JP4455169B2 - 樹脂被覆粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、核とする粒子の表面を樹脂層で被覆してなる樹脂被覆粒子の製造方法に関する。
無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、金属メッキ粒子などを核粒子とし、その表面を樹脂で被覆してなる粒子は、顔料、接着剤、トナー、化粧料などの用途に用いられているが、近年においては、樹脂被覆金属粒子、樹脂被覆金属メッキ粒子、異方導電性粒子、ボンド磁石用磁性粒子、液晶表示装置用スペーサ粒子などとして光学材料関連分野や電子材料関連分野の用途への利用も頻繁に試みられている。
上述の樹脂被覆粒子を得る方法としては、一般に、メカノケミカル法(例えば、特許文献1参照。)、ヘテロ凝集法(例えば、特許文献2参照。)、懸濁重合法(例えば、特許文献3参照。)およびスプレードライ法(例えば、特許文献4参照。)等の方法が知られている。
メカノケミカル法およびヘテロ凝集法は、静電気的あるいはイオン的な引き合いで母粒子(核粒子)表面に樹脂の子粒子を付着させた後、物理的(機械的)あるいは熱的エネルギーを与えて子粒子を融着させ、母粒子表面が樹脂層で被覆された粒子を製造する方法であるが、これらの方法では、一旦子粒子を融着させ得る状態にするため粒子濃度を低くして製造せざるを得ず生産性が低いという問題や、機械的外力により簡単に樹脂層が剥離してしまうという問題のほか、上記融着時においては粒子の凝集が少なからず生じ完全に避けることは困難であるため、生産性が低いにも関わらず、核粒子1個を核とする(単核の)樹脂被覆粒子を効率的に得られないという問題があった。
懸濁重合法は、単量体(モノマー)溶液と核粒子の混合物を懸濁し核粒子を含むモノマー液滴を生成させ、生成した液滴を重合することにより、核粒子表面が樹脂層で被覆された粒子を製造する方法であるが、前記モノマー液滴は懸濁時に複数の核粒子を同時に内包し易いため、単核の樹脂被覆粒子を得るのが困難であるという問題があった。
スプレードライ法は、樹脂溶液と核粒子の混合物をスプレーし、核粒子を含む樹脂液滴を生成させ、該液滴から溶媒を蒸発させることで、核粒子表面が樹脂層で被覆された粒子を製造する方法であるが、懸濁重合法と同様に、複数の核粒子を同時に内包し易いため、単核の樹脂被覆粒子を得るのが困難であるという問題があった。
このように、上記いずれの方法においても、複数核の樹脂被覆粒子の生成を避けるためには、核粒子(母粒子)として粒径がある程度大きなものを用いたりする必要があり、例えば約1μm以下の微細な粒径の樹脂被覆粒子を得ようとする場合には適していなかった。
このような問題を解消し得る方法として、モノマー成分を溶解させたり微分散させたりした溶媒中に核粒子を分散させておいて、該モノマー成分の重合をラジカル重合法で行うことにより、溶媒中で生成する極めて微細な樹脂粒子を核粒子の表面に順次付着させる等して、核粒子を樹脂層で被覆する方法(いわゆる分散重合法。例えば、特許文献5、特許文献6および非特許文献1参照。)がある。この方法によれば、粒径の小さい核粒子を用いた場合であっても、該核粒子1個を核とする樹脂被覆粒子を、容易かつ効率的に得ることができる。
特公平7−75665号公報 特開2002−131757号公報 特開2003−138194号公報 特開平5−112429号公報 特開2003−154750号公報 特開2003−252916号公報 顧 順超、外3名、"無機/有機単分散単核カプセル化粒子合成法の開発"、「第12回 高分子ミクロスフェア討論会 公演要旨集」、2002年11月1日、高分子ミクロスフェア委員会、p.125〜128
ところが、この方法(分散重合法)においては、微細な核粒子への適用という問題は十分に解消できるものの、モノマー成分の重合率は十分に高いが、合成された樹脂全量のうち核粒子表面の被覆にあずからない量が多いという被覆効率の問題や、逆に、被覆効率は高いが重合率が低いという問題、または、被覆効率は高く重合効率もある程度高いものの得られる樹脂被覆粒子の凝集が認められるという問題があった。そのことによる不利益を具体的に言うと、原料費が大きくなるということや、所望の特性(厚み等)の被覆層を得ようとしたときは一回で処理する粒子数を少なくしたり何回か同じ処理を繰り返したりしなければならず、時間的な面でも不利益が大きくなるということであり、そのため、これまでの分散重合法は、工業的生産性の面でまだ十分な方法とは言えなかったのである。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、核粒子の表面が樹脂層で被覆されてなる粒子を得るにあたり、単量体成分の重合率と被覆効率のいずれについても十分に高いレベルを達成し得る、樹脂被覆粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その過程において、上記課題の解決の糸口となり得る3つの製造技術(分散重合法)に着目した。
第1の製造技術は、上記特許文献5の段落0063〜0068に記載の技術であるが、この技術では、溶媒として水のみを用い、粒子径が7〜40nmの核粒子をアミノ基を有するカップリング剤でカチオン化した後、モノマー、水溶性開始剤、分散安定剤、水からなるモノマー成分を滴下して重合させ、核粒子をカプセル化すると同時に500nm以下の凝集体とする。
ところが、この第1の製造技術においては、重合率は十分に高いが、核粒子を含む樹脂単独粒子の凝集体を形成しており、核粒子表面をポリマー層でカプセル化した状態ではない。第1の製造技術では、溶媒として水を用いている。溶媒として水のみを用いるか、あるいは、水を主たる成分とする水系溶媒を用いることは、製造時の安全性が高く、生産コストの面で工業化に有効なプロセスである。
第2の製造技術は、上記非特許文献1に記載の技術であるが、この技術では、溶媒として、親水性の有機溶剤であるエタノールを主たる成分とし、これに水を加えたものを用いている点で、製造時の安全性に乏しく、生産コストの面で工業プロセスとして有効であるとは言い難い。なお、この第2の製造技術は、核粒子の表面を重合性反応基を有するカップリング剤で処理しておくことにより、核粒子表面での樹脂合成をより一層促進させるようにしていると考えられ、合成された樹脂全量中の核粒子表面への被覆量が多く、高被覆効率という点で優れた方法である。ところが、重合率がかなり低く、モノマー成分のほとんどが樹脂として合成されていないことに問題がある。本発明者が気付いたところによると、その原因は、核粒子の表面以外で余分な樹脂合成が起こらないよう、モノマー成分の添加濃度を著しく低くしていることにあると考えられる。
第3の製造技術は、上記特許文献6に記載の技術であるが、基本的には上記第2の製造技術と同様であるため、製造時の安全性に乏しく、生産コストの面で工業プロセスとして有効であるとは言い難いものである。なお、この第3の製造技術は、高被覆効率であるとともに重合率もある程度高く、その点で上記第2の製造技術に比べ優れているといえるが、本発明者が実験により確認したところ、重合反応の進行とともに、得られる樹脂被覆粒子の凝集が認められ、粗大な凝集体にまではならないものの数個から十数個の凝集体が多く生じ、単分散状態で得られる粒子の存在が非常に少なくなるという問題がある。おそらくこの原因は、重合率を高めること等を目的として、モノマー成分の添加濃度を若干とは言え高くしたことにあると考えられる。
この第3の製造技術や前記第2の製造技術では、前述したような問題のため、結局のところ、モノマー成分の添加濃度を十分に高くして行うことはできず、生産効率の点で問題が残る。
