本発明は無機粉末の再利用方法および再利用粉末を用いた感光性ペーストならびにプラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶ディスプレイなどのディスプレイパネル用部材の製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下PDPと称する)は、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、また大型化が容易であることからOA機器および広報表示装置などの分野に浸透している。さらに、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。このような用途拡大に伴って、微細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を放電空間内の蛍光体に当てることにより表示を行うものである。この場合、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセル内で行わせると同時に、均一な放電空間を確保するために、およそ幅20〜80μm、高さ20〜200μmの形状をもつ隔壁が設けられている。
この隔壁の形成方法としては、ガラスペーストをスクリーン印刷で印刷・乾燥し、この工程を多数回繰り返し、所定の高さにした後、焼成する方法、感光性ガラスペーストを用いてフォトリソグラフィー技術により形成する方法、フォトリソ法で形成したサブトラティブマスク層を介してサンドブラストや液体ホーニングにより隔壁を形成する方法などが知られているが、これらの中でも感光性ガラスペーストを用いてフォトリソグラフィー技術により形成する方法が形成精度や工程が簡略である点で優れている。
しかしながら、感光性ガラスペーストは、基板全面に塗布した後、露光、現像することにより、不要な部分は現像液によって洗い流され、現像液槽中にガラス粉末が堆石する。この現像液槽中のガラスが再利用可能であれば、感光性ペーストおよびPDPの製造コストの削減や廃棄物削減による環境負荷の低減が図れる。
従来、この現像液中のガラスを再利用する方法としては、洗浄液による洗浄工程からなる湿式法で無機粉末を回収し、感光性ペーストに再利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、特許文献1で提案されている方法では、具体的な回収方法の記述がなく、実際の現像漕には、数百kg〜数tのガラス粉末があり、特許文献1で提案されている方法は、実用に供するには不十分であった。また、特許文献1では、沈降した無機粉末を洗浄し、上澄み液を捨て、100℃で乾燥後にペースト化に用いているが、100℃の乾燥では水分の除去が十分ではなく、100℃程度の乾燥ではペースト化後の粘度変化が大きくなる問題が生じた。また、乾燥後にそのままペースト化すると、無機粉末の凝集物の影響で、ペースト化時の混練工程が長くなる問題、パターン形状が変化する問題およびパターン表面の表面状態が粗くなる問題を生じた。さらに、現像液によっては、無機粉末の成分が溶け出して、無機粉末の物性までもが変化して、再利用ができなくなる問題が生じた。
特開2002−131927号公報(第2〜9頁)
特開2000−56472号公報(第1〜8頁)
そこで、本発明は、上記従来技術に鑑みて、実用可能な無機粉末の再利用方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、かかる再利用粉末を用いた感光性ペーストおよび低コストでプラズマディスプレイパネル用部材を製造する方法を提供することにある。
すなわち本発明は現像液から無機粉末を回収し、無機粉末を洗浄処理した後に300℃以上で加熱処理し、さらに分級処理した後に感光性ペーストに再利用することを特徴とする無機粉末の再利用方法である。
また本発明は上記再利用粉末を用いた感光性ペーストおよび感光性ペーストを基板上に塗布して乾燥する工程を含むディスプレイパネル用部材の製造方法である。
現像液から無機粉末を回収し、処理した後に感光性ペーストに再利用することで低コストで感光性ペーストおよびプラズマディスプレイパネル用部材を製造する方法を提供できる。
本発明は、無機粉末、および感光性有機成分を含有する感光性ペースト塗膜の現像液から無機粉末を回収し、無機粉末を洗浄処理、および分級処理した後に再利用することを特徴とする無機粉末の再利用方法である。
本発明における感光性ペーストは、無機粉末と感光性有機成分から構成される。無機粉末の含有量は、35〜95重量%、さらには、40〜90重量%であることが焼成時の収縮率が小さく、焼成による形状変化が小さくなり好ましい。ペースト中の無機粉末としては、ガラス粉末、金属粉末、耐火物フィラーなどが挙げられる。
ガラス粉末は、50〜400℃の熱膨張係数が50×10-7〜100×10-7であることが好ましい。また、ガラス中に酸化珪素を3〜60重量%、酸化硼素を5〜50重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの隔壁として要求される電気、機械および熱的特性を向上することができる。本発明におけるガラス粉末としては、主として低融点ガラス粉末からなることが好ましい。低融点ガラス粉末のガラス転移温度は、430〜500℃、ガラス軟化点は、470〜620℃であることが好ましい。ガラス転移温度とガラス軟化点がこの範囲にあると、焼成時に基板の歪みが小さく、また、緻密な隔壁層が得られる。ガラス粉末の粒子径は、作製しようとする隔壁の線幅や高さを考慮して選ばれるが、体積基準分布の中心径が1〜6μm、最大粒子サイズが30μm以下、比表面積1.5〜4cm2/gであることが好ましい。
