JP4454512B2 - フィルタ素子及び電子モジュール - Google Patents

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本願発明は、フィルタ素子及び電子モジュールに関し、特にノイズ除去のためなどに使用されるフィルタ素子で、積層絶縁体内の導体パターンで構成したインダクタンスとキャパシタンスの並列共振や直列共振などを利用して、特定周波数で急峻な減衰量が得られるフィルタ素子及び電子モジュールに関するものである。
従来、複数の絶縁体層にコイル断片を形成し、各絶縁体層を積層していくときに、これらのコイル断片をつなぎ合わせて周回コイルを構成し、このコイルと、絶縁体層に形成した導電パターン間に構成されるキャパシタとを利用することにより、積層型フィルタ素子を実現した例が知られている。
この積層型フィルタ素子として、素子内部回路間の分布定数容量を積極的に活用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このフィルタ素子は、素子の中に2重コイルを形成して、それらのコイルの間に形成される分布定数容量を利用してキャパシタを構成したものである。
このフィルタ素子の2つのコイルを、コイルL1、コイルL2ということにすると、図12に示すように、コイルL1の両端に信号の入力端子と出力端子をそれぞれ設け、コイルL2をグランドに接続すれば、コイルL1、コイルL2間の分布定数容量とコイルL1、コイルL2のインダクタンスとを用いて、特定周波数で急峻な減衰量が得られるローパスフィルタ素子を構成することができる。
特開平04−2108号公報
2つのコイルとその間の分布定数容量を用いる上記従来のフィルタ素子では、2つのコイルを形成する必要があるため、小型化するには、それぞれのコイルを小さくし、それぞれのコイルの占有面積を小さくする必要がある。しかしながら、コイルを小さくすると、加工精度が少しでも落ちた場合、コイル間の分布定数容量が変化し、所望のフィルタ特性が得られないという問題が生じる。つまり加工精度に対する要求が厳しくなる。
また、特定周波数で急峻な減衰量を得るために、どのような容量やインダクタンスの構成がよいかということや、具体的な構成を決めた場合の容量やインダクタンスをどのように実現するかといったことについては、わかっておらず設計上の大きな問題となっていた。特に横軸に周波数、縦軸に減衰量をとったグラフでの減衰量の制御は、所望のフィルタ特性を実現するための重要なポイントであった。特に低周波側の減衰ピークでの減衰量は、フィルタ素子のノイズ除去性能を決める重要な特性であり、この周波側の減低衰量を大きくすることが重要である。
さらに、上記従来のフィルタ素子を用いてローパスフィルタ素子を構成した場合、低周波領域の通過帯域と高周波領域の阻止帯域との間の遷移領域において、通過特性の減衰スロープが緩慢となり(図5C参照)、ローパスフィルタ素子として不十分な特性となってしまうという問題もあった。
本発明は、小型化が容易で、かつ減衰量を制御し、所望の減衰特性を実現しうるフィルタ素子及び電子モジュールを提供することを目的とする。
本発明のフィルタ素子は、積層した状態で連続して周回するコイルを構成するためのコイル形成用導体が形成された複数の絶縁層、および接地用導体が形成された絶縁層を有し、前記コイル形成用導体または前記接地用導体のいずれにも接続されない容量形成用導体が、一部または全部の絶縁層に形成されており、前記コイル形成用導体と前記容量形成用導体との間で第1の容量を構成し、前記容量形成用導体と前記接地用導体との間で第2の容量を構成し、前記第1の容量を容量形成部の数で割った平均容量C1で、前記第2の合成容量C2を割った値(C2/C1)が1〜2.5であることを特徴とする。これら第1、第2の容量の合成容量と、前記周回するコイルとによって、フィルタ特性を得る。
ここで、第2の合成容量C2を、第1の容量を容量形成部数で割った平均容量C1で割った値(C2/C1)を1〜2.5とすることにより、最も低周波側にできる減衰ピークでの減衰量を大きく向上させることができる。
ここで、前記接地用導体は最上段または最下段の絶縁層に形成されていることが望ましい。
前記コイル形成用導体は、コの字形又はU字形をしたコイル形成用曲がり導体と、上下層接続用導体とからなる。
