以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例である第1種パチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての飾り図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別可変表示部)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。
可変表示装置9の下方の左右には、始動入賞口14Aを含む可変入賞球装置15Aと、始動入賞口14Bを含む可変入賞球装置15Bとが設けられている。始動入賞口14Aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、可変入賞球装置15Aは、開閉動作を行う左右の開閉片を備えている。この開閉片は、ソレノイド16Aによって開状態とされる。始動入賞口14Bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14bによって検出される。また、可変入賞球装置15Bは、開閉動作を行う左右の開閉片を備えている。この開閉片は、ソレノイド16Bによって開状態とされる。なお、スイッチやソレノイドについては、図1には図示されていない。
また、可変表示装置9の表示領域には、始動入賞口14A,14Bに入った有効入賞球数すなわち始動入賞記憶数を表示する特別図柄始動記憶数表示エリア(始動記憶数表示エリア)18が設けれている。本例では、始動記憶数表示エリア18には、第1始動入賞記憶数と第2始動入賞記憶数との総数である総始動入賞記憶数が表示される。第1始動入賞記憶数は、始動入賞口14Aへの入賞(第1始動入賞)にもとづく始動入賞記憶数であり、第2始動入賞記憶数は、始動入賞口14Bへの入賞(第2始動入賞)にもとづく始動入賞記憶数である。
この例では、有効始動入賞(始動入賞記憶数があらかじめ定められている上限数未満のときに発生した始動入賞)がある毎に、始動記憶数表示エリア18に表示されている始動入賞記憶数を示す表示エリアを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、始動記憶数表示エリア18に表示されている始動入賞記憶数を示す表示エリアを1減らす。
なお、始動入賞記憶の上限数は、第1始動入賞にもとづく始動入賞記憶と、第2始動入賞記憶数は、第2始動入賞にもとづく始動入賞記憶とでそれぞれ定められている。よって、有効始動入賞となるか否かは、第1始動入賞と第2始動入賞とで別個に判断される。また、総始動入賞記憶の上限数は、第1始動入賞にもとづく始動入賞記の上限数と、憶第1始動入賞にもとづく始動入賞記憶の上限数とを加算した値となる。
なお、始動入賞記憶数は、可変表示装置9以外の他の表示器を用いて表示するようにしてもよい。また、始動入賞記憶数は、数値により表すようにしてもよいし、例えば始動入賞記憶数に応じた数のランプを点灯させるなどのような他の方法で表すようにしてもよい。
可変入賞球装置15Aの左側には、それぞれが識別情報としての特別図柄を可変表示(変動表示)する複数の可変表示部を含む特別図柄表示器33が設けられている。特別図柄表示器33には、例えば「左」、「右」の3つの可変表示部(特別図柄表示エリア)がある。本例では、特別図柄表示器33にて変動表示される特別図柄を、第1特別図柄と呼ぶことにする。
また、可変入賞球装置15Bの右側には、それぞれが識別情報としての特別図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む特別図柄表示器39が設けられている。特別図柄表示器39には、例えば「左」、「右」の3つの可変表示部(特別図柄表示エリア)がある。本例では、特別図柄表示器39にて変動表示される特別図柄を、第2特別図柄と呼ぶことにする。
遊技領域7の下方には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。
ゲート32A,32Bに遊技球が入賞しゲートスイッチ32a,32bで検出されると、普通図柄始動入賞記憶が上限に達していなければ、所定の乱数値が抽出される。そして、普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態であれば、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態でなければ、普通図柄始動入賞記憶の値が1増やされる。普通図柄表示器10の近傍には、普通図柄始動入賞記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32A,32Bへの入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。なお、特別図柄と普通図柄とを一つの可変表示装置で可変表示するように構成することもできる。その場合には、特別可変表示部と普通可変表示部とは1つの可変表示装置で実現される。
この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって普通図柄の可変表示が行われ、可変表示は所定時間(例えば29.2秒)継続する。そして、可変表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りとなる。当りとするか否かは、ゲート32A,32Bに遊技球が入賞したときに抽出された乱数の値が所定の当り判定値と一致したか否かによって決定される。普通図柄表示器10における可変表示の表示結果が当りである場合に、可変入賞球装置15A,15Bが所定回数、所定時間だけ開状態になって遊技球が入賞しやすい状態になる。すなわち、可変入賞球装置15A,15Bの状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。
さらに、後述する特別遊技状態としての確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められる(例えば、当りとなる確率が1/10から9/10に高められる)とともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が高められ(例えば、開放時間が0.5秒から3秒に増加されたり、開放回数が1回から2回に増加される)、遊技者にとってさらに有利になる。また、確変状態等の所定の状態では、普通図柄表示器10における可変表示期間(変動時間)が短縮される(例えば、29.2秒から1秒に短縮される)ことによって、遊技者にとってさらに有利になるようにしてもよい。
遊技盤6には、複数の入賞口29,30が設けられ、遊技球の入賞口29,30への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30aによって検出される。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される飾りランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音や音声を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、右枠ランプ28cの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14A,14Bに入り始動口スイッチ14a,14bで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器33,39において特別図柄が可変表示を始めるとともに、可変表示装置9において飾り図柄が可変表示を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1始動入賞記憶数または第2始動入賞記憶数を1増やすとともに、総始動入賞記憶数を1増やす。
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示態様)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態(特別遊技状態)となる。
図2は、遊技機の裏面に設置されている遊技制御基板(主基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a,32b、始動口スイッチ14a,14b、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a、満タンスイッチ48およびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15Aを開閉するソレノイド16A、可変入賞球装置15Bを開閉するソレノイド16B、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
なお、ゲートスイッチ32a,32b、始動口スイッチ14a,14b、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技球検出手段(遊技媒体検出手段の一例)であれば、その名称を問わない。
また、主基板31には、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、特別図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部機器に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい)55は、一部または全部が、遊技機が備える電源基板(図示せず)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
なお、この実施の形態では、ランプ制御基板35に搭載されているランプ制御用CPU(ランプ制御手段)が、遊技盤に設けられている普通図柄始動記憶表示器41およびサイドランプ25等の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52の表示制御を行う。なお、各ランプはLEDその他の種類の発光体でもよい。すなわち、ランプやLEDは発光体の一例であり、以下、ランプ・LEDと総称することがある。
ランプ制御手段は、ランプ・LEDを駆動するための駆動信号を作成して各発光体に出力する。なお、遊技機に演出手段としての可動部材が設置されている場合には、ランプ制御手段は、可動部材を駆動するためのモータやソレノイド等の演出用駆動手段を駆動するための駆動信号を作成して出力する処理を行う。
