JP4464600B2 - 遮光性蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器と蓋材からなり、食品の包装に用いる包装材の該蓋材に関し、特に、即席食品の包装に適した蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インスタントのラーメンや焼きそばといった即席食品や菓子類などの食品の包装材としては、底面と側面を備え、上方に開口部を備えた容器と、該容器の開口部を覆い、該開口部において熱接着されるシート状の蓋材との組み合わせが広く用いられている。
【0003】
このような食品容器の蓋材は、紙や合成樹脂からなる基材層と、熱接着性樹脂層とを備えた構成が一般的であり、さらに、被包装材である食品が光照射により劣化する場合には、上記基材層と熱接着性樹脂層との間にアルミニウム層からなる遮光層を付した構成が用いられている。アルミニウム層は、高い遮光性を有すると同時に酸素遮蔽性にも富むため、該アルミニウム層を備えた蓋材は、酸化防止を図りたい即席食品の場合には特に好適に用いられている。
【0004】
図3に、上記アルミニウム層を備えた蓋材の一例の断面模式図を示す。図中、31は紙層(基材層)、32は接着層、33はアルミニウム層(遮光層)、36は熱接着性樹脂層である。
【0005】
上記したような容器及び蓋材から構成される包装材によって包装された即席食品を食する際には、開口部に熱接着された熱接着性樹脂層のシール部を開口部の半分程度まで部分的に剥離して蓋材を開き、注ぎ口を形成して該注ぎ口より容器内に熱湯を注ぎ、開いた蓋材を再び閉じて所定時間放置した後、必要に応じて熱湯を廃棄し、調味料や薬味等を加えて食する。近年、上記蓋材を引き裂いて部分開封することにより、熱湯の注ぎ口を形成する形態が提案されている。
【0006】
図2に、部分開封しうる蓋材を適用した包装材の一例を示す。図2(a)は斜視図、(b)は上面図であり、図中、21は蓋材、22は容器、23及び24は蓋材21の突出部、25は蓋材21に形成したノッチ(切れ目)である。
【0007】
図2の包装材においては、蓋材21に設けた突出部23を上部に引き上げることで、突出部23の基部に設けたノッチ25より破線で示されるように該蓋材21を引き裂いて部分開封して熱湯の注ぎ口とし、内部の食品を食する際には、突出部24を引き上げることで蓋材21全体を剥離することができる。当該形態では、従来のシール部を部分的に剥離する場合に比べて注ぎ口が小さいため、再び閉じた際に隙間から蒸気が漏れにくく、また、熱湯を廃棄する場合にも、内部の食品をこぼすことなく熱湯のみを容易に廃棄することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、食品への異物、特に金属片の混入を防止する上で、包装後の食品を金属探知器にかける必要性が生じている。そのため、蓋材として図3に示したようなアルミニウム層を用いた構成をとることができず、該アルミニウム層に代えて、カーボンブラック等の黒色顔料を用いた遮光性の印刷インキ層を用いた構成が採用され始めている。
【0009】
しかしながら、上記黒色の印刷インキ層を有する蓋材を用いた場合、図2に示したように蓋材を引き裂いて部分開封した際に、その破断面に黒色の印刷インキ層が露出して視覚的に利用者に不快感を与えるという問題を生じる。また、部分開封しない従来の形態の蓋材であっても、蓋材を剥離する際に引き裂きを生じた場合には、同様に不快感を与えてしまう。
【0010】
本発明の課題は、上記蓋材における視覚的な問題を解決することにあり、より具体的には、被包装物を収納した容器開口部を覆う蓋材であって、良好な遮光性を備え、部分開封時に破断面に濃色の遮光層が観察されず、金属探知器の使用に適応した蓋材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材層と、遮光層と、熱接着性樹脂層とを少なくとも備え、容器の開口部を覆って封止する蓋材において、上記基材層が紙層であり、上記遮光層が白色層、灰色層、白色層の3層構成である印刷インキ層で形成され、該灰色層が、CIE表色系におけるL*a*b*表色系のL*値が45〜60であることを特徴とする遮光性蓋材である。
【0012】
本発明においては、引き裂きにより部分開封される形態に好ましく適用される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の蓋材は、遮光が必要な食品の包装に適した蓋材であり、特に図2に示したような、利用者が容器内に熱湯を注いで内部の食品の調理を行なう際に引き裂きにより部分開封する形態に好ましく適用される。尚、本発明の蓋材は、このように主として食品の包装に用いられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、食品以外の例えば医療品等で遮光が必要な物品の包装に好ましく用いられる。以下、本発明の構成について詳細に説明する。
【0014】
本発明の蓋材は、容器の開口部に熱接着させて該容器を封止するものであり、本蓋材に組み合わせて用いられる容器は、深さを備えて被包装物を収納しうる形状であれば良く、例えば、底面と側面を備えたカップ状や箱形などの形態が好ましく用いられる。
【0015】
図1に、本発明の蓋材の好ましい一実施形態の断面を模式的に示す。図中、1は紙層、2は印刷インキ層、3及び5は接着層、4はバリア層、6は熱接着性樹脂層である。
【0016】
本発明の蓋材は、基本的に基材層としての紙層1と、遮光層としての印刷インキ層2と、容器に熱接着するための熱接着性樹脂層6を備えていればよい。また、印刷インキ層2は、本実施形態では、紙層1の内側に積層しているが、本発明はそれに限定されるものではなく、紙層1の外側又はバリア層4の内側や外側のいずれに配置してもかまわない。
【0017】
本発明の蓋材の最も特徴的な構成は、印刷インキ層2にあり、本発明において該印刷インキ層2は、少なくともL*a*b*表色系のL*値が45〜60である灰色層を有している。本発明において、当該灰色層が遮光層の作用を示すが、L*a*b*のL*値が45以上であるため、L*値が45未満の黒色或いは黒色に近い濃色の遮光層に比較して、蓋材を引き裂いた際の破断面において目立ちにくい。尚、該灰色層のL*値が60を超えると、遮光性が不十分となり、好ましくない。
