JP4457571B2 - 地中熱利用システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅、事務所等の建物に対して、地中の安定した熱を利用して空調を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中熱を利用した空調システムとして、図8に示すような地中熱利用システムがあった。図において、床下に蓄熱用のくり石層1があり、地中2には地中パイプ3が埋設されている。くり石層1において蓄熱された地中熱を地中パイプ3により熱交換し、室内に送り込むというシステムであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3030022号公報(第5頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の地中熱利用システムは、地中パイプを用いて地中熱を室内に送り込み空調として利用するものであり、温度や空気の流れなどを制御することができないという課題を有していた。
【0005】
そこで本発明は、地中熱を用いるとともに地中熱から得られる温度や空気の流れなどを制御し、より効率のよい地中熱利用システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、地中から熱交換器へ移送される気体の流れる第1のパイプと、熱交換器から地中へ移送される気体の流れる第2のパイプと、第1のパイプと第2のパイプ内の気体を地中と熱交換器の間で循環させる気体移送機と、前記熱交換器に風を送って熱交換後の風を室内に吹き出す送風機とを備えるとともに、前記第1のパイプに切り替え機を設け、地中から熱交換器へ移送される気体の流れを前記送風機へ流す場合と室内に直接流す場合とに切り替え制御するとともに、前記熱交換器には温度センサ及び補助ヒータを設け、前記熱交換器へ移送される気体の前記温度センサにより測定された温度が予め定められた温度より低い場合に補助ヒータを作動して前記気体を加熱するように構成した地中熱利用システムである。
【0007】
この構成により、夏季には地中熱により冷却された気体を用いて冷風を効率よく送ることができ、また冬季には地中熱により温められた気体を用いて温風を効率よく送ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、地中から熱交換器へ移送される気体の流れる第1のパイプと、熱交換器から地中へ移送される気体の流れる第2のパイプと、第1のパイプと第2のパイプ内の気体を地中と熱交換器の間で循環させる気体移送機と、前記熱交換器に風を送って熱交換後の風を室内に吹き出す送風機とを備えるとともに、前記第1のパイプに切り替え機を設け、地中から熱交換器へ移送される気体の流れを前記送風機へ流す場合と室内に直接流す場合とに切り替え制御するとともに、前記熱交換器には温度センサ及び補助ヒータを設け、前記熱交換器へ移送される気体の前記温度センサにより測定された温度が予め定められた温度より低い場合に補助ヒータを作動して前記気体を加熱する構成としてある。
【0009】
この構成により、特に冬季において、室内が地中の温度より非常に低い場合には切り替え機を作動して室内に地中熱を直接取りいれ、室内が地中の温度近傍に上昇した後は再度切り替え機を作動して熱交換器から室内に温風を送ることが可能となり、より効率のよい空調ができる。
【0010】
特に冬季において地中熱だけでは室内が充分に暖まらない場合に補助ヒータを用いて室内を暖めることができ好ましい。
【0011】
また、上記のように構成した熱交換器を給湯機や床暖房といった熱利用システムに接続したものであり、効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0012】
【実施例】
(参考例1)
本発明の実施例を説明するに際し、まず本発明を理解するうえで参考となる参考例を図1を用いて説明する。図1において、4は家屋であり、地表面5から地中6にわたって地中パイプ7が設けられており地中パイプ7は外パイプ8と内パイプ9から構成されている。内パイプ9は下方が開放されており外パイプ8と繋がっており、気体移送機10により移送される気体を地中パイプ7内で外パイプ8と内パイプ9を通して循環させている。
【0013】
地中パイプ7の一端には熱交換器11が接続されており、その熱交換器11に風を送るように送風機12が配置されている。なお、13は家屋4の室内を示す。
【0014】
上記のように構成された地中熱利用システムについてその動作を説明する。気体移送機10により内パイプ9を通り地中6に送られた気体は外パイプ8を通り気体移送機10に再度送られる間に地中熱により温められる。温められた地中熱は熱交換器11に送られ送風機12から送られる風を受け、夏季であれば温風を、冬季であれば冷風を室内13に送り込む。
【0015】
このように熱交換器11と送風機12を用いることで、送風機12の風量や風速などを調整することで地中熱を利用した温風または冷風の温度や風量などを調整することができるため効率よく空調を行うことができる。
【0016】
なお、地中熱は一般に、地表面5から約1.5mまでは頻繁に温度が変化するが、約1.5mより深くなると摂氏15度付近で安定していることが知られている。従って、本発明においても、地中パイプ7は地中熱が安定している領域に届くように適宜構成することが好ましい。
【0017】
