JP4457681B2 - 高加工性超高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高加工性超高強度冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、優れた伸びおよび伸びフランジ加工性が要求される自動車用部品の強度部材として好適な、超高強度冷延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車の安全性向上および車体重量の軽量化のため、自動車用部品の強度部材(以下、自動車構造部材と称す)への高強度薄鋼板の使用が検討されている。自動車構造部材用鋼板はプレス成形されるため、伸び、伸びフランジ加工性等の加工特性が求められる。しかし、伸びを向上させる方法と伸びフランジ加工性を向上させる方法は相反する関係であり、両者を同時に改善することは困難とされてきた。
上記を受けて、自動車構造部材として、二相型高強度冷延鋼板が注目されている。二相型高強度冷延鋼板とはフェライト相とマルテンサイト相の二相組織であり、高強度でありながら伸び特性に優れているため自動車構造部材用鋼板として適しているとされている。
ここで、従来の二相型高張力冷延鋼板の製造方法について簡単に説明する。二相型高張力冷延鋼板は、まず、鋼塊を熱間圧延するに際して、Ar3点以上の温度で仕上圧延し、冷却後650℃以下の温度で巻取る。この時の熱間圧延板の組織は一般的にフェライト、パーライトである。次いで、冷間圧延し、所望の板厚とする。次いで、フェライト・オーステナイトの二相共存域あるいはオーステナイト単相域で加熱し、その後の冷却速度を適切に制御する。このようにして二相型高張力冷延鋼板が得られる。
しかしながら、上記従来の製造方法では、単に焼鈍温度、焼入温度および焼戻温度を制御調整するだけであり、優れた伸びおよび伸びフランジ特性を有する鋼を製造することは困難である。例えば、高強度を有するにはマルテンサイトの分率を高くするか、焼戻温度を低くする必要があるが、前者は優れた伸びフランジ特性を有する一方で伸び特性が劣り、また後者はマルテンサイトの分率を抑えることで伸び特性は優れるが、伸びフランジ特性が劣るという欠点がある。
例えば、特許文献1には、伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法として、350〜600℃の温度にて焼戻処理を行い、フェライト相と低温変態生成相の硬度比を小さくし、局部伸びを改善する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、組織微細化の方法として、焼戻冷間加工熱処理法によるγ結晶粒の微細化方法が開示されている。
特開平7-59726号公報 熱処理28巻4号p233 出版1988年
しかしながら、特許文献1では、400℃以上での焼戻処理は強度を急激に低下させるため、合金元素の多量な添加が必要になり、コストが高くなる問題がある。また、焼戻温度が高いほど、製造におけるエネルギーコストが高く、生産性が低下するため、400℃以上での焼戻処理は製造性の観点からも問題がある。
非特許文献1は、材料特性に関する記述は無く、製造方法のみの記述にとどまっているため、非特許文献の技術を高加工性超高強度冷延鋼板に適用することはできない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、高加工性超高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意研究した結果、冷間圧延前(熱間圧延後)の組織を最適化し、再結晶焼鈍・焼戻処理後に組織を微細化することにより高加工性超高強度冷延鋼板が得られることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]mass%で、C:0.03〜0.2%、Si:2%以下、Mn:0.5〜3%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、SolAl:0.01〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、フェライトと体積分率30〜80%のマルテンサイトの二相組織、または、フェライトと体積分率30〜80%のマルテンサイトと残部組織として残留オーステナイト、ベイナイト等を10%以下混在する組織であり、かつ、フェライトの平均結晶粒径が2.0μm以下であることを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
