JP4464014B2 - セラミックヒータの製造方法、セラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグ - Google Patents

セラミックヒータの製造方法、セラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電により発熱可能なセラミックヒータの製造方法、この製造方法により製造されたセラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグに関する。更に詳しくは、発熱が均等であって、セラミックヒータの小型化、昇温性能の向上及び省電力化が可能なセラミックヒータの製造方法、セラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグに関する。本発明は、可燃性流体の着火及び燃焼等を促進するために用いるセラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグとして好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
一般のセラミックヒータは、セラミック焼結体に発熱体を埋設した構造を備える。セラミック焼結体は耐熱性に優れているため、通電により急速に発熱し、昇温させることが可能である。このセラミックヒータを用いた応用製品としては、ディーゼルエンジンの始動補助等に用いられるグロープラグがある。このグロープラグは図1及び図2に示すように発熱体22と、発熱体22へ給電を行うリード線23、24とがセラミック焼結体21に埋設されているセラミックヒータ2を、金具11に設けた構成となっている。
またグロープラグの具体例として、特許第3004134号公報、特開平10−110951号公報、特開2000−121055号公報、特開2000−130754号公報及び特開2000−193241号公報を挙げることができる。
【0003】
このようなセラミックヒータを作製するには、射出成型法等を用いて作製した未焼成の発熱体をセラミック粉末中に埋設し、プレス成型法等を用いて棒状で未焼成のセラミック成形体を形成する。次いで、この未焼成のセラミック成形体をホットプレス焼成法等の公知の焼成方法を用いて焼成し、図4に例示するような研磨前セラミックヒータ20を得る。その後、この研磨前セラミックヒータ20の外周面にセンタレス研磨等の研磨加工を施してセラミックヒータ2が得られる。
【0004】
このセラミックヒータ2を組み込んだグロープラグ1は、燃料等の可燃性流体の着火及び燃焼を促進するために、できるだけセラミックヒータの全周において均等な発熱が得られるようにすることが望ましい。また、均等な発熱を行うにはセラミック焼結体の軸の中心に発熱体を位置させることが好ましい。発熱体からセラミックヒータの表面までの距離が略同じとなり、熱の伝導が均等になるためである。
しかし、セラミック焼結体21中における発熱体22は、埋設時の位置精度を容易に高めることができず、埋設時に片寄ることがあるため温度ムラが発生して均等な発熱が十分に得られない問題がある。
この問題を解決するために、発熱体となる導電材の粒子径や粒度組成を規定することで有効発熱部領域の発熱温度分布を均一化したセラミックヒータが特開平9−180863号公報に開示されている。また、セラミックヒータを一旦発熱させてセラミックヒータ表面の温度分布を温度検出手段によって測定した後、得られた温度分布に基づいて温度の低い部分のセラミック焼結体を切削し、薄層化することで均熱化したセラミックヒータが特開平11−162620号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セラミックヒータ中における発熱体の埋設位置精度の問題のために発熱体が片寄って配設され、セラミックヒータの均熱性が低下する場合がある。これは、セラミック焼結体を製造する段階における、発熱体の位置精度及びセンタレス研磨加工時における加工精度が主な要因である。
【0006】
埋設時の発熱体の位置精度を高めるには成型圧力、焼結体の重量及び焼結体の寸法精度等の多数のパラメータを管理制御する必要がある。これらの管理制御を行うとセラミックヒータの製造工数が増えてしまい、製造コストの低減の妨げになる。また、センタレス研磨加工は、焼結体の外周に沿った研磨を行うために、研磨前の焼結体内の発熱体の位置精度が低くて片寄りがあった場合であっても、これを矯正することができず、加工後も発熱体の位置が片寄ったものとなる。このため、セラミックヒータの均熱性が低下する。
【0007】
