JP4460990B2 - 内視鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、使用後の滅菌をオートクレーブ装置で行う内視鏡に関する。
一般に、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置の行える医療用の内視鏡が広く利用されている。また、工業分野においても、エンジン,化学プラントなどの内部の傷や腐蝕などを観察したり検査することのできる工業用内視鏡が広く利用されている。
特に、医療分野で使用される内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して、臓器などを観察したり、内視鏡の処置具チャンネル内に挿入した処置具を用いて、各種治療や処置を行う。このため、一度使用した内視鏡や処置具を他の患者に再使用する場合、内視鏡や処置具を介しての患者間の感染を防止する必要から、検査・処置終了後に内視鏡装置の洗滌消毒を行う必要がある。
これら内視鏡及びその附属品の消毒滅菌処理としては、従来より、エチレンオキサイドガス(EOG)等のガスや、消毒液を使用している。しかし、周知のように滅菌ガス類は、猛毒であり、滅菌作業の安全確保のために作業工程が煩雑になるという問題がある。
また、滅菌後に、滅菌処理済みの機器に付着したガスを取り除くためのエアレーションに時間がかかる。このため、滅菌後、直ちに滅菌処理済みの機器を使用することができないという問題がある。さらに、ガスが環境に与える悪影響も問題視されている。そして、ランニングコストが高価になるという問題がある。
一方、消毒液の場合には、消毒薬液の管理が煩雑であり、消毒液を廃棄処理するために多大な費用がかかるという問題がある。
そこで、最近では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後すぐに使用でき、しかもランニングコストの安いオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)が内視鏡機器では主流になりつつある。オートクレーブ滅菌の代表的な条件としては、米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992がある。ここで規定されている条件はプレバキュームタイプでは滅菌工程132℃、4分、またグラビティタイプでは滅菌工程132℃、10分となっている。この条件は各国によって異なるが、一般的には、オートクレーブ滅菌の温度としては、115℃〜140℃の間で設定され、また、滅菌工程時の圧力としては、大気圧に対してプラス0.2MPa程度に設定されている。
また、特許文献2には内視鏡の接眼装置が示されている。この接眼装置では、接眼視度調整環をOリングによって水密的に装着し、この視度調整環を操作することによって接眼レンズを光軸方向に移動させて視度調整を可能にしている。
特開2001−8887号公報 実開昭63−180821号公報
オートクレーブ滅菌処理が行われる内視鏡としてはオートクレーブ滅菌の際、内視鏡の内部に水蒸気が侵入することを阻止するために、従来の薬液に浸漬しても薬液を侵入させない水密性や、通常の大気圧における気密性等に比べてはるかに高い気密性が要求される。しかしながら、オートクレーブ滅菌時の前述した条件における高圧高温水蒸気は、ゴム、エラストマー、樹脂(プラスチックス)等の高分子材料を主成分とする素材を透過する性質を有している。
なお、オートクレーブ滅菌がプレバキュームタイプの場合、滅菌工程前に、水蒸気を機器の細部まで浸透させるため減圧工程としてプレバキューム工程がある。このプレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌に挿入部に湾曲部を有する湾曲付き内視鏡をかける場合、湾曲部の外皮チューブの破裂を防止するために、内視鏡の内外を連通状態にしてオートクレーブ滅菌するのが一般的である。このため、内視鏡の内外の連通部を通してオートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気が積極的に内視鏡内部に侵入していくことになる。
また、一般のレンズ硝材である加工性の良い多成分ガラスの多くは、オートクレーブ滅菌の高圧高温蒸気によって劣化する。このため、上述したように内視鏡内部に蒸気が侵入することによって、硝材自体が劣化して、視野不良を引き起こしたり、内部の金属部品の酸化による劣化といった不具合の要因になるおそれがある。
また、特許文献2に示されている内視鏡をオートクレーブ装置で滅菌処理した場合には、接眼視度調整環と内部構造体との間に介設されたOリングを介して接眼部内部に水蒸気が浸入する。すると、その水蒸気がカバーガラス内面や、接眼レンズ裏面や、イメージガイドファイバ端面まで到達する。このため、滅菌処理後に内視鏡を取り出して観察したとき、曇りが生じたり、白く霧がかかったように見える不具合を生じるおそれがある。
