JP4459026B2 - (メタ)アクリル基含有ケイ素化合物、それを用いる感光性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

(メタ)アクリル基含有ケイ素化合物、それを用いる感光性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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本発明は、新規なケイ素化合物、各種電気・電子部品絶縁材料、積層板(プリント配線板)やFRP(繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に用いられ、耐熱性に優れた硬化物を与える感光性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
有機高分子化合物の成型性、無機化合物の耐溶剤性等の両者の長所を組み合わせた新規なハイブリッド材料を開発しようとする試みが行われている。例えば、特許文献1には、テトラアルコキシシラン等の化合物を加水分解重合して得られる無機ケイ素化合物のマトリックス中に、ウレタン結合を有する非反応性ポリマーを均一に分散させた有機・無機ハイブリッド透明均質体が記載されている。
有機・無機ハイブリッド材料は、透明性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性等に優れており、多方面への応用が検討されている。
従来、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化する感光性樹脂組成物の多くは有機化合物からなるものであり、印刷関係、塗料関係、電気絶縁関係等の種々の用途に向けて開発されているが、有機・無機ハイブリッド型のものはほとんど知られていない。
感光性樹脂組成物の産業上の利点は(1)無溶剤で低公害型である、(2)硬化速度が極めて速く製品の生産性が高い、(3)固形分として硬化するので硬化前後における体積変化が極めて小さい、(4)素材による熱損失、または、素材に対する熱影響がないことである。
特許文献2には、感光基含有ラジカル重合性シラン化合物を用いた加水分解重合する組成物が記載されているが、エポキシ基含有ケイ素化合物とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸の反応生成物は記載されておらず、また、使用直前に溶液中でのみ有機・無機ハイブリッド材料を得る方法のため適用用途の範囲が狭い。
特許文献3には(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン化合物を加水分解重合して(メタ)アクリル基含有オルガノシロキサンの製造方法が記載されているが、エポキシ基含有ケイ素化合物とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸の反応生成物は記載されていない。
特開平5−85860号公報 特許第2948744号公報 特許第2767182号公報
これらのケイ素化合物の物性は原料とするアルコキシシラン化合物に依存するため、各種物性向上のための分子設計の面で課題が残されている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アルコキシシラン化合物を加水分解重合した後に感光基を導入して得られるエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物、即ち、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)とエポキシ基含有ケイ素化合物(2)とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物、及び該ケイ素化合物を含有する感光性樹脂組成物、更にその硬化物を提供し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の1)〜11)に関する。
1)エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)とエポキシ基含有ケイ素化合物(2)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
2)エポキシ基含有ケイ素化合物(2)が、下記式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物同士を縮合させて得られるエポキシ基含有ケイ素化合物、または下記式(2a)で表されるエポキシ基含有トリアルコキシケイ素化合物と下記式(2b)で表される置換アルコキシケイ素化合物とを縮合させて得られるエポキシ基含有ケイ素化合物である上記1)記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
[化1]
1aSi(OR (2a)
[式中、R1aはエポキシ基を有するアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
[化2]
1bSi(OR (2b)
[式中、R1bは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基または炭素数2〜5のアルケニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
3)R1aがグリシドキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキル基またはエポキシ基を有する炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基である上記2)記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
4)R1bが炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である上記2)または3)に記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
5)エポキシ基含有ケイ素化合物(2)が、式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物同士を縮合させたエポキシ基含有ケイ素化合物であり、R1aがグリシドキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である上記2)または3)に記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
6)エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)が(メタ)アクリル酸である上記1)〜5)のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)。
7)上記1)〜6)のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)と光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物。
8)更に、(A)成分以外の重合性化合物(B)を含有する上記7)記載の感光性樹脂組成物。
9)(A)成分以外の重合性化合物(B)が、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、マレイミド基含有化合物、(メタ)アクリルアミド化合物及び不飽和ポリエステルからなる群より選ばれる1種以上の化合物である上記8)記載の感光性樹脂組成物。
10)上記7)〜9)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
11)上記10)に記載の硬化物を含有する物品。
