JP4462627B2 - 電動式竪型型締装置 - Google Patents

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本発明は電動式竪型型締装置の安全対策技術に関する。
射出成形機は、金型を型締めする型締装置及び金型へ樹脂材料を射出する射出装置が主要構成要素となる。そのうちの型締装置は、シリンダで直接型締めを行う直圧式型締装置と、トグルリンクのレバー比を応用して型締めを行うトグル式型締装置とが基本構造とされる。
さらに、トグル式型締装置では、クロスヘッドの送りにボールねじ機構を採用することが主流となってきた。
そして、電動式竪型射出成形機にトグル式型締装置を適用することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−291239号公報(図1)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図5は従来の技術の基本構成を説明する図であり、図左半分は型開き状態を示し、このときには想像線で示す可動盤101は上限位置にある。型締めのために電動機102に通電するとブレーキ103がオフになり、ベルト104が周回し始め、ボールねじ軸105が回転し始める。ボールねじ軸105の回転により、ボールナット106が下がり、トグルリンク107が伸張するため圧受盤108が下がり、可動盤101が下がる。結果として図右半分に示す型締め状態に至る。
型開きはボールねじ軸105を逆転させる。可動盤101が上限位置に至ったら電動機102を止め、ブレーキ103をオンにする。これで可動盤101の下降を防止することができる。
しかし、ベルト104が破断したときや、ベルト104が歯飛びしたときには、ブレーキ103の制動作用はボールねじ軸105に及ばない。一般にボールねじ機構は摩擦抵抗が極めて小さいため、ボールねじ軸105は小さな外力で回転し始め、圧受盤108及び可動盤101は下降する。この下降は安全上好ましくない。
そこで、ベルトが破断してもボールねじ軸の回転を阻止することができる構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−263619公報(図1)
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図6は従来の技術の別の基本構成を説明する図であり、111はモータ、112はタイミングベルト(歯付ベルト)、113は従動プーリ、114はボールねじ軸であり、モータ111を駆動源としてボールねじ軸114を回転させることができる。
そして、従動プーリ113は歯付きプーリであって、この歯付きプーリにアイドラプーリ115が噛み合い、このアイドラプーリ115に大径プーリ116が噛み合い、このような大径プーリ116を電磁クラッチ117の軸に取付ける。なお、アイドラプーリ115及び大径プーリ116は歯付きプーリであるが、タイミングベルト112には接触しない。
電磁クラッチ117は通電時は開放状態(オフ状態)にあり、従動プーリ113の回転を妨げない。金型の開閉が停止すると電磁クラッチ117が噛み合い、制動作用を発揮し、大径プーリ116及びアイドラプーリ115を介して従動プーリ113を制動し、ボールねじ軸114の回転を阻止する。この構造では、タイミングベルト112が破断してもボールねじ軸114の回転を阻止することができるという利点を有する。
しかし、図から明らかなようにタイミングベルト112より下方に電磁クラッチ117を配置する必要があり、型締装置の高さが大きくなり、型締装置の小型化が困難になる。
また、従動プーリ113は歯付きプーリであり、一般にJISB1856「歯付プーリ」で規定される歯形を有する。この歯形は当然タイミングベルトに刻んだ歯に適合した形状を呈する。ベルトと噛み合わせるための歯形は、歯車同士を噛み合わせる歯形とは相違する。JISB1856に規定される歯付プーリ同士を噛み合わせることが可能か否かは不明であるが、無理に噛み合わせたとしても動力伝達が円滑に行われない可能性がある。 そのため、アイドラプーリ115及び大径プーリ116は、規格外の特殊な歯形を採用せざるを得ない。この結果、コストが嵩み、型締装置は高価になる。
以上に述べたとおり、特許文献2では、型締装置が大型になり且つ高価になるという問題を有する。