さらに、オートクレーブ滅菌を長時間連続で行ったり、繰り返し行うことによって、カバーガラス内面や、レンズ表面や、イメージガイドファイバ端面に水滴が付着したり、レンズ硝材が劣化することにより、内視鏡の観察性能を著しく損なうおそれもある。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、オートクレーブ装置を用いた滅菌処理でオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気によって内視鏡に光学系の曇りや、内部の金属部品の酸化による性能の劣化を防止できる内視鏡を提供することにある。
請求項1の発明は、管腔内に挿入される挿入部の基端部に操作部が配設され、前記挿入部は、可撓性を有する細長い可撓管部と、この可撓管部の先端に連結され、湾曲操作される湾曲部と、この湾曲部の先端に連結された先端構成部とを有し、前記操作部は、前記湾曲部を遠隔的に湾曲操作する湾曲操作機構を有する内視鏡において、間隙のない超弾性合金の薄膜で構成された金属チューブによって少なくとも前記湾曲部の外周面を被覆する被覆チューブを形成したことを特徴とする内視鏡である。
そして、本請求項1の発明では、超弾性合金の薄膜で構成された金属チューブは高温水蒸気を通さないので、従来用いられてきたウレタン系などの樹脂製素材のようにオートクレーブ装置を用いた滅菌処理時にオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が内視鏡の内部に浸透することを防止する。これにより、オートクレーブ装置を用いた滅菌処理で内視鏡に光学系のクモリや、内部の金属部品の酸化による劣化といった不具合を全て解消することができるようにしたものである。また、湾曲部の被覆チューブに用いる合金は、通常の金属では弾性変形領域が非常に小さいため、一度変形してしまうと自分の力では元の形状に戻ることができず、通常の金属でチューブ状にしたものを湾曲部の被覆チューブに使用することはできなかった。ところが、超弾性合金で構成された金属チューブは弾性変形領域を超えて変形させても荷重を取り除くと元の形状に戻る性質を持つことによって数万回以上の繰り返し屈曲によっても劣化せず、初期の形状を保つことができるため、湾曲部の被覆チューブとしての使用が可能となる。
請求項2の発明は、前記被覆チューブは、超弾性合金箔を間隙のないチューブ状に形成し、樹脂材料で覆った構造としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
そして、本請求項2の発明では、被覆チューブは、超弾性合金箔を間隙のないチューブ状に形成し、樹脂材料で覆った構造とする。これにより、超弾性合金部分は、与えられる歪み量が大きくなると耐久性も低くなるという性質があるため、なるべく薄肉の状態で使用する必要がある。このため、そのままパイプ状の形状で使用するよりも、その周りを樹脂で補強することによって薄い肉厚で高い強度を得るようにし、湾曲部の被覆チューブとしての使用時における歪み量を小さくするようにしたものである。
請求項3の発明は、前記被覆チューブは、樹脂材料チューブの表面に成膜手段によって超弾性合金を成膜した構造としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
そして、本請求項3の発明では、樹脂材料チューブの表面にスパッタリングなどの手法の成膜手段を用いて超弾性合金を薄膜状に成膜した構造で被覆チューブを形成することにより、湾曲部の被覆チューブとしての使用時における歪み量を小さくするようにしたものである。
請求項4の発明は、前記被覆チューブは、少なくとも前後の両端が前記湾曲部の内蔵物の外周面に気密固定手段を介して気密的に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
そして、本請求項4の発明では、被覆チューブは、少なくとも前後の両端の気密固定手段によって湾曲部の内蔵物の外周面に気密的に固定することにより、湾曲部の端部を全て気密的に密閉するようにしたものである。
請求項5の発明は、前記気密固定手段は、ロウ付けであることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡である。
そして、本請求項5の発明では、湾曲部の被覆チューブの端部の密閉方法としては、樹脂を用いた接着などでも密閉という目的は果たすことが可能であるが、ロウ付けなどで金属を用いて接合することによってより耐久性の高い、完全な密閉が可能となるようにしたものである。
請求項6の発明は、前記気密固定手段は、ハンダ接合であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡である。
そして、本請求項6の発明では、湾曲部の被覆チューブの端部の密閉方法としてハンダ接合を使用することにより、樹脂を用いた接着などに比べてより耐久性の高い、完全な密閉が可能となるようにしたものである。
請求項7の発明は、前記被覆チューブは、前記挿入部の外周面全体を被覆するものであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