また、可変表示装置9、普通図柄表示器10、特別図柄表示器33および特別図柄表示器39の表示制御は、表示制御基板80に搭載されている表示制御手段によって行われる。また、音制御基板70に搭載されている音制御用CPU(音制御手段)701がスピーカ27の制御を行う。そして、景品としての遊技球の払い出しを行う球払出装置97は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU(払出制御手段)によって制御される。ランプ制御手段および音制御手段は一つの基板に搭載されていてもよい。また、表示制御手段、ランプ制御手段および音制御手段が一つの基板に搭載されていてもよい。さらに、表示制御基板80、ランプ制御基板35、音制御基板70によって制御される電気部品の一部又は全部を、主基板31が制御する構成としてもよい。
図3は、表示制御基板80、ランプ制御基板35および音声制御基板70の回路構成例を示すブロック図である。表示制御基板80、ランプ制御基板35および音声制御基板70では、主基板31からの制御コマンドに応じて、各種の処理を実行する。
表示制御基板80は、表示制御用のプログラム等を記憶するROM102、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM103、主基板31からの表示制御コマンドに従って表示制御を行う表示制御用マイクロコンピュータとしての表示制御用CPU101を含む。
表示制御基板80において、表示制御用CPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31からのストローブ信号(表示制御INT信号)に応じて、表示制御コマンドを受信する。また、表示制御用CPU101は、表示制御コマンドにもとづいて、図示しないVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。VDPは、GCL(グラフィックコントローラLSI)と呼ばれることもある。
この実施の形態では、総始動入賞記憶数を示す表示制御コマンドが主基板31から表示制御基板80に出力される。表示制御用CPU101は、総始動入賞記憶数を示す表示制御コマンドにもとづいて、可変表示装置9の表示制御を行い、始動記憶数表示エリア18に総始動入賞記憶数を表示させる。
ランプ制御基板35は、発光体制御用のプログラム等を記憶するROM352、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM353、主基板31からのランプ制御コマンドに従って発光体制御を行う発光体制御用マイクロコンピュータとしてのランプ制御用CPU351を含む。
この実施の形態では、サイドランプ25の点灯/消灯を示すランプ制御コマンドが主基板31からランプ制御基板35に出力される。また、普通図柄始動記憶表示器41の点灯個数を示すランプ制御コマンドも主基板31からランプ制御基板35に出力される。
ランプ制御に関するランプ制御コマンドは、CPU56におけるI/Oポート部57から出力される。I/Oポート部57は、8ビットのデータと、1ビットのINT信号とを出力する。ランプ制御基板35において、主基板31からのランプ制御コマンドは、ランプ制御基板35におけるI/Oポート部の入力ポートを介してランプ制御用CPU351に入力する。
ランプ制御基板35において、ランプ制御用CPU351は、各制御コマンドに応じて定義されているサイドランプ25の点灯/消灯パターンに従って、サイドランプ25に対して点灯/消灯信号を出力する。なお、点灯/消灯パターンは、ROM353(ランプ制御用CPU351の内蔵ROMまたは外付けROM)に記憶されている。
音声制御基板70は、音声制御用のプログラムや音声データ等を記憶する音声データROM702、主基板31からの音制御コマンドに従って音声出力制御を行う音制御用マイクロコンピュータとしての音声制御用CPU701を含む。
この実施の形態では、遊技進行に応じて、遊技領域7の外側に設けられているスピーカ27の音声出力を指示するための音制御コマンドが、主基板31から音声制御基板70に出力される。
音制御コマンドは、CPU56におけるI/Oポート部57から出力される。I/Oポート部57は、8ビットのデータと、1ビットのINT信号とを出力する。音声制御基板70において、主基板31からの音制御コマンドは、音声制御基板70におけるI/Oポート部の入力ポートを介して音制御用CPU701に入力する。音制御用CPU701は、受信した音制御コマンドに応じたデータを音声データROM702から読み出す。
そして、音制御用CPU701は、音声や効果音を発生し増幅回路703に出力する。増幅回路703は、音声制御用CPU701の出力レベルを、ボリューム704にて設定されている音量(例えば、遊技機に設けられているボリューム切替スイッチの操作状態に応じた音量)に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。
音声データROM702に格納されている音制御コマンドに応じたデータは、所定期間(例えば特別図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。音制御用CPU701は、音制御コマンドを受信すると、音声データROM702内の対応するデータに従って音出力制御を行う。対応するデータに従った音出力制御は、次の音制御コマンドを受信するまで継続される。そして、音制御用CPU701は、次の音制御コマンドを受信すると、新た入力した音制御コマンドに対応した音声データROM702内のデータに従って音出力制御を行う。
次に遊技機の動作について説明する。先ず、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理について説明する。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、メイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
次いで、CPU56は、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う。チェック結果が正常でなければ、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う。さらに、サブ基板(この実施の形態では払出制御基板37、表示制御基板80、ランプ制御基板35、音声制御基板70)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンドや賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド等がある。
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
初期化処理の実行が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる。表示用乱数とは、特別図柄表示器33,39に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り判定用乱数発生カウンタ)等の、カウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り判定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
次に、2ms毎に発生するタイマ割込を契機として実行されるタイマ割込処理(遊技制御処理)について説明する。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電圧低下監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a,32b、始動口スイッチ14a,14b、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ24a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理)。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理)。CPU56は、さらに、初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(表示用乱数更新処理)。
ここで、本例の遊技機で用いられる各乱数について説明する。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用)
(2)ランダム2−1〜2−3(ランダム2):特別図柄の左中右のはずれ図柄決定用(特別図柄左中右)
(3)ランダム3:大当りを発生させる特別図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用)
(4)ランダム4:特別図柄の変動パターンを決定する(変動パターン決定用)
(5)ランダム5:大当りを発生させない場合にリーチとするか否かを決定する(リーチ判定用)
(6)ランダム6:普通図柄にもとづく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)
(7)ランダム7:ランダム1の初期値を決定する(ランダム1初期値決定用)
(8)ランダム8:ランダム6の初期値を決定する(ランダム6初期値決定用)
遊技制御処理における判定用乱数更新処理では、CPU56は、(1)の大当り判定用乱数、(3)の大当り図柄決定用乱数、および(6)の普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数または初期値用乱数である。なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(8)の乱数以外の普通図柄に関する乱数等も用いられている。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU56は、特別図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理)。また、普通図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理)。
また、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する。