本発明により得られる新規なエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物を用いた感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、低カールでクラックの発生が少なく、その塗膜は硬度が高く、インキ;プラスチック塗料、印刷紙用、フィルムコーティング、金属コーティング、家具の塗装等種々のコーティング分野、ライニング、接着剤、更にはエレクトロニクス分野における絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基板、レジストインキ、半導体封止剤等多くの分野で使用可能である。
本発明のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)は、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)とエポキシ基含有ケイ素化合物(2)との反応生成物である。
エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)としては、例えば、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸類または飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物等が挙げられる。置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体との等モル反応物である半エステル類が挙げられ、飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物としては、飽和若しくは不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体との等モル反応物である半エステル類等が挙げられる。
これらは、単独または2種以上を混合して使用してもよい。入手容易な点からこれら化合物の内、(メタ)アクリル酸が好ましい。なお、本出願において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)の製造に使用するエポキシ基含有ケイ素化合物(2)としては、上記式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物同士を縮合させて得られるエポキシ基含有ケイ素化合物、または上記式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物と上記式(2b)で表される置換アルコキシケイ素化合物とを縮合させて得られるエポキシ基含有ケイ素化合物が好ましい。
式(2a)のエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物におけるR1aはエポキシ基を有するアルキル基であるが、好ましくはグリシドキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキル基またはエポキシ基を有する炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはグリシドキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基またはエポキシ基を有する炭素数5〜7のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。
グリシドキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキル基とは、例えば、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシブチル基等が挙げられ、特に好ましくはグリシドキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であるβ−グリシドキシエチル基またはγ−グリシドキシプロピル基が挙げられる。
エポキシ基を有する炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基とは、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等が挙げられ、特に好ましくはエポキシ基を有する炭素数5〜7のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であるβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル基が挙げられる。
式(2a)のエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物におけるRは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、縮合反応の条件の点からメチル基またはエチル基が特に好ましい。
式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物として、具体的には例えば、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
また、上記式(2b)で表される置換アルコキシケイ素化合物においてR1bは、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基または炭素数2〜5のアルケニル基であるが、組成物の相溶性や硬化物の物性の点から炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基とは、具体的に例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
アリール基としては炭素環芳香族基であれば特に限定されず、具体的に例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、特に好ましくはフェニル基である。
炭素数2〜5のアルケニル基とは、具体的に例えば、ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
は炭素数1〜4のアルキル基であり、上記Rと同様な基が例示され、縮合反応の条件の点からメチル基またはエチル基が特に好ましい。
式(2b)で表される置換アルコキシケイ素化合物として、具体的に例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリ(n−ブトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン類等が挙げられ、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が好ましい。
エポキシ基含有ケイ素化合物(2)は、式(2a)で表される化合物同士、または式(2a)で表される化合物と式(2b)で表される化合物とを塩基性触媒存在下で縮合させることにより得られる。反応を促進するため水を添加することが好ましい。水を添加する場合、その添加量は反応混合物全体におけるアルコキシ基1モルに対し、通常0.05〜1.5モル、好ましくは0.07〜1.2モルである。
反応に使用する塩基性触媒とは塩基性を示す化合物であれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基、またはアンモニアが挙げられる。これらの中でも、特に生成物からの触媒除去が容易である点から無機塩基またはアンモニアが好ましい。触媒の添加量は、エポキシ基含有アルコキシケイ素化合物と置換アルコキシケイ素化合物の合計重量に対し、通常5×10−4〜7.5重量%、好ましくは1×10−3〜5重量%である。
