JP4459121B2 - 積層材料の解析方法、積層材料の変位特性算出方法 - Google Patents

積層材料の解析方法、積層材料の変位特性算出方法 Download PDF

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本発明は、付加応力に対する変位の比率である変位特性が応力に応じて変化する積層材料からなる解析対象物に曲げ応力を付加した際の変形を、コンピュータを用いて表現された解析対象物のメッシュデータに基づいて求める積層材料の解析方法、および、当該解析で用いられる積層材料の変位特性の算出方法に関する。
従来から、対象物をコンピュータを用いて仮想的に表現し、この仮想対象物に対して、仮想的に負荷を加え、その変形量等を取得するCAE技術が広く知られている。かかるCAEを用いることで、実際に対象物を製造する前段階、すなわち、設計段階で当該対象物の強度等を知ることができる。その結果、製造コストや製造にかかる時間等を低減できる。
このようなCAEで対象物の解析を行う場合には、予め、当該対象物の特性値を設定しておく必要がある。例えば、対象物の曲げ解析を行う場合には、予め、付加応力に対する変位量の比率である変位特性を設定しておく必要がある。この変位特性は、通常、金属、樹脂等の均一な材料で単層の場合は一定である。しかし、複数の材料が積層された樹脂構造体の場合は一定ではなく、変形の仕方や、変位量によって異なってくる。例えば、変形の仕方が引っ張り、圧縮、曲げのいずれの変形をするかによって、適用される変位特性も、引っ張り弾性率、圧縮弾性率、曲げ弾性率と異なってくる場合がある。そこで、従来から、対象物の変位量解析において、適切な変位特性が適用されるべく種々の技術が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、対象物の変形の仕方を判定し、その変形の仕方に応じて、引張弾性率、圧縮弾性率、曲げ弾性率を適宜、設定する技術が開示されている。かかる技術によれば、変形の仕方が異なっても、適切な変位特性が適用されるため、より高精度での解析が可能となる。
特許第2940470号公報
ところで、解析対象物の中には、積層材料からなるものもある。積層材料は、複数種類の材料が積層されたものであるため、その変位特性も複雑であることが多い。具体的には、変形の仕方が同じ曲げであっても、その変位量によって変位特性が変化することがある。すなわち、曲げ量が小さい場合と、曲げ量が大きい場合では、変位特性が異なってくるのである。かかる積層材料からなる対象物を解析する場合は、特許文献1の技術だけでは、高精度での解析はできない。
そこで、本発明では、積層材料からなる対象物の曲げについて高精度で解析でき得る積層材料の解析方法を提供することを目的とする。
本発明の積層材料の解析方法は、付加応力に対する変位の比率である変位特性が応力に応じて変化する積層材料からなる解析対象物に曲げ応力を付加した際の変形を求める積層材料の解析方法であって、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め、当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の曲げ試験結果データを読み出し、当該曲げ試験データのうち曲げ初期段階のデータに基づいて第一変位特性を算出する第一変位特性算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、CAE装置として機能するコンピュータに、積層材料のメッシュデータと算出された第一変位特性とに基づく積層材料の仮想的曲げ試験を指示するとともに、当該仮想的曲げ試験での結果を仮試験結果データとして取得する仮試験ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、曲げ試験結果データと、仮試験結果データと、の比較に基づき、当該積層材料が第一変位特性で変位する範囲である第一範囲を算出する第一範囲算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、ユーザから指定された解析したい応力範囲が、算出された第一範囲内に収まるか否かを判断する範囲判断ステップと、解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まらない場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の引張試験結果データを読み出し、当該引っ張り試験結果データのうち、応力が前記第一範囲の最大値以上となる範囲のデータを第一変位特性に応じて補正して第二変位特性を算出する第二変位特性算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、第一範囲では第一変位特性を、第一範囲外では第二変位特性を備えた解析用変位特性を算出する解析用変位特性算出ステップと、CAE装置として機能するコンピュータが、算出された解析用変位特性と、解析対象物のメッシュデータと、に基づいて、解析対象物に曲げ応力を付加した場合の変形を算出する解析ステップと、を有することを特徴とする。