ここで、上記第2および第3の製造技術のように、有機溶媒を主成分とする溶媒を用いた分散重合により核粒子表面を樹脂層で被覆する場合の、重合機構(樹脂層の形成機構)については、一般に、以下のように説明できると考えられる。すなわち、核粒子が無機粒子等の場合、溶媒に比べてその極性(親水性)が高いため、溶媒中に少量含まれる水や、親水性モノマーおよび水溶性開始剤は、核粒子の表面に多く存在することになる。そうすると、上記水溶性開始剤により、核粒子表面に存在するカップリング剤由来の重合性反応基(ビニル基等)と、上記親水性モノマーとの重合反応が、核粒子表面で開始される。このようにして、核粒子表面での樹脂合成が優先的になされ、これに、有機溶媒中に溶解している疎水性モノマーが順次取り込まれてさらに重合反応が進み、樹脂被覆層が形成されることになる。つまり、重合場を核粒子表面に限定させることで高い被覆効率を達成し得る技術であり、溶媒としての少量の水、親水性モノマー、水溶性開始剤、核粒子表面の重合性反応基が、技術上、重要な因子となる。一方、樹脂層の形成にともなって溶媒に対する親和性が低下するため、樹脂被覆粒子どうしが軽く凝集する傾向にあり、問題となる。
以上すべての知見に基づき、上記分散重合法による樹脂被覆粒子を得る場合の各種方法および条件について、試行錯誤により実験を繰り返した結果、いくつかの特定の条件および手法が重要であることを発見し、それらをすべて満たすように行えば、前述した課題を一挙かつ容易に解決できることを見出した。
具体的には、分散重合による樹脂被覆粒子の製造技術において、モノマー添加濃度を高くすることで生産効率および重合率を上げながら、かつ、被覆効率をも高くすることを可能にするためには、まず前提として、使用する溶媒は、有機溶媒を主成分とするのではなく、水を主成分とする水系溶媒にすることが必要であり、その(水の)比率についても、特定範囲を満たすようにすることが重要であることを見出した。
そして、このように水系溶媒を用いた分散重合によって、核粒子表面を樹脂層で被覆するには、例えば、以下のような重合機構(樹脂層の形成機構)に基づく製造技術を実現するようにすることが重要であると考えた。すなわち、水系溶媒中に、カップリング剤由来の重合性反応基を表面に有する核粒子を、分散安定剤により分散させ、水溶性開始剤により、モノマー成分の重合を行うようにする技術である。この技術では、該モノマー成分(疎水性モノマーを主成分とするモノマー成分)は、水系溶媒中には溶解せず(あるいは溶解し難く)、重合性反応基により疎水性となっている核粒子表面に集まって存在することとなるため、該表面での樹脂合成を優先的に行うことができ、高い被覆効率を実現できるのである。しかも、樹脂層形成途中または形成後においても、分散安定剤により被覆粒子の単分散状態を維持させることができるため、モノマー成分を、高い生産効率および重合率を実現できるに十分な濃度で添加することができる。
本発明はこのようにして完成された。
したがって、本発明にかかる樹脂被覆粒子の製造方法は、溶媒中に分散安定剤の存在下で核粒子が分散するとともに単量体成分も存在する状態で重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことにより、前記核粒子の表面を樹脂層で被覆する、樹脂被覆粒子の製造方法において、前記溶媒が、親水性の有機溶剤と水からなり前記水の配合割合が85重量%以上の溶媒であるか、または、水のみであり、前記核粒子が、前記ラジカル重合に先立ち、その表面に重合性反応基を持たせるように処理しておいた核粒子であり、前記単量体成分が、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリフルオロプロピルアクリレートおよびトリフルオロプロピルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる疎水性モノマーを60重量%以上の割合で含む単量体成分であり、前記重合開始剤が水溶性であって、前記単量体成分を前記溶媒に分割添加することで前記溶媒中の単量体成分濃度が10重量%以下となるように維持しながら前記ラジカル重合反応を行う、ことを特徴とする。
本発明によれば、核粒子の表面が樹脂層で被覆されてなる粒子を得るにあたり、単量体成分の重合率と被覆効率のいずれについても十分に高いレベルを達成し得る、樹脂被覆粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明にかかる樹脂被覆粒子の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
以下に、本発明を実施する上での上記分散重合法による樹脂被覆粒子の一般的な製造方法について説明するとともに、本発明の製造方法の特徴である各種方法および条件について詳細に説明する。なお、本明細書においては、「樹脂」と「ポリマー」、および、「単量体」と「モノマー」は、それぞれ同義であるとする。
〔核粒子〕
本発明の製造方法に用い得る核粒子としては、限定はされず、得られるポリマー被覆粒子の用途を考慮して適宜選択し使用すればよいが、例えば、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、金属メッキ粒子および磁性粒子などを用いることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化クロム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛および水酸化鉄などの粒子が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記樹脂粒子としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリアミド系樹脂などの粒子が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記金属粒子としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、ルテニウム、ロジウム、オスミウムおよびイリジウム等の貴金属、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、アンチモンおよびタングステン等の卑金属、あるいは、上記貴金属と卑金属との合金などの粒子などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記金属メッキ粒子としては、例えば、上記樹脂粒子、無機粒子および金属粒子等の表面に、金、銀、白金、銅、クロムおよびニッケル等の金属によるメッキを施した粒子が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記磁性粒子としては、例えば、マグネタイト系やフェライト系の粒子のほか、SmCoおよびSm(CoFeZrV)17等の希土類コバルト系、Nd−Fe−Co−B系、Nd−Dy−Fe−B系およびNd−Fe−B系等の希土類−鉄−ホウ素系、Sm−Fe−N系、Nd−Fe−Ti−N系およびNd−Fe−V−N系などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、上記金属粒子や無機粒子等の表面に、水ガラス(SiOH)等の層を形成して被覆した粒子を核粒子として用いることもできる。
本発明の製造方法においては、用いる核粒子の粒子径には限定はなく、得られるポリマー被覆粒子の用途を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、1nm〜1000μm、好ましくは5nm〜500μm、より好ましくは10nm〜100μmという広範囲な粒子径の核粒子を被覆対象とすることができる。特に、本発明の製造方法においては、粒子径1μm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下の微粒子を核粒子として用いた場合であっても、前述した本発明の課題を解決しながらポリマー被覆粒子を容易に得ることができる。
