JP2010182443A - セラミックヒータ及びグロープラグ - Google Patents

セラミックヒータ及びグロープラグ Download PDF

Info

Publication number
JP2010182443A
JP2010182443A JP2009022569A JP2009022569A JP2010182443A JP 2010182443 A JP2010182443 A JP 2010182443A JP 2009022569 A JP2009022569 A JP 2009022569A JP 2009022569 A JP2009022569 A JP 2009022569A JP 2010182443 A JP2010182443 A JP 2010182443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic heater
heat generating
axis
ceramic
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009022569A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5280877B2 (ja
Inventor
Yoshihito Igai
良仁 猪飼
Yutaka Yokoyama
裕 横山
Yutaka Sekiguchi
豊 関口
Takeshi Mitsuoka
健 光岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2009022569A priority Critical patent/JP5280877B2/ja
Publication of JP2010182443A publication Critical patent/JP2010182443A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5280877B2 publication Critical patent/JP5280877B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Resistance Heating (AREA)

Abstract

【課題】 この発明は、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたセラミックヒータ及びグロープラグを提供することを課題とする。
【解決手段】 このセラミックヒータは、絶縁性セラミックで形成され、先端から後端へ軸線方向へ延びる基体と、導電性セラミックで形成され、前記基体の先端側に埋設され、折り返し形状を有する発熱部と、前記基体の後端側に埋設され、前記発熱部に通電する一対のリード部と、を有するセラミックヒータであって、前記軸線に直交する平面で切断したときの断面における、前記基体表面から正極側の発熱部までの最短距離をA、前記基体表面から負極側の発熱部までの最短距離をBとすると、A<Bを満たすことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、セラミックヒータ及びグロープラグに関し、さらに詳しくは、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたセラミックヒータ及びグロープラグに関する。
ディーゼルエンジン、及び各種センサー等には、その始動を補助し、又は、早期に活性化させるために、グロープラグ、センサー用加熱ヒータ、及びファンヒータ用加熱ヒータ等が用いられる。例えば、ディーゼルエンジンは、シリンダ内に吸入した空気を圧縮し、断熱圧縮により高温になった空気に燃料を噴霧することで自己着火して燃焼するが、ディーゼルエンジンを冬季に始動させる場合、寒冷地で始動させる場合等には、外気及びエンジン本体等の温度が低いので圧縮だけで燃焼室内の空気を自己着火に必要な温度まで到達させることは容易ではない。そこで、ディーゼルエンジンには燃料の着火源としてグロープラグが使用されている。このようなグロープラグ用ヒータ、センサー用加熱ヒータ、及びファンヒータ用加熱ヒータ等として、例えば、絶縁性のセラミック基体内に、例えば導電性セラミック等で形成された抵抗発熱体を埋設した構造を有するものが知られている。
ところで、ディーゼルエンジンは、金属同士の接触面を潤滑して摩擦を少なくするべく、接触面にはエンジンオイルが介在している。正常動作しているディーゼルエンジンにおいても極少量のエンジンオイルが燃焼室へ滲入しうるが、ピストンリングの不具合等に起因して、燃焼室内に比較的多量のエンジンオイルが入り込むことがある。そうすると、セラミックヒータはエンジンオイル及びエンジンオイルを含む燃焼ガスに曝されることになる。このとき、セラミックヒータ、特にその先端部分にエンジンオイルが付着すると、エンジンオイルの有機成分が燃焼又は揮発して、エンジンオイルに含まれる灰分例えばカルシウム成分、亜鉛成分、イオウ成分、リン成分等がセラミックヒータ、特にその先端部分に付着・析出する。このようにして付着・析出した灰分、特にカルシウム成分によって、セラミックヒータ、特にその先端部分が腐食されることがある。セラミックヒータ、特にその先端部分が腐食されると、内部に埋設された抵抗発熱体が露出して酸化され、グロープラグが所期の機能を十分に発揮することができなくなる。
また、近年のディーゼルエンジンにおいては、グロープラグの発熱温度の高温化が要求されており、セラミックヒータの発熱温度が1250℃を超えることがある。このような高温環境に耐えるセラミックヒータの基体の材料として、耐熱衝撃性、耐高温強度、及び耐酸化性等に優れる点で、窒化珪素質セラミックが挙げられる。しかし、窒化珪素及びその表面に存在する酸化珪素は高温でカルシウム成分等と反応しやすい。したがって、セラミックヒータの発熱温度が1250℃を超えると、エンジンオイル中に含まれる灰分、特にカルシウム成分によってセラミックヒータが腐食されやすくなり、特に1350℃程度になると、セラミックヒータは急速に腐食されてしまう。このように、基体が窒化珪素質セラミックで形成されているセラミックヒータは、カルシウム成分等によって急速に腐食されてしまうおそれがある。
