JP4456980B2 - 半導体装置用キャップ - Google Patents
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Description
図7は、ニッケルと低融点ガラスに含まれるPbとの共晶反応を利用してキャップ本体12に光透過窓14を封着した場合の封着部の構成(図6のA部分)を示す説明図である。キャップ本体12の表面にニッケルめっき18が施され、鉛を含有する低融点ガラス16とニッケルめっき18との界面にNi−Pb共晶合金層16aが形成されて低融点ガラス16がキャップ本体12に密着する。
すなわち、金属からなるキャップ本体に鉛を含有しない低融点ガラスを封着材として光透過窓が封着された半導体装置用キャップであって、前記キャップ本体の表面に無光沢パラジウムめっきが被着され、前記低融点ガラスと前記キャップ本体との界面に形成される共晶合金層を介して、前記キャップ本体に前記光透過窓が封着されていることを特徴とする。
また、前記無光沢パラジウムめっきは、0.3μm以上の厚さに形成されていることにより、十分な無光沢性が得られ、キャップ本体が黒色の外観を呈して、キャップ本体の光の反射を抑制する作用がさらに確実になされる。
また、前記鉛を含有しない低融点ガラスとして、Biを含有するビスマス系の低融点ガラスが用いられ、前記共晶合金層が、前記低融点ガラスに含有されるBiとキャップ本体の表面に被着された無光沢パラジウムめっきのPdとの共晶反応によって形成されたPd−Bi共晶合金層であることにより、光透過窓がキャップ本体に気密に封着された信頼性の高い半導体装置用キャップとして提供される。
本実施形態において、キャップ本体12の表面に無光沢パラジウムめっき22を施す理由は、パラジウムと、ビスマス系の低融点ガラスに含有されているビスマスとが光透過窓14を封着する際の封着温度で共晶反応を起こして容易に共晶合金層が形成されること、また、キャップ本体12の表面に無光沢パラジウムめっき22を施すことによってキャップ本体12の表面からの光反射を抑えることができ、効果的に迷光を抑えることが可能になるからである。
無光沢パラジウムめっきは、光沢剤を含まないパラジウムめっき液(パラジウムめっき液の例としては、特開2001-335986号公報等)を使用し、ハルセル銅板を使用して無光沢めっきがなされる電流密度条件を設定することによってなされる。本実施形態で無光沢パラジウムめっきを施しためっき条件は、電流密度0.25(A/dm2)、5分間である。
図2(a)は、光透過窓14を封着する前の状態で、キャップ本体12の金属表面に下地めっきとしてのニッケルめっき24が形成され、ニッケルめっき24の表面に無光沢パラジウムめっき22が被着されていることを示す。光透過窓14を封着する低融点ガラス16は上述したビスマス系の低融点ガラスである。
図2(b)は、光透過窓14を封着した後の状態で、キャップ本体12と低融点ガラス20との界面にPd−Bi共晶合金層20aが形成され、低融点ガラス20がキャップ本体12に密着した状態になることを示す。
図中で比較例とあるのは、キャップ本体12の表面にニッケルめっきを施し、鉛を含有する低融点ガラスを用いて光透過窓14を封着した従来品について測定したものである。実施例および比較例とも、キャップ本体12は外径3.5mm、鉄−ニッケル−コバルト合金製であり、光透過窓14は外径1.6mm、厚さ0.25mm、硬質ガラス製である。
グラフでは、キャップ本体に無光沢パラジウムめっきを施した実施例品(黒色Pdと表示)、キャップ本体に通常のパラジウムめっきを施した製品(Pdと表示)、キャップ本体にニッケルめっきを施した製品(Niと表示)の3種についての測定結果を示す。
この測定結果は、キャップ本体に無光沢パラジウムめっきを施すことによって、迷光を防止する作用が顕著に向上することを示している。
この測定結果は、キャップ本体に無光沢パラジウムめっきを施したものは、加熱処理によって若干反射率は上がるがその変動量はさほど大きくないことを示す。また、加熱処理を施した後の反射率を比較すると、無光沢パラジウムめっきを施した実施例品は、通常のパラジウムめっきを施した製品や、従来のニッケルめっきを施した製品と比較して広い波長領域で反射率が大きく下回っており、反射率が低く抑えられていることがわかる。
また、本実施形態の半導体装置用キャップは、封着材として鉛を含有しない低融点ガラスを用いて製造できることから、製造工程における無鉛化を図ることが可能となる。
また、キャップ本体に無光沢パラジウムめっきを施すだけで、共晶合金層を形成して光透過窓をキャップ本体に気密に封着する作用と、キャップ本体の迷光防止を図る作用を得ることができ、キャップ本体に別途、黒化処理を施すといった必要がなく、簡易な製造工程でかつ優れた特性を有する製品として得ることが可能になる。
なお、本発明に係る半導体装置用キャップは、レーザダイオードを搭載する半導体装置に限らず、一般の光透過窓を備える光部品にも利用することができる。
12 キャップ本体
12a 光透過孔
14 光透過窓
16 低融点ガラス
16a Ni−Pb共晶合金層
18 ニッケルめっき
20 ビスマス系の低融点ガラス
20a Pd−Bi共晶合金層
22 無光沢パラジウム
24 ニッケルめっき
Claims (4)
- 金属からなるキャップ本体に鉛を含有しない低融点ガラスを封着材として光透過窓が封着された半導体装置用キャップであって、
前記キャップ本体の表面に無光沢パラジウムめっきが被着され、
前記低融点ガラスと前記キャップ本体との界面に形成される共晶合金層を介して、前記キャップ本体に前記光透過窓が封着されていることを特徴とする半導体装置用キャップ。 - 前記無光沢パラジウムめっきは、めっき表面にパラジウムの針状結晶が形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用キャップ。
- 前記無光沢パラジウムめっきは、0.3μm以上の厚さに形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置用キャップ。
- 前記鉛を含有しない低融点ガラスとして、Biを含有するビスマス系の低融点ガラスが用いられ、
前記共晶合金層が、前記低融点ガラスに含有されるBiとキャップ本体の表面に被着された無光沢パラジウムめっきのPdとの共晶反応によって形成されたPd−Bi共晶合金層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の半導体装置用キャップ。
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