JP4458314B2 - インクセット、印刷方法、インク、印刷物、印刷装置、インクカートリッジ、記録ユニット及び高分子化合物膜の形成方法 - Google Patents

インクセット、印刷方法、インク、印刷物、印刷装置、インクカートリッジ、記録ユニット及び高分子化合物膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクセット、印刷方法、インク、印刷物、印刷装置、インクカートリッジ、記録ユニット及び高分子化合物膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式でインクを吐出して記録媒体に付着させて印刷することで得られる印刷物に求められる特性として、例えば
(1)カラー記録画像の耐水堅牢度が高いこと、
(2)色材の記録媒体への付着性が高いこと、
(3)記録ドットの彩度、明度、透明度が高いこと、
(4)光透過性の記録媒体に対する透明性を高め、印刷物の用途を拡大すること、
などがあげられる。
【0003】
そしてこのような特性をより高いレベルで満足させることができるインクジェット印刷物を得られるインクを開発すべく活発な研究、開発が行われている。
【0004】
そのような研究、開発の成果の一つとして知られている方法として、2種類の、互いに反応性を有する液体を異なるオリフィスから吐出させ、記録媒体上で混合、反応させることで印刷物の耐水性や耐擦過性などを向上させる技術がある。例えば日本特許第2510420号公報には一方のインク中にカルボキシメチルセルロースを含有させ、別のインクにアルミニウム塩を含有させ、記録媒体上で両インクを反応させる例や、ヘキサメチレンジアミンと脂肪族2塩基酸無水物/塩化物を各々異なるインクに含有させ、記録媒体上で反応させる例が開示されている。
【0005】
また特開平10−287035号公報には、反応液中に存在している光重合開始剤が、記録液中に存在しているアクリレート類を外部からの紫外線エネルギーの付与によって重合させることで印刷する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記したような2液系のインクジェット印刷技術について検討を重ねた結果、記録媒体に液体を付与した後、光照射などの何らかの定着工程を必要とする印刷技術は、プリント装置の大型化や構成の複雑化を伴う場合が多く、非工業用途、即ちエンドユーザに向けたプリント装置用の印刷技術としてはふさわしくないとの感触を得ている。
【0007】
またこれまで本発明者の検討してきた範囲では、従来知られている2液系のインクジェット印刷技術において、インクまたは液体中に含有させられている反応性物質は、水溶性に乏しいもの、或いは水不溶性のものが多く、インクジェット方式で吐出させる為の水系液体を得る為には該反応性物質を溶解を目的として有機溶剤を添加する必要がある場合が多かった。しかし有機溶剤の添加は液体の記録媒体への浸透性に影響を与え、その結果として印刷品位にも大きな影響を与えることになる。従って2液系のインクジェット記録技術において、印刷品位のより一層の高品質化を達成する為には、水溶性が高く、且つ反応性が水中でも維持され、更に混合しただけで速やかに反応するような反応性成分を含む液体、もしくは水溶性が高く、且つ反応性が水中でも維持され、更に混合しただけで速やかに反応し、またインク中において色材と共存させたときに色材に対して悪影響を与えることのないような反応性成分を含む液体を備えたインクセットの開発が必要であるとの結論を得るに至った。
【0008】
本発明は上記した様な技術的背景に鑑みなされたものであって、その目的は耐水性、耐擦過性に優れ、またオゾン等による劣化の少ない印刷物を得ることのできるインクセットを提供することを目的とする。
【0009】
また本発明の他の目的は、耐水性や耐擦過性に優れ、オゾン等による劣化の少ない高品質な印刷物を与え、更に記録媒体の種類によらず安定して高品質な印刷物を与える印刷方法を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的は、耐水性や耐擦過性に優れ、オゾン等による品質劣化の少ない印刷物を得る上で好適に用いられるインクを提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的は、耐水性や耐擦過性に優れ、またオゾン等による品質劣化の少ない印刷物を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的は、耐水性や耐擦過性に優れ、オゾン等による劣化の少ない高品質な印刷物の形成に用いる印刷装置、インクカートリッジおよび記録ユニットを提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的は、耐水性、耐擦過性に優れた高分子化合物膜を得ることのできるインクセットを提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的は、耐水性、耐擦過性に優れた高分子化合物膜を記録媒体表面に形成することのできる方法を提供することにある。
【0015】
また本発明の他の目的は、耐水性、耐擦過性に優れ、緻密な高分子化合物膜の記録媒体表面への形成に用いることのできる水性のインクを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできるインクセットの実施態様は、電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の化合物を含有する第1の液体組成物と、該第1の化合物との共存下で該第1の化合物に付加する活性水素を有する水溶性の第2の化合物を含有する第2の液体組成物とを備えており、該第1の化合物が下記式A−1〜A−12から選ばれる少なくとも1つであり、かつ該第2の化合物が下記式B−1〜B−17から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【外11】
Figure 0004458314
【外12】
Figure 0004458314
【外13】
Figure 0004458314
【外14】
Figure 0004458314
【外15】
Figure 0004458314
また上記の目的を達成することのできるインクセットの他の実施態様は、上記した第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物及び第2の液体組成物とを備え、第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方が更に色材を含むことを特徴とするものである。
【0017】
また上記の目的を達成することのできるインクセットの他の実施態様は、上記した第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物、及び第2の液体組成物を備え、色材を含むインクを更に備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また上記の目的を達成することのできる印刷方法の一実施態様は、(i)上記した第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物、及び第2の液体組成物を備え、第1及び第2の液体組成物の少なくとも一方が更に色材を含むインクセットを用意する工程;及び(ii)該第1の液体組成物と第2の液体組成物を各々記録媒体の所定の個所に、該第1及び第2の液体組成物とが混合もしくは接触する様に付与する工程、を有することを特徴とするものである。
【0019】
また上記の目的を達成することのできる印刷方法は、(i)上記した第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物、及び第2の液体組成物を備え、更に色材を含むインクを備えたインクセットを用意する工程;(ii)該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物を記録媒体に、該第1の液体組成物と該第2の液体組成物が混合もしくは接する様に付与する工程;及び(iii)該インクを該第1の液体組成物または該第2の液体組成物と混合する様に記録媒体に付与する工程、を有することを特徴とするものである。
【0029】
本発明にかかる印刷物の一実施態様は、記録媒体上に色材を含む着色部を有する印刷物であって、該着色部は、電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の化合物を含有する第1の液体組成物と、
該第1の化合物との共存下で該第1の化合物に付加する活性水素を有する水溶性の第2の化合物を含有する第2の液体組成物との反応物を更に含み、
該第1の化合物が下記式A−1〜A−12から選ばれる少なくとも1つであり、かつ該第2の化合物が下記式B−1〜B−17から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【外16】
Figure 0004458314
【外17】
Figure 0004458314
【外18】
Figure 0004458314
【外19】
Figure 0004458314
【外20】
Figure 0004458314
【0030】