本発明はベルト破断対策を講じる型締装置において、小型で且つ安価な型締装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、電動モータで駆動プーリ、ベルト及び従動プーリを介して縦向きのボールねじ軸を駆動し、このボールねじ軸にねじ込んだボールナットにクロスヘッドを取付け、このクロスヘッドをトグルリンクに連結し、電動モータを駆動源としてトグルリンクを型開き状態から型締め状態まで駆動する電動式竪型型締装置において、トグルリンクの一端に圧受盤が連結され、この圧受盤に門型ブラケットが備えられ、この門型ブラケットでクロスヘッドをガイドするためのガイドバーの上端を支持させるようにし、縦向きのボールねじ軸は、上部が門型ブラケットで支えられており、下部が圧受盤で支えられ、ボールねじ軸の回転を阻止するブレーキ手段が、ボールねじ軸の上端に直接設けられ、従動プーリはボールねじ軸の下端に設けていると共に、安全ドアのドア開情報を受けたときにブレーキ手段をブレーキ動作させるブレーキ制御部が備えられていることを特徴とする。
請求項に係る発明では、ブレーキ手段は、ボールねじ軸側に固着したブレーキ板と、ボールねじ軸に相対回転自在に且つ軸方向移動可能に取付けた摩擦板と、この摩擦板を前記ブレーキ板に押しつけるスプリングと、このスプリングに抗して前記摩擦板をブレーキ板から離す電磁石と、これらの電磁石及びスプリングを支える固定側部材とからなる非励磁作動型ブレーキであることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、電動モータで駆動プーリ、ベルト及び従動プーリを介して縦向きのボールねじ軸を駆動し、このボールねじ軸にねじ込んだボールナットにクロスヘッドを取付け、このクロスヘッドをトグルリンクに連結し、電動モータを駆動源としてトグルリンクを型開き状態から型締め状態まで駆動する電動式竪型型締装置において、トグルリンクの一端に圧受盤が連結され、この圧受盤に門型ブラケットが備えられ、この門型ブラケットでクロスヘッドをガイドするためのガイドバーの上端を支持させるようにし、前記縦向きのボールねじ軸は、下部が圧受盤で支えられ、上部が前記門型ブラケットで支えられており、この門型ブラケットの上部に前記ボールねじ軸の回転を阻止するブレーキ手段が設けられ、前記ボールねじ軸の下端に前記従動プーリが取付けられていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ボールねじ軸の回転を阻止するブレーキ手段を、ボールねじ軸に直接設けたので、ベルトの上方にブレーキ手段を配置することが可能となり、型締装置の小型化を図ることができる。また、ブレーキ手段をボールねじ軸に直接設けることで部品点数を削減することが可能となり、型締装置のコストダウンを図ることができる。
加えて、安全ドア開の際に可動盤などの可動部の落下を防止することができ、一層の安全措置を講じることができる。
加えて請求項に係る発明では、ブレーキ手段は、ボールねじ軸の上端に設け、従動プーリはボールねじ軸の下端に設けた。ボールねじ軸の下方にブレーキ手段を配置する必要がないので、型締装置の高さを縮めることができる。加えて、ボールねじ軸の上端に直接ブレーキ手段を取付けることで、ボールねじ軸上方のスペースの有効活用を図ることができる。
請求項に係る発明では、ブレーキ手段は非励磁作動型ブレーキであり、この非励磁作動型ブレーキは通電時に非制動、非通電時に制動作用を発揮する。そのため、停電時に自動的にボールねじ軸を制動することができ、型締装置の安全を確保することができる。
請求項に係る発明では、請求項と同様に、ブレーキ手段は、ボールねじ軸の上端に設け、従動プーリはボールねじ軸の下端に設けた。ボールねじ軸の下方にブレーキ手段を配置する必要がないので、型締装置の高さを縮めることができる。加えて、ボールねじ軸の上端に直接ブレーキ手段を取付けることで、ボールねじ軸上方のスペースの有効活用を図ることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る電動式竪型型締装置の正面図であり、電動式竪型型締装置10は、基台11に下部支柱12、12を立て、この下部支柱12、12の上端に固定盤13を載せ、この固定盤13にタイバー14、14を貫通させ、このタイバー14、14の上部に可動盤15を固定し、タイバー14、14の下端に圧受盤16を固定し、この圧受盤16と固定盤13との間に屈曲自在なトグルリンク17、17を掛け渡し、圧受盤16の上面中央に門形ブラケット18(形状は図3参照)を立て、この門形ブラケット18にクロスヘッド(図3の符号36参照)を昇降自在に収納し、このクロスヘッドのアーム部19、19にトグルリンク17、17の中間部を連結し、圧受盤16の下面中央からボールねじ軸20を下方へ突出させ、このボールねじ軸20の下端に従動プーリ21を取付けてなる。
