JP4460564B2 - チップ抵抗器 - Google Patents

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Description

本願発明は、チップ抵抗器に関する。
従来のチップ抵抗器の一例としては、下記特許文献1に所載のものがあり、これを本願の図14に示す。図示されたチップ抵抗器Bは、金属製のチップ状の抵抗体90の下面に、一対の電極91が空隙部93を介して離間して設けられた構成を有している。各電極91の下面には、ハンダ層92が設けられており、このチップ抵抗器Bを実装するときのハンダ付け性が良好となるように構成されている。
このチップ抵抗器Bは、図15に示すような方法により製造される。まず、同図(a)に示すように、抵抗体90および電極91のそれぞれの材料として、2枚の金属板90',91’を準備し、同図(b)に示すように、金属板90’の下面に金属板91’を重ね合わせて接合する。次いで、同図(c)に示すように、金属板91’の一部を機械加工によって切削し、空隙部93を形成する。その後は、同図(d)に示すように金属板91’の下面にハンダ層92’を形成してから、同図(e)に示すように金属板90',91’を切断する。このことにより、チップ抵抗器Bが製造される。
特開2002−57009号公報
抵抗器の製造に際しては、抵抗値の誤差をできる限り小さくすることが要請される。電流検出用途などに用いられる低抵抗のチップ抵抗器の場合には、そのような要請がとくに強い。ところが、上記した従来技術においては、次に述べるように、そのような要請に的確に応えることができず、改善すべき点があった。
すなわち、チップ抵抗器Bにおいて、その抵抗値(電極間抵抗値)の誤差を小さくするためには、一対の電極91の間隔s5を所定の正確な寸法に仕上げる必要がある。また、抵抗体90についても所定の正確なサイズに仕上げる必要がある。
ところが、既述したとおり、一対の電極91を離間させる空隙部93は、機械加工によって金属板91’を切削することにより形成されている。このため、一対の電極91の間隔s5は、上記機械加工の精度に左右されることとなり、その寸法誤差を小さくすることは難しいものとなっていた。また、一対の電極91の間には金属板91’の一部が残存することは適切でないため、金属板91’を切削する場合には、その切削深さを少なくとも金属板91’の厚み寸法以上にしなければならない。ところが、その切削深さが金属板91’の厚みを僅かでも超えてしまうと、金属板90’も切削される。これでは、抵抗体90の一部が凹状に削り取られたチップ抵抗器Bが製造されてしまい、その抵抗値に大きな誤差が生じる。
このように、従来においては、抵抗値の誤差を無くし、または小さくなるようにチップ抵抗器Bを製造することは難しいものとなっていた。このため、従来においては、チップ抵抗器Bを製造した後には、その抵抗値を調整するためのトリミングを行なっていた。このトリミングは、チップ抵抗器Bの実際の抵抗値を測定しながら、その抵抗値を目標抵抗値に近づけるように、抵抗体90の一部にたとえばレーザを照射するなどして行なわれる。したがって、従来においては、このトリミング作業が非常に面倒なものとなっており、これがチップ抵抗器のコストを上昇させる大きな要因となっていた。
また、従来において、金属板91’を切削する作業は、慎重に行なう必要があり、煩雑である。このため、従来においては、トリミング前におけるチップ抵抗器の生産性自体も良好なものではなく、このこともチップ抵抗器のコストを上昇させる要因となっていた。
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、抵抗値調整の必要を無くすことができる程度にまで抵抗値の誤差を小さくすることができ、かつ生産性にも優れたチップ抵抗器を提供することをその課題としている
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
本願発明によって提供されるチップ抵抗器は、チップ状の金属製抵抗体と、この抵抗体の片面に設けられた複数の電極と、上記複数の電極に積層して形成されたハンダ層と、を備えているチップ抵抗器であって、上記抵抗体の上記片面には、上記抵抗体の電極間抵抗値を決定するための絶縁層が設けられているとともに、上記複数の電極は、上記絶縁層を挟んで離間しており、かつ、上記複数の電極のそれぞれの一部および上記複数の電極に積層された上記ハンダ層のそれぞれの一部は、上記絶縁層の縁部に対し、この縁部に直接接触するようにオーバラップしていることを特徴としている。