金属粉末としては、Ag、Au、Pd、Ni、Cu、AlおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むものが使用できる。これらは、単独、合金、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。金属粉末の粒子径としては、体積基準分布の中心径が0.7〜6μmが好ましい。より好ましくは1.3〜4μmである。粒子径がこの範囲にあることで、緻密な微細パターンの形成が可能となる。
耐火物フィラーは、焼成時の形状を安定させるために好ましく添加される。耐火物フィラーとしては、500〜650℃程度の焼成温度で軟化しないものが広く使用でき、高融点ガラスやアルミナ、マグネシア、カルシア、コーディエライト、シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニア等のセラミックス粉末が例示できる。PDPの外光反射を低減し、実用上のコントラストを上げるために隔壁を暗色にする場合には、耐火性の黒色顔料として、Co−Cr−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Fe−Mn−Al、Co−Ni−Cr−Fe、Co−Ni−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Al−Cr−Fe、Co−Mn−AL−Cr−Fe−Si等の顔料を用いてもよい。一方、蛍光体の発光を有効にパネル前面に導く目的で隔壁を白くする場合には、耐火性の白色顔料としてチタニアなどを用いてもよい。
本発明における感光性有機成分としては、バインダー樹脂、感光性ポリマー、感光性オリゴマー、感光性モノマー、光重合開始剤、有機溶剤などを挙げることができる。さらに、増感剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、チキソ剤などの添加剤成分を加えることもできる。
バインダー樹脂は、焼成時に酸化または/および分解または/および気化し、炭化物が無機物中に残存しないことが好ましく、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、または、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル樹脂、ポリ−α−メチルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブテン等が好ましく用いられる。バインダー樹脂の含有量は、5〜65重量%、より好ましくは、10〜60重量%の範囲である。
さらに、本発明においては、バインダー樹脂として感光性ポリマーまたは/および感光性オリゴマーを用いるのが好ましい。そのオリゴマーまたはポリマーは、炭素−炭素二重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られる。
不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後のアルカリ水溶液での現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などが挙げられる。
こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。
感光性モノマーとしては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が多く用いられている。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用できる。具体的には、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
光重合開始剤は、感光性ペーストに対して0.005〜5重量%の範囲で添加するのが、感光特性上好ましい。
ペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために有機溶剤が使用される。このとき使用される有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、テルピネオール、ベンジルアルコール、1−ブトキシ−2−プロパン、1,2−ジアセトキシプロパン、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−エトキシプロパン、(1,2−メトキシプロポキシ)−2−プロパノール、(1,2−エトキシプロポキシ)−2−プロパノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラフルフリルアルコール、2,2’−ジヒドロキシジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−メチル−1−ブタンノル、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテートなどが挙げられる。本発明では有機溶剤をペースト中に20〜70wt%の範囲で含まれるのが好ましく、より好ましくは30〜65wt%の範囲である。有機溶剤が20wt%未満ではペーストの粘度が高くなり、高速塗布が困難となる。また、有機溶剤が70wt%を越えると分散粒子の沈降が速くなり、ペーストの組成を安定化することが困難となったり、乾燥に多大なエネルギーと時間を要する等の問題を生じる傾向がある。