また本発明にかかる印刷装置の一実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物及び第2の液体組成物とを備え、該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方がさらに色材を含むインクセットと、該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物とを各々別個に記録媒体に向けて吐出する手段、および該第1の液体組成物と該第2の液体組成物とが該記録媒体上で液体状態で互いに接触する様に制御する手段を備えていることを特徴とする。
【0031】
また本発明にかかる印刷装置の他の実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物及び第2の液体組成物を備え、色材を含むインクを更に備えているインクセットと、該第1の液体組成物、該第2の液体組成物及び該インクとを各々別個に記録媒体に向けて吐出する手段、および該第1の液体組成物、第2の液体組成物および該インクとが記録媒体上で液体状態で互いに接触する様に制御する手段を備えていることを特徴とする。
【0032】
また本発明にかかるインクカートリッジの一実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、第一の実施態様のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部とを備えているインクカートリッジであって、該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方がさらに色材を含み、該第1の液体組成物および該第2の液体組成物とを各々個別に吐出させるインクジェットヘッドに着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0033】
また本発明にかかるインクカートリッジの他の実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部、第一の実施態様のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部、及び色材を含むインクを収容しているインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、該第1の液体組成物、該第2の液体組成物及び該インクとを各々個別に吐出させるインクジェットヘッドに着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0034】
また本発明にかかる記録ユニットの一実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、該第1の液体収容部に収容されている該第1の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、
第一の実施態様のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部と、該第2の液体収容部に収容されている該第2の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッドを備えている記録ユニットであって、
該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方がさらに色材を含んでいることを特徴とする。
【0035】
また本発明にかかる記録ユニットの他の実施態様は、第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、該第1の液体収容部に収容されている該第1の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、第一の実施態様のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部と、
該第2の液体収容部に収容されている該第2の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、
及び色材を含むインクを収容しているインク収容部と、該インク収容部に収容されている該インクを吐出させるインクジェットヘッドとを備えていることを特徴とする。
【0037】
本発明にかかる高分子化合物膜を形成する方法の一実施態様は、
(i)第一の実施態様のインクセットが備える第1の液体組成物、第一の実施態様のインクセットが備える第2の液体組成物を備えているインクセットを用意する工程;
及び(ii)該第1の液体組成物と第2の液体組成物を各々、記録媒体の所定の個所に、該第1及び第2の液体組成物とが混合もしくは接触する様に付与し、該第1の化合物および該第2の化合物とを反応させる工程、
を有することを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施態様にかかるインクセットは、電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の水溶性化合物を含有する第1の液体組成物、及び該第1の化合物との共存下で該第1の化合物に付加する活性水素を有する水溶性の第2の化合物を含有する第2の液体組成物を備え、該第1及び第2の液体組成物の少なくとも一方が更に色材を含むものである。
【0048】
ここで「α位に電子吸引性の置換基を有する」という表現に関して、α位とは炭素−炭素不飽和二重結合の炭素原子に各々α及びβを区別の為につける有機化学分野における慣習に基づくものである。
【0049】
【外50】
Figure 0004458314
【0050】
即ち、α位の炭素は不飽和二重結合を形成する炭素原子のうち、末端でない炭素原子に与えられる。また電子吸引性とは置換基が電子的に減少した状態にあり、故に周囲の原子団の電子或いは別の分子の電子を引き付ける状態を表わしている。典型的な電子吸引性基の例は、例えばニトロ基、ニトリル基、カルボニル基、カルボキシル基及びカルボン酸エステル基などを含む。そして不飽和二重結合を形成するα及びβ位の炭素原子の電子密度は、該電子吸引性基が結合されていない場合と比較して更に少なくなる。これによって電子吸引性の原子団を有する不飽和二重結合は、容易に電子的にリッチな分子或いは原子団から電子を奪い、付加反応を起こしやすくなるものである。このような反応自体はマイケル付加反応として知られているものである。即ちマイケル付加反応とは電子吸引性の官能基を有する炭素−炭素間の二重結合に、比較的弱い条件においても水素原子が付加する反応として知られている。即ちニトロ基、カルボキシル基、ニトリル基、カルボン酸のエステル基などは水素を基準としたときに他から電子を引き付ける傾向があり、よって二重結合の電子密度は減少し、電子供与性の物質との反応性が高まる。例えばカルボン酸のエステル基が結合された不飽和二重結合の反応は下記の様になる。
【0051】
【外51】
Figure 0004458314
実際の反応速度は、H−Xに属する化合物の性質に依存しており、それらは例えば新実験化学講座「有機化合物の合成と反応」第1370頁(丸善、1977年)に「オレフィンへのアミンの付加反応」として詳細な記載がある。H−Xに属する化合物の具体例としては、例えば求核性の物質であり、アミン、アルジミン、ケチミン、水酸基を有する化合物、ポリエナミン、メタントリカルボン酸エステル、マロン酸、ポリエステル、アセトアセテート、ポリアミドアミン等である。
【0052】
こうした付加反応は、例えば塗料の硬化反応として工業的に利用されている。例えば特開昭61−23615号公報には(1)アミノアルキルメタアクリレートもしくはアミノアルキルメタアクリレートとエチレン性不飽和単量体から構成される共重合体及び(2)分子中にアルリロイル基を少なくとも2個有する化合物を配合してなる硬化性組成物が開示されている。しかしこの付加反応を2液系のインクジェット記録技術に応用した例はこれまでのところ知られていない。そして本発明者はこれまでの研究からかかる付加反応の2液系のインクジェット印刷方法への応用と、その結果として得られる印刷物の高品質化の為には各々の液体に含有させる反応性成分は十分な水溶性を有し、水系媒体中でもその反応性を維持し得るものが好ましいこと、また各々の反応成分は記録媒体上で混合された場合には即座に反応して色材を定着させるものであることが好ましいとの知見を得ている。
【0053】
本発明で用いる電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の化合物としては、例えば
(1)ポリオールのアクリル酸エステル類、
(2)ポリオールから誘導される水溶性ポリエポキシドのアクリル酸エステル類等、や
(3)側鎖に水溶性官能基を有する単量体と電子吸引性基を有する不飽和二重結合を有する単量体を共重合して得られる比較的低分子量の重合体類等、
が挙げられる。ここでポリオールとは2以上の水酸基を有する化合物の総称である。また水溶性官能基とは水酸基、カルボキシル基、スルホン基、モルフォリン、ピペリジン、ピリジン、ピロリドン等を表わす。これらの化合物の具体例としては、例えば下記構造式A−1〜A−12で示されるような化合物が挙げられる。
【0054】
【外52】
Figure 0004458314
【0055】
【外53】
Figure 0004458314
【0056】
【外54】
Figure 0004458314
【0057】
(第2の化合物)
上記した第1の化合物との共存下で、第1の化合物に付加反応し得る活性水素を有する水溶性の第2の化合物としては例えば1級アミノ基又は2級アミノ基を分子内に有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば以下の(a)〜(d)に記載したような化合物が挙げられる。