このような構成によれば、上記複数の電極の間隔を上記絶縁層によって規定することができる。具体的には、上記絶縁層の幅を所定の寸法にすると、この絶縁層を上記幅方向において挟む2つの電極の間隔を上記所定の寸法に正確に規定することができる。その一方、上記絶縁層については、たとえば後述する厚膜印刷などの手法を用いて形成することにより、高い寸法精度で所望のパターンに形成することができる。したがって、複数の電極の間隔を高い寸法精度で所望の寸法に設定することができる。また、上記複数の電極や絶縁層は、その形成手段として切削手段を用いる必要はなく、従来技術とは異なり、抵抗体が不当に切削されるといったこともない。このため、抵抗体のサイズを所望の正確なサイズにすることも簡単に行なえることとなる。その結果、本願発明によれば、抵抗値調整のためのトリミングを行なうことなく、電極間抵抗値の誤差を無くし、あるいは非常に小さくすることができ、チップ抵抗器の品質を非常に高いものにすることができる。
このように、本願発明によれば、抵抗値調整のためのトリミングを行なう必要がないため、チップ抵抗器のコスト低減を図ることができる。また、上記したように、チップ抵抗器の製造過程において煩雑な切削作業を行なう必要がないため、チップ抵抗器の生産性が高まり、このことによってもコスト低減を図ることができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記絶縁層は、厚膜印刷により形成されたものである。このような構成によれば、上記絶縁層が複雑な形状を有する場合であっても、この絶縁層を寸法精度良く、かつ容易に形成することが可能である。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記抵抗体の上記片面とは反対の面には、電気絶縁性を有するオーバコート層が設けられている。このような構成によれば、上記抵抗体を上記オーバコート層によって保護し、たとえば上記抵抗体が他の電気部品類などに直接接触してこれらの間に不当な電流が流れるといったことを生じないようにすることができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記オーバコート層と上記絶縁層とは、同一の材質とされている。このような構成によれば、上記オーバコート層と上記絶縁層との材料の共通化により、生産コストの一層の低減化を図るのに好適となる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極の厚みは、上記絶縁層の厚みよりも大きくされている。このような構成によれば、ハンダを用いてチップ抵抗器を所望箇所へ実装するときに上記電極に上記ハンダを付け易くすることができる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記ハンダ層と上記各電極とのトータルの厚みは、上記絶縁層の厚みよりも大きくされている。このような構成によれば、チップ抵抗器を実装するときのハンダ付け性を一層良くすることが可能となる。
本願発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の電極としては、二対以上の電極が設けられている。このような構成によれば、たとえば上記二対以上の電極のうち、一対の電極については電流測定に、また他の一対の電極については電圧測定に用いることによって、本願発明に係るチップ抵抗器を電流の精密測定を行なうための抵抗器とすることが可能となり、一対の電極を設けただけの場合には得られない用途または機能を具備させることができる。
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図3は、本願発明に係るチップ抵抗器の一例を示している。図1および図2によく表われているように、本実施形態のチップ抵抗器Aは、抵抗体1、オーバコート層2、一対の電極3、および絶縁層4を具備している。
抵抗体1は、各部の厚みが一定の矩形チップ状であり、金属製である。その具体的な材質としては、Cu−Mn系合金、Ni−Cu系合金、Ni−Cr系合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、チップ抵抗器Aのサイズと目標抵抗値に見合った抵抗率をもつものを適宜選択すればよい。現実的ではないが、抵抗体1を非金属製とすることも可能である。
