課題を解決するための手段及びその効果
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、位置情報収集システムを利用して、各移動局の位置情報の収集等の通常業務に支障をきたすことなく、これら通常業務に必要な情報の収集と平行して、不具合等の申告がなされた移動局のログデータを効率よく収集することのできるログデータ収集システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係るログデータ収集システム(1)は、基地局と複数の移動局との間で無線通信を行って、前記基地局でこれら複数の移動局の位置情報及び動態情報を収集する位置情報収集システムを利用して、前記基地局で前記複数の移動局のうちの所要の移動局に蓄積されたログデータを収集するログデータ収集システムであって、前記基地局が、時分割された複数のタイムスロットからなる単位フレーム構成における前記各移動局の位置情報及び動態情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、前記所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数との割り当てを、前記複数の移動局の稼働情報に基づいて設定するスロット数割当設定手段を備え、前記移動局が、前記基地局からログデータ送信要求を受けた場合、前記スロット数割当設定手段により割り当てられたログデータ用のタイムスロットのタイミングで、前記ログデータを前記基地局に送信するログデータ送信手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(1)によれば、前記基地局では、前記複数の移動局の稼
働情報に基づいて、前記単位フレーム構成における前記各移動局の位置情報及び動態情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、前記所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数との割り当てが設定されるので、例えば、前記複数の移動局のうちの稼働台数(すなわち、開局している移動局台数)に応じて、すなわち、移動局の稼働台数が多い場合には、前記ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率を減らす一方、移動局の稼働台数が少ない場合には、前記ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率を増やすことができ、前記各移動局の稼働状況に合わせて、各移動局の位置情報及び動態情報の収集に必要なタイムスロット数を確保することができ、通常業務に支障をきたすことなく、平行して前記所要の移動局のログデータも収集することができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(2)は、基地局と複数の移動局との間で無線通信を行って、前記基地局でこれら複数の移動局の位置情報及び動態情報を収集する位置情報収集システムを利用して、前記基地局で前記複数の移動局のうちの所要の移動局に蓄積されたログデータを収集するログデータ収集システムであって、前記基地局が、前記所要の移動局のログデータを送信するための時分割されたタイムスロットを含み、前記各移動局の位置情報及び動態情報を送信するための時分割されたタイムスロットを含まないフレーム構成で送信を行う第1の送信時間と、前記各移動局の位置情報及び動態情報を送信するための時分割されたタイムスロットを含み、前記所要の移動局のログデータを送信するための時分割されたタイムスロットを含まないフレーム構成で送信を行う第2の送信時間とを繰り返すフレーム構成における、前記第1の送信時間と前記第2の送信時間との割り当てを、前記複数の移動局の稼働情報に基づいて設定する送信時間設定手段を備え、前記移動局が、前記基地局からログデータ送信要求を受けた場合、前記送信時間設定手段により設定された前記第1の送信時間に、前記ログデータを前記基地局に送信するログデータ送信手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(2)によれば、前記基地局では、前記複数の移動局の稼働情報に基づいて、前記第1の送信時間と前記第2の送信時間とを繰り返すフレーム構成における前記第1の送信時間と前記第2の送信時間との割り当てが設定されるので、例えば、前記複数の移動局のうちの稼働台数に応じて、すなわち、移動局の稼働台数が多い場合には、前記第1の送信時間の割り当て比率を減らす一方、稼働台数が少ない場合には、前記第1の送信時間の割り当て比率を増やすことができ、前記各移動局の稼働状況に合わせて、各移動局の位置情報及び動態情報の収集に必要な送信時間(第2の送信時間)を確保することができ、通常業務に支障をきたすことなく、平行して前記所要の移動局のログデータも収集することができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(3)は、上記ログデータ収集システム(1)又は(2)において、前記基地局が、前記所要の移動局から受信したログデータに誤りがあった場合の再送要求の回数を、前記複数の移動局の稼働情報に基づいて設定する再送要求回数設定手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(3)によれば、前記基地局では、前記所要の移動局から受信したログデータに誤りがあった場合、受信したログデータの再送要求が行われるようになっているが、前記所要の移動局の電波状況が悪い時に、再送要求処理が繰り返し実行されると、前記ログデータの収集に必要以上の時間を要すこととなり、この間、前記各移動局の位置情報の収集が規制された状態が継続してしまう。特に、移動局の稼働台数が多い状況では、前記各移動局の位置情報収集のための上り信号のトラフィック量が多くなるため、通常業務に支障をきたす虞が生じる。