そして、CPU56は、総始動入賞記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する。記憶処理では、CPU56は、総始動入賞記憶カウンタのカウント値が前回総始動入賞記憶カウンタのカウント値と同じであるか否か確認し、同じでなければ、すなわち総始動入賞記憶数に変化が生じていれば、総始動入賞記憶数に応じた総始動入賞記憶指定のコマンド送信テーブルのアドレスをポインタにセットし、サブルーチンであるコマンドセット処理を実行する。そして、総始動入賞記憶カウンタのカウント値を、前回総始動入賞記憶カウンタに設定しておく。このようにして、記憶処理において、総始動入賞記憶数が変化したときには、表示制御基板80に搭載されている表示制御手段に対して、総始動入賞記憶数指定の表示制御コマンドが送信される。
また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための情報出力信号を送信する情報出力信号送信処理を実行する。さらに、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う。可変入賞球装置15A,15Bや開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16A,16B,21,21Aを駆動する。その後、割込許可状態に設定する。
この実施の形態では、以上のような遊技制御処理が実行され、この遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
図4は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図4に示す処理は、上述した遊技制御処理における特別図柄プロセス処理の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)を行い、遊技盤6に設けられている始動入賞口14Aに遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14Aに入賞して第1始動入賞が発生していたら(ステップS311)、第1始動口スイッチ通過処理(ステップS312)を行う。
また、遊技盤6に設けられている始動入賞口14Bに遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14bがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14Bに入賞して第2始動入賞が発生していたら(ステップS313)、第2始動口スイッチ通過処理(ステップS314)を行う。その後に、内部状態に応じて、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。変動短縮タイマは、特別図柄の変動時間が短縮される場合に、変動時間を設定するためのタイマである。なお、始動口スイッチ14a,14bがオンしたか否かは、上述したスイッチ処理での始動口スイッチ14a,14bの状態判定結果に応じて判定される。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄の可変表示を開始できる状態になるのを待つ。特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、総始動入賞記憶数を確認する。総始動入賞記憶数が0でなければ、特別図柄の可変表示の結果を特定表示結果とするか否か、すなわち大当りとするか否か決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に移行するように更新する。
特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示後の停止図柄を決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。
変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(可変表示態様)を、ランダム4の値に応じて決定する。また、変動時間タイマをスタートさせる。このとき、表示制御基板80に対して、最終停止図柄と変動態様(変動パターン)を指令する情報とが送信される。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。
特別図柄変動処理(ステップS303):所定時間(ステップS302の変動時間タイマで示された時間)が経過すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。
特別図柄停止処理(ステップS304):可変表示装置9において表示される全図柄が停止されるように制御する。具体的には、特別図柄停止を示す表示制御コマンドが送信される状態に設定する。そして、停止図柄が大当り図柄である場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に移行するように更新する。
大入賞口開放前処理(ステップS305):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、大当り中フラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。
大入賞口開放中処理(ステップS306):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドを表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。最後の大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。
特定領域有効時間処理(ステップS307):V入賞スイッチ22の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行う。大当り遊技状態継続の条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。また、所定の有効時間内に大当り遊技状態継続条件が成立しなかった場合、または、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に移行するように更新する。
大当り終了処理(ステップS308):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を表示制御手段に行わせるための制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に移行するように更新する。
図5は、始動入賞口14Aに遊技球が入賞したときに実行される第1始動口スイッチ通過処理(ステップS312)を示すフローチャートである。第1始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、第1始動入賞記憶数があらかじめ設定されている上限値(例えば「4」)に達しているかどうか確認する(ステップS111)。第1始動入賞記憶数が上限値に達していなければ、第1始動入賞記憶数を1増やすとともに(ステップS112)、総始動入賞記憶数を1増やす(ステップS113)。
次いで、CPU56は、大当り判定用乱数等の各乱数の値を抽出し、抽出した各乱数の値を、第1保存領域(第1特別図柄判定用バッファ)における第1始動入賞記憶数の値に対応した保存領域に格納する(ステップS114)。なお、乱数を抽出するとは、乱数を生成させるためのカウンタからカウント値を読み出して、読み出したカウント値を乱数値とすることである。ステップS113では、上述したランダム1〜5が抽出される。そして、変動時間を短縮するか否かの判定を行うための変動時間短縮判定時間をセットする(ステップS115)。
図6は、始動入賞口14Bに遊技球が入賞したときに実行される第2始動口スイッチ通過処理(ステップS314)を示すフローチャートである。第2始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、第2始動入賞記憶数があらかじめ設定されている上限値(例えば「4」)に達しているかどうか確認する(ステップS121)。第2始動入賞記憶数が上限値に達していなければ、第2始動入賞記憶数を1増やすとともに(ステップS122)、総始動入賞記憶数を1増やす(ステップS123)。
次いで、CPU56は、大当り判定用乱数等の各乱数の値を抽出し、抽出した各乱数の値を、第2保存領域(第2特別図柄判定用バッファ)における第2始動入賞記憶数の値に対応した保存領域に格納する(ステップS124)。なお、乱数を抽出するとは、乱数を生成させるためのカウンタからカウント値を読み出して、読み出したカウント値を乱数値とすることである。ステップS124では、上述したランダム1〜5が抽出される。そして、変動時間を短縮するか否かの判定を行うための変動時間短縮判定時間をセットする(ステップS125)。
なお、この実施の形態では、特別図柄は、それぞれ、「0」〜「11」の12通りあって、特別図柄表示器33,39において「0」から順に特別図柄の表示が変化することによって特別図柄の変動が実現される。なお、特別図柄の変動中において、表示図柄の表示は非連続的に変化してもよい。また、特別図柄の最終停止図柄(確定図柄)が奇数で停止した場合に大当りとなる。そして、大当りとなる場合において、「3」または「7」で停止したときには、大当り遊技終了後に高確率状態(大当りとなる確率が高められた状態であり、直接的あるいは間接的に大当りとなる確率が高められた状態を意味する「確変状態」と同等の概念である)に移行する。また、高確率状態において、大当りが発生すると、または、所定回の特別図柄の変動が行われると、高確率状態は終了し低確率状態に戻る。
また、この実施の形態では、左中右の飾り図柄は、それぞれ、「0」〜「9」の10通りあって、可変表示装置9において「0」から順に飾り図柄の表示が変化することによって飾り図柄の変動が実現される。なお、飾り図柄の変動中において、表示図柄の表示は非連続的に変化してもよい。また、特別図柄が大当り図柄となるときは、飾り図柄は、左中右揃った最終停止図柄とされる。また、リーチとすることが決定されているときには、飾り図柄は、左右が揃った最終停止図柄とされる。
