ところで、DNA増幅装置に備えるセル部(反応セル)は、通常、シリコンウェハ素材或いはアルミニウム素材を用いたブロック盤の上面に複数の凹部を所定間隔置きに配列形成し、この凹部を直接セル部(反応セル)として構成したり、或いはこの凹部にセル部(チューブ)を装填する構成が採用されている。これにより、セル群を形成したブロック盤は、処理ブロックとして機能し、ブロック盤の底面はサーモモジュール3の加熱冷却側により加熱冷却される。
一方、ペルチェ素子を用いた加熱・冷却手段(サーモモジュール)は、通常、図15に示すように構成される。同図に示すサーモモジュール3は、複数のペルチェ素子d…を連結して直列集合体Pとし、この直列集合体Pを一対の基板51,52により挟む構造で構成されている。この場合、各基板51,52の対向面(内面)には、複数の電極e…が一定間隔置きに設けられ、各電極e…に対して各ペルチェ素子d…の端部が半田等により接合される。これにより、直列集合体Pに対する通電方向を、順方向又は逆方向に切換えれば、サーモモジュール3を加熱動作又は冷却動作させることができる。この際、加熱動作時には、サーモモジュール3の放熱側(加熱冷却側に対して反対側)が冷却されるとともに、冷却動作時には、サーモモジュール3の放熱側が加熱されるため、放熱側にはアルミニウム製のヒートシンク53が付設され、このヒートシンク53を介して放熱(吸熱)が行なわれる。
しかし、このようなセル群を有する処理ブロックをDNA増幅装置に用いた場合、次のような不具合を生じる問題があった。
即ち、この種のDNA増幅装置には、反応溶液に対する所定の加熱冷却性能、特に、迅速な昇温性能及び降温性能が求められるが、これらの要求性能に十分応えることができない。DNA増幅装置では、図4に示すように、94〔℃〕によりT1〔秒〕間加熱した後、50〔℃〕によりT2〔秒〕間加熱し、更に72〔℃〕によりT3〔秒〕間加熱する熱サイクルにより加熱を行うとともに、この熱サイクルは、通常、数十回程度繰り返される。この場合、同図に示す温度パターンF中、降温時間Td及び昇温時間Tf,Ts、更には、セル部内の反応溶液を低温保存するに際して94〔℃〕から4〔℃〕まで低下させる降温時間Thは、できるだけ短時間になることが求められるが、セル部とサーモモジュール3間には、熱容量及び熱膨張係数が大きく、かつ熱伝導性を低下させるブロック盤が介在するため、迅速な昇温制御及び降温制御を実現できない。結局、昇温制御及び降温制御を迅速に行えないことは、融通性のある的確な温度制御が実現されないのみならず、1工程にかかる所要時間が長くなり、処理効率の低下及び省電力性の低下を招いてしまう。
また、熱サイクルの繰り返し動作は、電極e…とペルチェ素子d…間の半田接合部に対して、基板51,52、電極e…及びペルチェ素子d…における各縦弾性係数,熱膨張率及び温度に依存した熱膨張差によるクリープを発生させることになり、半田接合部に接触不良や断線等の熱応力破壊を来すことになる。特に、放熱側(基板52側)と加熱冷却側(基板51側)は、クリープの発生方向が逆、即ち、図15に白抜矢印で示すように、放熱側又は加熱冷却側の一方に収縮方向のクリープが発生した際には、他方に伸長方向のクリープが発生するため、その熱応力も実質倍増する。
一方、クリープの発生を抑制するには、半田接合部の温度変化をできるだけ小さくすることが有効であり、このためには、ヒートシンク53の体積を大きくし、熱抵抗を小さくする必要がある。しかし、ヒートシンク53の体積を大きくするには限界がある。通常、ヒートシンク53における基部53bの厚さは、熱抵抗を小さくし、かつ剛性を高めるとともに、基部53bの反り(湾曲)を防止する観点から、概ね10〜15〔mm〕程度に設定されているが、この場合であっても、半田接合部の温度変化は5〜10〔℃〕程度となり、半田接合部における温度変化を十分に抑制できないとともに、サーモモジュール3全体の大型化を招く。しかも、複数のサーモモジュール3を分散させて配した場合には、各サーモモジュール3…間における温度のバラツキも大きくなり、全セル部に対する均質なDNA増幅を行うことができない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したDNA増幅装置の提供を目的とするものである。
