JP4462710B2 - 熱可塑性樹脂製床材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マンション等の共同住宅やビルなどの屋外廊下に設置するエアコン室外機からの排水を排除処理できる熱可塑性樹脂製床材に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、共同住宅等では、エアコンが1部屋1台の時代になり、屋外の共用廊下にエアコン室外機を設置するケースが多く成ってきた。該室外機からの排水が共用廊下を濡らし滑りやすく成って危険であり、その解決方法として、既に、幾つか提案されている。例えば、(1)廊下の下地コンクリートにV溝を設ける方法、(2)廊下の下地コンクリートにコの字状の金具を埋め込む方法、(3)廊下の下地コンクリートに熱可塑性樹脂製床材を敷設する場合にドレイン部に相当する部分数10cmを離して該床材を貼らず、該床材の端末部分をシーリング剤で処理する方法、(4)前記床材を貼らなかった部分に別部材のドレイン溝材を該床材に接合する方法などである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の方法は下地コンクリート自体に切欠きがあるため、経時的に雨水等が浸透し強度低下の恐れがあり、また、排水量にも限度がある。更に見栄えも悪い。(2)の方法は排水量の問題はないが、やはり、下地コンクリートに切欠きがあるため経時的には強度低下の心配がある。(3)の方法は経時的にシーリング剤が損傷したり、劣化して、雨水が浸透して床材が剥がれる危険があり、また、見栄えも良くない。(4)の方法は上記問題の無いが、施工時、床材とドレイン溝材を下地に接着し、床材とドレイン溝材とをさらに接合しなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑み、意匠性、施工性、耐久性の良好なドレイン機能付き床材を提供することを目的に鋭意検討の結果、以下の本発明を成すに到った。すなわち、熱可塑性樹脂製床材であって、複数本の凹溝によって形成されたドレイン溝部を表面に有する床材本体を備え、該床材本体が、基材と該基材上に凹溝成形された熱可塑性樹脂製の表層とを備え、前記表層において前記ドレイン溝部の表面と前記ドレイン溝部以外の部分の表面を同等の高さとし、前記ドレイン溝部以外の部分は前記ドレイン溝部の幅より広い床面を形成することを特徴とする。
【0005】
本発明は上記の手段によってドレイン溝部が床材本体と一体化され、施工性、意匠性が良好なばかりでなく、経時的にもドレイン溝部が目開きすることはなく、耐久性がよいものとなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面に基づきその一例を更に詳しく説明する。
本発明の熱可塑性樹脂製床材Aは、床材本体aの任意の部所に、床材本体aの長さ方向に対して交差する方向にドレイン溝部bを同一体に設けたものである。
【0007】
床材本体aはこの種の技術分野で周知の熱可塑性樹脂からなる長尺状のシートであり、その厚さは特に限定は無いが通常1〜5mm程度が用いられ、層構造は単層であっても2層以上であってもよく、その任意の部所の表面に長さ方向に対して交差する方向にドレイン溝部bを同一体に設け、裏面には基材を積層しても良い。
【0008】
床材本体aに使用される熱可塑性樹脂としては塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、EVA系樹脂、熱可塑性エラストマー、無架橋ゴム等が例示できる。
上記樹脂には必要に応じ、可塑剤、安定剤、加工助剤、充填材、難燃剤、難燃化助剤、抗菌剤、防カビ剤、滑材、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添加することができる。
【0009】
基材としては、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコールなどの合成繊維、麻、綿などの天然繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などそれぞれの単繊維や複合繊維の織布、不織布、編布が挙げられる。
【0010】
また、床材本体aの表面には、ドレイン機能を損なわない範囲であればエンボス絞加工、印刷等の化粧を施してもよい。
【0011】
ドレイン溝部bは床材本体aの表面に長さ方向に対して交差する方向で所定の幅内に複数本の凹溝1を同一体に設けてなるものであり、水の流れを妨げない構造ならば如何なる溝構造でもよい。このドレイン溝部bの幅は20mm以上が好ましく、床材本体aの長さ方向に対して所定の間隔ごとに設ける
【0012】
ドレイン溝部bの好ましい形態は図1に示す様な床材本体aの長さ方向に略直角で平行な直線状のストライプラインの凹溝1であるが、直角ではなく傾斜状であったり、直線状でなくても波状(図2)、ギザギザ状であったり、若しくは平行ではなくダイヤ形状の如く交差状(図2)に形成するなどその形状は任意であり、この凹溝1は床材本体a自体にその長さ方向の両側縁にわたって連通状に複数本を形成する。
【0013】
凹溝1の深さについては、0.1〜3mmが好ましく、0.1mm未満では排水量に限界が生じ、3mmを越えると製造が困難となる。凹溝1の幅については1〜5mmが好ましく、1mm未満では排水量に限界が生じ、5mmを越えると歩行の傷害、例えばハイヒールなどはつまずきやすくなる等のおそれがある。