【0058】
(a)ポリオールのアミン誘導体:ポリエチレンオキシド、グリセリン等の末端にアミノ基が結合された化合物であって、例えば下記構造式(B−1)や(B−2)で示されるような構造を有するもの。
【0059】
【外55】
Figure 0004458314
(上記式中、n=3〜25、R1は炭素数が1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)である。
【0060】
(b)エチレンイミンの重合体:例えば下記構造式(B−3)で示されるもの。
【0061】
【外56】
Figure 0004458314
【0062】
商品としては、BASF社から上市されているところのLupasol FG,Lupasol G20waterfree,Lupasol G20,Lupasol g35,Lupasol WF等、日本触媒化学(株)社から上市されているところのエポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−200、エポミンPP−061、エポミンPP−1000等を挙げることができる。上記構造式は基本構造であって、これらの商品の中には分岐構造を有する誘導体もあるが、それらの物質でも水溶性を持つ範囲の物質は本願の実施に特別な障害は示さない。
【0063】
(c)グルコサミン、グルコサミンの2量体、グルコサミンの3乃至10量体等のアミノ糖類であって、分子中に複数の1級のアミノ基を有する糖構造を基本とするオリゴマである。これらの化合物は部分的にアセチル化するなどの構造的変性は、水溶性を失わない限り可能である。具体例としては下記構造式(B−4)〜(B−7)で示す化合物が挙げられる。
【0064】
【外57】
Figure 0004458314
【0065】
(d)水溶性のポリチオール化合物;水溶性のポリチオール化合物として下記構造式(B−8)〜(B−17)で示される化合物が挙げられる。
【0066】
【外58】
Figure 0004458314
【0067】
上記した化合物(A−1)〜(A−12)及び(B−1)〜(B−17)の水に対する溶解度、及び反応性は下記表1に示す通りである。水への溶解度は、均一で透明な水溶液を生成し得る濃度の範囲として示す。
【0068】
また反応速度は、化合物Aに属する化合物はそれの50%水溶液を化合物B−1の50wt%溶液(商品名:ルパソール(Lupasol FG);BASFジャパン社製)と反応させたときにゲル化するまでの時間を示す。また化合物B群に属する化合物はそれの50%水溶液を化合物A−1とを常温で反応させたときのゲル化までの時間を示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004458314
【0070】
上記した第1の化合物の少なくとも1つを含む第1の液体組成物と第2の化合物を含む第2の液体組成物とが接触、混合することによって第1及び第2の化合物は速やかに反応し、印刷物に十分な耐水性、耐擦過性を付与する為には、液体中の化合物濃度を1〜30wt%程度、特には5〜30wt%とすることが好ましいが、上記表1に示した様にA−1〜A−12及びB−1〜B−17の化合物は十分な水溶性を有し、第1及び第2の液体組成物の調製にあたって、第1及び第2の化合物を溶解させるための有機溶剤の添加は不要である。
【0071】
又上記したA群の化合物とB群の化合物とは互いに付加反応するのでA群の化合物及びB群の化合物の少なくとも一方が3個以上の官能基を有するものを選択した場合、記録媒体上での反応はより速く進み、又着色部の記録媒体への付着性が増し、更に着色部の耐水性、耐擦過性、耐久性もより強固になる。
【0072】
(色材)
第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方に色材を含有させる本発明にかかる一実施態様に於て、色材は、該第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方を用いて印刷したときに、所望の色を与えるのに必要な色材であって、インクジェット用インクに用いられる種々の色材を用いることができる。色材の例は、例えば顔料、アニオン性染料及びカチオン性染料を含む。顔料の例は、例えばカチオン性水溶性高分子化合物やアニオン性水溶性高分子化合物の作用によって水系溶媒に安定して分散させることのできる顔料やイオン性水溶性高分子化合物を用いることなしに水系溶媒に分散させることのできる自己分散型の顔料を含む。自己分散型の顔料の例は、例えば表面にカチオン性基が結合した自己分散型の顔料、表面にアニオン性基が結合した自己分散型の顔料を含む。そして色材を適宜選択することによって第1の液体組成物を黒色インクやカラーインクとすることができ、同様に第2の液体組成物を黒色インクやカラーインクとすることができる。
【0073】
尚、第2の化合物は一般的に塩基性を示す為、第2の液体組成物に色材を含有させる場合には、色材と第2の化合物の相溶性に留意して該第2の化合物と色材とを選択することが好ましい。
【0074】
黒色顔料
黒色インクの調製に用い得る黒色顔料について以下に説明する。
【0075】
(カチオン性自己分散型黒色顔料)
カチオン性の自己分散型黒色顔料とは、例えば顔料表面に共有結合によってカチオン基が結合し、イオン性水溶性高分子化合物や界面活性剤を用いることなしに水性媒体に安定に分散させることのできる黒色顔料である。該カチオン基としては例えば第4級アンモニウム、第4級アミンの塩、ピリジニウム、ホスフォニウム等の各種カチオン基を挙げることができる。なお顔料表面に結合しているカチオン基は1種類であってもよく、また複数種が混在していてもよい。
【0076】
(カチオン性自己分散型カーボンブラック)
カチオン性に帯電したカーボンブラックとしては、カーボンブラックの表面に例えば下記に示すカチオン基から選ばれる少なくとも1つを結合させたものが挙げられる。
【0077】
【外59】
Figure 0004458314
【0078】
上記式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基等を表わす。上記したような親水性基が結合されてカチオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル基を結合させる方法を例にとって説明すると、
【0079】
【外60】
Figure 0004458314
【0080】
カーボンブラックを3−ジアゾ−N−エチルピリジウムブロマイドと反応させる方法が挙げられる。アニオン性にするにはカーボンブラックを4ジアゾ安息香酸と反応させる方法が挙げられる。この様にカーボンブラック表面への親水性基の導入によってアニオン性若しくはカチオン性に帯電させたカーボンブラックは、イオンの反発によって優れた水分散性を有する為、水性インク中に含有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分散状態を維持する。
【0081】
ところで上記した様に種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。或いは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させても良い。ここで他の原子団の具体例としては例えば炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては例えば炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0082】
(カーボンブラック+カチオン性水溶性高分子化合物)
一方、特開平8−80665号公報に開示されるような分散剤としてのカチオン性水溶性高分子化合物をインク中に添加することを前提として、通常のカーボンブラックを用いることもまた可能である。によって分散された黒色顔料粒子の分散体を使用することも本発明によって好適である。このカチオン性高分子化合物としては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを単量体の重量比率で10〜50%で含有する共重合体を挙げることができる。この共重合体の他のモノマー成分としては、例えば、アクリルアミド類のような水溶性モノマー、アクリロニトリル、アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。
【0083】
カチオン性黒色顔料分散体が、カチオン性高分子化合物によって分散された黒色顔料粒子の場合、例えば平均径が70nm〜250nmの範囲にある黒色顔料粒子を利用できる。
【0084】
以上のように、カチオン基としては第4級アンモニウム、第3級アミンの塩等を用いることができ、このカチオン基の対イオンとして、酢酸、乳酸、塩酸、硫酸、こはく酸、臭素酸、ふっ酸等の有機酸または無機酸を用いても良く、対イオンの存在によってより安定な解離状態での水中分散性を得ることができる。
【0085】
黒色顔料に付与するカチオン基の量、あるいは水溶性高分子に付与するカチオン基の量は、インク中での良好な分散状態を与え、かつ本発明の目的とする効果が得られるように設定すればよい。
【0086】
顔料分散体のインク中への添加量は、インク100重量部に対して黒色顔料が0.5〜10重量部とされる。また、インクのpHとしては2.5〜8.0の範囲から選択することができる。上記したような粒径及びpHを選択することで、分散体のより好適な安定分散状態を得ることができるので好ましい。
【0087】