図7,図8は、変動開始時処理を示すフローチャートである。変動開始時処理は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)、特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301)、および変動パターン設定処理(ステップS302)をまとめて示す処理である。
変動開始時処理において、CPU56は、特別図柄の変動を開始することができる状態(例えば特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合)には(ステップS51)、総始動入賞記憶数(保留記憶数)の値を確認する(ステップS52)。具体的には、総始動入賞カウンタのカウント値を確認する。なお、特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合とは、特別図柄表示器33,39において特別図柄の変動がなされておらず、かつ、大当り遊技中でもない場合である。
総始動入賞記憶数が0でなければ、CPU56は、次に実行する特別図柄の変動が、始動入賞口14aへの入賞にもとづく変動であるか、始動入賞口14bへの入賞にもとづく変動であるかを確認する(ステップS53)。ステップS53では、総始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に格納されている入賞識別情報に応じて確認する。入賞識別情報は、始動入賞口14aへの入賞にもとづく保留記憶であるか始動入賞口14bへの入賞にもとづく保留記憶であるかを示す情報であり、上述したステップS113(始動入賞口14aへの入賞の場合)やステップS123(始動入賞口14bへの入賞の場合)にて総始動入賞記憶数に対応付けされてRAM55の所定領域に記憶される。
始動入賞口14aへの入賞にもとづく変動であれば、CPU56は、第1始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS54a)、第1始動入賞記憶数の値を1減らし(第1始動入賞記憶カウンタのカウント値を1減らし)、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS55a)。すなわち、第1始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域(第1始動入賞記憶保存領域)に格納されている各乱数値を、第1始動入賞記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各第1始動入賞記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第1始動入賞記憶数=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、CPU56は、可変表示の開始条件が成立する毎に、各第1始動入賞記憶保存領域の内容をシフトする処理を実行するので、始動入賞口14Aへの始動入賞が生じたときに実行された第1始動口スイッチ通過処理の処理結果(具体的にはステップS114の処理結果)が、いずれの第1始動入賞記憶に対応するのかを容易に特定することができる。
また、CPU56は、総始動入賞記憶数の値を1減らし(総始動入賞記憶カウンタのカウント値を1減らし)、かつ、入賞識別情報が格納されている各保存領域の内容をシフトする(ステップS56a)。すなわち、総始動入賞記憶数=n(n=2,3,・・・,8)に対応する保存領域(総始動入賞記憶保存領域)に格納されている各乱数値を、総始動入賞記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各総始動入賞記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各入賞識別情報の格納順番は、常に、総始動入賞記憶数=1,2,・・・,8の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、CPU56は、可変表示の開始条件が成立する毎に、各総始動入賞記憶保存領域の内容をシフトする処理を実行するので、始動入賞が生じたときに設定された入賞識別情報が、いずれの総始動入賞記憶に対応するのかを容易に特定することができる。
次いで、CPU56は、乱数格納バッファから大当り判定用乱数を読み出し(ステップS57a)、大当りとするか否かを判定する大当り判定処理を実行する(ステップS58a)。ステップS58aでは、大当り判定値があらかじめ設定された第1の大当り判定用テーブルが用いられる。大当りとすることに決定した場合には、あらかじめ用意された複数の大当りの種類(特定遊技状態の種類)から1の種類を選択し、いずれの大当りとするかを決定する(ステップS59a)。なお、第1の大当り判定用テーブルは、例えばROM54の所定領域に格納されている。
大当りの種類は、例えば、大入賞口の開放回数の上限を異ならせたり、時短の有無、確変の有無、普通図柄の変動時間の短縮の有無、可変入賞球装置15A,15Bの開放回数や開放時間短縮の有無などによって複数設けられる。
なお、大当りとすることに決定しない場合には、乱数格納バッファからリーチ判定用乱数を読み出して、リーチとするか否かを判定するリーチ判定処理を実行する。
大当りの有無(はずれの場合にはリーチの有無)を決定すると、CPU56は、第1始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に保存されているランダム3の格納値(大当りとする場合)、あるいは、ランダム2の格納値(はずれとする場合)を抽出し、特別図柄の停止図柄を決定する(ステップS60a)。
始動入賞口14bへの入賞にもとづく変動であれば、CPU56は、第2始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS54b)、第2始動入賞記憶数の値を1減らし(第2始動入賞記憶カウンタのカウント値を1減らし)、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS55b)。すなわち、第2始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域(第2始動入賞記憶保存領域)に格納されている各乱数値を、第2始動入賞記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。よって、各第2始動入賞記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第2始動入賞記憶数=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。すなわち、この例では、CPU56は、可変表示の開始条件が成立する毎に、各第2始動入賞記憶保存領域の内容をシフトする処理を実行するので、始動入賞口14Bへの始動入賞が生じたときに実行された第2始動口スイッチ通過処理の処理結果(具体的にはステップS124の処理結果)が、いずれの第2始動入賞記憶に対応するのかを容易に特定することができる。
また、CPU56は、ステップS56aと同様に、総始動入賞記憶数の値を1減らし(総始動入賞記憶カウンタのカウント値を1減らし)、かつ、入賞識別情報が格納されている各保存領域の内容をシフトする(ステップS56b)。
次いで、CPU56は、乱数格納バッファから大当り判定用乱数を読み出し(ステップS57b)、大当りとするか否かを判定する大当り判定処理を実行する(ステップS58b)。ステップS58bでは、大当り判定値があらかじめ設定された第2の大当り判定用テーブルが用いられる。大当りとすることに決定した場合には、あらかじめ用意された複数の大当りの種類(特定遊技状態の種類)から1の種類を選択し、いずれの大当りとするかを決定する(ステップS59b)。なお、第2の大当り判定用テーブルは、例えばROM54の所定領域に格納されている。
ステップS59bでは、上述したステップS59aとは異なる種類の大当りとすることに決定される。すなわち、ステップS59aで選択され得る大当りの種類と、ステップS59bで選択され得る大当りの種類とが異なるように設定されている。例えば、ステップS59aでは、大当り時の大入賞口の開放回数の上限が5回〜8回から選択されるようにし、ステップS59bでは、大当り時の大入賞口の開放回数の上限が12回〜16回から選択されるようにすればよい。このように、第1特別図柄の変動表示によって大当りが発生したときと、第2特別図柄の変動表示によって大当りが発生したときとで、大当りの価値を異ならせるようにすればよい。
なお、大当りとすることに決定しない場合には、乱数格納バッファからリーチ判定用乱数を読み出して、リーチとするか否かを判定するリーチ判定処理を実行する。
本例では、第2の大当り判定用テーブルと、第1の大当り判定用テーブルとは、大当りとなる確率が互いに異なるように大当り判定値がそれぞれ設定されている。本例では、第2の大当り判定用テーブルは、第1の大当り判定用テーブルよりも多くの数の大当り判定値が設定されている。すなわち、始動入賞口14Aに遊技球が入賞したときよりも、始動入賞口14Bに遊技球が入賞したときの方が、高確率で大当りとなるように各大当り判定用テーブルが設定されている。
大当りの有無(はずれの場合にはリーチの有無)を決定すると、CPU56は、第2始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に保存されているランダム3の格納値(大当りとする場合)、あるいは、ランダム2の格納値(はずれとする場合)を抽出し、特別図柄の停止図柄を決定する(ステップS60b)。
次いで、CPU56は、変動パターン決定用乱数カウンタから変動パターン決定用乱数を抽出し(ステップS61)、抽出した変動パターン決定用乱数の値に応じて変動パターンを決定する(ステップS62)。具体的には、ステップS62において、あらかじめ用意されている複数種類の変動パターンの中から、あらかじめ定められている変動パターン選択用のテーブルに配されている比較値のうち、抽出した変動パターン決定用乱数の値と一致する比較値が対応付けられている変動パターンとすることに決定される。
変動パターンを決定すると、CPU56は、決定した変動パターンの変動時間データを特別図柄プロセスタイマに設定する(ステップS63)。そして、CPU56は、決定した変動パターン指定のコマンド送信テーブルのアドレスをポインタにセットし(ステップS64)、サブルーチンであるコマンドセット処理を実行する(ステップS65)。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する(ステップS66)。