【0014】
ドレイン溝部bの表面における高さとドレイン溝部以外の部分、すなわち床材本体の表面における高さとが略同等であって、両者の表面が面一状に近い状態にあることが好ましい。略同等とはその差が概ね0.5mm以下をいい、その差が無い方がさらに好ましい。表面の高さが略同等であることにより、違和感が無く歩行することが出来、好ましい。
【0015】
ドレイン溝部の形成方法は、周知の熱可塑性樹脂製床材と同様に床材本体を製造し、ドレイン溝部の形状をプレス法、エンボス法などで床材本体の長さ方向に対して交差状に付与できる。
例えば、エンボス法の場合、図4のように、エンボスロールBの任意の位置に、所定の幅でドレイン凹溝形状2を設け、他の部分は別の絞形状にすれば意匠的にも優れた床材が得られる。
【0016】
【実施例】
次に具体的な実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
下記配合の厚さ1.5mmの裏層を180℃でカレンダー装置によりシーティングと同時に裏面に基材(ガラスクロス)を積層し、これに化粧層として0.1mm厚のプリントフィルムを表面に積層して、さらに下記配合の厚さ0.4mmの透明な表層を同様に、180℃でカレンダー装置によりシーティングと同時に積層することにより、2mmの床材本体を得た。得られた床材本体をエンボス装置にて深さ0.3mm、幅2mmのストライプラインの凹溝を絞押し、ドレイン溝部の幅が50mmで、ドレイン溝部の間隔が5mとなるようにドレイン溝部を付与した床材に加工した。得られた床材をマンションの屋外廊下に接着剤にて施工したところ、施工性、意匠性も良好であり、経時的にも目地開きがなく耐久性も良好であった。
【0017】
配 合 (表層) (裏層)
PVC(P=1000) 100重量部 100重量部
DOP 50重量部 60重量部
安定剤(Ba−Zn系) 2重量部 3重量部
光安定剤 0.5重量部 −
炭酸カルシウム − 150重量部
着色剤 − 3重量部
【0018】
実施例2
下記配合の厚さ1.0mmが表層及び厚さ2.0mmが裏層を160℃で多層押出装置によりシーティングと同時に基材(ポリエステル不織布)と積層し、厚さ3.0mmの床材本体を得た。得られた床材本体をプレス装置にて深さ0.3mmのダイヤ形状の凹溝を絞押し、ドレイン溝部の幅が100mm、ドレイン溝部の間隔が10mとなるようにドレイン溝部を付与した床材に加工した。得られた床材をマンションの屋外廊下に施工したところ、施工性、意匠性も良好であり、経時的にも目地開きがなく耐久性も良好であった。
【0019】
配 合 (表層) (裏層)
EVA(酢ビ含有量:15%) 100重量部 100重量部
滑材 1重量部 1.5重量部
光安定剤 0.5重量部 −
炭酸カルシウム 20重量部 100重量部
顔料 2重量部 3重量部
【0020】
【発明の効果】
本発明は床材本体の任意の部所に、その長さ方向に対して交差する方向にドレイン溝部を一体に設けたことから、ドレイン溝部が床材本体と一体化され、共用廊下などの屋外に施工しても、その施工性、意匠性が良好なばかりでなく、経時的にもドレイン溝部が目開きすることはなく、耐久性がよい熱可塑性樹脂製床材を提供できると共に室外機からの排水をホースなどでドレイン溝部に導くことにより共用廊下の片側に設けた排水溝へ流すことができ、共用廊下を濡らすことがない。
【0021】
また、前記のドレイン溝部が床材本体の長さ方向に対して略直角なストライプラインからなる場合には、ドレイン溝部の形成が容易であると共に排水効果が向上することができる。
【0022】
さらにドレイン溝部の表面とドレイン溝部以外の部分の表面を略同等の高さとすることにより、違和感が無く歩行することが出来、好ましく、歩行の障害にもならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱可塑性樹脂製床材の一実施例を敷設した状態の斜視図。
【図2】 ドレイン溝部の他の実施例における平面図。
【図3】 図2の斜視図。
【図4】 エンボスロールの斜視図。
【符号の説明】
A:熱可塑性樹脂製床材、a:床材本体、b:ドレイン溝部、1:凹溝

Claims (4)

  1. 複数本の凹溝によって形成されたドレイン溝部を表面に有する床材本体を備え、
    該床材本体が、基材と該基材上に凹溝成形された熱可塑性樹脂製の表層とを備え、前記表層において前記ドレイン溝部の表面と前記ドレイン溝部以外の部分の表面を同等の高さとし、前記ドレイン溝部以外の部分は前記ドレイン溝部の幅より広い床面を形成することを特徴とする熱可塑性樹脂製床材。
  2. 前記基材がガラスクロス層であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂製床材。
  3. 前記基材がポリエステル不織布であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂製床材。
  4. 前記基材が単繊維又は複合繊維の織布であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂製床材。
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