そして、本請求項7の発明では、超弾性合金で構成された金属チューブの被覆チューブによって挿入部の外周面全体を被覆することにより、オートクレーブ装置を用いた滅菌処理時にオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が内視鏡の挿入部の外周面から内部に浸透することを防止するようにしたものである。
請求項8の発明は、前記挿入部は、基端部が前記操作部側の処置具挿通孔、他端部が前記先端構成部に形成された開口部にそれぞれ連結された処置具挿通用の管体を有し、間隙のない超弾性合金で構成された金属チューブによって前記管体の外周面が被覆された構造であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡である。
そして、本請求項8の発明では、間隙のない超弾性合金で構成された金属チューブによって処置具挿通用の管体の外周面を被覆することにより、超弾性合金で構成された金属チューブは高温水蒸気を通さないので、オートクレーブ装置を用いた滅菌処理時にオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が処置具挿通用の管体の内部に浸透することを防止する。これにより、オートクレーブ装置を用いた滅菌処理で処置具挿通用の管体の内部の金属部品の酸化による劣化といった不具合を解消することができるようにしたものである。
本発明によれば、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気によって性能が劣化することを防止した内視鏡を提供することができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1は本実施の形態の医療用の軟性内視鏡1の概略構成を示す。本実施の形態の内視鏡1は、体腔内に挿入される細長い挿入部2と、この挿入部2の基端部に連結された手元側の操作部3とを有する。
操作部3には、使用者が把持する把持部4が設けられている。この把持部4の基端部側にはユニバーサルコード5の一端部が連結されている。このユニバーサルコード5の他端部にはコネクタ部6が連結されている。このコネクタ部6は、ライトガイド接続部7や、電気接続部8などを有する。そして、ライトガイド接続部7は図示しない光源装置に接続され、電気接続部8は図示しないビデオプロセッサなどに接続されている。ビデオプロセッサには図示しないモニタが連結されている。
さらに、操作部3には、湾曲操作ノブ9や、各種のスイッチ10aや、送気送水、吸引用のボタン10bや、処置具挿入部11などが配設されている。ここで、湾曲操作ノブ9や、各種のスイッチ10aや、送気送水、吸引用のボタン10bは把持部4の基端部側に配置され、処置具挿入部11は把持部4の先端部側に突設されている。
挿入部2は、細長い長尺な可撓管部12と、この可撓管部12の先端部に連結され、湾曲変形可能な湾曲部13と、この湾曲部13の先端部に連結された先端構成部14とを有する。可撓管部12の基端部は、操作部3の把持部4の先端部側に連結されている。
図2(A)は、挿入部2の先端部付近の内部構成を示す。湾曲部13には、複数のリング状の湾曲駒15が挿入部2の軸方向に沿って並設されている。前後の湾曲駒15間は、リベット等の支軸16を介して互いに回転可能に連結されている。
湾曲部13の最先端位置の第1湾曲駒15Aには、複数、例えば2本または4本の湾曲ワイヤ17の先端部が固定されている。各湾曲ワイヤ17は湾曲部13および可撓管部12の内部を通して操作部3側まで延出されている。そして、各湾曲ワイヤ17の基端部は、操作部3の内部に配設された図示しない湾曲操作機構に連結されている。この湾曲操作機構は、湾曲操作ノブ9によって駆動されるようになっている。そして、湾曲操作ノブ9の回転操作に連動して湾曲操作機構を介して各湾曲ワイヤ17が牽引操作される。これにより、湾曲操作ノブ9の回転操作方向に湾曲部13が遠隔的に湾曲操作されて、内視鏡1の先端を所定の方向に向けるようになっている。
さらに、湾曲部13の外周面は、被覆チューブ18によって被覆されている。この被覆チューブ18は、間隙のないNi−Ti系の超弾性合金で構成された金属チューブによって形成されている。
また、先端構成部14は、金属材料で形成された固定枠である硬質なブロック状の先端構成部本体19を有する。この先端構成部本体19の外周面には、基端部側に2段(第1,第2)の段差部19a,19bが形成されている。先端構成部本体19の基端部側に配置された小径なリング状の第1の段差部19aには、湾曲部13の第1湾曲駒15Aの先端部が外嵌された状態で、例えばハンダ付けなどで固定されている。さらに、先端構成部本体19の第1の段差部19aよりも前方の第2の段差部19bには、湾曲部13の被覆チューブ18の先端部が外嵌された状態で、例えばロウ付けなどの気密固定手段20によって気密構造で結合固定されている。なお、気密固定手段20は、ロウ付けに代えてハンダ接合であってもよい。
また、先端構成部本体19には図2(B)に示すように1つの観察窓部21と、2つの照明窓部22a,22bと、吸引管を兼ねる処置具挿通チャンネル23の先端開口部23aと、送気送水ノズル24などが配設されている。
