JP2006160819A - インク、インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

インク、インクジェット記録方法及び記録物 Download PDF

Info

Publication number
JP2006160819A
JP2006160819A JP2004351046A JP2004351046A JP2006160819A JP 2006160819 A JP2006160819 A JP 2006160819A JP 2004351046 A JP2004351046 A JP 2004351046A JP 2004351046 A JP2004351046 A JP 2004351046A JP 2006160819 A JP2006160819 A JP 2006160819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pigment
reaction liquid
recording
colorant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004351046A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Hakamata
慎一 袴田
Yoichi Takada
陽一 高田
Yasuhiro Nito
康弘 仁藤
Masafumi Tsujimura
政史 辻村
Akifumi Akasaka
聡文 赤坂
Shinya Mishina
伸也 三品
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004351046A priority Critical patent/JP2006160819A/ja
Publication of JP2006160819A publication Critical patent/JP2006160819A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0011Pre-treatment or treatment during printing of the recording material, e.g. heating, irradiating
    • B41M5/0017Application of ink-fixing material, e.g. mordant, precipitating agent, on the substrate prior to printing, e.g. by ink-jet printing, coating or spraying

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 インクと反応し該インクを凝集せしめる反応液と供に用いるインクであって、安定な吐出特性を損ねることなく、耐擦過性を向上させるインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】 インクと反応し該インクを凝集せしめる反応液と供に用いるインクであって、該インク中に2種類以上の着色剤を含み、第1の着色剤が、その表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料であり、且つ第2の着色剤が、有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルであることを特徴とするインク。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水性ボールペン、万年筆、水性サインペン等の筆記具や、インクジェットプリンタ用に好適な、インクと、該インク中の成分を含有する反応液とが組み合わされたインクセット、及び画像形成方法に関する。
従来、印刷インクの着色剤として、耐水性や耐光速等の堅牢性に優れた顔料が広く用いられているが、顔料を水性インクの色材として用いるためには、水性媒体中に顔料を安定して分散させることが要求される。そのため、一般的には均一分散系を得るために、分散剤を添加して顔料を水性媒体中に分散させる方法がとられている。しかしながら、この分散剤を使用する方法によってもインクジェット用途としては必ずしも充分に満足し得る分散性が得られず、新しい顔料分散方法が提案されている。例えば、カーボンの表面に水溶性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に分散させることができる自己分散型顔料が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。又、顔料の表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合された自己分散型顔料からなる色材が開示されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、イオン性基を有する有機高分子化合物によって水不溶性色材が完全に内包しているマイクロカプセルが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
インクジェット記録方式は、インクの小滴を飛翔させて、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法であるが、該記録方式によれば、安価な装置で、高解像度、高品位なフルカラー画像を高速で印刷することが可能である。このインクジェット記録方式にも、上記で挙げられたような着色剤を色材とて使用しされている場合が数多く存在する。しかしながら、インクジェット記録方法は、インクが液体であるために、記録媒体上に着弾した際に、特に普通紙の記録媒体を用いた場合には、インク液滴が記録媒体中に浸透して輪郭部が不明瞭となることや、又、隣接した異なる色間の境界滲み(所謂、カラーブリード)が発生するという現象を生じる場合があった。
これに対し、上記の問題を解決することを目的として、多価金属塩を含む溶液を記録媒体に付与した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインクを付与する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。即ち、該方法によれば、多価金属イオンを含有する溶液(反応液)と、該イオンと反応し得る染料を含むインクが記録媒体上で接触することにより、不溶性物が形成され、その結果として、輪郭部の不明瞭性が改善され、及びカラーブリードを生じることがなく、更に、印字裏面への色材の裏抜けが低減された(以下、裏抜け性と呼ぶ)高品位の画像を得ることが可能となる。
又、塩との作用によって増粘又は凝集するブラックインクと、その塩を含有するカラーインクとを組み合わせて使用することにより、画像濃度が高く、且つカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られる、という技術手段の提案もある(例えば、特許文献6参照)。即ち、上記した技術では、いずれも、混合されると互いに反応する2液をセットとして用いて、画像形成の際に、これらの特性の異なる2液を用いて記録媒体上に印字物を形成することで、良好な画像を得ること(以下、2液システムと呼ぶ)を達成している。その他にも、2液を用いる各種の提案がなされている(例えば、特許文献7及び8参照)。
特開平5−186704号公報 特開平8−3498号公報 米国特許554739号明細書 特開平10−140065号公報 特開平5−202328号公報 特開平6−106735号公報 特開平3−240557号公報 特開平3−240558号公報
本発明者らは、記録物の形成に、反応性成分を含有する反応液と、該反応液と混合されると反応するインクをセットで用いる2液システムについて種々の検討を行った。その結果、このようなインクセットを使用する2液システムでは、確かに、輪郭部の不明瞭性が改善され、且つ、異なる色のインクを複数用いた場合には、カラーブリードを生じることなく、更に、裏抜け性の優れた高品位の画像形成が可能となることを確認した。
しかしながら、上記で述べたような2液システムにおいて、インク中に含有されている着色剤として、インクの保存安定性や、インクジェット記録に使用した場合の吐出特性(周波数応答性、ノズル先端でのインク吐出口メニスカス後退等により吐出不良等)が他の方法により分散された顔料分散体(樹脂分散型、マイクロカプセル型等)よりも優れている、顔料の表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合された自己分散型顔料を使用して検討を進めていたところ、2液の反応性が高いがゆえの新たな課題を認識するに至った。