このようなフィルタ素子では、コイル形成用曲がり導体と前記容量形成用導体との間で第1の容量を構成しているため、コイル形成用導体の分布定数インダクタンスと、容量形成用導体とコイル形成用曲がり導体の間の分布定数容量とでLCフィルタを構成することができる。このため、コイルは1つでよく、コイルが2つ必要な構成に比べて小型の素子を実現できる。
また、容量形成用導体と接地用導体の間で第2の容量を構成したことで、低周波領域の通過帯域と高周波領域の阻止帯域との間の遷移領域において通過特性の減衰スロープが急峻となり、優れた特性のローパスフィルタ素子が実現できる。
さらに、本発明のフィルタ素子では、前記容量形成用導体が複数の絶縁層にそれぞれ形成されており、絶縁層間の容量形成用導体が絶縁層中のビア導体で接続されていることが好ましい。また、前記コイル形成用曲がり導体と、上下層接続用導体とが絶縁層中のビア導体で接続されていることが好ましい。
このようなフィルタ素子では、素子の表面に接続用導体を設ける必要がないので、素子の表面が広く使える。そこで、外部回路と接続するための入出力端子や接続端子の大きさや、互いの間隔を広げることができ、外部端子間の短絡などの不良が減り、フイルタ素子の小型化が可能となる。
また、本発明のフィルタ素子では、ある絶縁層に形成されたコイル形成用導体のインダクタンスは、他の層間に形成されたコイル形成用導体のインダクタンスと異なることとしてもよい。
これにより、素子を構成するインダクタンスの調整範囲が広がり、フィルタの阻止帯域特性の制御が柔軟に行えるため、所望の減衰特性が容易に得られる。
また、本発明のフィルタ素子は、ある絶縁層に形成された容量形成用導体とコイル形成用導体との間の当該絶縁層によって実現される容量と、他のある絶縁層に形成された容量形成用導体とコイル形成用導体との間の当該絶縁層によって実現される容量とが、少なくとも2つの絶縁層において異なる構成としてもよい。前記容量の変化は、絶縁層の厚み又は絶縁層の誘電率を異ならせることによって実現してもよく、容量形成用導体とコイル形成用導体とが絶縁層を介して対向する面積を異ならせることによって実現してもよい。
この容量が変化する構成によれば、減衰極の形成に関わるパターンの共振、反共振が発生する周波数を変化させることができ、減衰量の不足する周波数帯域での減衰が得られるようになる。したがって、必要な減衰特性を満たすフィルタが実現できる。また、絶縁層の厚さを変化させることで、製造プロセスを簡略化することができ、低コストで減衰特性のよいフィルタが得られる。
前記容量が、入力導体から出力導体にかけて徐々に変化するようにすればさらに好ましい。容量形成部の容量を、入力導体側から出力導体側に単調に増加させることで、従来、最も減衰量の不足する帯域の減衰量の制御が可能となり、優れた特性のフィルタが実現できる。
本発明の電子モジュールは、前記記載のフィルタ素子を搭載していることを特徴とする。このような電子モジュールは、特性の優れた小型のフィルタを搭載できるため、電子モジュール全体の小型化と特性の向上が図れる。
以上のように、本発明のフィルタ素子においては、コイル形成用導体を層間接続することにより、分布定数インダクタンスを構成し、コイル形成用導体と容量形成用導体との間で分布定数容量を構成することができるため、コイル導体が1つでよいことからフィルタ素子の小型化が実現できる。また、容量形成用導体と接地用導体との間で第2の容量を構成したことで、高周波化に対応できるよう分布定数容量を小さく設計することができ、さらに、低周波領域の通過帯域と高周波領域の阻止帯域との間の遷移領域において通過特性の減衰が急峻となり、優れた特性のローパスフィルタ素子を実現することができる。さらに、第1の容量を容量形成部数で割った平均容量C1で、第2の合成容量C2を割った値(C2/C1)が、1〜2.5となるようにすることで、減衰ピークを大きくすることができる。特にC2/C1が、1.3〜2.0の範囲では、減衰量が大きく良好な特性のフィルタ素子を得ることができる。
特に、フィルタを構成する容量を変化させることで、減衰極の形成に関わるパターンの共振、反共振が発生する周波数を変化させ、減衰量の不足する周波数帯域での減衰が得られるようになり、必要な減衰特性を満たすフィルタが実現できる。
