JP4456557B2 - 高速鉄道車両 - Google Patents

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Description

本発明は、高速走行する新幹線(登録商標)等の高速鉄道車両に関し、特にトンネルの突入によって発生する微気圧波を低減させるのに好適な高速鉄道車両に関する。
移動の高速化が望まれる現代では、鉄道車両に対しても時速270km/h或いはそれ以上の高速性能が要求されるようになっている。その一方で、民家などの間を抜けて通るような我が国の鉄道事情では、騒音や振動に対する環境への影響を考慮することが高速化と同様に重要な課題でもある。そうした環境対策の一課題としてトンネル微気圧波(以下、単に「微気圧波」という)によるトンネル出口での騒音などがある。高速鉄道車両がトンネルに突入する場合、先頭車両がピストンのように作用し、トンネル内の狭い空間に存在する空気が圧縮されて圧縮波が発生する。微気圧波は、この圧縮波がトンネル内をほぼ音速で伝わっていきトンネル出口に達した際外部に放出される、そのトンネル出口で圧縮波の圧力の時間についての偏導関数(以下、「圧力勾配」という。圧力の時間についての偏導関数は圧力の空間についての偏導関数と比例関係にある)に比例するパルス状の圧力波である。
こうしたトンネルから放射される微気圧波は、トンネル出口周辺の建物に対して騒音や振動を及ぼすため環境対策問題の一つとして挙げられている。特に、微気圧波を引き起こす圧縮波は、その圧力勾配が車両速度の3乗に比例して大きくなるため、鉄道車両の高速化を進める上において微気圧波の低減、即ち圧縮波を小さく抑えることは極めて重要な課題となっていた。近年、こうした微気圧波の低減を目的とした先頭部形状を備えた高速鉄道車両について幾つかの提案がなされてきている。その一例が特開平11−321640号公報に記載されたものである。同公報に開示された高速鉄道車両は、圧力勾配分布の極大部を前後に明確に分け、それぞれの圧縮波がトンネル出口で集合した微気圧波にならないようにしたものである。しかし、その具体的な構成は先頭部の寸法が25mもの長さになってしまい、その分だけ客室が大幅に減少してしまい旅客鉄道車両としては現実的でなかった。そこで本出願人は、特開2002−308092号公報によって開示された高速鉄道車両を提案している。
その他、特開2005−14621号公報には、前記公報の高速鉄道車両がトンネル側の微気圧波対策として設けられる緩衝工がないトンネルでの微気圧波低減性能と、緩衝工があるトンネルでの微気圧波低減性能とが両立しなかったため、緩衝工がないトンネルでの微気圧波低減性能と、緩衝工があるトンネルでの微気圧波低減性能との両立を図り、衝撃音を低減することを目的とした高速先頭車両が提案されている。
すなわち、先頭部分の先端に横断面積増加率が大きい前側横断面積増加領域を備え、それに連続して横断面積が単調増加する中間横断面積増加領域が設けられ、一般部の直前では後側横断面積増加領域が運転室に対応する構成となって続いている。そして、この後側横断面積増加領域に対応する部分に運転室が設けられ、車両中心より若干左側寄りに配設された運転席が、車体中心に配置された運転室キャノピによって覆われている。
特開平11−321640号公報(第4−6頁、図6、図8) 特開2002−308092号公報(第3−5頁、図1−図5) 特開2005−14621号公報(第5頁、図1)
ところで、700系の新幹線(登録商標)車両では、先端からの後方一般部までの長さが約10m(正確には9.2m)であるのに対し、前記特許文献1の高速鉄道車両では、先頭部形状の寸法が25mもの長さになってしまい、客室確保の点から好ましいものではなかった。この点、特許文献2の高速鉄道車両は、所定の長さに設定した先頭部を断面積変化率に基づいて圧力勾配分布が最適化する形状になるようにしたものである。そのため、微気圧波を低減させながらも、車体先頭部の長さを従来のものと同じレベルで構成することができる。