[2]上記[1]において、さらに、mass%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下の1種または2種を含有することを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
[3]上記[1]または[2]において、さらに、mass%で、V:0.05〜0.2%、B:0.0002〜0.002%、Ti:0.005〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の成分を有する鋼を熱間圧延するに際して、Ar3点以上の温度で仕上圧延し、仕上温度から550℃以下までを70℃/s以上の冷却速度で冷却して、500℃以下の温度で巻取り、次いで、前記熱間圧延鋼板に対して、600℃以上Ac1以下の温度で熱処理し、酸洗、冷間圧延を行い、その後、再結晶焼鈍・焼戻処理するに際して、Ac1以上Ac3以下の温度で10s以上保持し、100℃までを100℃/s以上の冷却速度で急冷し、300〜500℃で焼戻処理を行うことを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板の製造方法。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%はすべてmass%である。
また、本発明において、超高強度冷延鋼板とは、引張強度TS780MPa以上、望ましくは引張強度TS980MPa以上の冷延鋼板である。また、フェライトの結晶粒径は、平均結晶粒径である。
本発明によれば、高加工性超高強度冷延鋼板を得ることができる。本発明の鋼板は高強度であり、なおかつ伸び及び伸びフランジ性に優れているので、従来、高強度鋼板の適用が困難であった例えば自動車構造部材等の難成形の部材として適用することが可能となる。さらに、自動車構造部材として本発明の高強度冷延鋼板を用いた場合、自動車の軽量化、安全性向上などに寄与し、産業上極めて有益である。
本発明は、下記に示す成分に規定し、さらに熱延条件を規定、具体的には、Ar3点以上の温度で仕上圧延し、仕上温度から550℃以下までを70℃/s以上の冷却速度で冷却し、500℃以下の温度で巻取ることにより、体積率90%以上の低温変態相からなる熱間圧延板を得、これを600℃以上Ac1以下の温度で熱処理することにより低温変態相を焼戻すことを第一の特徴とする。次いで、成分及び組織が最適化された熱間圧延板を特定の条件(Ac1点以上Ac3点以下の温度で10s以上保持し、100℃までを100℃/s以上の冷却速度で急冷し、300〜500℃で焼戻処理)で再結晶焼鈍・焼戻処理することにより、鋼板の組織を微細化し、フェライトとマルテンサイトの二相組織で、かつ、フェライトの結晶粒径を2.0μm以下とすることを第二の特徴とする。これらは本発明において最も重要な要件である。そして、上記特徴から高加工性超高強度冷延鋼板を得ることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における鋼の化学成分の限定理由は以下の通りである。
C:0.03〜0.2%
Cは焼入組織のマルテンサイト相を強化するために重要な元素である。0.03%未満では強度上昇の効果が不十分となる。一方、0.2%を超えると、良好な溶接性が得られない。以上より、Cは0.03%以上0.2%以下とする。
Si: 2%以下
Siは、固溶強化元素であって、高強度で高伸びの鋼板を得るために有効な元素である。しかし、2%を超えると鋼板表面にSi酸化物を多量に形成し、化成処理性を劣化させるため、Siは2%以下とする。
