JP4462746B2 - セメントクリンカーの製造方法、セメントクリンカーおよびセメント組成物 - Google Patents

セメントクリンカーの製造方法、セメントクリンカーおよびセメント組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントクリンカーの製造方法に関し、また、セメントクリンカー及びセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高強度・高流動コンクリートとして、低熱ポルトランドセメントを用いたものが一般的に使用されるようになり、水セメント比を25%程度とすることにより、高強度と高流動という相反する要請を同時に満たしたものとして広く使用されている。
【0003】
一方、地球環境保全という観点から廃棄物のリサイクルが、行政・産業界を問わず重要な課題となっている。この様な中、セメント産業は、廃棄物のリサイクルを積極的に推進しており、フライアッシュや高炉スラグの混合セメントとしての利用や各種廃棄物のセメント原料としての利用を通じて、重要な役割を果たしている。
【0004】
このような各種廃棄物をセメント原料として使用した場合や、その他天然原料を使用した場合であっても、その原料中には少なからずアルカリ成分が含まれており、焼成工程において重油や石炭等の燃焼ガス中の硫黄酸化物と反応して硫酸アルカリを生成するため、焼成されたクリンカー鉱物中には該硫酸アルカリが含有されることとなる。尚、セメント中のアルカリには、クリンカー中に固溶したアルカリと、水溶性アルカリとが存在するが、前記硫酸アルカリ(K2SO4、3K2SO4・Na2SO4、Na2SO4等)は水溶性であり、一方、エーライト相(C3S)、ビーライト相(C2S)、カルシウムアルミネート相(C3A)、やカルシウムフェライト相(C4AF)などに固溶した他のアルカリは、水溶性でないことから、セメント中の硫酸アルカリ量は、水溶性アルカリ量を測定することによってそのおおよその量を知ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記低熱ポルトランドセメントや、その他のポルトランドセメント中に、このような硫酸アルカリが存在すると、その水和過程において該硫酸アルカリとの水和反応の速いカルシウムアルミネート相(C3A)との反応でエトリンガイトの生成が促進され、結果としてセメントペーストやモルタル、及びコンクリートの流動性を低下させるという問題があった。
【0006】
さらに、近年、流動性保持の観点からよく使用されているポリカルボン酸系の高性能AE減水剤をコンクリートに添加する場合においては、前記硫酸アルカリは、該ポリカルボン酸系高性能AE減水剤による立体障害効果を低下させ、ひいてはコンクリートの流動性を低下させるという問題が報告されている(加藤らセメントコンクリート論文集、No.52, 144(1998)など)。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑み、ポルトランドセメント中に硫酸アルカリが混入する場合において、コンクリートの流動性低下を防止することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意研究した結果、クリンカー中のAl23/Fe23質量比および水溶性アルカリの含有量を調節することにより、水和反応の速いC3Aの生成を抑制しつつ、硫酸アルカリの共存によりコンクリート等の流動性悪化を低減し得るセメントクリンカーが製造できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明の手段は、セメントクリンカー中のAl23とFe23とがAl23/Fe23質量比で0.05〜0.62となるように原料成分を調整して焼成し、ポリカルボン酸系減水剤と併用されるセメントクリンカーの製造方法において、主としてセメント原料及び焼成燃料より混入されるアルカリ量と硫黄量とを調整し、クリンカー中の水溶性アルカリ量がNa2O当量(Na2Oeqともいう)で0.05〜0.5質量%となるように焼成するセメントクリンカーの製造方法にある。
【0010】
また、本発明の手段は、Al23とFe23とがAl23/Fe23質量比で0.05〜0.62の割合で含有され、且つ水溶性アルカリが、Na2O当量で0.05〜0.5質量%の割合で含有されてなり、ポリカルボン酸系減水剤と併用されるセメントクリンカー、及び該セメントクリンカーを含有し、ポリカルボン酸系減水剤と併用されるセメント組成物にある。
【0011】
斯かるセメントクリンカーを用いたセメントによれば、上述した既報の研究結果(加藤ら セメントコンクリート論文集、No.52,144(1998))とは異なり、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤の存在下で流動性を向上させることができる。これは、水溶性アルカリが存在すると、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤による立体障害効果を阻害して流動性が低下するものの、一方で、本件発明の構成においてはカルシウムアルミネート相が生成され難いために、該水溶性アルカリとの反応による初期のエトリンガイトが生成されず、逆に流動性が改善されたものであると考えられる。
【0012】
前記アルカリ成分は、セメント原料とともにセメントキルンなどで焼成されると、重油や石炭等の燃焼ガス中に含まれる硫黄酸化物と反応し、Na2SO4やK2SO4などの硫酸アルカリが生成され、クリンカー中に含有されることとなる。
【0013】
従って、セメントクリンカー中のアルカリ量を調整する方法としては、予めアルカリの含有された原料に含まれるアルカリ量を測定し、かかる測定結果に基づいて原料の量を調整しながらセメント原料に対して添加、焼成する方法などが例示できる。
【0014】