本発明の感光性ペーストは、各種成分を所定の組成となるように調合した後、プラネタリーミキサー等のミキサーによって予備分散し、3本ローラーなどの分散機で分散・混練手段によって均質に作製する。
次にパターン加工を行う一例について説明する。まず、基板上に、感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの方法を用いることができる。塗布後、通風オーブン、ホットプレート、IR乾燥機などを用いて乾燥する。
乾燥した後、所望のパターンを有したフォトマスクを介して光を照射することにより、選択的に分子量の差を生じさせ、現像液での溶解度差を生じさせる。露光装置としては、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行う。現像液には、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を用いる。また、該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり良くない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
この現像工程で、所望のパターン部以外が現像される。現像で感光性成分は現像液に溶出するが、無機粉末は溶解しないため、現像液中に残る。PDPでは、対角32〜60インチのディスプレイが形成されており、大型基板での現像が必要となる。さらに、例えば隔壁の形成の際には、200〜300μmの塗布膜を形成するため、一枚形成する毎に多量の無機粉末が現像液に残る。
この現像液に残った多量の無機粉末を回収する。回収方法としては特に限定されず、現像液循環ライン内にフィルターを設ける方法、パンストメッシュにて回収する方法、沈殿槽を設ける方法、遠心分離機構で回収する方法などを用いることができる。これらの方式の中でも遠心分離機構で回収する方法が好ましい。
遠心分離は、現像液中に存在する無機粉末と現像液間の比重差を利用して遠心力により、現像液から無機粉末を機械的に分離する方法である。粒径にもよるが比重差が無機粉末−現像液比重/現像液比重が0.2以上あれば分離することができ、溶媒和しない2成分以上の系ならば分離が可能となる。これを利用して無機粉末/現像液の分離が可能となる。
遠心分離は機械的に分離するため、フィルター、濾紙を使って分離する方法のように液中に高分子凝集剤を入れ、粒子を大きくしてから分離する操作が必要なく、分離後の現像液に薬液の混入がない。そのため、現像操作に2次的な影響を与えることがなく、無機粉末を回収した後の現像液がそのまま現像に使用できる。また、比重差を利用しているため、広い粒度分布を有する残渣でも簡便に分離が可能となる。
遠心分離機構は、特に限定されないが、デカンタ方式であることが無機粉末回収の連続処理が可能であることから好ましい。デカンタ方式は通常、図1に示すようにボウル部1、無機粉末2を連続的に排出するスクリューコンベアー3、これらを回転させるモーター4、ボウル部1とスクリューコンベアー3に相対差速を与える減速機5の要素から構成されている。
高速に回転しているボウル部1にフィードパイプ6から、無機粉末を含んだ現像液8を挿入すると、2,000G以上の遠心効果により、無機粉末がボウル部1外周に沈殿する。その無機粉末を差速の与えられているスクリューコンベアー3により送り出し、脱液した無機粉末2のみを取り出し、現像液7と分離する。無機粉末2、現像液7ともに連続的に排出され、短時間に多量の無機粉末が出るものには非常に有効な方式である。
分離器の内部は耐摩耗加工を施してあることが好ましい。感光性ペーストは、ガラスや金属など比較的硬度の高い無機粉末を含んでいるため、装置内部が摩耗するおそれがある。耐摩耗処理を施すことにより、分離器を構成している金属の混入が防止できる。より好ましくは、最も摩耗しやすいスクリューコンベアー3の先を耐摩耗処理するのがよい。具体的な耐摩耗処理の方法は、タングステンカーバイト(WC)、ハステロイB&WC、ハステロイC−276、ステライト#1、ステライト1016、ユータロイ、ローカイドC、アルミナ、メテコ#101等を溶射する。または、チップにして貼り付けることにより耐摩耗加工処理を行うことが好ましい。
デカンタ内の分離域(ベーン)9を設けることも細かい粒子までの回収が可能となるため好ましい。図2のように分離板9を有することにより、無機粉末は分離板9表面を滑りながら回転体の外周方向に降りるため、分離が促進されるだけでなく、液中で舞いあげられやすい細かい粒子までの回収が可能となる。分離板9の材質はプラスチック、SUS306、SUS314といったステンレス材が一般的に用いられるが、耐摩耗処理を施したものであってもよい。しかしながら、あまり重くなると回転させるのに不都合を生じるため、その点を考慮した上で材質を選ぶのがよい。
遠心分離機で分離した現像液7をさらにフィルターに通して細かい粒子を回収することで回収率が向上できるため好ましい。フィルターのメッシュは1μm以下のものが好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