本発明に係るDNA増幅装置1は、上述した課題を解決するため、DNA検体を含む反応溶液を収容可能なセル部C…を有する処理ブロック2と、この処理ブロック2を加熱冷却するペルチェ素子d…を用いたサーモモジュール3…と、少なくともサーモモジュール3…に対する通電制御を行うコントローラ4を備えるDNA増幅装置において、処理ブロック2を、金属素材Mによる上基板部6と金属素材Mによる下基板部7を固着してなる基盤部5及びこの基盤部5に支持されるセル部C…により構成し、上基板部6及び/又は下基板部7を金属素材Mにより形成した際には、端辺縁部5eから当該端辺縁部5eに対して交差方向となり、かつ所定長さにわたって形成した反り吸収用のスリット部14…を、端辺縁部5eに沿って所定間隔おきに設け、セル部C…は、上基板部6に設けた少なくともセル部C…を位置決めするセル位置決め部6s…を介して上基板部6及び/又は下基板部7に固定するとともに、下基板部7における少なくともセル部Cの下方に位置する部位Xc…の厚さLdを1.0〔mm〕以下に選定し、かつ基盤部5の下面にサーモモジュール3…を当接してなることを特徴とする。
また、本発明の他の形態に係るDNA増幅装置1は、上述した課題を解決するため、DNA検体を含む反応溶液を収容可能なセル部C…を有する処理ブロック2と、この処理ブロック2を加熱冷却するペルチェ素子d…を用いたサーモモジュール3…と、少なくともサーモモジュール3…に対する通電制御を行うコントローラ4を備えるDNA増幅装置において、処理ブロック2を、金属素材Mによる基板部6及びこの基板部6に支持されるセル部C…により構成し、基板部6に、所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設け、このセル位置決め部6s…にセル部C…を嵌合して固定し、かつ基板部6の下面にサーモモジュール3…を当接するとともに、基板部6の端辺縁部6e…に、当該端辺縁部6e…に対して交差方向となり、かつ所定長さにわたって形成した反り吸収用のスリット部14…を、端辺縁部6e…に沿って所定間隔おきに設けてなることを特徴とする。
さらに、本発明の他の形態に係るDNA増幅装置1は、上述した課題を解決するため、DNA検体を含む反応溶液を収容可能なセル部C…を有する処理ブロック2と、この処理ブロック2を加熱冷却するペルチェ素子d…を用いたサーモモジュール3…と、少なくともサーモモジュール3…に対する通電制御を行うコントローラ4を備えるDNA増幅装置において、処理ブロック2を、金属素材Mによる基板部6及びこの基板部6に支持されるセル部C…により構成し、基板部6に、所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設け、このセル位置決め部6s…にセル部C…を嵌合して固定し、かつ基板部6の下面にサーモモジュール3…を当接するとともに、各セル部C…の上部に係合又は接合し、かつ各セル部C…の位置に対応した規制孔部17s…(17es…)を有する保持板部17(17e)を設けたことを特徴とする。
このような構成を有する本発明に係るDNA増幅装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 処理ブロック2における熱容量及び熱膨張係数を小さくできるとともに、熱伝導性を高めることができるため、迅速な昇温制御及び降温制御が可能となる。この結果、融通性のある的確な温度制御を実現できるとともに、1工程にかかる所要時間の短縮化により、処理効率の向上及び省電力性の向上を図ることができる。
(2) 処理ブロック2における熱応答性が良好になり、サーモモジュール3…の放熱側における温度変化も小さくなるため、サーモモジュール3…を構成するペルチェ素子d…に付加されるストレスが低減される。この結果、サーモモジュール3…における熱応力破壊を防止でき、耐久性(寿命)を高めることができる。
(3) 発明の形態により、処理ブロック2を、金属素材Mによる上基板部6と金属素材Mによる下基板部7を固着してなる基盤部5及びこの基盤部5に支持されるセル部C…により構成し、セル部C…は、上基板部6に設けたセル位置決め部6s…を介して上基板部6及び/又は下基板部7に固定すれば、バラツキのない高品質の処理ブロック2を容易に得ることができる。
(4) 好適な態様により、上基板部(基板部)6に、0.1〜0.5〔mm〕に形成した銅素材を用いれば、熱伝導率の高い薄板をプレス成形等することにより上基板部(基板部)6を容易に得ることができる。
(5) 好適な態様により、下基板部7に、少なくともセル部C…の下方に位置する部位Xc…の厚さLdを0.1〜0.5〔mm〕に形成した銅素材を用いれば、熱伝導率の高い薄板をプレス成形等することにより下基板部7を容易に得ることができる。
(6) 好適な態様により、セル位置決め部6s…を、上基板部6の所定位置から上方に突出し、セル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成すれば、処理ブロック2全体の製作容易化に寄与できる。
(7) 好適な態様により、セル位置決め部6s…を、上基板部6の所定位置から上方に突出し、セル部C…の底面部Cb…に空けた孔部12…に挿入する筒状のバーリング部13…により形成すれば、処理ブロック2全体の製作容易化に寄与できるとともに、下基板部7自身がセル部C…の実質的な底面部となるため、処理ブロック2の更なる熱容量の低減及び熱伝導性の向上を実現できる。