上記の縮合反応は無溶剤または溶剤中で行うことができる。溶剤を使用する場合、該溶剤としてはエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物や置換アルコキシケイ素化合物を溶解する溶剤であれば特に制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非プロトン性の極性溶媒あるいはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
反応により得られるエポキシ基含有ケイ素化合物(2)の分子量は、重量平均分子量で400〜50000のものが好ましく、750〜30000のものがより好ましい。重量平均分子量で400未満の場合には耐熱性向上効果に乏しく、50000より大きい場合には組成物にした場合の相溶性の低下、粘度の上昇等の組成物の物性低下が見られることがあり好ましくない。
エポキシ基含有ケイ素化合物(2)としては、式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物同士を縮合させたエポキシ基含有ケイ素化合物が特に好ましい。
本発明のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)は、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)とエポキシ基含有ケイ素化合物(2)とを反応させることにより得られる。
反応は、無溶剤または溶剤中で行うことができる。溶剤を使用する場合、具体的には例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類;γ−ブチロラクトン等の環状エステル類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の単独または混合有機溶媒が挙げられる。
反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は反応原料重量に対して0.1〜10重量%である。触媒の具体例としては、例えば、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、塩化トリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、沃化ベンジルトリメチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。
反応温度は60〜130℃であり、また、反応時間は好ましくは5〜60時間である。
また、反応時にエチレン性不飽和基等の熱重合を防止するため、熱重合禁止剤の添加が好ましい。使用しうる熱重合禁止剤としては、具体的に例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)と光重合開始剤を含有する。
エチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%である。含有量が少ないと組成物の硬化物の硬度が低くなり、多いと組成物の粘度が高くなり操作性が悪くなりやすい。
該光重合開始剤としては、通常の感光性樹脂組成物に使用されるものが挙げられ、具体的には例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類等が挙げられる。これらの添加割合としては、感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜25重量%である。
上記の光重合開始剤は、単独または2種以上の混合物として使用してもよい。
更に、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の反応促進剤等と組み合わせて使用してもよい。これらの反応促進剤を添加する場合、その添加量は光重合開始剤100重量部に対して、100重量部以下の量である。
本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)、光重合開始剤に加えて(A)成分以外の重合性化合物(B)を含有してもよい。
該重合性化合物(B)としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、マレイミド化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート(B−1)、ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)、エポキシ(メタ)アクリレート(B−3)、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート(B−4)、アルキル(メタ)アクリレート若しくはアルキレン(メタ)アクリレート(B−5)、芳香環を有する(メタ)アクリレート(B−6)、脂環構造を有する(メタ)アクリレート(B−7)等が挙げられ、中でも(ポリ)エステル(メタ)アクリレート(B−1)、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート(B−4)、アルキル(メタ)アクリレート若しくはアルキレン(メタ)アクリレート(B−5)、芳香環を有する(メタ)アクリレート(B−6)が好ましい。
該(ポリ)エステル(メタ)アクリレート(B−1)とは、主鎖にエステル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートの如き単官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンまたはグリセリン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールまたはジトリメチロールプロパン1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たポリオールのモノ、ジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに1モル以上のε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等の環状ラクトン化合物を付加して得たトリオールのモノ、またはポリ(メタ)アクリレート、トリオール、テトラオール、ペンタオールまたはヘキサオール等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレートまたはポリ(メタ)アクリレート;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール性化合物とマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸、セバチン酸、アゼライン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の多塩基酸またはこれらの無水物との反応物であるポリエステルポリオール化合物の(メタ)アクリレート;前記ジオール性化合物と前記多塩基酸またはその無水物とε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等からなる環状ラクトン変性ポリエステルジオール化合物の(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エステル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
該ウレタン(メタ)アクリレート(B−2)とは、主鎖にウレタン結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されず、少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物(B−2−イ)とイソシアネート化合物(B−2−ロ)とから通常のウレタン生成反応によって得られる。