即ち、着色剤として表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料を使用した場合、インクと反応液との反応性が高く、記録媒体の上部に多くの色材が残った場合、記録箇所を擦ると色材が削れてしまう現象が確認された。
本発明者らは、上記課題を解決するために様々な検討を行った結果、インク中に着色剤として顔料を有機高分子化合物によって被覆しているマイクロカプセルを併用して使用することで、着色剤として自己分散顔料を使用し、記録媒体の上部に多くの色材が残った場合でも、記録箇所を擦ると色材が削れてしまう現象を低減することが可能であることが解った。上記のような効果が現れる理由は定かではないが、本発明者らは、以下に示すように推測した。
顔料を有機高分子化合物によって被覆しているマイクロカプセルは、反応液との反応後も顔料の表面が有機高分子化合物に覆われている割合が多いために、自己分散顔料に比べ、記録箇所を擦ると色材が削れてしまう割合が少ない。更に、該高分子化合物が記録媒体上で反応液と接触した場合、マイクロカプセル同士の凝集が起こる。これらの現象は、インク中に自己分散顔料とマイクロカプセルとが併用されていても同様な現象が起こる。その結果、マイクロカプセル同士の凝集に伴い、記録媒体上に同じく存在する自己分散顔料をも結果的に被覆するために、自己分散顔料を着色剤として単独で使用した場合よりも、耐擦過性が向上したものと推測される。
従って、本発明の目的は、2液システムにより画像形成を行った場合に、インク中に含有される着色剤として、インクの保存安定性、インクジェット記録に使用した場合の吐出特性に優れている自己分散顔料を使用した場合でも、記録箇所を擦っても色材が削れることのないインク及びインクジェット記録方法並びにその記録物を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、インクと反応し該インクを凝集せしめる反応液と供に用いるインクであって、該インク中に2種類以上の着色剤を含み、第1の着色剤が、その表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料であり、且つ第2の着色剤が、有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルであることを特徴とするインクを提供することである。
更に、本発明の好ましい形態は、前記構成において、前記反応成分が、多価金属のイオン及びその塩から選ばれる少なくとも何れかを含むインク、又、前記構成において、前記多価金属のイオンが、Ca、Cu、Ni、Mg、Zn、Ba、Al、Fe、Cr、及びYから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンであるインクが挙げられる。
又、本発明の別の実施形態にかかるインクジェット記録方法は、記録媒体にインクと反応液を付与して記録を行う記録方法において、上記したいずれかの形態のインクを用い、且つ少なくともインクの記録媒体への付与をインクジェット記録方法で行うことを特徴とする。更に、本発明の好ましい形態は、上記構成において、反応液を前記インクに先立って付与するインクジェット記録方法が挙げられる。更に本発明の別の実施形態は、上記構成のインクジェット記録方法によって記録されたことを特徴とする記録物である。
本発明によれば、インクと反応し該インクを凝集せしめる反応液と供に用いるインクであって、該インク中に2種類以上の着色剤を含み、第1の着色剤が、その表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料であり、且つ第2の着色剤が、有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルである水溶性インクを用いることで、自己分散顔料の利点である安定な吐出特性を損ねることなく、耐擦過性を向上させることが可能となった。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、インクと該インクを凝集せしめる反応液を用いて画像を形成させる2液システムにおいて鋭意検討した結果、インク組成物中に含有される着色剤として、顔料表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料と、有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルを併用させることで、インクの吐出性に優れ、且つ耐擦過性に優れた高品位の画像を提供することを検知して本発明に至った。
以下、本発明の反応液とインクとのセットを構成するインク及び反応液について説明する。
(インク)
本発明のインクセットは、インク中に含有される2種類の着色剤として、第1の着色剤が表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料であり、第2の着色剤が有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルであるインクと、これらのインクと反応して該インクを凝集又はゲル化せしめる反応性成分を含有する反応液とを具備したもので構成される。
上記した反応液と反応して凝集或いはゲル化されるインクとしては、例えば、インク中の着色剤が、イオン性基によって水性媒体に分散又は溶解させられているインクが挙げられる。本発明で使用するインクに用いることのできる着色剤として使用される顔料は、特に限定されるものではなく、下記に挙げるようなものが使用可能である。
(顔料)
用いる顔料としては、例えば、カーボンブラックや有機顔料等が挙げられる。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(SpecialBlack)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。又、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
(有機顔料)
有機顔料として具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
又、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、以下のものが例示できる。勿論、以下のもの以外でも従来公知の有機顔料が使用可能である。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168等
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61等
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240等
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等
C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64等
C.I.ピグメントグリーン:7、36等
C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
(第1の着色剤)
本発明の顔料インクを構成する第1の着色剤としては、少なくとも一種の親水性基が顔料の表面に直接若しくは他の原子団を介して結合した自己分散型顔料を用いる。この結果、従来のインクの様に、顔料を分散させるための分散剤が不要となる。本発明で使用する自己分散型顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
アニオン性に帯電した顔料表面に結合されている親水性基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基又は置換もしくは無置換のナフチル基を表わす。)等が挙げられる。ここでフェニル基及びナフチル基の置換基としては、例えば炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
本発明においては、これらの中で、特に、−COOM、−SOMが顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
