JP4463524B2 - 亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体 Download PDF

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Description

本発明は、道路のガードレール用支柱等、コンクリート面等に設置される亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体に関する。
例えば、道路のガードレール用支柱等、鋼材製構造体を地面や基礎構造物に固定するために、当該構造体の基部をコンクリート中に埋め込むことが安価な固定方法として多用されている。
そして、鋼材製構造体に耐久性を持たせるために、鋼材として亜鉛系のめっきを施したものが用いられている。さらにめっき層上に塗装を施すこともある。亜鉛系めっき鋼材は、腐食環境に曝されたとき、先ずめっき層の亜鉛から消耗される。このため、下地の鋼材が露出するまでに長時間を要するので、結果的に鋼材の寿命を長くすることができている。腐食度合いがあまり強くない普通の環境では、亜鉛系めっき鋼材を用いることにより、通常10年を超える耐久性が得られている。
ところが、融雪剤を撒いた道路や海塩粒子が飛来する塩害地域等、塩害腐食性の強い環境では、亜鉛系めっき鋼材を使用していても、腐食の進行が早く、数年で構造物として使用に耐えられなくなることもある。
亜鉛系めっき鋼材をコンクリート中に埋め込んだ構造物では、コンクリートから大気中に露出する地際界面近傍での腐食が最も進行しやすい。コンクリート面から離れた大気中部分やコンクリートに埋没している部分と比べて大気中に露出する地際界面近傍は湿度が高くなりやすくなるためである。特にコンクリートはひび割れしやすく、またコンクリートの収縮等によってめっき鋼材とコンクリートとの間に隙間が形成されると、その隙間に浸入した水分の影響で、界面から内部に入った箇所でも鋼材の腐食が進行しやすくなる。殊に塩分が浸透すると亜鉛系めっき鋼材といえども短期間に腐食し、使用に耐えられなくなる。
亜鉛系めっき鋼材をコンクリート中に埋め込んだ構造物での、表面が大気に露出しているコンクリートとの地際界面近傍の鋼材の腐食を抑制するために、鋼材とコンクリートの界面部をはさんで両側の領域を、めっきの表面に無機酸素酸塩の化合物を含む中和能を持つバインダー層を介し、その上に有機樹脂被覆層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
この技術は、鋼材と表面が大気に露出しているコンクリートとの地際界面近傍では、形成された結露水のpHが12を超えるようになって、腐食が進行しやすい環境になっていることを付きとめ、高アルカリ化を防ぐためにアルカリ中和能を持つ物質を使用するものである。
同技術ではアルカリ中和能を持つ物質を有機樹脂被覆層で固定しているとはいえ、用いられている無機酸素酸塩は水に溶解しやすいので、長期にわたって中和能を維持させることは困難である。
特に、前記したようにコンクリートの硬化時の収縮に起因してクラックが発生したり、鋼材との間に隙間が形成されたりしていると、長期にわたる腐食の抑制は期待できなくなる。
特開2002−371372号公報
そこで、本発明は、塩害腐食性の強い環境であっても、亜鉛系めっき鋼材と表面が大気に露出しているコンクリートの地際界面近傍で、結露水が生成されても、結露水のpHが12を超えることがないようにして、めっき鋼材の腐食の進行を抑制するとともに、コンクリートそのものの収縮を抑制してクラックの発生や鋼材との隙間の生成を抑えて水分の浸透を抑えて腐食の進行を抑制することを目的とする。また、めっき層そのものを耐食性に優れるものとし、さらに、浸透する水分があったとしても、めっき面に直接に接触することがないようにすることによって、亜鉛系めっき鋼材の腐食を抑え、当該構造物の耐久性を高めることを目的とする。
本発明の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体は、その目的を達成するため、亜鉛系めっきが施された鋼材が水硬性組成物で固定された複合構造体であって、前記水硬性組成物がアルミナセメント:0〜100質量部,ポルトランドセメント:0〜40質量部,石膏:0〜80質量部を含む水硬性成分を含有し、水素イオン指数(pH)が12以下に調整されていることを特徴とする。
水硬性組成物は、アルミナセメント:30〜70質量部,ポルトランドセメント:5〜40質量部,石膏:20〜50質量部を含む水硬性成分を含有し、水素イオン指数(pH)を11.8以下に調整されている物が好ましい。
水硬性成分には、さらに高炉スラグ粉及び/又はフライアッシュを含有していてもよい。また、水硬性組成物には、細骨材を、好ましくは水硬性成分100質量部に対して50〜400質量部の割合で含ませることができる。
亜鉛系めっきとしては、60質量%以下のAlを含有するものや、0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有するものが用いられる。0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有するものにあっては、さらに0.002〜0.1質量%のTi及び0.0005〜0.045質量%のBの1種又は2種を含有したものでもよい。
