JP4455217B2 - ディスクバルブ - Google Patents

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Description

この発明は、ディスクバルブおよび洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブ用ディスクバルブに関する。
一般的な洋式便器併設型局部洗浄装置(図3参照。)には、便器の背側上部のハウジング12内には洗浄水の流路切替バルブ(後述する実施形態の切替バルブ1の外形状と配置について同態様のもの。)が設置されており、このような洗浄装置は、例えば2つの独立して設けた伸縮自在なノズル機構6からそれぞれ適宜に洗浄水を噴出させる操作を迅速かつ確実に行なえるようディスクバルブを内蔵した切替バルブが内蔵されている(例えば特許文献1参照)。
このようなディスクバルブは、給水管に接続した弁孔を有する弁座(特許文献1では固定ディスクと別称される。)を有すると共に、これら弁座に対して摺動状態で回転動作する閉鎖部材であるディスク状弁体(特許文献1では回動ディスクと別称される。)を有し、水流調整のための流路切替(開閉)に用いられる。
また、家庭用の湯水混合水栓用ディスクバルブにおいても弁座と弁体の摺動面からの水漏れを確実に防止するための対策として、ディスクの摺動面の形状を可動ディスクおよび固定ディスクのうち、少なくとも一方について合成樹脂製弁体にすると共に滑らかな中高に形成することが知られている(特許文献2参照。)。
特開平7−119196号公報(段落[0020]〜[0025]) 実開平5−79131号公報(請求項1)
しかし、上記した従来の洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブに用いられるディスクバルブでは、弁体の僅かな回転角度の動作によって、確実に素早く流路を切り替え、または流量調整を行なう必要があるが、弁孔が数多く広い開口面積で形成されていて弁体と弁座のシール性を確実にするシール面積を充分に確保できないため、弁箱内に水漏れが起こりやすいという問題点がある。
また、湯水混合水栓のように合成樹脂製の弁体または弁座の一方または両方について滑らかな中高に形成し、弁体を弁座に対して中心軸回りに所定角度まで摺動回転させて前記弁孔を開閉する構造のディスクバルブにおいても弁箱内の水漏れを確実に防止することはできなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、弁体を弁座に対して中心軸回りに所定角度まで摺動回転させて前記弁孔を開閉するディスクバルブについて、弁体と弁座の摺動面からの水漏れを確実に防止できるものにすることであり、特に洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブに用いられるディスクバルブについて、上記問題点を解決できるものにすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、弁箱内に、弁孔を有する弁座とディスク状弁体とをこれらの中心軸が合わさるよう重ねて設け、前記弁体を弁座に対して中心軸回りに所定角度まで摺動回転させて前記弁孔を開閉するディスクバルブにおいて、前記弁体の弁座に対する摺動面および弁座の弁体に対する摺動面のうちいずれか一方の摺動面を滑らかな中高形状に設けると共に、他方の摺動面を前記中高な形状に整合する滑らかな中低な形状に設けたことを特徴とするディスクバルブとしたのである。
上記したように構成されるこの発明のディスクバルブは、弁体および弁座の摺動面のうちいずれか一方の摺動面を滑らかな中高形状に形成すると共に、他方の摺動面を中高な形状に整合する滑らかな中低な形状に形成したので、弁体と弁座が整合した状態で密接する面積が摺動面を平面同士とした整合状態に比べて広くなり、その増加した密接面積によりディスクバルブのシール面積が充分に確保される。
また、中高な形状と中低な形状とを整合させると、中央部付近が確実に密接して回転中心になるから弁体を弁座に対して所定角度まで摺動回転させる際にも回転軸の位置が安定し、弁体と弁座の回転軸の周囲にシール性を低下させるような歪みが発生し難くなり、シール性は安定し、常に安定した水漏れ防止性が発揮できるディスクバルブになる。
このようなシール性に優れたディスクバルブにするためには、中高な形状の摺動面の高低差にするか、または摺動面の中低な形状の高低差が3〜20μmであるディスクバルブであることが好ましい。
摺動面の高低差が、3μm未満では、平滑面になりすぎて弁体と弁座の密着する面積が摺動面の平面同士の整合とほとんど変わらず好ましくない。また、摺動面の高低差が、20μmを超えると、弁体と弁座の回転軸の周囲に歪みが発生しやすくなり、シール性も安定して保存できなくなり好ましくない。
また、弁座および弁体が合成樹脂製のものである上記したディスクバルブは、弁座および弁体を所定の中高または中低な形状にする形成が比較的簡単で好ましいものである。
また、この発明のディスクバルブは、洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブ用ディスクバルブに採用することもできる。このようなディスクバルブは、弁箱内に、弁孔を有する弁座とディスク状弁体とをこれらの中心軸が合わさるよう重ねて設けたものであり、中高・中低形状によって、弁体と弁座の回転軸の周囲にシール性を低下させるような歪みが発生し難くなり、シール性は安定し、常に安定した水漏れ防止性が発揮できるディスクバルブになる
この発明は、弁体を弁座に対して中心軸回りに所定角度まで摺動回転させて弁孔を開閉するディスクバルブについて、弁体の弁座に対する摺動面および弁座の弁体に対する摺動面のうちいずれか一方の摺動面を滑らかな中高形状に設けると共に、他方の摺動面を前記中高な形状に整合する滑らかな中低な形状に設けたので、弁座と弁体が整合して密接し、シール面積が増加すると共に摺動回転する際の回転軸の位置が安定するようになり、弁体および弁座の摺動面から確実に水漏れを防止できる。特に洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブに用いられるディスクバルブについても、上記同様に弁体および弁座の摺動面から確実に水漏れを防止するという利点がある。