上記に列挙したイオン性基中、Mとして表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCs等が挙げられる。又、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。そして、上記Mが、アンモニウム或いは有機アンモニウムである自己分散型顔料を含むインクは、記録画像の耐水性をより向上させることができ、この点において好適に用いることのできる。これは当該インクが記録媒体上に付与されると、アンモニウムが分解し、アンモニアが蒸発する影響によるものと考えられる。
アニオン性に帯電している自己分散型顔料の製造方法としては、例えば、顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられ、この方法によって、顔料表面に−COONa基を化学結合させることができる。
又、本発明においては、上記に挙げた様な親水性基が、他の原子団を介して顔料の表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水性基が他の原子団を介して顔料の表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM、−Ph−SOM、−C10NH 等が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されない。
顔料表面に親水性官能基を導入する方法として、例えば顔料にp−アミノベンゼンスルホン酸をジアゾ化し顔料に反応させる方法が挙げられるが、もちろん本発明はこれらに限定されるわけではない。上記のようなジアゾ化による親水性官能基導入においては、副反応を抑えるために顔料が第1級アミンを持たないことが望ましい。
本発明の水性顔料インクに用いる自己分散型顔料は、顔料表面の親水性基によってカチオン性もしくはアニオン性に帯電しており、そのイオンの反発によって水分散性を有し、又、その親水性基により親水性も向上している。そのため、長期間放置されても、顔料の粒径や粘度が増大したりすることなく水性媒体中に安定して分散された水性顔料インクが得られる。
(第2の着色剤)
本発明の顔料インクを構成する第2の着色剤として使用されるマイクロカプセルは、有機高分子化合物によって水不溶性色材が包含されてなることを特徴とする。ここで被覆するというのは必ずしもコアとなる水不溶性色材を有機高分子化合物が「完全に」覆っていることを必要とはしていない。これから述べる製法によって、有機高分子化合物が水不溶性色材の表面を覆うことによって所望の性能を発揮すれば、本発明におけるマイクロカプセルであると言える。
(マイクロカプセル化の方法)
マイクロカプセル化の方法としては、従来公知の方法として化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法等が挙げられる。おもに界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法)、in−situ重合法(液体又は気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法)、液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法)、コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子溶顔を高分子濃度の高いコアセルべート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)、液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)、融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法)、気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸沸し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法)、スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法)等が挙げられる。
特に、インクジェット用途に用いる場合には、さらに微細で且つ均一なマイクロカプセル顔料を得る目的に適している酸析法又は転相法を利用することがさらに好ましい。
酸析法はアニオン性基含有有機高分子化合物類のアニオン性基の一部又はすべてを塩基性化合物でもって中和し、有機顔料又はカーボンブラックと、水性媒体中で混練する工程、及び、酸性化合物でもってPhを中性又は酸性にしてアニオン性基含有有機高分子化合物類を析出(酸析)させて顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部又はすべてを中和させることにより得る方法である。このようにすることによって、分散剤無しに水分散可能であり、微細で高顔料分のアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
転相法は水に対して自己分散能又は溶解能を有するアニオン性有機高分子化合物類と有機顔料又はカーボンブラックとの複合物又は複合体、あるいは有機顔料又はカーボンブラックと硬化剤及びアニオン性有機高分子化合物との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは、水中に該有機溶媒相を投入して、マイクロカプセル化する。このようにすることによって、分散剤無しに水分散可能であり、微細で高顔料分のアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることから言えば、記録液用のビヒクルを混入させる方がより好ましい。
(溶剤)
又マイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルキルアルコール系、べンゾール、トルオール、キシロール等の芳香族炭化水素系、酢酸メチル、エチル、ブチル等のエステル系、クロロホルム、二塩化エチレン等の塩素化炭化水素系、アセトン、ジオキサン、セロソルブ系の溶剤等が用いられる。
(マイクロカプセルのカプセルの材料)マイクロカプセルのカプセルの材料は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ナトリウム、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミン等が用いられる。
これらの中でも特にカルボン酸基又はスルホン酸基等のアニオン性基を有する有機高分子化合物を使用することが好ましい。
特に上記の中で界面重合法では、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が、in−situ重合法で、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド等が、液中硬化法では、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂等が、コアセルベーション法では、ゼラチン、セルロース類、カゼイン等の組み合わせが好ましい。
(アニオン性有機高分子化合物)
この中で、アニオン性有機高分子化合物についてさらに詳細に述べると、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基の如きアニオン性基を有する有機高分子化合物類中のアニオン性基を、アンモニアやトリエチルアミンの如き有機アミンや水酸化ナトリウム、水酸化カリウムや水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を用いて中和することによって得られるものであって、この中和により水に対する自己分散能又は溶解能が付与されたものが挙げられる。特に望ましい自己分散能又は溶解能は、カルボキシル基を有する有機高分子化合物類中のカルボキシル基を、塩基にて中和せしめるという形のものである。これらアニオン性基含有有機高分子化合物類中には、これらのアニオン性基を2種以上有していても良い。
そのようなアニオン性基を有する有機高分子化合物類としては、アニオン性基を中和することにより水に対する自己分散能や溶解能を付与することのできる物であればよく、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系高分子化合物、あるいはこれらの混合物などであって、アニオン性基を有する樹脂等が挙げられる。
上記アニオン性基を有する有機高分子化合物類の中でもアクリル系樹脂が好ましく、必須成分としてアクリル酸及び/又はメタクリル酸と、そのアルキルエステル及び/又はそのヒドロキシアルキルエステルとを含有し、更に必要によりスチレンを含有しているものが特に好ましい。