少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するヒドロキシ化合物(B−2−イ)としては、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、あるいはこの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とε−カプロラクトンとの開環反応物等が挙げられる。
イソシアネート化合物(B−2−ロ)としては、具体的には例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の鎖状または環状脂肪族ジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体または上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート類;上記ジイソシアネート化合物と前記の(メタ)アクリレートの原料となるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
該エポキシ(メタ)アクリレート(B−3)とは、エポキシ基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを通常の方法で反応させて得られる(メタ)アクリレートであれば特に限定されない。
エポキシ樹脂とは、具体的には例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル等のフェニルジグリシジルエーテル;ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物等のビスフェノール型エポキシ化合物;水素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物等の水素化ビスフェノール型エポキシ化合物;臭素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ樹脂等のハロゲノ化ビスフェノール型エポキシ化合物;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の脂環式ジグリシジルエーテル化合物;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジグリシジルエーテル化合物;ポリスルフィドジグリシジルエーテル等のポリスルフィド型ジグリシジルエーテル化合物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
該(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート(B−4)としては、主鎖にエーテル結合を1つ以上有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジェングリコール、水添ポリブタジエングリコール等の炭化水素系ポリオール類等の多価水酸基化合物と(メタ)アクリル酸から誘導される多官能(メタ)アクリレート類;ネオペンチルグリコール1モルに1モル以上のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテルを付加したジオールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体のジ(メタ)アクリレート;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS等の水添ビスフェノール類のアルキレンオキシド変性体ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンまたはグリセリン1モルに1モル以上のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物を付加して得たトリオールのモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールまたはジトリメチロールプロパンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物を付加した化合物のモノ、ジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物を付加したヘキサオールの3〜6官能(メタ)アクリレート等の多官能(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
該アルキル(メタ)アクリレートまたはアルキレン(メタ)アクリレート(B−5)としては、直鎖若しくは分岐(C〜C15)アルコール、直鎖若しくは分岐(C〜C15)ポリオールまたはハロゲン原子で置換された上記アルコールの(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートの炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート(以下、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを「ポリ(メタ)アクリレート」と記す。)、グリセリンのモノまたはポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のペンタエリスリトールのモノまたはポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノまたはポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のジペンタエリスリトールのモノまたはポリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノまたはポリ(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
該芳香環を有する(メタ)アクリレート(B−6)としては、主鎖または側鎖に芳香環を有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート等のビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
該脂環構造を有する(メタ)アクリレート(B−7)としては、主鎖または側鎖に酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい脂環式化合物を有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の水添ビスフェノール類のジ(メタ)アクリレート類;トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の酸素原子等を有する脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物に含有してもよい(A)成分以外の重合性化合物(B)における(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、上記した化合物の他に、例えば、(メタ)アクリル酸ポリマーとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物、グリシジル(メタ)アクリレートポリマーと(メタ)アクリル酸との反応物等のポリ(メタ)アクリルポリマー(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート等のイソシアヌル(メタ)アクリレート;ポリシロキサン骨格を有する(メタ)アクリレート;ポリブタジエン(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物に含有してもよい(A)成分以外の