そうした特許文献2の高速鉄道車両は、最適横断面積分布を求める解析を簡単にするため軸対称モデルを用いた解析が行われている。つまり、トンネル形状は横断面積を一致させた円筒形状にし、車両も横断面積を一致させた円柱状のものが突入する場合を想定して行っている。従って、従来の高速鉄道車両は、その先頭部形状を軸対象の検討に基づいて設計するようしたものであって、特許文献3も含め、車両を輪切りにしたときの断面積の関数形状について論じるのが主要な骨子であった。
しかしながら、現実的には軸対象ということはありえないから、トンネル微気圧波対策として、軸対象的な発想を超えるより現実に近い状態での先頭部形状の特定が望まれている。特に、トンネルの多くは複線トンネルであって高速鉄道車両は左側線路を走行するため、通常は車体左側に壁が近く、車体右側はトンネル内の空間が大きく広がるような状態になる。従って、先頭部形状を特定するには、そうした走行条件を考慮して行うことが必要になる。
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、運転室キャノピの車体幅方向の位置の特定により微気圧波を低減させるようにした先頭部形状を備えた高速鉄道車両を提供することを目的とする。
本発明に係る高速鉄道車両は、車両先頭部がトンネルに突入する際に生じる圧縮波の圧力勾配分布に極大部をつくる断面積変化率の大きい部分を、当該車両先頭部の先端部分と一般部直前の後方部分とに有し、当該先端部分から後方部分にかけて断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化率を小さくした中間部分が形成され、当該中間部分に運転室空間を構成する運転室キャノピによる突設部が形成されている高速鉄道車両において、前記運転室キャノピが、車体に近いトンネル壁面側に片寄って配置されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る高速鉄道車両は、前記運転室キャノピ前面の車体上面からせり上がった窓部が、前記車両先頭部の長手方向のほぼ中央に位置するものであることが好ましい。 また、本発明に係る高速鉄道車両は、前記車両先頭部の先端部が、揚力を発生させるべく上下両方向にせばめられて幅方向に長い扁平形状のノーズが形成されたものであるであることが好ましい。
また、本発明に係る高速鉄道車両は、前記車両先頭部の側面部分が、前記運転室キャノピが位置する部の幅寸法が小さくなり、前記一般部直前の後方部分が当該一般部とほぼ同じ幅寸法で形成されたものであることが好ましい。
高速鉄道車両において微気圧波を低減させる先頭部形状は、例えば前記特許文献2に記載されているように、圧力勾配分布が先端部分と一般部直前の後方部分によって極大部ができるよう断面積変化率が大きく形成され、その中間部分は圧力勾配分布に窪みができるように断面積変化率が小さく形成されるようにすることが好ましいが、先頭部形状の後方部分は、設計上の制約が多いため断面積変化率が十分にコントロールできない。本発明は、運転室キャノピを車体に近いトンネル壁面側に片寄って配置することにより、そうした点を補って圧力勾配の値を小さくして微気圧波を低減させることができる。
次に、本発明に係る高速鉄道車両について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図6は、前記特許文献2に記載された、あるパターン1〜4の異なる先頭部形状によって生じる圧縮波の圧力勾配分布(時速270km/h走行時について)を示した図である。同図は、車両先頭部がトンネルに突入する際に生じる圧縮波の圧力勾配分布を示したものであり、具体的にはトンネル内の所定箇所で観測した圧縮波の圧力変化を時間で微分したものである。縦軸には圧力勾配をとり、横軸には時間をとっている。ここで、vは車両速度であり、Lは車両の先頭部長さである。そして、観測点における時刻の原点0は、トンネル入口に車両先頭部が突入した瞬間に発生した音波がその観測点に到達した時刻をとっている。なお、観測点はトンネル入口からの距離xに依存しているため、音速をsで表せばこの線図はx/sだけ時刻の原点がずれている。