Mn: 0.5〜3%
Mnは連続焼鈍炉での徐冷帯でのフェライト生成を抑制するために重要な元素である。0.5%未満ではその効果が十分でない。一方、3%を超えると連続鋳造工程でスラブ割れが発生する。以上より、Mnは0.5%以上3%以下とする。
P:0.1%以下、S:0.01%以下
P、Sは、本発明鋼中では不純物であり、鋼板の加工性を考慮した場合、低いほうが好ましい。このため、Pは0.1%以下、Sは0.01%以下とする。
Sol.Al:0.01〜0.1%
Alは脱酸材として使用されるが、0.01%未満では十分な脱酸効果が得られない。一方、0.1%超えではAl添加の効果が飽和し不経済となる。以上より、Sol.Alは0.01%以上0.1%以下とする。
N:0.005%以下
Nは粗鋼中に含有される不純物であり、素材鋼板の加工性を劣化させるので、可能な限り製鋼工程で除去、低減することが望ましい。しかしながら、Nを必要以上に低減すると精錬コストが上昇するので、実質的に無害となる0.005%以下とする。
本発明の鋼板は、上記の成分で目的とする成分が得られるが、所望の特性に応じて以下の元素を添加することができる。
Cr:1%以下
Crは鋼板の高強度化のため、必要に応じて添加される。耐食性が改善される等好ましい場合もある。本発明の効果を損なわず、上記効果を得るためには、Crは1%以下の含有量で添加することが好ましい。
Mo:1%以下
Moは析出強化元素であるが、多すぎると延性の低下をもたらす。また、価格も高価である。以上の理由から、Moは1%以下の含有量で添加することが好ましい。
V:0.05〜0.2%、B:0.0002〜0.002%、Ti:0.005〜0.1%
V、B、Tiの窒化物生成元素は、強度調整などを目的に、特性、製造性を劣化させない範囲で含有することができ、V:0.05%以上0.2%以下、B:0.0002%以上0.002%以下、Ti:0.005%以上0.1%以下の含有量で1種または2種以上添加されることが好ましい。
なお、上記以外の残部はFeおよび不可避不純物である。
次に本発明の製造方法について説明する。
以上の化学成分範囲に調整された溶鋼から、連続鋳造または造塊でスラブを溶製する。次いで、得られたスラブを冷却後再加熱するか、あるいはそのまま熱間圧延を行う。本発明において、熱間圧延は、Ar3点以上の温度で仕上圧延し、仕上温度から550℃以下までを平均で70℃/s以上の冷却速度で冷却し、500℃以下の温度で巻取ることとする。これは本発明において、最も重要な要件であり、体積率90%以上の低温変態相からなる熱間圧延板を得、冷延前組織を最適化するために必須である。まず、この点について、以下に詳細に説明する。
熱間圧延における仕上圧延温度は、伸びおよび伸びフランジ性を向上させるためAr3点以上とする。Ar3点より低い仕上圧延温度では、最終圧延の段階で二相組織となるためフェライト粒の著しい粗大化が起こり、冷延、焼鈍を行っても加工性の良い鋼板が得られない場合がある。
仕上圧延温度から急冷停止温度までの冷却は平均で70℃/s以上の冷却速度で行うものとする。冷却速度が70℃/sより遅い場合、フェライト、パーライトが析出し、本発明の効果が得られない。
巻取りは500℃以下の温度で行うものとする。巻取り温度が500℃より高い場合はフェライトおよびパーライトが析出し、低温変態相の分率が低くなり、熱延後の組織において、90%以上の低温変態相が得られない。
以上により、体積率90%以上の低温変態相からなる熱間圧延鋼板が得られる。なお、本発明において、体積率90%以上の低温変態相とは、熱延後の組織として低温変態相が100%の場合も含むものとする。低温変態相の体積率が90%より低い場合、再結晶焼鈍後の伸びフランジ特性への効果が薄い。なお、ここで低温変態相とはマルテンサイトまたはベイナイトまたはこれらの混合物である。