(8) 好適な態様により、サーモモジュール3…の放熱側3r…に当接し、かつ厚さを4〔mm〕以上に選定した銅素材による放熱銅盤15と、この放熱銅盤15を冷却する冷却手段16を備えて構成すれば、放熱銅盤15による良好な熱拡散性と大きな熱容量により、サーモモジュール3…におけるペルチェ素子d…と電極間の半田接合部における温度変化を、概ね3〔℃〕以内に抑えることができる。この結果、熱応力(クリープ)による半田接合部における接触不良や断線等の熱応力破壊を防止することができ、サーモモジュール3…の耐久性(寿命)を飛躍的に高めることができる。また、サーモモジュール3の放熱側3rにおける熱の籠もりが無くなるため、加熱冷却性能が高められ、迅速な昇温制御及び降温制御が可能となる。この結果、融通性のある的確な温度制御を実現できるとともに、1工程にかかる所要時間の短縮化により、処理効率の向上及び省電力性の向上を図ることができる。特に、低温保存時に94〔℃〕から4〔℃〕まで低下させる場合であっても短時間に低下させることができるとともに、加えてサーモモジュール3…の小型化にも寄与できる。さらに、複数のサーモモジュール3…を分散させて配する場合であっても、各サーモモジュール3…間における温度のバラツキを低減できるため、全てのセル部C…に対して均質なDNA増幅を実現できる。
(9) 発明の形態により、金属素材Mにより形成した基板部6(上基板部6及び/又は下基板部7)に、端辺縁部6e(5e)から当該端辺縁部6e(5e)に対して交差方向となり、かつ所定長さにわたって形成した反り吸収用のスリット部14…を、端辺縁部6e(5e)に沿って所定間隔おきに設ければ、使用時の温度変化に伴う基板部6(基盤部5)に発生する反りを有効に吸収し、処理ブロック2における物理的作用の正確性及び安定性の確保、更には耐久性向上に寄与できる。
(10) 発明の形態により、金属素材Mにより形成した基板部6に、所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設け、このセル位置決め部6s…にセル部C…を嵌合して固定するとともに、各セル部C…の上部に係合又は接合し、かつ各セル部C…の位置に対応した規制孔部17s…(17es…)を有する保持板部17(17e)を設ければ、熱の広がりの均一化により各セル部C…間における温度のバラツキを低減できるとともに、各セル部C…の組立時及び使用時における位置のバラツキ及び変動を低減できる。
(11) 好適な態様により、処理ブロック2を、金属素材Mによる基板部6及びこの基板部6に支持されるセル部C…により構成し、基板部6に、所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設け、このセル位置決め部6s…にセル部C…を嵌合して固定すれば、サーモモジュール3…に対する部分的な熱接触の安定性は若干低下するものの、処理ブロック2における熱容量をより小さくできるとともに、熱伝導性を更に高めることができるため、より迅速(高速)な昇温制御及び降温制御を実現できる。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るDNA増幅装置1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
図1中、3…は一又は二以上のサーモモジュールである。各サーモモジュール3…は、前述した図15に示すサーモモジュール3と基本的に同じである。即ち、サーモモジュール3は、複数のペルチェ素子d…を連結して直列集合体Pとし、この直列集合体Pを一対の基板51,52により挟む構造により構成する。各基板51,52の対向面(内面)には、複数の電極e…を一定間隔置きに設け、各電極e…に対して各ペルチェ素子d…の端部を半田等により接合する。これにより、直列集合体Pに対する通電方向を、順方向又は逆方向に切換えれば、各サーモモジュール3…を加熱動作又は冷却動作させることができる。
一方、各サーモモジュール3…の放熱側3r…の面には、放熱銅盤15における一方の面15sを当接させる。この場合、サーモモジュール3…における放熱側3r…の面と放熱銅盤15における一方の面15sの間には熱伝導グリースを介在させ、ネジ等の固定具を利用して各サーモモジュール3…と放熱銅盤15を固定する。
放熱銅盤15は、全体を銅素材により一体形成するとともに、一定の厚みを有する板状に形成する。この場合、放熱銅盤15の厚さは、4〔mm〕以上、望ましくは5〜8〔mm〕の範囲に選定する。なお、厚さが4〔mm〕未満の場合には、熱拡散性及び熱容量が不十分となる。