そこで、コーティング層を有するセラミックヒータがいくつか提案されている。例えば、特許文献1には「窒化珪素のグロープラグを酸化タンタルでコーティングする方法」(0001欄、請求項1等参照。)が、特許文献2には「Si質焼結体内に埋設した発熱抵抗体に通電して発熱するようにしたグロープラグにおいて、前記Si質焼結体の表面にAlセラミックコーティング層を被着したことを特徴とする高耐蝕性グロープラグ」(特許請求の範囲(1)参照。)がそれぞれ記載されている。しかし、このようなコーティング層を有するセラミックヒータは、ディーゼルエンジンの駆動によって繰り返される加熱・冷却サイクルでコーティング層が基体から剥離してしまう。このため、セラミックヒータが腐食され易くなってしまう。
特開平09−178183号公報 特開昭63−297925号公報
この発明は、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたセラミックヒータ及びグロープラグを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、
(1)絶縁性セラミックで形成され、先端から後端へ軸線方向へ延びる基体と、
導電性セラミックで形成され、前記基体の先端側に埋設され、折り返し形状を有する発熱部と、
前記基体の後端側に埋設され、前記発熱部に通電する一対のリード部と、
を有するセラミックヒータであって、
前記軸線に直交する平面で切断したときの断面における、前記基体表面から正極側の発熱部までの最短距離をA、前記基体表面から負極側の発熱部までの最短距離をBとすると、A<Bを満たすことを特徴とするセラミックヒータであり、
前記(1)の好ましい態様としては、
(2)0.2<A/B<0.95を満たすことを特徴とする(1)に記載のセラミックヒータであり、
(3)前記発熱部は、前記軸線に直交する平面で切断したときに現れる2つの断面部の断面形状が楕円であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のセラミックヒータであり、
前記課題を解決するための他の手段としては、
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセラミックヒータを備えてなるグロープラグである。
この発明に係るセラミックヒータは、基体の軸線に直交する平面で切断したときの断面における、基体表面から正極側の発熱部までの最短距離Aよりも基体表面から負極側の発熱部までの最短距離Bの方が大きく形成されて成る。したがって、従来は絶縁性セラミックで形成された基体にエンジンオイルが付着すると、これに含まれるカルシウム成分等により、基体特に負極側の発熱部が埋設されて成る領域が腐食され易かったのが、この発明によると、基体における負極側の発熱部が埋設されて成る領域が選択的に腐食されるのを防止することができる。したがって、この発明によれば、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたセラミックヒータを提供することができる。また、この発明に係るグロープラグはこの発明に係るセラミックヒータを備えているから、この発明によれば、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたグロープラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るセラミックヒータの一実施例であるセラミックヒータを示す、軸線C及び軸線Jを含む平面で切断したときの概略断面図である。 図2は、図1におけるセラミックヒータの先端領域近傍を示す拡大断面図である。 図3は、図2におけるセラミックヒータの軸線Cに直交する平面Pで切断したときの断面CPを示す断面図である。 図4は、図2に示される先端領域近傍の表面温度分布をサーモグラフィで計測して得られる側面投影画像を説明する説明図である。 図5は、この発明に係るセラミックヒータの別の実施例であるセラミックヒータの軸線に直交する平面で切断したときの断面CPを示す断面図である。 図6は、この発明に係るセラミックヒータのまた別の実施例であるセラミックヒータを示す、軸線C及び軸線Jを含む平面で切断したときの概略断面図である。 図7は、この発明に係るグロープラグの一実施例であるグロープラグを示す概略断面図である。
この発明に係るセラミックヒータの一実施例であるセラミックヒータを、図面を参照して説明する。図1は、軸線C及び軸線Jを含む平面で切断したときの概略断面図である。このセラミックヒータ1は、図1に示されるように、軸線C方向に延在する棒状の基体30と、この基体30に埋設された抵抗体40とを備えてなる。
抵抗体40は、基体30の先端側に埋設され、折り返し形状を有する発熱部42と、発熱部42に接続される先端部から電極取出部45、46まで軸線C方向に延在する一対のリード部41,41とを有している。このセラミックヒータ1において、発熱部42と一対のリード部41,41とは一体に形成されている。発熱部42は、一個の先端発熱部44と、先端発熱部44の端部それぞれから軸線C方向に延在して形成される一対の中間発熱部43,43とを有し、先端発熱部44と一対の中間発熱部43,43とが一体に形成されている。このセラミックヒータ1における先端発熱部44と一対の中間発熱部43,43それぞれとの境界及び一対の中間発熱部43,43それぞれと一対のリード部41,41それぞれとの境界は、図1においてそれぞれ破線で示されている。
一対のリード部41,41は、発熱部42に通電するためのものであり、基体30の軸線Cを挟んでその両側に軸線Cに沿って略平行となるように基体30の後端面33まで延伸し、基体30の後端面33に露出している。電極取出部45,46は、基体30の外周面に露出するように設けられている。リード部41,41それぞれは、電極取出部45,46を除き、それぞれの軸線Jに垂直な平面で切断したときの断面部が軸線J方向にほぼ一定の面積を有するように、一対の中間発熱部42,42に接続される先端から後端面33に露出している後端まで略同一の楕円形状になっている。リード部41,41それぞれは基本的に互いに同じ形状及び同じ寸法で形成されているが、形状及び寸法は基体30の形状及び寸法、要求される温度等に応じて適宜調整することができる。なお、前記軸線Jは前記リード部41の長手方向に直交する断面における、それぞれの重心を結んだ直線である。このセラミックヒータ1においては、電極取出部45からリード部41を介して発熱部42、リード部41、電極取出部46へと電流が流れる。