観察窓部21には、観察光学系25が配設されている。この観察光学系25は、カバーレンズと、複数のレンズとが組み付けられた対物レンズユニット26と、この対物レンズユニット26の結像位置に配置されたCCDなどの撮像素子27とを有する。撮像素子27には信号ケーブル28の一端部が接続されている。この信号ケーブル28は、湾曲部13および可撓管部12の内部を通して操作部3側まで延出され、さらにユニバーサルコード5の内部を通してコネクタ部6の電気接続部8に接続されている。そして、対物レンズユニット26で結像された内視鏡像は、撮像素子27で電気信号に変換され、撮像素子27の信号ケーブル28を介して図示しないビデオプロセッサに電送されたのち、ビデオプロセッサで信号処理されてモニタの画面に表示されるようになっている。
照明窓部22a,22bには、カバーガラスの後方に図示しないライトガイドファイバの先端部が配設されている。このライトガイドファイバは湾曲部13および可撓管部12の内部を通して操作部3側まで延出され、さらにユニバーサルコード5の内部を通してコネクタ部6のライトガイド接続部7に接続されている。そして、図示しない光源装置から出射された照明光がライトガイドファイバを通して挿入部2の先端部側に導光され、照明窓部22a,22bから外部に出射されるようになっている。
また、先端構成部本体19の先端開口部23aには、処置具挿通チャンネル23を形成する処置具挿通用のチャンネルチューブ(管体)29の先端部が固定されている。このチャンネルチューブ29は、間隙のないNi−Ti系の超弾性合金で構成された金属チューブによって形成されている。そして、チャンネルチューブ29の先端部は、先端構成部本体19の先端開口部23aの周縁部位に例えば、ロウ付けなどの気密固定手段30によって気密構造で結合固定されている。なお、気密固定手段30は、ロウ付けに代えてハンダ接合であってもよい。
さらに、チャンネルチューブ29は、湾曲部13および可撓管部12の内部を通して操作部3側まで延出され、処置具挿入部11に配設された金属管製の処置具挿入口体11aに固定されている。このチャンネルチューブ29の基端部と、処置具挿入口体11aとの固定部も例えば、ロウ付け、ハンダ接合などの気密固定手段によって結合固定されている。
さらに、送気送水ノズル24は、図示しない送気送水チャンネルの先端部に連結されている。この送気送水チャンネルは、湾曲部13および可撓管部12の内部を通して操作部3側まで延出され、さらにユニバーサルコード5の内部を通してコネクタ部6の送気口金31および送水口金32に接続されている。
また、図3は、可撓管部12の先端部と、湾曲部13との連結部の内部構成を示す。ここで、可撓管部12の先端部にはリング状の湾曲部側口金33が配設されている。この湾曲部側口金33の先端部内周面には、複数の湾曲駒15のうち最後端位置に配置される第2湾曲駒15Bの後端部が嵌合された状態で、例えばハンダ付けなどで固定されている。
さらに、湾曲部13の被覆チューブ18の後端部は、第2湾曲駒15Bの先端部に外嵌された状態で、湾曲部側口金33の先端部または、第2湾曲駒15Bに例えば、ロウ付けなどの気密固定手段34によって結合固定されている。なお、気密固定手段34は、ロウ付けに代えてハンダ接合であってもよい。
また、湾曲部側口金33の後端部内周面には、例えば密巻コイルによって形成されるワイヤガイド35の先端部が固定されている。そして、各湾曲ワイヤ17は可撓管部12の内部のワイヤガイド35内に挿通されている。
さらに、可撓管部12の外壁部には、外被チューブ36が配設されている。この外被チューブ36は、間隙のないNi−Ti系の超弾性合金で構成された金属チューブによって形成されている。この外被チューブ36の先端部は湾曲部側口金33の後端部外周面に外嵌された状態で、例えばロウ付けなどの気密固定手段37によって気密構造で結合固定されている。なお、気密固定手段37は、ロウ付けに代えてハンダ接合であってもよい。
また、外被チューブ36の基端部は、操作部3の内蔵物である図示しない内部フレームの外周面に外嵌された状態で、例えばロウ付け、ハンダ接合などの気密固定手段によって気密構造で結合固定されている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡1の使用時には、挿入部2が患者の体腔内に挿入されて体腔内の観察が行われる。さらに、処置具挿入部11内から処置具挿通チャンネル23に挿入される処置具によって体腔内の患部の処置を行う際にも使用される。