微気圧波は、圧縮波による圧力勾配に比例するため、微気圧波を低減させるには圧力勾配の最大値を低下させればよい。即ち、図6に示すように各パターンに現れている圧力勾配分布の極大部A,Bを下げればよいことになる。その際、単純に車両先頭部を長くすれば車両先頭部の通過時間(図6のL/v)が長くなるため、それに伴って極大部A,Bを低下させることができる。これは、圧力勾配分布が、最大横断面積(一般部横断面積)が同じであれば、同じ条件で走行させた場合に生じる圧力変化(0〜L/vの範囲で囲まれる圧力勾配分布の面積)が一定であるため、車両先頭部が長くなれば時間幅が広くなって圧力勾配全体が低下するからである。
一方、トンネル突入時に発生する圧力進行波の全波高は列車の横断面積を小さくすれば低減可能であるため、車両先頭部長さを不変とした場合には、圧力全波高を低下させることにより、それに比例して圧力勾配も小さくすることができる。しかし、一般部の横断面積を小さくしてしまったのでは、乗客の居住性を損なうことになる。従って、こうした断面積の縮小や車両先頭部長さの拡張といった点から圧力勾配分布の低下を図るのは、設計上トレードオフが生じるため好ましい方法ではない。
そこで、本実施形態では、次のようにしてトンネル出口から放射される微気圧波を低減させるのに好適な先頭部形状を備える高速鉄道車両を提供することとした。
先ず、微気圧波を低減させるようにした基準となる先頭部形状を任意に作成した。図1がその基準となる高速鉄道車両の第1先頭部形状を示した図である。図1(a)〜(c)は、第1先頭部形状の平面図、側面図および正面図を示した図であり、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示したものである。そして、この第1先頭部形状1を基準にして、車両先頭部の長さと一般部の横断面積を固定した状態で圧力勾配の最大値が低下する好適な車両先頭部形状の特定を行うこととした。
ここで図5は、第1先頭部形状1および、後述する他の先頭部形状の高速鉄道車両がトンネルに突入した時の圧縮波の圧力勾配分布を比較して示した図である。このグラフは、3次元の高速鉄道車両について、速度270km/hで対向車の軌道がある複線トンネルに突入した場合に生じる圧力波について圧縮性流体解析を行って数値的に求めたものである。そして、第1先頭部形状1の最大値に相当する値((∂p/∂t)max=約8.5kPa/sec)を100%として縦軸に示し、横軸には、圧力波源相当位置(圧力波源相当位置とは、トンネル内を前方に進行する圧力波形を同一に保ったまま時間を遡り圧力波上の各々の位置がトンネル入口面を仮想的に出発する時刻に車両の先端がトンネル入口面からどれだけトンネル内部にあるかを示すものである。)を示している。
ところで、特許文献2では、先頭部長さを長くすることなく、一般部の横断面積を確保しながら微気圧波を低減させる先頭部形状を有する高速鉄道車両が提案されている。
すなわち、微気圧波の強さ(パワー)は図6に示すような圧力勾配の2乗に比例するため、高い値を示す極大部A,Bを抑えることが有効である。そして、圧力勾配分布曲線によって囲まれる面積が一定になることから、圧力勾配の極大部A,Bの値が等しくなり、且つその間の窪みC部分の最小値が極大部A,Bの値により近づくようにした圧力勾配分布を示すような断面積変化率を特定して先頭部形状を作成することが記載されている。
図1に示した第1先頭部形状1は、微気圧波が低減するようにこうした特許文献2の手法に基づき、圧力勾配分布の特性から断面積変化率を数値解析して作成したものである。すなわち、当該圧力勾配分布に極大部A,Bの形状をつくる断面積変化率の大きい部分が当該車両先頭部の先端部分と一般部直前の後方部分とにあり、その先端部分から後方部分にかけて断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化率を小さくした中間部分が形成されている。言い換えれば、先端部分と一般部直前の後方部分が、車両先頭部のトンネル突入によって発生する圧縮波の圧力勾配分布に極大部Aと極大部Bとができるよう断面積変化率が大きく形成され、その先端部分から後方部分の間の中間部分では、断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化率が小さく形成されている。