更に、作製するセラミック焼結体の径をより大きくすることで、発熱体が片寄って埋設された場合であっても、セラミック焼結体表面及び発熱体の間の厚みを一定以上確保する必要があった。従って、余分に確保した厚みの分だけセラミックヒータの小型化が困難になるとともに、セラミック焼結体の熱容量も大きくなり、省電力化、昇温性能の向上が難しくなる問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、発熱が均等であって、小型化、昇温性能の向上及び省電力化が容易であるセラミックヒータの製造方法、この製造方法により製造されたセラミックヒータ、及びそれを備えるグロープラグを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックヒータの製造方法は、発熱体を埋設したセラミック焼結体を得る焼成工程と、画像処理手段によって該セラミック焼結体中に埋設された該発熱体の中心部を通る回転軸を求める検出工程と、該回転軸が中心になるよう該セラミック焼結体の外周を研磨する研磨工程とを備えることを特徴とする。
また、上記検出工程は、上記画像処理手段によって得られる上記発熱体の輪郭位置に基づいて上記回転軸を求める工程とすることができる。
【0010】
上記「画像処理手段」は、上記焼成工程にて作製されたセラミック焼結体中に埋設された発熱体の位置を検出し、その発熱体の中心部を求める手段である。中心部がセラミック焼結体の軸心に位置するように研磨を行うことで、均等に発熱するセラミックヒータを得ることができる。また、セラミック焼結体中に埋設された発熱体の位置を検出するには、X線検査装置及び超音波探傷装置等の公知の非破壊検査装置を用いることができる。このうち生産性を考慮すれば、X線検査装置を用いるのが好ましい。
【0011】
更に、画像処理手段に用いるX線検査装置としては、発熱体を埋設したセラミック焼結体を挟んで対向配置されたX線発生装置及びX線検出装置と、発熱体を埋設したセラミック焼結体を回転制御する回転制御手段と、発熱体を埋設したセラミック焼結体を透過したX線像の処理をして断面像を撮影したり、撮影した断面像の表示が可能なX線マイクロフォーカス装置やX線CT装置を例示することができる。
また、具体的なシステムとしては、図8に例示するようなX線検出システム3を挙げることができる。このX線検出システム3は、セラミック焼結体21に埋設される発熱体22の中心部が回転軸上となるよう研磨し、略円柱形状のセラミックヒータ2を作製するためのX線検出システム3であって、X線検知部31、回転制御部32及びX線透過像処理部33を備え、該X線検知部は、該セラミック焼結体にX線照射を行うX線照射部311と、該セラミック焼結体を透過したX線透過像を検知するX線透過像検知部312とを具備し、該回転制御部32は、該セラミック焼結体を保持しながら回転させ、該X線透過像処理部33は、該X線透過像検知部から得られたX線透過像を画像処理して該発熱体の輪郭を求める輪郭検出部332と、該輪郭検出部により得られた該輪郭に対応して上記回転の動作を該回転制御部に指示する回転指示部335と、該輪郭検出部により検出された輪郭の中心部を通過する直線を回転軸として出力する回転軸出力部333とを具備することを備えたシステムである。
【0012】
本画像処理手段は、X線検出システム3に例示するものを用いて取得した発熱体の輪郭位置に基づいて研磨時の回転軸を決定する方法を用いる。ここで、焼成工程により得られた研磨前セラミックヒータ20の断面図を図4に示す。研磨前セラミックヒータ20は図4に示すように、セラミック焼結体21に発熱体22と発熱体への通電のための線状のリード線23、24が埋設されていることがわかる。従来の製造方法では、図15に示すように発熱体22の中心部を通る回転軸25がセラミック焼結体21の中心からずれるために、発熱のむらが生じる問題が起きることがあった。
【0013】
上記問題を解決するため、セラミック焼結体を回転させてX線による撮影をした、任意の断面像における発熱体22の幅を求める。撮影する断面像の向きの制限は無いが、図4及び図6に示すように、発熱体22の最大幅(図5の100、101)と最小幅(図7の102、103)がそれぞれ得られる断面を用いるとよい。この幅は、ひとつの断面像について少なくとも2箇所求めることによって精度を向上させることができる。
【0014】
この発熱体22の輪郭を示す断面像について、幅を求めた点から発熱体の中心部を通る回転軸を求める。発熱体22の最大幅と最小幅を用いる場合は、図5及び図7に示すように、発熱体22の最大幅(図5の100、101)と最小幅(図7の102、103)における各2点、合計4点のデータから発熱体22の中心部を通る回転軸を求めることができる。この回転軸に従ってセラミック焼結体40の外周面を研磨すれば、発熱体の位置精度を飛躍的に向上させることができる。
【0015】