図2は、図1におけるセラミックヒータ1の先端領域近傍を示す拡大断面図である。図2に示されるように、先端発熱部44は、抵抗体40の最先端に位置し、略円弧状又は略U字状に成形されている。先端発熱部44は、一対の中間発熱部43,43を介して、一対のリード部41,41が接続されている。一対の中間発熱部43,43は、軸線Cに垂直な平面で切断したときのそれぞれの断面積が先端に向かって漸減している。中間発熱部43,43それぞれは基本的に対称に形成されているが、形状及び寸法は基体30の形状及び寸法、要求される温度等に応じて適宜調整することができる。
先端発熱部44は、その延在方向の断面積が一対の中間発熱部43,43の先端部における断面積と同一か又はそれよりも小さくなるように細く形成されている。このセラミックヒータ1においては、抵抗体40に電圧が印加されると発熱部42が発熱して高温となり、最も高温に達する最高発熱部47は、先端発熱部44と一対の中間発熱部43,43それぞれとの境界付近に存在する。換言すると、発熱部42の長手方向に直交する断面積が小さくなる領域で発熱し、このセラミックヒータ1においては、先端発熱部44と一対の中間発熱部43,43それぞれとの境界付近に発熱部42の長手方向に直交する断面積が最も小さくなる領域を有し、この付近に最高発熱部47が存在する。
図3は、図2におけるセラミックヒータ1の軸線Cに直交する平面Pで切断したときの断面CPを示す断面図である。発熱部42は、軸線Cに直交する任意の平面Pで切断したときの断面CPにおける、基体30表面から正極側の発熱部42までの最短距離をA、基体30表面から負極側の発熱部42までの最短距離をBとすると、A<Bを満足している。換言すると、抵抗体40に通電したときに発熱する領域において、負極側の発熱部42は正極側の発熱部42よりも基体30の内側に埋設されている。発熱部42がA<Bを満たすように基体30に埋設されていると、絶縁性セラミックで形成された基体30にエンジンオイルが付着した場合に、これに含まれるカルシウム成分等により、基体30における負極側の発熱部42が埋設されて成る領域が選択的に腐食されるのを防止することができる。
発熱部42が基体30に埋設される位置は、A<Bを満足している限り特に限定されないが、0.2<A/B<0.95を満足するのが好ましい。前記範囲内であると、基体30における負極側の発熱部42が埋設されて成る領域が選択的に腐食されるのを、さらに効果的に防止することができる。
抵抗体40に通電したときに基体30の表面が最も高温に達する最高発熱部34付近は、エンジンオイルに含まれるカルシウム成分等により、特に腐食され易い。したがって、基体30の最高発熱部34付近に埋設されている発熱部42が、0.2<A/B<0.95を満足するのが特に好ましい。
先端発熱部44、中間発熱部43及びリード部41を有する抵抗体40は、一対のリード部41,41それぞれの軸線J及び前記軸線Cを含む平面で切断したときの断面形状が、図2に示されるように、両脚が伸びた略U字型を成している。このセラミックヒータ1において、この略U字型の抵抗体40の軸線Dは、基体30の軸線Cよりも正極側の抵抗体40が埋設されている方向に僅かにずれて配置されている。このセラミックヒータ1は、このように軸線Dが軸線Cに対して略平行にずらして配置されることにより、A<Bを満足している。なお、抵抗体40の軸線Dは、抵抗体40の長手方向に直交する断面それぞれの重心を結んだ直線である。
基体30の表面から発熱部42までの最短距離A,Bは次のようにして計測することができる。まず、セラミックヒータ1における半径方向の複数方位から、セラミックヒータ1をX線透過撮影して、複数の撮影フィルムを得る。そして、基体30の表面から正極側の発熱部42及び負極側の発熱部42までの距離をそれぞれ測定し、測定された最小の距離をそれぞれ最短距離A,Bとする。なお、腐食したセラミックヒータの最短距離A,Bを計測する場合には腐食する前の基体30の仮想外周面からの距離とする。
基体30の最高発熱部34の位置を特定する方法としては以下の方法が挙げられる。セラミックヒータ1に電圧を印加して飽和温度まで発熱させた後、セラミックヒータ1の側面方向、すなわち棒状体のセラミックヒータ1の軸線Cに直交する方向からサーモグラフィでセラミックヒータ1の温度分布を計測すると、例えば図4に示される表面温度分布表示された側面投影画像が得られる。得られた側面投影画像において、最も高温に達した部分Hの中心位置を基体30の最高発熱部34とすることができる。なお、セラミックヒータ1に電圧を印加したときの飽和温度としては、例えば1350℃が挙げられる。
基体30の最高発熱部34付近における、最短距離A、Bを測定する場合には次のようにして計測することができる。まず、前記のようにサーモグラフィで基体30の最高発熱部34を特定する。一方、セラミックヒータ1における半径方向の複数方位から、セラミックヒータ1をX線透過撮影して、複数の撮影フィルムを得る。そして、前記のようにして特定した最高発熱部34に対応する位置において、すなわち最高発熱部34を通り基体30の軸線Cに直交する断面において基体30の表面から正極側の発熱部42及び負極側の発熱部42までの距離をそれぞれ測定し、測定された最小の距離をそれぞれ最短距離A、Bとする。
発熱部42は、基体30の最高発熱部34における、基体30の表面から正極側の発熱部42までの最短距離Aと基体30の表面から正極側の発熱部42までの最短距離Bとが、A<Bを満足し、かつ最短距離A,Bが0.1〜0.9mmに調整されているのが好ましく、最短距離A,Bが0.2〜0.7mmに調整されているのが特に好ましい。最短距離Aと最短距離Bとが前記範囲内にあると、基体30における負極側の発熱部42が埋設されて成る領域が選択的に腐食されるのを防止することができると共に、セラミックヒータ1を所定の温度に加熱するときに先端発熱部44を必要以上に発熱させる必要がないから、基体先端部32の表面に例えば1250℃以上になる高温領域が必要以上に大きくなるのを防止することができ、その結果、エンジンオイルに含まれるカルシウム成分等により基体先端部32が腐食される領域が必要以上に大きくなることを防止することができる。
発熱部42における一対の中間発熱部43,43は、図3に示されるように、軸線Cに直交する平面Pで切断したときに2つの断面部48,48が現れる。このセラミックヒータ1において、これらの断面部48,48の断面形状は、楕円形であり、一対の中間発熱部43,43が対向する方向に圧縮された楕円形となっている。すなわち、この2つの楕円の短径が、基体30の軸線Cと断面CPとの交点Oと、断面部48,48の重心O,Oとを結ぶ直線上にある。