このような亜鉛系めっきとしては、さらに0.005〜2.0質量%のSiを含有していてもよい。
亜鉛系めっき鋼材の少なくとも地際部近傍に、キレート作用を有する有機酸を含む樹脂膜層が設けられることが好ましい。この樹脂膜層には、さらにシランカップリング剤を含むものが好ましい。このような樹脂膜層としては、具体的に、タンニン酸ないしその誘導体を合計で0.1〜20質量%,フイチン酸ないしフイチン酸塩を合計で0.1〜5質量%,シランカップリング剤を0.01〜5質量%の割合で含有するものを用いることが好ましい。
本発明では、亜鉛系めっき鋼材を埋め込み固定しているモルタル、あるいはコンクリート(本発明では「水硬性組成物」と称する。)の水素イオン指数(pH)を,水硬性成分を構成する各種物質の割合を調整することにより、12以下にすることにより、亜鉛系めっき鋼材の腐食を抑えたものである。
また、水硬性成分や水硬性組成物を構成する他の成分の相互作用により、水硬性組成物が硬化するときの収縮を抑制し、結果的に硬化物にクラックが発生することや、めっき鋼材との間に隙間が形成されることを防ぐことができている。
さらに、めっき層として耐食性に優れるものを使用するとともに、めっき層上に防錆機能の優れた樹脂膜層を設けることにより、水硬性組成物中に埋め込まれためっき鋼材の腐食をさらに抑え、亜鉛系めっきが施された鋼材が水硬性組成物で固定された複合構造体の耐久性を飛躍的に高めることができている。
前記したように、特許文献1により、鋼材と表面が大気に露出しているコンクリートとの地際界面近傍では、形成された結露水のpHが12を超えるようになって、めっき鋼材の腐食が進行しやすい環境になっている。当該引用文献に記載の技術では、pHを抑えるために、アルカリ中和能を持つ物質を使用しているが、このような物質は水溶性であるために、中和能を長期間にわたって維持できない。
そこで、本発明では、水硬性組成物そのものの水素イオン指数(pH)を12以下にして、めっき鋼材の腐食の進行を抑制するものである。水硬性成分として、少なくともアルミナセメント,ポルトランドセメント及び石膏を選択し、三者の割合を、アルミナセメント:0〜100質量部,ポルトランドセメント:0〜40質量部,石膏:0〜80質量部の関係に調整すると、特殊な混和物を使用しない限り、水硬性組成物の水素イオン指数(pH)は12以下になる。
亜鉛系めっき鋼材の腐食をより抑えるために、アルミナセメント,ポルトランドセメント及び石膏の割合を、アルミナセメント:30〜70質量部,ポルトランドセメント:5〜40質量部,石膏:20〜50質量部(ただし、アルミナセメント,ポルトランドセメント及び石膏の総和は100質量部)の関係に整理すると、アルカリ度合いは低下し、pHは11.8以下となる。
ところで、水硬性成分の選択・調整には、作業性や速硬性、或いは硬化特性等の観点も重要である。この意味からも、高炉セメントやフライアッシュを併せて用い、それらの割合を調整する必要がある。
アルミナセメントは、潜在的に急硬性を有しており、硬化後は耐化学薬品性、耐火性に優れた硬化体を与える。また、潜在水硬性を有する高炉スラグの存在により、その欠点である硬化体強度の経時的な低下も抑制される。アルミナセメントは、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。しかし、強度及び着色性の面からは、CA成分が多く、かつC4AF等の少量成分が少ないアルミナセメントを用いることが好ましい。
石膏は速硬性、速乾性及び硬化後の寸法安定性を保持するために必要な成分であるが、その添加量はアルミナセメント100質量部当り40〜100質量部とすることが好ましい。40質量部より少ないと寸法安定性が低下する。逆に、100質量部より多いと耐水性が低下し、水により異常膨張を起こす場合があり好ましくない。また、石膏としては無水、2水、半水等の各石膏がその種類を問わず、1種又は2種以上の混合物として使用できる。
ポルトランドセメントは速硬性において重要な組成の一つであり、アルミナセメント及び石膏と共にカルシウムスルホアルミネート水和物の生成を促進することにより、速硬性に大きく寄与し、寸法安定性に優れた硬化体を形成する。アルミナセメントに比べて廉価であるので、全体としてコスト低減に大きく寄与する。しかしながら、添加量が多すぎると流動性が低下する場合があり、また白華発生の原因となるため、アルミナセメント100質量部に対し120質量部より少なくすることが好ましい。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントを1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
高炉スラグは、水和物の乾燥収縮が小さいことから、硬化体の耐クラック性を高めるだけでなく、その潜在水硬性により硬化体強度を向上させる作用も有している。また、アルミナセメント水和物の転移に起因する強度低下を抑制する作用も有している。高炉スラグの添加量は、アルミナセメント100質量部に対し、高炉スラグ50〜350質量部とすることが好ましく、さらに50〜300質量部が好ましく、特に50〜280質量部が好ましい。50質量部より少ないと収縮が大きくなり、また350質量部より多いと強度低下を招くことがある。
高炉スラグ及びアルミナセメントを石膏と共存させるとき、エトリンガイト結晶が生成されやすく、水硬性組成物が硬化する際の収縮が緩和される。