また、放熱銅盤15における一方の面15sに対して反対側の面は放熱面15rとなり、この放熱面15rには、一又は二以上のヒートシンク32…を取付ける。ヒートシンク32…は、放熱面15rに対して密着する密着面32bs…を有する基部32b…と、この密着面32bs…に対して反対側の面から直角方向に突出した多数の放熱フィン32f…を有し、全体をアルミニウム素材により一体形成する。この場合、基部32b…の厚さは、放熱フィン32f…を保持できる2〜3〔mm〕程度の厚さで足りる。前述した一般的なヒートシンク53における基部53bの厚さは、熱抵抗を小さくし、かつ剛性を高めるとともに、基部53bの反り(湾曲)を防止する観点から、通常、10〜15〔mm〕程度に設定されているが、本実施形態では、熱抵抗を小さくし、かつ剛性を高めるとともに、基部32b…の反りを防止する機能は放熱銅盤15が担っているため、ヒートシンク32…における基部32bの厚さは、上述した2〜3〔mm〕程度で十分となる。
そして、各ヒートシンク32…に対向させて一又は二以上の送風ファン33…を配設する。これにより、各ヒートシンク32…を送風ファン33…により空冷することができ、このヒートシンク32…及び送風ファン33…は空冷装置34(冷却手段16)を構成する。さらに、4はコントローラであり、このコントローラ4には、各送風ファン33…及び前述した各サーモモジュール3…をそれぞれ接続する。これにより、コントローラ4は、サーモモジュール3…に対する通電制御を行うとともに、送風ファン33…に対する作動制御を行うことができる。
他方、サーモモジュール3…の加熱冷却側3s…の面には、処理ブロック2を取付ける。これにより、サーモモジュール3…は、図1に示すように、下側に配した放熱銅盤15(ヒートシンク32…)と上側に配した処理ブロック2の間に挟まれる構造となる。
処理ブロック2は、本実施形態の要部となり、金属素材Mにより形成した上基板部6及び下基板部7を固着してなる基盤部5及びこの基盤部5に支持されるセル部C…を備える。この場合、上基板部6は、厚さLuを0.2〔mm〕に選定した銅素材(無酸素銅等)による薄板材により、図3に示すように全体を矩形状に形成するとともに、上基板部6の面上には、複数のセル位置決め部6s…を配列させて設ける。なお、例示するセル位置決め部6s…の数量は、五×五の計二十五である。上基板部6の厚さLuは、0.2〔mm〕が望ましいが、0.1〜0.5〔mm〕の範囲に選定すれば、十分な効果を得ることができる。一つのセル位置決め部6s(他のセル位置決め部6s…も同じ)は、上基板部6の所定位置から上方に突出し、後述するセル部Cの外周面下部Cdと嵌合(圧入)する筒状のバーリング部11により形成する。セル位置決め部6sを、このような筒状のバーリング部11…により形成すれば、処理ブロック2全体の製作容易化に寄与できる。
一方、下基板部7は、厚さLdを0.2〔mm〕に選定した銅素材(無酸素銅等)を用いた薄板材により、図3に示すように全体を矩形状に形成する。下基板部7の厚さLdは、0.2〔mm〕が望ましいが、上基板部6と同様、0.1〜0.5〔mm〕の範囲に選定すれば、十分な効果を得ることができる。これにより、下基板部7における少なくともセル部C…の下方に位置する部位Xc…の厚さLdは、0.2〔mm〕となる。そして、この下基板部7は、上基板部6の下面に固着する。この場合、上基板部6と下基板部7の固着は、銀素材を主体としたロー材21を用いて接合する。ロー材21としては、78〔%〕の銀及び22〔%〕の銅を成分とするJIS(日本工業規格)Z3261等の真空ロー付け用ロー材を用いることができる。このようなロー材21を用いることにより、ロー材21自身の物理的特性(熱伝導率や熱膨張率)が上基板部6及び下基板部7とほぼ同じになる。この結果、強固な接合を実現できるとともに、ペルチェ素子(サーモモジュール3…)による温度変化の繰り返しストレスにも強くなる。実際の繰り返し温度範囲は、4〜100〔℃〕の範囲となり、熱膨張の伸びの差は無視できる。上基板部6及び下基板部7として、このような0.2〔mm〕(0.1〜0.5〔mm〕)に形成した銅素材を用いれば、熱伝導率の高い薄板をプレス成形等することにより上基板部6及び下基板部7を容易に得ることができる。
さらに、基盤部5には、端辺縁部5eから当該端辺縁部5eに対して交差方向となり、かつ所定長さにわたって形成した反り吸収用のスリット部14…を、端辺縁部5eに沿って所定間隔おきに設ける。この場合、スリット部14の幅は、0.1〔mm〕以上に選定し、長さは、端辺縁部5eにおける一辺の長さの5〜15〔%〕程度に選定するとともに、各セル位置決め部6s…の相互間にそれぞれ設けた。なお、スリット部14…は、図3に示すように、上基板部6と下基板部7のそれぞれの製作時に同一位置に形成してもよいし、上基板部6と下基板部7の製作段階では形成することなく、上基板部6と下基板部7を固着した後に形成してもよい。