次いで、熱間圧延後、600℃以上Ac1点以下の温度で熱処理を施す。上記熱間圧延同様、この熱処理は、本発明において、最も重要な要件であり、低温変態相を焼戻すために必須である。熱処理の温度が600℃未満では、冷間圧延後の再結晶焼鈍の際、組織の微細化が十分に起こらず特性が劣る。熱処理温度がAc1点超えの場合、パーライトの析出が起こり、本発明効果が得られない。また、焼戻処理を行わない場合は、冷間圧延負荷が非常に大きい。この点からも600℃以上Ac1点以下の温度での熱処理を行うことは効果的であり、低温変態相の軟化により圧延負荷が低減される。さらに、熱処理の目的は、炭化物を組織全体に均一に析出させることであるので、長時間熱処理する必要は無いが、熱処理時間が10時間未満では、炭化物の析出が十分に行われないので10時間以上が好ましい。また熱処理の方法としては、製造コストの低減からコイルボックスの利用が好ましいが、これに限定されず、バッチ焼鈍を用いることもできる。
ここで、上記のように熱間圧延および熱処理を行い得られた本発明の熱延後の焼戻組織を図1に示す。また、参考までに従来技術(非特許文献1)で得られた熱延後の焼戻組織についても図1に示す。なお、従来の熱延後の焼戻組織は650℃、30分の焼戻処理(通常の方法)により得たものである。図1より、従来技術の組織は、炭化物がラス境界状に析出しているものの、マルテンサイトのラスがはっきりと残った状態である。これに対し、本発明では、炭化物を組織全体に均一に析出させるために600℃以上の温度で10時間以上の熱処理を行っているため、従来技術とは状態が異なり、炭化物が組織全体に析出・粗大化しており、またマルテンサイトラスの回復が起こっており、ラス境界が不明瞭となっている。 そして、本発明では、このような熱延後の焼戻組織(冷延前組織)とすることで、冷延後の再結晶焼鈍時に、熱延板の焼戻時に析出した粗大な炭化物から優先的にオーステナイトが形成されるため、非常に微細なフェライト、マルテンサイト二相の最終組織を得ることになる。
次いで、熱処理後、酸洗し、冷間圧延により所望の板厚とする。このときの冷間圧延率は、伸びおよび伸びフランジ性を向上させるため50%以上が望ましい。
次いで、上記により得られた鋼板に対して再結晶焼鈍および焼戻処理を行う。
本発明では、フェライト相とマルテンサイト相の二相組織を得ることを特徴とするため、再結晶焼鈍および焼戻処理は、Ac1点以上Ac3点以下の温度で10s以上保持し、100℃までを100℃/s以上の冷却速度で急冷し、300〜500℃で焼戻処理を行うものとする。このように再結晶焼鈍・焼戻処理を行うことにより組織が微細化される。これらは熱間圧延、熱処理と併せて、本発明において最も重要な要件である。以下、1)〜3)に詳細に説明する。
1)Ac1点以上Ac3点以下の温度で10s以上保持した後、急冷開始温度まで冷却する。再結晶焼鈍温度がAc1未満では、高温保持中にオーステナイト相が得られないため、急冷後にマルテンサイト相が得られず、高強度が達成できない。Ac3点超えでは、急冷後の組織において、粗大なマルテンサイトが混在し特性が劣化する。また、保持時間が10秒未満では、未溶解炭化物が存在する可能性が高くなり、オーステナイト相の存在量が少なくなる可能性がある。なお、保持後、急冷開始温度までの冷却は、例えば、ガスジェット等の手段を用いることができ、通常の方法で行える。
2)急冷開始温度から100℃以下まで100℃/s以上の冷却速度で急冷する。冷却速度が100℃/s未満では、パーライトやベイナイトの析出、またマルテンサイト変態が起こらない可能性があり、高強度を得るには合金添加量を多くしなければならない等新たな問題が起きてしまう。また、十分にマルテンサイト相を得るため、急冷は100℃以下まで行うものとする。急冷開始温度は550℃以上が好ましい。550℃未満では、第二相が十分にマルテンサイト変態せず、ベイナイトが混在する可能性がある。急冷の方法としては、板幅方向での温度ムラを少なくし、安易に冷却速度を確保できる点で水冷が好ましい。しかし、急冷方法は、水冷に限定されるわけではなく、ガスジェット冷却、ミスト冷却、ロール冷却などを単独または併用して用いることも可能である。
3)焼戻処理を行う。焼戻処理温度は300℃以上500℃以下とする。焼戻温度が300℃未満ではマルテンサイト相が十分焼戻されず、延性が低い。一方、焼戻温度が500℃超えでは、強度の急激な低下が起こる。さらに、TS≧780MPa高強度の冷延鋼板を得るためには、焼戻温度は300℃以上400℃以下が好ましい。