オーバコート層2は、抵抗体1の表面10aの全体を覆うように設けられており、電気絶縁性を有している。このオーバコート層2は、厚膜印刷により形成されたものであり、たとえばエポキシ樹脂系の樹脂膜である。
絶縁層4は、抵抗体1の裏面10bのうち、抵抗体1の幅方向(図1および図2の左右の幅方向)の中間部に設けられている。この絶縁層4の幅s1は、上記幅方向と直交する方向(図2の紙面と直交する方向)において一様である。この絶縁層4は、オーバコート層2と同一の材質であり、またオーバコート層2と同様に厚膜印刷により形成された樹脂製の膜である。
一対の電極3は、抵抗体1の裏面10bに設けられており、絶縁層4を挟んで離間している。これら一対の電極3は、後述するように、たとえば抵抗体1に銅メッキを施すことにより形成されたものである。各電極3は、絶縁層4の幅方向の端面40との間に隙間が生じないように端面40に接している。このことにより、一対の電極3の間隔は、絶縁層4によって規定されており、絶縁層4の幅s1と同一の寸法となっている。各電極3の下面には、ハンダ付け性を良好にするためのハンダ層39が積層して形成されている。
図1および図2においては、電極3やハンダ層39の端部を概略的に示しているが、これら電極3やハンダ層39はメッキにより形成されているために、実際には、図3の符号n1で示すように、それらの一部分は絶縁層4上にオーバラップしている。ただし、このオーバラップしている部分自体は、抵抗体1の裏面10bに直接接触している訳ではないため、抵抗体1の電極間抵抗値に誤差を生じさせる要因にはならない。したがって、上記オーバラップの量が比較的大きくなっていてもかまわない。
各電極3と各ハンダ層39とをトータルした厚みt1は、絶縁層4の厚みt2よりも大きくされており、各ハンダ層39は、絶縁層4の下面よりも下方に突出した構造となっている。本実施形態においては、各電極3の単独の厚みt3についても、絶縁層4の厚みt2よりも大きくされている。
上記各部の厚みの一例を挙げると、オーバコート層2および絶縁層4がそれぞれ20μm程度、各電極3が30μm程度、各ハンダ層39が5μm程度である。抵抗体1については、その厚みが0.1mm〜1mm程度、縦および横の寸法はそれぞれ2mm〜7mm程度である。ただし、この抵抗体1のサイズについては、目標抵抗値の大きさに応じて種々に変更されることは言うまでもない。また、このチップ抵抗器Aは、0.5mΩ〜50mΩ程度の低抵抗のものとして構成されている。チップ抵抗器Aの電極間抵抗は、抵抗体1の抵抗率、電極3間の距離、および抵抗体1の厚みにより決定される。
次に、上記したチップ抵抗器Aの製造方法の一例について、図4〜図6を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、抵抗体1の材料となる金属製のプレート1Aを準備する。このプレート1Aは、抵抗体1を複数個取り可能な縦横のサイズを有するものであり、全体にわたって厚みの均一化が図られたものである。同図(b)に示すように、このプレート1Aの上向きの片面10aの全体または略全体には、オーバコート層2Aを形成する。このオーバコート層2Aは、このオーバコート層2Aの材料となる樹脂をベタ塗り状に厚膜印刷することによって形成する。このオーバコート層2Aの形成後には、このオーバコート層2Aに標印を施す工程を行なってもかまわない。
次いで、同図(c)に示すように、プレート1Aを表裏反転させてから、プレート1Aの上向きとなった面10bに、複数の絶縁層4Aがストライプ状に並ぶように形成する。これら複数の絶縁層4Aの形成は、オーバコート層2の形成に用いたのと同一の樹脂および装置を用いて厚膜印刷により行なう。このようにすれば、複数種類の材料や装置を用いる場合と比較すると、チップ抵抗器Aの製造コストを削減するのに好ましい。上記厚膜印刷の手法によれば、各絶縁層4Aの幅などを所定の寸法に正確に仕上げることができる。
プレート1Aの面10bのうち、複数の絶縁層4Aどうしの間の領域には、図5(d)に示すように、導電層3Aおよびハンダ層39Aを順次形成する。導電層3Aの形成は、たとえば銅をメッキすることにより行なう。このメッキ処理によれば、導電層3Aと絶縁層4Aとの間に隙間を生じさせないようにして、隣り合う絶縁層4A間の領域に導電層3Aを均一に形成することが可能である。ハンダ層39の形成もメッキ処理によって行なう。