このような状況を避けるために、前記複数の移動局の稼働情報に基づいて再送要求の回数を設定する、すなわち上限値を設ける(例えば、稼働台数が多くなるほど、再送要求の回数を少なくする)ことで、前記ログデータに誤りがあった場合に、前記ログデータの再送要求が上限値を越えると中断されるため、前記ログデータの収集が必要以上に長期化するのを防ぐことができ、通常業務に支障をきたすような状況の発生を回避することができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(4)は、上記ログデータ収集システム(1)又は(2)において、前記基地局が、前記フレーム構成の中に、前記所要の移動局のログデータ及び前記各移動局の位置情報以外の特定情報を送信するためのタイムスロットを少なくとも1つ以上割り当てる特定情報用スロット設定手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(4)によれば、前記フレーム構成の中に、前記所要の移動局のログデータ及び前記各移動局の位置情報以外の特定情報を送信するためのタイムスロットが少なくとも1つ以上割り当てられるので、前記所要の移動局のログデータの取得中であっても、例えば、前記基地局からの配車指示に対する応答などの重要な特定情報を送信するためのタイムスロットを確保することができ、本来の業務に支障を与えることなく、平行して前記ログデータを収集することができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(5)は、上記ログデータ収集システム(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記稼働情報が、前記複数の移動局の各種動態を考慮して求められた稼働台数情報であることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(5)によれば、例えば、タクシー等の配車システムに採用された場合、前記基地局では、顧客が指定した場所に最も早く到達できる移動局を選択して配車する必要があるため、特に空車状態の移動局の位置はより正確に把握しておかなければならない。このため、移動局の位置情報の送信間隔については、例えば空車の場合は200m間隔、実車の場合は400m間隔という様に、空車状態の移動局の位置情報が高頻度で収集される。また、待機場所で顧客待ちをしている移動局は、同じ位置で長時間停車している場合が多いため、位置情報を送信する回数は少なくてもよい。このように移動局の稼働台数(開局台数)が同じであっても、各移動局の動態に応じて、上り信号のトラフィック量が変化する。そこで、前記稼働情報として、前記複数の移動局の各種動態(空車、実車、待機等)を考慮して求められた稼働台数情報を用いることにより、実際の上り信号のトラフィック量との相関性が得られるため、ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率や、前記第1の送信時間の割り当て比率等を、実際の上り信号のトラフィック量に対応させた形で設定することができ、一層効率の良いログデータの収集を行うことが可能になる。
また本発明に係るログデータ収集システム(6)は、上記ログデータ収集システム(1)において、前記スロット数割当設定手段が、前記ログデータの収集中における前記複数の移動局の稼働情報の変化に基づいて、前記各移動局の位置情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、前記所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数との割り当てを変更するものであることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(6)によれば、前記ログデータの収集中においても変化している前記複数の移動局の稼働情報に応じて、前記各移動局の位置情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、前記所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数との割り当てが変更されるので、前記ログデータの収集中に前記複数の移動局の稼働情報に大きな変化が生じた場合でも、ログデータ用のタイムスロット数と、位置情報用のタイムスロット数との割り当てが適切となるように変更され、通常業務に支障をきたすことなくログデータの収集が行える信頼性の高いシステムとすることができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(7)は、上記ログデータ収集システム(2)において、前記送信時間設定手段が、前記ログデータの収集中における前記複数の移動局の稼働情報の変化に基づいて、前記第1の送信時間と、前記第2の送信時間との割り当てを変更するものであることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(7)によれば、前記ログデータの収集中における前記複数の移動局の稼働情報の変化に基づいて、前記第1の送信時間と、前記第2の送信時間との割り当てが変更されるので、前記ログデータの取得中に前記複数の移動局の稼働情報に大きな変化が生じた場合でも、前記第1の送信時間と、前記第2の送信時間との割り当てが適切となるように変更され、通常業務に支障をきたすことなくログデータの収集が行える信頼性の高いシステムとすることができる。
また本発明に係るログデータ収集システム(8)は、上記ログデータ収集システム(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記基地局が、前記複数の移動局の稼働情報が所定の条件となった場合に、前記ログデータの収集を開始するログデータ収集開始手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(8)によれば、前記複数の移動局の稼働情報が所定の条件となった場合、例えば、移動局の稼働台数が閾値以下となった場合に、前記ログデータの収集が開始されるので、上り信号のトラフィック量が少ない状況下で、前記所要の移動局のログデータの収集を開始することができ、効率の良いログデータの収集が可能となる。
また本発明に係るログデータ収集システム(9)は、上記ログデータ収集システム(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記基地局が、ログデータ収集日時設定情報に基づいて、前記ログデータの収集を開始するログデータ収集開始手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(9)によれば、前記基地局側で設定された前記ログデータ収集日時設定情報に基づいて、前記ログデータの収集が開始されるので、例えば、移動局の稼働台数が少なくなる日時(深夜から早朝にかけてのある時間、休日や祝日のある時間など)をログデータ収集日時として予め設定しておくことにより、上り信号のトラフィック量が少ない状況下で、前記所要の移動局のログデータを収集することができ、効率の良いログデータの収集が可能となる。
また本発明に係るログデータ収集システム(10)は、上記ログデータ収集システム(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記基地局が、前記ログデータの収集を開始する際のログデータ収集対象移動局の動態条件を設定するための収集開始条件設定手段と、前記ログデータ収集対象移動局が、前記収集開始条件設定手段により設定された動態条件になった場合に、前記ログデータの収集を開始するログデータ収集開始手段とを備えていることを特徴としている。