現像液から無機粉末を取り除く無機粉末回収部10は、現像部11とは並列して、現像液を撹拌、調温しているタンク部12につながり、繰り返し無機粉末回収を行う構成になっていることが好ましい。タンク部12から、液を取り出し、無機粉末回収処理した後に現像液をタンク部12に戻すという構成になっていることで、無機粉末回収部10へ流す流量の任意調整が可能となり、最適な無機粉末回収処理条件を選定することができる。
回収された無機粉末には、無機粉末表面に現像液に溶解せず、固まりで剥離した状態の感光性有機成分が付着している場合が多いため、回収したままで無機粉末を再利用するとペースト化する場合に問題を生じる場合がある。回収後に処理を行った後に再利用する必要がある。回収後の処理としては、洗浄、加熱、分級などが好ましい。
洗浄に用いる洗浄液としては、有機溶剤または/および酸性水溶液が好ましい。有機溶剤は、感光性ペーストの感光性有機成分を溶解するものや洗浄後に有機成分を揮発させやすいものが好ましいが特に限定されない。酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、しゅう酸、酢酸などの水溶液を用いることができる。有機溶剤または/および酸性水溶液で洗浄した後に純水で洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、沈殿槽を設ける方法などが適用できる。例えば、沈殿槽に回収した無機粉末と洗浄液を入れ、数時間撹拌する。この時、洗浄液の量は、体積比で無機粉末の3倍以上であることが洗浄効果を高めることができるために好ましい。撹拌後、数時間静置し無機粉末を沈殿させた後、上澄み液を電動ポンプなどを用いて吸い取り、廃棄する。次に、純水を入れ撹拌、静置、上澄み液廃棄を数回繰り返し洗浄する。また、洗浄液によっては、無機粉末の成分が溶出し、無機粉末の性質が変化するため、洗浄液の選択には注意を要する。
洗浄後には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は、300℃以上であることが好ましく、300℃未満の場合は、感光性ペーストの粘度上昇が生じる場合がある。加熱時間は、乾燥機によって異なるが、通常、0.5〜72時間の範囲が好ましい。乾燥機は、通風オーブン、IR乾燥機、電気炉など公知のものが使用できる。
乾燥後には分級を行うことが好ましい。分級は、空気分級機や3.5〜440メッシュ程度のふるいを用いることができる。ふるいの場合、電磁式ふるい振とう器などを用いると効率がよくなり好ましい。乾燥後に分級が行われない場合、無機粉末の凝集物の影響で、ペースト化時の混練工程が長くなる問題、パターン形状が変化する問題およびパターン表面の表面状態が粗くなる問題などを生じる場合がある。
現像槽から回収後に処理が施された無機粉末を感光性ペーストに再利用する。感光性ペーストは、上述の感光性有機成分と現像槽から回収後に処理が施された無機粉末を所定の組成となるように調合した後、プラネタリーミキサー等のミキサーによって予備分散し、3本ローラーなどの分散機で分散・混練手段によって均質に作製する。この際、再利用した無機粉末と未使用の無機粉末を混合して用いることが感光性ペーストの品質を安定させることができるため好ましい。この場合、再利用した無機粉末/未使用の無機粉末の比が1/99〜80/20の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、5/95〜70/30の範囲である。
次に、本発明の再利用粉末を用いた感光性ペーストをディスプレイパネル用部材への適用する例について説明する。
基板上に、書き込み電極として、感光性銀ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、ストライプ状電極を形成し、この基板に誘電体ペーストを塗布した後、500〜600℃で焼成して、誘電体層を形成する。
さらに、誘電体層上に感光性ガラスペーストを用いて、フォトリソ法でパターン形成後、500〜600℃で10〜60分間焼成し、ストライプ状の隔壁パターンを形成する。
このようにして形成された隔壁に、上記蛍光体ペーストを形成する。蛍光体の形成方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法、口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、感光性ペースト法などが挙げられるが、この中でも口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、スクリーン印刷法が簡便で、低コストのPDPを得ることができるため好ましい。蛍光体ペーストを塗布して乾燥させた後、例えば、500℃で30分焼成して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の濃度(%)は重量%である。
実施例1
まず、感光性銀ペーストを作製した。酸化ビスマス、酸化珪素、酸化硼素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなるガラスを粉砕した平均粒径0.8μmのガラス粉末3%、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成比60/40、重量平均分子量32000)6%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3%、ベンゾフェノン1%、平均粒径1.2μmの銀粉末74%、有機溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)13%を計量後、混合し、3本ローラーで混練して感光性銀ペーストを得た。