次に、遊技制御手段から表示制御手段に対する表示制御コマンドの送出方式について説明する。この実施の形態では、表示制御コマンドは、表示制御信号D0〜D7の8本の信号線で主基板31から表示制御基板80に送信される。また、主基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号(表示制御INT信号)を送信するための表示制御INT信号の信号線が配線されている。すなわち、表示制御コマンドは、8本の信号線と1本のINT信号の信号線によって送信される。なお、表示制御コマンド以外の制御コマンド(払出制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)の送出方式も、表示制御コマンドの送出方式と同様である。
この実施の形態では、表示制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。なお、そのようなコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。
表示制御コマンドの8ビットの表示制御コマンドデータは、表示制御INT信号に同期して出力される。表示制御基板80に搭載されている表示制御手段は、表示制御INT信号が立ち上がったことを検知して、割込処理によって1バイトのデータの取り込み処理を開始する。従って、表示制御手段から見ると、表示制御INT信号は、表示制御コマンドデータの取り込みの契機となる取込信号に相当する。
表示制御コマンドは、表示制御手段が認識可能に1回だけ送出される。認識可能とは、この例では、表示制御INT信号のレベルが変化することであり、認識可能に1回だけ送出されるとは、例えば表示制御コマンドデータの1バイト目および2バイト目のそれぞれに応じて表示制御INT信号が1回だけパルス状(矩形波状)に出力されることである。
ここで、表示制御基板80に送出される表示制御コマンドの内容の一例について説明する。特別図柄を可変表示する可変表示装置9における特別図柄の変動パターンを指定する表示制御コマンドは、コマンド8000(H)〜8058(H)とされる。なお、変動パターンを指定するコマンド(変動パターンコマンド)は変動開始指示も兼ねている。
普通図柄の変動パターンに関する表示制御コマンドは、コマンド88XX(H)(X=4ビットの任意の値)とされる。普通図柄の停止図柄を指定する表示制御コマンドは、コマンド89XX(H)とされる。また、普通図柄の可変表示の停止を指示する表示制御コマンドは、コマンド8A00(H)で表される。
特別図柄の停止図柄を指定する表示制御コマンドは、コマンド91XX(H)で表される。「XX」には図柄番号が設定される。また、特別図柄の可変表示の停止を指示する表示制御コマンドは、コマンドA000(H)とされる。
可変表示装置9の始動入賞記憶数表示領域18に表示される総始動入賞記憶数を示す表示制御コマンドは、コマンドE0XX(H)とされる。例えば、表示制御手段は、始動入賞記憶数表示領域18に「XX(H)」で指定される個数を表示する。すなわち、コマンドE0XX(H)は、保留個数という情報を報知するために設けられている始動入賞記憶数表示領域18の制御を指示するコマンドである。なお、始動入賞記憶数表示領域18に表示する総始動入賞記憶数に関するコマンドが、総始動入賞記憶数の増減を示すように構成されていてもよい。
表示制御基板80の表示制御手段は、主基板31の遊技制御手段から表示制御コマンドを受信すると、その表示制御コマンドに応じて可変表示装置9、普通図柄表示器10、始動入賞記憶数表示領域18の表示状態を変更する。また、ランプ制御基板35のランプ制御手段は、主基板31の遊技制御手段からランプ制御コマンドを受信すると、そのランプ制御コマンドに応じてランプ・LEDの表示状態を変更する。さらに、音声制御基板70の音声制御手段は、主基板31の遊技制御手段から音制御コマンドを受信すると、その音制御コマンドに応じて音声出力制御を実行する。なお、上述した制御コマンド以外の制御コマンドも遊技制御手段から各サブ基板に送信される。例えば、賞球ランプ51や球切れランプ52の表示状態、および普通図柄始動記憶表示器41の点灯個数を示す制御コマンド等や、大当り遊技に関するより詳細な制御コマンドも遊技制御手段から各サブ基板に送信される。
可変表示の開始を示す可変表示開始指定コマンドおよび可変表示態様を特定可能な可変表示態様指定コマンドは、変動パターン指定の表示制御コマンドで実現され、識別情報の表示結果を特定可能な識別情報指定コマンドは、左図柄指定、中図柄指定、右図柄指定の表示制御コマンドで実現され、可変表示の終了を示す可変表示終了指定コマンドは、特別図柄停止の表示制御コマンドで実現されている。また、この実施の形態では、変動パターン指定の表示制御コマンドが可変表示の開始を示す可変表示開始指定コマンドおよび可変表示態様を特定可能な可変表示態様指定コマンドとして兼用されているが、可変表示開始指定コマンドと可変表示態様を特定可能な可変表示態様指定コマンドとを別にしてもよい。
次に、表示制御手段の動作を説明する。まず、表示制御用CPU101が実行するメイン処理について説明する。メイン処理では、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また表示制御の起動間隔を決めるための2msタイマの初期設定等を行うための初期化処理が行われる。その後、表示制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視の確認を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、表示制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、表示制御用CPU101は、そのフラグをクリアし、以下の表示制御処理を実行する。
この実施の形態では、タイマ割込は2ms毎にかかる。すなわち、表示制御処理は、2ms毎に起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な表示制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で表示制御処理を実行してもよい。
表示制御処理において、表示制御用CPU101は、まず、受信した表示制御コマンドを解析する(コマンド解析実行処理)。コマンド解析処理では、表示制御用CPU101は、コマンド受信バッファに格納されている表示制御コマンドの内容を確認し、受信コマンドに対応するフラグのセットなどの処理を行う。例えば、受信コマンドが変動パターンコマンドである場合には、変動パターンコマンド受信フラグをセットするとともに、表示制御コマンド(80XX(H))の「XX」で示されるEXTデータを保存しておく処理を行う。また、その他の表示制御コマンドが特別図柄左指定の表示制御コマンドである場合には、表示制御コマンド(91XX(H))の「XX」で示される左、中、右図柄を示すデータを、RAMにおける左、中、右図柄格納領域にそれぞれ格納する処理を行う。次いで、表示制御用CPU101は、表示制御プロセス処理を行う。表示制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。その後、タイマ割込フラグの確認を行う処理に戻る。
次に、主基板31からの表示制御コマンド受信処理について説明する。主基板31から受信した表示制御コマンドは、コマンド受信バッファに格納される。この例では、2バイト構成の表示制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式のコマンド受信バッファが用いられる。従って、コマンド受信バッファは、受信コマンドバッファ1〜12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0〜11の値をとる。なお、必ずしもリングバッファ形式でなくてもよく、例えば、図柄指定コマンド格納領域を3個(2×3=6バイトのコマンド受信バッファ)、それ以外の変動パターン指定などのコマンド格納領域を1個(2×1=2バイトのコマンド受信バッファ)のようなバッファ構成としてもよい。
主基板31からの表示制御用のINT信号は表示制御用CPU101の割込端子に入力されている。例えば、主基板31からのINT信号がオン状態になると、表示制御用CPU101において割込がかかる。そして、表示制御用CPU101は、割込処理において表示制御コマンドの受信処理を実行する。表示制御コマンドの受信処理において、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドデータを、コマンド受信個数カウンタが示す受信コマンドバッファに格納する。
次に、変動パターンテーブル毎に設定されているプロセスデータについて説明する。プロセスデータは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている。表示制御実行データは、特別図柄の変動期間中における可変表示装置9の表示状態を示すデータが設定されている。例えば、表示制御実行データ1には、可変表示開始時の可変表示装置9の表示状態を示すデータが設定されている。そして、特別図柄の変動期間中において、表示状態を切り替えるタイミング(例えば可変表示装置9において新たなキャラクタが登場するタイミング)が到来すると、表示制御手段は、プロセスデータにおける次の表示制御実行データに従って、可変表示装置9の表示状態を制御する。プロセスタイマ設定値には、切替のタイミングに応じた時間が設定されている。
この例では、表示制御手段が、ROM102に記憶されているプログラムおよびプロセスデータにもとづいて可変表示装置9を制御する。また、演出手段(この実施の形態では可変表示装置9)の制御に関わるプログラムは、表示制御基板80に搭載されているROM102に格納されている。
本例で使用されるプロセスデータは、表示制御基板80におけるROM102に格納されている。また、プロセスデータは、各変動パターンのそれぞれに応じて用意されている。
図9は、演出実行処理の一例を示すフローチャートである。演出実行処理は、メイン処理における表示制御プロセス処理に含まれる複数の処理の一部をまとめて示すものである。