また、内視鏡1の使用時には、検査・処置の終了後にオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)処理が行われる。このとき、本実施の形態の内視鏡1では、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36が高温水蒸気を通さない間隙のないNi−Ti系の超弾性合金で構成された金属チューブによって形成されているので、オートクレーブ滅菌処理中にオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36を通して内視鏡1の内部に侵入することを防止することができる。そのため、従来の内視鏡のように湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36としてウレタン系などの樹脂製素材を使用する場合に比べて内視鏡1に光学系の曇りや、内部の金属部品の酸化による劣化といった不具合を全て解消することができる。
また、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36に用いる合金は、弾性変形領域を超えて変形させても荷重を取り除くと元の形状に戻る性質を持つ超弾性合金を使用している。これにより、数万回以上の繰り返し屈曲によっても劣化せず、初期の形状を保つことができるため、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36としての使用が可能となる。なお、通常の金属では弾性変形領域が非常に小さいため、一度変形してしまうと自分の力では元の形状に戻ることができず、チューブ状にしたものを湾曲管に使用することはできない。
さらに、本実施の形態では、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36の両端部は、例えばロウ付けなどの気密固定手段20、34によって気密構造で全て気密的に密閉したので、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36の両端部から内視鏡1の内部に侵入することを防止することができる。なお、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36の両端部の密閉方法としては、樹脂を用いた接着などでも密閉という目的は果たすことが可能であるが、望ましくは、ハンダやロウ付けなど金属を用いて接合することによってより耐久性の高い、完全な密閉が可能となる。
また、本実施の形態では、処置具を挿入するための処置具挿通チャンネル23を形成する処置具挿通用のチャンネルチューブ29も間隙のないチューブ状のNi−Ti系の超弾性合金の管体で構成し、これら超弾性合金のチャンネルチューブ29の両端を例えばロウ付けなどの気密固定手段30によって気密構造で結合固定している。そのため、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気がチャンネルチューブ29を通して内視鏡1の内部に侵入することも防止することができる。
そこで、上記構成のものにあっては、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が内視鏡1の内部から遮断され、オートクレーブによるダメージのない、内視鏡1を得ることができるという効果を奏する。
[第2の実施の形態]
また、図4は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図3参照)の内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態では、内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29をNi−Ti系の超弾性合金よりなる50μmの箔41を間隙のないチューブ状に形成し、ウレタン系樹脂42で覆った構造としている。さらに、これら湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の両端の超弾性合金箔41の部分をハンダ接合により相手側部品と接合し、気密構造とした。
これにより、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が内視鏡1の内部から遮断され、オートクレーブによるダメージのない、内視鏡1を得ることができる。
また、本実施の形態では、内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の超弾性合金部分を50μmという非常に薄い箔41にしている。この超弾性合金部分は、与えられる歪み量が大きくなると耐久性も低くなるという性質があるため、なるべく薄肉の状態で使用する必要がある。このため、そのままパイプ状の形状で使用するよりも、本実施の形態のように薄い超弾性合金箔41にしてその周りを樹脂42で補強することによって薄い肉厚で高い強度を得ることができる。
これにより、内視鏡1としての使用時における内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の超弾性合金部分の歪み量を小さくすることができ、繰り返し湾曲時の耐久性をより高くすることが可能となる。
[第3の実施の形態]