好適な態様では、解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まる場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、第二変位特性を算出することなく、第一変位特性を解析用変位特性として算出する。他の好適な態様では、第一範囲算出ステップにおいて特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、仮試験結果データと曲げ試験結果データとの誤差を算出するステップと、算出された誤差が所定値未満か否かを判断するステップと、を実行し、誤差が所定値未満の範囲を第一範囲として算出する。
他の好適な態様では、第一変位特性算出ステップにおいて、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、曲げ試験結果データのうち、応力と変位とに正比例関係が成立している範囲のデータを曲げ初期段階のデータとして抽出する
他の本発明である積層材料の変位特性算出方法は、付加応力に対する変位の比率である変位特性が応力に応じて変化する積層材料の変位特性の算出方法であって、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め、当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の曲げ試験結果データを読み出し、当該曲げ試験データのうち曲げ初期段階のデータに基づいて第一変位特性を算出する第一変位特性算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、CAE装置として機能するコンピュータに、積層材料のメッシュデータと算出された第一変位特性とに基づく積層材料の仮想的曲げ試験を指示するとともに、当該仮想的曲げ試験での結果を仮試験結果データとして取得する仮試験ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、曲げ試験結果データと、仮試験結果データと、の比較に基づき、当該積層材料が第一変位特性で変位する範囲である第一範囲を算出する第一範囲算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、ユーザから指定された解析したい応力範囲が、算出された第一範囲内に収まるか否かを判断する範囲判断ステップと、解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まらない場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の引張試験結果データを読み出し、当該引っ張り試験結果データのうち、応力が前記第一範囲の最大値以上となる範囲のデータを第一変位特性に応じて補正して第二変位特性を算出する第二変位特性算出ステップと、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、第一範囲では第一変位特性を、第一範囲外では第二変位特性を備えた解析用変位特性を算出する解析用変位特性算出ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、変形初期の変位特性を曲げ試験結果データに基づいて、変形中期以降の変位特性を引張試験結果データに基づいて算出し、組み合わせているため、より高精度での曲げ解析が可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である解析システム10の構成を示す概略ブロック図である。この解析システム10は、特に積層材料の曲げ解析に好適なシステムであり、CAD装置12、CAE装置14、および、特性算出装置16を備えている。ただし、当然のことながら、適宜、パラメータや構成を変更することにより、積層材料以外からなる対象物の解析や、曲げ以外の変形解析、例えば、圧縮や、引張、熱変形解析なども行うことができる。また、図1においては、CAD装置12、CAE装置14、および、特性算出装置16をそれぞれ、別個の装置として図示しているが、これら全て、または、一部が同一コンピュータ上で実現されてもよい。
