30)(30)は背凭れの内部に引き戻される(図1参照)。引き戻された状態では、従来と同様のマッサージを行なうことができる。
【0033】
傾動用ネジ軸(67)の回転、即ち、樹脂ナット(71)の傾動用ネジ軸(67)に対する位置を調節することによって、マッサージユニット(20)のせり出し量を調節することができる。また、クランクアーム(63)(63)の長さを変えることによって、最大のせり出し量も調節できる。
【0034】
マッサージユニット(20)のせり出し量は、せり出し量検知手段(79)により検知することができる。せり出し量検知手段(79)として、例えば、図6に示すように、第3リンク片(78)に当接する可変抵抗器(79)を配備し、該可変抵抗器(79)によって、第3リンク片(78)の回転角度に伴う抵抗値の変化を測定すればよい。
なお、クランク軸(62)も第3リンク片(78)と一体に回転するから、クランク軸(62)にせり出し量検知手段(79)を設けてもよい。
【0035】
リンク機構 (70) のその他の実施例
上記では、第1リンク片(73)と第2リンク片(75)をバネ付勢によりスライド可能としたリンク片(72)と、第3リンク片(78)とを連繋したリンク機構(70)によって、クランク軸(62)と樹脂ナット(71)を接続している。第1リンク片(73)と第2リンク片(75)をスライド可能としたのは、施療指(30)(30)が前方にせり出した状態で、施療指(30)(30)に前方から力が加えられたときに、施療指(30)(30)(マッサージユニット(20))が若干後退できるようにするためである。これにより、施療指(30)(30)がせり出した状態で、被施療者が背凭れ(12)に勢いよく背中等を押し当てると、施療指(30)(30)が後方に強い力を受け、マッサージユニット(20)が後退する。このため、被施療者が痛みを感じることはないようにすることができる。
【0036】
上記のような効果を必要としない場合には、第1リンク片(73)と第2リンク片(75)は別個の部材で構成せずに、第3リンク片(78)と樹脂ナット(71)を直接1本のリンク片(72)で連繋すればよい。
【0037】
なお、第2リンク片(75)の第1リンク片(73)に対するスライド量は、施療指(30)(30)に加わる力に対応しているため、第2リンク片(75)のスライド量に基づいて、施療指(30)(30)が被施療者の身体のどの部分に接触しているかを検出する手段(79a)を配備することもできる。この場合、スライド量の検出は、図6に示すように、第1リンク片(73)に、第2リンク片(75)と接触するように可変抵抗器(79a)等を付勢して配備することにより行なうことができる。
施療指(30)(30)が、被施療者に接触していない状態、即ち、マッサージユニット(20)が背凭れ(12)の上方にある状態からマッサージユニット(20)を降下させて、施療指(30)(30)が被施療者の肩に当たると、施療指(30)(30)は上向きの力を受ける。
その結果、バネ(77)の付勢力に抗して第2リンク片(75)が上方にスライドする。第2リンク片(75)のスライド量は、可変抵抗器(79a)により検出され、検出値からその位置が被施療者の肩であることを検知できる。
【0038】
アームロック機構 (80)
上記せり出し機構(60)には、さらに、マッサージユニット(20)のせり出しに合わせて、施療指(30)(30)も前方に突出させるアームロック機構(80)を具えることもできる。
アームロック機構(80)は、図7に示すように、マッサージアーム(32)(32)の屈曲部分と、前記クランク軸(62)とを、夫々、自在継手(81)(81)(82)(82)を介して、アームロックロッド(83)(83)にて連繋したものである。クランク軸(62)側の自在継手(82)(82)は、マッサージユニット(20)を最も突出させたときに(図2参照)、マッサージアーム(32)(32)の上側の揉み玉(31)(31)を最も前方に押し出せる位置に取り付けられている。
【0039】
クランク軸(62)を回転させて、上記のように、マッサージユニット(20)をせり出していくと、クランク軸(62)の回転と共に自在継手(82)(82)が回転し、アームロックロッド(83)(83)を上方に押し上げる。その結果、アームロックロッド(83)(83)がマッサージアーム(32)(32)を前方に回転させ、上下の揉み玉(31)(31a)が、背凭れ(12)とほぼ平行な状態から、上側の揉み玉(31)がメインシャーシ(21)に対して前方に突出する。
上述のせり出し機構(60)によるマッサージユニット(20)のせり出しに加えて、揉み玉(31)をせり出すことにより、揉み玉(31)(31)が肩の上部まで十分大きくせり出し、効果的なマッサージを施すことができる。
なお、この状態で、揉み軸(40)及び/又は叩き軸(50)を回転させることにより、上側の揉み玉(31)が突出した状態での揉み及び/又は叩きマッサージを施すことができる。