演出実行処理において、表示制御用CPU101は、変動時間を特定可能な表示制御コマンド(変動パターンコマンド)を受信したか否か確認する(ステップS801)。具体的には、変動パターンコマンドが受信されたことを示すフラグ(変動パターン受信フラグ)がセットされたか否か確認する。変動パターン受信フラグは、コマンド解析処理によって、変動パターン指定の表示制御コマンドが受信されたことが確認された場合にセットされる。
変動パターンコマンドを受信していれば、表示制御用CPU101は、受信した変動パターンコマンドが、第1特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示器33での表示制御を指定するコマンドであるか、第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示器39での表示制御を指定するコマンドであるか確認する(ステップS802)。
第1特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドであれば、表示制御用CPU101は、第1特別図柄の変動表示の変動パターンに応じたプロセスデータを選択し(ステップS803a)、第1特別図柄の変動表示の変動パターンに応じた飾り図柄の変動表示の変動パターンを決定する(ステップS804a)。次いで、表示制御用CPU101は、第1特別図柄の変動パターンコマンドにもとづいて選択したプロセスデータにもとづいて、特別図柄表示器33での第1特別図柄の変動表示制御と、可変表示装置9での飾り図柄の変動表示制御とを実行する(ステップS805a)。ステップS805aでは、第1特別図柄の変動を開始するとともに左中右の飾り図柄の変動を開始し、第1特別図柄および飾り図柄について、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する処理が実行される。また、ステップS805aでは、飾り図柄のうちの左右図柄の停止制御が行われる。
そして、使用するプロセスデータにより定まる変動時間の終了時に、全図柄停止を指示する表示制御コマンド(特別図柄停止の表示制御コマンド)を受信していたら、表示制御用CPU101は、第1特別図柄の変動を停止し、記憶されている停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行うとともに、飾り図柄の変動を停止し、決定されている停止図柄を表示する制御を行う(ステップS806a)。
第2特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドであれば、表示制御用CPU101は、第2特別図柄の変動表示の変動パターンに応じたプロセスデータを選択し(ステップS803b)、第2特別図柄の変動表示の変動パターンに応じた飾り図柄の変動表示の変動パターンを決定する(ステップS804b)。次いで、表示制御用CPU101は、第2特別図柄の変動パターンコマンドにもとづいて選択したプロセスデータにもとづいて、特別図柄表示器39での第2特別図柄の変動表示制御と、可変表示装置9での飾り図柄の変動表示制御とを実行する(ステップS805b)。ステップS805bでは、第2特別図柄の変動を開始するとともに左中右の飾り図柄の変動を開始し、第2特別図柄および飾り図柄について、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する処理が実行される。また、ステップS805bでは、飾り図柄のうちの左右図柄の停止制御が行われる。
そして、使用するプロセスデータにより定まる変動時間の終了時に、全図柄停止を指示する表示制御コマンド(特別図柄停止の表示制御コマンド)を受信していたら、表示制御用CPU101は、第2特別図柄の変動を停止し、記憶されている停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行うとともに、飾り図柄の変動を停止し、決定されている停止図柄を表示する制御を行う(ステップS806b)。
以上説明したように、第1特別図柄と第2特別図柄とを用いて複数箇所で特別図柄の変動表示を行うとともに、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示態様に応じて飾り図柄による演出制御を行う構成としたので、ゲーム性を高めることができるとともに、遊技の内容を遊技者に容易に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
特別図柄の変動表示が複数箇所で実行されると、遊技者にとっては分かりづらいものとなるおそれがあるが、上述した実施の形態では、特別図柄の変動表示態様に応じた飾り図柄の変動表示を1箇所で実行する構成としているので、遊技者は、変動表示結果などの遊技状態を把握するために、複数箇所での特別図柄の変動表示を確認する必要がなくなり、飾り図柄だけに注目していればよくなる。すなわち、遊技の内容を遊技者に容易に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができるのである。
また、上述したように、複数の始動入賞口14A,14Bを設け、各始動入賞口14A,14Bと、始動入賞の発生に応じて特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示器33,39とを対応付けする構成としたので、特別図柄表示器33での第1特別図柄の変動表示を実行させたい場合は始動入賞口14Aに入賞させればよく、特別図柄表示器39での第2特別図柄の変動表示を実行させたい場合は始動入賞口14Bに入賞させればよいこととすることができ、ゲーム性を向上させることができる。すなわち、始動入賞口14A,14Bのいずれか一方を狙って遊技球を打込むなどして遊技を楽しむことができるようになるため、遊技者の選択を広げることができる。
また、各始動入賞口14A,14Bと、始動入賞の発生に応じて特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示器33,39とを対応付けする構成としたので、第1特別図柄の変動表示の始動条件と、第2特別図柄の変動表示の始動条件とを、明確に区別することができ、遊技者にとって分かりやすい遊技内容とすることができるとともに、ゲーム性を向上させることができる。
また、上述したように、第1特別図柄の変動表示が実行されたときと、第2特別図柄の変動表示が実行されたときとで、大当りとなる確率を異ならせるように構成したので、遊技に幅を持たせることができるようになり、ゲーム性を向上させることができる。
また、上述したように、第1特別図柄の変動表示によって大当りが発生したときと、第2特別図柄の変動表示によって大当りが発生したときとで、異なる種類の大当りを発生させる構成としたので、大当り発生の原因となった特別図柄の違いによって発生する大当りの種類を異ならせることができる。従って、大当り発生の原因となった特別図柄の違いによって、大当りの価値(例えば出玉数)を異ならせるようにすることができ、ゲーム性を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態では、前回の特別図柄の変動表示が完了したあとに、次の特別図柄の変動表示が開始される構成としていたが、前回の特別図柄の変動表示が完了する前に、次の特別図柄の変動表示を開始するようにしてもよい。すなわち、特別図柄の変動表示が複数箇所で時間的に重複して実行される構成とされていてもよい。具体的には、例えば、第1特別図柄の変動表示の実行中に、次の順番の第2特別図柄の変動表示の実行を開始するようにしてもよい。
以下、特別図柄の変動表示が複数箇所で時間的に重複して実行される場合について、図10〜図12を参照して説明する。
図10(A)は、RAM55の所定領域の設けられている第1特別図柄判定用バッファと第2特別図柄判定用バッファの記憶内容の例を示す説明図である。図10(B)は、RAM55の所定領域に記憶されている入賞識別情報の例を示す説明図である。
ここでは、図10(A)に示すように、3つの第1始動入賞記憶(保留記憶1〜保留記憶3)と、1つの第2保留始動入賞記憶(保留記憶1)とがあるものとする。
また、図10(B)に示すように、総始動入賞記憶数1〜4に、それぞれ、「第1」(ここでは始動入賞口14Aへの入賞にもとづく保留記憶であることを意味する)、「第1」、「第2」(ここでは始動入賞口14Bへの入賞にもとづく保留記憶であることを意味する)、「第1」が対応付けされている。従って、総始動入賞記憶数1〜4に対応する保留記憶は、始動入賞口14A、始動入賞口14A、始動入賞口14B、始動入賞口14Aの順番で入賞したことによるものであり、特別図柄の変動表示は、第1特別図柄、第1特別図柄、第2特別図柄、第1特別図柄の順番で実行されることになる。
図11は、図10に示す保留記憶状態であるときに順次実行される変動表示を説明するための説明図である。図12は、図10に示す保留記憶状態であるときに順次実行される変動表示のタイミングの例を示すタイミングチャートである。なお、ここでは、新たな始動入賞はないものとする。
図10に示す保留記憶状態の総始動入賞記憶数が4であるときに、表示制御用CPU101は、先ず、総始動入賞記憶数の表示を1減算した3とし、特別図柄表示器33にて第1特別図柄の変動表示(図12に示す変動表示A)を開始するとともに、可変表示装置9にて変動表示Aに対応した飾り図柄の変動表示(図12に示すA対応表示)を開始する(図11(A))。
変動表示AおよびA対応表示が完了すると、表示制御用CPU101は、総始動入賞記憶数の表示を1減算した2とし、特別図柄表示器33にて第1特別図柄の変動表示(図12に示す変動表示B)を開始するとともに、可変表示装置9にて変動表示Bに対応した飾り図柄の変動表示(図12に示すB対応表示)を開始する(図11(B))。
次いで、表示制御用CPU101は、変動表示BおよびB対応表示が開始された後、あらかじめ定められた所定期間を経過すると、総始動入賞記憶数の表示を1減算した1とし、特別図柄表示器39にて第2特別図柄の変動表示(図12に示す変動表示C)を開始する(図11(C))。図11(C)に示すように、この例では、変動表示BおよびB対応表示が完了する前に、変動表示Cが開始される。また、図12に示すように、この例では、変動表示Cが開始された場合であっても、可変表示装置9では、B対応表示が継続して実行される。
その後、図12に示すように、変動表示BおよびB対応表示が完了すると、表示制御用CPU101は、可変表示装置9での飾り図柄の変動表示を、B対応表示から、継続して実行されている変動表示Cに対応した飾り図柄の変動表示(図12に示すC対応表示)に切り替える(図11(D))。