この第1先頭部形状1は、水平な車体下ライン12からノーズ11の最先端部にかけて前方にせり上がり、車体上面13では後方の一般部にかけて緩やかに上昇した傾斜を有している。更に、図1(a)(c)によって第1先頭部形状1を幅方向に見た場合、ノーズ11の最先端部より高い位置では、一般部までほぼ一定間隔の幅寸法で形成され、ノーズ11の最先端部より低い位置やノーズ11の先端部分では内側や先端方向に幅寸法を小さくして湾曲した形状になっている。
こうしてノーズ11が高く構成されているのは、車両の接近によって発生するトンネル内の圧力変化がより早い時点で起きるようにするためである。つまり先頭部形状のノーズを高くするとノーズ部分に揚力が発生し、この揚力を発生させる空気の渦が車両先頭部を見かけ上前方に伸ばしたように作用して、高速鉄道車両がトンネルに突入するより前方の位置からトンネル内の圧力を高めると考えられるからである。この場合、走行する高速鉄道車両の先端部分において排除する空気の体積は変わらないが、ノーズ部分が力を受けるその反作用によって前方の空気を移動させると考えられる。
前述したように圧力勾配分布は最大横断面積(一般部横断面積)が同じであれば、同じ条件で走行させた場合に生じる圧力変化は一定であるため、車両先頭部が見かけ上長くなったようにトンネル内の圧力を変化させることで圧力勾配分布の時間幅(その時間に対応した車両の移動距離(図5及び図6におけるグラフの横軸))が広くなって圧力勾配全体が低下することになる。そこで、ノーズ11を上げた第1先頭部形状1は、図5のグラフG1のような圧力勾配分布を示した。具体的には、極大部A,Bはほぼ等しい値を示しているが、その間の窪みCの値が小さくなっている。
そして、この第1先頭部形状1をベースにして、圧力勾配分布が前述したように極大部A,Bの値がほぼ等しく、更にその間の窪みCにおける最小値との差が小さくなる形状、つまり台形形状を目指して3次元的な変形を加えて検討を行った。ここでは、高速鉄道車両の先頭部形状が3次元的にどのような特徴を持った形状であることが圧力勾配の低減に好ましいかを、特に運転室のスペースを考慮して確認した。そのため、以下に示す各先頭部形状は、ベースとなる第1先頭部形状1と断面積分布(横断面積A(X)の関数形)を一致させ、先端から一般部までの所定位置における断面積が全て同一(車両先端から同じ距離X位置で輪切りにしたものであれば、その断面積が同じ)になることを条件とした。
第1先頭部形状1は、車体上面13が緩やかな傾斜面であるため、内部に運転席や各種機器を装備した運転室を設けることが不可能であるため現実的ではない。そこで、以下に示す先頭部形状は、先頭部の外形形状として表れる運転室キャノピを車体上面13に加えた先頭部形状になっている。なお、運転室キャノピとは、運転室を覆う窓部分だけでなく車体上面に形成される凸状部分全体のことをいう。
図2は、第1先頭部形状を変形させた高速鉄道車両の第2先頭部形状2を示した図であり、(a)〜(c)はそれぞれ平面、側面および正面を示し、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示している。
この第2先頭部形状2は、車体上面23に運転室キャノピ25を設け、しかも運転室キャノピ25を車体幅方向の中央に配置するようにして第1先頭部形状1に変形を加えたものである。すなわち、第1先頭部形状1と同じように水平な車体下ライン22から最先端部にかけて前方にせり上がり、横に長い扁平形状をしたノーズ21が同じ高さで形成されている。しかし、第2先頭部形状2では、ノーズ21から後方の一般部にかけて緩やかに上昇する車体上面23に運転室キャノピ25が設けられている。第1先頭部形状1と同じ断面積分布が条件であるため、運転室キャノピ25が上方に突き出して設けられた分、側面部26が幅方向に窪んだ形状になって形成される。