上記「研磨工程」は任意の回転軸によってセラミック焼結体を略円柱形状に加工することができる方法であればよく、円筒研削盤でトラバース研削を用いて研磨する方法等を例示することができる。また、上記研磨工程は、粗研磨及びセンタレス研磨をこの順に行う工程であり、該粗研磨は上記発熱体の中心部が上記回転軸となるよう、上記セラミック焼結体の外周を研磨することができる。
つまりトラバース研削等による研磨は研磨時間が掛かるため、セラミック焼結体の形状がおおよそ円柱状になるまでトラバース研削等による粗研磨を行い、その後はセンタレス研磨等によって本研磨を行うことで、発熱体の位置精度を高く保ったまま、短時間で大量の研磨が可能となる。センタレス研磨は外周面を均等厚さで研磨するため、研磨前の断面形状が略真円であれば研磨後も真円であり、且つ中心のずれがほとんど生じないためである。
【0016】
センタレス研磨加工の研磨代は通常200〜300μm(好ましくは50〜190μm、より好ましくは80〜180μm、更に好ましくは100〜160μm)の範囲に設定されることが多い。また、本発明においては、画像処理手段によって検出された発熱体の中心部を通る回転軸に沿ってセンタレス研磨加工を行うため、200μm以下の研磨代を設定することが可能である。研磨代の設定を少なくすることで、研磨工程に要する時間を短縮することができる。
尚、図3に示す研磨工程後のセラミックヒータのように、予め、セラミックヒータの先端部を研磨により丸めておけば、欠損を効果的に防止することができる。
【0017】
上記「焼成工程」としては、射出成型法、プレス成型法等の公知の一体成型法を用いて発熱体を埋設したセラミック焼結体を形成し、次いで、セラミック焼結体をホットプレス焼成法等の公知の焼成方法を用いて焼成し、セラミック焼結体を得る公知の工程を用いることができる。また、発熱体の埋設位置精度は、焼成して得られる研磨前のセラミックヒータにおいてセラミック焼結体表面から発熱体までの厚みが最低限必要な分であればよく、従来よりも精度を必要としない。本製造方法を用いることで、発熱体がセラミック焼結体の径方向の中心軸上に位置するように作製することができるためである。
【0018】
本発明のセラミックヒータは、上記セラミックヒータの製造方法により製造されたことを特徴とする。更に、本発明のグロープラグは、上記セラミックヒータを備えることを特徴とする。
セラミックヒータを構成する上記「発熱体」は、W、Ta、Nb、Ti、Mo、Zr、Hf、V及びCrから選ばれる1種以上の金属元素の珪化物、炭化物又は窒化物等のうちの少なくとも1種から焼成され、形成することができる。また、上記「セラミック焼結体」は、通常、窒化珪素を主成分とする窒化珪素質焼結体であるが、これに少量の窒化アルミニウム、アルミナ等が含有されるものであってもよい。また、サイアロンであってもよい。
更に、発熱体及びセラミック焼結体は、その熱膨張係数が互いに大きな差がないものが好ましい。熱膨張係数の差が小さければ、ヒータ使用時に発熱体とセラミック焼結体との界面近傍における亀裂の発生が抑えられるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜15を用いて本発明のセラミックヒータの製造方法、この製造方法により製造されたセラミックヒータ、及びそれを備えるグロープラグを実施例により更に詳しく説明する。
1.セラミックヒータの製造方法
(1)焼成工程
始めに窒化珪素粉末に、タングステンカーバイド及び焼結助剤を配合したものを、スプレードライヤー法により造粒して造粒粉末を作製する。次いでこの造粒粉末をプレス成形してU字状の未焼成発熱体を作製する。
また別途、窒化珪素粉末に、焼結助剤を配合したものをスプレードライヤー法により造粒して造粒粉末を作製する。この造粒粉末中に上記未焼成発熱体及び電極端子を埋設した後、プレス成形により一体化した未焼成セラミックヒータを得る。
更に、未焼成セラミックヒータを600℃の窒素雰囲気で2時間仮焼を行うことでバインダーを除去し、セラミック仮焼体を得る。
【0020】
一方、ホットプレスに用いる黒鉛製成形型の表面に離型剤を塗布する。この離型剤は、主成分である窒化ホウ素粉末と、上記造粒粉末で用いた窒化珪素粉末及び焼結助剤と、バインダとをエタノールに混合したペースト状物である。上記成形型を用いてセラミック仮焼体を窒素雰囲気下でのホットプレスにより焼結して、図4及び図6に示すような、発熱体を埋設した略直方形状の研磨前セラミックヒータ20を得る。
【0021】
(2)検出工程
「(1)焼成工程」にて得られた研磨前セラミックヒータ20内の発熱体22の輪郭像を、図8に示すX線検出システム3によって求め、研磨時の回転軸を検出する。このX線検出システム3は、X線検知部31、回転制御部32及びX線透過像処理部33を備える。X線検知部31は、X線照射部311及びX線透過像検知部312を具備するX線マイクロフォーカス装置である。また、X線照射部311は、研磨前セラミックヒータ20のX線透過像を検知するためのX線源である。更に、X線透過像検知部312はX線照射部311から発せられ、研磨前セラミックヒータ20を透過したX線透過像の検知を行い、得られた信号を331に送信する。