また、図5は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図3参照)の内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態では、内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29をチューブ状のポリイミド系樹脂の管体51の表面にスパッタリングによってNi−Ti系の超弾性合金の金属膜52を10μm成膜した構造としている。
さらに、これら湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の両端の超弾性合金の金属膜52の部分をハンダ接合により相手側部品と接合し、気密構造とした。
これにより、オートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気が内視鏡1の内部から遮断され、オートクレーブによるダメージのない、内視鏡1を得ることができる。
また、本実施の形態では、内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の超弾性合金部分を10μmという薄膜の金属膜52にすることにより、繰り返し湾曲時の耐久性を更により高くすることが可能となる。
またさらに、樹脂の管体51と超弾性合金の金属膜52との複合構造を採用した場合、その厚みの比率を任意に変えることができるため、湾曲部13の被覆チューブ18や、可撓管部12の外被チューブ36および処置具挿通用のチャンネルチューブ29の弾性を所望の価に設定することができ、これによって医療用内視鏡1の操作性を向上させることも可能になる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では内視鏡1の湾曲部13の被覆チューブ18と、可撓管部12の外被チューブ36とを別部材で形成したが、これらを一体成形しても良い。この場合には内視鏡1の部品数をさらに低減することができ、内視鏡1の挿入部2の細径化を図ることができる。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
本発明は、使用後の滅菌をオートクレーブ装置で行う内視鏡を製造する技術分野や、内視鏡を使用する技術分野で有効である。
本発明の第1の実施の形態の内視鏡全体の概略構成を示す斜視図。 (A)は第1の実施の形態の内視鏡の挿入部の先端部付近の縦断面図、(B)は内視鏡の挿入部の先端面の平面図。 第1の実施の形態の内視鏡の可撓管部と湾曲部との連結部分を示す要部の縦断面図。 本発明の第2の実施の形態の内視鏡の被覆チューブの縦断面図。 本発明の第3の実施の形態の内視鏡の被覆チューブの縦断面図。
符号の説明
2…挿入部、3…操作部、12…可撓管部、13…湾曲部、14…先端構成部、18…被覆チューブ。

Claims (8)

  1. 管腔内に挿入される挿入部の基端部に操作部が配設され、
    前記挿入部は、可撓性を有する細長い可撓管部と、
    この可撓管部の先端に連結され、湾曲操作される湾曲部と、
    この湾曲部の先端に連結された先端構成部とを有し、
    前記操作部は、前記湾曲部を遠隔的に湾曲操作する湾曲操作機構を有する内視鏡において、
    間隙のない超弾性合金の薄膜で構成された金属チューブによって少なくとも前記湾曲部の外周面を被覆する被覆チューブを形成したことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記被覆チューブは、超弾性合金箔を間隙のないチューブ状に形成し、樹脂材料で覆った構造としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記被覆チューブは、樹脂材料チューブの表面に成膜手段によって超弾性合金を成膜した構造としたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  4. 前記被覆チューブは、少なくとも前後の両端が前記湾曲部の内蔵物の外周面に気密固定手段を介して気密的に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  5. 前記気密固定手段は、ロウ付けであることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡。
  6. 前記気密固定手段は、ハンダ接合であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡。
  7. 前記被覆チューブは、前記挿入部の外周面全体を被覆するものであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  8. 前記挿入部は、基端部が前記操作部側の処置具挿通孔、他端部が前記先端構成部に形成された開口部にそれぞれ連結された処置具挿通用の管体を有し、
    間隙のない超弾性合金で構成された金属チューブによって前記管体の外周面が被覆された構造であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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