前記ログデータの収集は、前記ログデータ収集対象移動局が、電波状況の良い状態が継続すると見込まれる場合に行うのが望ましい。例えば、タクシー等の配車システムに採用された場合、駅前等の待機場所において顧客待ちのための並んでいる「待機中」や、食事等の「休憩中」であれば、停車状態が続くと判断できるので、電波状況の変化が少ない状態をある時間継続することができる。
上記ログデータ収集システム(10)によれば、前記ログデータ収集対象移動局が、前記収集開始条件設定手段により設定された動態条件になった場合、例えば、前記動態条件として、移動局側の電波状況が良く、かつ移動局が停止しているという条件が設定された場合、移動局(例えばタクシー)が、電波状況のよい場所での「待機中」や「食事中」の場合に、前記ログデータの収集が開始されるので、電波状況が良く、その変化が少ない状態が継続している時に、ログデータの収集を誤りなく正確に行うことができ、収集効率をより高めることができ、収集時間を短くすることができる。なお、前記ログデータ収集対象移動局の動態条件としては、前記基地局から所定範囲内の場所で待機状態であるという条件、又は待機状態であり、かつ待機順位が閾値より大きいという条件を設定するのが好ましい。
また本発明に係るログデータ収集システム(11)は、上記ログデータ収集システム(8)〜(10)のいずれかにおいて、前記基地局が、前記所要の移動局の動態状況が所定の条件を満たさなくなった場合に、前記ログデータの収集を中断するログデータ収集中断手段を備えていることを特徴としている。
上記ログデータ収集システム(11)によれば、前記所要の移動局の動態状況が所定の条件を満たさなくなった場合に、前記ログデータの収集が中断されるので、前記各移動局の位置情報の収集などの本来の業務に与える影響をより小さくすることができる。
以下、本発明に係るログデータ収集システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態(1)に係るログデータ収集システムの概略構成を示した図である。
図中10は基地局、図中M1〜Mnは移動局を示しており、本システムは、基地局10と各移動局M1〜Mnとの間で無線通信が行われ、基地局10側で各移動局M1〜Mnの位置・動態情報が収集される位置情報収集システム(例えば、タクシー等のAVMシステム)を利用して構成されている。また、基地局10は、ネットワーク40を介して、サーバ50とシステム提供側のパーソナルコンピュータ(以下、PCと記す)60とに接続されている。
図2は、図1に示した移動局M1(M2〜Mn)と、基地局10との内部構成を概略的に示したブロック図である。移動局M1は、アンテナ21aを介して基地局10との間で無線通信を行うディジタル方式の無線機21と、自移動局の運行上のデータ等が記憶されるメモリ22と、アンテナ23aを介して衛星からの電波を受信して自車位置を検出するGPS受信機23と、受信情報などの各種情報を表示する表示部24と、各種入力ボタンを備えた操作部25と、各部に電源を供給するための電源部26と、料金メータ27と、ナビゲーション装置等が接続される外部I/F28と、これら各部を制御する制御部29とを含んで構成されている。
メモリ22には、移動局M1の操作者(運転者)が、操作部25又は料金メータ27を操作して行う、空車、実車、待機、休憩、閉局等の入力情報、リセット発生時の時刻情報、GPS受信機23で検出された自車位置情報、及び基地局10との通信情報などを含むログデータが、逐次記憶されるようになっている。また、無線機21には、図示しないマイクが接続されている。
基地局10は、アンテナ11aを介して各移動局M1〜Mnとの間で無線通信を行うためのディジタル方式の無線機11と、音声を入力するためのマイク12と、運行管理に関わる各種データが記憶されるメモリ13と、各移動局M1〜Mnの運行情報などを表示する表示部14と、各移動局M1〜Mnに対して運行管理上の操作入力を行うためのキーボード等の操作部15と、ネットワーク40を介してサーバ50やシステム提供側のPC60と接続するためのモデム16と、これら各部を制御する制御部17とを含んで構成されている。なお、本実施の形態における基地局10は、制御局や指令局の機能を含むものとして構成されている。
また、図1に示したサーバ50には、基地局10が、不具合が発生した旨の通知を受けた移動局から収集したログデータが蓄積されているようになっており、システム提供側のPC60では、ネットワーク40を介してサーバ50にアクセスし、サーバ50に記憶された、所要の移動局のログデータを取得して、取得したログデータの解析が行えるように構成されている。
また、実施の形態(1)に係るログデータ収集システムを構成する基地局10と各移動局M1〜Mnとは、TDMA(時分割多重)方式で信号の送受信を行う構成となっている。図3に示したように、本実施の形態では、上り無線キャリアのフレーム構成として、1フレームが6つのタイムスロット(#0〜#5)で構成されているものとして説明する。
まず、基地局10では、平常運行時(すなわち、ログデータの収集が行われていない時)は、図3(a)に示したように、1フレーム中の6つのタイムスロット(以下単にスロットとも記す)全てが、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するスロットとなるように設定されており、各移動局M1〜Mnでは、一定距離の移動後(又は、一定時間の経過後や、料金メータの設定変更等の任意発信条件が成立した場合)に、スロット#0〜#5のいずれかのタイミングで、自移動局の位置・動態情報を基地局10へ送信するようになっている。
一方、ログデータの収集実行時(すなわち、基地局10から所要の移動局に対して、ログデータ送信要求信号が送信された場合)は、例えば、図3(b)に示したように、基地局10では、1フレーム中の2個(#0、#1)のタイムスロットが、ログデータ収集対象となった移動局Maのログデータを送信するスロットに割り当てられ、1フレーム中の残りのタイムスロット(#2〜#5)が、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するスロットに割り当てられるようにフレーム構成が設定される。
ログデータの送信要求を受けた移動局では、タイムスロット#0、#1のタイミングで、自移動局のメモリ22に記憶されたログデータを基地局10に送信する一方、各移動局M1〜Mnでは、一定距離の移動後に、タイムスロット#2〜#5のいずれかのタイミングで、自移動局の位置・動態情報を基地局10へ送信するようになっている。