各スリット部14…の働きは次のようになる。即ち、加熱モード時には、サーモモジュール3…に接触した下基板部7が加熱され、後述するセル部C…に熱伝導されるが、この際、セル部C…の外表面や上基板部6から外気に放熱される。この結果、放熱部位の表面温度は僅かに低下し、上基板部6における端辺縁側が上方に反る変形が発生しようとするが、通常、上基板部6の上面は、セル部C…群の外側をゴムや樹脂等の断熱体で下側のサーモモジュール3…に押え付けられているため、上基板部6の面方向に拡がる変形が発生する。したがって、スリット部14…を設けることにより、この面方向に拡がる変形を吸収するとともに、基盤部5の中央部位と端辺縁部5e側の温度差を小さくする効果を生じる。実際、基盤部5の中央部位と端辺縁部5e側の温度差は、スリット部14…を設けない場合は、概ね3〜4〔℃〕であったものが、スリット部14…を設けた場合は、1〜1.5〔℃〕に改善された。このように、スリット部14…を設けることにより、使用時の温度変化に伴う基盤部5に発生する反りを有効に吸収し、処理ブロック2における物理的作用の正確性及び安定性の確保、更には耐久性向上に寄与できる。
一方、セル部Cは、図2及び図3に示すように、DNA検体を含む反応溶液を収容可能な0.2〜1.5〔ミリリットル〕程度の容積を有するカップ状に形成する。このセル部Cは、熱伝導率の比較的高い銅素材(無酸素銅等)による薄板材(厚さ0.2〜0.3〔mm〕程度)をプレス加工により絞り成形することができる。そして、セル部Cを基盤部5に固定する際には、セル部Cの外周面下部Cdを筒状のセル位置決め部6sに圧入して固定できる。なお、底面部Cbの下面を下基板部7の上面に上基板部6と一緒にロー付けしてもよい。この場合、外周面下部Cdとセル位置決め部6sは必ずしも圧入しなくてもよく、嵌合すれば足りる。
なお、サーモモジュール3…の加熱冷却側3sの面に、処理ブロック2を取付ける際には、基盤部5の下面とサーモモジュール3…における加熱冷却側3s…の面の間に熱伝導グリースを介在させ、ネジ等の固定具を利用して各サーモモジュール3…と基盤部5を固定する。
このように構成する処理ブロック2は、処理ブロック2自身の熱容量及び熱膨張差による反り等の変形の影響を小さくできるとともに、熱伝導性を高めることができるため、迅速な昇温制御及び降温制御が可能となる。この結果、融通性のある的確な温度制御を実現できるとともに、1工程にかかる所要時間の短縮化により、処理効率の向上及び省電力性の向上を図ることができる。また、処理ブロック2における熱応答性が良好になることにより、サーモモジュール3…の放熱側における温度変化も小さくなるため、サーモモジュール3…での熱応力破壊を防止でき、もって耐久性(寿命)を高めることができる。しかも、サーモモジュール3…を構成するペルチェ素子d…に付加されるストレスを低減し、より耐久性を向上させることができる。さらに、基盤部5を、金属素材Mにより形成した上基板部6及び下基板部7を固着して構成し、下基板部7における少なくともセル部C…の下方に位置する部位Xc…の厚さLdを0.1〜0.5〔mm〕に形成するとともに、セル部C…を上基板部6及び/又は下基板部7に固定するようにすれば、品質の高い処理ブロック2を容易に得ることができる。
ところで、このような処理ブロック2は、次のように変更して用いることも可能である。即ち、上述した例では、下基板部7を銅素材を用いて形成したが、セラミックス素材Eを用いて形成することもできる。セラミックス素材Eとしては、アルミナ(Al2O3),窒化アルミナ(AlN),窒化珪素(Si3N4)等を利用し、厚さLdは0.3〜1.0〔mm〕(望ましくは、0.6〜0.7〔mm〕)に選定する。また、上基板部6に対する接着は、熱伝導性に優れたシリコン素材系の接着剤を用いることができる。なお、セラミックス素材Eにより下基板部7を形成する場合には、上述したスリット部14…は不要である。
このようなセラミックス素材Eを用いることにより、銅素材よりも熱伝導率が小さい分温度制御の迅速性が若干緩慢になるものの、昇温時及び降温時の膨張(収縮)による上基板部6の変形をより防止することができ、各セル部C…における温度の均一性を高めることができるとともに、上基板部6の変形に対する追従性向上により上基板部6に対して剥離しにくくなる利点がある。
さらに、下基板部7を用いない処理ブロック2を構成することも可能である。この場合、下基板部7を用いないため、図3に示す上基板部(基板部)6のみとなり、この基板部6の下面にサーモモジュール3…を直接当接して構成する。また、基板部6の端辺縁部6e…には、当該端辺縁部6e…に対して交差方向となり、かつ所定長さにわたって形成した反り吸収用のスリット部14…を、端辺縁部6e…に沿って所定間隔おきに設ける点、基板部6の所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設ける点は、前述した図1及び図2に示した上基板部6と同じになる。そして、セル部C…は、このセル位置決め部6s…にセル部C…を圧入して固定することができる。この際、必要によりロー付け等の固定手段を補助的に用いることも可能である。