また、回転制御部32は、X線検知部31にてX線透過像の検知を行う研磨前セラミックヒータ20を保持しながら任意の角度だけ回転させる装置である。
【0022】
X線透過像処理部33は、画像信号取込部331、輪郭検出部332、画像出力部333、画像表示部334及び回転指示部335を備える。
画像信号取込部331は、X線透過像検知部312から送信されるX線透過像信号を取り込む。また、輪郭検出部332は、画像信号取込部331によって得られたX線透過像信号を画像処理して発熱体の輪郭を求める装置である。更に、画像出力部333は回転軸出力部であり、検出された輪郭からその幅を求めて対応する回転軸を求め、その表示をX線透過像に重ねて、回転軸の位置や画像データを画像表示部334に出力する装置である。回転指示部335は、輪郭検出部332によって検出された輪郭に対応して回転動作の制御を行うため回転制御部32に指示する装置である。
【0023】
上記X線検出システム3を用いて研磨時の回転軸を決定する手順を順に説明する。
研磨前セラミックヒータ20のX線透過像から得ることができるセラミック焼結体21及び発熱体22(図4参照)の輪郭像は一種類に限られず、研磨前セラミックヒータ20の長尺方向を軸として回転させることで、例えば図4及び図6に示すように、撮影した方向によって異なる輪郭像を得ることができる。また、発熱体22の形状はU字形状であるため、図5に示すように輪郭像がU字形状にみえる平面像の場合は、その幅261、262が最大となり、図7に示すように輪郭像が棒形状にみえる側面像の場合は、その幅263、264が最小となる。
【0024】
つまり、研磨前セラミックヒータ20を回転制御部32によって回転させて、発熱体22の輪郭の幅が最小及び最大となる2種類のX線透過像を得ることで、研磨時の回転軸の位置決定に必要な発熱体22の位置を特定することができる。
また、この2種類のX線透過像における発熱体22の輪郭像を横断する、2本の横断線(図6においては261、262、図7においては263、264)の中間点を通過する直線25は、発熱体である発熱体22の中心部を通過する線であり、これを研磨時の回転軸として出力することで、研磨時の回転軸を決定することができる。
【0025】
以下、研磨時の回転軸を決定する具体的な手順を説明する。初めに、回転軸を求める研磨前セラミックヒータ20をその長尺方向が回転軸となるように回転制御部32へ取付ける。また、研磨前セラミックヒータ20のX線透過像をX線検知部31を用いて取得し、画像信号取込部331を介して輪郭検出部332へ送信し、輪郭検出部332によってセラミック焼結体21及び発熱体22(図4参照)の輪郭像を求める。更に、発熱体22の横断線(図5における261、262、図7における263、264)を求め、この線長が最小又は最大となる輪郭像が得られるまで、回転指示部335を介して回転制御部32へ指示を送信し、研磨前セラミックヒータ20を回転させる。
【0026】
次いで、画像出力部333は得られた最大横断線261、262と最小横断線263、264のそれぞれの中間点を通過する直線25を回転軸として求め、その表示をX線透過像に重ねて画像表示部334に出力する。
また、研磨前セラミックヒータ20に得られた回転軸の位置は、研磨時に利用できるように記憶される。この例として、回転軸の位置をレーザ光によって研磨前セラミックヒータ20の回転軸が露出する面に刻印したり、回転軸の位置を再現可能な座標情報として研磨時の固定装置に送信することを挙げることができる。
【0027】
(3)研磨工程
「(2)検出工程」にて求めた回転軸を回転の中心となるよう、セラミック焼結体21を円筒研削盤に固定し、セラミック焼結体21の外周をトラバース研削によって粗研磨を行う。次いで、センタレス研磨加工による本研磨を行って目的とするセラミックヒータ2を得る。この作製されたセラミックヒータ2は、図3に示すようにセラミック焼結体21中の先端側の径方向の中心軸上に発熱体22が位置し、この発熱体22に電流を流すためのリード線23、24が接続されてセラミック焼結体21の外周に導かれている。
【0028】
(4)グロープラグの作製
上記(1)〜(3)の各工程を経ることによって作製されたセラミックヒータ2を金具11内に挿入固定し、図1に示すようなグロープラグ1を作製する。
このグロープラグ1は、発熱する部位である先端側に発熱体22が配置される形でセラミックヒータ2を備える。セラミックヒータ2は、金属製の外筒12に貫装、保持される。一方、この外筒12は金具11の先端側にロウ付けにより固定される。尚、金具11の外周には、グロープラグ1をエンジンに取り付けるための取り付けねじ部13が螺刻され、さらに取り付ける際にインパクトレンチをあてがうための六角状の工具係合部14が形成されている。
