JP4459775B2 - シート状パック材 - Google Patents
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Description
また、本発明は、複数枚のセルロース系繊維及び合成繊維からなる不織布を非圧縮状態で部分溶着で接合することにより、柔軟性、フィット性に優れ、多量の液状化粧料の含浸保持性に優れたシート状パック材に関する。なお、「部分溶着」とは、接合部が、シート面全体にわたって、パターン状に分散している状態を意味する。
従来のパック材は、パック剤を単独で塗布した後に拭き取ったり、洗い流したりするタイプ、パック剤自体の塗布後に形成した皮膜を皮膚から剥離する、いわゆるピールオフタイプが使用されているが、いずれも皮膚に塗布する作業が煩雑であった。その後、パック剤を含むゲル層をシート基材に設けたゲルシートタイプのパック材やシート状基材にパック剤を含浸させた含浸タイプのパック材が開発され、その簡便さから商品需要が拡大している。
さらに、含浸保持量向上のために、比較的厚地の不織布やメッシュ状の不織布を用いる方法があるが、前者の方法では剛軟性が高くなるので、使用感が悪く、また使用時に液垂れが起こることがあった。
また、不織布等のシート基材表面にエンボス加工によって凹部を多数形成させて含浸保持量を高める技術(特許文献2)や二枚以上の不織布等をエンボス加工等により溶着し、接合することによって十分な液保持性を得る技術(特許文献3)が提案されたが、溶着加工時に不織布の圧縮された凹部の域は硬くなるために、シートの剛軟度が高まり、パック材として使用したときのソフト感やフィット感が損なわれ、保液性もよくなかった。
すなわち、本発明は以下の構成に特徴がある。
(1)セルロース系繊維及び合成繊維からなる2枚以上の不織布の積層物を非圧縮状態で部分溶着されてなる接合部を有するシート状パック基材に液状化粧料が含浸されていることを特徴とする含浸タイプのシート状パック材。
(2)前記接合部は、高周波又は超音波により部分溶着されてなるものであることを特徴とする上記(1)に記載のシート状パック材。
なお、本発明でいう「接合」とは、重ね合わせた不織布同士の接触面全体を接着することによるものではなく、重ね合わせた不織布同士の間を熱溶着により、0.05〜20mm2、好ましくは0.1〜10 mm2、さらに好ましくは0.5〜5 mm2の面積の接合部をもって熱溶着により接着することをいう。
また、超音波又は高周波を利用した不織布の熱溶融接着によるものであるので、不織布の柔らかな風合いを壊すことなく、ソフト感及びフィット感の良好なシート状パック材が得られる。さらに、得られたシート状パック材は、積層構造により適度の「コシ」を有しているため製品における折りたたみ状態からの展開が容易であり、保液性に優れるため使用中に液垂れを起こすことがないので髪や洋服を濡らすことがなく、ハンドリング性も向上する。
しかもシート基材に用いる不織布を非圧縮状態で複数枚接合したことにより、従来のエンボス加工によるもののように圧縮状態の硬くなった凹部も形成されないので、エンボス加工のものに比して含浸量も増量できる。例えば、本発明で得られたシート状パック材は、乾燥重量の10倍以上の含浸液を保持することができるので、使用時にも十分量の美容液等を含浸保持し、皮膚に対して有効成分を長時間にわたって供給し続けることができる。
本発明のシート状パック材を図面で説明すると、図1、図2は本発明のシート状パック材の平面図、図3は、セルロース系繊維及び合成繊維からなる2枚以上の不織布の積層物を高周波又は超音波により部分溶着したときの断面図、図4は、従来例でシート状パック基材をエンボス加工の溶着部の断面図を示す。
他方、従来のシート状パック材の接合状態の断面は、シート状パック基材4をエンボスによって接合するから、図4に示すように圧縮されて接合部5を形成することとなる。この部分は、不織布が圧縮状態で接合されるので、硬くなっており、この状態で液状化粧料を含浸させて使用しても、ごわごわしてソフト感がないし、液状化粧料の含浸量も少ない。
セルロース系繊維としては、一般的に親水性であり、吸水性を有するため化粧液を含有させておくために必要であり、PET、PE又はPP等の合成繊維はその熱溶融性により、熱接着機能を付与するために必要である。
これは、セルロース系繊維だけでは、湿潤時の機械的強度に劣るので、合成繊維を配合することによって補強し、耐変形性を向上させる効果がある。
セルロース系繊維と合成繊維の配合量は、含水保持力及び加熱接着力のバランスを考慮して配合する必要があり、セルロース系繊維と合成繊維との重量比率は、セルロース系繊維/合成繊維=10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20である。親水性セルロース繊維が10wt%未満であると含水保持力が十分ではなく、また90wt%を超えると、十分に加熱溶着せず、シート基材間の接合力が弱くなり、シートの形状を保つことができなくなるからである。