(アニオン性自己分散カーボンブラック)
アニオン性基が表面に結合した自己分散性のカーボンブラックとしては、例えばアニオン性官能基を共有結合で結合せしめて、表面改質したものが挙げられる。アニオン性官能基としては、例えば−COOM、−SO3 M、−PO3 HM、PO32(但しMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表わす)からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0088】
これらの中で特に−COOMやSO3Mをカーボンブラック表面に直接もしくは間接的に結合してアニオン性に帯電せしめたカーボンブラックはインクにおける分散性に優れ、好適に用いることができる。上記Mとして挙げたアルカリ金属としては例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。有機アンモニウムとしては例えばモノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。アニオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックの製造方法としては、例えばカーボンブラックを次亜鉛素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられる。これによってカーボンブラック表面に−COONa基を結合させることができる。
【0089】
ところで上記した様な種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。或いは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させても良い。ここで他の原子団の具体例としては例えば炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては例えば炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また他の原子団と親水性基の組合わせの具体例としては、例えば−C24 −COOM、−Ph−SO3 M、−Ph−COOM等(但し、Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0090】
(カーボンブラック+アニオン性水溶性高分子化合物)
アニオン性の水溶性高分子化合物として、例えばアルカリ性で水に溶解する水溶性高分子化合物、具体的には例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸共重合体等を分散剤に用いて通常のカーボンブラックを色材として用いることもできる。
【0091】
(黒色染料)
黒色の色材としては、上記したような顔料だけでなく染料を用いてもよい。但し、本実施例態様にかかるインクは記録媒体に付与した後に紫外線等の照射して硬化処理を行うことを考慮すると、耐光性に優れた染料を選択することが好ましい。その様なアニオン性の黒色染料としては例えばCr、Cu、Mn、Al、Zn、Fe等の多価金属が配位したモノアゾ錯体、ジスアゾ錯体や、非錯体系アゾブラック染料としてC.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 51、C.I.Direct Black 154、C.I.Direct Black174、C.I.Direct Black195等を好適に用いることもできる。
【0092】
更にまた黒色のカチオン染料を色材として用いることもできる。黒色カチオン染料の例は、Aizen Cationic Black SBH,AizenCationic Black BXH,Aizen Cationic Black SH,Aizen Cationic Black ACH,Aizen Cationic Black MH,Aizen Cationic Black TH,(保土谷化学社製);Sumiacryl Black B,Sumiacryl Black R,Sumiacryl Black AP,Sumiacry1 Black BP,Sumiacry1 BlackCP,Sumiacry1 Black PPP(住友化学社製);Diacry1 Supra Black GSL,Diacry1 Supra Black RSL,Diacry1 Supra Black ESL(三菱化学社製)等を含む。
【0093】
(カラーインク)
(顔料)
カラーインクに使用されるプロセスカラーとしての色相を有する有機顔料としては、
▲1▼イエロー顔料としては、ピグメントイエロー1、2、3、12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー180など、
▲2▼マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド57(Sr)、ピグメントレッド57:2、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、などが、
▲3▼シアン顔料としては、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、ピグメントブルー15;2、ピグメントブルー15:3、バットブルー4、バットブルー60、などを挙げることができる。
【0094】
(カラー用染料)
(カラー用アニオン性染料)
染料は顔料と比較すると一般的に耐光性は劣るが、硬化に用いる光の波長と強度を適宜選択することによって、その退色を最小限に抑え、実質的に適用可能な場合も多い。適用可能な染料は用途によって異なるので、所望の用途に応じて選択することができる。利用できる各カラーのアニオン性染料としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
▲1▼イエロー染料としては、アシッドイエロー11、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー25、アシッドイエロー29、アシッドイエロー42、アシッドイエロー49、アシッドイエロー61、アシッドイエロー71、ダイレクトイエロー12、ダイレクトイエロー24、ダイレクトイエロー26、ダイレクトイエロー44、ダイレクトイエロー86、ダイレクトイエロー87、ダイレクトイエロー98、ダイレクトイエロー100、ダイレクトイエロー130、ダイレクトイエロー86、ダイレクトイエロー132、ダイレクトイエロー142、
【0095】
【外61】
Figure 0004458314
などを、
▲2▼マゼンタレッド染料としては、アシッドレッド1、アシッドレッド6、アシッドレッド8、アシッドレッド32、アシッドレッド35、アシッドレッド37、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド80、アシッドレッド85、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド115、アシッドレッド180、アシッドレッド254、アシッドレッド256、アシッドレッド289、アシッドレッド315、アシッドレッド317、ダイレクトレッド1、ダイレクトレッド4、ダイレクトレッド13、ダイレクトレッド17、ダイレクトレッド23、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド31、ダイレクトレッド62、ダイレクトレッド79、ダイレクトレッド81、ダイレクトレッド83、ダイレクトレッド89、ダイレクトレッド227、ダイレクトレッド240、ダイレクトレッド242、ダイレクトレッド243、
【0096】
【外62】
Figure 0004458314
などを、
▲3▼シアン染料としては、アシッドブルー9、アシッドブルー22、アシッドブルー40、アシッドブルー59、アシッドブルー93、アシッドブルー102、アシッドブルー104、アシッドブルー113、アシッドブルー117、アシッドブルー120、アシッドブルー167、アシッドブルー229、アシッドブルー234、アシッドブルー254、ダイレクトブルー6、ダイレクトブルー22、ダイレクトブルー25、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー78、ダイレクトブルー86、ダイレクトブルー90、ダイレクトブルー106、ダイレクトブルー199、
【0097】
【外63】
Figure 0004458314
などを挙げることができる。
【0098】
これらの既存の色材だけでなく、新規に開発された化合物の中でも色相、耐光性、溶解性を満足するものであれば、大きな困難無く本発明の構成において適用可能である。
【0099】
(カラー用カチオン性染料)