高炉スラグとしては、JIS A6206に規定されるブレーン比表面積300cm2/g以上のものを用いることが好ましい。
フライアッシュも使用することができる。ワーカビリティー等改善のため、火力発電所等のボイラーで石炭の燃焼灰として排出されるフライアッシュをサイクロン等の分級機を用いて分級し、比表面積(分級度)3000cm2/g程度以上に粒度調整したものを用いることができる。
細骨材としては珪砂、川砂、海砂、石灰石砂、各種砕石が使用できるが、珪砂を使用することが好ましい。細骨材の粒径は2mm以下とするのが望ましい。また、細骨材添加量は高炉スラグを除いた水硬性成分100質量部当り、250質量部以下とするのが望ましい。250質量部より多くなると、材料分離や流動性低下を招くだけでなく、強度発現性が大きく低下する。
本発明を構成する水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、減水剤を0.01〜0.50質量部、増粘剤を0.01〜1.0質量部含むことが好ましい。
水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、消泡剤2質量部以下を含むことが好ましい。
水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、細骨材を50〜400質量部、減水剤を0.01〜0.5質量部及び増粘剤を0.01〜1.0質量部含むことが好ましい。
さらに、水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、細骨材を50〜400質量部、減水剤を0.01〜0.5質量部、増粘剤を0.01〜1.0質量部、凝調整剤を0.05〜5質量部及び消泡剤を2質量部以下含むことが好ましい。
水硬性組成物は、高い流動性を有することが、施工の容易さから好ましい。流動性の高いスラリーを得るには減水剤を添加することが好ましい。
減水剤としては、ナフタリン系,メラミン系,ポリカルボン酸系等を用いることができるが、併用する増粘剤との最適な組み合わせとなるポリカルボン酸系を用いることが好ましい。
減水剤は、本発明の特性を損なわない範囲の量で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.01〜0.5質量部、さらに0.02〜0.3質量部、特に0.05〜0.15質量部添加することが好ましい。
増粘剤としては、セルロース系,蛋白質系,ラテックス系あるいは水溶性ポリマー系等を用いることができる。
増粘剤は、本発明の特性を損なわない範囲の量で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.01〜1.0質量部、さらに0.01〜0.5質量部、特に0.05〜0.2質量部添加することが好ましい。増粘剤の添加量が多くなると、流動性の低下を招くおそれがあり、好ましくない。
増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、骨材分離の抑制,気泡発生の抑制,硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、セルフレベリング材としての特性を向上させる上で好ましい。
消泡剤としては、シリコン系,アクリル系,ポリエーテル等の合成物質又は植物由来の天然物質等、公知のものを用いることができる。
消泡剤は、本発明の特性を損なわない範囲の量で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して2質量部以下、さらに1質量部以下、特に0.2質量部以下添加することが好ましい。消泡剤の添加量を上記値よりも多くしても、消泡効果の向上が認められない場合がある。
凝固調整剤には、凝固促進を行う成分である凝固促進剤や、凝固遅延を行う成分である凝固遅延剤等がある。
凝固促進剤としては、公知の凝固促進剤を用いることができる。凝固促進剤の一例としては、炭酸リチウム,塩化リチウム,硫酸リチウム、硝酸リチウム,水酸化リチウム,酢酸リチウム,酒石酸リチウム,リンゴ酸リチウム,クエン酸リチウム等の有機酸等の、無機リチウム塩や有機リチウム塩等が挙げられる。特に炭酸リチウムは、凝固促進効果,入手の容易性及び価格の面から好ましい。
凝固促進剤としては、特性を妨げない範囲の粒径で用いることが好ましく、一般的には50μm以下で用いることが好ましい。特にリチウム塩を用いる場合、粒径は50μm以下、さらに30μm以下、特に10μm以下が好ましく、粒径が上記値を上回るとリチウム塩の溶解度が小さくなって好ましくない。特に顔料添加系では微細な斑点が多数現れ、美観を損なうことがある。
また、凝固遅延剤としては、公知の凝固遅延剤を用いることができる。凝固遅延剤の一例としては硫酸ナトリウム,重炭酸ナトリウム,酒石酸ナトリウム,リンゴ酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム,グルコン酸ナトリウム等の有機酸等の、無機ナトリウム塩や有機ナトリウム塩等が挙げられる。特に炭酸ナトリウムや酒石酸ナトリウムは、凝固遅延効果,入手の容易性及び価格の面から好ましい。