その後は、図5(e)に示すように、プレート1Aに打ち抜き加工(ブランキング)を繰り返して施し、プレート1Aを複数のチップ状の抵抗体1に分割していく。このような打ち抜き作業を繰り返して行なう場合、1つの打ち抜き用型(図示略)を繰り返して使用する。
上記打ち抜き作業においては、図6に示すように、互いに隣り合う2つの帯状の導電層3Aおよびハンダ層39Aのそれぞれの一部分と、これらの間に挟まれた1つの絶縁層4Aの一部分とが、チップ状に打ち抜かれた抵抗体1の片面上に残存するように、それらをプレート1Aとともに打ち抜く(図6のクロスハッチングが入れられた部分は、絶縁層4,4Aである。以降の図面についても同様である)。上記打ち抜きにより、2つの導電層3Aのそれぞれの一部分は、図1および図2に示したチップ抵抗器Aの一対の電極3となり、絶縁層4Aの一部分は、絶縁層4となる。このようなことにより、プレート1Aから複数のチップ抵抗器Aを適切に複数個取りすることができる。プレート1Aの打ち抜きは、図6に仮想線で示すように、複数の打ち抜き領域が微小な間隔s2を隔ててマトリクス状に並んでいくように進めればよい。
上記したように、プレート1Aを複数の抵抗体1に分割する手段として打ち抜き手段を採用すれば、抵抗体1の縦横の寸法を殆ど誤差の無い正確な寸法に仕上げることができる。また、上記打ち抜き作業は1つの打ち抜き用型を繰り返して用いて行なっているために、複数の打ち抜き用型を交互に用いる場合とは異なり、複数の打ち抜き用型の寸法のバラツキに起因して複数のチップ抵抗器間に寸法のバラツキが生じるといった不具合も無くすことができる。
本実施形態のチップ抵抗器Aは、所望の実装対象物に対し、たとえばハンダリフローの手法を用いて面実装される。ハンダ層39は、絶縁層4の下面よりも下方に突出しているために、面実装時のハンダ付け性を良くすることができる。とくに、各電極3の厚みt3が絶縁層4の厚みよりも大きくされているために、各電極3へのハンダ付け性をより良くすることができる。抵抗体1の上面全体はオーバコート層2によって覆われているために、この抵抗体1と他の部材や機器との間に不当な電気導通が生じることも防止することができる。
このチップ抵抗器Aにおいては、既述したとおり、抵抗体1の縦横の寸法は、打ち抜き加工によって所望の寸法に高い精度に仕上げることが可能である。抵抗体1の厚みについては、プレート1Aの段階から正確に仕上げることができる。また、一対の電極3間の寸法s1は、絶縁層4の幅と一致しているが、この絶縁層4は厚膜印刷によってかなり高い寸法精度で形成することが可能であるから、上記寸法s1も高い精度で所望の寸法に仕上げることができる。このように、抵抗体1のサイズおよび一対の電極3間の寸法s1が高い精度に仕上げられていれば、このチップ抵抗器Aの電極間抵抗値の誤差が無くなり、あるいは誤差があったとしても非常に小さくなる。したがって、このチップ抵抗器Aにおいては、従来技術とは異なり、その後抵抗値調整を行なうためのトリミングを行なう必要がなく、その作業を省略することができる分だけチップ抵抗器Aのコストを下げることができる。
図7(a),(b)は、本願発明品と従来技術品とのそれぞれの抵抗値の誤差に関するデータを示している。このデータは、本願発明品と従来技術品とのいずれについても、50個のチップ抵抗器をサンプル対象とし、これらの実際の抵抗値を測定することによって50個のチップ抵抗器の平均抵抗値に対する個々のチップ抵抗器のズレ量を算出し、このズレ量とそれに対応するチップ抵抗器の個数との関係を表わしている。
本願発明品としては、本実施形態のチップ抵抗器Aと同一構造を有するものであって、本願発明者が上述した製造方法によって製造したものを用いた。この本願発明品は、目標抵抗値が3mΩであり、抵抗値を調整するためのトリミングは施されていない。これに対し、従来技術品としては、図14を参照して説明したのと同一の構造を有する市販のチップ抵抗器を用いた。この従来技術品は、目標抵抗値が2mΩであり、抵抗値調整のためのトリミングが施されたものである。
図7(a),(b)のデータを比較すると、本願発明品と従来技術品とは、抵抗値のバラツキの程度が略同等となっている。したがって、このデータからしても、本願発明によれば、抵抗値の誤差を少なくし、製造後のトリミングを不要にし得ることが理解できるであろう。