カチオン性の染料は一般に色相が鮮やかで着色力に優れているが、顔料と比較すると耐光性が劣る傾向にあるが、光照射に用いる光の種類や光照射の時間を適宜調整することによって用いることができる。カチオン染料は主にシアニン、アゾ、アゾメチン、キサンテン、トリフェニルメタン、メチン、ポリメチン、フタロシアニン等の基本骨格を有する。そしてカチオン性カラー染料の例は、C.I.Basic Yellow 1,C.I.Basic Yellow 11,C.I.Basic Yellow 13,C.I.Basic Yellow19,C.I.Basic Yellow 21,C.I.Basic Yellow 25,C.I.Basic Yellow 33,C.I.Basic Yellow 36,C.I.Basic Red 1,C.I.Basic Red 2,C.I.Basic Red 9,C.I.Basic Red 12,C.I.Basic Red 13,C.I.Basic Red 38,C.I.Basic Red 39,C.I.Basic Red 92,C.I.Basic Blue 1,C.I.Basic Blue 3,C.I.Basic Blue 5,C.I.Basic Blue 9,C.I.Basic Blue 19,C.I.Basic Blue 24,C.I.Basic Blue 25,C.I.Basic Blue 26,C.I.Basic Blue 28,C.I.Basic Blue 45,C.I.Basic Blue 54,C.I.Basic Blue 65等を含む。なおこれらの染料を組合わせてカチオン性の黒色インクを製造することも可能である。
【0100】
(溶剤)
第1の化合物及び第2の化合物はいずれも高い水溶性、不揮発性を有している。それ故、反応前の液体組成物の状態ではそれ自体が乾燥防止溶剤としての機能を有する。従ってインクジェット記録等において、従来から使用されている有機溶剤類は必ずしも必要としない。溶媒を記録媒体への濡れ、インクドットの形状制御、浸透定着性等に用いる場合にはそのかぎりでない。
【0101】
水性黒色またはカラーインクの溶媒としては、水性溶媒が利用される。この水性溶媒としては、水に、必要に応じて水溶性有機溶媒を配合したものを用いることができる。この水性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、1、2、4−ブタントリオール、1、2、6ヘキサントリオール、1、2、5ペンタントリオール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ダイアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N−メチル2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングルコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコーリモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトール、1、4−シクロヘキサンジオール等を挙げることができ、これらの1種以上を用いることができる。
【0102】
更に、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングルコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、ブリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノール、1、2−シクロヘキサンジオール、1−ブタノール、3−メチル1、5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2、5−ジオール、2、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、2、4−ペンタンジオール、2、5−ヘキサンジオール、等である。エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、等の1価アルコールも浸透、濡れの調節などのために利用することができる。
【0103】
水溶性溶媒の総量はおおむねインク全体に対して5〜40重量%の範囲から選択することができる。
【0104】
(液中の色材濃度)
次に第1及び第2の液体組成物の少なくとも一方に含有させる色材の濃度は、色材として染料を用いる場合には液体中での染料濃度が0.5〜7.0重量%の範囲が好ましい。また色材として顔料を用いる場合には液体中の顔料濃度が0.5〜10重量%の範囲が好ましい。また近年はハーフトーンの再現性を高める為に色材濃度の低い、所謂淡インクを使用することがある。そのようなインクの場合には色材としての染料や顔料の濃度の下限を0.1重量%程度にまで減少させることもできる。
【0105】
(液特性)
第1及び第2の液体組成物は、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発砲により液滴を吐出する記録方法等に好適に用いられる。そしてかかるインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェットヘッドから正確に吐出可能な特性を有することが好ましい。またこのインクを記録媒体に付与したときに、インクが記録媒体上で適度なサイズのドット形状を維持するようにその特性を調整することが高品位な画像を形成するうえで好ましい。そしてインクジェットヘッドからの吐出性や記録媒体に付与直後のインク挙動という観点からは、該液体の特性としては、例えばその粘度を1〜15cps、表面張力が25dyn/cm以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50dyn/cmとすることが好ましい。
【0106】
(インクセット)
本態様に関わるインクセットとしては、例えば下記表2に示すような第1及び第2の液体組成物の組合わせからなるインクセットを挙げることができる。
【0107】
【表2】
Figure 0004458314
【0108】
上記表2に示したインクセットのうち、インクセット1〜3は黒色の印刷を記録媒体上に施すのに好適に用いられる。そしてこれらのインクセットを用いて各々の液体が記録媒体上で混合する様に付与することで第1の液体組成物、第2の液体組成物、もしくは第1及び第2の液体組成物の双方に含まれる色材は各々の液体に含まれる第1及び第2の化合物の反応物によって記録媒体内部への浸透が抑えられる。その結果黒色濃度が高くまたにじみの少ない、或いはにじみのほとんど観察されない印刷物を得ることができる。更に色材の記録媒体への定着性が該反応物によって高められる為、印刷物の耐水性、耐擦過性も極めて優れたものとなる。
【0109】
インクセット4〜8は、第1の液体組成物及び第2の液体組成物の各々に黒の色材、またはカラーの色材を含み、これらのインクセットを用いて第1及び第2の液体組成物が互いに接する様に記録媒体に付与した場合、黒色印刷部とカラー印刷部の境界領域において第1の化合物と第2の化合物との反応が生じる。その為、黒色印刷部とカラー印刷部との境界領域でブリーディングが少ない、或いはほとんど観察されないカラー印刷物を得られる。又インクセット4〜8の各々において、第1の液体組成物及び/または第2の液体組成物にカラーの色材を含ませたカラーインクとしては、例えばシアンインク、マゼンタインク及びイエローインクから選ばれる少なくとも1つのインクである。そしてシアンインク、マゼンタインク及びイエローインクのすべてをカラーインクとして備えたインクセットとした場合には、それを用いて極めて高品位なマルチカラー印刷を行うことができる。
【0110】
即ち、第1の液体組成物と第2の液体組成物の双方に同一の色調の色材を含ませて、同一もしくはほぼ同一の色調を有するカラーインクとした場合には、記録媒体上におけるその色調のカラー印刷部と隣接する異色の印刷部との間でのブリーディングが抑制もしくは防止できる。
【0111】
また第1の液体組成物と第2の液体組成物とに各々異なる色調を有する色材を含ませ、異色のカラーインクとした場合には、記録媒体上におけるその異なる色調の印刷部分間におけるブリーディングを抑制もしくは防止できる。
【0112】
次にインクセット9は第1の液体組成物と第2の液体組成物と色材を含むインクとで構成される。該インクは例えば黒インク、カラーインク或いは黒インク及びカラーインクである。そして例えば該インクが黒インクまたはカラーインクである場合、このインクセットを用いて記録媒体上で第1の液体組成物、第2の液体組成物及びインクとが混合するように各々の液体とインクを記録媒体に付与することで光学濃度の高い、にじみの少ない、耐水性や耐擦過性に優れた印刷物を得ることができる。
【0113】
また該インクが黒インク及びカラーインクである場合、このインクセットを用いて、該第1の液体組成物と黒インクとが記録媒体上で混合される様に該液体と該インクとを付与し、且つ該第2の液体組成物とカラーインクとが記録媒体上で混合される様に該液体とカラーインクとを付与し、また第該第2の液体組成物を該カラーインクとが記録媒体上で混合される様に該第2の液体組成物を該カラーインクとを、該記録媒体上の該黒インクが付与される領域と接するように付与した場合、黒印刷部とカラー印刷部との境界領域でのブリーディングが極めて有効に抑えられ、高品位のカラー印刷物を得ることができる。或いは該第2の液体組成物と黒インクとが記録媒体上で混合される様に該液体と黒インクとを記録媒体に付与し、該第1の液体組成物をカラーインクとが記録媒体上で混合される様に該液体と該インクとを、記録媒体上の該黒インクが付与される領域と接するように付与した場合、黒印刷部とカラー印刷部との境界領域でのブリーディングが極めて有効に抑えられ、高品位のカラー印刷物を得ることができる。
【0114】
また第1の液体組成物および第2の液体組成物の双方に色材を含有させない場合には、色材分が無いので、第1の化合物及び第2の化合物の優れた水溶性との相乗作用により、、どちらの化合物もインク中の濃度を50重量%程度まで高くすることが出来る。一方、インクジェット法によって吐出可能なインクとして水溶性の高分子化合物を溶解してインクにする場合には、粘度の制約から高々10重量%程度に抑える必要がある。