この解析システム10において、CAD装置12、CAE装置14、および、特性算出装置16は、互いにネットワークで接続されており、適宜、データの遣り取りが可能となっている。ここで、周知の通り、CAD装置12は、各種形状のモデルデータ38を作成する装置である。また、CAE装置14は、CAD装置12から出力された解析対象物のモデルデータ38をメッシュデータに変換し、このメッシュデータと予め設定された物理的な特性値とに基づいて、解析対象物の変形等を論理的に解析する装置である。メッシュデータとは、解析対象の形状をメッシュ状に分割したデータであり、各種形状を多数の単純な形状の集合として表したデータである。このメッシュデータは、二次元状のメッシュ形状を用いたシェルメッシュデータと、三次元状のメッシュ形状を用いたソリッドメッシュデータと、に大別される。本実施形態では、計算資源(メモリや計算時間、CPU処理能力など)の節約のために、二次元状のシェルメッシュデータを用いて解析を行う。もちろん、計算資源や利用するCAE装置の能力、目標形状などに応じてソリッドメッシュを用いてもよい。
CAE装置14は、CAD装置12から出力された解析対象物の形状データをメッシュデータに変換すれば、予め設定された条件に基づき、仮想実験を行い、その結果を解析結果として出力する。具体的には、操作者は、予め、CAE装置14に解析対象物の物理的特性値および仮想実験の実験条件を入力する。物理的特性値としては、弾性率(ヤング率)や、塑性変形率、熱膨張率など、各材料固有の特性値が該当する。実験条件とは、付加される応力や熱の値や分布、付加時間など、解析対象物に与えられる負荷条件が該当する。また、シェルメッシュデータを用いる場合には、解析対象物の肉厚なども実験条件の一つとして入力される。CAE装置14は、この物理的特性値および実験条件を記憶しておく。そして、解析対象物に当該実験条件に相当する負荷を加えた場合の解析対象物の変形状態を、メッシュデータおよび物理的特性値に基づいて論理的に算出する。例えば、解析対象物の曲げ解析を行う場合には、当該解析対象物の材料の弾性変形率(ヤング率)等が明らかであれば、解析対象物の曲げ変形量は、物理式(例えば、R=EI/M、R:曲率半径、E:ヤング率、I:断面モーメント、M:曲げモーメント)に従って算出することができる。CAE装置14は、この物理式に基づく計算を各メッシュごとに行い、その結果を解析結果として出力する。
ここで、既述したように、CAE装置14は、操作者から入力された物理特性値に基づいて解析を行うため、正確な物理特性値が入力されなければ、正確な解析はできない。したがって、操作者は、予め、解析対象物の材料について材料試験を行い、正確な物理特性値を取得しておく必要がある。通常、曲げ解析の場合には、解析対象物と同一材料からなるテストピースを用いて引張試験を行い、その試験結果に基づいて変位特性(ヤング率や塑性変形率など)を取得する。引張試験により変位特性を取得するのは、通常の材料、すなわち、等方性の単一材料の場合は、引張試験で得られたヤング率を、そのまま、曲げ弾性率として利用できるからである。また、引張試験によれば、材料の塑性領域における変位特性も取得することができる。
しかし、本実施形態のような積層材料、すなわち、異方性の複合材料の場合は、引張応力に対する変位特性と、曲げ応力に対する変位特性が異なってくる。特に、変形の初期段階において、この二つの変位特性は大きく異なっている。したがって、引張試験結果データから算出された変位特性をそのまま曲げ解析に用いることはできない。そのため、積層材料を曲げ解析する場合は、曲げ試験結果データから変位特性を算出する必要がある。しかし、曲げ試験では、曲げ弾性率しか取得することができないという問題がある。すなわち、曲げ試験では、ひずみが応力に正比例している変形初期段階のデータに基づいて曲げ弾性率を算出することはできるが、それ以降、すなわち、ひずみが応力に正比例しない領域のデータから何らかの変位特性を算出することは困難であった。