このように、再結晶焼鈍および焼戻処理を行うことにより、フェライトとマルテンサイトの2相組織となる。マルテンサイトの体積分率は30〜80%とし、ましくは30〜70%とする。マルテンサイトの体積率が30%未満の場合、伸び特性は優れるものの、高強度、および高い伸びフランジ特性を確保するのが難しい。逆に、マルテンサイトの体積率が、80%を超えると、伸び特性が劣る。マルテンサイト体積率をこの範囲とすることで、高強度を確保できしかも伸びと伸びフランジ性が向上する。残部は基本的にフェライトとするが、本発明の効果を害しない範囲でたとえば残留オーステナイト、ベイナイト等が10%以下混在することは許容される。
また、フェライト、マルテンサイト二相組織が微細化され、フェライトの平均結晶粒径は2.0μm以下となる。本発明では、フェライトの結晶粒径を微細化することは重要であり、フェライト平均結晶粒径を2.0μm以下とすることにより、鋼板の伸びフランジ性が向上する。なお、マルテンサイトの結晶粒径は、特に限定しない。
次いで、焼戻処理後、冷却を行う。この時の冷却方法、冷却速度は特に限定しない。
以上より、本発明の伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板を得ることができる。
表1に示す化学組成を有する鋼スラブを連続鋳造により製造し、1250℃にスラブを再加熱後、表2に示す条件で板厚2.8mmまで熱間圧延を行った。次いで、表2に示す条件でバッチ焼鈍またはコイルボックスで熱処理を行い、酸洗後、冷間圧延により厚さ1.2mmの鋼板を得た。得られた鋼板に対し、表2に示す条件で再結晶焼鈍・焼戻処理を行った。なお、焼戻処理を施し、熱延条件の違いによる影響を調査するため、再結晶焼鈍、焼戻条件は統一(保持温度:830℃、8分保持、650℃の焼入温度より水冷により70℃まで冷却速度:500℃/sで急冷、300℃で焼戻し)した。
以上より得られた鋼板に対し、以下に示す各試験を行い、YP(MPa)、TS(MPa)、El(%)、および穴拡げ率λ(%)を評価した。また、以下の方法により粒径を測定した。結果を表3に示す。
引張試験:鋼板の圧延方向に対して直角にJIS5号試験片を切削加工により採取し、JIS Z2241に準拠して行った。
穴拡げ試験:日本鉄鋼連盟規格JFST1001−1996に準拠して行った。
粒径測定方法:JIS Z 0552に準拠して行った。
Figure 0004457681
Figure 0004457681
Figure 0004457681
表3より、本発明例である供試材番号D、G、H、Lは、マルテンサイト分率が55〜62%のフェライト、マルテンサイトの2相組織を呈し、かつフェライト粒径が2μm以下と小さく、TS×(El×λ)1/2が30000以上と良好な伸び及び伸びフランジ性を有し、高加工性超高強度冷延鋼板が得られていることがわかる。
一方、比較例である供試材番号A、C、E、Iは熱延時の巻取り温度が620℃以上と高いために熱延組織において低温変態相が得られず、結果として特性バランスが劣り、フェライト結晶粒径が、3.0〜3.5μmと本発明例に比べ大きいため、穴拡げ性が劣っている。また、供試材番号B、F、Jは急冷停止温度が高いため、低温変態相の体積率が90%より低く、焼鈍時の組織微細化効果が十分でない。そのために、特性バランスが劣り、フェライト結晶粒径が、2.5〜2.8μmと本発明例に比べ大きいため、穴拡げ性が劣っている。供試材番号Kは、熱延後の熱処理が無いため、再結晶焼鈍時に組織が微細化しておらず、そのため、結晶粒径が、2.6μmと本発明例に比べ大きいため、穴拡げ性が劣っている。また、特性バランスも劣っている。
表1の鋼番号6の組成を有する鋼を用いて、表4に示す条件で熱間圧延まで行った。次いで、表4に示す条件でバッチ焼鈍またはコイルボックスで熱処理を行い、酸洗後、冷間圧延により厚さ1.2mmの鋼板を得た。得られた鋼板に対し、表4に示す条件で再結晶焼鈍・焼戻処理を行った。なお、焼鈍は8分間行い、焼入温度から70℃までを100℃/s以上の冷却速度で急冷後に、焼戻処理を施した。