【0115】
このことは、上記インクセットを用いることで、耐擦過性を大幅に向上させた印刷物を得られることが理解されよう。
【0116】
更には、上記インクセット9から色材を含むインクを除いたインクセット(以降「インクセット10」)を用いることで、被記録媒体上に、きわめてハイソリッドの高分子化合物膜を形成することが出来る。つまり、記録紙上で高分子化した後の固形分が高くなり、層の厚さが大きくなる。それは被覆層としてあるいはそれ自身凸部を有する印刷として実用的に有用なものである。インクジェット記録物の保護のみならず、種々の印刷物の保護層、いわゆるトップコートとしての応用が可能である。インクジェット記録物に応用する場合には、光沢度のアップ、反射濃度のアップ、汚れ防止、汚れた時の拭き取り性、耐水性、耐光性、耐オゾン性などもさらに上昇させることが出来る。必要な部分だけにそのような保護被覆を施すような応用には好適に用いられる。このような効果をもたらすインクセット10も本件発明の範囲内のものである。
【0117】
(インクジェット記録装置)
図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1、17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される畜熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性の良い材料で形成される基板20より成り立っている。
【0118】
上記ヘッドの電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23が突出し、インクがヘッドのノズル14を通って吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。
【0119】
図3には図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じ様な発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0120】
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0121】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0122】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に系合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は被記録材を挿入するための紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
【0123】
これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0124】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0125】
(インクカートリッジ)
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクのヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0126】
(記録ユニット)
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述の様にヘッドとインクカートリッジとが別体になったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。
【0127】
又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でも良い。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図3に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0128】
次に、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を図7に示す。
【0129】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0130】
図7において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。この様な記録ヘッドは図4に示したものと同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部の動作は先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0131】
次に上記したインクセットを用いてカラー画像を記録する場合には、例えば前記図3に示した記録ヘッドを4つキャリッジ上に並べた記録装置を用いることができる。図9はその一実施例であり、91、92、93及び94は各々イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのインクを吐出するための記録ユニットである。該記録ユニットは前記した記録装置のキャリッジ上に配置され、記録信号に応じて各色のインクを吐出する。また図9では記録ユニットを4つ使用した例を示したが、これに限定されず例えば図8に示した様に1つの記録ヘッドで上記の4色のインクを各々含むインクカートリッジ86〜89から供給される各色のインクを各々個別に吐出させることができる様にインク流路を分けて構成した記録ヘッド95に取付けて記録を行う態様も挙げられる。
【0132】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0133】
なお本実施例において、「部」は特に断りのない限り、重量部を表わす。
【0134】
(実施例1)
下記の組成を有する第1及び第2の液体組成物(インク)を調製した。
第1の液体組成物
・化合物A−8:20部
・水:80部
第2の液体組成物
・ポリエチレンイミン(化合物B−3):20部
(数平均分子量:13500)
・C.l.ダイレクトブラック168:3.5部
・水:76.5部
【0135】
上記1の液体及び第2の液体組成物からなるインクセットを用いて印刷テストを行った。具体的にはまずインクジェットプリンタ(商品名:BJC700J;キヤノン株式会社製)を用意した。このプリンタの2つのプリントヘッドの各々に上記第1の液体組成物及び第2の液体組成物を収容した。このプリンタに電子写真用複写紙(ノンコート紙)(商品名:PBペーパー;キヤノン社製)をセットし、文字とパターンとを含む文書を印刷した。印刷方法としては先ず第2の液体組成物を付与した後、該インク付与領域に重ねて第1の液体組成物を付与した。該第2の液体組成物の付与と第1の液体組成物の付与との間の時間差は約1/50秒程度であり、記録媒体上では該第1の液体組成物と第2の液体組成物は十分に混合していた。こうして得た印刷物を一日間、通常の環境(温度25℃、湿度50%)のオフィスに放置した後、1ドットの鮮明性、印刷の耐水性及び耐マーカーペン性を下記の様にして評価した。その結果は下記表3に示す。
【0136】
ドットの鮮明性:記録媒体上の1ドットを目視で観察し、濃度及びドット周囲のヒゲ状のにじみの有無を観察した。
【0137】
耐水性:印刷物に対して水をスプレーした後、該印刷物を傾斜させたまま保持し、滲みの発生を観察した。
【0138】
耐マーカーペン性:印刷物の印字部を黄色のマーカーペン(商品名:ZEBRA蛍光PEN2;ゼブラ社製)でなぞり、汚れの発生の有無を観察した。
【0139】
(比較例1)
上記実施例1において、第2の液体組成物を下記の組成のインクに変えた以外は実施例1と同様にして印刷を行った。
比較例1のインク
・C.I.ダイレクトブラック168:3.5部
・ジエチレングリコール:15部
・水:81.5部
【0140】
【表3】
Figure 0004458314
【0141】
(実施例2)
下記表4に示す組成の第1の液体組成物及び第2の液体組成物からなるインクセットを調製し、上記実施例1と同様にして印刷した但し本実施例においては、記録媒体への液体の付与は、第1の液体組成物、ついで第2の液体組成物の順番で行った。
【0142】
【表4】
Figure 0004458314
上記実施例2の結果を下記表5に示す。
【0143】
【表5】
Figure 0004458314
【0144】
(実施例3)
下記表6及び7に示す組成の第1及び第2の液体組成物からなるインクセットを調製した。
【0145】
【表6】
Figure 0004458314
【0146】
【表7】
Figure 0004458314
【0147】
これらの4種のインクを各々インクジェットカラープリンタ(商品名:BJF−800;キヤノン(株)社製)のプリントヘッドに搭載した。印字は黒インクの印字部にはいずれかのカラーインクを均等に重ね打つ様にして行った。即ち黒色部において第1の化合物(A−3)及び第2の化合物(B−1)の反応が起こるようにした。印字には電子写真用の普通紙及び2種類のインクジェット用光沢紙(商品名:GP−301;キヤノン(株)社製)(商品名:HG−201;キヤノン(株)社製)を用いた。
【0148】
このようにして得られた印刷物について、耐水性、耐擦過性、耐マーカーペン性、文字の反射濃度、目詰まり性及び吐出持続性について評価した。評価基準は下記の通りとした。その結果を表8に示す。
【0149】