また、本実施形態のチップ抵抗器Aの製造に際しては、従来技術とは異なり、金属板の一部に切削加工を施すことによって一対の電極を形成するといった必要はないため、製造作業の効率も良い。したがって、チップ抵抗器Aのコストをより低減することができる。
図8〜図13は、本願発明の参考例および他の実施形態を示している。これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図8は、プレート1Aを複数に分割する場合の参考例を示しており、このプレート1Aを同図の仮想線で示す複数ずつの縦横の切断線L1,L2に沿って切断する工程を示している。この場合の具体的な切断方法としては、たとえばプレート1Aをシャー(せん断機)を用いて切断する方法を適用可能である。このように、上記切断線L1,L2に沿って切断する方法を用いれば、図6に示した間隔s2を設ける必要がなくなるため、チップ抵抗器Aを効率良く複数個取りするのにより好適となる。プレート1Aの切断手段としては、ロータリ式カッターを用いた切断方法やその他の種々の方法を適用することが可能であるが、作業の容易化ならびに抵抗体1の寸法精度を高める観点からすれば、図6に示した場合のようにプレート1Aを打ち抜くことによってチップ化を図る手法が好ましい。
図9(a),(b)に示すチップ抵抗器Aaは、抵抗体1の裏面に3つの絶縁層4a〜4cが間隔を隔てて設けられた構成を有している。絶縁層4a,4b間と絶縁層4b,4c間には、一対の電極3とハンダ層39とが設けられている。このチップ抵抗器Aaを製造する場合には、同図(c)に示すように、プレート1Aの片面上に絶縁層4a〜4cの原型となる複数の絶縁層4Aをストライプ状に並べるように形成した後に、それらの間の領域に導電層3Aおよびハンダ層39Aを形成する。次いで、同図仮想線で示す位置でそれらを切断し、チップ化を図る。もちろん、切断に代えて、打ち抜きによるチップ化を行なってもよい。この点については、後述の他の実施形態においても同様である。
このチップ抵抗器Aaは、先に説明したチップ抵抗器Aと比べて、一対の電極3の配置、サイズ、および絶縁層の数などの点で相違しているが、一対の電極3の間隔を絶縁層4aによって正確に規定することが可能である。したがって、このチップ抵抗器Aaにおいても、チップ抵抗器Aについて述べたのと同様な利点が得られる。
図10(a),(b)に示すチップ抵抗器Abは、絶縁層4が略十字状に形成されていることにより、抵抗体1の裏面には4つの電極3および4つのハンダ層39が設けられている。このチップ抵抗器Abを製造するには、プレート1Aの片面に形成する絶縁層4Aを、たとえば同図(c)に示すような形状とし、同図の仮想線で示す箇所においてプレート1Aを切断すればよい。
このチップ抵抗器Abにおいては、4つの電極3を有しているために、たとえば次のような使用が可能となる。すなわち、4つの電極3のうち、2つの電極3を一対の電流用電極として用いるとともに、残りの2つの電極3を一対の電圧用電極として用いる。電気回路の電流検出を行なう場合、一対の電流用電極3については上記電気回路の電流が流れるように上記電気回路との電気接続を図る。一対の電圧用電極3には電圧計を接続する。チップ抵抗器Aの抵抗値は既知であるため、このチップ抵抗器Aの抵抗体1における電圧降下を上記電圧計を利用して測定すると、この測定値をオームの式にあてはめることにより、抵抗体1に流れる電流の値を正確に知ることが可能となる。また、上記した4つの電極3の配置は対称であるから、チップ抵抗器Abを上下反転させて実装しても不具合を生じないようにすることができる。
上記実施形態のように、本願発明においては、二対(4つ)の電極3を設けた構成とすることもできる。もちろん、二対以上の対をなすようにそれ以上の数の電極3を設けた構成としてもかまわない。電極の総数を多くした場合、たとえばそれらのうちの一部の電極のみを使用するといった使用法も可能である。
図11〜図13に示すチップ抵抗器Ac〜Aeは、4つの電極を設ける場合の他の例を示している。これらの図においては、ハンダ層を省略している。これらのチップ抵抗器Ac〜Aeは、いずれも2つの電極3aどうし、および2つの電極3bどうしがそれぞれ対をなしており、かつ電極3aと電極3bとは、互いに形状、サイズ、およびそれらの電極間寸法s3,s4が相違したものとなっている。これらのチップ抵抗器Ac〜Aeを製造するには、プレート1A上に形成する絶縁層4Aを、たとえば図11(c),図12(c)および図13(c)に示したような形状とし、かつこれらの図の仮想線で示す箇所においてプレート1Aを切断すればよい。これらのチップ抵抗器Ac〜Aeから理解されるように、本願発明においては複数の電極の形状やサイズなどを不揃いにしてもかまわず、複数の電極のそれぞれの具体的な形状、サイズ、および配置などは種々に変更することができる。