図2は本発明に係る電動式竪型型締装置の側面図であり、圧受盤16に電動モータ22を取付け、この電動モータ22のモータ軸23に駆動プーリ24を取付け、この駆動プーリ24と従動プーリ21とにベルト25を掛け渡すことにより、従動プーリ21、駆動プーリ24及びベルト25を圧受盤16と基台11との間の狭いスペースに配置したことを示す。
また、固定盤13から射出装置27を支える上部支柱28を立てると共に、上部支柱28にレール29を張り、このレール29にスライダ31を昇降自在に嵌め、このスライダ31を可動盤15に接続することで、可動盤15の振れを防止するようにした。
図3は本発明に係るブレーキ手段の配置図であり、圧受盤16に上方に開口する凹部32を形成し、この凹部32にボールねじ軸20及び一対のガイドバー33、33を立て、ボールねじ軸20にボールナット34をねじ込み、このボールナット34にクロスヘッド35を取付け、このクロスヘッド35から延ばしたフランジ部36、36をガイドバー33、33に嵌合し、ガイドバー33、33の上端及びボールねじ軸20の上部を門形ブラケット18で支持させ、このようなボールねじ軸20の上端にブレーキ手段40を直接取付けたことを特徴とする。ブレーキ手段40の内部構造及び作動は後述する。また、ブレーキ手段40を制御するブレーキ制御部50の動作も後述する。
ボールねじ軸20の下端は圧受盤16を貫通して下方へ突出させ、このようなボールねじ軸20の下端に従動プーリ21を取付け、ベルト25及び駆動プーリ24にて電動モータ22でボールねじ軸20を回転させることができる構造にした。
電動モータ22でボールねじ軸20を回すと、ボールナット34、クロスヘッド35及びクロスヘッド35のアーム部19がガイドバー33、33でガイドされながら上昇又は下降する。この動作により、図1に示すトグルリンク17、17が「く」字状に屈曲すれば、圧受盤16が上昇し、タイバー14、14を介して可動盤15が上昇し、型開状態になる。また、トグルリンク17、17が「I」字状に伸張すれば、圧受盤16が下降し、タイバー14、14を介して可動盤15が下降し、型締め状態になる。
図4は本発明で採用したブレーキ手段の構造図兼作用説明図である。
(a)において、ブレーキ手段40は、ボールねじ軸20に直接又は鍔付きスリーブ41を介して固着したブレーキ板42と、ボールねじ軸20に相対回転自在に且つ軸方向移動可能に取付けた摩擦板43と、この摩擦板43をブレーキ板42に押しつけるスプリング44、44と、これらのスプリング44、44に抗して摩擦板43をブレーキ板42から距離Tだけ離す電磁石45、45と、これらの電磁石45、45及びスプリング44、44を支える固定側部材46とからなる非励磁作動型ブレーキであることを特徴とする。
なお、摩擦板43は固定側部材46にスプライン47で軸方向移動可能に且つ回転不能に嵌合する。ただし、摩擦板43は、ボールねじ軸20に隙間を持たせた穴を介して取付けたので、ボールねじ軸20に対しては相対回転自在となる。
固定側部材46は上面を開放したケースであり、門形ブラケット18に固定する。
さらに、好ましくはボールねじ軸20の上端に歯付き円板48を取付け、この歯付き円板48の歯49にパルスピックアップと称するセンサ51を臨ませ、このセンサ51をサイドプレート52に固定する。サイドプレート52は静止部材である。センサ51は歯491個当たり1個のパルスを発生する。検出したパルスの数を時間で割ることによりボールねじ軸20の回転速度を検出することができる。
以上の構成からなるブレーキ手段40の作用を説明する。
(a)において、電磁石45、45に通電して、摩擦板43を吸着することで、摩擦板43をブレーキ板42から距離Tだけ分離する。この結果、ボールねじ軸20、鍔付きスリーブ41、ブレーキ板42及び歯付き円板48は回転自在となる。
(b)において、電磁石45、45への通電を停止する。すると、スプリング44、44の押し作用で摩擦板43は上昇し、ブレーキ板42に押圧される。摩擦板43は非回転部材であるため、摩擦力によりブレーキ板42は制動され、ボールねじ軸20も制動される。