凝固調整剤は、用いる自己流動性水硬性成分や水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。そして、凝固促進剤及び凝固遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択して、自己流動性水硬性組成物に添加することにより、自己流動性水硬性組成物の可使時間を調整することができ、セルフレベリング材としての使用が非常に容易になるため好ましい。
凝固調整剤は、自己流動性水硬性組成物をセルフレベリング材として用いる場合、リチウム塩とナトリウム塩の含量が、水硬性成分100質量部に対して0.05〜5質量部,さらに0.1〜2質量部,特に0.30〜0.50質量部の範囲で添加することが好ましい。
凝固調整剤は、自己流動性水硬性組成物をセルフレベリング材として用いる場合、リチウム塩に対するナトリウム塩のモル比を1〜50の範囲にすることが好ましく、モル比が1に満たないと凝固が早すぎ、自己流動性が低下するために可使時間が短くなりすぎて、施工に支障をきたす場合があり、好ましくない。また、50を超えると速硬性が低下して早期開放が困難になる場合があり、好ましくない。
水硬性組成物のフロー値は、好ましくは190mm以上、さらに好ましくは200mm以上、特に好ましくは210mm以上とする。フロー値を大きくすることで、施工が容易になり、かつ平滑性の高い硬化体表面が得やすくなる。
水硬性組成物は、さらに特性を損なわない範囲で水を加えることにより、流動性及び流動保持性を有し、1〜40℃、特に5〜35℃の温度範囲で使用することができる。
以上に説明したように、水硬性組成物は、水硬性成分,細骨材,減水材及び増粘剤,凝固調整剤及び消泡剤とを含ませ、さらに水の添加量を調整することにより、流動性及び流動保持性の優れたものとなる。
次に、亜鉛系めっき鋼材の耐腐食性を高めるための、めっき金属上の対策について説明する。
なお、本発明で用いられる原鋼材の材質は特に限定されない。通常の低炭素鋼で十分であるが、必要に応じて高強度や高耐食性を有する合金鋼を使用してもよい。
一般に亜鉛めっき鋼材は、溶融めっきが施しやすく、また廉価であるために広く使用されている。しかしながら、塩害腐食性の強い環境等では、純亜鉛めっき鋼材よりもさらに耐腐食性に優れたものが好ましい。この点からは、Zn−5質量%Alめっき、Zn−55質量%Alめっき等の60質量%以下のAlを含有する亜鉛系めっき鋼材を使用することが好ましい。
さらに耐腐食性に優れた亜鉛系めっき鋼材としては、0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有するものが好ましい。既に特開2003−55750号公報で提案されているものではあるが、本発明でも、当該Zn−Mg−Al系の溶融めっき鋼材を用いることが好ましい。
めっき層に含まれるMgは、めっき層の最表層にMgを含むZn系腐食生成物を形成させ、めっき層中のAlとともに一般大気環境下、土壌環境下、海水環境下においてめっき層の腐食速度を減少させる効果がある。この作用は、Mgを含むZn系腐食生成物が長期間安定にめっき層上に存在し、耐食性を劣化させる酸化亜鉛の形成が抑制されることによる。めっき層中のMg含有量は0.05〜10質量%に、より好ましくは1〜4質量%することが好ましい。
めっき層中のZn,MgがMgを含むZn系腐食生成物を形成するのに対し、めっき層中のAlは固着性の極めて強いZn−Al系腐食生成物を形成し、耐食性の向上に寄与する。また、Alをめっき層に含有させることでめっき層の凝固組織にZn/Al/Zn2Mg三元共晶が出現する。この三元共晶組織はZn/Zn2Mg二共晶組織より組織が微細であるため、耐食性及びめっき層硬さの観点からも三元共晶組織の方が好ましい。固着性が強いZn−Al系腐食生成物を形成し、かつZn/Al/Zn2Mg三元共晶組織を形成させるためには、4質量%以上のAlが必要である。しかし、22質量%を超えるとめっき浴を高温に保持する必要が生じ、製造性が悪くなる。
仮にめっき層中にAlが含まれず、めっき層がZn−Mg系合金の場合、Mg含有Zn系腐食生成物が流出すると、下地に固着性の強い腐食生成物がないために、めっき層の腐食が急速に進行する。
そして、Zn−Mg−Al系の合金めっき鋼材は、切断端面の耐食性を向上させる他、曲げ加工部等においても優れた耐食性を発揮する。
すなわち、切断端面部においては、めっき層から溶け出したZn,Al,Mgにより緻密なMg含有Zn系保護皮膜が端面部を覆って鋼素地を保護する態様となり、腐食の進行を妨げることになる。
同様に、曲げ加工部にあって、めっき層に亀裂・剥離が生じたとしても、めっき層から溶け出したZn,Al,Mgにより緻密なMg含有Zn系保護皮膜が亀裂・剥離部を覆って鋼素地を保護し、腐食に進行を妨げ、耐食性を維持することになる。さらにまた、道路のガードレール用支柱等、実際に施工されためっき鋼材にあっても、Zn−Mg−Al系の合金めっきが施されたものは、純ZnめっきやZn−Alめっきが施されたものと比べてめっき層が硬いために、キズが付き難く、またキズが付けられたとしても、前記と同様に、保護被膜の形成により耐食性の自己修復機能を発揮し、優れた耐食性を維持する。したがって、このような点からも、Zn−Mg−Al系の合金めっきが施されたものを用いることが好ましい。
Zn−Mg−Al系めっき層の表面外観を良くする意味で、めっき層中に少量のTiやBを含有させることが好ましい。