不織布の目付けは、10〜100g/m2、好ましくは15〜80g/m2、さらに好ましくは20〜50g/m2である。10 g/m2未満では、含液量の不足と保形が困難となることより実用的ではなく、100g/m2を超えると硬くなりすぎるために柔軟性及び、フィット感が悪くなるからである。不織布の密度は0.05〜0.5g/cm3、好ましくは0.07〜0.4g/cm3、さらに好ましくは0.1〜0.3g/cm3である。
また、このような不織布の製法としては、例えば、インターレース、スパンボンド、スパンレース又は、ニードルパンチなどのものが挙げられるが、特にスパンレース品が好ましい。
また、接合部は0.5〜100個/cm2、好ましくは1〜50個/cm2、さらに好ましくは2〜20個/cm2の密度でシート面全体に分散している。接合部が、シート面全体にわたって、パターン状に分散した部分溶着となっている。このパターンは、並列、千鳥型、菱形格子等、どのような配列でもよい。接合部を一箇所に集中させず、分散させることとしたのは、シート状パック材において不織布の風合い及び形状を維持するためである。例えば、アウトラインに沿って接合部を集中させた場合、アウトラインの部分は硬くなりすぎ、またそれ以外の部分はよれてしまうことにより変形しやすくなる等の不具合が生じる。接合部の総面積は、0.05〜20mm2が好ましい。0.05mm2未満であると接着力不足により基材が破壊されやすくなり、20mm2を超えると、柔らかな風合いや嵩高性を維持することができなくなる。
さらに、全ての接合部の全体に占める面積比率は、1〜40%である。1%未満であると、接合が維持できずシート基材が破壊されやすくなり、40%を超えると、使用感が悪くなるだけでなく、含水保持力も低下することになるからである。
特に加圧を伴うエンボス加工では、接合部の繊維が内部までフィルム様の状態となるので、柔軟性が損なわれるだけでなく、含浸保持量も低下する。
上記基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、2.5mN・cmであり、非常にソフトであった。
さらに得られた基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、左右両側に摘み部を有するフェイスマスクを作製した。該フェイスマスクを六つ折に折りたたみ、ビーカー中で蒸留水に1分間浸漬し、引き上げた後、1分間空中で放置したものについての乾燥重量に対する吸水率を飽和含水率として、測定したところ1092重量%であり、吸水率のこのような数値は従来のパック材では到底得られない高いものであった。
化粧料を含浸させた上記フェイスマスクについて、女性被験者10名を対象に使用時の装用感、特に、顔面の凹凸に対するフィット感について5段階(5点:非常に良い、4点:良い、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い)の実用評価試験を行った。
評価試験結果は、平均値4.4点であった。また、適度の「コシ」を有しているので、使用時における折りたたみ状態からの展開が容易であり、シート間の接着が強固であるため、展開などの取扱い時に層間剥離を起こさなかった。
さらに、十分な量の化粧料を含浸保持することができるので、フェイスマスク使用時において液垂れを起こすことなく、皮膚に対して有効成分を長時間にわたって供給し続けることができた。
ヒートシール接合部の列パターンは並列パターンが、左右から120度の角度で交差したものであり、接合部の個々の形状は長方形である。
また接合部の密度は、3個/cm2、一個あたりの面積は2mm2、全ての接合部の全体に占める面積比率は6.5%である。
該基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、4.2mN・cmであり、非常にソフトであった。
上記基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、ネックケア用シートを作製した。該ネックケア用シートを四つ折に折りたたみ、ビーカー中で蒸留水に1分間浸漬し、引き上げた後一分間空中で放置したものについての乾燥重量に対する吸水率を飽和含水率として、測定したところ1452重量%であった。これは、従来になく高い値である。
次に、化粧料を含浸させたネックケア用シートについて実際に使用してみたところ適度の「コシ」を有しているため使用時における折りたたみ状態からの展開が容易であり、シート間の接着が強固であるため、展開などの取扱い時に層間剥離を起こさなかった。
またソフトなシートであるので、装用感も良好であった。さらに十分な量の化粧料を含浸保持することができるので、使用時において液垂れを起こすことなく、皮膚に対して有効成分を長時間にわたって供給し続けることができた。
上記基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、2.7mN・cmであり、非常にソフトであった。
上記基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、左右両側に摘み部を有するフェイスマスクを作製した。実施例1記載の方法により該フェイスマスクの飽和含水率を測定したところ1293重量%であった。これは、従来になく高い値である。