〔溶媒〕
本発明の製造方法に用い得る溶媒は、(i)水であるか(水のみからなるか)、または、(ii) 親水性の有機溶剤と水からなりそのうち水の配合割合が85重量%以上のものである、ことが重要である。溶媒の主たる成分として水を使用することにより、製造時の安全性が高く、生産コストの面で工業化に有効なプロセスにすること等が可能となる。なお、水を主成分としつつも、親水性の有機溶剤を所定の範囲で併用することで、該併用量に応じ、溶媒全体の効果として核粒子や得られるポリマー被覆粒子を単分散させその状態を保持する効果が得られるため、その分、界面活性剤等の分散安定剤の使用量を少なくすることができ、結果として、ポリマーのみの粒子が溶媒中に合成されにくくすることができる。
上記親水性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なかでも本発明に用いる親水性の有機溶剤としては、後述する本発明に用い得るモノマー成分から合成されるポリマーに対して貧溶剤となり得るもの、すなわち使用するモノマー成分は溶解し得るが該モノマー成分から合成されたポリマーは溶解し得ない溶剤がより好ましい。
本発明の製造方法に用いる溶媒が、上記(ii)の親水性の有機溶剤と水との併用系である場合は、前述のごとく、水の配合割合が85重量%以上である。上記水の配合割合が85重量%未満であると、製造時の安全性が低下し、生産コストの面で工業化に有効なプロセスにはならないおそれがある上、粒子同士の凝集や融着が生じ、効率良く単核粒子が得られないおそれがある。
本発明の製造方法においては、溶媒として、水(水のみからなる溶媒)、または、親水性の有機溶剤と水からなる溶媒とは別に、さらに他の溶剤をも併用してもよい。上記他の溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミニルサクワレン、石油エーテル、テルペン、ヒマシ油、大豆油、パラフィン、ケロニンなどが挙げられる。上記他の溶剤を併用する場合、他の溶剤の使用割合は、上述した水(水のみからなる溶媒)、または、親水性の有機溶剤と水からなる溶媒に対し30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
〔モノマー成分〕
本発明の製造方法に用い得るモノマー成分は、限定はされず、核粒子を被覆しようとするポリマーの種類等に応じ、モノマーの種類や組成が適宜選択・設定されたものであればよい。具体的には、各種疎水性モノマー(疎水性の重合性モノマー)や親水性モノマー(親水性の重合性モノマー)を単独で使用したり併用したりすることができるが、核粒子の被覆に関与しないポリマー単独の粒子等の合成をより抑えることができる点で、疎水性モノマーを主成分として用いることが好ましい。本発明においては、後述するように核粒子の表面に重合性反応基を持たせるようにしておくため、該表面は疎水性の高い状態となっている。そうすると、モノマー成分として疎水性モノマーを用いた場合、添加したモノマー成分が核粒子の表面に集まりやすくなり、該表面でのポリマー合成を優先的に進行させることができるのである。一方、親水性モノマーの使用量が多すぎると、ポリマー単独の粒子等が多く生成されてしまうおそれがあるが、疎水性モノマーを主として用いることでこの問題は解消できる。なお、親水性モノマーを適宜若干量用いるようにすると、全く用いない場合に比べ、例えば、重合反応の進行を全体として早め、重合率を高めるのに時間短縮でき、生産性を向上させ得る効果が期待できる。
上記モノマー成分において、疎水性モノマーを主成分とする場合、該疎水性モノマーの配合割合は、60重量%以上であることが必要であり、好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。上記配合割合が60重量%未満であると、核粒子表面でのポリマー合成を優先的に進行させることができず、ポリマー単独の粒子等が多く生成するおそれがあるからである
本発明において用い得る親水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アリルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、アリル酢酸、アリルアルコール、アリルクロライド、アリルアミド、アリルイソシアネート、メチルビニルメチルケトン、酢酸ビニル、ビニルクロイド、ビニルエチルエステル、ビニルピロリドン、ビニルエチルケトン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において用い得る疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、メチルスチレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリフルオロプロピルアクリレート、トリフルオロプロピルメタクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
〔重合開始剤〕
本発明の製造方法に用い得る重合開始剤(ラジカル重合開始剤)は、水溶性であることが重要である。水溶性のラジカル重合開始剤を用いることで、効率良くポリマー被覆粒子を得ることができる。
上記水溶性のラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、過酸化水素などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
〔ポリマー被覆粒子の製造方法〕
本発明にかかるポリマー被覆粒子の製造方法は、溶媒中に核粒子が分散するとともにモノマー成分も存在する状態で重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことにより前記核粒子の表面をポリマー層で被覆する、いわゆる分散重合法であるが、このような方法において、(i)前記溶媒は、親水性の有機溶剤と水からなり前記水の配合割合が70重量%以上の溶媒であるか、または、水のみであり、(ii)前記核粒子は、前記ラジカル重合に先立ち、その表面に重合性反応基を持たせるように処理しておいた核粒子であり、(iii)前記重合開始剤が水溶性である、という各条件をすべて満たすようにすることを特徴とする方法である。このうち、条件(i)および(iii)については、先に説明したとおりである。
上記本発明の製造方法の詳細について以下に説明するが、その実施に際し、いわゆる分散重合法における一般的製造方法および条件等については、公知の技術を適宜選択し採用することができる。
本発明の製造方法においては、前記ラジカル重合に先立ち、溶媒中に核粒子を分散させておくようにする。
上記分散させるにあたり、溶媒中に存在させておく核粒子の濃度は、核粒子の粒子径や、形成しようとするポリマー層の特性(厚み等)や、得られるポリマー被覆粒子の用途などを考慮して適宜設定すればよく、限定はされないが、例えば、前記溶媒と核粒子との合計量に対し、5〜60重量%とすることが好ましく、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜60重量%である。上記核粒子の濃度が、5重量%未満であると、生産性が低下するおそれがあり、60重量%を超えると、重合反応の途中で核粒子どうしが凝集し、個々の核粒子の表面に均一にポリマー層を形成できない(単核のポリマー被覆粒子が得られない)おそれがある。
上記分散させる方法は、公知の分散方法を適宜選択し採用すればよく、限定はされないが、例えば、超音波による分散方法、メディアミルを用いて分散する方法、超高速撹拌による顔料粒子の摩擦による方法などの方法が挙げられる。なかでも、工業的に優れているという点で、メディアミルを用いて分散する方法が好ましい。