又その量は、有機顔料又はカーボンブラックに対して10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%〜50%である。何故ならば20%以下では十分な分散性や耐擦過性が得られにくくなったり、有機顔料又はカーボンブラックが十分に微細に分散されづらくなるといった別な問題を生じる可能性があるからである。
本発明において上記した着色剤の添加量としては、インク全質量に対して、第1の着色剤及び第2の着色剤との総量が、0.1〜10質量%、特には1〜8質量%の範囲とすることが好ましい。又、該インク中に含有される第2の着色剤の含有量は第1の着色剤の含有量に対し5%〜20%の範囲であることが好ましい。第2の着色剤の含有量を第1の着色剤の含有量に対し5%より少なくした場合、インクと反応液との反応性が高く、記録媒体の上部に多くの色材が残った場合、十分な耐擦過性を得ることができない。一方、第2の着色剤の含有量を第1の着色剤の含有量に対し20%より多くしてしまうと、自己分散顔料を使用する利点である吐出特性が劣化してしまう。これは、マイクロカプセルの場合、顔料を被覆している高分子化合物の疎水性が強いために、ヘッド部のフェイス面が濡れやすくなり、結果として吐出特性を悪化させてしまうという特性があるためと考えられる。
理由は定かではないが、自己分散顔料と併用させることで、吐出特性を悪化する程度を抑制することは可能である。しかしながら、第2の着色剤の含有量を第1の着色剤の含有量に対し20%以上にしてしまうと吐出特性を悪化する程度を抑制しきれなくなり、結果として吐出特性を急激に悪化させてしまう。
更に、第1の着色剤と第2の着色剤の反応液に対する反応力が同一のものを使用することが好ましい。反応力を同一のものにすることで、画像上の色ムラを防止することが可能となる。
(水性媒体)
上記したような顔料を分散させる水性媒体は、特に限定されるものでない。又、該インクをインクジェット法(例えば、バブルジェット(登録商標)法等)で記録媒体に付着せしめる場合には、前述したように優れたインクジェット吐出特性を有するようにインク所望の粘度、表面張力を有するように調製する事が好ましい。
本発明に係るインク組成物に用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、反応液の乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。又、水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
本発明に関わるインク組成物中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク組成物全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲が好適である。又、インク組成物に含有される水の含有量は反応液全質量に対して好ましくは50〜95質量%の範囲である。更に上記の成分のほかに必要に応じて保湿剤を添加することは勿論、所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加しても構わない。
(反応液)
本発明で使用する反応液は、インク組成物のうち少なくとも1種以上と反応して該インクを凝集又はゲル化せしめる反応性成分を含有するが、より具体的には、例えば、水性媒体中に、イオン性基の作用によって安定に分散又は溶解されている色材を有するインクと、記録媒体上等で混合された場合に、該インクの分散安定性を破壊及び凝集することができる、金属塩(特には多価金属のイオン及びその塩)、低分子カチオン性化合物、及びカチオン性高分子から選ばれる、少なくとも何れかを、反応性成分として含むものが挙げられる。以下、これらの反応性成分について説明する。
(金属塩)
本発明にかかる反応液に用いることのできる好ましい多価金属イオンとしては、具体的には、たとえば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+等の二価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価の金属イオンが挙げられるがこれに限定されるものではない。これら多価金属イオンを反応液中に含有させるためには、多価金属の塩を用いる。塩とは、上記に挙げたような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、水に可溶なものであることを要する。塩を形成するための好ましい陰イオンとしては、例えば、Cl、NO 、I、Br、ClO 、SO 2−、CO 2−、CHCOO及びHCOO等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、反応性や着色性、更には取り扱いの容易さ等の点から、多価金属イオンとしては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+が特に好ましく、更には、Ca2+が好ましい。又、陰イオンとしては、溶解性等の点から、NO が特に好ましい。
反応液中の多価金属イオンの含有量は、本発明にかかる効果を考慮すると、反応液の全量に対して、質量基準で0.01%以上10%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以上5%以下、さらにインクを不安定化させる機能を充分に発揮し、高いレベルの画像均一性、光学濃度を得るためには、反応液に対して2.0%以上4.0%以下の多価金属イオンを含有させることが好ましい。又、反応液中に多価金属イオンを10%を超えて含有させることも可能である。しかし、析出性を防止するための化合物の添加量も多く必要とすること、更には、10%よりも多く入れたとしても、インクを不安定化させる機能の著しい増大は望めないこと、等の理由で、過剰に含有させることはあまり好ましくない。
又、反応液は、色材を含まず、透明であることが好ましいが、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。即ち、可視域に吸収を示すとしても、実質上画像に影響を与えない範囲であれば可視域に吸収を示すものであってもかまわない。
(樹脂)
添加される樹脂としては、インク及び反応液のイオン性にもよるが、基本的には反応に関与しないノニオン性の水溶性高分子が好ましい。例としては、ポリアクリルアマイド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール等が挙げられるが、これらに限定されないのは言うまでもない。反応液のそれぞれの基本性能が維持できる範囲で、これらのノニオン性高分子にアニオンユニット若しくはカチオンユニットを加えた樹脂を用いても構わない。更に、上述した樹脂は水溶性であれば申し分ないが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であってもかまわない。
(水性媒体)
本発明で使用する反応液は、上記したような反応性成分を水性媒体に溶解してなるが、水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。又、水溶性有機溶媒としては、反応液の乾燥防止効果を有するものが特に好ましい。具体的には例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。又、水としては脱イオン水を使用することが望ましい。
本発明で使用する反応液中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されないが、反応液全量に対して、質量基準で、好ましくは3〜70%の範囲とすることが好適である。又、反応液に含有される水の含有量は、反応液全量に対して、質量基準で、好ましくは25〜95%の範囲である。本発明で使用する反応液は、更に、上記の成分のほかに、必要に応じて、所望の物性値を持つ反応液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を適宜に添加することができる。
(インクセット)
前記で説明した反応液と組み合わせて、本発明にかかるインクセットを構成するインクの色調は特に限定されず、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックから選ばれる1つの色調を示すインクとすればよい。具体的には、所望の色調のインクとなるように適宜前記した色材の中から選択して用いることができる。ここで各インク中の色材の含有量は、例えばインクジェット記録に用いる場合には、該インクが優れたインクジェット吐出特性を備え、又、所望の色調や濃度を有するように適宜、選択すればよいが、目安としては、例えば、インク全量に対して1〜50質量%の範囲が好ましい。