耐水性:印刷物に対して水をスプレーした後、該印刷物を傾斜させたまま保持し、滲みの発生を観察した。
◎:印刷品位の変化は認められず、またインクの滲みは発生せず鮮明であった。
○:印刷品位に変化は認められないが、水で濡れた文字の水を拭き取る際に容易に周囲に滲みが発生した。
△:判読可能であるが、周囲に滲みが発生した。
【0150】
耐擦過性:文房具として市販されている消しゴムにて5回文字を消す要領で文字上をこすった後の文字の状態を観察した。
◎:文字濃度に殆ど変化は認められなかった。
○:多少文字が薄くなったが、完全に消えることはなかった。
△:強くこすると文字を完全に消すことができた。
【0151】
耐マーカーペン性:印刷物の印字部を黄色のマーカーペン(商品名:蛍光PEN2;ゼブラ社製)でなぞり、汚れの有無を観察した。
◎:文字の周辺部へのインクの滲み、ペンのフェルト部へのインクの転移が見られない。
○:文字の周辺部へのインクの滲みは見られないが、ペンのフェルト部へのインクの転移が見られた。
△:文字の周辺の非印字部への汚れが発生して黄色インクと黒のインク成分が混じって、文字が読みにくくなった。
【0152】
目詰まり性:プリンタのノズルにキャップをして1日放置した後、印字を再開したときのノズルからのインクの発生、及びドットの乱れを観察した。
◎:不吐出、印字の乱れは認められない。
○:不吐出はないが、印字再開の初期に若干の乱れが認められる。
△:不吐出はないが、クリーニングでも復帰し難い程度の印字の乱れが認められる。
【0153】
吐出持続性:インクを15ml充填したインクタンクを用いて、文書印刷を50頁実施して、ベタパターンの濃度低下や文字の鮮明性の変化を観察した。
◎:ベタパターンの濃度の低下は最後まで観察されない。
○:最後に10%程度の濃度低下が観察される。
△:濃度の低下が発生し、かすれた文字となる。
【0154】
(比較例2)
上記実施例3の対照として、実施例3のインクセットにおいて第1の液体組成物を下記の組成の黒インクに変えた以外は実施例3と同様のインクセットを用意し、実施例3と同様にして印刷デストを行った。
【0155】
比較例2の黒インク
・自己分散型カーボンブラック分散体:6部
(商品名:キャボジェット300;キャボット社製)
・トリエチレングリコール:15部
・水:79部
【0156】
(比較例3)
上記実施例3の対照として、実施例3のインクセットにおいて第1の液体組成物を下記の組成の黒インクに変えた以外は実施例3と同様のインクセットを用意し、実施例3と同様にして印刷デストを行った。
【0157】
比較例3の黒インク
・自己分散型カーボンブラック分散体:6部
(商品名:キャボジェット300;キャボット社製)
・スチレン−アクリル酸共重合体のアミン塩水溶液:25部
(濃度20wt%、数平均分子量3500、酸価230)
・トリエチレングリコール:15部
・水:54部
【0158】
【表8】
Figure 0004458314
【0159】
(実施例4)
下記表9及び10の組成の第1及び第2の液体組成物からなるインクセットを調製し、カラー印刷を行った。印刷にはカラーインクジェットプリンタ(商品名:BJC700J;キヤノン(株)社製)を用い、記録媒体としては電子写真複写用普通紙、及びインクジェット用専用光沢紙(商品名:GP301;キヤノン(株)社製)を用いた。
【0160】
プリントには先に第2の液体組成物を記録媒体上の、各々のカラーの第1の液体組成物(インク)を付与する位置に付与し、記録媒体上で第1の化合物と第2の化合物との反応が進む様にした。
【0161】
【表9】
Figure 0004458314
【0162】
【表10】
Figure 0004458314
【0163】
上記実施例4によって得られた普通紙、光沢市の印刷物は、耐水性、耐擦過性、耐マーカーペン性に非常に優れていた。特に従来、インク添加剤では耐水性を与えにくかった水溶性染料を用いてもドット濃度を維持しながら非常に高い耐水性を有する印刷物を得られることが分った。
【0164】
(実施例5)
上記実施例4において、第1の液体組成物として下記表11の組成のインクとした以外は実施例4と同様にしてインクセットを用意し、印刷テストを行った。
【0165】
【表11】
Figure 0004458314
【0166】
上記実施例5によって得られた印刷物は、普通紙及び光沢紙の双方共に耐擦過性、耐マーカーペン性に大幅な改善が認められた。従来からインクジェット用の水性顔料インクは記録媒体の付着性が十分でない場合があったが、本態様によってそれに関連する性能が大きく改善されることが分った。
【0167】
(実施例6)
下記表12及び13で示される組成の第1及び第2の液体組成物を用意した。
【0168】
【表12】
Figure 0004458314
【0169】
【表13】
Figure 0004458314
【0170】
これらのインクをインクジェットカラープリンタ(商品名:BJF−800;キヤノン(株)社製)に搭載した。印字は各色の印字部に予め第2の液体組成物を付与しておく様にして重ね打った。即ち色材を含有するすべてのインクが記録紙上で反応する様にした。記録媒体としては電子写真用の普通紙及び2種類のインクジェット用光沢紙(商品名:GP−301;キヤノン(株)社製)(商品名:HG−201;キヤノン(株)社製)を用いた。
【0171】
この様にして得られた印刷物は、染料インクの耐水性、耐マーカーペン性、及び黒色顔料インクの耐擦過性、耐マーカーペン性において優れた堅牢性を示した。
【0172】
(実施例7)
下記表14及び15で示される組成の第1及び第2の液体組成物を用意した。
【0173】
【表14】
Figure 0004458314
【0174】
【表15】
Figure 0004458314
【0175】
これらのインクをインクジェットカラープリンタ(商品名:BJF−800;キヤノン(株)社製)に搭載した。印字は黒インクのドットの吐出に先立って、いずれかのカラーインクのドットを記録媒体に付与するようにした。プリントはすべてのドットが往復の2スキャンで付与が終了する様に、最も高速な印刷モードで行った。記録媒体としては電子写真用の普通紙及び2種類のインクジェット用光沢紙(商品名:GP−301;キヤノン(株)社製)(商品名:HG−201;キヤノン(株)社製)を用いた。
【0176】
この様にして得られた印刷物は、黒印刷部とカラー印刷部の境界での滲み出しが観察されず、鮮明なカラー画像が得られた。またブラックの文字部分では耐水性、及び耐擦過性は非常に良好であった。
【0177】
(実施例8)
下記表16及び17で示される組成の第1及び第2の液体組成物を用意した。
【0178】
【表16】
Figure 0004458314
【0179】
【表17】
Figure 0004458314
【0180】
インクジェット用光沢紙(商品名GP301;キヤノン(株)社製)上に、インクジェットプリンタ(商品名:BJF−600;キヤノン(株)社製)を使用して、上記表16に記載のブラックインク1を付与して、3cm×3cmのソリッドパターンを8個形成した。その直後に上記8事故のパターンの内の4個のパターン上に、上記表17に示す組成の第2の液体組成物を、1個のソリッドパターンの形成に用いたブラックインク1の量の半分の量付与した。次いでこの印刷済光沢紙を24時間室内に放置した後、各ソリッドパターンの色相を測定した。次いでこの印刷済光沢紙をオゾン濃度3ppmに調整したオゾン試験装置に2時間入れ、その後再度各ソリッドパターンの色相を測定した。そしてオゾン曝露試験前後での、第2の液体組成物を付与したパターンの色差と、第2の液体組成物を付与しなかったパターンの色差とを比較した。
【0181】
また、上記表16に示した他の各インクについても同様の試験を行ない、評価した。その結果を表18に示す。
【0182】
【表18】
Figure 0004458314
【0183】
(実施例9)
次の組成の色材を含有しない透明インクを調製した。
第1の透明インク
・化合物A−3:30重量%
・水:70重量%
第2の透明インク
・エポミンSP−012:30重量%
・水:70重量%
【0184】
これら2種のインクを、2つのインクジェットプリンタヘッドに充填し、同一の領域にべた印刷するような画像データにて、以下の2種の印刷を行った。
【0185】
インクジェット記録用の光沢フィルム(商品名:HG−201;キヤノン株式会社製)に画像を印刷したものを準備し、画像領域に上記第1の透明インク(第1の液体組成物)および第2の透明インク(第2の液体組成物)とを、各々が該フィルム表面において液体状態で混合するような状態で印刷した。塗布量は合計20ml/m2であった。印刷後24時間放置した後に、画像の評価を行った。その結果、光沢フィルム表面に形成された、第1の化合物と第2の化合物との反応物としての高分子化合物膜は、傷が付きにくかった。また掲示における屋内環境での変色に対して、大きな改善効果を与えるものであった。
【0186】
電子写真用のOHPフィルム上に、矩形の微少パターンを印刷し、乾燥することによって凸部を有するパターンを形成した。それは通常のインクを印刷した場合よりも、はるかに凹凸感のある盛り上がった透明矩形パターンであった。この結果から本願インクを用い、それを非浸透性の基材上の印刷に使用すると、凸部パターンの形成に非常に有利であることがわかった。
【0187】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明によれば、印刷後に光照射等を行うことなしに、耐水性、耐擦過性に優れ、更には滲みやブリーディングの少ない、或いはほとんど無い、高品位な印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す横断面図である。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。