前記断面部48,48の断面形状は、基体30の形状及び寸法、要求される温度等に応じて適宜調整することができ、例えば円形、楕円形、半円形、半楕円形、多角形、扁平状、及び棒状等の形状を挙げることができる。断面部48,48の断面形状は、交点Oと重心O,Oとを結ぶ直線上における断面部48,48の長さが、これに直交する方向の長さよりも小さくなる形状が特に好ましく、例えばこのような条件を満足する楕円形が特に好ましい。一対の中間発熱部43,43の断面形状が交点Oと重心O,Oとを結ぶ直線上における断面部48,48の長さが、これに直交する方向の長さよりも小さくなる形状であると、基体30の表面温度が均一に成り易いので、局所的に基体30の表面が高温になることにより、その高温部が選択的に腐食されるのを防止することができる。
図1及び図2に示されるように、抵抗体40を埋設する基体30は、一対のリード部41,41の全部及び一対の中間発熱部43,43の全部又は一部を埋設する同径部31と、同径部31の先端部から軸線C方向に延在し、先端発熱部44の全部又は先端発熱部44の全部及び一対の中間発熱部43,43の一部を埋設する基体先端部32とを有している。なお、図1及び図2において、このセラミックヒータ1における同径部31と基体先端部32との境界は破線で示されている。
同径部31は、軸線C方向に延在する棒状体とされ、一対のリード部41,41及び一対の中間発熱部43,43を内蔵することができる形状及び大きさになっている。このセラミックヒータ1において、同径部31の軸線C方向に直交する断面形状は、略円形に形成されているが、要求される性能により、例えば、楕円形及び多角形等の適宜の形状に調整することができる。
基体先端部32は、先端発熱部44の全部又は先端発熱部44の全部及び一対の中間発熱部43,43の一部を埋設し、このセラミックヒータ1において、基体先端部34は最高発熱部34を有している。換言すると、このセラミックヒータ1において、抵抗体40は、セラミックヒータ1の最高発熱部34が基体先端部32内に位置するように形成されて基体30に埋設されている。図1及び図2において、基体先端部32は破線よりも先端側に位置する。
基体先端部32は、同径部31の先端部から軸線C方向に凸状に突出する曲面で形状されている。このような曲面で形成された基体先端部32の形状として、例えば、軸線C方向の先端側に凸状に突出する、半球状、半楕円体状、錐状、テーパ状、R状、錐台状等が挙げられる。セラミックヒータ1において、基体先端部32は、軸線C方向の先端側に全面が凸状に突出する半球状、半楕円体状、錐状であるのが好ましく、軸線C方向の先端側に全面が凸状に突出する半球状又は半楕円体状に形成されている。基体先端部32が軸線C方向の先端側に凸状に突出する曲面で形状されていると、特に、軸線C方向の先端側に全面が凸状に突出する半球状又は半楕円体状に形成されていると、たとえ基体先端部32にエンジンオイル及びその灰分が付着してもこれらが流動及び除去され易く、さらに、一部が腐食されても、この腐食された部分は一旦平面状となった後に、深さ方向に腐食が進行するから、結果的に、基体先端部32のカルシウム成分等に対する耐食性をさらに向上させることができる。これに対して、基体先端部32が前記した曲面で形成されていないと、前記灰分によってピット状に腐食が生じ、そのピット状腐食部分の腐食が局所的に進行して、基体先端部32のカルシウム成分等に対する耐食性を維持することができなくなることがある。
セラミックヒータ1の寸法(前記した寸法を除く。)の一例を挙げると、セラミックヒータ1の全長(軸線C方向長さ)は40〜60mm、セラミックヒータ1(同径部31)の直径は2〜4mm、セラミックヒータ1の表面から抵抗体40までの距離は100〜900μm、一対のリード部41,41の軸線JJ間隔は0.5〜2mmである。
この発明に係るセラミックヒータにおける別の一実施例であるセラミックヒータ2は、図5に示されるように、基体302の軸線Cに直交する平面で切断したときの断面CPにおける、発熱部422の断面部482,482の形状が扁平状又は棒状になっていること以外は、セラミックヒータ1と同様に形成されている。したがって、このセラミックヒータ2の発熱部422は、A<Bを満足している。
この発明に係るセラミックヒータにおけるまた別の一実施例であるセラミックヒータ3は、図6に示されるように抵抗体403の軸線Dが基体303の軸線Cに対して正極側の発熱部42の方向に傾いていること以外は、セラミックヒータ1と同様に形成されている。抵抗体403の軸線Dは、基体303の全長の2分の1となる位置を中心にして正極側の発熱部42の方向に傾いており、このセラミックヒータ3においては、抵抗体403の軸線Dと基体303の軸線Cとのなす角θは2°である。したがって、このセラミックヒータ2の発熱部423は、基体303の最高発熱部343付近において、A<Bを満足している。
基体の軸線Cと抵抗体の軸線Dとのなす角θは、基体の表面から発熱部までの最短距離A,Bが100μm以上となる範囲内において、セラミックヒータ及び抵抗体の寸法に応じて適宜調整することができる。
セラミックヒータの基体を形成する絶縁性セラミックとして、窒化珪素質セラミック等が挙げられる。窒化珪素質セラミックの組織は、窒化珪素(Si)を主成分とする主相粒子が、後述の焼結助剤成分等に由来した粒界相により結合された形態のものである。なお、主相は、Si又はNの一部が、Al又はOで置換されたもの、さらには、相中にLi、Ca、Mg、Y等の金属原子が固溶したものであってもよい。例えば、次の一般式にて表されるサイアロンを例示することができる。なお、「主成分」とはセラミック中の最も質量の高い成分をいう。
(1)β−サイアロン:Si6−ZAl8−Z (zは0超4.2以下)
(2)α−サイアロン:M(Si,Al)12(O,N)16 (xは0超2以下)
ここで、MはLi,Mg,Ca,Y,R(RはLa,Ceを除く希土類元素)である。
また、窒化珪素質セラミックには、IUPAC1990年勧告に基づく周期表における第3族、第4族、第5族、第13族(例えばAl)及び第14族(例えばSi)の各族の元素群及びMgから選ばれる少なくとも1種を、焼結体全体における含有量にて、酸化物換算で1〜15質量%含有させることができる。これら成分は主に酸化物の形で添加され、焼結体中においては、主に酸化物又はシリケート等の複合酸化物の形態にて含有される。