施療指(30)(30)が被施療者の背中や腰に当接している状態で、上記動作を行なうと、上側の揉み玉(31)による指圧マッサージを行なうこともできる。
揉みマッサージや指圧マッサージ等を行なう場合に、上記のように、左右の施療指(30)(30)の突出量を揃えることにより、被施療者は違和感がなく、左右均等なマッサージを受けることができる。
【0040】
また、クランク軸(62)を逆向きに回転させて、マッサージユニット(20)を後退させると、上記とは逆に、自在継手(82)(82)がアームロックロッド(83)(83)を下向きに引っ張る。その結果、アームロックロッド(83)(83)がマッサージアーム(32)(32)を後方に回転させ、上下の揉み玉(31)(31a)が背凭れ(12)に対してほぼ平行な状態に戻り、通常のマッサージを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】椅子型マッサージ機の背凭れの断面図である。
【図2】マッサージユニット及び施療指を前方にせり出した状態を示す背凭れの断面図である。
【図3】マッサージユニットの背面図である。
【図4】マッサージユニットを右斜め後方から見た斜視図である。
【図5】マッサージユニットの要部を取り出して示す斜視図である。
【図6】マッサージユニットを左斜め後方から見た斜視図である。
【図7】マッサージユニットの要部を取り出して示す断面図である。
【符号の説明】
(20) マッサージユニット
(30) 施療指
(31) 揉み玉
(50) 叩き軸
(51) 叩きモータ
(60) せり出し機構
(80) アームロック機構
(90) 突出量検知手段
(92) マグネット
(94) センサ

Claims (6)

  1. 被施療者が腰掛ける椅子に配備された背凭れ(12)と、
    該背凭れ(12)の長手方向に沿って上下に往復移動可能なマッサージユニット(20)と、
    該マッサージユニット(20)に略水平に配備された揉み軸 (40) と、
    揉み軸 (40) に夫々傾斜し且つ偏心した状態で枢支された左右一対の揺動レバー (33)(33) の先端に揉み玉 (31)(31a) を具えた左右一対の施療指(30)(30)と、
    マッサージユニット(20)に略水平に配備され、叩きモータ(51)によって回転する叩き軸(50)と、
    該叩き軸 (50) に、互いに位相が180度ずれた位置に連繋され、他端が夫々前記左右一対の揺動レバー (33)(33) の基端側に連繋されたロッド (55)(55) とを具え、
    揉み軸 (40) の回転によって、左右一対の施療指 (30)(30) を左右に揺動して左右の揉み玉を接近離間させて揉み動作を行い、叩き軸 (50) の回転によって、ロッド (55)(55) を介して左右の施療指 (30)(30) を交互に前後に往復動作させて叩き動作を行うものであって、
    施療指(30)(30)の突出量を検知する突出量検知手段(90)を具え、
    叩きモータ(51)の停止は、突出量検知手段(90)によって、左右の両施療指(30)(30)の突出量が揃ったことが検知されたときに合わせて行なうようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
  2. 突出量検知手段 (90) は、叩き軸 (50) の回転位置を検知することにより、施療指 (30)(30) の突出量を検知する請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
  3. 叩きモータ (51) は、減速装置 (52) を介して叩き軸 (50) に接続されており、突出量検知手段 (90) は、減速装置 (52) の回転を検知することにより、施療指 (30)(30) の突出量を検知する請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
  4. 突出量検知手段 (90) は、マグネット (92) と該マグネットを検知するセンサ (94) から構成され、マグネット (92) は、叩き軸 (50) 又は減速装置 (52) に配備され、センサ (94) は、マグネット (92) の回転移行路に接近して配備される請求項2又は請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
  5. 突出量検知手段(90)は、叩きモータ (51) の回転位置を検知することにより、施療指 (30)(30) の突出量を検知する請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
  6. 叩きモータ (51) はエンコーダを具え、突出量検知手段 (90) はエンコーダパルスを検出する請求項5に記載の椅子型マッサージ機。
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