このような基板部6のみを用いることにより、サーモモジュール3…に対する部分的な熱接触の安定性は若干低下するものの、処理ブロック2における熱容量をより小さくできるとともに、熱伝導性を更に高めることができるため、より迅速(高速)な昇温制御及び降温制御を実現することができる利点がある。
次に、本実施形態に係るDNA増幅装置1の使用方法及び動作について、図1〜図4を参照して説明する。
まず、コントローラ4には、図4に示す温度パターンFが得られるように、サーモモジュール3…を通電制御するためのシーケンス制御機能を持たせる。この場合、温度パターンFに示す処理温度は、セル部C…の内部温度である。したがって、図示は省略したが、処理ブロック2における所定位置には、一又は二以上の温度センサが装着され、処理温度に対するフィードバック制御が行われる。この際、セル部C…の内部温度は、予め実験等により求めたデータベースにより推定することもできる。また、コントローラ4は、送風ファン33…を作動モードに制御する。なお、必要により、送風ファン33…はインバータ制御することができる。
一方、セル部C…内には、DNA検体に対してこのDNA検体と反応させるプライマ,酵素及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸を加えた反応溶液を収容する。そして、コントローラ4は、最初に、サーモモジュール3…を通電制御し、94〔℃〕によりT1〔秒〕(例えば、15〔秒〕)間加熱を行う。これにより、二重螺旋構造のDNAを解離させる。次いで、サーモモジュール3…を通電制御し、50〔℃〕まで冷却するとともに、50〔℃〕に達したなら、50〔℃〕にT2〔秒〕(例えば、15〔秒〕)間維持する。これにより、DNAの特定部位にプライマを結合させる(アニーリング)。次いで、サーモモジュール3…を通電制御し、72〔℃〕まで加熱するとともに、72〔℃〕に達したなら、72〔℃〕にT3〔秒〕(例えば、30〔秒〕)間維持する。これにより、プライマが結合した特定遺伝子に対して酵素により相補鎖を合成する。以上が1熱サイクルとなり、この熱サイクルを数十回(例えば、30回)繰り返すことによりDNAの増幅処理を行うことができる。他方、このようなDNA増幅処理が終了したなら、図4に示すように、94〔℃〕から4〔℃〕まで冷却(プルダウン)する。そして、4〔℃〕に達したなら同温度に維持する制御を行う。これにより、増幅したDNAを低温保存することができる。
この場合、加熱動作時には、サーモモジュール3における加熱冷却側3sによって処理ブロック2が加熱され、かつ放熱側3rが冷却されるとともに、冷却動作時には、サーモモジュール3における加熱冷却側3sによって処理ブロック2が冷却され、かつ放熱側3rが加熱される。放熱側3rの熱量は放熱銅盤15を介して放熱され、この放熱量は、処理ブロック2から奪った熱量とサーモモジュール3自身による冷却作用のための入力電力に基づく熱量の和となる。加熱冷却能力(加熱冷却速度)は、放熱側3rにおける放熱性にも大きく影響されるが、放熱銅盤15による良好な熱拡散性と大きな熱容量により、サーモモジュール3…におけるペルチェ素子d…と電極間の半田接合部における温度変化は、概ね3〔℃〕以内に抑えられる。したがって、熱応力(クリープ)により発生する半田接合部における接触不良や断線等の熱応力破壊を防止でき、サーモモジュール3…の耐久性(寿命)を飛躍的に高めることができる。
また、本実施形態に係るDNA増幅装置1によれば、放熱銅盤15による良好な放熱性により、サーモモジュール3の放熱側3rにおける熱の籠もりが無くなるとともに、加えて、処理ブロック2の構造により、加熱性能及び冷却性能を高めることができる。この結果、図4における降温時間Td及び昇温時間Tf,Tsが短縮され、迅速な昇温制御及び降温制御を実現できる。特に、増幅処理終了後、保存モードに移行する際における94〔℃〕から4〔℃〕までの降温時間Th(図4)は、できるだけ短くなることが望ましいが、放熱銅盤15による良好な放熱性により、降温時間Thの短縮が可能になる。よって、DNA増幅における1工程全体にかかる所要時間の短縮化を図れるとともに、省電力化にも貢献でき、しかも、サーモモジュール3…の小型化にも寄与できる。
さらに、複数のサーモモジュール3…を分散させて配する場合であっても、各サーモモジュール3…間における温度のバラツキが低減されるため、全てのセル部C…における均質なDNA増幅を実現することができる。