窒化珪素以外の焼結助剤成分(例えば、希土類元素を含む化合物、酸化アルミニウム等)が1質量%未満では緻密な焼結体が得にくくなり、15質量%を超えると強度や靭性又は耐熱性の不足を招くことがある。焼結助剤成分の含有量は、望ましくは5〜13質量%とするのがよい。焼結助剤成分として希土類成分を使用する場合、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを含む化合物(例えば酸化物)等を用いることができる。これらのうちでもTb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybを含む化合物は、粒界相の結晶化を促進し、高温強度を向上させる効果があるので好適に使用できる。
セラミックヒータの抵抗体を形成する導電性セラミックは、導電発熱できる導電性セラミック材料を含有していればよく、例えば、導電性セラミック材料単独、導電性セラミック材料と絶縁性セラミックとの混合物等が挙げられる。導電性セラミック材料としては、例えば、炭化タングステン(WC)、二珪化モリブデン(MoSi)及び二珪化タングステン(WSi)等が挙げられる。前記混合物としては、例えば、導電性セラミック材料としての炭化タングステン(WC)、二珪化モリブデン(MoSi)又は二珪化タングステン(WSi)と窒化珪素質セラミックとの混合物等が挙げられる。このような混合物で抵抗体を形成すると基体との線膨張係数差が縮小して耐熱衝撃性を高めることができる。
抵抗体は一種類の導電性セラミックで形成されてもよく、また、先端発熱部、リード部、中間発熱部がそれぞれ電気抵抗率の異なる導電性セラミックでそれぞれ形成されてもよい。導電性セラミックの電気抵抗率を互いに異なるものとする方法は、特に限定されず、例えば、(1)同種の導電性セラミック材料を含有する混合物におけるその含有量を互いに異ならせる方法、(2)電気抵抗率の異なる異種の導電性セラミック材料を用いる方法、(3)前記(1)と前記(2)とを組み合わせる方法等が挙げられる。
前記(1)の方法において、例えば、先端発熱部を形成する第一導電性セラミックは、導電性セラミック材料の含有率を10〜30体積%、残部を絶縁性セラミックとするのがよい。導電性セラミック材料の含有率が30体積%を超えると導電率が高くなりすぎて十分な発熱量が期待できなくなり、10体積%未満になると逆に導電率が低くなりすぎ、同様に発熱量が十分に確保できなくなることがある。リード部及び/又は中間発熱部を形成する第二導電性セラミックは、導電性セラミック材料の含有率を15〜35体積%、残部を絶縁性セラミックとするのがよい。導電性セラミック材料の含有率が35体積%を超えると、焼成による緻密化が困難となり、強度不足を招きやすくなるほか、基体との熱膨張係数差が大きくなり、焼結時のクラックが生じやすくなる。一方、15体積%未満では一対のリード部での発熱が大きくなりすぎて、発熱部の発熱効率が悪化することがある。
この発明に係るセラミックヒータは、絶縁性セラミックとなる基体形成用混合粉末及び導電性セラミックとなる抵抗体形成用混合粉末を調製し、抵抗体形成用混合粉末で未焼成抵抗体を成形し、基体形成用混合粉末を圧粉した半割型に未焼成抵抗体を載置して、基体形成用混合粉末を載せて成形し、得られた成形体を、所望により脱脂仮焼した後、焼結して、製造される。
簡単に説明すると、絶縁性セラミック、導電性セラミック材料及び焼結助剤等を所定の量比で混合し、基体形成用混合粉末及び抵抗体形成用混合粉末を調整する。これらの混合粉末は、湿式等、通常の方法によって混合されることができる。所望により、このようにして調製された各混合粉末に適量のバインダ等を配合して混合した後、造粒する。
抵抗体形成用混合粉末の造粒物を用いて、射出成形、スクリーン印刷、シート成形、及び押出し成形等により、未焼成抵抗体を成形する。抵抗体の発熱部における軸線方向に直交する断面の形状を楕円形にするには、射出成形又は押出し成形等により未焼成抵抗体を所望の形状に成形するとよい。このとき、成形体の発熱部を研磨加工、テーパ加工、R面加工等して、未焼成抵抗体を作製することもできる。その後、この未焼成抵抗体を、基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の所定位置に未焼成抵抗体を載置した後、基体形成用混合粉末をのせてプレス成形して、成形体とする。また、図5に示すように、薄様状の抵抗体すなわち抵抗体の軸線方向に直交する断面の形状を扁平状にするには、スクリーン印刷、シート成形等により未焼成抵抗体を成形するとよい。
基体形成用混合粉末を圧粉した半割型に未焼成抵抗体を載置する際には、基体の表面から正極側の発熱部までの最短距離Aと負極側の発熱部までの最短距離Bとの関係が、A<Bを満足するように調整する。最短距離Aと最短距離Bとが前記関係を満足するようにする方法として、例えば、未焼成抵抗体の軸線が基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の軸線の位置よりも正極側の抵抗体が配置される方向に平行移動させるようにして、未焼成抵抗体を載置する方法を挙げることができる。この他には、例えば、図6に示されるように、未焼成抵抗体の軸線が基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の軸線に対して正極側の発熱部が配置される方向に傾くようにして、未焼成抵抗体を載置する方法を挙げることができる。
次いで、成形体を所望により脱脂仮焼すると、基体の粉末成形体に抵抗体となる未焼成抵抗体が埋設された成形体が得られる。この成形体を、焼成炉に収容し、焼成する。焼成方法として、ホットプレス法、ガス圧焼成法、HIP(熱間静水圧プレス)法等が挙げられる。例えば、ホットプレス法では、黒鉛製等の加圧用ダイスに収納し、これを焼成炉に収容し、所定の温度で所要時間、ホットプレス焼成する。加圧力は例えば20〜30MPa程度とすることができる。焼成温度及び焼成時間は特に限定されないが、焼成温度は1700〜1850℃、特に1700〜1800℃、焼成時間は30〜180分、特に60〜120分とすることができる。焼成環境は窒素雰囲気下等の非酸化性雰囲気下で行うことができる。このような半割型を使用する方法は、例えば、特開2007−240080号公報等に記載の方法を参考にして、実施することができる。
次いで、得られた焼結体を例えば平面研削盤等で所望の寸法に研削して、焼結体の先端部を研磨加工、テーパ加工、R面加工等して、セラミックヒータを製造することができる。