通常の運転の一環として電動モータ(図3符号22)に通電してボールねじ軸20を回転させるときには、電磁石45にも通電して回転可能にする((a)参照)。また、電動モータ(図3符号22)への通電を停止するときには、電磁石45への通電も停止してボールねじ軸20の回転を阻止する((b)参照)。
また、運転中には予定回転速度とセンサ51で検出した実回転速度とを比較して、実回転速度が異常に低下したときには電磁石45への通電も停止してボールねじ軸20の回転を阻止する((b)参照)。ベルト破断やベルトゆるみによるスリップ発生に対処することができる。
さらに、停電時には電磁石45への通電が停止してボールねじ軸20の回転を阻止することができる((b)参照)。
図3に戻って、ブレーキ手段40をオン(ブレーキ作動)−オフ(ブレーキ開放)制御するブレーキ制御部50は、電動モータ22がオンのときにブレーキを開放し、電動モータ22がオフのときにブレーキを作動させるなどの通常の制動指令の他、停電情報、ボールねじ軸の回転が異常であるときのボールねじ軸回転異常情報、安全ドアのドア開情報のうちの少なくとも1つの情報を受けたときにも、ブレーキを作動させる。
この結果、停電、ボールねじ軸異常、安全ドア開の際に可動盤などの可動部の落下を防止することができ、一層の安全措置を講じることができる。
、請求項1、ではブレーキ手段は励磁作動型ブレーキ(通電時オン、停電時オフ)であってもよい。
本発明は、電動式竪型型締装置に好適である。
本発明に係る電動式竪型型締装置の正面図である。 本発明に係る電動式竪型型締装置の側面図である。 本発明に係るブレーキ手段の配置図である。 本発明で採用したブレーキ手段の構造図兼作用説明図である。 従来の技術の基本構成を説明する図である。 従来の技術の別の基本構成を説明する図である。
符号の説明
10…電動式竪型型締装置、17…トグルリンク、20…ボールねじ軸、21…従動プーリ、22…電動モータ、24…駆動プーリ、25…ベルト、34…ボールナット、35…クロスヘッド、40…ブレーキ手段、42…ブレーキ板、43…摩擦板、44…スプリング、45…電磁石、46…固定側部材、50…ブレーキ制御部。

Claims (3)

  1. 電動モータで駆動プーリ、ベルト及び従動プーリを介して縦向きのボールねじ軸を駆動し、このボールねじ軸にねじ込んだボールナットにクロスヘッドを取付け、このクロスヘッドをトグルリンクに連結し、電動モータを駆動源としてトグルリンクを型開き状態から型締め状態まで駆動する電動式竪型型締装置において、
    前記トグルリンクの一端に圧受盤が連結され、この圧受盤に門型ブラケットが備えられ、この門型ブラケットで前記クロスヘッドをガイドするためのガイドバーの上端を支持させるようにし、
    前記縦向きのボールねじ軸は、上部が前記門型ブラケットで支えられており、下部が前記圧受盤で支えられ、前記ボールねじ軸の回転を阻止するブレーキ手段が、ボールねじ軸の上端に直接設けられ、前記従動プーリはボールねじ軸の下端に設けていると共に、安全ドアのドア開情報を受けたときに前記ブレーキ手段をブレーキ動作させるブレーキ制御部が備えられていることを特徴とする電動式竪型型締装置。
  2. 前記ブレーキ手段は、ボールねじ軸側に固着したブレーキ板と、前記ボールねじ軸に相対回転自在に且つ軸方向移動可能に取付けた摩擦板と、この摩擦板を前記ブレーキ板に押しつけるスプリングと、このスプリングに抗して前記摩擦板をブレーキ板から離す電磁石と、これらの電磁石及びスプリングを支える固定側部材とからなる非励磁作動型ブレーキであることを特徴とする請求項1記載の電動式竪型型締装置。
  3. 電動モータで駆動プーリ、ベルト及び従動プーリを介して縦向きのボールねじ軸を駆動し、このボールねじ軸にねじ込んだボールナットにクロスヘッドを取付け、このクロスヘッドをトグルリンクに連結し、電動モータを駆動源としてトグルリンクを型開き状態から型締め状態まで駆動する電動式竪型型締装置において、
    前記トグルリンクの一端に圧受盤が連結され、この圧受盤に門型ブラケットが備えられ、この門型ブラケットで前記クロスヘッドをガイドするためのガイドバーの上端を支持させるようにし、
    前記縦向きのボールねじ軸は、下部が前記圧受盤で支えられ、上部が前記門型ブラケットで支えられており、この門型ブラケットの上部に前記ボールねじ軸の回転を阻止するブレーキ手段が設けられ、前記ボールねじ軸の下端に前記従動プーリが取付けられていることを特徴とする電動式竪型型締装置。
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