なお、図3(b)に示したログデータを送信するタイムスロットの割り当て数は、基地局10に登録されている全移動局M1〜Mnのうちの稼働台数(すなわち、開局状態にある移動局台数)に基づいて設定されるようになっており、基地局10のメモリ13には、これらの設定を行うための定義情報が記憶されており、その一例(移動局台数が100の例)を図4に示している。
図4に示したように、移動局の稼働台数が少ない場合は、位置・動態情報の送信頻度が低くなるので、ログデータを送信するタイムスロットの割り当て数が多く設定される一方、移動局の稼働台数が多い場合は、位置・動態情報等の送信頻度が高くなるので、ログデータを送信するタイムスロットの割り当て数が少なく設定されているので、稼働台数に応じて、通常業務(各移動局の位置・動態情報等の収集)に支障を与えないように、かつ効率良く、所要の移動局のログデータの収集を行うことが可能となっている。
なお、基地局10では、各移動局M1〜Mnの稼働状態を把握しているので、現在の稼働台数をカウントすることができ、ログデータの収集を開始する際の、稼働台数に基づいて、ログデータの収集に割り当てるタイムスロット数を決定することが可能となっている。そして、各移動局M1〜Mnに対して、設定されたフレーム構成を通知することにより、ログデータの収集が開始されるようになっている。
次に実施の形態(1)に係るログデータ収集システムにおける基地局10の制御部17で行われるフレーム設定処理動作を図5に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部15を通じて、ログデータの収集を行う移動局情報、及びログデータ収集指示の入力があったか否かを判断し(ステップS1)、これらの入力がなかったと判断すれば処理を終えて、平常運行処理を継続する一方、これらの入力があったと判断すれば、ログデータの収集対象として入力された移動局に対して、ログデータ送信要求信号を送信する(ステップS2)。
次に、現在の移動局の稼働台数を読み出し(ステップS3)、読み出した稼働台数を、メモリ13に記憶された定義情報(図4参照)に当てはめて、各移動局の位置・動態情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数とを設定し(ステップS4)、設定されたフレーム構成を各移動局M1〜Mnに通知する処理を行い(ステップS5)、その後処理を終える。
なお、上記ステップS1では、操作部15を通じて、ログデータの収集を行う移動局情報、及びログデータ収集指示との入力があったか否かを判断するようになっているが、別の実施の形態では、システム提供側のPC60からネットワーク40を介して、ログデータの収集を行う移動局を特定する信号、及びログデータ収集指示信号とを受信したか否かを判断し、これら信号を受信した場合、ステップS2以降の処理に進む構成とすることもできる。
次に実施の形態(1)に係るログデータ収集システムにおける各移動局M1〜Mnの制御部29で行われる送信処理動作を図6−1、図6−2に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、基地局10から上り無線キャリアのフレーム構成の変更通知を受信したか否かを判断し(ステップS11)、該変更通知を受信していないと判断すれば処理を終え、平常運行処理を継続する一方、前記変更通知を受信したと判断すれば、基地局10からログデータ送信要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS12)。
ステップS12において、ログデータ送信要求信号を受信したと判断すれば、メモリ22からログデータを読み出し(ステップS13)、上り無線キャリアのフレーム構成で割り当てられたログデータの送信タイミング(例えば、図3(b)におけるタイムスロット#0、#1のタイミング)になったか否かを判断し(ステップS14)、ログデータの送信タイミングになったと判断すれば、読み出したログデータを1スロット分のデータ量に分割し、分割された1スロット分のログデータを基地局10に送信する(ステップS15)。
その後、基地局10からログデータの再送要求信号を受信したか否かを判断し(ステップS16)、ログデータの再送要求信号を受信したと判断すれば、再送要求のあったログデータの再送処理を行い(ステップS17)、ステップS16に戻る。一方、ステップS16において、ログデータの再送要求信号を受信していないと判断すれば、基地局10からログデータの送信を一時中断する信号(再送処理が規定回数に達した場合に送信される信号)を受信したか否かを判断し(ステップS18)、送信中断信号を受信したと判断すれば、ログデータの送信を一時中断する処理、すなわち、平常運行時のフレーム構成で位置・動態情報の送信処理を継続する(ステップS19)。その後、ログデータの送信を再開する信号を受信したか否かを判断し(ステップS20)、再開信号を受信したと判断すればステップS14に戻り、ログデータ収集時のフレーム構成に変更してログデータの送信処理を繰り返す。
一方、ステップS18において、送信中断信号を受信していないと判断すれば、基地局10からログデータの収集が完了したことを通知する信号(平常運行時のフレーム構成に戻す通知など)を受信したか否かを判断し(ステップS21)、ログデータの収集完了信号を受信していないと判断すればステップS14に戻り処理を繰り返す一方、ログデータの収集完了信号を受信したと判断すれば、その後ログデータの送信処理を終え、平常運行処理に戻る。
また一方、ステップS12において、ログデータ送信要求信号を受信していない(すなわち、ログデータ収集対象移動局ではない)と判断すれば、図6−2に示したステップS31に進み、ステップS31では、位置・動態情報の任意発信条件(例えば、所定距離走行、所定時間経過等)が成立したか否かを判断し、任意発信条件が成立したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成で割り当てられた位置・動態情報の送信タイミング(例えば、図3(b)におけるタイムスロット#2〜#5のいずれかのタイミング)になったか否かを判断し(ステップS32)、位置・動態情報の送信タイミングになったと判断すれば、自移動局の位置・動態情報を基地局10に送信する(ステップS33)。
その後、基地局10から位置・動態情報の再送要求信号を受信したか否かを判断し(ステップS34)、再送要求信号を受信したと判断すれば、再送要求のあった位置・動態情報の再送処理を行い(ステップS35)、ステップS34に戻る。一方、ステップS34において、位置・動態情報の再送要求信号を受信していないと判断すれば、平常運行時のフレーム構成(図3(a)参照)に戻す変更通知を受信したか否かを判断し(ステップS36)、該変更通知を受信していないと判断すれば、ステップS31に戻り処理を繰り返す一方、前記変更通知を受信したと判断すれば処理を終え、平常運行処理に戻る。