又、本発明のインクセットにおいては、異なる色調のインクを2つ以上組み合わせて、特に、少なくともブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色調が異なる4種のインクを含む多色画像の形成に適したインクセットとすることがより好ましい。
(記録方法)
本発明のインクセットは、反応液と、着色剤として、少なくとも自己分散型顔料とマイクロカプセルの2種類を含有しているインクとをセットとして画像形成に用いられるが、その際の記録方法としては、少なくともインクによる記録をインクジェット記録方法で行う記録方法が公的である。より具体的には、(i)インクを記録媒体にインクジェット方式で付与する工程;及び(ii)反応液を記録媒体の少なくともインクが付与される領域に付与する工程、を有する記録方法を採用することで、本発明で使用する反応液によってインクが記録媒体上で凝集或いはゲル化し、特に、カラーブリードを生じることがなく、更には、印字裏面への色材の裏抜けが低減し、優れた高品位の画像を形成することができる。
本発明にかかるインクジェット記録方法で、本発明のインクセットを構成するインクと反応液を記録媒体上に付与する場合の、記録媒体上へ付与する順序は、下記に挙げる方法等、様々な記録方法が考えられるが、いずれであってもよく、適宜選択すればよい。
a:反応液を印字した後にインクを印字する。
b:インクを印字した後に反応液を印字する。
c:インクを印字した後に反応液を印字させ更にインクを印字させる。
d:反応液を印字した後にインクを印字させ更に反応液を印字させる。
そして、これらから、インクと反応液との記録方法を適宜選択すればよい。しかし、本発明の目的を鑑みれば、反応液をインクに先だって記録媒体に記録する工程を少なくとも含むa)又はd)が好ましい。
以下、反応液の付与を、インクジェット方式による吐出手段以外で行う場合について説明する。例えば、ローラー塗布、バーコート等の従来公知のいかなる手段を用いることができ、その反応液付与手段は、記録装置と一体であっても別体であっても構わない。吐出手段を用いて反応液を付与する場合には、吐出適性等の確保の制約もあり、むしろローラー塗布等の方法が好ましい場合もある。具体的には、上記a)の場合には、実質的に記録媒体の全面にインクジェット方式と別の方式を用いて反応液を付与することも可能である。
これまでの発明者らの検討によれば以下のように考えられる。上記したa)又はd)の記録方法においては、先ず、反応液91が記録媒体25に付与され(図1(a)参照)、次いで、反応液が、付与された部位にインク92が付与される(1(b)参照)。そのためインク中の色材は、記録媒体25に付与された直後から記録媒体表面に存在する反応液との反応することにより、インク中の色材をより多く記録媒体25の表面に留めることができる結果、輪郭部の不明瞭性改善及びカラーブリードを生じることのなく更に裏抜け性の優れた高品位の画像を形成することが可能になると考えられるからである。
又、上記反応液とインクとのインクセットを複数、若しくは上記反応液とインクとのインクセットと他のインクを組み合わせることによってカラー画像の形成に好適に用い得るインクセットを提供することができる。そしてこのようなインクセットを用いて、例えばブラックインクに上記インクセットを用いて黒色画像部及びカラー画像部と隣接するような記録を行った場合、ブリーディングの発生を極めて有効に抑えることができる。
(インク特性;インクジェット吐出特性、記録媒体への浸透性について)
上記各実施態様にかかるインクセットは、インクジェット記録用のインクセットとして好適に用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録法法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法があり、それらの記録方法に本発明の反応液及びインクは特に好適である。ところで上記各実施態様にかかる反応液及びインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該反応液及びインクはインクジェットヘッドから吐出可能である特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えばその粘度を1〜15cps、表面張力が25mN/m(dyne/cm)以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50mN/m(dyne/cm)とすることが好ましい。
(インクジェット記録方法)
次に本実施態様の各々の反応液及びインクを好適に用い得るインクジェット記録方法について説明する。
図2は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図3は図2のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1、17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される畜熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板20より成り立っている。
上記ヘッドの電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23が突出し、インクがヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、記録媒体25に向かって飛翔する。
図4には図2に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマルチノズル26を有するガラス板27と、図2に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
(インクジェット記録装置)
図5に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図5において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃等の除去が行われる。又、キャップを介して不図示のポンプによって記録へッドの各インク、更には反応液の吐出口の位置しているインク等を吸引して、記録ヘッド本来のインク、或いはインク及び反応液の本来の吐出性能を回復させる回復系ユニットを構成している。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は記録媒体を挿入するための紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
(インクカートリッジ)
図6は、記録ヘッドにインク若しくは反応液を供給する部材、例えば、チューブを介して供給されるインク若しくは該反応液を収容したカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用のインク又は反応液を収納した収容部、例えば、袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、袋40中のインク又は反応液をヘッドに供給可能にする。44は廃インク又は廃反応液を受容する吸収体である。収容部40としてはインク又は反応液との接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。このようなカートリッジは、例えば図7に示したようにインク又は反応液を吐出せしめる記録ヘッド901に着脱可能に構成されてなるとともに、該カートリッジ45を記録ヘッドに装着した状態ではインク又は反応液が記録ヘッド901に供給されるように構成されている。
又、本発明にかかるカートリッジの他の態様として、該反応液と該インクとを各々個別に収容した2つの収容部を有し、該インク及び該反応液を吐出させるためのヘッドに対して着脱可能に構成され、且つ該インク及び該反応液が該記録ヘッドに供給可能に構成されているカートリッジを挙げることができる。
図8はそのようなカートリッジ1001の一例を示すものであり、1003は反応液の収容部、1005がインクの収容部であり、該カートリッジは図9に示すように該インク及び該反応液の各々を吐出せしめる記録ヘッド1101に着脱可能に構成されてなると共に、該カートリッジ1001を記録ヘッド1101に装着した状態では該反応液及び該インクが記録ヘッド1101に供給されるように構成されているものである。
又、本発明のインクセットは、図8に示したように該反応液と該インクとが物理的に一体化されているものばかりでなく、例えば図12に示すように、反応液を収納したカートリッジ1201と該インクを収納したカートリッジ1203とを該反応液及び該インクの各々を吐出させる共通の記録ヘッド1205に装着し、該反応液及び該インクとを用いてインクジェット画像の記録を行うことのできるように構成されているものも又本発明の範囲内のものである。