ここで、記述した通り、積層材料の場合、曲げ変位特性と引張変位特性とは互いに異なる値を示す。しかし、この両者の相違は、変形の初期段階に顕著に見られるもので、変形の中期以降では、両変位特性は、比較的、類似してくる。変形の中期以降で両変位特性が類似する正確な理由は不明であるが、曲げによって曲率半径が小さくなるにつれて、積層材料に面方向の力、すなわち、引張応力も付加されてくるのではないかと推測できる。また、変形の中期以降で、積層材料を構成する複数の材料のうちの一部は弾性変形から塑性変形へと遷移し、塑性領域においては曲げと引っ張りに差が出てこなくなることも推測できる。
本実施形態では、この変形中期以降での曲げ変位特性と引張変位特性の類似性に着目し、曲げ変位特性と引張変位特性を組み合わせることにより、曲げ解析用の変位特性を算出している。この解析用の変位特性の算出のために、本実施形態では、特性算出装置16を設け、積層材料の曲げ解析に好適な特性値の算出を行っている。この特性算出装置16について詳説する。
特性算出装置は、入出力部18、通信部19、記憶部20、および、算出部22からなる。入出力部18は、各種データの入力や算出結果の出力などを行うユーザインターフェースとして機能する。具体的には、キーボードやマウスなどの入力手段、および、モニタやプリンタなどの出力手段を備えている。操作者は、この入出力部18を介して、後述する引張試験結果データ34や曲げ試験結果データ32などの各種データを特性算出装置16に入力する。入力された各種データは、記憶部20に記憶される。通信部19は、ネットワークを介して接続された他の機器との情報の遣り取りを行う。CAE装置14との情報の遣り取りもこの通信部19を介して行われる。記憶部20は、具体的には、ハードディスクなどの記憶手段であり、この記憶部に各種データが記憶される。
算出部22は、積層材料の曲げ解析に用いる解析用変位特性を算出する。この解析用変位特性を算出するために、算出部22は、第一変位特性算出部24、範囲算出部26、第二変位特性算出部28、および、解析用変位特性算出部30を備えている。第一変位特性算出部24は、曲げ試験結果データに基づいて第一変位特性を算出する。後述するように、この第一変位特性は、適用範囲が限定される。この第一変位特性の適用範囲を算出するのが範囲算出部26である。範囲算出部26は、曲げ試験結果データ32および第一変位特性のみでの曲げ解析結果データ(仮試験結果データ36)を比較し、第一変位特性の適用範囲である第一範囲を算出する。第一範囲が算出されれば、第二変位特性算出部28により、第二変位特性が算出される。第二変位特性は、引張試験結果データ34に基づいて算出される。解析用変位特性算出部30は、算出された第一変位特性および第二変位特性を結合し、CAE装置14による曲げ解析に用いられる解析用変位特性を算出する。算出された解析用変位特性はCAE装置14に出力される。なお、この算出部22は、機能的には、図1に示すように複数の算出部に分離されているが、物理的には、CPU、および、メモリなどから構成されている。
次に、この特性算出装置16による曲げ解析用変位特性の算出について詳説する。図2は、解析用変位特性の算出の流れを示すフローチャートである。曲げ解析用変位特性を算出する場合は、予め、積層材料からなるテストピースを用いて実際に曲げ試験を行っておく。曲げ試験の条件は、JIS等で規格化されており、本実施形態でもJIS等の規格に準じた条件で曲げ試験を行っている。図3は、曲げ試験の結果の一例を示す図である。図3において、横軸はテストピースのひずみεを、縦軸はテストピースに付加した応力σを示している。図3から明らかなように、積層材料の場合、応力σが小さい初期段階(図3における0〜ε1までの範囲)では、ひずみεは応力に正比例して増加する。換言すれば、初期段階では、応力−ひずみ曲線は、直線となっている。一方、応力σが一定以上増加すると、ひずみεは応力σに正比例せず、応力−ひずみ曲線は曲線状に増加する。以下では、このひずみεが応力σに正比例している範囲を単純弾性領域と呼び、それ以降の領域を特殊変形領域と呼ぶ。この曲げ試験結果データ32は、入出力部18を介して特性算出装置16に入力され、記憶部20に記憶される。
第一変位特性算出部24は、記憶部20に記憶された曲げ試験結果データ32を読み出し、この曲げ試験結果データ32のうち、初期段階、すなわち、ひずみと応力とが正比例関係にある範囲(単純弾性領域)のデータを用いて、曲げ弾性率Eを求める(S10)。図3の例では、応力σ1(ひずみがε1)までが単純弾性領域であるため、この曲げ弾性率Eは、E=σ1/ε1で算出される。算出された曲げ弾性率Eは、第一変位特性として記憶部20に一時的に記憶される。なお、単純弾性領域の境界値σ1の値は、比較的小さい値を予め設定しておくようにしてもよいし、あるいは、曲げ試験結果データから自動的に算出するようにしてもよい。境界値σ1を自動的に算出する方法としては種々の形態が考えられるが、例えば、所定の基準値未満の誤差で直線近似が可能な範囲を単純弾性領域とする形態などが考えられる。より具体的には、曲げ試験結果データの近似直線を、その応力範囲を徐々に増加させながら作成し、当該近似直線と曲げ試験結果データとの誤差量が所定の基準値未満となる応力範囲を単純弾性領域とする方法などが採用でき得る。