次に実施の形態(1)に係るログデータ収集システムにおける基地局10の制御部17で行われるログデータ受信処理動作を図7に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理動作は、基地局10から各移動局M1〜Mnにログデータ収集時のフレーム構成の通知が行われた後に実行される。
まず、ログデータの再送要求カウンタCをクリアし(ステップS41)、その後、対象移動局からログデータ(1スロット分のデータ)を受信したか否かを判断し(ステップS42)、ログデータを受信したと判断すれば、受信したログデータに誤りがあるか否かを判断し(ステップS43)、誤りがあると判断すれば、再送要求カウンタCに1を加算し(ステップS44)、現在の移動局の稼働台数に基づいて、再送要求回数の上限値nMAX(同一スロットに対する上限値)を設定する(ステップS45)。なお、メモリ22には、図8に示したような、移動局の稼働台数と、再送要求回数の上限値との関係を示した定義情報が記憶されており、この定義情報に現在の移動局の稼働台数を当てはめて、再送要求回数の上限値nMAXが設定されるようになっている。
次に、再送要求カウンタCが再送要求回数の上限値nMAX以上であるか否かを判断し(ステップS46)、再送要求カウンタCが再送要求回数の上限値nMAX以上ではないと判断すれば、ログデータの再送要求を行い(ステップS47)、その後ステップS42に戻り処理を繰り返す。
一方ステップS46において、再送要求カウンタCが再送要求回数の上限値nMAX以上であると判断すれば、ログデータの送信を一時中断させるための送信中断信号を各移動局M1〜Mnに送信し(ステップS48)、中断後、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS49)、所定時間が経過したと判断すれば、中断されたログデータの送信を再開させる再開信号を各移動局M1〜Mnに送信し(ステップS50)、その後ステップS41に戻り処理を繰り返す。
また一方ステップS43において、受信したログデータに誤りがないと判断すれば、ログデータをメモリ22に保存し(ステップS51)、所要のログデータの収集を完了したか否かを判断し(ステップS52)、収集が完了していないと判断すればステップS41に戻り処理を繰り返す。一方ステップS52において、ログデータの収集を完了したと判断すれば、各移動局M1〜Mnに対して平常運行時のフレーム構成(図3(a)参照)に戻す変更通知を行い(ステップS53)、メモリ22に記憶された収集したログデータをサーバ50へ送信する処理を行い(ステップS54)、その後処理を終える。
上記実施の形態(1)に係るログデータ収集システムによれば、基地局10では、複数の移動局M1〜Mnのうちの稼働台数に基づいて、各移動局の位置情報の収集に割り当てるタイムスロット数と、所要の移動局のログデータの収集に割り当てるタイムスロット数とが設定されるので、複数の移動局のうちの稼働台数に応じて、すなわち、移動局の稼働台数が多い場合には、ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率を減らす一方、移動局の稼働台数が少ない場合には、ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率を増やすことができ、各移動局の稼働状況に合わせて、各移動局の位置情報の収集に必要なタイムスロット数を確保することができ、通常業務に支障をきたすことなく、平行して所要の移動局のログデータも収集することができる。
また、基地局10で収集された所要の移動局のログデータがサーバ50に記憶されるので、システム提供側では、ネットワーク40に接続可能なPC60を用いて、サーバ50にアクセスすることにより、サーバ50に蓄積された所要の移動局のログデータを回収することができ、移動局端末の不具合等の解析を効率よく行うことができる。
また、基地局では、所要の移動局から受信したログデータに誤りがあった場合の再送要求の回数(上限値nMAX)が、複数の移動局の稼働情報に基づいて設定されるので、ログデータに誤りがあった場合に、ログデータの再送要求が上限値を越えると中断されるため、ログデータの収集が必要以上に長期化するのを防ぐことができ、通常業務に支障をきたすような状況の発生を回避することができる。
なお、上記実施の形態(1)では、図3(b)に示したフレーム構成で、ログデータを基地局10に送信する場合について説明したが、ログデータを送信する場合であっても、配車業務等は継続して行わなければならない。すなわち、基地局10から配車指示を受信した移動局は、応答信号を即座に送信しなければならない。したがって、別の実施の形態では、配車応答信号のような重要度の高い特定データを送信するためのタイムスロットを、ログデータ収集時のフレーム構成の中に少なくとも1つ以上設定するようにしてもよく、その場合の上り無線キャリアのフレーム構成の一例を図9に示している。この場合、フレーム内のタイムスロット#0が、ログデータや位置・動態情報以外の特定データ(配車応答信号など)を送信するためのスロットに割り当てられている。かかるフレーム構成により、配車業務等にも支障を与えることなく、ログデータの収集を行うことができる。
また、上記実施の形態(1)では、基地局10側で、ログデータ収集前の移動局の稼働台数に基づいて、上り無線キャリアのフレーム構成(ログデータ用のタイムスロット数と、位置・動態情報用のタイムスロット数)が設定され、ログデータ収集中は、ログデータ用のタイムスロット数と位置・動態情報用のタイムスロット数との設定は変更されないようになっているが、別の実施の形態では、ログデータの収集中であっても、所定時間毎に移動局の稼働台数をチェックし、その時の移動局の稼働台数に応じて、ログデータ用のタイムスロット数と、位置・動態情報用のタイムスロット数との割り当てを変更する構成としてもよい。かかる構成によれば、ログデータの収集中に移動局の稼働台数に大きな変化が生じた場合でも、ログデータ用のタイムスロット数と、位置・動態情報用のタイムスロット数との割り当てが適切となるように変更されるため、通常業務に支障を与えることのない信頼性の高いシステムとすることができる。
次に実施の形態(2)に係るログデータ収集システムについて説明する。但し実施の形態(2)に係るログデータ収集システムの構成については、基地局の制御部と、各移動局の制御部とを除いて図1、図2に示したシステム構成と同様であるため、異なる機能を有する基地局10Aの制御部17Aと、各移動局M1〜Mnの制御部29Aとには異なる符号を付し、その他の構成部品の説明をここでは省略する。