以上より得られた鋼板に対し、実施例1と同様に各試験を行い、YP(MPa)、TS(MPa)、El(%)、および穴拡げ率λ(%)を評価した。得られた結果を表5に示す。
Figure 0004457681
Figure 0004457681
表5より、本発明例である供試材番号O、P、Q、Sは、マルテンサイト分率が58〜62%のフェライト、マルテンサイトの2相組織を呈し、かつフェライト粒径が2μm以下と小さく、TS×(El×λ)1/2が30000以上と良好な伸び及び伸びフランジ性を有し、高加工性超高強度冷延鋼板が得られていることがわかる。
一方、比較例である供試材番号M、Nは熱延時の巻取り温度が650℃と高いために熱延組織において低温変態相が得られていないため、結晶粒径が3.1〜3.2μmと本発明例に比べ大きいため、穴拡げ性が劣っており、TS×(El×λ)1/2が30000以下であり、加工性が劣っている。供試材番号Rは、熱延急冷巻取り後の熱処理工程において、その温度が低いために炭化物の析出が十分行われておらず、再結晶焼鈍時に結晶粒が微細化していないため、結晶粒径が2.4μmと本発明例に比べ大きいため、穴拡げ性が劣っており、TS×(El×λ)1/2が30000以下であり、加工性が劣っている。
また、以上の結果をもとに、フェライトの平均結晶粒径とTS×(El×λ)1/2の関係を図2に示す。図2によれば、特性バランスの優れた980Mpa級鋼板を得るためには最適な結晶粒径範囲が存在し、特性バランスの優れた980MPa級鋼板の基準となるTS×(El×λ)1/2の値が30000以上とするためには、フェライトの平均結晶粒径2.0μm以下であることが確認された。
本発明の超高強度冷延鋼板によれば、優れた伸びおよび伸びフランジ性を備え、従来に比して厳しい伸びおよび伸びフランジ加工部に適用することができ、自動車用はもとより、家電および建築など厳しい加工性が必要とされる分野に好適に使用される。
従来技術と本発明の熱延後の焼戻組織を示す図である。 フェライトの平均結晶粒径とTS×(El×λ)1/2との関係を示す図である(実施例1、2)。

Claims (4)

  1. mass%で、C:0.03〜0.2%、Si:2%以下、Mn:0.5〜3%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、SolAl:0.01〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、フェライトと体積分率30〜80%のマルテンサイトの二相組織、または、フェライトと体積分率30〜80%のマルテンサイトと残部組織として残留オーステナイト、ベイナイト等を10%以下混在する組織であり、かつ、フェライトの平均結晶粒径が2.0μm以下であることを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
  2. さらに、mass%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
  3. さらに、mass%で、V:0.05〜0.2%、B:0.0002〜0.002%、Ti:0.005〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の成分を有する鋼を熱間圧延するに際して、Ar3点以上の温度で仕上圧延し、仕上温度から550℃以下までを70℃/s以上の冷却速度で冷却して、500℃以下の温度で巻取り、次いで、前記熱間圧延鋼板に対して、600℃以上Ac1以下の温度で熱処理し、酸洗、冷間圧延を行い、その後、再結晶焼鈍・焼戻処理するに際して、Ac1以上Ac3以下の温度で10s以上保持し、100℃までを100℃/s以上の冷却速度で急冷し、300〜500℃で焼戻処理を行うことを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた引張強度TS780MPa以上の高強度冷延鋼板の製造方法。
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