得られた感光性銀ペーストを50インチ基板にスクリーン印刷(株式会社ムラカミ製)し、IR乾燥機((株)中央理研製)で乾燥した後、ストライプパターンが形成されたマスクを介して露光した。露光後、次の現像装置を用いて現像した(露光機は、日立電子エンジニアリング製を用いた)。
現像装置は現像部11(図示しない)、タンク部12、無機粉末回収部10の3つから構成されている。現像部11はシャワー管1本につき、ノズルがピッチ150mm毎に下向きに設置されている。その下を現像物が一定の速度で移動し、現像物の上にノズルから現像液が噴射された後、集められタンク部12に導かれている。
タンク部12は300Lの容量を持ち、仕切板13によって3つの部屋に分割されている。容量は順に50L、70L、180Lであり、50L槽に現像部11から現像液が導かれ、仕切板13を越え、70L槽、180L槽の順に流れるカスケード構造になっている。現像液は常に自動滴定装置で濃度管理されており、設定下限値で現像液原液であるモノエタノールアミンが注入され、設定値濃度(0.2重量%のモノエタノールアミン水溶液)に調整される。50L槽からは無機粉末回収部10へもいくラインが引かれており、無機粉末回収部10へいった後、180L槽に戻される。180L槽では現像液を撹拌しながら、ヒーターによる調温を行い、ここからポンプで吸い上げられ、シャワー管に導かれ、再度現像物へ噴射される。
無機粉末回収部10は、デカンタ方式の遠心分離装置とフィルター径0.5μmのフィルターを直列につながれている。液の流れとしてはポンプでタンク部50Lから液を導入し、清澄された現像液8をフィルターに通した後、180L槽に液が戻される。遠心分離装置は図2に記載のような分離板9を有したデカンタ方式の装置である。主な構成材質はSUS304であるが、摩耗の激しいスクリューコンベアー3先端にはWCチップを貼り付けた耐摩耗処理を施してある。
この現像装置を用いて、現像を行い、ストライプ状の銀電極を焼成前厚み8μmで形成した。現像により基板1枚あたり120gの無機粉末(ガラス粉末と銀粉末)が現像液に混入する。これを200枚現像し、無機粉末を回収した。水分を除去した後の無機粉末は23kgであった。
続いて、エアーモーター防爆攪拌機(株式会社中央理化製)を取り付けた200Lのポリエチレン製容器に回収した無機粉末23kgと酢酸ブチル120Lを入れ、400rpmで5時間撹拌した。撹拌を停止した後、そのまま室温で18時間静置した。上澄み液を電動ポンプを用いて除去した後、精製水120Lを入れ、400rpmで5時間撹拌した。撹拌を停止した後、そのまま室温で18時間静置した。この精製水による撹拌、静置、上澄み液除去操作を5回繰り返した。
5回目の上澄み除去操作を行った後、容器の中の無機粉末をホーローバットに移し、350℃の通風オーブン(光洋リンドバーグ(株)製)中で48時間乾燥させた。乾燥後、固まりになっている部分をへらで押しつぶし、粉末状にした後、上から16、50、100、200、440メッシュのふるいをセットしたふるい振とう機(株式会社タナカテック製)を用いて分級処理を行った。処理条件は、振とう数250rpm、ハンマー打数125tpmで行った。
回収後、処理した無機粉末を用いて感光性銀ペーストを作製した。回収/処理した無機粉末77%、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成比60/40、重量平均分子量32000)6%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3%、ベンゾフェノン1%、有機溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)13%を計量後、混合し、3本ローラーで混練して感光性銀ペーストを得た。この時、混練状態は、未使用の無機粉末を使用した状態と同じで問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定した。ずり速度1.2s-1の粘度は41Pa・s(25℃)であった。
次に、感光性隔壁ペーストを作製した。ガラス粉末としては、酸化リチウム10重量%、酸化珪素25重量%、酸化硼素30重量%、酸化亜鉛15重量%、酸化アルミニウム5重量%、酸化カルシウム15重量%からなる平均粒子径2μmのものを用いた。感光性成分を含む有機成分としては、カルボキシル基を含有するアクリルポリマー(”サイクロマー”P(ACA250、ダイセル化学工業社製))30重量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量%、光重合開始剤であるベンゾフェノン10重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30重量%からなるものを用いた。感光性隔壁ペーストは、これらのガラス粉末と感光性成分を含む有機成分をそれぞれ70:30の重量比率で混合した後に、3本ローラーで混練して作製した。