本発明の製造方法においては、溶媒として前述したように水のみであるか水を主成分とする溶媒を用いるため、一般には、界面活性剤等の分散安定剤を用いて溶媒中に核粒子を分散させるようにすることが、核粒子の単分散状態を安定して維持することができるため好ましい。
また、分散安定剤を用いる場合、その使用量は、核粒子の粒子径等により異なるが、水系溶媒中の分散安定剤の濃度が、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜4重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。分散安定剤の濃度が5重量%より多いと、ポリマー単独粒子が生成するおそれがある。分散安定剤の濃度が0.01重量%よりも少ないと、ポリマー被覆された粒子が凝集するおそれがある。
上記分散安定剤としては、限定はされないが、例えば、公知の各種界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性海面活性剤など)や水溶性高分子などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;などが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。
ノニオン性海面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン;グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー;などが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の製造方法においては、前記核粒子は、前記ラジカル重合に先立ち、その表面に重合性反応基を持たせるように処理しておいた核粒子であることが重要である(条件(ii))。これにより、核粒子表面でのポリマー合成が効率的になされる上、核粒子表面に切れ目無くさらには均一な厚み等でポリマー層を形成することが容易となる。
上記処理としては、具体的には、前記核粒子を重合性反応基を有するカップリング剤と混合しておくことが好ましい。
上記処理をしておくタイミングは、ラジカル重合反応を開始させる前であれば、限定はされず、例えば、溶媒中に核粒子を分散させる前であっても、同時であっても、後であってもよいが、上記分散させるのと同時に行うことが、効率よく核粒子の表面を処理(コーティング)することができ、また操作コストの面でも好ましい。
上記処理に用い得る重合性反応基を有するカップリング剤としては、限定はされないが、例えば、ビニル基を有するカップリング剤、アリル基を有するカップリング剤などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでも、重合反応性が高い点で、ビニル基を有するカップリング剤がより好ましい。
上記ビニル基を有するカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルビニルメトキシシラン等のアルコキシシラン類;ビニルトリクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン等のクロロシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のメタクリロキシシラン類;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の第四級アンモニウム塩類;イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジアクリルイソステアロイルチタネート等のチタネート類;などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記アリル基を有するカップリング剤としては、例えば、アリルジメチルピペリジノメチルシラン、アリルクロロジメチルジラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメチルシランなどが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記重合性反応基を有するカップリング剤は、さらに親水性基をも有することが好ましい。親水性基をも有する場合、前述した重合性反応基と親水性基とが同じであっても異なっていてもよく、限定はされない。親水性基をも有するカップリング剤を用いることにより、核粒子の表面を親水性にすることができるので、核粒子表面における親水性モノマーの重合がより一層促進される。
上記処理において、重合性反応基を有するカップリング剤を用いる場合、その使用割合は、限定はされないが、例えば、核粒子に対し0.05〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜8重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。上記使用割合が0.05重量%未満であると、核粒子の表面にポリマー層を十分に形成できないおそれがあり、10重量%を超えると、カップリング剤の自己縮合粒子が生成するおそれがある。
上記処理においては、重合性反応基を有するカップリング剤を用いるとともに、重合性反応基を有しない、その他のカップリング剤を併用することもできる。上記その他のカップリング剤としては、限定はされず、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメトキシシランなどが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。上記その他のカップリング剤を併用する場合、重合性反応基を有するカップリング剤に対し、200重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは150重量%以下、さらに好ましくは100重量%以下である。
本発明の製造方法においては、前記溶媒中の前記モノマー成分の濃度(すなわち、重合中の溶媒の全使用量に対するモノマー成分の割合)は、10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。上記モノマー成分の濃度は、10重量%を超えると、核粒子の表面以外(すなわち溶媒中)でポリマー単独の粒子が過剰に合成されてしまうおそれがあり、一方、低すぎると、重合反応がスムーズに進行せず、全体の重合率自体が低くなるおそれがある。なお、上記モノマー成分の全使用量とは、重合反応が終了するまでに溶媒中に加えたモノマー成分の全量であるとし、初期仕込み量に限定するなど添加方法には依存しない。
本発明の製造方法においては、モノマー成分は、ラジカル重合反応を開始するまでに一括添加する方法で溶媒中に存在させておいてもよいし、ラジカル重合反応を行いながら逐次添加(連続添加または分割添加(間欠添加))する方法で溶媒中に存在させるようにしてもよく、限定はされないが、逐次添加(連続添加または分割添加(間欠添加))する方法を採用することが、最適なモノマー濃度を維持し、重合反応を安定に保つために有効であるほか、重合率を高めることができる等の点で好ましく、後述するように重合開始剤を溶媒中に一括添加する方法で用いるとともに、上記逐次添加(連続添加または分割添加(間欠添加))する方法を採用することがより好ましい。
本発明の製造方法において用いる水溶性のラジカル重合開始剤の使用量は、限定はされないが、例えば、モノマー成分の全使用量に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明の製造方法においては、水溶性のラジカル重合開始剤は、溶媒中に一括添加する方法で用いるようにしてもよいし、ラジカル重合反応を行いながら溶媒中に逐次添加(連続添加または分割添加(間欠添加))する方法で用いるようにしてもよく、限定はされないが、一括添加する方法を採用することが、粒子同士の凝集を生じさせることなく、重合反応を安定して行うことができる等の点で好ましい。