また、本参考例においては、気体移送機10により内パイプ9を通り地中6に送られた気体は外パイプ8を通り気体移送機10に再度送られる構成にしたが、気体移送機10により外パイプ8を通り地中6に送られた気体が内パイプ9を通り気体移送機10に再度送られるように構成してもよい。なお、外パイプ8と内パイプ9は一体に構成していても別体に構成していてもよく、何本設けるかは任意である。さらには、地中パイプ7内を循環する気体は、熱伝導性のあるものであればよい。
【0018】
また、上記のような地中熱利用システムの熱交換器11を床暖房や給湯機といった熱利用システムに接続することによって効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0019】
(参考例2)
本発明の参考例2について図2及び図3を用いて説明する。図において参考例1と同一部材については同一符号を用いて説明を省略する。また、地中パイプ7内の気体が熱交換器11に移送される動作も参考例1と同様であるため説明を省略する。図2において14はヒートポンプの室外機であり、送風機12から熱交換器11へ送られた風を受ける位置に配置されており、冷媒移送管15を介して室内機16に接続されている。
【0020】
上記のように構成された地中熱利用システムにおいてその動作を説明する。地中熱で温められた気体は熱交換器11に移送され送風機12から風を受けてヒートポンプの室外機14に夏季であれば冷風を、冬季であれば温風を送る。その風を受けてヒートポンプの室外機14の冷媒は夏季であれば冷やされ、冬季であれば温められて冷媒移送管15を通って室内機16から室内13に夏季であれば冷風が、冬季であれば温風が送られる。
【0021】
この構成により、地中熱を利用してヒートポンプが室内を夏季であれば冷やし、冬季であれば暖める能力を補助することができ、ヒートポンプの冷却効率及び暖房効率といった成績係数を向上することができる。また、ヒートポンプは家屋に予め設置されたものを用いてもよく、その場合は工事が簡便になり好ましい。
【0022】
なお、本参考例においては熱交換器11、送風機12及びヒートポンプの室外機14を室内に設けたが、図3のように室外に設けても構わない。
【0023】
また、上記のような地中熱利用システムの熱交換器11を床暖房や給湯機といった熱利用システムに接続することによって効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0024】
(参考例3)
本発明の参考例3について図4を用いて説明する。図において前記参考例と同一部材については同一符号を用いて説明を省略する。また、地中パイプ7内の気体が熱交換器18に移送される動作も参考例1と同様であるため説明を省略する。図4において、熱交換器18は補助ヒータ19及び温度センサ20を備える。
【0025】
上記のように構成された地中熱利用システムについてその動作を説明する。地中熱で温められた気体は熱交換器11に移送され送風機12から風を受けて室内13に送られる。特に冬季において、温度センサ20が作動し熱交換器18に移送された気体の温度を測定する。測定された温度が予め定められた温度より低い場合には、室内13は肌寒いと考えられるため、補助ヒータ19を作動して熱交換器18内の気体の温度をより高め温風を室内に送る。
【0026】
この構成により、特に冬季において地中熱だけでは室内が充分に暖まらない場合に補助ヒータを用いて室内を暖めることができ、効率よく空調を行うことができる。
【0027】
また、上記のような地中熱利用システムの熱交換器18を床暖房や給湯機といった熱利用システムに接続することによって効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0028】
(参考例4)
本発明の参考例4について図5を用いて説明する。図において前記参考例と同一部材については同一符号を用いて説明を省略する。また、地中パイプ7内の気体が熱交換器11に移送される動作も参考例1と同様であるため説明を省略する。
【0029】
熱交換器11は気体通路23に接続しており、気体通路切り替え機24により複数の室内吹き出し口16及び25に流れる気体の流れを制御している。室内吹き出し口16は冷媒移送管15を介してヒートポンプ室外機26及び気体通路切り替え機24に接続されている。また、室内吹き出し口25付近には温度センサ27が配置されている。
【0030】
上記のように構成された地中熱利用システムにおいて、その動作を説明する。熱交換器11に移送された地中パイプ7内に気体は、送風機12からの風により夏季であれば冷風を、冬季であれば温風を気体通路23に送る。
【0031】
その後、夏季であれば気体通路切り替え機24を用いて室内吹き出し口25に冷風を送り、室内13の温度を低くする。なお、その際に、冷風を循環させるため、適宜気体通路切り替え機24を設定してヒートポンプ室外機26側に風を流し冷媒移送路15内の冷媒を冷やして室内吹き出し口16から冷風を出し効率よく室内13を冷やすようにすることもできる。
【0032】
また、冬季であれば、温度センサ27により測定される室内13の温度に基づき、室温が地中熱の温度よりも低い場合には気体通路切り替え機24を用いて室内吹き出し口25から温風が室内13に送られる。
【0033】