また、摺動面の中高な形状または中低な形状の高低差が3〜20μmであるものは、前記弁座と弁体のシール性および摺動の回転軸位置の安定性がより確実にとなり、弁体および弁座の摺動面からより確実に水漏れを防止できるという利点がある。
この発明の実施形態を、以下に添付図面に基づいて説明する。
図1〜4に示すように、実施形態は、洋式便器A(図3)の背面上部に取り付けられる切替バルブ1(図4)の弁箱2内に、弁孔3a、3b、3c、3d、3eを有する弁座3とディスク状の弁体4とをこれらの中心軸が合わさるよう重ね合わされ(図4および図1b)、弁体4を弁座3に対して中心軸の回りに所定角度まで摺動回転させて弁孔3a、3b、3c、3d、3eを開閉するディスクバルブとし、弁体4の弁座3に対する摺動面4A(図2b)および弁座3の弁体4に対する摺動面3A(図1a)のうちいずれか一方の摺動面を滑らかな中高形状に設けると共に、他方の摺動面を前記の中高な形状に整合する滑らかな中低な形状に設けたディスクバルブである。
図4に示すように、切替バルブ1は、洗浄用水が給水される給水管部5が中央に接続され、ノズル機構6(図3)内のシリンダ(図示せず。)へ洗浄水を導入する洗浄水管7および水圧調整のための排水管8を適宜に適当な管径で接続する機能を有している。
図1および図4に示すように、弁座3には給水管部5に通じる弁孔3bの他、水流調整用溝3e1の一端部に形成された第1のノズルヘ通じる通孔3e、水流調整用溝3d1の一端部に形成された第2のノズルヘ通じる通孔3d、排水管8に通じるよう水流調整用溝3c1中ほどに配置形成された弁孔3cが形成されている。
弁体4には、半径方向に延びる第1の連通孔4aと、周回方向に延びる第2の連通孔4bが形成されている。
切替バルブ1内には、これら弁座3が弾性シール部品9を介して水密に取り付けられていると共に、弁座3の滑らかで中低な形状の摺動面3Aを弁体4に向けて配置し(図1b)、弁体4は滑らかな中高形状の摺動面4Aを弁座3に向け、弁孔3bの中心を回転軸としている。
図4に示すように、弁体4は、回転中心軸にステッピングモータ10の回転軸11が接続されており、使用者の洗浄指令ボタンの操作に応じ、弁体4を弁座3に対して中心軸の回りに任意角度に回転するよう操作できる。
[実施例1、比較例1〜3]
図1、2に示す弁座と弁体をポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)組成物を用いて射出成形により弁座と弁体を成形し、それらの摺動面は、ラップ加工により研磨して、弁座(固定ディスクとも別称する。)と弁体(可動ディスクとも別称する。)の摺動面を、それらの中央部が周縁部に比べて7μm凹んだ中低形状にするか、または中央部が周縁部に比べて7μm高い凸型の中高形状もしくは平坦面に形成した。
このように研磨された弁座と弁体を実機(洋式便器併設型局部洗浄装置<いわゆるシャワー式トイレ>における洗浄水の流路切替バルブ)に取り付け、以下の条件で水漏れ試験を行ない、結果を表1に示した。
[水漏れ試験]
所定の摺動面に形成した弁体および弁座を組み込んだ流路切替バルブ(試験体3組または4組)を用いて、おしり洗浄の弱および強、ビデ洗浄の弱および強の条件で1分間洗浄動作させた後に、ノズル収容管からの水漏れを30秒間肉眼で観察し、「水漏れなし(○印)」、「少し水漏れする(△印)」、「多量に水漏れする(×印)」の3段階に評価した。
Figure 0004455217
表1に示した結果からも明らかなように、弁座摺動面および弁体摺動面をいずれも平坦面とした比較例1は、9/12(試験回数)の場合に少し水漏れする状態であり、弁座摺動面および弁体摺動面をいずれも凸面とした比較例2は、10/12(試験回数)の場合に多量に水漏れする状態であり、弁座摺動面を平坦面とし、かつ弁体摺動面を凸面とした比較例3は、7/12(試験回数)の場合に多量に水漏れした。
これに対して、弁座摺動面を凹面とし、かつ弁体摺動面を凸面とした実施例1は、14/16(試験回数)の場合に水漏れなしの状態であり、弁体および弁座の摺動面から極めて高い確率で水漏れを防止できるものであると認められた。
(a)弁座の摺動面を示す平面図、(b)弁座の直径方向の断面図 (a)弁体の摺動面を示す平面図、(b)弁体の直径方向の断面図 洋式便器併設型局部洗浄装置の設置状態を示す洋式便器の要部断面図 流路切替バルブの一部断面正面図
符号の説明
1 切替バルブ
2 弁箱
3 弁座
3a、3b、3c、3d、3e 弁孔
4 弁体
3A、4A 摺動面
4a、4b 連通孔
5 給水管部
6 ノズル機構
7 洗浄水管
8 排水管
9 弾性シール部品
10 ステッピングモータ
11 回転軸
12 ハウジング
A 洋式便器

Claims (1)

  1. 洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブの弁箱内に、弁孔を有する弁座とディスク状弁体とをこれらの中心軸が合わさるよう重ねて設け、前記弁体を弁座に対して中心軸回りに所定角度まで摺動回転させて前記弁孔を開閉するディスクバルブにおいて、
    前記弁座および弁体が合成樹脂製であり、かつ前記弁体の弁座に対する摺動面および弁座の弁体に対する摺動面のうちいずれか一方の摺動面を滑らかな中高形状に設けると共に、他方の摺動面を前記中高な形状に整合する滑らかな中低な形状に設け、前記中高な形状および中低な形状の摺動面の高低差が3〜20μmであることを特徴とする洋式便器併設型局部洗浄装置における洗浄水の流路切替バルブ用ディスクバルブ。
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