(記録ユニット)
本発明で使用されるインクジェット装置としては、上述のようにヘッドとカートリッジとが別体となったものに限らず、図11に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図11において、70は記録ユニットであり、この中にはインク又は反応液を収容した収容部である。例えばインクを収容する場合には、インク吸収体を収納し、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタン、ポリプロピレンを用いることが本発明にとって好ましい。
又、吸収体を用いず、収容部が内部にバネ等を仕込んだ袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
更に本発明にかかる記録ユニットの他の実施態様として、該反応液と黒、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックの色相を有する該カラーインクから選ばれる少なくとも1つのインクとを、1個のインクタンク内の各々のインク収納部に収納し、且つ各々のインクを吐出させるための記録ヘッドを一体的に備えた記録ユニット、具体的には例えば図13に示すように該反応液を収容部1301Lに、イオン性基によって水性媒体に分散させられている黒インクを収納部1301Bkに、又、イエロー、シアン及びマゼンタのカラーインクを各々カラーインク収納部1301Y、1301C及び1301Mに収納し、更に該反応液と他の4つの色調の異なるインクを各々個別に吐出させることができるようにインク流路を分けて構成した記録ヘッド1303を備えているような記録ユニット1301が挙げられる。
次に、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を図13に示す。
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板等を指示固定するための基板84とから構成されている。
図13において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは図4に示したものと同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部の動作は先述と同様に行うもので差しつかえない。
(インクセットを用いた記録装置、記録方法)
次にインクセットを用いてカラー画像を記録する場合には、例えば前記図3にしめした記録ヘッドを5つキャリッジ1401上にならべた記録装置を用いることができる。図14はその一実施例であり、1401L、1401Bk、1401Y、1401M及び1401Cはそれぞれ、該反応液、イオン性基の作用によって水性媒体に分散させられてなるカーボンブラックを含む黒色インク、及びシアン、マゼンタ、イエロー各色のインクを吐出するための記録ユニットである。該記録ユニットは前記した記録装置のキャリッジ上に配置され、記録信号に応じて各色のインクを吐出する。又、反応液は、各色の或いは各色の中の少なくとも1色の記録インクが記録紙に付着する部分に、先立って或いはインク付着後に付着させる。
又、図14では記録ユニットを5つ使用した例を示したが、これに限定されず例えば図15に示したように1つの記録ヘッドで上記の反応液、イオン性基の作用によって水性媒体に分散させられてなるカーボンブラックを含む黒色インク及びYMCの3色のインクを各々含むインクカートリッジ1501L、1501Bk、1501Y、1501M及び1501Cから供給される各色のインクを各々個別に吐出させることができるようにインク流路を分けて構成した記録ヘッド1501に取り付けて記録を行う態様も挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、以下の記載で、部、%とあるものは特に断らない限り質量基準である。先ず、下記のようにして反応液とインクとを調製した。
<反応液の調製>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、反応液を調製した。
・硝酸カルシウム(4水和物) 10部
・トリメチロールプロパン 10部
・グリセリン 5部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部
(商品名:アセチレノールEH)
・水 74部
(顔料分散液Bk1)
この顔料分散液は、第1の着色剤を含むものである。
5.3gの蒸留水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃においてアントラニル酸1.58gを加えた。アイスバスを用いて攪拌することで、常に10℃以下に保たれた状態として、上記の溶液に、5℃の8.7gの蒸留水に、1.78gの亜硝酸ナトリウムを溶解した溶液を加えた。15分攪拌後、これに更に、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック7gを、溶液を攪拌した状態のままで加えた。その後、更に15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンテック製)で濾過し、顔料粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、更に、この顔料に蒸留水を足して、顔料濃度10質量%の顔料分散液を作製した。
尚、上記で作製した自己分散型カーボンブラックの親水性基密度を下記のようにして測定したところ、2.6μmol/m2であった。測定方法としては、イオンメーター(DKK製)を用いナトリウムイオン濃度を測定し、その値から親水性基密度を換算した。そして、イオン交換法を用いてナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に、親水性基である−Ph−COONH4基が導入された、自己分散型のカーボンブラックが分散された顔料分散液Bk1を得た。得られた顔料分散液Bk1の物性値は、固形分が10%であった。
<マイクロカプセル顔料分散液の作成>
この顔料分散液は、第2の着色剤を含むものである。
(ブラックマイクロカプセル分散液Bk2)
n−ブチルメタクリレート83.8部、n−ブチルアクリレート89.4部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート37.5部、メタクリル酸26.7部、グリシジルメタクリレート12.5部及び「パーブチルO」20.0部から成る混合液を調製した。
次に、メチルエチルケトン250部をフラスコに仕込んで、窒素シール下に、攪拌しながら、75℃まで昇温させた後、上記の混合液を2時間かけて滴下し、滴下終了後、更に同温度で15時間反応させて、固形分の酸価が69、数平均分子量10400のビニル系樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液の不揮発分は50%、Tg35℃であった。
(1)顔料混練工程
容量1000mLのステンレス製ビーカーに、上記の樹脂溶液15.0部、ジメチルエタノールアミン0.8部及び「#960(三菱化学製の中級カーボンブラック:平均粒子径16nm)」15部を加え、イオン交換水を加えて総量が75部となるようにした後、平均粒子径が0.5mmのジルコニアビーズ500部を加えた後、サンドミル(カンペ家庭塗料株式会製)を用いて、周速7.9m/s、温度20℃で4時間混練を行った。混練終了後、ジルコニアビーズをろ別して、塩基で中和されたカルボキシル基を有する樹脂と顔料から成る分散体を水に分散したものを得た。
(2)ゲル化処理工程
塩基で中和されたカルボキシル基を有する樹脂と顔料から成る分散体を水に分散したものに水を加えて3倍に希釈した後、オートクレーブ中で、120℃で加熱ゲル化処理をした。
(3)酸析工程
ゲル化処理をした後、常温で、ディスパーで攪拌しながら、1mol/l塩酸を樹脂が不溶化して顔料に固着するまで加えた。この時のpHは3〜5であった。
(4)ろ過及び水洗工程
樹脂が固着した顔料を含有する水性媒体を吸引ろ過した後、塩を水洗して、含水ケーキを得た。
(5)中和、及び、水性媒体への再分散工程
含水ケーキを攪拌しながら、分散体のpHが8.5〜9.5となるまで10%NaOH水溶液を加えた。更に、1時間攪拌を続けた後、水を加えて、不揮発分が20%となるように調整して、カーボンブラックのアニオン性マイクロカプセル顔料分散液BK2を得た。