続いて、範囲算出部26は、算出された第一変位特性(曲げ弾性率)の適用範囲である第一範囲を算出する。そのために、範囲算出部26は、まず、CAE装置14に対して、当該第一変位特性に基づく積層材料の曲げ解析の実行を指示する(S12)。曲げ解析実行の指示を受けたCAE装置14は、実際に行われた曲げ試験と同じ条件で仮想的に曲げ試験を行い解析する。すなわち、CAE装置14は、実際の曲げ試験で用いられたテストピースを仮想的に表現したメッシュモデルデータを作成する。また、解析条件となる付加応力の大きさ、および、解析対象物の物理特性値として、実際の曲げ試験と同じ大きさの付加応力、および、算出された第一変位特性がそれぞれ設定される。CAE装置14は、このメッシュモデルデータおよび解析条件に基づき、仮想的に曲げ試験を行い、その際の応力−ひずみデータを仮試験結果データ36として特性算出装置16に出力する。CAE装置14から出力された仮試験結果データ36は、特性算出装置16の記憶部20に記憶される。
仮試験結果データ36が算出されれば、範囲算出部26は、続いて、この仮試験結果データ36と実際の曲げ試験結果データ32とを比較する(S14)。図4は、仮試験結果データ36(一点鎖線)と曲げ試験結果データ32(実線)との比較を示すグラフである。図4から明らかなように、第一変位特性に基づいて仮想的に曲げ解析を行った仮試験結果データ36は、初期段階(図4における応力範囲0〜σ2、ひずみ範囲0〜ε2までの範囲)では、実際の曲げ試験結果データ32と類似している。しかし、応力σ2以降では、徐々に曲げ試験結果データ32に対する応力の誤差が大きくなっていくことが分かる。換言すれば、第一変位特性を用いて曲げ解析を行った場合、初期段階では高精度での解析ができるものの、中期段階以降では解析精度が非常に低下することがわかる。そこで、範囲算出部26は、実際の曲げ試験結果データ32と仮試験結果データ36との応力誤差Nが所定の基準値以下の範囲を第一範囲として算出する(S16)。応力誤差Nは、N=(σCAEx―σBENDx)/σBENDx×100で算出される。ここで、σCAExは仮試験結果データにおいてひずみεx時の応力値であり、σBENDxは曲げ試験結果データ(実データ)においてひずみεx時の応力値を示す。範囲算出部26は、この誤差Nを順次算出し、応力誤差Nが所定の基準値未満である範囲を第一範囲とする。なお、この第一範囲の算出方法は一例であり、仮試験結果データが高精度で実測データ(曲げ試験結果データ)を再現している範囲が求められるのであれば、当然の他の算出方法を用いてもよい。例えば、応力誤差Nではなく、仮試験結果データと曲げ試験結果データとの差分の積和Σ(σCAEx−σBENDx)が一定の基準値未満の範囲を第一範囲として算出してもよい。
続いて、範囲算出部26は、実際に曲げ解析を行いたい応力範囲が、算出された第一範囲内に収まるか否かを判断する(S18)。解析したい応力範囲が第一範囲内である場合、例えば、解析対象物に付加される応力が小さく、第一範囲以内(σ2以下)と予想される場合には、以下で述べる第二変位特性を算出する必要はなく、第一変位特性のみで充分に曲げ解析を行うことができる。したがって、解析したい応力範囲が第一範囲内に収まる場合は、第一変位特性(曲げ弾性率)を解析用変位特性としてCAE装置14に通知し、終了する(S24)。一方、解析したい応力範囲が第一範囲に収まらない場合には、第二変位特性算出部28にその旨と、算出された第一範囲とを通知し、第二変位特性を算出する。
第二変位特性算出部28は、予め記憶部20に記憶された引張試験結果データ34に基づいて第二変位特性を算出する(S20)。引張試験結果データ34は、予め、積層材料からなるテストピースを用いて引張試験を実際に行い、取得される。この引張試験の条件もJIS等で規格化されているため、当該規格に準じた条件で実験される。図5は、引張試験結果データ34の一例を示す図である。図5において、実線は引張試験結果データ34、一点鎖線は第一変位特性(曲げ試験から算出した曲げ弾性率Eから求まる応力−ひずみ曲線)を、破線は補正後の引張試験結果データ(第二変位特性)を示す。