室温が地中熱の温度付近に近づいた場合にも、地中熱の温度は摂氏15度前後のためより一層の暖房が必要となることもある。その際には、気体通路切り替え機24を用いてヒートポンプの室外機26側に温風を送り、冷媒移送管15内の冷媒を温めることにより地中熱より高い温度の温風を室内吹き出し口16から室内13に送る。
【0034】
この構成により、夏季においても冬季においても安定して室内13の温度を保つことができる。また、冬季においては予め設置されたヒートポンプを用いており、そのヒートポンプの冷房効率や暖房効率といった成績係数を向上することができる。
【0035】
なお、本参考例においては、ヒートポンプの室外機26を熱交換器11などを配置している上に置くようにしているが、図6のようにヒートポンプの室外機28を床下29に配置するようにしてもよい。なお、この場合、冷媒移送管15の長さが長くなるため、冷媒が温められる時間も長くなるため好ましい。
【0036】
また、上記のような地中熱利用システムの熱交換器11を床暖房や給湯機といった熱利用システムに接続することによって効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0037】
(実施例1)
次に本発明の実施例1について図7を用いて説明する。図において前記参考例と同一部材については同一符号を用いて説明を省略する。図において、地中パイプ7は外パイプ30と内パイプ31とにより別体に構成され、外パイプ30の途中には切り替え機32を設け、外パイプ30を通る気体の流れを制御している。また、室内には温度センサ20とは別に第2の温度センサ33が設置されている。
【0038】
上記のように構成された地中熱利用システムにおいてその動作を説明する。気体移送機10により内パイプ31を通り地中6に送られた気体は外パイプ30を通り気体移送機10に再度送られる間に地中熱により夏季であれば冷やされ、冬季であれば温められる。
【0039】
夏季には、外パイプ30を通り熱交換器18に移送された気体は送風機12からの風を受け、室内13に冷風を送り室温を冷やす。
【0040】
冬季には、第2の温度センサ33が作動し、室内13の温度を測定しその温度が地中熱の温度より低い場合には切り替え機32が温められた気体を直接室内13に入れるように設定される。
【0041】
また、第2の温度センサ33が測定した室温が地中熱の温度付近になると切り替え機32は外パイプ30内の気体を気体移送機10側に送り、熱交換器18へ移送される。温度センサ20により外パイプ30及び内パイプ31内の気体の温度が測定され、その温度が予め定められた温度より低い場合には、室内13は肌寒いと考えられるため、補助ヒータ19を作動して熱交換器18内の気体の温度をより高め温風を室内に送る。
【0042】
この構成により、特に冬季において、直接室内を暖めることができるとともに温度センサ20及び第2の温度センサ33を用いることで室内13の温度を安定した温度に保つことができる。
【0043】
なお、本実施例においては、温度センサ20及び第2の温度センサ33というように2つのセンサを設けたが、どちらか一方にしてもよく、1つのセンサで室内13及び熱交換器18の両方を測定できるようにしてもよい。
【0044】
また、上記のような地中熱利用システムの熱交換器18を床暖房や給湯機といった熱利用システムに接続することによって効率よく安定したエネルギシステムを実現することができる。
【0045】
【発明の効果】
上記のように本発明は、夏季には地中熱により冷却された気体を用いて冷風を効率よく送ることができ、また冬季には地中熱により温められた気体を用いて温風を効率よく送ることができる。特に冬季において、室内が地中の温度より非常に低い場合には切り替え機を作動して室内に地中熱を直接取りいれ、室内が地中の温度近傍に上昇した後は再度切り替え機を作動して熱交換器から室内に温風を送ることが可能となり、より効率のよい空調ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1を示す地中熱利用システムの概略図
【図2】 本発明の参考例2の地中熱利用システムの概略図
【図3】 本発明の参考例2の地中熱利用システムの概略図
【図4】 本発明の参考例3の地中熱利用システムの概略図
【図5】 本発明の参考例4の地中熱利用システムの概略図
【図6】 本発明の参考例4の地中熱利用システムの概略図
【図7】 本発明の実施例1の地中熱利用システムの概略図
【図8】 従来の地中熱利用システムの概略図
【符号の説明】
7 地中パイプ
8 外パイプ
9 内パイプ
10 気体移送機
11 熱交換器
12 送風機
Claims (2)
- 地中から熱交換器へ移送される気体の流れる第1のパイプと、熱交換器から地中へ移送される気体の流れる第2のパイプと、第1のパイプと第2のパイプ内の気体を地中と熱交換器の間で循環させる気体移送機と、前記熱交換器に風を送って熱交換後の風を室内に吹き出す送風機とを備えるとともに、前記第1のパイプに切り替え機を設け、地中から熱交換器へ移送される気体の流れを前記送風機へ流す場合と室内に直接流す場合とに切り替え制御するとともに、前記熱交換器には温度センサ及び補助ヒータを設け、前記熱交換器へ移送される気体の前記温度センサにより測定された温度が予め定められた温度より低い場合に補助ヒータを作動して前記気体を加熱するように構成した地中熱利用システム。
- 熱交換器を給湯機や床暖房といった熱利用システムに接続した請求項1記載の地中熱利用システム。
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