次に、処理ブロック2及び冷却手段16の変更実施形態について、図5〜図14を参照して説明する。
図5は処理ブロック2の変更実施形態を示す。図5に示す処理ブロック2は、同図(b)に示すように、セル部Cの外周面下部Cdをセル位置決め部6sに挿入(又は圧入)した後、セル位置決め部6sの外周部に対してカシメ処理を行うことによりカシメ部62を設けて固定したものである。これにより、セル位置決め部6sからのセル部Cの抜けをより確実に阻止することができ、セル部Cを上基板部6に対してより強固に固定することができる。このため、同図(a)に示すように、セル部Cの外周面下部Cdには、予め凹凸部61を設けることが望ましい。なお、図5において、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
図6及び図7は、上基板部6と下基板部7の変更実施形態を示す。この変更実施形態は、セル位置決め部6sの下端にドーナツリング板状の上基板部6を一体形成し、下基板部7に、当該上基板部6が嵌合する収容凹部63を形成したものであり、図6に示すように、収容凹部63の内部に上基板部6を嵌め込み、ロー付けにより固定することができる。したがって、下基板部7の厚さを、図1〜図3に示した上基板部6と下基板部7を重ねた厚さ0.4〔mm〕とし、下基板部7における収容凹部63を形成した部位の厚さを0.2〔mm〕に選定することができる。なお、図6及び図7において、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
図8は、セル位置決め部6sを、上基板部6の所定位置から上方に突出し、セル部Cの底面部Cbに空けた孔部12に挿入する筒状のバーリング部13により形成したものである。このため、図8(a)に示すように、セル部Cの底面部Cbには、予め孔部12を空けておく。そして、組付ける際には、バーリング部13を孔部12に対して下側から挿入し、セル部Cの内部からバーリング部13に対して上端側から加圧し、図8(b)に示すように、バーリング部13を外側に拡げるカシメ処理を施すことによりカシメ部64を設ける。これにより、セル部Cの底面部Cbがカシメ部64により挟まれて固定される。このように構成することにより、下基板部7自身がセル部Cの実質的な底面部となるため、処理ブロック2における更なる熱容量の低減及び熱伝導性の向上を実現できる。なお、図8において、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。
図9は、図8におけるセル位置決め部6sとセル部Cを固定する他の固定手段を示す。図9の場合も図8と同様に、セル位置決め部6sを、上基板部6の所定位置から上方に突出し、セル部Cの底面部Cbに空けた孔部12に挿入する筒状のバーリング部13により形成したものである。これにより、組付ける際には、図9(b)に示すように、バーリング部13を孔部12に対して下側から挿入し、セル部Cの内部からバーリング部13の先端とセル部Cの内周面をロー付け部65により固定する。したがって、孔部12は、図9(a)に示すように、セル部Cの底面部Cbの全体にわたって設けることが望ましい。
図10〜図13は、処理ブロック2を、金属素材Mによる基板部6及びこの基板部6に支持されるセル部C…により構成し、基板部6に、所定位置から上方に突出することによりセル部C…の外周面下部Cd…に嵌合する筒状のバーリング部11…により形成したセル位置決め部6s…を設け、このセル位置決め部6s…にセル部C…を嵌合して固定するとともに、加えて、各セル部C…の上部に係合又は接合し、かつ各セル部C…の位置に対応した規制孔部17s…を有する保持板部17を設けたものである。したがって、基板部6の下面にはサーモモジュール3…が当接する。
この場合、基板部6及び保持板部17には、それぞれ厚さが0.1〜0.5〔mm〕、望ましくは0.3〔mm〕の銅素材を用いる。また、保持板部17における規制孔部17s…は、セル部C…の上端が嵌合する円孔により形成する。なお、例示したセル部Cの外周面には、当該セル部Cの上端よりもやや下側位置に外方へ突出したリング状のフランジ部Csfが設けられているが、このフランジ部Csfは、図12に示すように、銅素材による薄板材Pcのプレス加工によりセル部Cを絞り成形した後、切出す際に生じる残痕部Cmを利用している。通常、図2で示したセル部Cは、図12に示すように、セル部Cを絞り成形した後、セル部Cの変形を防止するため、符号Zuで示す範囲で切出すとともに、切出した後、符号Kuのラインで切断している。しかし、この変更実施形態では、図13に示すように、下型81,上型82及びコア型83を利用し、残痕部Cmに対して再プレス加工を行うことにより、上述したフランジ部Csf及びこのフランジ部Csfの上縁部から上方に突出して規制孔部17sに嵌合する筒部Cscからなる位置保持部Csを設けている。これにより、規制孔部17sにセル部Cの上端が嵌合するため、セル部Cは保持板部17に対して正確に位置決めされる。この際、保持板部17と各セル部C…は、圧入により係止させてもよいし、ロー材等により接合してもよい。さらに、この変更実施形態における処理ブロック2は、基板部6のみを用いている。即ち、図3の実施形態における下基板部7は使用せずに、同図に示す上基板部6のみを用いた構成と同じになる。したがって、板部6には、前述した反り吸収用のスリット部14…を設けてある。