この発明に係るセラミックヒータは、前記実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、セラミックヒータ1等の基体先端部32は軸線C方向に沿って軸線C方向先端側に凸状に突出する曲面で形状されてなる半球状又は半楕円体状となっているが、この発明において、基体先端部32の形状は、特に限定されず、例えば、同径部と同様に棒状体等に形成されていてもよい。また、セラミックヒータ1等における同径部31はその断面が略円形又は楕円形の棒状体又は柱状体とされているが、この発明において、同径部の形状すなわちセラミックヒータの外形は、特に限定されず、例えば、円柱体、楕円柱体、直方体等の形状とされてもよい。
セラミックヒータ1等において軸線J方向に垂直な平面におけるリード部41,41それぞれの断面形状は、特に限定されず、種々の形状にすることができる。例えば、扇形、円形、半円径、楕円形、半楕円形、矩形等とすることができる。
この発明に係るセラミックヒータは、発熱部が、基体の軸線に直交する平面で切断したときの断面における、基体表面から正極側の発熱部までの最短距離Aよりも基体表面から負極の発熱部までの最短距離Bの方が大きく形成されて成る。従来のセラミックヒータは、絶縁性セラミックで形成された基体にエンジンオイルが付着すると、これに含まれるカルシウム成分等により、基体における負極側の発熱部が埋設されて成る領域が腐食され易かった。しかし、この発明によると、基体における負極側の発熱部が埋設されて成る領域が選択的に腐食されるのを防止することができ、その結果、カルシウム成分等に対する耐食性に優れたセラミックヒータを提供することができる。
特に、この発明に係るセラミックヒータの発熱部が、0.2<A/B<0.95を満足するように基体に埋設されていると、セラミックヒータはカルシウム成分等に対するより一層高い耐食性を発揮することができる。
さらに、この発明に係るセラミックヒータの発熱部が、基体の軸線に直交する平面で切断したときに現れる2つの断面部の断面形状が楕円となるように形成されていると、基体の表面温度が均一になり易いので、局所的に基体の表面が高温になることにより、その高温部が選択的に腐食されるのを防止することができる。その結果、セラミックヒータはカルシウム成分等に対するさらに高い耐食性を発揮することができる。
この発明に係るセラミックヒータの用途は、例えば、グロープラグ用ヒータ、センサー用加熱ヒータ、ファンヒータ用加熱ヒータ等として好適に用いられる。これらの中でも、この発明に係るセラミックヒータは、カルシウム成分等に対する高い耐食性を発揮するから、特に使用環境が1250℃以上になる用途、さらには使用環境が1300℃以上になる用途、例えば、ディーゼルエンジン等に好適に使用されることができる。
また、この発明に係るセラミックヒータはカルシウム成分等に対する高い耐食性を発揮するから、この発明に係るセラミックヒータ及びこのセラミックヒータを備えたグロープラグは、カルシウム成分等を含む環境下で使用される用途、例えば、カルシウム成分等を含有するエンジンオイルが存在するディーゼルエンジン等に特に好適に使用されることができる。
この発明に係るセラミックヒータをグロープラグ用ヒータとして用いた、この発明に係るグロープラグの一実施例を説明する。このグロープラグ10は、図7に示されるように、セラミックヒータ1を備え、より詳細に説明すると、グロープラグ10は、セラミックヒータ1、外筒90、主体金具93、中軸94を備えている。グロープラグ10は、基体30の少なくとも基体先端部32が突出するようにセラミックヒータ1の外周面が外筒90で周方向に取り囲まれ、この外筒90が略円筒状の主体金具93の先端部に固定されて、成る。主体金具93と外筒90とは、例えば、両者の内外周面の隙間を充填するようにろう付け若しくは圧入して、又は、主体金具93の先端側開口内縁と外筒90の外周面とを全周レーザー溶接して、固定される。
主体金具93は、中央周側面にグロープラグ10をエンジンのシリンダヘッド(図示せず。)に取り付けることができるように雄ねじ部98が形成されている。主体金具93の外筒90に接合されていない側には六角形状をなす鍔状の工具係合部99が形成されており、前記シリンダヘッドにグロープラグ10を螺合する際に、使用される工具が係合できるようになっている。
主体金具93の内側には、その後端側から、セラミックヒータ1に電力を供給するための金属製の中軸94が、円筒形状の絶縁部材95と絶縁係止部材96とで主体金具93と絶縁状態となるように、配置固定されている。絶縁係止部材96は、筒体の一端が外側に張り出してなるフランジを有しており、中軸94の金具近傍に取り付けられるかしめ部材97と工具係合部99とが該フランジで係止されている。かしめ部材97は、外周から押圧されてかしめられている。これにより、中軸94と主体金具93との間でフランジが係止された絶縁係止部材96が固定されるので、中軸94からの抜出が防止されるようになっている。
一方、セラミックヒータ1の抵抗体40は、一方のリード部41がその外周面に形成された電極取出部46で外筒90に電気的に接続されており、他方のリード部41がその外周面に形成された電極取出部45で電極円筒体91及び導線92を介して中軸94と電気的に接続されている。したがって、このグロープラグ10において、中軸94から導線92、電極円筒体91及び電極取出部45を介して電極取出部46及び外筒90へと電流が流れるので、抵抗体40において電極取出部45を有する側が正極、電極取出部46を有する側が負極となっている。
グロープラグ10は、以下のようにして製造される。すなわち、この発明に係るセラミックヒータ1に、基体の少なくとも基体先端部32が突出するように、外筒90と電極円筒体91とを圧入した後、この電極円筒体91と中軸94とにNi線を溶接し、これらを電気的に接続する。次いで、これらを主体金具93の先端に圧入して溶接し、絶縁部材95、絶縁係止部材96及びかしめ部材97で中軸94を主体金具93に固定して、グロープラグを製造することができる。
この発明に係るグロープラグは、この発明に係るセラミックヒータを備えているから、カルシウム成分等に対する高い耐食性を発揮する。この発明に係るグロープラグが、軸線に直交する断面形状が楕円形である中間発熱部を有するセラミックヒータを備えていると、カルシウム成分等に対するより一層高い耐食性等を発揮する。なお、この発明に係るグロープラグは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
(セラミックヒータの作製)