化粧料を含浸させたフェイスマスクについて、女性被験者10名を対象に使用時の装用感、特に、顔面の凹凸に対するフィット感について5段階(5点:非常に良い、4点:良い、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い)の実用評価試験を行ったところ、評価結果は4.1点(平均値)であった。また、適度の「コシ」を有しているため使用時における折りたたみ状態からの展開が容易であり、シート間の接着が強固であるため、展開などの取扱い時に層間剥離を起こさなかった。さらに、十分な量の化粧料を含浸保持することができるので、フェイスマスク使用時において液垂れを起こすことなく、皮膚に対して有効成分を長時間にわたって供給し続けることができた。
上記基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、3.8mN・cmであり、非常にソフトであった。
上記基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、レッグケア用シートを作製した。該レッグケア用シートを八つ折に折りたたみ、ビーカー中で蒸留水に1分間浸漬し、引き上げた後一分間空中で放置したものについての乾燥重量に対する吸水率を飽和含水率として、測定したところ1308重量%であった。これは、従来になく高い値である。
次に、化粧料を含浸させたレッグケア用シートについて実際に使用してみたところ適度の「コシ」を有しているため使用時における折りたたみ状態からの展開が容易であり、シート間の接着が強固であるため、展開などの取扱い時に層間剥離を起こさなかった。
またソフトなシートであるので、装用感も良好であった。さらに十分な量の化粧料を含浸保持することができるので、使用時において液垂れを起こすことなく、皮膚に対して有効成分を長時間にわたって供給し続けることができた。
セルロース系繊維としてコットン70重量%、合成繊維としてPET繊維30重量%からなるスパンレース不織布(目付40g/m2)であるシート状パック材用基材シートを製造した。該基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、1.4mN・cmであった。
上記基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、左右両側に摘み部を有するフェイスマスクを作製した。実施例1記載の方法により該フェイスマスクの飽和含水率を測定したところ693重量%であった。
化粧料を含浸させたフェイスマスクについて、女性被験者10名を対象に使用時の装用感、特に、顔面の凹凸に対するフィット感について5段階(5点:非常に良い、4点:良い、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い)の実用評価試験を行ったところ、評価結果は4.5点(平均値)であった。しかし「コシ」がないため折りたたみ状態からの展開が困難であった。
以上の結果から比較例1の製品は、柔軟性及びフィット性については良好であるが、含浸性が不十分であることから十分な量の美容液等を皮膚に対して供給することが困難であった。また、使用時の取扱い性が悪いという欠点を有していた。
セルロース系繊維としてレーヨン20重量%、合成繊維としてPET繊維80重量%からなるスパンレース不織布(目付40g/m2)であるシート基材2枚を重ね合わせエンボス機による熱接着を施して、二層のシート状パック材用基材シートを製造した。エンボス加工により形成された熱接着点の凹部は深さ0.15mm、開口形状は1mmの円形であり、密度8個/cm2で分布している。
上記基材シートをJIS L1913(1998制定)に定められた方法により、湿潤状態とし、カンチレバー法により湿潤時の曲げ硬さ(試料サイズ2.5cm×25cm)を測定したところ、6.7mN・cmであった。さらに、上記基材シートをトムソン刃によって打ち抜き加工を行い、左右両側に摘み部を有するフェイスマスクを作製した。実施例1記載の方法により該フェイスマスクの飽和含水率を測定したところ328重量%であった。
上記化粧料を含浸させたフェイスマスクについて、女性被験者10名を対象に使用時の装用感、特に、顔面の凹凸に対するフィット感について5段階(5点:非常に良い、4点:良い、3点:普通、2点:悪い、1点:非常に悪い)の実用評価試験を行ったところ、評価結果は1.8点(平均値)であった。
以上の結果から比較例2の製品は、シートが硬いことから柔軟性、フィット性が悪く、また含浸性も十分ではないことから美容液等を皮膚に対して十分供給することが困難である。
2 摘み部
3 超音波又は高周波による非圧縮接合部
4 シート状基材
5 従来の圧縮接合部
6 切り込み
Claims (2)
- セルロース系繊維及び合成繊維からなる不織布を2枚以上積層してなる積層物が非圧縮状態で部分溶着されてなる接合部を有するシート状パック基材に液体化粧料が含浸されていることを特徴とするシート状パック材。
- 前記接合部は、高周波又は超音波により部分溶着されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載のシート状パック材。
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