そして、変動表示CおよびC対応表示が完了すると、表示制御用CPU101は、総始動入賞記憶数の表示を1減算した0とし、特別図柄表示器33にて第1特別図柄の変動表示(図12に示す変動表示D)を開始するとともに、可変表示装置9にて変動表示Dに対応した飾り図柄の変動表示(図12に示すD対応表示)を開始する(図11(E))。その後、表示制御用CPU101は、変動表示DおよびD対応表示を完了させる。
なお、上記の例では、主基板31のCPU56は、図12に示す変動表示Bの指定を行うための変動パターンコマンドを送信したあと、変動表示Bの変動期間が完了する前(例えば所定期間経過後)に、変動表示Cの指定を行うための変動パターンコマンドを送信する処理を実行するように構成すればよい。
上記のように、第1特別図柄と第2特別図柄とを用いて複数箇所で時間的に重複させて特別図柄の変動表示を行うとともに、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示態様に応じて飾り図柄による演出制御を行う構成としたので、ゲーム性をさらに高めることができるとともに、遊技の内容を遊技者に容易に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
特別図柄の変動表示が複数箇所で時間的に重複して実行されると、遊技者にとっては非常に分かりづらいものとなるおそれがあるが、上記の例では、先に開始された特別図柄の変動表示が完了するまでは、先に開始された特別図柄の変動表示に対応する飾り図柄の変動表示を行うものとし、先に開始された特別図柄の変動表示が完了したときに、後に開始された特別図柄の変動表示に対応する飾り図柄の変動表示に切り替えることとし、特別図柄の変動表示態様に応じた飾り図柄の変動表示を1箇所で実行する構成としているので、遊技者は、変動表示結果などの遊技状態を把握するために、時間的に重複した複数箇所での特別図柄の変動表示を確認する必要がなくなり、飾り図柄だけに注目していればよくなる。すなわち、遊技の内容を遊技者に容易に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができるのである。
なお、図10〜図12に示した上記の例では特に言及していないが、前に実行される特別図柄の変動表示の変動表示態様や、後に実行される特別図柄の変動表示の変動表示態様にもとづいて、特別図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成としてもよい。
図13は、1回前に実行される特別図柄の変動表示の変動表示態様にもとづいて、特別図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成とした場合における変動パターン決定処理(図8に示すステップS62の処理)の例を示すフローチャートである。
変動パターン決定処理において、CPU56は、先ず、変動パターン決定処理を前回実行したときにステップS62dにてRAM55の変動態様履歴記憶領域に記憶された変動表示態様情報を読み出し(ステップS62a)、読み出した変動表示態様情報が示す変動表示態様に対応付けされている変動パターン決定用テーブルを使用テーブルに設定する(ステップS62b)。
この例では、第1特別図柄についての変動表示態様毎に変動パターン決定用テーブルが用意されているとともに、第2特別図柄についての変動表示態様毎に変動パターン決定用テーブルが用意されている。各変動パターン決定用テーブルには、変動パターン決定用乱数と比較される比較値と、各比較値に対応した変動パターンとが設定されている。
ここで、変動表示態様は、変動時間を含む変動パターンを意味する。また、変動表示態様情報は、変動表示態様を示す情報と、変動対象となる特別図柄が第1特別図柄であるか第2特別図柄であるかを示す情報とを含む。
次いで、CPU56は、設定されている変動パターン決定用テーブルを用いて、ステップS61にてロードした変動パターン決定用乱数カウンタの値と一致する比較値に対応付けされている変動パターンを、特別図柄の変動表示の変動パターンに決定する(ステップS62c)。
ステップS62cにて決定される変動パターンは、1回前の特別図柄の変動表示と、今回の特別図柄の変動表示とで、確定表示される順番が入れ替わってしまわないようなものとされる。すなわち、ステップS62bにて、そのような支障が生じないような複数の変動パターンが設けられている変動パターン決定用テーブルが設定される。
具体的には、例えば、前回の特別図柄の変動表示が変動表示B(図12参照)であり、今回の特別図柄の変動表示が変動表示C(図12参照)であるとすると、変動表示Bの確定表示タイミングよりも遅いタイミングで変動表示Cが確定表示されるような変動パターンに決定される。
そして、CPU56は、今回決定した変動パターンを含む変動表示態様情報をRAM55の変動態様履歴記憶領域に記憶する(ステップS62d)。
上記のように、前回変動表示される特別図柄が第1特別図柄であるか第2特別図柄であるかの別と、および前回の変動表示の変動表示態様とにもとづいて、今回の特別図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成とされているので、特別図柄の変動表示の実行(特に確定表示タイミング)の順番が、始動条件が成立した順番に一致するように制御することが容易にできるようになる。すなわち、後に開始された特別図柄の変動表示が、先に完了してしまうことを防止することが容易となる。
なお、上記の例において、前回変動表示される特別図柄の変動表示の表示結果をも考慮して、今回の特別図柄の変動表示の変動表示態様を決定するようにしてもよい。この場合、前回変動表示される特別図柄の変動表示の表示結果が大当りとなるときに、大当り演出が終了するまで今回の特別図柄の変動表示を開始させないように決定したり、大当り演出が終了するまでの十分な変動時間(例えば最長期間)の変動パターンとすることに決定したりする構成とすればよい。なお、最長期間とした場合、大当り演出が終了したときに変動期間の強制終了を指定する変動期間短縮コマンドを送信して停止表示する構成とすればよい。このように構成すれば、前回の特別図柄の変動表示結果が大当りとなる場合であっても、特別図柄の変動表示の実行(特に確定表示タイミング)の順番が、始動条件が成立した順番に一致するように制御することが容易にできる。
また、図10〜図12に示した上記の例では特に言及していないが、前に実行される飾り図柄の変動表示の変動表示態様や、後に実行される飾り図柄の変動表示の変動表示態様にもとづいて、飾り図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成としてもよい。
図14は、1回前に実行される飾り図柄の変動表示の変動表示態様にもとづいて、飾り図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成とした場合における飾り図柄変動パターン決定処理(ステップS804:図9に示すステップS804a,ステップS804bの処理)の例を示すフローチャートである。
飾り図柄変動パターン決定処理において、表示制御用CPU101は、先ず、飾り図柄変動パターン決定処理を前回実行したときにステップS804fにてRAM103の飾り図柄変動態様履歴記憶領域に記憶された飾り図柄変動表示態様情報を読み出し(ステップS804c)、読み出した飾り図柄変動表示態様情報が示す飾り図柄変動表示態様に対応付けされている飾り図柄変動パターン決定用テーブルを使用テーブルに設定する(ステップS804d)。
この例では、飾り図柄変動表示態様毎に飾り図柄変動パターン決定用テーブルが用意されている。各飾り図柄変動パターン決定用テーブルには、前回の飾り図柄の変動表示の後に続けて実行される飾り図柄の変動表示を示す飾り図柄変動パターンが設定されている。
ここで、飾り図柄変動表示態様は、変動時間を含む飾り図柄変動パターンを意味する。また、飾り図柄変動表示態様情報は、飾り図柄変動表示態様を示す情報を含む。
次いで、表示制御用CPU101は、設定されている飾り図柄変動パターン決定用テーブルを用いて、今回の変動時間に合致する飾り図柄変動パターンを、飾り図柄の変動表示の変動パターンに決定する(ステップS804e)。
ステップS804eにて決定される飾り図柄変動パターンは、1回前の飾り図柄の変動表示の後に続けて今回の飾り図柄の変動表示が実行されても、見た目上支障のないようなものとされる。すなわち、ステップS804dにて、そのような支障が生じないような複数の飾り図柄変動パターンが設けられている飾り図柄変動パターン決定用テーブルが設定される。
具体的には、例えば、再変動演出のような表示演出、停止表示されている飾り図柄のいくつかの停止状態を維持した今回の変動表示を開始するようにし、演出が継続しているかのような表示演出、複数回の特別図柄の変動表示に対応する飾り図柄演出において途中で停止表示を行うことなく継続して変動表示を行い最後だけ停止表示する表示演出などのような飾り図柄変動パターンが選択される。
また、ステップS804eにて決定される飾り図柄変動パターンは、今回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動期間とは必ずしも一致しない変動期間であって、前回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動表示が完了したときから、今回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動表示が完了するときまでの変動期間のものとされる。すなわち、ステップS804eにてそのような変動期間の飾り図柄変動パターンが選択される。
具体的には、例えば、対応する前回の特別図柄の変動表示が変動表示B(図12参照)であり、対応する今回の特別図柄の変動表示が変動表示C(図12参照)であるとすると、今回の飾り図柄の変動表示は、変動表示Bの確定表示タイミングから、変動表示Cの確定表示タイミングまでの変動期間であるC対応表示(図12参照)のような変動パターンとされる。
そして、表示制御用CPU101は、今回決定した飾り図柄変動パターンを含む飾り図柄変動表示態様情報をRAM55の飾り図柄変動態様履歴記憶領域に記憶する(ステップS804f)。
上記のように、前に実行される飾り図柄の変動表示の表示態様に応じて、今回の飾り図柄の変動表示の表示態様を決定することができるため、複数回分の特別図柄の変動表示に対応する飾り図柄の変動表示を、1回の変動表示に見せるようにするようなことができるようになり、演出効果を向上させることができる。