本発明の製造方法においてラジカル重合反応を行う際の反応温度は、限定はされないが、例えば、40〜90℃とすることが好ましく、より好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃である。また、反応時間も、限定はされないが、例えば、1〜24時間とすることが好ましく、より好ましくは3〜12時間、さらに好ましくは3〜8時間である。ラジカル重合反応は、撹拌下で行うようにすることが好ましい。
本発明の製造方法において、上記ラジカル重合反応後のポリマー被覆粒子の回収方法は、限定はされないが、例えば、得られた重合反応液を遠心分離処理し、上澄み液と沈降物に分け、この沈降物を回収して乾燥する方法等が挙げられる。回収した沈降物は、必要に応じ、所定の溶剤に再度分散させ、遠心分離処理および沈降物の回収する操作を繰り返し行ってから乾燥するようにする。あるいは、フラッシング法等を採用することにより、乾燥工程を経ずに直接溶媒置換することもできる。
本発明の製造方法によれば、ポリマー被覆粒子の製造に際し、重合反応において使用したモノマー成分全体の重合率(「重合率」と称する。)「(合成されたポリマーの全量/使用したモノマー成分の全量)×100」について十分に高いレベルを達成し得るが、例えば、好ましくは80重量%以上とすることができ、より好ましくは85重量%以上、さらにより好ましくは90重量%以上である。この範囲を満たすことにより前述した本発明の課題を容易に解決できる。
本発明の製造方法によれば、上記重合率とともに、全体の重合率のうち核粒子表面の被覆にあずかるポリマーに相当する分の重合率(「被覆効率」と称する。)「(核粒子表面の被覆層として合成されたポリマーの全量/使用したモノマー成分の全量)×100」についても十分に高いレベルを達成することができ、かつ、核粒子の被覆にあずからない溶媒中のみに合成されたポリマーに相当する分の重合率(溶媒中の重合率)「(溶媒中のみに合成されたポリマーの全量/使用したモノマー成分の全量)×100」を低いレベルに抑えることができる。なお、溶媒中の重合率は、重合率から被覆効率を差し引いた値となる。
上記被覆効率については、例えば、重合率の値に対して、好ましくは75重量%以上の値とすることができ、より好ましくは78重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上である。この範囲を満たすことにより前述した本発明の課題を容易に解決できる。
〔ポリマー被覆粒子〕
本発明の製造方法によれば、核粒子の表面に切れ目無くポリマー層が形成されてなるポリマー被覆粒子を得ることができ、さらには、該ポリマー層についてその厚み等が均一であるポリマー被覆粒子を得ることもできる。
本発明の製造方法により得られるポリマー被覆粒子においては、上記ポリマー層の厚みは、核粒子の粒径や所望の用途などを考慮し、モノマー成分の使用量を調整する等して適宜設定すればよく、限定はされないが、例えば、1nm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜80μm、さらに好ましくは1nm〜50μmである。ポリマー層の厚みが1nm未満であると、ポリマーによる被覆の効果が十分に発揮されないおそれがあり、100μmを超える場合は、重合反応によるポリマー層の形成途中に被覆粒子どうしの凝集が生じやすくなり、安定してポリマー被覆粒子を得ることができないおそれがある。
本発明の製造方法により得られるポリマー被覆粒子の粒子径は、所望の用途などを考慮し、核粒子の粒子径の選定やモノマー成分の使用量の調整等により適宜設定すればよく、限定はされないが、例えば、体積平均粒子径が5nm〜1100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜600μm、さらに好ましくは10nm〜200μmである。上記平均粒子径が5nm未満であると、核粒子そのものの物性強く発現されすぎてポリマー層による被覆効果が低減されるおそれがあり、1100μmを超える場合は、重合反応によるポリマー層の形成途中に被覆粒子どうしの凝集が生じやすくなり、安定してポリマー被覆粒子を得ることができないおそれがある。
本発明の製造方法により得られるポリマー被覆粒子は、例えば、顔料、接着剤、トナーおよび化粧料等の用途に好適であるほか、ポリマー被覆金属粒子、ポリマー被覆金属メッキ粒子、異方導電性粒子、ボンド磁石用磁性粒子および液晶表示装置用スペーサ粒子等の光学材料関連分野や電子材料関連分野への利用にも好適である。
本発明の製造方法により得られるポリマー被覆粒子は、例えば、顔料(例えば、特開2003−138194号公報に記載の、筆記用消しゴム消去性を有する色材を内包したポリマーカプセル粒子)、接着剤、トナー、化粧料(例えば、特開平5−112429号公報に記載の、のび、カバー力および密着感が改善された、化粧料用の被覆無機粒子)等の用途に好適であるほか、ポリマー被覆金属粒子(例えば、特開平11−193402号公報に記載の、電子写真法による電極パターン形成に用いる、金属粒子の表面を熱可塑性絶縁物で被覆したトナー)、ポリマー被覆金属メッキ粒子、異方導電性粒子(例えば、特開平6−275123号公報に記載の、配線パターンと導電性接合するために用いる、導電性金属微粒子を絶縁性の樹脂でコーティングしたマイクロカプセル型導電フィラー)、ボンド磁石用磁性粒子(例えば、特開平5−36509号公報に記載の、磁石の成形に用いる、樹脂バインダーに磁性粉(粒子))および液晶表示装置用スペーサ粒子(例えば、特開2002−131757号公報に記載の、熱可塑性樹脂からなる接着層で被覆された接着性スペーサ)等の電子材料関連分野や光学材料関連分野への利用にも好適である。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<有機物付加量および樹脂被覆量の測定>
有機物で表面処理された粒子の有機物付加量、または、樹脂で表面被覆されたポリマー被覆粒子の該樹脂量を、熱分析装置(島津製作所社製、高感度TG、製品名:TGA−50)により測定した。詳しくは、測定試料とする、有機物で表面処理された粒子、または、ポリマー被覆粒子を、十分に乾燥した後、上記熱分析装置を用いて、昇温温度10℃/分、空気雰囲気下で、100℃から500℃にしたときに測定される減少重量の割合(wt%)をもとに算出した。
なお、有機物で表面処理される粒子が銅粒子のように酸化性の高い粒子である場合は、処理前後の粒子の真比重を、比重計(ユアサ・アイオニクス(株)製、製品名:ULTRAPYCNOMETER1000)で測定し、測定値を下記式に代入して求められる、処理後の粒子における有機物の割合(wt%)をもとに算出した。なお、樹脂で表面被覆されたポリマー被覆粒子における樹脂の割合(wt%)も同様に求めることができ、下記式では、有機物の真比重(および樹脂の真比重)は1.0とする。
有機物の割合(wt%)=〔(処理前の粒子の真比重−処理後の粒子の真比重)/(処理前の粒子の真比重−有機物の真比重)〕×100
〔実施例1〕
撹拌羽根を備えた500mLの4つ口セパラブルフラスコに水31.5g、エタノール(EtOH)310.5g、酸化チタン粒子(石原産業社製、製品名:タイペークCR−90、平均粒子径:0.25μm)90g、25wt%アンモニア水溶液3g、および、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)1.8gを仕込み、フラスコを50℃の超音波浴槽(ヤマト科学(株)製、製品名:BRANSONIC5510)に入れ、内容物に対し2時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコ内の内容物の全量を遠心沈降管に入れ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)とに分けて回収した。