平均粒径0.7μmのWC、平均粒径1.0μmの窒化珪素及び焼結助剤としてのErをボールミル中で40時間湿式混合して抵抗体形成用混合粉末を得た(この混合粉末中のWCの含有率は27体積%(63質量%))。この抵抗体形成用混合粉末をスプレードライ法により乾燥させ、造粒粉末を作製した後、バインダを40〜60体積%の割合となるように添加して、混練ニーダ中で10時間混合した。その後、得られた混合物をペレタイザで約3mmの大きさに造粒した。射出成形機にこの造粒物を入れて射出成形して、未焼成抵抗体を得た。
一方、平均粒径0.6μmの窒化珪素、焼結助剤としてのEr、並びに、熱膨張調整剤としてのCrSi、WSi及びSiCをボールミル中で湿式混合し、バインダを加えた後、スプレードライ法により乾燥させ、基体を形成するための基体形成用混合粉末を得た。
次いで、基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の所定位置に未焼成抵抗体を載置した後、これに基体成形用混合粉末をのせてこれらをプレス成形して、セラミックヒータとなる成形体を得た。この成形体を800℃の窒素雰囲気中で1時間の脱脂仮焼を行い、次いで、ホットプレス法により、0.1MPaの窒素雰囲気下で、1780℃、加圧力30MPaで90分間かけて焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を直径3.3mmの略円筒状に研磨すると共に、基体の先端部を研磨加工して、図1に示されるセラミックヒータ1と同様の形状を有するセラミックヒータを作製した。
実施例1〜10のセラミックヒータを作製する場合には、基体形成用混合粉末の半割型に未焼成抵抗体を載置するときに、未焼成抵抗体の軸線Dが基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の軸線Cの位置よりも正極側の未焼成抵抗体の方向に所定距離だけ平行移動させた位置になるようにして、発熱部42における前記最短距離Bが前記最短距離Aよりも所定距離だけ大きくなるように調整した。
比較例1のセラミックヒータを作製する場合には、未焼成抵抗体の軸線Dが基体形成用混合粉末を圧粉した半割型の軸線Cに一致するようにして、発熱部42における前記最短距離Bと前記最短距離Aとが同一になるように調整した。
実施例11のセラミックヒータは次のようにして作製した。まず、実施例1〜10のセラミックヒータの抵抗体成形用混合粉末にバインダ及び溶剤を添加して3本ロールにて混練し、抵抗体用ペーストを調製した。次に、基体形成用混合粉末を圧粉した溝付き半割型の所定位置にメタルマスクをセットし、上記抵抗体用ペーストを発熱部の厚みが100μmになるように抵抗体のパターンに印刷した後、これに基体成形用混合粉末をのせてこれらをプレス成形して、セラミックヒータとなる成形体を得た。この成形体を上述した実施例1〜10のセラミックヒータと同様にして焼成して焼結体を得て、基体の先端部を研磨加工して、図5に示されるセラミックヒータ2と同様の形状を有するセラミックヒータを作製した。
(抵抗体の埋設位置の測定)
抵抗体の基体に対する埋設位置は次のようにして測定した。まず、前述のように製造したセラミックヒータに電圧を印加して、セラミックヒータの軸線Cに直交する方向から放射温度計にて温度分布を計測し、表面温度分布表示された側面投影画像を得た。この側面投影画像から最高温度1350℃となる最高発熱部の位置を特定した。一方、セラミックヒータにおける半径方向の複数方位から、セラミックヒータを透過X線撮影して、複数の撮影フィルムを得た。そして、前記最高発熱部に対応する位置を通り、軸線Cに直交する平面における、基体の表面から正極側の発熱部までの最短距離Aと基体の表面から負極側の発熱部までの最短距離Bとを測定した。その結果を表1に示した。
(グロープラグの製造)
製造したセラミックヒータそれぞれに、その基体の少なくとも先端部が突出するように外筒90と電極円筒体91とを圧入した後、この電極円筒体91と中軸94とにNi線を溶接し、これらを電気的に接続した。これらを主体金具93の先端に圧入して溶接した。次いで、絶縁部材95、絶縁係止部材96及びかしめ部材97で中軸94を主体金具93に固定して、実施例1〜10及び比較例1のグロープラグを製造した。
(オイル滴下試験)
実施例1〜11及び比較例1のグロープラグを用いて以下の方法で腐食試験を行った。セラミックヒータに埋設された抵抗体における一対のリード部の軸線J及び軸線Cを含む平面に対して垂直方向から、グロープラグの先端領域にエンジンオイル(商品名「Esso Universalオイル SEA 0W−30」、エクソンモービル社製、カルシウム成分の含有量約2730ppm)0.01mL/滴をプランジャーポンプで滴下して、セラミックヒータの表面温度が1350℃に達するように印加電圧を制御してグロープラグに1分間通電した後、通電を停止して1分間冷却する操作を1サイクルとして300サイクル連続して行い、300サイクル毎に抵抗を測定した。前記操作は抵抗体が断線するまで行い、オイル滴下試験の判定は、抵抗体が断線するまでのサイクル数が2000未満を「×」、2000以上4000未満を「△」、4000以上を「○」とした。この判定が「△」以上であれば、ディーゼルエンジン用のグロープラグとして好適に用いることができる。これらの結果を表1に示す。
Figure 2010182443
表1に示された結果から明らかなように、基体の表面から正極側の発熱部までの最短距離Aと負極側の発熱部までの最短距離Bとの関係が、A<Bを満たす場合には、オイル滴下試験による腐食量は少なく、オイル中に含まれるカルシウム成分等に対する耐食性に優れていた。一方、発熱部がA=Bを満たすように配置された比較例1はオイル滴下試験による腐食量が多かった。また、実施例11のグロープラグでは、セラミックヒータの表面における軸線に直交する周方向の温度差が他の実施例に比べて大きく、抵抗体が断線した後の基体にはクラックが認められた。
1 セラミックヒータ
10 グロープラグ
30、302、303 基体
31 同径部
32 基体先端部
33 後端面
34 最高発熱部
40、402、403 抵抗体
41 リード部
42、422、423 発熱部
43、432、433 中間発熱部
44 先端発熱部
45、46 電極取出部
47 最高発熱部
48 断面部
90 外筒
91 電極円筒体
92 導線
93 主体金具
94 中軸
95 絶縁部材
96 絶縁係止部材
97 かしめ部材
98 雄ねじ部
99 工具係合部
C、J、D 軸線
CP、CP 断面