実施の形態(1)に係るログデータ収集システムと、実施の形態(2)に係るログデータ収集システムとでは、ログデータ収集時における上り無線キャリアのフレーム構成が異なっている。
図10(a)、(b)は、実施の形態(2)に係るログデータ収集システムにおける基地局10Aと各移動局M1〜Mnとの間の上り無線キャリアのフレーム構成の一例を示した図である。図10(a)は、平常運行時(すなわち、ログデータの収集が行われていない時)におけるフレーム構成を示しており、図3(a)で説明した場合と同様に、1フレーム中の6つのタイムスロット全てが、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するスロットとなるように設定されており、各移動局M1〜Mnでは、一定距離の移動後(又は、一定時間の経過後や、料金メータの設定変更等の任意発信条件が成立した場合)に、スロット#0〜#5のいずれかのタイミングで、自移動局の位置・動態情報を基地局10Aへ送信するようになっている。
一方、ログデータの収集実行時(すなわち、基地局10Aからログデータ収集対象移動局に対して、ログデータ送信要求信号が送信された場合)は、例えば、図10(b)に示したように、基地局10Aでは、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含み、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成A(すなわち、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報の送信は停止される)でデータ送信を行う第1の送信時間t1と、各移動局の位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含み、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成Bでデータ送信を行う第2の送信時間t2とを繰り返すフレーム構成が設定される。
基地局10Aからログデータ送信要求信号を受信した移動局では、第1の送信時間t1内の各フレームAのタイムスロット#0〜#5のタイミングで、自移動局のメモリ22に記憶されたログデータを基地局10Aに送信する一方、各移動局M1〜Mnでは、一定距離の移動後に、第2の送信時間t2内の各フレームBのタイムスロット#0〜#5のタイミングで、自移動局の位置・動態情報を基地局10Aへ送信するようになっている。
なお、図10(b)に示した第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との割り当て時間は、各移動局M1〜Mnのうちの稼働台数(すなわち、開局状態にある移動局台数)に基づいて設定されるようになっており、基地局10Aのメモリ13には、これらの設定を行うための定義情報が記憶されており、その一例(移動局台数が100台の例)を図11に示している。
図11に示したように、移動局の稼働台数が少ない場合は、位置・動態情報等の送信頻度が低くなるので、移動局の稼働台数が多い場合よりも、ログデータを送信する第1の送信時間t1が長く設定される一方、移動局の稼働台数が多い場合は、位置・動態情報等の送信頻度が高くなるので、第1の送信時間t1の割り当て時間が短く設定されている。したがって、稼働台数に応じて、通常業務(各移動局の位置・動態情報の収集等)に支障を与えないように、しかも効率よく、所要の移動局のログデータの収集を行うことが可能となっている。
なお、基地局10Aでは、各移動局M1〜Mnの稼働状態を把握しているので、現在の稼働台数をカウントすることができ、ログデータの収集を開始する際の稼働台数に基づいて、第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との割り当てを決定することが可能となっている。そして、各移動局M1〜Mnに対して設定したフレーム構成を通知することにより、ログデータの収集が開始されるようになっている。
次に実施の形態(2)に係るログデータ収集システムにおける基地局10Aの制御部17Aで行われるフレーム設定処理動作を図12に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部15を通じて、ログデータの収集を行う移動局情報、及びログデータ収集指示の入力があったか否かを判断し(ステップS61)、これらの入力がなかったと判断すれば処理を終えて、平常運行処理を継続する一方、これらの入力があったと判断すれば、ログデータの収集対象として入力された移動局に対して、ログデータ送信要求信号を送信する(ステップS62)。
次に、現在の移動局の稼働台数を読み出し(ステップS63)、読み出した稼働台数を、メモリ13に記憶された定義情報(図11参照)に当てはめて、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報の送信を停止して、指定された移動局のログデータを送信する第1の送信時間t1と、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信する第2の送信時間t2とを設定し(ステップS64)、設定されたフレーム構成を各移動局M1〜Mnに通知する処理を行い(ステップS65)、その後処理を終える。
次に実施の形態(2)に係るログデータ収集システムにおける各移動局M1〜Mnの制御部29Aで行われる送信処理動作を図13−1〜図13−3に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、基地局10Aから上り無線キャリアのフレーム構成の変更通知を受信したか否かを判断し(ステップS71)、該変更通知を受信していないと判断すれば処理を終え、平常運行処理を継続する一方、前記変更通知を受信したと判断すれば、基地局10Aからログデータ送信要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS72)。
ステップS72において、ログデータ送信要求信号を受信したと判断すれば、メモリ22からログデータを読み出し(ステップS73)、基地局10Aから第1の送信時間t1の開始信号を受信したか否かを判断する(ステップS74)。ステップS74において、第1の送信時間t1の開始信号を受信したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成を変更し、すなわち、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含み、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成Aに変更し(ステップS75)、読み出したログデータを1スロット分のデータ量に分割し、分割されたログデータをタイムスロット#0〜#5の各タイミングで基地局10Aに順次送信する(ステップS76)。