アニオン性マイクロカプセル化顔料含有水性分散液BK2中のマイクロカプセル化顔料の粒径を測定した結果、マイクロカプセル化顔料の体積平均粒子径は113nmで、1000nm以上の粒子は0%であった。又、マイクロカプセル中の顔料の含有量は67%であった。
(ブラックインク1の組成)
・顔料分散体Bk1 40部
・顔料分散体Bk2 2部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部
(商品名:アセチレノールEH)
・水 42部
(ブラックインク2の組成)
・顔料分散体Bk1 37部
・顔料分散体Bk2 7.4部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部
(商品名:アセチレノールEH)
・水 39.6部
(ブラックインク3の組成)
・顔料分散体Bk1 40部
・グリセリン 9部
・ジエチレングリコール 6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部
(商品名:アセチレノールEH)
・水 44部
<実施例1>
上記で調製した反応液とブラックインク1とを組み合わせてインクセット1とした。インクセット1は、反応液と、ブラックインク1との組み合わせからなる。
<実施例2>
上記で調製した反応液とブラックインク2とを組み合わせてインクセット2とした。インクセット2は、反応液と、ブラックインク2との組み合わせからなる。
<比較例1>
上記で調製した反応液とブラックインク3とを組み合わせてインクセット3とした。インクセット3は、反応液と、ブラックインク3との組み合わせからなる。
<評価>
上記の実施例及び比較例のインクセットを用いて、下記のようにして画像を形成した。記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(商品:BJ F−900;キヤノン製)の改造機を用いて、液体組成物をインクが付与される部位及びその周辺に、インクの付与前に付与することによって印字を行った。得られた画像について、下記の方法で評価を行った。評価項目を以下に示す。被プリント材としては、市販のコピー用紙、ボンド紙、再生紙の3種類を使用した。
(1)耐擦過性
MSゴシック体、14ポイントの文字、及び、2cm四方のベタ印字を行った後、1日後印字部を指で擦り、耐擦過性の評価を行った。
(2)周波数応答性
得られた印字物の印字状態、即ちカスレや白抜け状態及びスブラッシュやヨレ等の着弾点不良状態を肉眼で観察し評価した。
この結果、実施例1及び2は比較例1のインクセットに比べ、文字部、ベタ部ともに削れることもなく、又、指も汚れなかった。又更に更に、実施例1及び2及び比較例1及び2インクセットを用いた場合、周波数に対するインクの追従状態は良好であり、キャラクタ印字ではカスレや白抜け、着弾点不良が見られなかった。
以上のことから、実施例のインクセットを用いることのみ、課題である自己分散顔料利点である安定な吐出特性を損ねることなく、耐擦過性を向上させることが可能となった。
本発明の一実施態様にかかる記録方法の概略説明図である。 インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す縦断面図である。 インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す横断面図である。 図2に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。 インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。 本発明の一実施態様にかかるインクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図である。 本発明の一実施態様にかかるインクカートリッジの他の実施態様を示す概略平面図である。 図8のインクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図である。 本発明にかかるインクセットの他の実施態様を示す概略平面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 本発明にかかる記録ユニットの他の実施態様を示す概略斜視図である。 インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。 本発明のインクセットの一実施態様にかかる、液体組成物を収納した記録ユニット、イオン性基の作用によって水性媒体に分散されている色材を含む黒色インクを収納した記録ユニット、及びCMYの各カラーインクを収納した記録ユニットが同一キヤリッジ上に装着された状態を示す該略図である。 図5のインクジェット装置の記録ヘッド部の一態様のオリフィス部の拡大図である。
符号の説明
13 ヘッド
14 インク溝
15 発熱ヘッド
16 保護膜
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク小滴
25 記録媒体
26 マルチ溝
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口
91 液体組成物
92 インク
600 インクジェット記録装置
601 インクジェットヘッドカートリッジ
602 駆動モーター
603、604 駆動力伝達ギア
605 リードスクリュ
606 螺旋溝
607 キャリッジ
607a レバー
608 ガイド
609 プラテンローラ
610 紙押え板
611、612 フォトカプラ
613 支持部材
614 キャップ部材
615 インク吸引手段
616 キャップ内開口部
617 クリーニングブレード
618 移動部材
619 本体支持体
620 (吸引開始)レバー
621 カム
832 吐出口
832a 起部
832b 伏部
901 記録ヘッド
1001 カートリッジ
1003 液体組成物の収容部
1005 インクの収容部
1101 記録ヘッド
1201、1203 カートリッジ
1205 記録ヘッド
1301 記録ユニット
1303 記録ヘッド
1401 キャリッジ
1501 記録ヘッド

Claims (11)

  1. インクと反応し該インクを凝集せしめる反応液と供に用いるインクであって、該インク中に2種類以上の着色剤を含み、第1の着色剤が、その表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料であり、且つ第2の着色剤が、有機高分子化合物によって顔料が被覆されてなるマイクロカプセルであることを特徴とするインク。
  2. 第2の着色剤の含有量が第1の着色剤の含有量に対し5%〜20%の範囲である請求項1に記載のインク。
  3. 該自己分散顔料に結合している該親水性基が−COOM、−SOM、−SONH、−POHM、−PO、−SONHCORの中から選択される少なくとも一種であり、更に該他の原子団が炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基又は置換もしくは無置換のナフチル基である請求項1に記載のインク。(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基又は置換もしくは無置換のナフチル基を表わす。)
  4. 前記反応液が、多価金属を含有することを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のインク。
  5. 前記反応液が、多価金属を含有することを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のインク。
  6. 前記多価金属がCa2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Al3+、Fe3+、Cr3+、Y3+の少なくとも何れか1種を含む請求項1〜5何れか1項に記載のインク。
  7. 前記反応液が、水溶性樹脂を含む請求項1〜6何れか1項に記載のインク。
  8. 請求項7記載の水溶性樹脂が、ノニオン性である請求項1〜7何れか1項に記載のインク。
  9. 記録媒体にインクと反応液を付与して記録を行う記録方法において、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクを用い、且つ少なくともインクの記録媒体への付与をインクジェット記録方法で行うインクジェット記録方法。
  10. 前記反応液を前記インクに先立って付与する請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項9又は10に記載のインクジェット記録方法によって記載された記録物。