重合性化合物(B)におけるマレイミド基含有化合物としては、例えば、N−n−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、2−マレイミドエチルエチルカーボネート、2−マレイミドエチルプロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート等の単官能脂肪族マレイミド類;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N、N−ヘキサメチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコールビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート等の脂肪族ビスマレイミド類;1,4−ジマレイミドシクロヘキサン、イソホロンビスウレタンビス(N−エチルマレイミド)等の脂環式ビスマレイミド;マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られるマレイミド化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とのエステル化によるマレイミド化合物等のカルボキシマレイミド誘導体と種々の(ポリ)オールとをエステル化して得られる(ポリ)エステル(ポリ)マレイミド化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物に含有してもよい(A)成分以外の重合性化合物(B)における(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の単官能性(メタ)アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の感光性樹脂組成物に含有してもよい(A)成分以外の重合性化合物(B)における不飽和ポリエステルとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸若しくはフマル酸等の多価不飽和カルボン酸と多価アルコールとのエステル体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
前記(A)成分と共重合する(A)成分以外の化合物であれば上記以外の化合物もすべて本発明の重合性化合物(B)として使用可能であり、その1種類または複数の化合物を併用してもよく、すべて本発明の感光性樹脂組成物に含まれる。
本発明の感光性樹脂組成物に(B)成分を含有する場合に、その使用量は感光性樹脂組成物の固形分を100重量%としたとき4〜94重量%、好ましくは19〜79重量%である。
本発明の感光性樹脂組成物には、更に用途に応じて、非反応性化合物、無機充填剤、有機充填剤、シランカップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料等の添加剤を適宜使用することができる。
上記添加剤は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化性、樹脂特性を損なわない限り、市販のものも、公知の方法またはそれに準じる方法で得られるものも適宜制限無く使用できる。
該非反応性化合物とは反応性が低いか、若しくは反応性が無い液状または固体状のオリゴマーや樹脂であれば特に限定されないが、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エポキシ樹脂、液状ポリブタジェン、ジシクロペンタジェン誘導体、飽和ポリエステルオリゴマー、キシレン樹脂、ポリウレタンポリマー、ケトン樹脂、ジアリルフタレートポリマー(ダップ樹脂)、石油樹脂、ロジン樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー等が挙げられる。
該無機充填剤としては、例えば、二酸化珪素、酸化珪素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、カオリンクレー、焼成クレー、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、水酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ガラス、雲母、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの無機充填剤には、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤等を添加・反応させる等の方法により、ハロゲン原子、エポキシ基、水酸基、チオール基等の官能基を有する充填剤とすることもできる。
該有機充填剤としては、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリスチレン、アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂、ナイロン12、ナイロン6/66、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
該シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたはγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤;アセチルアセトン・ジルコニウム錯体等のジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は上記した各成分を混合すれば得られ、混合の順序や方法は特に限定されない。
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等や感光性樹脂組成物に一般によく用いられるその他の有機溶剤により希釈して使用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、エネルギー線の照射、例えば、180〜500nmの波長の紫外線または可視光線を照射することによって硬化させることができ、その硬化物も本発明に含まれる。
波長180〜500nmの紫外線または可視光線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマ−ランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマ−レーザーあるいは太陽光が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、アルミニウム、鉄、銅等の金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック、ガラス等のセラミック、木材、紙、繊維等に用いる各種コーティング材、インキ、表面処理剤、バインダー、プラスチック材料、成形材料、積層板、接着剤、粘着剤等の用途に有用である。更に具体的な用途としては、平凸版インキ、フレキソインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ等のインキ分野;ツヤニス分野;紙塗工剤分野;木工用塗料分野;飲料缶用塗工剤若しくは印刷インキ分野;、軟包装フィルム用塗工剤、印刷インキ若しくは粘着剤;感熱紙・感熱フィルム用塗工剤、印刷インキ、接着剤若しくは粘着剤または光ファイバーコート剤等の用途に有用である。
本発明の感光性樹脂組成物のエネルギー線照射または加熱による硬化物を有する物品も本発明に含まれる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。エポキシ当量はJIS K 7236記載の方法により測定した。粘度はE型粘度計、屈折率は屈折率計を使用しD線(589nm)にて測定した。
合成例1