【図6】記憶ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
【図8】インクセットの一実施態様の概略説明図である。
【図9】インクセットの他の実施態様の概略説明図である。
【符号の説明】
13 ヘッド
14 インク溝
15 発熱ヘッド
16 保護膜
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク小滴
25 被記録材
26 マルチ溝
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口

Claims (21)

  1. 電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の化合物を含有する第1の液体組成物と、
    該第1の化合物との共存下で該第1の化合物に付加する活性水素を有する水溶性の第2の化合物を含有する第2の液体組成物とを備えており、
    該第1の化合物が下記式A−1〜A−12から選ばれる少なくとも1つであり、かつ該第2の化合物が下記式B−1〜B−17から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とするインクセット。
    【外1】
    Figure 0004458314
    【外2】
    Figure 0004458314
    【外3】
    Figure 0004458314
    【外4】
    Figure 0004458314
    【外5】
    Figure 0004458314
  2. 該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方が更に色材を含む請求項に記載のインクセット。
  3. 該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物がともに黒インクである請求項に記載のインクセット。
  4. 該第1の液体組成物及び第2の液体組成物の一方がカラーインクであり、他方が黒インクである請求項に記載のインクセット。
  5. 該インクセットが更に色材を含むインクを備えている請求項1〜のいずれかに記載のインクセット。
  6. 該インクが黒インクである請求項に記載のインクセット。
  7. 該インクがカラーインクである請求項に記載のインクセット。
  8. (i)請求項2〜4のいずれかに記載のインクセットを用意する工程;及び
    (ii)該インクセットが備える第1の液体組成物と第2の液体組成物を記録媒体に、該第1及び第2の液体組成物とが混合もしくは接触する様に付与する工程、
    を有することを特徴とする印刷方法。
  9. 前記工程(ii)において、第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方をインクジェット法によって記録媒体に付与する請求項8に記載の印刷方法。
  10. (i)請求項5〜7のいずれかに記載のインクセットを用意する工程;
    (ii)該インクセットが備える第1の液体組成物及び第2の液体組成物を記録媒体に、該第1及び第2の液体組成物が混合もしくは接触する様に付与する工程;及び(iii)該インクを該第1の液体組成物または該第2の液体組成物と混合する様に記録媒体に付与する工程、を有することを特徴とする印刷方法。
  11. 前記工程(ii)において、該第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方をインクジェット法によって記録媒体に付与する請求項10に記載の印刷方法。
  12. 前記工程(iii)において、該インクをインクジェット法によって記録媒体に付与する請求項10または11に記載の印刷方法。
  13. 記録媒体上に色材を含む着色部を有する印刷物であって、該着色部は、電子吸引性の置換基をα位に有するエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する水溶性の第1の化合物を含有する第1の液体組成物と、
    該第1の化合物との共存下で該第1の化合物に付加する活性水素を有する水溶性の第2の化合物を含有する第2の液体組成物との反応物を更に含み、
    該第1の化合物が下記式A−1〜A−12から選ばれる少なくとも1つであり、かつ該第2の化合物が下記式B−1〜B−17から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする印刷物。
    【外6】
    Figure 0004458314
    【外7】
    Figure 0004458314
    【外8】
    Figure 0004458314
    【外9】
    Figure 0004458314
    【外10】
    Figure 0004458314
  14. 請求項2〜4のいずれかに記載のインクセットと、該インクセットが備える第1の液体組成物及び第2の液体組成物とを各々別個に記録媒体に向けて吐出する手段、及び該第1の液体組成物と該第2の液体組成物とが該記録媒体上で液体状態で互いに接触する様に制御する手段を備えていることを特徴とする印刷装置。
  15. 請求項5〜7のいずれかに記載のインクセットと、該インクセットが備える第1の液体組成物、第2の液体組成物及びインクとを各々別個に記録媒体に向けて吐出する手段、及び該第1の液体組成物、第2の液体組成物および該インクとが記録媒体上で液体状態で互いに接触する様に制御する手段を備えていることを特徴とする印刷装置。
  16. 請求項1に記載のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、請求項1に記載のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部とを備えているインクカートリッジであって、該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方がさらに色材を含み、該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物とを各々個別に吐出させるインクジェットヘッドに着脱可能に構成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  17. 請求項1に記載のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部、請求項1に記載のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部、及び色材を含むインクを収容しているインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、該第1の液体組成物、該第2の液体組成物及び該インクとを各々個別に吐出させるインクジェットヘッドに着脱可能に構成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  18. 請求項1に記載のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、該第1の液体収容部に収容されている該第1の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、
    請求項1に記載のインクセットが備える第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部と、該第2の液体収容部に収容されている該第2の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッドを備えている記録ユニットであって、
    該第1の液体組成物及び該第2の液体組成物の少なくとも一方が更に色材を含んでいることを特徴とする記録ユニット。
  19. 請求項1に記載のインクセットが備える第1の液体組成物を収容している第1の液体収容部と、該第1の液体収容部に収容されている該第1の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、
    請求項1に記載のインクセットが備える第2の化合物を含有する第2の液体組成物を収容している第2の液体収容部と、該第2の液体収容部に収容されている該第2の液体組成物を吐出させるインクジェットヘッド、及び
    色材を含むインクを収容しているインク収容部と、該インク収容部に収容されている該インクを吐出させるインクジェットヘッドとを備えていることを特徴とする記録ユニット。
  20. (i)請求項に記載のインクセットを用意する工程;及び
    (ii)該インクセットが備える第1の液体組成物と第2の液体組成物を各々、記録媒体に、該第1及び第2の液体組成物とが混合もしくは接触する様に付与し、該第1の化合物及び該第2の化合物とを反応させる工程、
    を有することを特徴とする高分子化合物膜を形成する方法。
  21. 前記工程(ii)において、該第1の液体組成物及び第2の液体組成物の少なくとも一方をインクジェット法によって記録媒体に付与する請求項20に記載の方法。
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