次に図3は、第1先頭部形状を変形させた高速鉄道車両の第3先頭部形状3を示した図であり、(a)〜(c)はそれぞれ平面、側面および正面を示し、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示している。
この第3先頭部形状3は、車体上面33に運転室キャノピ35を設け、しかも運転室キャノピ35を車体幅方向の右側に片寄らせて配置し、第1先頭部形状1に変形を加えたものである。新幹線(登録商標)等は複線トンネルを通常左走行するため、この第3先頭部形状3はトンネルの中心側に運転室キャノピ35を片寄って配置させたものである。
全体の形状は、第1先頭部形状1と同じように水平な車体下ライン32から最先端部にかけて前方にせり上がり、横に長い扁平形状をしたノーズ31が同じ高さで形成されている。そして、ノーズ31から後方の一般部にかけて緩やかに上昇する車体上面33に運転室キャノピ35が設けられている。第3先頭部形状3も第1先頭部形状1と同じ断面積分布が条件であるため、運転室キャノピ35が上方に突き出して設けられた分、側面部36,37が幅方向に窪んだ形状になって形成される。運転室キャノピ35が右側に片寄って配置されているため、側面部36,37も左右非対称である。
更に図4は、第1先頭部形状1を変形させた高速鉄道車両の第4先頭部形状4を示した図であり、(a)〜(c)はそれぞれ平面、側面および正面を示し、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示している。
この第4先頭部形状4は、車体上面43に運転室キャノピ45を設け、しかも運転室キャノピ45を車体幅方向の左側に片寄らせて配置し、第1先頭部形状1に変形を加えたものである。すなわち、新幹線(登録商標)等は複線トンネルを通常左走行するため、この第4先頭部形状4はトンネルの壁面側に運転室キャノピ45を片寄って配置させたものである。
全体の形状は、第1先頭部形状1と同じように水平な車体下ライン42から最先端部にかけて前方にせり上がり、横に長い扁平形状をしたノーズ41が同じ高さで形成されている。そして、ノーズ41から後方の一般部にかけて緩やかに上昇する車体上面43に運転室キャノピ45が設けられている。第4先頭部形状4も第1先頭部形状1と同じ断面積分布が条件であるため、運転室キャノピ45が上方に突き出して設けられた分、側面部46,47が幅方向に窪んだ形状になって形成される。運転室キャノピ45が左側に片寄って配置されているため、側面部46,47も左右非対称である。
図5に示された圧力勾配分布は、第1乃至第4先頭部形状1,2,3,4をそれぞれ備えた高速鉄道車両が、複線トンネルの走行方向左側を走行して突入した場合の結果を示すものである。第1先頭部形状1(G1)と比較した第2先頭部形状2(G2)、第3先頭部形状3(G3)および第4先頭部形状4(G4)は、断面積変化率の大きいノーズ11,21,31,41がほぼ同様に構成されているため、圧力勾配分布にできる極大部Aの値もほぼ同じである。これに対して一般部直前の先頭部後方部分によってできる圧力勾配分布の極大部Bは、その値が大きく異なることになった。具体的には、第2先頭部形状2(G2)及び第3先頭部形状3(G3)では値が大きくなり、第4先頭部形状4(G4)では逆に小さくなった。その一方で、極大部A,B間の窪みCでは、第4先頭部形状4(G4)の値が大きくなり、第2先頭部形状2(G2)及び第3先頭部形状3(G3)の値が小さくなった。
第2先頭部形状2(G2)及び第3先頭部形状3(G3)は極大部Bの最大値が突出して大きくなっているが、微気圧波の強さ(パワー)は圧力勾配の2乗に比例して大きくなるため好ましい結果ではない。これに対して第4先頭部形状4(G4)は、極大部Aの最大値が他よりも僅かに大きくなっているが、その値よりも極大部Bと窪みCとの値がほぼ同じ大きさになって極大部Aの最大値よりも小さくなっている。
本実施形態は、運転室キャノピの車体幅方向の位置について検討したものであり、極大部Bの値が下がったことは、配置変更による効果が現れたものと考えられる。なお、極大部Aの値は先端部分の形状が影響して現れるものであるが、これについては第1先頭部形状1そのままであるため更に改善する余地はあり、現状よりも更に微気圧波の低下が期待できる。