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94.4g、メチルイソブチルケトン94.4gを反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、0.1重量%水酸化カリウム水溶液21.6gを30分間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、生成するメタノールを除去しながら80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、次いで、減圧下で溶媒を除去することによりエポキシ基含有ケイ素化合物(2)67gを得た。得られた化合物のエポキシ当量は166g/eqであった。
実施例1
撹拌装置、還流冷却管をつけた1リットルフラスコ中に、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)としてアクリル酸72.1g、エポキシ基含有ケイ素化合物(2)として合成例1で得られた化合物166.0g、反応溶剤としてトルエンを158.7g、熱重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.48g、反応触媒として塩化テトラメチルアンモニウム0.72gを仕込み、110℃で還流下、32時間反応させた。反応終了後、シクロペンタノン400gを加え、水で3回洗浄し有機層を分液した後、減圧下で溶剤を共沸脱水留去して本発明のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)230.0gを得た。粘度は340Pa・s(25℃)、屈折率は1.491(25℃)であった。
続いて得られた生成物に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3重量%を加え、ガラス基板上にバーコーターを用いて均一に塗布した後、ベルトコンベア型紫外線照射装置を用いて紫外線を照射し、透明な乾燥した膜状コーティングを得た。この膜状コーティングは鉛筆硬度6Hであった(測定法は後記する)。
実施例2〜4、比較例1〜2
表1に示す組成で配合した感光性樹脂組成物をバーコーター(No.20)を用いて易接着処理ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製:A−4300、膜厚188μm)に塗布し、80℃の乾燥炉中に1分間放置後、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、ランプ高さ10cmの距離から5m/分の搬送速度で紫外線を照射し、硬化皮膜(10〜15μm)を有するフィルムを得た。
表1
配合量(g)
実施例 比較例
2 3 4 1 2
実施例1の化合物 40 30 25 − −
DPHA *1 − − − 40 25
R−551 *2 10 10 10 10 10
PET−30 *3 − 10 15 − 15
Irg.184 *4 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5
MEK *5 50 50 50 50 50
*1:DPHA;日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
*2:R−551;日本化薬(株)製、KAYARAD R−551(ビスフェノールAポリ(n≒4)エトキシジアクリレート)
*3:PET−30;日本化薬(株)製、KAYARAD PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート)
*4:Irg.184(イルガキュアー184);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
*5:MEK;2−ブタノン
試験例
実施例2〜4または比較例1〜2で得られたフィルムにつき、下記項目を評価しその結果を表2に示した。
(鉛筆硬度)
JIS K 5400に従い、鉛筆引っかきを用いて、塗工フィルムの鉛筆硬度を測定した。即ち、測定する硬化皮膜を有するポリエステルフィルム上に、鉛筆を45度の角度で、上から1kgの荷重を掛け5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。5回測定を行い、傷なしの回数を数える。
評価 5/5:5回中5回とも傷なし
0/5:5回中全て傷発生
(耐擦傷試験)
スチールウール#0000上で200g/cmの荷重を掛け10往復させ、傷の状況を目視で判断した。
評価 ○:傷無し
×:傷発生
(密着性)
JIS K 5400に従い、フィルムの表面に1mm間隔で縦、横11本の切れ目を入れて100個の碁盤目を作る。セロハンテープ(登録商標)をその表面に密着させた後一気に剥がした時に剥離せず残存したマス目の個数を表示した。
(カール)
測定する硬化皮膜を有するポリエステルフィルムを5cm×5cmにカットし、80℃の乾燥炉に1時間放置した後、室温まで戻した。水平な台上で浮き上がった4辺それぞれの高さを測定し、平均値を測定値(単位;mm)とした。この時、基材自身のカールは0mmであった。
(外観)
表面のクラック、白化、曇り等の状態を目視にて判断した。
評価 ○:良好
△:微少クラック発生
×:著しいクラック発生
表2 評価結果
鉛筆硬度3H 擦傷性 密着性 カール 外観
実施例2 5/5 ○ 100 26 ○
実施例3 5/5 ○ 100 19 ○
実施例4 5/5 ○ 100 17 ○
比較例1 5/5 ○ 100 40 ×
比較例2 5/5 ○ 100 29 △
表2に示した結果から、構成成分及びその組成比を基に実施例2と比較例1または実施例4と比較例2を比べて、本発明のエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)を含有する感光性樹脂組成物の硬化物でコートしたフィルムは、カールの発生が少なくクラックが見られず、更に鉛筆硬度や耐擦傷性が高い。

Claims (4)

  1. エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)と下記式(2a)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物同士を縮合させて得られる重量平均分子量が400〜50000のエポキシ基含有ケイ素化合物(2)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)と光重合開始剤と、(A)成分以外の重合性化合物(B)としての(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、マレイミド基含有化合物、(メタ)アクリルアミド化合物及び不飽和ポリエステルからなる群より選ばれる1種以上の化合物とを含有する樹脂組成物であって、エチレン性不飽和基含有ケイ素化合物(A)、光重合開始剤、重合成化合物(B)の含有量が該樹脂組成物の固形分を100重量%としたときそれぞれ5〜95重量%、0.01〜30重量%、4〜94重量%である感光性樹脂組成物。
    [化1]
    1a Si(OR (2a)
    [式中、R 1a はグリシドキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を示し、R は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
  2. エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(1)が(メタ)アクリル酸である請求項1に記載の感光性樹脂組成物
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  4. 請求項に記載の硬化物を含有する物品。
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