Claims (4)

  1. 絶縁性セラミックで形成され、先端から後端へ軸線方向へ延びる基体と、
    導電性セラミックで形成され、前記基体の先端側に埋設され、折り返し形状を有する発熱部と、
    前記基体の後端側に埋設され、前記発熱部に通電する一対のリード部と、
    を有するセラミックヒータであって、
    前記軸線に直交する平面で切断したときの断面における、前記基体表面から正極側の発熱部までの最短距離をA、前記基体表面から負極側の発熱部までの最短距離をBとすると、A<Bを満たすことを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 0.2<A/B<0.95を満たすことを特徴とする請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 前記発熱部は、前記軸線に直交する平面で切断したときに現れる2つの断面部の断面形状が楕円であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックヒータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックヒータを備えてなるグロープラグ。
JP2009022569A 2009-02-03 2009-02-03 セラミックヒータ及びグロープラグ Active JP5280877B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009022569A JP5280877B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 セラミックヒータ及びグロープラグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009022569A JP5280877B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 セラミックヒータ及びグロープラグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010182443A true JP2010182443A (ja) 2010-08-19
JP5280877B2 JP5280877B2 (ja) 2013-09-04

Family

ID=42763884

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009022569A Active JP5280877B2 (ja) 2009-02-03 2009-02-03 セラミックヒータ及びグロープラグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5280877B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012160272A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ及びグロープラグ
JP2013024488A (ja) * 2011-07-22 2013-02-04 Ngk Spark Plug Co Ltd 燃焼圧検知センサ付きグロープラグ
WO2018199229A1 (ja) * 2017-04-27 2018-11-01 京セラ株式会社 ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
JP2018200776A (ja) * 2017-05-26 2018-12-20 日本特殊陶業株式会社 セラミックヒータ及びグロープラグ
JPWO2019102708A1 (ja) * 2017-11-21 2020-10-22 ボッシュ株式会社 グロープラグ

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017090313A1 (ja) * 2015-11-27 2017-06-01 京セラ株式会社 ヒータおよびこれを備えたグロープラグ

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09184626A (ja) * 1995-12-29 1997-07-15 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ及びその製造方法
JPH09190874A (ja) * 1995-12-29 1997-07-22 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ
JP2003139323A (ja) * 2001-11-01 2003-05-14 Bosch Automotive Systems Corp ディーゼルエンジン用グロープラグおよびその製造方法
JP2007141740A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータの製造方法およびグロープラグの製造方法
JP2007265893A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Kyocera Corp セラミックヒータ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09184626A (ja) * 1995-12-29 1997-07-15 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ及びその製造方法
JPH09190874A (ja) * 1995-12-29 1997-07-22 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ
JP2003139323A (ja) * 2001-11-01 2003-05-14 Bosch Automotive Systems Corp ディーゼルエンジン用グロープラグおよびその製造方法
JP2007141740A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータの製造方法およびグロープラグの製造方法
JP2007265893A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Kyocera Corp セラミックヒータ

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012160272A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Ngk Spark Plug Co Ltd セラミックヒータ及びグロープラグ
JP2013024488A (ja) * 2011-07-22 2013-02-04 Ngk Spark Plug Co Ltd 燃焼圧検知センサ付きグロープラグ
WO2018199229A1 (ja) * 2017-04-27 2018-11-01 京セラ株式会社 ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
JPWO2018199229A1 (ja) * 2017-04-27 2020-01-09 京セラ株式会社 ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
JP2018200776A (ja) * 2017-05-26 2018-12-20 日本特殊陶業株式会社 セラミックヒータ及びグロープラグ
JPWO2019102708A1 (ja) * 2017-11-21 2020-10-22 ボッシュ株式会社 グロープラグ

Also Published As

Publication number Publication date
JP5280877B2 (ja) 2013-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4348317B2 (ja) グロープラグ
JP5280877B2 (ja) セラミックヒータ及びグロープラグ
JP3411498B2 (ja) セラミックヒータ、その製造方法、及びセラミックグロープラグ
JP5261103B2 (ja) セラミックヒーター
JP6105937B2 (ja) Ti3SiC2質材料、電極、スパークプラグ、及びその製造方法
JP4851570B2 (ja) グロープラグ
JP5171335B2 (ja) セラミックヒータ及びグロープラグ
JP5438961B2 (ja) セラミックヒータ及びグロープラグ
JP4651732B1 (ja) スパークプラグ
JP5342694B2 (ja) セラミックヒータ素子、セラミックヒータ、およびグロープラグ
JP2007265893A (ja) セラミックヒータ
JP4546756B2 (ja) セラミックヒータおよびグロープラグ
JP2006024394A (ja) セラミックヒータおよびグロープラグ
JP5634282B2 (ja) セラミックヒータ及びグロープラグ
JP2006351446A (ja) セラミックヒータの製造方法及びグロープラグ
JP2008235034A (ja) セラミックヒータ及びグロープラグ
JP2004061041A (ja) セラミックグロープラグ
JP4803651B2 (ja) セラミックヒータの製造方法およびグロープラグの製造方法
JP5864301B2 (ja) ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
JP6608627B2 (ja) セラミックヒータおよびグロープラグ
JP6199951B2 (ja) ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
JP5744482B2 (ja) セラミックヒータ素子の製造方法およびグロープラグの製造方法
JP6392004B2 (ja) ヒータおよびグロープラグ
JP2000021555A (ja) セラミックヒータ及びその製造方法
JPH07151332A (ja) セラミックグロープラグ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5280877

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250