次に、第4先頭部形状4が他の第2、第3先頭部形状2,3に比べて極大部Bの値が低下した点について考察する。第1先頭部形状1は、前記特許文献2の手法によって特定されたものであり、先端部分と一般部直前の後方部分は極大部Aと極大部Bとができるよう断面積変化率が大きく形成され、窪みCをつくるその中間部分は断面積変化率が小さく形成されている。
ところで、先頭部形状を設計する場合、極大部Aが発生する先端部分は制約が少ないため自由に設計することが可能であるが、極大部Bが発生する一般部直前は入口ドアや運転室キャノピなどが配置されるため、大きく形状を変化させることができない。そのため、先頭部形状の後方部分を急激に膨らませるような形状にしてしまうと、車体を幅方向にみた場合、入口ドアがホームから遠くなって乗降がし難いものとなってしまう。従って、先頭部形状の後方部分は、入口ドアを構成するため一般部とほぼ同じ横幅をもっている。そこで、車体を上下方向に急激な変化を与えようとすれば、運転室の天井が極端に低くなってしまうなど、現実的ではなかった。よって、このように一般部直前に当たる先頭部形状の後方部分は断面積変化率が大きくなるようにするには設計上の制約が大きかった。
そこで、より現実的な先頭部形状を考えると、一般部直前の断面積を大きく変化させることができないため、どうしても極大部Bの値が大きくなってしまう。図5に示された第2先頭部形状2(G2)と第3先頭部形状3(G3)の極大部Bの値は、そうした後方部分の影響が現れたものである。しかし、第4先頭部形状4(G4)の場合には、運転室キャノピ45の位置をトンネル壁側に近づけたことによって極大部Bの値が抑えられ、窪みCとの値がその極大部Bとほぼ同じ大きさになり、ともに極大部Aの最大値よりも小さくなる結果が得られた。これは高速鉄道車両が複線トンネルの左側を走行するため、車体左側に配置された運転席キャノピ45が、こうした圧力勾配分布の結果に影響を及ぼしていると推測できる。
例えば図7に示すように高速鉄道車両5の先頭部分がトンネル内に突入する場合、運転室キャノピ55による空気を圧縮した圧縮波Pが同心円状に伝播する。そして、本実施形態の各先頭部形状2,3,4では、運転室キャノピ25,35,45がトンネル壁面Tから異なる距離に位置しているため、その圧縮波Pが圧力勾配に与える影響が異なっていると考えられる。図8は、そうした運転室キャノピ単独から発生する圧縮波が圧力勾配分布に与える寄与分を抽出して概念的に示した図である。
運転室キャノピ部で断面積が拡大することによる圧縮波は、運転室キャノピ部の車両先端からの距離に対応した位置の圧力勾配を上昇させる。そして、先頭部形状2,3,4は、運転室キャノピ25,35,45部分の横断面積がいずれも同一である。そのため図8の曲線と横軸とで囲まれた部分の面積は同一になるが、トンネル壁面Tからの距離の違いにより、そのことによる影響が前後方向への広がり方に差異を生じさせている。すなわち、トンネル壁面Tから最も遠い第3先頭部形状3の運転室キャノピ35(g3)の場合には、圧力勾配分布が前後方向(横軸方向)に広がって最大値が小さくなる一方、トンネルの壁面に近い第4先頭部形状4の運転室キャノピ45(g4)では圧力勾配分布が集中して最大値が大きくなり、運転室キャノピ25が中央に位置する第2先頭部形状2(g2)は圧力勾配も中間的な値となる。
そして、運転室キャノピ前面のせり上がった窓部25a,35a,45a(図2〜図4参照)が先頭部形状の長手方向中央に位置するため、ここで発生する圧力勾配は図5に示す圧力勾配分布の中で窪みC部分に影響を与えていると考えられる。しかし、第3先頭部形状3は、運転室キャノピ35がトンネル壁面から遠いため、図8に示すように圧力勾配分布が全体的に広がり、図5に示す窪みC部分の値を押し上げるに至っていない。第2先頭部形状2においても同様である。その一方で、第4先頭部形状4では、運転室キャノピ45がトンネル壁面から近いため、図8に示すように圧力勾配分布が集中して図5に示す窪みC部分の値を押し上げることになった。