【0018】
本発明において、印刷インキ層2を特定する上記L*a*b*表色系とは、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間(均等色空間)で、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。L*a*b*表色系のL*値は明るさを表し、0〜100の範囲で数値が大きいほど明るいことを示す。また、a*及びb*は色味を表し、a*がプラスの方向になるほど赤みが強くなり、マイナスの方向になるほど緑みが強くなり、b*がプラスの方向になるほど黄みが強くなり、マイナスの方向になるほど青みが強くなり、a*b*ともに0の場合に無彩色となる。
【0019】
かかる印刷インキ層2は、好ましくは、該灰色層の少なくとも一方に白色層を有し、さらには、該灰色層の両側に白色層を備えた、白色層、灰色層、白色層の3層構成が望ましい。このように灰色層の一方、好ましくは両側に白色層を配置すると、蓋材の破断面において該灰色層が露出しにくく、より目立たなくなる。
【0020】
本発明にかかる印刷インキ層2は、通常の印刷工程によって紙層1又はバリア層4上に積層すれば良く、用いる印刷インキとしては、従来の食品包装材に用いられていたインキを用いることができる。
【0021】
本発明の蓋材に用いられる紙層1としては、印刷インキ層2の印刷に適していれば特に素材は限定されず、印刷に適したアート紙やコート紙等が好ましく用いられる。
【0022】
熱接着性樹脂層6としては、容器との良好な熱接着が実現すれば、素材は限定されないが、被包装物との接触で溶剤成分等の溶出しないものが望ましい。例えば、即席食品の包装に用いる場合には、熱湯によって構成成分が溶出せず、通常即席食品の容器として汎用されているポリスチレンとの熱接着性の良好なポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が好ましく用いられる。
【0023】
また、本発明の蓋材には、基本構成である上記紙層1、印刷インキ層2、熱接着性樹脂層6以外に、求める機能に応じた層を積層することが可能である。
【0024】
例えば、本実施形態ではバリア層4を積層しているが、該バリア層を酸素遮蔽性を有する樹脂で構成することで、被包装物の酸化や外部からの臭いが被包装物に付着するのを防止したり、被包装物の香りを保持することができる。このようなバリア層4としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、バリア層4を耐水性及び耐湿性に富む樹脂で構成することにより、被包装物が水分を多く含む場合には、該水分の外部への漏洩や蒸発を防止し、紙層1を保護することもできる。また、紙層1を外部の水分から保護するために、透明樹脂からなるPET等の保護層を紙層1の外側に設けても良い。
【0025】
本発明の蓋材の製造方法としては特に限定されないが、押し出しコートや押し出しラミネート、ドライラミネートなどを利用することができ、必要に応じて本実施形態の如く、接着層3、5を介在させることができる。接着層3、5としては、バリア層4や熱接着性樹脂層6の素材にもよるが、例えばPE等などが好ましく用いられる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
下記に示す層構成の蓋材を作製した。
・紙層:片アート紙(坪量:79.1g/m2)
・印刷インキ層:
第1層;白色インキ(東洋インキ社製;NEW−LPスーパー381白)
第2層;灰色インキ(東洋インキ社製;NEW−LPスーパー92墨とNEW−LPスーパー381白を混合)
第3層;白色インキ(東洋インキ社製;NEW−LPスーパー381白)
・接着層:PE(厚さ:15μm)
・バリア層:PET(厚さ:12μm)
・接着層:PE(厚さ:15μm)
・熱接着樹脂層:EVA(厚さ:25μm)
【0027】
上記印刷インキ層は、各インキをそれぞれ溶剤で希釈し、ザーンカップ3番で20秒の粘度とし、版深40μmの網グラビア版にて上記片アート紙の裏面に3色重ね印刷を行って形成した。尚、第2層については、墨と白の各インキの混合割合を変えて、黒ベタ〜白ベタの7種類の濃度の異なるインキを調整して用いた。
【0028】
得られた各蓋材の全光線透過率を村上色彩社製「HR−200」にて測定し、遮光性を評価した。また、各蓋材にカッターナイフで3mmのノッチを入れ、該ノッチより該蓋材を引き裂いて破断面を観察し、隠蔽性を評価した。結果を下記表1に示す。
【0029】
尚、下記表中の評価基準は以下の通りである。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、部分開封においても破断面に濃色の遮光層が観察されないため、利用者に不快感を与えることがなく、また、金属層を用いていないため、被包装物の包装後に金属探知器にかけることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓋材の一実施形態の断面模式図である。
【図2】部分開封の蓋材を用いた包装材を示す図である。
【図3】従来の蓋材の一例の断面模式図である。
【符号の説明】
1 紙層
2 印刷インキ層
3、5 接着層
4 バリア層
6 熱接着性樹脂層
21 蓋材
22 容器
23、24 突出部
25 ノッチ
31 紙層
32 接着層
33 アルミニウム層
36 熱接着性樹脂層
Claims (2)
- 基材層と、遮光層と、熱接着性樹脂層とを少なくとも備え、容器の開口部を覆って封止する蓋材において、上記基材層が紙層であり、上記遮光層が白色層、灰色層、白色層の3層構成である印刷インキ層で形成され、該灰色層が、CIE表色系におけるL*a*b*表色系のL*値が45〜60であることを特徴とする遮光性蓋材。
- 上記蓋材が、引き裂きにより部分開封可能である請求項2に記載の遮光性蓋材。
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