図15は、1回後に実行される飾り図柄の変動表示の変動表示態様にもとづいて、飾り図柄の変動表示の変動表示態様を決定する構成とした場合における飾り図柄変動パターン決定処理(ステップS804:図9に示すステップS804a,ステップS804bの処理)の例を示すフローチャートである。
飾り図柄変動パターン決定処理において、表示制御用CPU101は、先ず、1回後に実行される特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドにもとづいて、1回後に実行される飾り図柄の変動表示の変動表示態様を判定する(ステップS804h)。すなわち、この例では、1回後に実行される特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドがあらかじめ主基板31から送信される構成とし、表示制御基板80にて1回後の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドをあらかじめ受信して保持しておく構成とされる。つまり、この例では、主基板31は、送信済の変動パターンコマンドにもとづく変動表示が開始されていなくても、保留記憶があれば次回の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを送信する処理を実行する。
具体的には、例えば3つの保留記憶がある場合には、主基板31のCPU56は、例えば、1回目の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを送信したあと、表示制御基板80にて1回目の特別図柄の変動表示が開始される前(少なくともステップS804hの処理が開始される前)に、2回目の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを送信する処理を行うようにすればよい。また、その後に、CPU56は、表示制御基板80にて2回目の特別図柄の変動表示が開始される前(少なくともステップS804hの処理が開始される前)に、3回目の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを送信する処理を行うようにすればよい。
また、表示制御用CPU101は、主基板31から送信された変動パターンコマンドを受信して保持しておき、1回目の特別図柄の変動表示を行うときに、ステップS804hにて、保持している2回目の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを用いるようにすればよい。また、その後、表示制御用CPU101は、2回目の特別図柄の変動表示を行うときに、ステップS804hにて、保持している3回目の特別図柄の変動表示を指定する変動パターンコマンドを用いるようにすればよい。
次いで、表示制御用CPU101は、ステップS804hにて判定した飾り図柄の変動表示の変動表示態様に対応付けされている飾り図柄変動パターン決定用テーブルを使用テーブルに設定する(ステップS804i)。
この例では、飾り図柄変動表示態様毎に飾り図柄変動パターン決定用テーブルが用意されている。各飾り図柄変動パターン決定用テーブルには、次回の飾り図柄の変動表示の前に実行される飾り図柄の変動表示を示す飾り図柄変動パターンが設定されている。
そして、表示制御用CPU101は、設定されている飾り図柄変動パターン決定用テーブルを用いて、今回の変動時間に合致する飾り図柄変動パターンを、飾り図柄の変動表示の変動パターンに決定する(ステップS804j)。
ステップS804eにて決定される飾り図柄変動パターンは、1回後の飾り図柄の変動表示の前に今回の飾り図柄の変動表示が実行されても、見た目上支障のないようなものとされる。言い換えれば、今回の飾り図柄の変動表示の後に続けて1回後の飾り図柄の変動表示が実行されても、見た目上支障のないようなものとされる。すなわち、ステップS804iにて、そのような支障が生じないような複数の飾り図柄変動パターンが設けられている飾り図柄変動パターン決定用テーブルが設定される。
具体的には、例えば、再変動演出のような表示演出、停止表示する飾り図柄のいくつかが停止状態を維持したまま次回の変動表示が開始される表示演出、停止表示することなく次回の変動表示が開始される表示演出などのような、演出が継続しているかのような表示演出を行う飾り図柄変動パターンが選択される。
また、ステップS804jにて決定される飾り図柄変動パターンは、今回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動期間とは必ずしも一致しない変動期間であって、今回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動表示が開始するときから、次回の飾り図柄の変動表示に対応する特別図柄の変動表示が開始するときまでの変動期間のものとされる。すなわち、ステップS804jにてそのような変動期間の飾り図柄変動パターンが選択される。
上記のように、後に実行される飾り図柄の変動表示の表示態様に応じて、今回の飾り図柄の変動表示の表示態様を決定する構成としたので、複数回分の特別図柄の変動表示に対応する飾り図柄の変動表示を、1回の変動表示に見せるようにするようなことができるようになり、演出効果を向上させることができる。特に、複数回の飾り図柄の変動表示における先の変動表示の内容を、後の変動表示の内容にもとづいて決定するので、継続して実行されているような表示演出とすることが容易となる。
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、大入賞口を2つ設ける構成とし、第1特別図柄の変動表示によって大当りとなったときと、第2特別図柄の変動表示によって大当りとなったときとで、大当り遊技において開放される大入賞口を別個のものとするように構成されていてもよい。
また、上述した実施の形態では2つの特別図柄表示器33,39により第1特別図柄と第2特別図柄とで特別図柄の変動表示を行う構成としていたが、特別図柄表示器を3つ以上設け、三箇所以上で特別図柄の変動表示を行う構成としてもよい。
また、上述した実施の形態では始動入賞が発生した順番に変動表示が実行されることとしていたが、2つの特別図柄表示器33,39による第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とに優先順位を設け、優先順位の高い方の保留記憶を優先的に消化するようにしてもよい。具体的には、例えば第2特別図柄の変動表示が、第1特別図柄の変動表示よりも優先度が高く設定されており、第1始動入賞記憶数が「3」で、第2始動入賞記憶数が「2」である場合には、どのような順番で始動入賞が発生したかに関わらず、2回の第2特別図柄の変動表示を優先的に実行し、その後に3回の第1特別図柄の変動表示を実行する。なお、優先度ではなく、特別図柄の変動表示を実行するときに、抽選を行い、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とのいずれを行うかを決定するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では2つの特別図柄表示器33,39と、可変表示装置9とを別個に備え、第1特別図柄、第2特別図柄、飾り図柄をそれぞれ別個の表示器で変動表示する構成としていたが、第1特別図柄、第2特別図柄、飾り図柄のうちの任意の2つ、あるいは第1特別図柄、第2特別図柄および飾り図柄の3つを同じ表示器で変動表示する構成とされていてもよい。すなわち、1つの表示器に、第1特別図柄を変動表示する表示部と、第2特別図柄を変動表示する表示部と、飾り図柄を変動表示する表示部とを備えるような構成としてもよい。
なお、上述した実施の形態では、以下の遊技機も開示されている。
保留記憶数表示手段が、第1の保留記憶手段が記憶している保留記憶であるか第2の保留記憶手段が記憶している保留記憶であるかを区別不能に総保留数特定表示を行う(具体的には図11参照)遊技機。すなわち、始動入賞口14Aへの入賞による保留記憶であるか、始動入賞口14Bへの入賞による保留記憶であるかを区別することなく、始動記憶数表示エリア18に総始動入賞記憶数を表示する構成としている。このように構成されているので、遊技者に総保留記憶数を容易に認識させることができる。
なお、上記の各実施の形態の遊技機は、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であり、かつ、プリペイドカードによって球貸しを行うカードリーダ(CR:Card Reader )式の第1種パチンコ遊技機であったが、プリペイドカードによって球貸しを行うCR式パチンコ遊技機だけでなく、現金によって球貸しを行うパチンコ遊技機にも適用可能である。さらに、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
また、上記の各実施の形態において、「特別遊技状態」とは、大当りとなりやすい遊技者にとって有利な状態を意味する。具体的には、「特別遊技状態」は、例えば、特別図柄が大当り図柄で揃う確率が高確率状態とされる確変状態、単位時間あたりの普通図柄の変動回数が高められる時短状態、可変入賞球装置15A,15Bの開成期間や開成回数が高められる開放延長状態などの大当りとなる確率が高められている高確率状態である。なお、時短状態は、可変入賞球装置15,15Bの開放回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。また、同様に、開放延長状態は、可変入賞球装置15,15Bの開成期間や開成回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。
また、遊技機は、第1の識別情報の変動表示の表示結果を特定表示結果とするか否かの第1決定確率と、第2の識別情報の変動表示の表示結果を特定表示結果とするか否かの第2決定確率とを記憶する特定確率記憶手段(例えばROM54における第1の大当り判定用テーブルと第2の大当り判定用テーブルとが格納された記憶領域)を備え、特定確率記憶手段は、第1決定確率とは異なる確率の第2決定確率を記憶するように構成されていてもよい。そのような構成により、第1の識別情報の変動表示が実行されたときと、第2の識別情報の変動表示が実行されたときとで、特定遊技状態となる確率を異ならせることができ、ゲーム性を向上させることができる。