このように、第2、第3先頭部形状2,3の如く運転室キャノピ25,35をトンネル壁面Tから離して設けた場合、先頭部形状の長手方向のほぼ中央における断面積増加による圧力波形への寄与は長手方向に拡散し、設計上クリティカルな先頭部後半での圧力勾配が高められて極大部Bの値が大きくなってしまった。しかし、これに対して第4先頭部形状4は、運転室キャノピ45による押し上げ効果が大きいため窪みCの値が大きくなった。そして、圧力勾配分布曲線によって囲まれる面積が一定になることから、逆に極大部Bの値を下げる効果が得られた。よって、運転室キャノピを設けた先頭部形状では、第4先頭部形状4のように、運転室キャノピ45をトンネル壁面に近づけることが先頭部形状後方部分の設計上の制約を補って圧力勾配分布を下げることに有効であることが分かった。
以上、本発明に係る高速鉄道車両の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、運転室キャノピなどの形状は図示した以外の形状であってもよい。特に、先頭部形状の先端は設計の自由度が大きいため、前記実施形態のノーズ形状以外にもより有効な形状が考えられる。
第1先頭部形状の平面図、側面図および正面図を示した図であり、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示したものである。 第2先頭部形状の平面図、側面図および正面図を示した図であり、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示したものである。 第3先頭部形状の平面図、側面図および正面図を示した図であり、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示したものである。 第4先頭部形状の平面図、側面図および正面図を示した図であり、いずれも所定間隔の断面における外形線を重ねて示したものである。 第1先頭部形状乃至第4先頭部形状の高速鉄道車両がトンネルに突入した時の圧縮波の圧力勾配分布を比較して示した図である。 特許文献2に記載された、あるパターン1〜4の異なる先頭部形状によって生じる圧縮波の圧力勾配分布を示した図である。 高速鉄道車両の先頭部分がトンネル内に突入する場合の運転室キャノピによる圧縮波を概念的に示した図である。 運転室キャノピの圧縮波が発生させる圧力勾配分布を概念的に示した図である。
符号の説明
4 第4先頭部形状
41 ノーズ
42 車体下ライン
43 車体上面
45 運転室キャノピ
46,47 側面部

Claims (4)

  1. 車両先頭部がトンネルに突入する際に生じる圧縮波の圧力勾配分布に極大部をつくる断面積変化率の大きい部分を、当該車両先頭部の先端部分と一般部直前の後方部分とに有し、当該先端部分から後方部分にかけて断面積が徐々に僅かずつ大きくなるように断面積変化率を小さくした中間部分が形成され、当該中間部分に運転室空間を構成する運転室キャノピによる突設部が形成されている高速鉄道車両において、
    前記運転室キャノピが、車体に近いトンネル壁面側に片寄って配置されたものであることを特徴とする高速鉄道車両。
  2. 請求項1に記載する高速鉄道車両において、
    前記運転室キャノピ前面の車体上面からせり上がった窓部が、前記車両先頭部の長手方向のほぼ中央に位置するものであることを特徴とする高速鉄道車両。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する高速鉄道車両において、
    前記車両先頭部の先端部は、揚力を発生させるべく上下両方向にせばめられて幅方向に長い扁平形状のノーズが形成されたものであることを特徴とする高速鉄道車両。
  4. 請求項3に記載する高速鉄道車両において、
    前記車両先頭部の側面部分は、前記運転室キャノピが位置する部の幅寸法が小さくなり、前記一般部直前の後方部分は当該一般部とほぼ同じ幅寸法で形成されたものであることを特徴とする高速鉄道車両。
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