沈降物をメタノール100gに再分散させ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに2回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を100℃の乾燥機内で5時間乾燥し、表面に重合性反応基を有する酸化チタン粒子(11)を得た。酸化チタン粒子(11)の有機物付加量を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めたところ1.56wt%であった。
次いで、酸化チタン粒子(11)30gおよび0.5wt%アニオン性界面活性剤水溶液(第一工業製薬社製、製品名:ハイテノールN−08)108gを、再度、洗浄済みの上記フラスコに仕込み、フラスコを50℃の上記超音波浴槽に入れ、内容物に対し1.5時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコを浴槽から取り出し、その後フラスコ内の内容物を撹拌しながら、窒素ガスを導入して窒素雰囲気にし、続いて予め調整しておいたシクロヘキシルメタクリレート8.6gおよび2−エチルヘキシルアクリレート5.4gからなるモノマー成分の1/5量を添加し、内容物を昇温して70℃に達した時点で5wt%過硫酸アンモニウム水溶液1.5gを添加し、重合反応を開始させた。同温度を保持したまま、開始後20分経過毎に上記モノマー成分の1/5量を一括添加し(計4回)、重合反応を進行させた。全量添加終了から30分後に、さらに5wt%過硫酸アンモニウム水溶液0.5gを添加して、同温度で1時間保持し、熟成反応を行った。
上記において、モノマー成分の分割添加量(1/5量=2.8g)の溶媒量(0.5wt%アニオン性界面活性剤水溶液の量=108g)に対する比率は2.59重量%と低くしているため、重合時における溶媒中のモノマー成分濃度は10重量%以下に維持されていた。
重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子はほとんど無いことが確認された。
重合反応液の全量を遠心沈降管に入れ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(ポリマー被覆された酸化チタン粒子)とに分けて回収した。
上澄み液を120℃で2時間乾燥し、その固形分濃度および固形分量を測定した。この固形分量を、上記重合反応において溶媒中のみに合成された樹脂量、すなわち核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずからない樹脂量(溶媒中の樹脂量)とした。
沈降物を200gのメタノールに再分散させ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに3回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を80℃で24時間乾燥して、ポリマー被覆粒子(12)を得た。
ポリマー被覆粒子(12)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めたところ28.7wt%であった。
測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率(全体の重合率)を算出したところ、98.0wt%という非常に高い値であった。また、被覆効率も87.9wt%という非常に高い値であった。これらの結果を表1に示した。
ポリマー被覆粒子(12)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面にポリマー層が形成されていることが確認できた。ポリマー層の厚みには若干のばらつきはある(不均一である)ものの、核粒子(酸化チタン粒子)表面は切れ目無くポリマー層で被覆されていた。
〔実施例2〕
実施例1と同様のフラスコに水31.5g、メタノール(MtOH)310.5g、アルミナ粒子(平均粒子径:30μm)90g、25wt%アンモニア水溶液3g、および、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)1.8gを仕込み、フラスコを50℃の超音波浴槽(ヤマト科学(株)製、製品名:BRANSONIC5510)に入れ、内容物に対し2時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコ内の内容物の全量を遠心沈降管に入れ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(シランカップリング剤で処理されたアルミナ粒子)とに分けて回収した。
沈降物をエタノール100gに再分散させ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに2回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を100℃の乾燥機内で5時間乾燥し、表面に重合性反応基を有するアルミナ粒子(21)を得た。アルミナ粒子(21)の有機物付加量を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めたところ0.456wt%であった。
次いで、アルミナ粒子(21)30gおよび0.3wt%アニオン性界面活性剤水溶液(第一工業製薬社製、製品名:ハイテノールN−08)108gを、再度、洗浄済みの上記フラスコに仕込み、フラスコを50℃の上記超音波浴槽に入れ、内容物に対し1.5時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコを浴槽から取り出し、その後フラスコ内の内容物を撹拌しながら、窒素ガスを導入して窒素雰囲気にし、続いてラウリルメタクリレート12gからなるモノマー成分の1/3量を添加し、内容物を昇温して70℃に達した時点で10wt%過硫酸アンモニウム水溶液2.2gを添加し、重合反応を開始させた。同温度を保持したまま、開始後30分経過毎に上記モノマー成分の1/3量を一括添加し(計2回)、重合反応を進行させた。全量添加終了後、さらに同温度で1.5時間保持し、熟成反応を行った。
上記において、モノマー成分の分割添加量(1/3量=4g)の溶媒量(0.3wt%アニオン性界面活性剤水溶液の量=108g)に対する比率は3.70重量%と低くしているため、重合時における溶媒中のモノマー成分濃度は10重量%以下に維持されていた。
重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子はほとんど無いことが確認された。
重合反応液の全量を遠心沈降管に入れ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(ポリマー被覆されたアルミナ粒子)とに分けて回収した。
上澄み液を120℃で2時間乾燥し、その固形分濃度および固形分量を測定した。この固形分量を、上記重合反応において溶媒中のみに合成された樹脂量、すなわち核粒子(アルミナ粒子)の被覆にあずからない樹脂量(溶媒中の樹脂量)とした。
沈降物を200gのエタノールに再分散させ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに3回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を80℃で24時間乾燥して、ポリマー被覆粒子(22)を得た。