Tiを0.002質量%以上含有させると、表面外観を害するZn11Mg2相の生成を抑制し、めっき層中に晶出するZn−Mg系金属間化合物を実質的にZn2Mgのみにすることができる。しかし、Tiが0.1質量%を超えるとめっき層中にTi−Al系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観を損ねるようになる。
また、Bを0.0005質量%以上含有させると効果的にZn11Mg2相の生成を抑制することができる。しかし、Bが0.045質量%を超えるとめっき層中にTi−B系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観を損ねるようになる。
さらに、Zn−Al系或いはZn−Mg−Al系めっき層と鋼素地との密着性を向上させ、かつ表面光沢の劣化を抑制するために、めっき層中に微量のSiを含有させることが好ましい。Si含有量0.005質量%未満では表面劣化抑制効果は期待できず、2.0質量%を超えるとその効果は飽和するので、添加する場合には、0.005〜2.0質量%の範囲にすることが好ましい。
本発明で用いられるめっき鋼材には、クロメート系あるいはクロムフリーの化成処理皮膜を形成して耐食性の向上や、その後必要に応じて形成される樹脂膜の密着性を向上させることが好ましい。
クロメート系化成処理皮膜としては、本発明で用いられる水硬性組成物中の水硬反応性成分と反応して水和硬化物を形成して、密着性を向上させるコロイダルシリカやアルミナゾル等の水硬反応性成分を含有させたものが好ましい。また、このようなクロメート系化成処理皮膜としては、クロメート処理液中にビニルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を添加して処理されたものが好ましい。シランカップリング剤が添加されていると、化成処理膜と水硬性組成物との密着性が格段に向上する。
またクロメート系化成処理皮膜としては、本発明で用いられる水硬性組成物との密着性を向上させるために、シリカと有機樹脂を含有させたものでもよい。
クロメート処理液にシリカを添加すると、形成されたクロメート皮膜中でシリカが三次元網目構造を形成して分布するため、皮膜が緻密になり、耐食性向上、塗装密着性向上、耐指紋性向上といった効果がある。また、シリカのもつシラノール基が同時に添加される樹脂中の官能基との間で水素結合を生じることにより、樹脂を吸着することができ、この吸着によって、比較的多量の樹脂をクロメート処理液中に分散させることが可能となる。同時に添加された樹脂が示す接着性により、水硬性成分含有材料との密着性が高まる上、水硬性成分中に含まれるアルカリ成分が水硬性成分含有材料から浸出してきた時にアルカリ成分を樹脂が捕捉して、下地のめっき皮膜がアルカリにより腐食するのを防止し、めっき皮膜を健全に保持する効果が得られる。
添加されるシリカとしては、気相法で製造されたコロイド状シリカや、湿式法で製造されたコロイド状シリカが用いられる。湿式法で得られたものの方が、クロメート処理液中での分散性に優れていることから好ましい。シリカの平均粒径は、10〜100nmの範囲のものが好ましい。
有機樹脂としては、シリカを含有するクロメート処理液中に分散可能であって、分子中に多くの極性基を有するものが好ましい。アクリル系、エポキシ系、ニトリルゴム系、塩化ビニル系、ウレタン系等の、水分散性の樹脂が好適である。
それらの添加量は、樹脂固形分/Crの質量比が0.1〜20、かつ樹脂固形分/シリカの質量比が1以下となる量とすることが好ましい。
さらに、クロメート系の処理皮膜に代わってクロムフリーの処理皮膜を形成したものでもよい。このクロムフリー処理皮膜としては、特開2002−363767号公報で提案されているものが使用できる。
すなわち、亜鉛系溶融めっきを施した鋼材の表面に、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W等の高い絶縁抵抗を示すバルブメタルの酸化物又は水酸化物及びフッ化物が共存する界面反応層を介し、有機樹脂に上記バルブメタルの酸化物又は水酸化物及びフッ化物が分散した化成処理皮膜が形成された物でもよい。
バルブメタルの酸化物又は水酸化物及びフッ化物が分散する有機樹脂としては、ウレタン系、エポキシ系、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−アクリル酸共重合体等のオレフィン系、ポリスチレン等のスチレン系、ポリエステル系、或いはこれらの共重合体又は変性物、アクリル系から選ばれた1種又は2種以上の樹脂が使用される。化成処理皮膜に含まれるO及びFの濃度比F/Oが原子比率で1/100以上となるようにフッ化物を含ませるとき、フッ化物起因の自己修復作用が顕著になる。
基材鋼上のめっき層の表面に界面反応層を介して化成処理皮膜が形成されているとき、界面反応層は、化成処理液に含まれているフッ化物,リン酸塩等がめっき層と反応してできたフッ化亜鉛,リン酸亜鉛,バルブメタルのフッ化物,リン酸塩等の反応生成物からなり、優れた環境遮蔽能を呈する緻密層となっている。化成処理皮膜は、樹脂マトリックスにバルブメタルの酸化物又は水酸化物及びフッ化物が粒状に分散している。化成処理皮膜には、化成処理液の組成によってはリン酸塩,複合リン酸塩等が更に分散することもある。