得られた感光性隔壁ペーストを50インチ基板にダイコーター(東レ(株)製)を用いて塗布し、IR乾燥機で乾燥した後、ストライプパターンが形成されたマスクを介して露光した。露光後、感光性銀ペーストと同仕様の現像装置を用いて現像を行い、ストライプ状の隔壁を焼成前厚み200μmで形成した。現像により基板1枚あたり300gのガラス粉末が現像液に混入する。これを100枚現像し、ガラス粉末を回収した。水分を除去した後のガラス粉末は29kgであった。
回収後、感光性銀ペーストの場合と同一条件で同様の操作(洗浄、乾燥、分級)を行った後、回収後、処理したガラス粉末を用いて感光性隔壁ペーストを作製した。回収/処理したガラス粉末と感光性成分を含む有機成分をそれぞれ70:30の重量比率で混合した後に、3本ローラーで混練して感光性隔壁ペーストを作製した。この時、混練状態は、未使用の無機粉末を使用した状態と同じで問題は見られなかった。得られた感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定した。ずり速度1.2s-1の粘度は30Pa・s(25℃)であった。
次に、50インチのガラス基板(PD−200;旭硝子(株)製)を使用してAC(交流)型プラズマディスプレイパネルの背面板を形成した。
基板上に、書き込み電極として、回収・処理した無機粉末を用いた感光性銀ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、ピッチ140μm、線幅60μm、焼成後厚み4μmのストライプ状電極を形成した。この時のパターン形成性に問題は見られなかった。この基板に誘電体ペーストを塗布した後、550℃で焼成して、厚み10μmの誘電体層を形成した。
さらに、誘電体層上に回収/処理したガラス粉末を用いた感光性隔壁ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、パターン形成後、570℃で15分間焼成し、ピッチ140μm、線幅20μm、高さ100μmのストライプ状の隔壁パターンを形成した。この時のパターン形成性に問題は見られなかった。また、隔壁の表面粗さ(Ra)は0.8μmであった。
このようにして形成された隔壁に各色蛍光体ペーストをスクリーン印刷法を用いて塗布焼成(500℃、30分)して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成した。
次に、前面板を以下の工程によって作製した。まず、背面板と同じガラス基板上に、ITOをスパッタ法で形成後、レジスト塗布し、露光・現像処理、エッチング処理によって厚み0.1μm、線幅200μmの透明電極を形成した。また、黒色銀粉末からなる感光性銀ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、焼成後厚み10μmのバス電極を形成した。電極はピッチ140μm、線幅60μmのものを作製した。
さらに、電極形成した前面板上に透明誘電体ペーストを20μm塗布し、430℃で20分間保持して焼き付けた。次に形成した透明電極、黒色電極、誘電体層を一様に被覆するように電子ビーム蒸着機を用いて、厚みは0.5μmのMgO膜を形成して前面板を完成させた。
得られた前面ガラス基板を、前記の背面ガラス基板と貼り合わせ封着した後、放電用ガスを封入し、駆動回路を接合してプラズマディスプレイ(PDP)を作製した。このパネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は89%であった。11%の不良率は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例2
現像液から回収した後の洗浄液に4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンを用いた他は実施例1と同様に行った。回収/処理した無機粉末を用いて、感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、40、31Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は90%であった。10%の不良率は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例3
現像液から回収した後の洗浄液に0.28Nの塩酸を用いた他は実施例1と同様に行った。回収/処理した無機粉末を用いて、感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、39、31Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は89%であった。11%の不良率は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例4
現像液から回収し、洗浄後の乾燥温度を200℃とした他は実施例1と同様に行った。回収/処理した無機粉末を用いて、感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、63、44Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であり、少し高くなっていた。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかったが、少し塗布むらが見られる箇所があった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は83%であった。17%の不良率は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物および塗布むらを起因とするものであった。