ポリマー被覆粒子(22)について、核粒子(アルミナ粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。また、測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率および被覆効率を算出した。これらの結果を表1に示した。
〔実施例3〕
pHメーター(堀場製作所社製、製品名:pH METER F−22)を備えた1000mLのビーカーに、水280g、ニッケル粒子(三井金属社製、製品名:2060SS、平均粒子径:0.7μm)120gおよび10wt%珪酸ナトリウム水溶液120gを仕込み、攪拌しながら5wt%クエン酸水溶液を滴下し、pH6.5に調整した。同pHを保持しながら3時間攪拌を行い、上記ニッケル粒子の表面にSiOH層を形成させた粒子(SiOH被覆ニッケル粒子)を調製した。上記攪拌後の処理液を光学顕微鏡で観察したところ、SiOH被覆ニッケル粒子の凝集はほとんど認められなかった。上記処理液中のSiOH被覆ニッケル粒子を一旦自然沈降させ、該粒子を洗浄するため、上澄み液を除去し、水500gを添加して再分散させた後、再び自然沈降させる操作を、3回繰り返し行った。なお、3回目の操作では水500gの変わりにメタノール500gを用いた。このように洗浄操作をして回収された沈降物を、50℃の熱風乾燥機で24時間乾燥し、SiOH被覆ニッケル粒子(31a)(以下、単にニッケル粒子(31a)と称する。)を得た。ニッケル粒子(31a)の真比重を測定した結果、8.12であった。
上記丸底セパラブルフラスコに、ニッケル粒子(31a)60g、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)1.8g、メタノール50g、水2.5g、および、25wt%アンモニア水溶液1gを仕込み、フラスコを50℃の上記超音波浴槽に入れ、内容物に対し2時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコ内の内容物の全量を遠心沈降管に入れ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(表面処理されたニッケル粒子(31a))とに分けて回収した。
沈降物をメチルエチルケトン100gに再分散させ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに2回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を100℃の乾燥機内で5時間乾燥し、SiOH被覆ニッケル粒子(31b)(以下、単にニッケル粒子(31b)と称する。)を得た。ニッケル粒子(31b)の有機物付加量を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めたところ0.856wt%であった。
次いで、撹拌羽根を備えた500mLの4つ口セパラブルフラスコに、ニッケル粒子(31b)30gおよび0.7wt%アニオン性界面活性剤水溶液(第一工業製薬社製、製品名:ハイテノールN−08)28gを仕込み、フラスコを50℃の上記超音波浴槽に入れ、内容物に対し1.5時間分散(超音波分散)処理を行った。
該分散処理後、フラスコを浴槽から取り出し、その後フラスコ内の内容物を撹拌しながら、窒素ガスを導入して窒素雰囲気にし、続いて予め調整しておいたシクロヘキシルメタクリレート7.2gおよび2−エチルヘキシルアクリレート4.8gからなるモノマー成分の1/10量を添加し、内容物を昇温して70℃に達した時点で10wt%過硫酸アンモニウム水溶液6.0gを添加し、重合反応を開始させた。同温度を保持したまま、開始後10分経過毎に上記モノマー成分の1/10量を一括添加し(計9回)、重合反応を進行させた。全量添加終了後、さらに同温度で1.5時間保持し、熟成反応を行った。
上記において、モノマー成分の分割添加量(1/10量=1.2g)の溶媒量(0.7wt%アニオン性界面活性剤水溶液の量=28g)に対する比率は4.29重量%と低くしているため、重合時における溶媒中のモノマー成分濃度は10重量%以下に維持されていた。
重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、凝集粒子はほとんど無いことが確認された。
重合反応液の全量を遠心沈降管に入れ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(ポリマー被覆されたニッケル粒子(31a))とに分けて回収した。
上澄み液を120℃で2時間乾燥し、その固形分濃度および固形分量を測定した。この固形分量を、上記重合反応において溶媒中のみに合成された樹脂量、すなわち核粒子(ニッケル粒子(31b))の被覆にあずからない樹脂量(溶媒中の樹脂量)とした。
沈降物を200gのメチルエチルケトンに再分散させ、5,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに3回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を80℃で24時間乾燥して、ポリマー被覆粒子(32)を得た。
ポリマー被覆粒子(32)について、核粒子(ニッケル粒子(31a))の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。また、測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率および被覆効率を算出した。これらの結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例1において、0.5wt%アニオン性界面活性剤水溶液(第一工業製薬社製、製品名:ハイテノールN−08)108gの代わりに、ノニオン性界面活性剤(花王社製、製品名:エマルゲン220)0.6gを水97gおよびメタノール11gからなる水系混合溶媒に溶解したものを用いた以外は、同様にして、ポリマー被覆粒子(42)を得た。
ポリマー被覆粒子(42)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。また、測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率および被覆効率を算出した。これらの結果を表1に示した。
ポリマー被覆粒子(42)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面にポリマー層が形成されていることが確認できた。ポリマー層の厚みには若干のばらつきはある(不均一である)ものの、核粒子(酸化チタン粒子)表面は切れ目無くポリマー層で被覆されていた。
〔比較例1〕
実施例1において、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)の代わりに、アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBE903)を用いた以外は、同様にして、ポリマー被覆粒子(c12)を得た。
なお、重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、粒径1μm以上の凝集粗粒子が多く認められた。
ポリマー被覆粒子(c12)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。その結果を表1に示した。
測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率を算出したところ、93.8wt%という高い値であった。ところが、被覆効率は35.7wt%と非常に低く、溶媒中にポリマー単独の微粒子(樹脂微粒子)が非常に多く生成していることが確認された。これらの結果も表1に示した。