【0029】
2.芯振れの検討
本製造方法によって作製された直径3.34mmの実施例と、粗研磨を行わずにセンタレス研磨を行った直径3.5mmの比較例のセラミックヒータを用意し、その発熱体22が埋設されている部位を切断して、セラミックヒータの中心軸に対する発熱体の中心部を通る回転軸のずれ(以下、「芯振れ」という。図15を参照。)を計測し、プロットした結果を図9〜12に示す。
図9及び図10は実施例のセラミックヒータの芯振れのプロットであり、図9は先端側(図5では262)、図10は端子側(図5では261)である。また、セラミックヒータの先端からそれぞれ5mm、10mmの位置である。
一方、図11及び図12は比較例のセラミックヒータの芯振れのプロットであり、図11は先端側、図12は端子側である。尚、発熱体及びセラミック焼結体表面の間の最小厚さは、実施例及び比較例のいずれも0.16mm以上である。
【0030】
図9及び図10に示すように、本実施例のセラミックヒータでは、発熱体のヒータ先端側及び端子側のいずれも芯振れが約0.04mm以内と、約±1%の誤差内に収まっていることがわかる。一方、図11及び図12に示すように、比較例のセラミックヒータでは、約0.1mm以内と、約±3%の誤差が生じており、実施例より発熱体の片寄りが大きいことがわかる。
このように、芯振れが少なく発熱体が中心に位置するセラミックヒータは、セラミック焼結体の外周から発熱体までの距離が一様であり、均等な発熱を行うことができる。
【0031】
3.発熱特性の検討
印加電圧が10V、11Vの条件で、上記「2.芯振れの検討」と同じ実施例及び比較例のセラミックヒータの発熱特性を求め、図13及び図14に示す。図13に示すように印加電圧が10Vの場合、比較例のセラミックヒータの発熱温度が1120〜1160℃であるのに対し、芯振れが少なく外形を細くすることができたため、表面積が少なくなり熱逃げによるロスが少なくなった本実施例のセラミックヒータでは1170〜1210℃と高温を得ることができた。また、比較例の平均電力が81.5Wであるのに対し、実施例の平均電力が80.0Wと低消費電力であった。
更に、図14に示すように印加電圧が11Vの場合、比較例が1230〜1280℃、93.2Wであるのに対し、本実施例は1290〜1330℃と高温・低消費電力のセラミックヒータを得ることができた。
【0032】
4.本セラミックヒータの製造方法、セラミックヒータ及びグロープラグの効果本セラミックヒータの製造方法は、画像処理手段によってセラミック焼結体中に埋設された発熱体の中心部を通る回転軸を求めることができるため、その回転軸を径方向の中心軸上としてセラミック焼結体の外周を研磨することで、従来のようなセラミック焼結体の作製時の厳重な精度の管理をしなくても、セラミック焼結体中に埋設された発熱体の中心位置の精度を高めることができる。
また、セラミックヒータの製造方法によって作製されるセラミックヒータは、発熱体が片寄って埋設された場合を考慮して、セラミック焼結体表面と発熱体との厚みを余分に確保する必要がなく、同じ発熱体を用いてより直径を小さくすることができ、小型化が従来より容易になる。その結果、発熱体から発せられる熱がより短い時間でセラミック焼結体の外周に伝導し、セラミックヒータの昇温性能が向上する。また、発熱の伝達時間の短縮、発熱むらの減少及び熱容量の減少によって、必要な発熱に要する電力を低減することができる。
【0033】
更に、本発明のセラミックヒータの製造方法は、従来の製造方法のような分割予備成形体や複合成形体を作製するプレス成形工程における発熱体の埋設位置精度の管理を厳密にする必要がなく、製造歩留まりの向上及び製造コストの低減を図ることができる。
また、このようなセラミックヒータを用いたグロープラグは、発熱時の温度ムラが発生しにくく、ディーゼルエンジン等の内燃機関の着火部材に用いた場合、着火性の向上を図ることができる。
【0034】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、セラミック焼結体及び発熱体の形状は実施例に示す直方体形状及びU字形状に限られず、任意の形状とすることができるし、発熱体及びリード線の材質も任意に選択することができる。例えば、発熱体の形状はコイル形状、U字形状の発熱線に発熱コイルを巻きつけた複合型、及び板状型等を挙げることができる。また、リード線に低抵抗のセラミック導電体を用いることができる。更に、発熱体を抵抗が異なる複数のセラミック導電体を用いて構成することができる。また、セラミックヒータには、外部のイオン電流を検出するための電極を別途設けてあってもよい。