第二変位特性は、引張試験結果データ34のうち、応力が第一変位特性の応力最大値(σ2)以上となる範囲のデータを第一変位特性に応じて補正することにより得られる。本実施形態では、引張試験結果データ34のσ2以降のデータ(図5における太実線部分)を、第一変位特性に接続できるように平行移動して、第二変位特性としている。すなわち、引張試験結果データの傾きは変えることなく、初期位置のみ変化させている。算出された第二変位特性は記憶部20に記憶される。
解析用変位特性算出部30は、算出された第一変位特性および第二変位特性を組み合わせて、解析用変位特性を算出する(S22)。解析用変位特性は、第一範囲(0≦x<σ2)では第一変位特性を、第二範囲(x≦σ2)では第二変位特性となる。算出された解析用変位特性は、CAE装置14に出力される。
CAE装置14は、算出された解析用変位特性に基づいて、解析対象物の曲げ解析を実行する。具体的には、CAD装置12から出力された解析対象物のモデルデータをメッシュデータに変換する。そして、特性算出装置から算出された解析用変位特性、および、予め操作者によって設定された解析条件(付加応力値など)に基づいて、曲げ解析を実行する。
この解析用変位特性に基づく曲げ解析結果の一例を図6に示す。図6において、太実線は実測値、破線は解析用変位特性に基づく曲げ解析結果、一点鎖線は第一変位特性にのみ基づく曲げ解析結果、細実線は引張試験結果データから求まる変位特性(引張ヤング率など)に基づく曲げ解析結果を示す図である。図6から明らかなように、第一変位特性のみで解析した場合、変形初期段階は高精度で実測値を再現しているものの、変形中期以降では実測値と大きな誤差が生じる。また、引張試験結果データから求まる変位特性で曲げ解析を行った場合、変形初期の段階から大きな誤差が生じており、実測値を全く再現できていないことが分かる。一方、特性算出装置で算出された解析用変位特性に基づいて曲げ解析した場合、直線変形している変形初期はもちろんのこと、曲線状に変形している変形中期以降も解析結果が実測値を高精度で再現していることが分かる。つまり、本実施形態で算出された解析用変位特性を用いれば、高精度で積層材料の曲げ解析ができることがわかる。
本発明の実施形態である解析システムの全体構成を示すブロック図である。 解析用変位特性を算出する流れを示すフローチャートである。 積層材料の曲げ試験結果データの一例を示す図である。 曲げ試験結果データと仮試験結果データの一例を示す図である。 引張試験結果データの一例を示す図である。 CAEでの解析結果と実測値との一例を示す図である。
符号の説明
10 解析システム、12 CAD装置、14 CAE装置、16 特性算出装置、20 記憶部、22 算出部、24 第一変位特性算出部、26 範囲算出部、28 第二変位特性算出部、30 解析用変位特性算出部、32 試験結果データ、34 引張試験結果データ、36 仮試験結果データ。

Claims (5)

  1. 付加応力に対する変位の比率である変位特性が応力に応じて変化する積層材料からなる解析対象物に曲げ応力を付加した際の変形を求める積層材料の解析方法であって、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め、当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の曲げ試験結果データを読み出し、当該曲げ試験データのうち曲げ初期段階のデータに基づいて第一変位特性を算出する第一変位特性算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、CAE装置として機能するコンピュータに、積層材料のメッシュデータと算出された第一変位特性とに基づく積層材料の仮想的曲げ試験を指示するとともに、当該仮想的曲げ試験での結果を仮試験結果データとして取得する仮試験ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、曲げ試験結果データと、仮試験結果データと、の比較に基づき、当該積層材料が第一変位特性で変位する範囲である第一範囲を算出する第一範囲算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、ユーザから指定された解析したい応力範囲が、算出された第一範囲内に収まるか否かを判断する範囲判断ステップと、