ポリマー被覆粒子(c12)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面にポリマー層は形成されておらず、部分的にポリマーが塊状で核粒子表面に付着していることが判った。
〔比較例2〕
実施例1において、モノマー成分の添加を全量一括で行うようにした以外は、同様にして、ポリマー被覆粒子(c22)を得た。
なお、重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、粒径1μm以上の凝集粗粒子は少なかった。
ポリマー被覆粒子(c22)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。その結果を表1に示した。
測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率を算出したところ、95.9wt%という高い値であった。ところが、被覆効率は75.5wt%と低く、溶媒中にポリマー単独の微粒子(樹脂微粒子)が多く生成していることが確認された。これらの結果も表1に示した。
ポリマー被覆粒子(c22)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面は切れ目無くポリマー層で被覆されておらず、部分的にポリマー層が形成されてないところがあり、ポリマー層の均一性に欠けることが判った。
〔比較例3〕
実施例1において、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)の代わりに、アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBE903)を用いるとともに、モノマー成分の添加を全量一括で行うようにした以外は、同様にして、ポリマー被覆粒子(c32)を得た。
なお、重合反応の途中に粒径1μm以上の凝集粗粒子が多く発生し、フラスコ内壁や撹拌羽根への付着が肉眼でもかなり認められた。
ポリマー被覆粒子(c32)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。その結果を表1に示した。
上述したように、フラスコ内壁等への付着が多く、重合率および被覆効率を求めることはできなかった。
ポリマー被覆粒子(c32)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面にポリマー層は形成されておらず、核粒子にそれと同程度の大きさの樹脂粒子が付着してなる粒径1〜3μm程度の凝集粒子であることが判った。
〔比較例4〕
実施例1と同様のフラスコに、水とエタノール(EtOH)との混合溶媒(水:40wt%、EtOH:60wt%)150g、酸化チタン粒子(石原産業社製、製品名:タイペークCR−90、平均粒子径:0.25μm)15g、25wt%アンモニア水溶液1g、および、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製のシランカップリング剤、製品名:KBM503)0.3gを仕込み、実施例1と同様に、2時間分散処理を行った。
該分散処理後、フラスコを浴槽から取り出し、その後フラスコ内の内容物を撹拌しながら、窒素ガスを導入して窒素雰囲気にし、続いてスチレンスルホン酸ナトリウム0.3gおよびメチルメタクリレート2.7gを添加し、内容物を昇温して70℃に達した時点で5wt%過硫酸アンモニウム水溶液3gを添加し、同温度で5時間かけて重合反応を行った。
重合反応液を光学顕微鏡で観察したところ、粒径1μm以上の凝集粗粒子はほとんど無く、数個から十数個の凝集粒子がほとんどで、まれに単粒子で存在していることが確認された。
重合反応液の全量を遠心沈降管に入れ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液と沈降物(ポリマー被覆された酸化チタン粒子)とに分けて回収した。
上澄み液を120℃で2時間乾燥し、その固形分濃度および固形分量を測定した。この固形分量を、上記重合反応において溶媒中のみに合成された樹脂量、すなわち核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずからない樹脂量(溶媒中の樹脂量)とした。
沈降物を200gのメタノールに再分散させ、3,000Gで15分間遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収した。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収の操作をさらに3回繰り返した後、最終的に回収した沈降物を80℃で24時間乾燥して、ポリマー被覆粒子(c42)を得た。
ポリマー被覆粒子(c42)について、核粒子(酸化チタン粒子)の被覆にあずかる樹脂量(被覆分の樹脂量)を、前述した方法により測定し、該粒子全体に対する割合を求めた。また、測定した被覆分の樹脂量および溶媒中の樹脂量の合計量をもとに、重合率および被覆効率を算出した。その結果、重合率が低いことがわかった。これらの結果を表1に示した。
ポリマー被覆粒子(c42)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、そのTEM像をEDXスペクトル分析したところ、核粒子(酸化チタン粒子)表面にポリマー層が形成されていることが確認できた。ポリマー層の厚みには若干のばらつきはある(不均一である)ものの、核粒子(酸化チタン粒子)表面は切れ目無くポリマー層で被覆されていた。
Figure 0004455169
本発明にかかる製造方法は、例えば、顔料、接着剤、トナー、放熱材料および化粧料等の用途に好適であるほか、ポリマー被覆金属粒子、ポリマー被覆金属メッキ粒子、異方導電性粒子、ボンド磁石用磁性粒子および液晶表示装置用スペーサ粒子等の光学材料関連分野や電子材料関連分野への利用にも好適である、ポリマー被覆粒子の製造に好ましく適用できる。

Claims (3)

  1. 溶媒中に分散安定剤の存在下で核粒子が分散するとともに単量体成分も存在する状態で重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことにより、前記核粒子の表面を樹脂層で被覆する、樹脂被覆粒子の製造方法において、
    前記溶媒が、親水性の有機溶剤と水からなり前記水の配合割合が85重量%以上の溶媒であるか、または、水のみであり、
    前記核粒子が、前記ラジカル重合に先立ち、その表面に重合性反応基を持たせるように処理しておいた核粒子であり、
    前記単量体成分が、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリフルオロプロピルアクリレートおよびトリフルオロプロピルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる疎水性モノマーを60重量%以上の割合で含む単量体成分であり、
    前記重合開始剤が水溶性であって、
    前記単量体成分を前記溶媒に分割添加することで前記溶媒中の単量体成分濃度が10重量%以下となるように維持しながら前記ラジカル重合反応を行う、
    ことを特徴とする、樹脂被覆粒子の製造方法。
  2. 前記核粒子が、酸化チタン粒子、アルミナ粒子およびニッケル粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂被覆粒子の製造方法。
  3. 前記分散安定剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の樹脂被覆粒子の製造方法。
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