JP2004351046A 2004-12-03 2004-12-03 インク、インクジェット記録方法及び記録物 Withdrawn JP2006160819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004351046A JP2006160819A (ja) 2004-12-03 2004-12-03 インク、インクジェット記録方法及び記録物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004351046A JP2006160819A (ja) 2004-12-03 2004-12-03 インク、インクジェット記録方法及び記録物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006160819A true JP2006160819A (ja) 2006-06-22

Family

ID=36663209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004351046A Withdrawn JP2006160819A (ja) 2004-12-03 2004-12-03 インク、インクジェット記録方法及び記録物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006160819A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1995287A1 (en) * 2007-05-23 2008-11-26 Canon Kabushiki Kaisha Ink set, ink jet recording method, ind cartridge, recording unit, and ink jet recording apparatus
WO2009081998A1 (en) * 2007-12-21 2009-07-02 Ricoh Company, Ltd. Inkjet recording ink, ink cartridge, inkjet recording method, inkjet recording apparatus, and ink recorded matter
JP2010516524A (ja) * 2007-01-31 2010-05-20 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. インクジェット印刷用の新聞印刷媒体
JP2013253234A (ja) * 2012-05-09 2013-12-19 Canon Inc インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010516524A (ja) * 2007-01-31 2010-05-20 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. インクジェット印刷用の新聞印刷媒体
EP1995287A1 (en) * 2007-05-23 2008-11-26 Canon Kabushiki Kaisha Ink set, ink jet recording method, ind cartridge, recording unit, and ink jet recording apparatus
US8011777B2 (en) 2007-05-23 2011-09-06 Canon Kabushiki Kaisha Ink set, ink jet recording method, ink cartridge, recording unit, and ink jet recording apparatus
WO2009081998A1 (en) * 2007-12-21 2009-07-02 Ricoh Company, Ltd. Inkjet recording ink, ink cartridge, inkjet recording method, inkjet recording apparatus, and ink recorded matter
CN101903476A (zh) * 2007-12-21 2010-12-01 株式会社理光 喷墨记录油墨、墨盒、喷墨记录方法、喷墨记录装置和油墨记录物质
US8197049B2 (en) 2007-12-21 2012-06-12 Ricoh Company, Ltd. Inkjet recording ink, ink cartridge, inkjet recording method, inkjet recording apparatus, and ink recorded matter
JP2013253234A (ja) * 2012-05-09 2013-12-19 Canon Inc インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9180680B2 (en) Water-based ink, ink jet recording method, ink cartridge, recording unit, ink jet recording apparatus, and image forming method
JP4027027B2 (ja) インク、インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、画像記録装置およびインクジェット記録方法
JP4250249B2 (ja) インクジェット用インク、インクカートリッジ、記録ユニット、インクセット、画像記録方法及び画像記録装置
JP3397365B2 (ja) インク、インクの製造方法、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
WO2004026976A1 (ja) インクセット及び画像形成方法とそれに用いられる水性インク
JP4612793B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2004339284A (ja) インクジェット記録用水性インクセット
JP2002226743A (ja) 水性インク、これを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
JP2001098195A (ja) インク、インクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP4100976B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP2006159426A (ja) 反応液、インクセット、インクジェット記録方法及び記録物
JP2006160819A (ja) インク、インクジェット記録方法及び記録物
JP2001081377A (ja) インク、インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、画像記録装置及びインクジェット記録方法
JP2002256166A (ja) 水性顔料分散体、水性インク及びこれを用いた画像形成方法
JP2006160815A (ja) インクセット、インクジェット記録方法及び記録物
JP2006008898A (ja) 水性インク、インクセット及びインクジェット記録装置
JP2006160814A (ja) インク組成物
JP2006160850A (ja) インク、インクジェット記録方法及び記録物
JP2006159474A (ja) インク組成物及びインクセット
AU2003296153B2 (en) Water base ink, method of ink jet recording, ink cartridge, recording unit, ink jet recording apparatus and method of image formation
JP2006160930A (ja) インク組成物、インクセット、画像記録装置及び画像記録方法
JP2005350612A (ja) 顔料インク、これを用いたインクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、画像記録装置及びインクジェット記録方法
JP2005052974A (ja) 水性インクセット
JP2004300370A (ja) 水性インク
JP2006263941A (ja) インクジェット記録方法及び記録物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080205