【0035】
また、本実施例では、横断線261、262等が最大及び最小となる2種類のX線透過像を用いて回転軸を決定したが、これに限らず、異なった基準で得た2種類のX線透過像を用いて回転軸を決定することができる。例えば、セラミック焼結体の方向(例えば平面及び側面となる位置)を基準にする2種類のX線透過像を用い、これらのX線透過像から横断線261、262等を求め、その中間点を通過する直線から回転軸を決定することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明のセラミックヒータの製造方法によれば、作製したセラミック焼結体の軸心に発熱体が位置しているため、発熱が均等を得ることができる。また、小型化、昇温性能の向上及び省電力化が容易である。
更に、この製造方法により製造されたセラミックヒータ、及びそれを備えるグロープラグにおいても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックヒータを備えるグロープラグを説明するための模式断面図である。
【図2】グロープラグのセラミックヒータ部分を説明するための部分拡大断面図である。
【図3】セラミックヒータ内の発熱体の好ましい位置を説明するための平面からみた模式断面図である。
【図4】研磨前のセラミック焼結体の形状と、発熱体の位置を説明するための平面からみた模式断面図である。
【図5】発熱体の横断線の位置を説明するための平面からみた模式断面図である。
【図6】研磨前のセラミック焼結体の形状と、発熱体の位置を説明するための平面からみた模式断面図である。
【図7】 発熱体の横断線の位置を説明するための平面からみた模式断面図である。
【図8】 本セラミックヒータの製造装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図9】 実施例のセラミックヒータの先端側(図5では101)で求めた発熱体の芯振れのプロット図である。また、X軸は図5における左右方向、Y軸は図6における左右方向である。
【図10】実施例のセラミックヒータの端子側(図5では100)で求めた発熱体の芯振れのプロット図である。また、X軸は図5における左右方向、Y軸は図6における左右方向である。
【図11】比較例のセラミックヒータの先端側(図5では101)で求めた発熱体の芯振れのプロット図である。また、X軸は図5における左右方向、Y軸は図6における左右方向である。
【図12】比較例のセラミックヒータの端子側(図5では100)で求めた発熱体の芯振れのプロット図である。また、X軸は図5における左右方向、Y軸は図6における左右方向である。
【図13】実施例及び比較例のセラミックヒータに10V電源を接続した時の先端温度を示すグラフである。
【図14】実施例及び比較例のセラミックヒータに11V電源を接続した時の先端温度を示すグラフである。
【図15】芯振れの状態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1;グロープラグ、11;金具、12;外筒、2;セラミックヒータ、20;研磨前セラミックヒータ、21;セラミック焼結体、22;発熱体、23、24;リード線、25;回転軸、3;X線検出システム、31;X線検知部、311;X線照射部、312;X線透過像検知部、32;回転制御部、33;X線透過像処理部、331;画像信号取込部、332;輪郭検出部、333;画像出力部、334;画像表示部、335;回転指示部。

Claims (5)

  1. 発熱体を埋設したセラミック焼結体を得る焼成工程と、
    画像処理手段によって該セラミック焼結体中に埋設された該発熱体の中心部を通る回転軸を求める検出工程と、
    該回転軸が中心になるよう該セラミック焼結体の外周を研磨する研磨工程とを備えることを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
  2. 上記検出工程は、上記画像処理手段によって得られる上記発熱体の輪郭位置に基づいて上記回転軸を求める工程である請求項1に記載のセラミックヒータの製造方法。
  3. 上記研磨工程は、粗研磨及びセンタレス研磨をこの順に行う工程であり、該粗研磨は上記発熱体の中心部が上記回転軸となるよう、上記セラミック焼結体の外周を研磨する請求項1又は2に記載のセラミックヒータの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセラミックヒータの製造方法により製造されたことを特徴とするセラミックヒータ。
  5. 請求項4に記載のセラミックヒータを備えることを特徴とするグロープラグ。
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