    解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まらない場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の引張試験結果データを読み出し、当該引っ張り試験結果データのうち、応力が前記第一範囲の最大値以上となる範囲のデータを第一変位特性に応じて補正して第二変位特性を算出する第二変位特性算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、第一範囲では第一変位特性を、第一範囲外では第二変位特性を備えた解析用変位特性を算出する解析用変位特性算出ステップと、
    CAE装置として機能するコンピュータが、算出された解析用変位特性と、解析対象物のメッシュデータと、に基づいて、解析対象物に曲げ応力を付加した場合の変形を算出する解析ステップと、
    を有することを特徴とする積層材料の解析方法。
  2. 請求項1に記載の積層材料の解析方法であって、
    解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まる場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、第二変位特性を算出することなく、第一変位特性を解析用変位特性として算出することを特徴とする積層材料の解析方法。
  3. 請求項1または2に記載の積層材料の解析方法であって、
    第一範囲算出ステップにおいて特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、
    仮試験結果データと曲げ試験結果データとの誤差を算出するステップと、
    算出された誤差が所定値未満か否かを判断するステップと、
    実行し、誤差が所定値未満の範囲を第一範囲として算出することを特徴とする積層材料の解析方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の積層材料の解析方法であって、
    第一変位特性算出ステップにおいて、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUは、曲げ試験結果データのうち、応力と変位とに正比例関係が成立している範囲のデータを曲げ初期段階のデータとして抽出することを特徴とする積層材料の解析方法。
  5. 付加応力に対する変位の比率である変位特性が応力に応じて変化する積層材料の変位特性の算出方法であって、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め、当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の曲げ試験結果データを読み出し、当該曲げ試験データのうち曲げ初期段階のデータに基づいて第一変位特性を算出する第一変位特性算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、CAE装置として機能するコンピュータに、積層材料のメッシュデータと算出された第一変位特性とに基づく積層材料の仮想的曲げ試験を指示するとともに、当該仮想的曲げ試験での結果を仮試験結果データとして取得する仮試験ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、曲げ試験結果データと、仮試験結果データと、の比較に基づき、当該積層材料が第一変位特性で変位する範囲である第一範囲を算出する第一範囲算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、ユーザから指定された解析したい応力範囲が、算出された第一範囲内に収まるか否かを判断する範囲判断ステップと、
    解析したい応力範囲が算出された第一範囲内に収まらない場合、特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、予め当該コンピュータの記憶部に記憶された積層材料の引張試験結果データを読み出し、当該引っ張り試験結果データのうち、応力が前記第一範囲の最大値以上となる範囲のデータを第一変位特性に応じて補正して第二変位特性を算出する第二変位特性算出ステップと、
    特性算出装置として機能するコンピュータのCPUが、第一範囲では第一変位特性を、第一範囲外では第二変位特性を備えた解析用変位特性を算出する解析用変位特性算出ステップと、
    を有することを特徴とする積層材料の変位特性の算出方法。
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