緻密な界面反応層を介して化成処理皮膜が形成されているので、雰囲気中の腐食性成分が基材鋼に直接到達することが防止される。また、バルブメタルの酸化物又は水酸化物,フッ化物,リン酸塩,複合リン酸塩等の粒子が有機樹脂で厚膜化した化成処理皮膜に三次元的に分散しているため、樹脂マトリックスを浸透してきた水分等の腐食性成分が分散粒子で捕捉され、界面反応層に到達する腐食性成分が大幅に少なくなる。したがって、界面反応層が緻密であることと相俟って、優れた防食効果が奏せられることになる。
水硬性組成物中に埋め込む構造物に用いる亜鉛系めっき鋼材の形状における制限はない。水硬性組成物中に埋め込まれる基材は、断面円形(すなわち鋼管)であっても、山型,溝型,I型,T型,H型等の形鋼であってもよい。所要の溶融めっきが施され、必要に応じて化成処理が施されたものであればよい。
ところで、所要の溶融めっきが施され、必要に応じて化成処理されためっき鋼材を使用する場合にあっても、当該めっき鋼材と水硬性組成物とを、特に少なくとも地際部近傍のめっき鋼材と水硬性組成物とを、樹脂膜層で遮断すると、めっき鋼材の腐食の進行を極めて遅くすることができる。地際部近傍とは、地際を挟んで上下40〜50cmを目安とする。
本発明者等は、めっき鋼材と水硬性組成物との界面に、キレート作用を有する有機酸を含む樹脂膜層、さらに好ましくは当該有機酸とシランカップリング剤を併せて含む樹脂膜層を介在させることにより、めっき鋼材の腐食の進行を極力遅くできることを確認した。
樹脂膜層中にタンニン酸ないしその誘導体等を添加しておくと、タンニン酸ないしその誘導体の有するOH基とFeイオンが反応して、赤錆の還元とキレート反応を起こすことになる。そして、樹脂とマグネタイト(Fe34)及びタンニン酸鉄なるキレートが混合した防錆皮膜が形成され、その腐食因子遮断効果によって、鋼材表面の腐食の進行を抑制する。
この際、樹脂膜層中に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が添加されていると、上記防錆作用はさらに向上する。
すなわち、シランカップリング剤は無機質及び有機質材料と反応する2以上の異なった反応基を有する有機ケイ素化合物であって、金属等の無機質材料を処理すると表面に吸着されている微量の水分と反応してシラノ−ル基(SiOH)を生成して強力に結合する作用がある。したがって、樹脂膜層中にさらにシランカップリング剤が添加されていると、樹脂膜層及び防錆皮膜の接着力が大幅に向上して、防錆効果が向上することになる。
タンニン酸ないしその誘導体のキレート作用を効果的に利用する意味からは、その添加量を合計で0.1〜20質量%にすることが好ましい。そして、pH12以下の領域でのキレートの生成を促すために、フイチン酸ないしフイチン酸塩を合計で0.1〜5質量%添加することが好ましい。フイチン酸ないしフイチン酸塩は非常に安価な材料であるから、防錆皮膜の形成コストを低下する意味では貴重な物質ではあるが、鉄−フイチン酸キレート化合物は鉄界面との密着性が低い。したがって、当該キレート化合物の密着性を高める必要がある。このために、上記シランカップリング剤を0.01〜5質量%の割合で含有させると、亜鉛系めっき鋼材の耐腐食性を高めることができる樹脂膜層を低コストで得ることができる。
樹脂膜には、従来のものと同様に、着色顔料,体質顔料,防錆顔料等を含むことができる。
また、樹脂膜層は、事前に工場内で形成しておいても、施工現場で形成してもよい。形成手段としては、樹脂塗料のローラー掛けや吹付け等手段を問わない。
次に、必要に応じて所定の表面処理を施した鋼材の、水硬性組成物中への埋め込み形態について説明する。
亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体を新規に構築する場合には、めっき鋼材を所定位置にセットした後、本請求項に記載の水硬性組成物に混練水を添加して通常通り混練したものを流し込み、水硬性組成物を通常の手段で、養生・固化させればよい。
例えば図1に示すようような道路のガードレール用支柱P等、腐食した鋼製部材を取り替える際には、支柱Pを除去しやすいように50cm程度で切断した後、埋め込まれている支柱の周囲のコンクリートを、支柱の側面から20cm程度はなれた位置で、エアカッター等で切断し、切断コンクリートと腐食した支柱を取り除いて、例えば20数cm角或いは20数cm径で深さ25cm程度の穴を形成する。この穴に上記所定の表面処理を施した鋼材を建込み、請求項に記載した水硬性組成物を上記で説明したような態様で調製して流し込み、固化させる。
水硬性組成物として、速硬性と早強性を発揮するものを用いれば、短時間で鋼材の取り替えを行うことができ、請求項に記載したような耐腐食策を講じたものの使用により、鋼製部材の耐久性を飛躍的に高めることが可能になる。
実施例1:
1.pH測定
アルミナセメント4g、早強ポルトランドセメント3g、及び石膏3g(合計10g)及び高炉スラグ10gの水硬性成分、7号珪砂20gと、減水剤、増粘剤、消泡剤及び凝固調整剤を下記表1に示す割合で配合し、水10.4gと合わせてガラスビーカーに加え、温度20℃、湿度65%の条件で、マグネチックスターラー((株)井内盛栄堂社製型番:TR−100)を用いて、3分間混練した。混練直後に、(株)堀場製作所製のpH測定器(型番:D−21)を用いて、混練物中にセンサーを挿し込み、pH測定器の表示値をpHとして読み込んだ。その表示値は11.8であった。