実施例5
現像液から回収し、乾燥後のふるい処理を行わなかった他は実施例1と同様に行った。回収/処理した無機粉末を用いて、感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを作製したところ、粉末の凝集物が多く、分散時間が長くなった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、42、34Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかったが、隔壁の表面粗さが少し大きくなった(Ra=1.7μm)。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は81%であった。19%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物および隔壁の表面粗さに起因する前面ガラス基板と背面ガラス基板の貼り合わせ封着時の隔壁の欠けであった。
実施例6
現像液から回収/処理した粉末と未使用の粉末をそれぞれ70:30の重量比率で混合しペーストを作製した他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、40、31Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は91%であった。9%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例7
現像液から回収/処理した粉末と未使用の粉末をそれぞれ50:50の重量比率で混合しペーストを作製した他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、39、30Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は91%であった。9%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例8
現像液から回収/処理した粉末と未使用の粉末をそれぞれ20:80の重量比率で混合しペーストを作製した他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、40、30Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は93%であった。7%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
実施例9
現像液から回収/処理した粉末と未使用の粉末をそれぞれ5:95の重量比率で混合しペーストを作製した他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、39、30Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は96%であった。4%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
比較例1
粉末を回収せず、未使用の粉末を用いてペーストを作製した他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態に問題は見られなかった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、40、30Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いてPDPを作製した。背面板の電極および隔壁のパターン形成性に問題は見られなかった。パネルに電圧を印加して表示を観察したところ、表示状態は良好であった。また、基板500枚投入し、PDPの作製の収率は96%であった。4%の不良率の原因は、主に感光性ペースト中の異物、凝集物を起因とするものであった。
比較例2
現像液から回収した粉末を処理を行わない他は実施例1と同様に行った。ペーストを作製した時の混練状態は不良で、長い分散時間が必要であった。得られた感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストの粘度をブルックフィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)を用いて測定したところ、粘度はそれぞれ、105、72Pa・s(25℃、ずり速度1.2s-1)であった。
次に、この感光性銀ペーストと感光性隔壁ペーストを用いて背面板の電極および隔壁のパターン形成を試みたが、良好なパターンができず、PDPが作製できなかった。
本発明に用いた遠心分離装置の一例を示す簡単な断面図である。
本発明に用いた遠心分離装置の一例を示す簡単な概略図である。
本発明に用いたタンク部の一例を示す簡単な概略図である。
本発明に用いたタンク部の一例を示す簡単な概略図である。
符号の説明
1:ボウル部
2:無機粉末
3:スクリューコンベアー
4:モーター
5:減速機
6:フィードパイプ
7:遠心分離機で分離した現像液
8:現像液
9:分離板
10:無機粉末回収部
11:現像部
12:タンク部
13:仕切板
14:液の流れ