その後、基地局10Aからログデータの再送要求信号を受信したか否かを判断し(ステップS77)、ログデータの再送要求信号を受信したと判断すれば、再送要求のあったログデータの再送処理を行い(ステップS78)、ステップS77に戻る。
一方、ステップS77において、ログデータの再送要求信号を受信していないと判断すれば、その後、基地局10Aからログデータの送信を一時中断する信号(再送処理が規定回数に達した場合に送信される信号)を受信したか否かを判断し(ステップS79)、送信中断信号を受信したと判断すれば、ログデータの送信を一時中断する処理、すなわち、平常運行時のフレーム構成で位置・動態情報の送信処理を継続し(ステップS80)、その後、ログデータの送信を再開する信号を受信したか否かを判断し(ステップS81)、再開信号を受信したと判断すれば、ステップS74に戻り処理を繰り返す。
一方、ステップS79において、送信中断信号を受信していないと判断すれば、基地局10Aからログデータの収集が完了したことを通知する信号(平常運行時のフレーム構成に戻す通知など)を受信したか否かを判断し(ステップS82)、ログデータの収集完了信号を受信したと判断すれば、その後ログデータの送信処理を終え、平常運行処理に戻る。
また一方、ステップS74において、第1の送信時間t1の開始信号を受信していないと判断すれば、図13−2に示したステップS83に進み、ステップS83では、基地局10Aから第2の送信時間t2の開始信号を受信したか否かを判断し、第2の送信時間t2の開始信号を受信していないと判断すればステップS74に戻る一方、第2の送信時間t2の開始信号を受信したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成を変更する、すなわち、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含み、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成Bに変更する(ステップS84)。
その後、位置・動態情報の任意発信条件(例えば、所定距離走行、所定時間経過等)が成立したか否かを判断し(ステップS85)、任意発信条件が成立したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成で割り当てられた位置・動態情報の送信タイミング(タイムスロット#0〜#5のいずれかのタイミング)になったか否かを判断し(ステップS86)、位置・動態情報の送信タイミングになったと判断すれば、自移動局の位置・動態情報を基地局10Aに送信する(ステップS87)。
その後、基地局10Aから第1の送信時間t1の開始信号を受信したか否かを判断し(ステップS88)、第1の送信時間t1の開始信号を受信していないと判断すればステップS85に戻る一方、第1の送信時間t1の開始信号を受信したと判断すればステップS75に戻り、処理を繰り返す。
また一方、ステップS72において、ログデータ送信要求信号を受信していないと判断すれば、図13−3に示したステップS91に進み、ステップS91では、基地局10Aから第1の送信時間t1の開始信号を受信したか否かを判断し、第1の送信時間t1の開始信号を受信していないと判断すればステップS93に進む一方、第1の送信時間t1の開始信号を受信したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成を変更し、すなわち、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含み、各移動局M1〜Mnの位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成Aに変更する(ステップS92)。
その後、基地局10Aから第2の送信時間t2の開始信号を受信したか否かを判断し(ステップS93)、第2の送信時間t2の開始信号を受信していないと判断すればステップS91に戻る一方、第2の送信時間t2の開始信号を受信したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成を変更する、すなわち、各移動局の位置・動態情報を送信するためのタイムスロットを含み、所要の移動局のログデータを送信するためのタイムスロットを含まないフレーム構成Bに変更する(ステップS94)。
次に、位置・動態情報の任意発信条件(例えば、所定距離走行、所定時間経過等)が成立したか否かを判断し(ステップS95)、任意発信条件が成立したと判断すれば、上り無線キャリアのフレーム構成で割り当てられた位置・動態情報の送信タイミング(タイムスロット#0〜#5のいずれかのタイミング)になったか否かを判断し(ステップS96)、位置・動態情報の送信タイミングになったと判断すれば、自移動局の位置・動態情報を基地局10Aに送信する(ステップS97)。
その後、基地局10Aから位置・動態情報の再送要求信号を受信したか否かを判断し(ステップS98)、再送要求信号を受信したと判断すれば、再送要求のあった位置・動態情報の再送処理を行い(ステップS99)、その後ステップS98に戻る。
一方、ステップS98において、位置・動態情報の再送要求信号を受信していないと判断すれば、基地局10Aから第1の送信時間t1の開始信号を受信したか否かを判断し、(ステップS100)、第1の送信時間t1の開始信号を受信したと判断すればステップS92に戻る一方、第1の送信時間t1の開始信号を受信していないと判断すれば、平常運行時のフレーム構成(図10(a)参照)に戻す変更通知を受信したか否かを判断し(ステップS101)、該変更通知を受信していないと判断すれば、ステップS95に戻り処理を繰り返す一方、前記変更通知を受信したと判断すれば処理を終え、平常運行処理に戻る。
また実施の形態(2)に係るログデータ収集システムにおける基地局10Aの制御部17Aで行われるログデータ受信処理動作は図7に示した処理動作と略同様であるのでここではその説明を省略する。
上記実施の形態(2)に係るログデータ収集システムによれば、基地局10Aでは、複数の移動局の稼働台数に基づいて、第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との割り当てが設定されるので、複数の移動局のうちの稼働台数に応じて、すなわち、稼働台数が多い場合には、第1の送信時間t1の割り当て比率を減らす一方、稼働台数が少ない場合には、第1の送信時間t1の割り当て比率を増やすことができ、各移動局M1〜Mnの稼働状況に合わせて、各移動局M1〜Mnの位置情報の収集に必要な送信時間(第2の送信時間t2)を確保することができ、通常業務に支障をきたすことなく、平行して所要の移動局のログデータも収集することができる。