Figure 0004463524

2.長さ変化率測定
(1)供試体調製条件
アルミナセメント100g、早強ポルトランドセメント75g、及び石膏75g(合計10g)及び高炉スラグ250gの水硬性成分、7号珪砂500gと、減水剤、増粘剤、消泡剤及び凝固調整剤を上記表1に示す割合で配合し、水260gと合わせてポリエチレン製ビーカーに加え、温度20℃、湿度65%の条件で、スリーワンモーター600rpm(新東科学(株)社製型番:TYPE−BL600)を用いて3分間混練して、モルタルを得た。
(2)長さ変化率測定方法
JIS A1129−2のコンタクトゲージ方法に準拠して測定した。
上記条件で調製したモルタルを、調製後直ちに、40mm×40mm×160mmの型枠に充填し、成型し、24時間の養生後脱型し、供試体の基長を測定した。
その後、供試体をさらに養生し、所定の材齢毎に供試体の基長を測定して、長さの変化率を算出した。
なお、養生の条件は、気中養生温度20℃,湿度65%の雰囲気中、水中養生温度20℃の水中とした。
また、長さの変化率△Lは次の(1)式により算出した。
△L=(X−X)/L×10000 ・・・(1)
ここで、△L長さ変化率
基長
供試体の側面で、基準とした時点(供試体を成型し、24時間の養生後脱型した時点)での、約10cm離した特定2点A及びBの間の距離測定値
所定材齢時点での、特定2点A及びBの間の距離測定値
(△L,L ,X 及び は同一の単位)
(3)セルフレベリング性
図2に示すようなSL測定器を使用し、幅30mm×高さ30mm×長さ750mmの先端を閉じたレールRに、先端より長さ150mmのところに堰板Sを設け(図2b)、混練直後のスラリーMを所定量満たして成形する。成形直後に堰板Sを引き上げてスラリーMを自由に流し,その停止後、標点(堰板の設置部)からスラリー流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL0とした(図2c)。
同様に成形した後、X分後に堰板Sを引き上げてスラリーを自由に流し、その停止後、標点(堰板の設置部)からスラリー流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をLXとした(図2d)。本実施例では具体的には30分後に堰板Sを引き上げたので、L30を測定した。
上記条件で調製されたモルタルでは、L0は535mm,L30は540mmであった。
比較例1:
1.pH測定
普通ポルトランドセメント450g及び標準砂1350gと、水225gをホパートミキサー(ホパート社製型番:N−50型)を用いて、低速で1分間混練した後、30秒間掻き落とし、その後、低速で2分間混練して、モルタルを得た(JIS A6203に準拠)。混練直後に、(株)堀場製作所製のpH測定器(型番:D−21)を用いて、混練物中にセンサーを挿し込み、pH測定器の表示値をpHとして読み込んだ。その表示値は13.8であった。
2.長さ変化率測定
(1)供試体調製条件
普通ポルトランドセメント450g及び標準砂1350gと、水225gをホパートミキサー(ホパート社製型番:N−50型)を用いて、低速で1分間混練した後、30秒間掻き落とし、その後、低速で2分間混練して、モルタルを得た(JIS A6203に準拠)。
(2)長さ変化率測定方法
JIS A1129−2のコンタクトゲージ方法に準拠して測定した。
上記条件で調製したモルタルを、調製後直ちに、40mm×40mm×160mmの型枠に充填し、成型し、24時間の養生後脱型し、供試体の基長を測定した。
その後、供試体をさらに温度20℃,湿度65%の雰囲気で養生し、所定の材齢毎に供試体の基長を測定して、長さの変化率を算出した。
なお、長さの変化率算出方法は、前記実施例1と同じにした。
前記実施例1及び本比較例1の長さ変化率の測定結果を次の表2に示す。
Figure 0004463524
実施例2:
(1)めっき鋼材について
板厚3.2mmの低炭素熱延鋼板を、A1:6質量%,Mg:3質量%,Ti:0.05質量%,B:0.01質量%を亜鉛中に含有する溶融Zn基めっき浴に浸漬し、片面当り30g/m2,60g/m2及び120g/m2の付着量のZn−Al−Mg合金めっきを施した鋼板を製造した。各めっき鋼板から試験片を切り出し、試験片の裏面及び上下の端面をシールし、塩水噴霧試験に供した。
塩水噴霧試験は、JIS Z2371に準拠して行った。
比較例として、純亜鉛めっきを施したものについても同様な塩水噴霧試験を行った。
その結果、Zn−Al−Mg合金めっきを施した鋼板では、赤錆発生までに、めっき付着量30g/m2では約1600時間,めっき付着量60g/m2では約7200時間,めっき付着量120g/m2では約14000時間を要していた。
これに対して、純亜鉛をめっきしたものでは、付着量500g/m2のめっきを施したものでも、約1500時間程度で赤錆が発生していた。
このようなZn−Al−Mg合金めっきを施しためっき鋼板を通常の塗布型クロメート処理し、クロム換算付着量50mg/m2程度のクロメート皮膜を形成した鋼板は、塩害発生地域で用いても、約50年の耐久年数が予測されている。