この変更実施形態によれば、基板部6により各セル部C…を支持し、この基板部6の下面にサーモモジュール3…を当接する構成を有するため、サーモモジュール3…に対する部分的な熱接触の安定性は若干低下するものの、処理ブロック2における熱容量をより小さくできるとともに、熱伝導性を更に高めることができるため、より迅速(高速)な昇温制御及び降温制御を実現できる。
また、保持板部17を設けたため、基板部6の反りを防止できる。即ち、基板部6の外縁側に位置するセル部Cは、高温(90〔℃〕以上)時に、図10に仮想線で示すセル部Coのように、中央側のセル部Cに対して角度Rにより傾斜する。この原因は、基板部6の中央側が高温になっても基板部6の外縁側は放熱により温度が低下し、基板部6に反りが発生するためである。この反りを吸収するため、前述した反り吸収用のスリット部14…を設けているが、完全な吸収は困難である。保持板部17は、各セル部Cの上端位置を規制するため、この保持板部17の存在により、基板部6の反り防止できる。
なお、例示の保持板部17は、セル部C…の上端に嵌合する場合を示したが、図10に仮想線で示す保持板部17eのように、セル部C…の上下方向中間位置における外周面に係止するようにしてもよい。この場合、当該中間位置における外周面の外径に相当する規制孔部17es…を設けるとともに、組立てる際に、保持板部17eの各規制孔部17es…に各セル部C…を落し込んだ後、各セル部C…の上端を平坦面に当てるなどにより位置(高さ)を合わせ、この後、基板部6の各セル位置決め部6s…に各セル部C…を装着すればよい。この場合も保持板部17eと各セル部C…は、圧入により係止させてもよいし、ロー材等により接合してもよい。したがって、この変更実施形態において、保持板部17を各セル部C…の上部に係合又は接合するとは、基板部6よりも上方の位置に係合又は接合する意味である。
よって、この変更実施形態によれば、各セル部C…間を保持板部17により連結するため、熱の広がりの均一化により各セル部C…間における温度のバラツキを低減することができるとともに、各セル部C…の組立時及び使用時における位置のバラツキ及び変動を低減することができる。したがって、図10に示す各セル部C…間のピッチLpをできるだけ短くすることにより、より温度のバラツキを低減することができる。その他、図10〜図13において、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
図14は、冷却手段16の変更実施形態を示す。図14に示す冷却手段16は、放熱銅盤15の内部に冷却液Wを循環させて冷却する冷却装置71により構成したものである。即ち、放熱銅盤15の内部には、冷却液Wを循環させる通液路(ジャケット)72を形成する。また、外部には、冷却液Wを収容する冷却液タンク73,送液ポンプ74,ラジエータ(熱交換器)75及び送風ファン76を備える。これにより、冷却液タンク73に収容された冷却液Wは、送液ポンプ74によりラジエータ75に供給され、このラジエータ75により空冷された後、通液路72の流入口72iに供給される。そして、通液路72を流れ、熱交換された冷却液Wは、通液路72の流出口72oから排出され、冷却液タンク73に戻される。図14に示す冷却装置71によれば、放熱銅盤15の内部が冷却液Wにより強制冷却されるため、比較的高い冷却性能を確保できる。なお、図14は、ラジエータ75を、送風ファン76により冷却(空冷)する場合を示したが、ラジエータ75を図15に示したサーモモジュール3と同様のサーモモジュール等により冷却してもよい。その他、図14において、図1と同一部分には、同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
以上、最良の実施形態(及び変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、金属素材Mとしては、銅素材が最も望ましいがアルミニウム素材等の他の金属素材Mの利用を排除するものではない。また、本発明におけるDNA増幅装置1は、酵素反応装置も含む概念である。さらに、図1〜図14において、部分構成や部品構成に係わる各種実施形態を挙げたが、これらは用途等に応じて適宜組合わせて実施することが可能である。