斯かるアルカリ量のうち、水溶性アルカリは、クリンカー焼成時に使用する燃料中の硫黄分やセメント原料中の硫黄分を制御することにより、クリンカー焼成過程で生成する硫酸アルカリ量としてその生成量をコントロールすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】
セメントクリンカーの原料を表1に示す組成割合を目標に調合し、電気炉にて1450℃で1時間焼成後、電気炉より取り出して空気中で急冷し、目的の組成のクリンカーを得た。尚、水溶性アルカリ量は、調合原料に添加するアルカリ量およびSO3量を変えることにより変化させた。これら実施例および比較例のクリンカーに、SO3量で2質量%となるように石膏を添加し、テストミルで混合粉砕することによって実施例および比較例のセメントを調整した。実施例1〜10、比較例1〜15について、セメントクリンカー中のAl23/Fe23質量比(IMともいう)、C2S量、アルカリ量(Na2Oeq)および水溶性アルカリ量(Na2Oeq)について表2に示す。
【0017】
ここで、アルカリ量(Na2Oeq)は、クリンカー中のNa2O及びK2Oの量をJIS R5202(ポルトランドセメントの化学分析方法)に基づいて測定した結果をもとに、Na2Oeq=Na2O+0.658K2Oにより算出した。一方、水溶性アルカリ量は、ASTM C114−88(Standerd Test Method for Chemical Analysis of Hydroulic Cement 17.2 Water−Soluble Alkali)に従って、Na2Oeqで算出したまた、セメントの粉末度は、ブレーン比表面積で3200〜3400cm2/gとした。
【0018】
【表1】
Figure 0004462746
【0019】
<評価方法>
前記実施例および比較例の各々に対し、セメントの流動性の指標として「パットエリア」を測定し、また、ビーライトの水和反応性の指標として「強度増進係数」を求めることにより評価した。
【0020】
パットエリアの測定方法ポリカルボン酸系減水剤を含有させた混練水70mlを入れた200mlビーカーに、約10秒間でセメント200gを投入し、ハンドミキサーで1分50秒間激しく攪拌してペーストを調製する。このペーストをプラスチック板上においたミニスランプコーンにスプーンで流し込み、マイクロスパッチュラでミニスランプコーン内のペーストをよくかき混ぜた後、上面をならしてセメント投入開始から3分後にミニスランプコーンを引き上げる。この際のプラスチック板上に広がったペーストの短径および長径を測定し、パットエリア(cm2)を算出した。
【0021】
上述の評価方法に従ってパットエリアを測定した。評価基準として、パットエリアが60cm2以上であれば「○」、60cm2以下であれば「△」とした。試験結果についても合わせて表2に示す。
【0022】
【表2】
Figure 0004462746
【0023】
尚、表1のセメントクリンカーの鉱物組成については、以下に示す式によって計算した。IM≧0.64のとき、
C3S=4.071×CaO(%)−7.6×SiO2(%)−6.718×Al2O3(%)−1.43×Fe2O3(%)
C2S=2.867×SiO2(%)−0.7544×C3S(%)
C3A=2.65×Al2O3(%)−1.692×Fe2O3(%)
C4AF=3.043×Fe2O3(%)
IM<0.64のとき、
C3S=4.071×CaO(%)−7.6×SiO2(%)−4.479×Al2O3(%)−2.86×Fe2O3(%)
C2S=2.867×SiO2(%)−0.7544×C3S (%)
C4AF=4.766× Al2O3(%)
C2F=1.702×Fe2O3(%)−2.666×Al2O3(%)
【0024】
表2に示したように、比較例1〜6においては、Al23/Fe23質量比(IM)が0.05〜0.62を満たす場合(0.58)であっても、水溶性アルカリ量が多いかあるいは少ないために、パットエリアはいずれも60cm2以下である。また、比較例7〜15においては、水溶性アルカリが0.05〜0.5質量%の範囲内であっても、Al23/Fe23質量比(IM)が0.05〜0.62を満たさない(0.90)ために、パットエリアはいずれも50cm2以下である。これに対して、本発明に係る実施例1〜10においては、いずれもパットエリアが60cm2以上となっており、他の比較例に比べて流動性に優れていることがわかる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るクリンカーによれば、水溶性アルカリを所定の量とすることにより、セメントの流動性を改善することができる。従って、高強度・高流動コンクリートに使用する低熱ポルトランドセメント等に代わって本発明の範囲を満たすビーライト系セメントを用いる場合には、該セメントの製造において、このようなアルカリ成分を含有する廃棄物、更には硫黄含有廃棄物をセメント原料として有効に利用することも可能となる。

Claims (3)

  1. セメントクリンカー中のAl23とFe23とがAl23/Fe23質量比で0.05〜0.62となるように焼成し、ポリカルボン酸系減水剤と併用されるセメントクリンカーの製造方法において、
    クリンカー中の水溶性アルカリ量がNa2O当量で0.05〜0.5質量%となるように焼成させて、セメントクリンカー(クリンカー組成中のアルカリ量がNa2O当量で0.43質量%以下のセメントクリンカーを除く)を得ることを特徴とするセメントクリンカーの製造方法。
  2. Al23とFe23とがAl23/Fe23質量比で0.05〜0.62の割合で含有されてなり、ポリカルボン酸系減水剤と併用されるセメントクリンカー(クリンカー組成中のアルカリ量がNa2O当量で0.43質量%以下のセメントクリンカーを除く)であって、水溶性アルカリ量が、Na2O当量で0.05〜0.5質量%の割合で含有されたことを特徴とするセメントクリンカー。
  3. 請求項2記載のセメントクリンカーが含有され、ポリカルボン酸系減水剤と併用されることを特徴とするセメント組成物。
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