本願発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本願発明に係るチップ抵抗器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
抵抗体の片面に絶縁層を形成する手段としては、転写などの手段を採用することもできる。導電層については、メッキ処理によって形成することが簡易であるが、やはり本願発明はこれに限定されず、他の方法を用いてもかまわない。本願発明に係るチップ抵抗器は、低抵抗のものとして製造するのに好適であるが、その抵抗値の具体的な値も限定されるものではない。
本願発明に係るチップ抵抗器の一例を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図2の要部拡大断面図である。 (a)〜(c)は、図1に示すチップ抵抗器の製造工程の一部を示す斜視図である。 (d),(e)は、図1に示すチップ抵抗器の製造工程の一部を示す斜視図である。 図1に示すチップ抵抗器の製造工程の一部を示す要部平面図である。 (a),(b)は、本願発明品と従来技術品との抵抗値の誤差に関するデータの比較例を示す図である。 本願発明に係るチップ抵抗器の製造方法の参考例を示す概略平面図である。 (a)は、本願発明に係るチップ抵抗器の他の例を示す断面図であり、(b)は、(a)の底面図であり、(c)は、(a)に示すチップ抵抗器を製造する際の工程例を示す要部平面図である。 (a)は、本願発明に係るチップ抵抗器の他の例を示す正面図であり、(b)は、(a)の底面図であり、(c)は、(a)に示すチップ抵抗器を製造する際の工程例を示す要部平面図である。 (a)は、本願発明に係るチップ抵抗器の他の例を示す正面図であり、(b)は、(a)の底面図であり、(c)は、(a)に示すチップ抵抗器を製造する際の工程例を示す要部平面図である。 (a)は、本願発明に係るチップ抵抗器の他の例を示す正面図であり、(b)は、(a)の底面図であり、(c)は、(a)に示すチップ抵抗器を製造する際の工程例を示す要部平面図である。 (a)は、本願発明に係るチップ抵抗器の他の例を示す正面図であり、(b)は、(a)の底面図であり、(c)は、(a)に示すチップ抵抗器を製造する際の工程例を示す要部平面図である。 従来のチップ抵抗器の一例を示す斜視図である。 (a)〜(e)は、従来のチップ抵抗器の製造方法の一例を示す説明図である。
符号の説明
A チップ抵抗器
1 抵抗体
1A プレート
2,2A オーバコート層
3 電極
3A 導電層
4,4A 絶縁層
10a,10b 面(プレートの)
39 ハンダ層

Claims (7)

  1. チップ状の金属製抵抗体と、この抵抗体の片面に設けられた複数の電極と、上記複数の電極に積層して形成されたハンダ層と、を備えているチップ抵抗器であって、
    上記抵抗体の上記片面には、上記抵抗体の電極間抵抗値を決定するための絶縁層が設けられているとともに、上記複数の電極は、上記絶縁層を挟んで離間しており、かつ、上記複数の電極のそれぞれの一部および上記複数の電極に積層された上記ハンダ層のそれぞれの一部は、上記絶縁層の縁部に対し、この縁部に直接接触するようにオーバラップしていることを特徴とする、チップ抵抗器。
  2. 上記絶縁層は、厚膜印刷により形成されたものである、請求項1に記載のチップ抵抗器。
  3. 上記抵抗体の上記片面とは反対の面には、電気絶縁性を有するオーバコート層が設けられている、請求項1または2に記載のチップ抵抗器。
  4. 上記オーバコート層と上記絶縁層とは、同一の材質とされている、請求項3に記載のチップ抵抗器。
  5. 上記各電極の厚みは、上記絶縁層の厚みよりも大きくされている、請求項1ないし4のいずれかに記載のチップ抵抗器。
  6. 上記ハンダ層と上記各電極とのトータルの厚みは、上記絶縁層の厚みよりも大きくされている、請求項1ないし5のいずれかに記載のチップ抵抗器。
  7. 上記複数の電極としては、二対以上の電極が設けられている、請求項1ないし6のいずれかに記載のチップ抵抗器。
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