クロメート処理を施した後、例えば、顔料としてベンガラ,タルク,炭酸カルシウムを、防錆顔料としてクロム酸亜鉛を加え、さらに少量の沈降防止剤を添加した特殊変性エポキシ樹脂系の塗料をベースに、7質量%のタンニン酸と0.5質量%のシランカップリング剤、及び3質量%のフイチン酸を添加した塗料を、例えば乾燥膜厚50μmで塗装して樹脂膜層を形成したものにあっては、半永久的に近いほどの耐久年数が予測されている。
現在、実地の検証を継続中である。
さらに、本発明の複合構造体の耐食性を確認するために、比較例で使用したpH12を超えるモルタルと実施例で使用したpH12以下のモルタルに、Znめっき鋼管とZn−Al−Mg系合金めっき鋼管をそれぞれ固定して計4本の供試体を作製した。
そして4本の供試体をJIS Z2371に準拠した塩水噴霧試験に供して、めっき鋼管とモルタルの境界地際付近の腐食進行を肉眼で観察した結果、pH12を超えるモルタルを使用した供試体に比べて、めっき鋼管とモルタルの境界地際付近の腐食進行が遅いことが確認された。また。pH12以下のモルタルを使用した供試体であっても、Zn−Al−Mg系合金めっきが施された鋼管の方が、Znめっき鋼管に比べて境界地際付近の腐食進行が遅いことが確認された。
以上に説明したように、本発明によれば、亜鉛系めっき鋼材を埋め込み固定している水硬性組成物の水素イオン指数(pH)を,12以下にすることにより、亜鉛系めっき鋼材の腐食を抑えることができる。
また、水硬性成分や水硬性組成物を構成する他の成分の相互作用により、硬化するときの水硬性組成物の収縮を抑制して、硬化物にクラックが発生することや、めっき鋼材との間に隙間が形成されることを防ぐことができ、さらに、めっき層として耐食性に優れるものを使用するとともに、めっき層上に防錆機能の優れた樹脂膜層を設けることにより、水硬性組成物中に埋め込まれためっき鋼材の腐食をさらに抑え、亜鉛系めっきが施された鋼材が水硬性組成物で固定された複合構造体の耐久性を飛躍的に高めることができる。
そして、本発明のような亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体は新規に構築することは勿論、既存の構造物にあっても、その補修に容易に適用できるので、道路のガードレール用支柱等の新規設置の他、補修・取替えにも適用できる。
道路のガードレール用支柱の設置態様を説明する図 セルフレベリング性の試験方法を説明する図

Claims (6)

  1. 亜鉛系めっきが施された鋼材が水硬性組成物で固定された複合構造体であって、
    前記水硬性組成物は、水硬性成分、細骨材、減水材、増粘剤、消泡剤及び凝固調整剤を含有し、
    前記水硬性成分は、アルミナセメント30〜70質量部、ポルトランドセメント5〜40質量部、石膏20〜50質量部及び高炉スラグをアルミナセメント100質量部に対して50〜350質量部含有し、水素イオン指数(pH)が11.8以下に調整され、
    前記細骨材は、水硬性成分100質量部に対して50〜400質量部の割合で含有し、
    前記凝固調整剤は炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム及び酒石酸ナトリウムを含み、
    前記水硬性成分100質量部に対し、前記減水剤を0.01〜0.5質量部、前記増粘剤を0.01〜1.0質量部、前記消泡剤を2質量部以下及び前記凝固調整剤を0.05〜5質量部含有し、
    前記亜鉛系めっきは、60質量%以下のAlを含有すること、または0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有すること
    を特徴とする亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
  2. 前記0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有することを特徴とする亜鉛系めっきは、さらに0.002〜0.1質量%のTi及び0.0005〜0.045質量%のBの1種又は2種を含有する請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
  3. 前記0.05〜10質量%のMg及び4〜22質量%のAlを含有することを特徴とする亜鉛系めっきは、さらに0.005〜2.0質量%のSiを含有する請求項1または2に記載の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
  4. 前記亜鉛系めっき鋼材の少なくとも地際部近傍に、キレート作用を有する有機酸を含む樹脂膜層が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
  5. 前記樹脂膜層は、シランカップリング剤を含むものである請求項4に記載の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
  6. 前記樹脂膜層は、亜鉛系めっき鋼材の少なくとも地際部近傍に設けられ、タンニン酸ないしその誘導体を合計で0.1〜20質量%、フィチン酸ないしフィチン酸塩を合計で0.1〜5質量%、シランカップリング剤を0.01〜5質量%の割合で含有する請求項1〜5のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材と水硬性組成物との複合構造体。
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