なお、上記実施の形態(2)では、図10(b)に示したフレーム構成で、ログデータを基地局10Aに送信する場合について説明したが、ログデータを送信する場合であっても、配車業務等は継続して行わなければならない。すなわち、基地局10Aから配車指示を受信した移動局は、応答信号を即座に送信しなければならない。したがって、別の実施の形態では、配車応答信号のような重要度の高いデータを送信するためのタイムスロットを、ログデータ収集時のフレーム構成の中に少なくとも1つ以上設定してもよく、その場合の上り無線キャリアのフレーム構成の一例を図14に示している。
図14では、上段が、第1の送信時間t1のフレーム構成Aを示しており、下段が、第2の送信時間t2のフレーム構成Bを示している。この場合、第1の送信時間t1及び第2の送信時間t2の各フレーム内のタイムスロット#0が、ログデータや位置・動態情報以外の特定データ(配車応答信号など)を送信するためのスロットに割り当てられている。かかるフレーム構成により、配車業務等にも支障を与えることなく、ログデータ等の収集を行うことができる。
また、本システムがタクシー等の配車システムとして採用された場合、顧客が指定した場所に最も早く到達できる移動局を選択して配車する必要があるため、特に空車状態の移動局の位置はより正確に把握しておかなければならない。このため、位置情報の送信間隔については、例えば空車の場合は200m間隔、実車の場合は、400m間隔というように条件を変化させることができる。また、待機場所で顧客待ちをしている車両は、長時間停車している場合が多いため、位置情報が送信される回数は少ない。
このように、同じ稼働台数であっても、待機中や実車中の車両が多い場合は、位置情報の送信が少なくなる。そこで、別の実施の形態では、移動局の稼働台数(開局状態の移動局台数)で、ログデータ用のタイムスロット数の割り当てや、第1の送信時間t1及び第2の送信時間t2の割り当てを判断するのではなく、各移動局の動態についてもさらに考慮して、稼働台数情報を算出するようにしてもよい。
例えば、空車1.0、実車0.5、待機0.1という係数を設定した場合、稼働台数=空車台数×1.0+実車台数×0.5+待機台数×0.1という計算式で算出される。係る計算式を用いた稼働台数の値を用いれば、実際の上り信号のトラフィック量との相関性が得られるため、ログデータ用のタイムスロット数の割り当て比率や、第1の送信時間t1の割り当て比率等を、実際の上り信号のトラフィック量に対応させた形で設定することができ、一層効率の良いログデータの収集を行うことが可能になる。
また、上記実施の形態(2)では、基地局10A側で、ログデータ収集前の移動局の稼働台数に基づいて、上り無線キャリアのフレーム構成(第1の送信時間t1と第2の送信時間t2)が設定され、ログデータ収集中は、第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との設定は変更されないようになっているが、別の実施の形態では、ログデータの収集中であっても、所定時間毎に移動局の稼働台数をチェックし、その時の移動局の稼働台数に応じて、第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との割り当てを変更する構成としてもよい。かかる構成によれば、ログデータの取得中に移動局の稼働台数に大きな変化が生じた場合でも、第1の送信時間t1と第2の送信時間t2との割り当てが適切となるように変更されるため、通常業務に支障を与えることのない信頼性の高いシステムとすることができる。
また、上記実施の形態(1)、(2)では、基地局10(10A)側で、操作部15を通じて、移動局情報及びログデータ収集指示の入力があった場合に、指定された移動局に対して、ログデータ送信要求信号を送信し、ログデータの収集を開始するようになっている(図5、図12参照)が、別の実施の形態では、移動局M1〜Mnの稼働情報が所定の条件となった場合、例えば、移動局の稼働台数が所定台数以下となった場合に、指定された移動局にログデータ送信要求信号を送信して、ログデータの収集を開始する構成してもよい。かかる構成によれば、上り信号のトラフィック量が少ない状況下で、指定された移動局のログデータを収集を開始することができるシステムとすることができる。
さらに別の実施の形態では、基地局側で予めログデータの収集日時を設定しておき、設定されたログデータの収集日時となった場合に、指定された移動局にログデータ送信要求信号を送信して、ログデータの収集を開始してもよく、かかる構成によれば、例えば、移動局の稼働台数が少なくなる日時(深夜から早朝にかけてのある時間、休日や祝日のある時間など)をログデータ収集日時として設定しておくことにより、上り信号のトラフィック量が少ない状況下で、指定された移動局のログデータの収集を開始することができ、通常業務に支障を与える危険性が少なく、かつログデータを効率よく収集することができる。
また、さらに別の実施の形態では、基地局側で、ログデータの収集を開始する際のログデータ収集対象移動局の動態条件を設定メニュー画面を通じて予め設定しておき、ログデータ収集対象移動局が、前記設定された動態条件になった場合に、指定された移動局(ログデータ収集対象移動局)にログデータ送信要求信号を送信して、ログデータの収集を開始する構成としてもよい。
かかる構成によれば、例えば、前記動態条件として、移動局側の電波状況が良く、かつ移動局が停止しているという条件(基地局から所定範囲内の場所で待機状態にである条件、待機状態かつ待機順位が閾値より大きいという条件など)が設定された場合、移動局(例えばタクシー)が、電波状況のよい場所での「待機中」や「食事中」の場合に、ログデータの収集が開始されるので、電波状況が良く、その変化が少ない状態が継続している時に、ログデータの収集を誤りなく正確に行うことができ、収集効率をより高めることができる。
また、上記実施の形態(1)、(2)では、基地局側で、ログデータの再送要求回数が、上限値nMAXを越えた場合に、ログデータの送信を中断するようになっているが、別の実施の形態では、移動局の稼働台数が閾値未満の時間だけログデータの収集を行う(閾値以上の場合はログデータの送信を中断する)ようにしたり、基地局側でログデータの取得時間帯を予め設定しておき、その時間帯だけログデータの収集を行うようにしたり、又は基地局側で予め設定されたログデータ収集対象移動局の動態条件が継続している時間だけログデータの収集を行う(前記動態条件が変化すると収集を中断する)構成とすることもできる。かかる構成によれば、各移動局の位置・動態情報の収集など本来の業務に与える影響をより小さくすることができる。