また、容量形成部の容量を、入力導体側から出力導体側に単調に増加させることで、従来、最も減衰量の不足する帯域の減衰量の制御が可能となり、優れた特性のフィルタが実現できる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明のフィルタ素子の外観斜視図である。また、図2はフィルタ素子のX−X線断面図であり、図3は誘電体セラミック層を積層構成したときの構造分解斜視図となる。
本発明のフィルタ素子は、図1に示すように、複数の誘電体セラミック層(絶縁層)で構成されたセラミック積層体1と、その外表面に形成された信号ラインの入力端子2aと、出力端子2iと、GNDラインの端子3とで構成されるチップ部品である。
セラミック積層体1は、図2に示すように、一番下に位置する誘電体セラミック層1aから一番上に位置する誘電体セラミック層1iまで、9層の積層構造となっている。なお、本発明は、複数層が積層されていればよく、9層に限定されるものではない。
図3を参照して、誘電体セラミック層1aには、GND導体(接地用導体)3aが形成され、このGND導体3aから二方に端子が出て、それらが前記GND端子3に接続している。
次の誘電体セラミック層1bには、細長い真っ直ぐな板状のコイル形成用導体2bと、細長い真っ直ぐな板状の容量形成用導体4aとが、分離して形成されている。コイル形成用導体2bの一端は、前記入力端子2aにつながっている。
誘電体セラミック層1cには、コの字形のコイル形成用導体(コイル形成用曲がり導体に相当する)2cが形成されている。コイル形成用導体2cの一端は、誘電体セラミック層1cを貫くように設けられたビアホール導体(図3で模式的に細線で示している)5aを介して、誘電体セラミック層1b上のコイル形成用導体2bと接続される。
誘電体セラミック層1dには、ともに細長い真っ直ぐな板状のコイル形成用導体(上下層接続用導体に相当する)2dと、容量形成用導体4bとが分離して形成されている。コイル形成用導体2dの一端は、誘電体セラミック層1dを貫くように設けられたビアホール導体5bを介して、誘電体セラミック層1c上のコイル形成用導体2cの他端と接続される。容量形成用導体4bは、誘電体セラミック層1c,1dを貫くように設けられたビアホール導体6aを介して容量形成用導体4aに接続されている。
誘電体セラミック層1eには、コの字形のコイル形成用導体(コイル形成用曲がり導体に相当する)2eが形成されている。コイル形成用導体2eの一端は、誘電体セラミック層1eを貫くように設けられたビアホール導体5cを介して、誘電体セラミック層1d上のコイル形成用導体2dと接続される。
誘電体セラミック層1fには、ともに細長い真っ直ぐな板状のコイル形成用導体(上下層接続用導体に相当する)2fと容量形成用導体4cとが分離して形成されている。コイル形成用導体2fの一端は、誘電体セラミック層1fを貫くように設けられたビアホール導体5dを介して、誘電体セラミック層1e上のコイル形成用導体2eの他端と接続される。容量形成用導体4cは、誘電体セラミック層1f,1eを貫くように設けられたビアホール導体6bを介して容量形成用導体4bに接続されている。
誘電体セラミック層1gには、コの字形のコイル形成用導体(コイル形成用曲がり導体に相当する)2gが形成されている。コイル形成用導体2gの一端は、誘電体セラミック層1gを貫くように設けられたビアホール導体5eを介して、誘電体セラミック層1f上のコイル形成用導体2fと接続される。
誘電体セラミック層1hには、コの字形のコイル形成用導体2hが形成されている。コイル形成用導体2hの一端は、誘電体セラミック層1hを貫くように設けられたビアホール導体5fを介して、誘電体セラミック層1g上のコイル形成用導体2gと接続される。コイル形成用導体2hの他端は、前記出力端子2iにつながっている。
最後に誘電体セラミック層1hの上に、保護用の誘電体セラミック層1i(図3には示していない)が積層される。
以上のような構造であるから、9層の積層構造の中に3回半巻きの周回コイルが形成される。そして、図2に示されるように、コイル形成用導体2b〜2h間に、容量形成用導体4a,4b,4cが挟み込まれ、これらとコイル形成用導体2b〜2hとの間に容量が形成される。さらに容量形成用導体4aと、GND導体3aとの間にもうひとつの容量が形成される。このようにして形成された容量は、図2のハッチング部分H1,H2に表わされている。ハッチング部分H1は、容量形成用導体4a,4b,4cとコイル形成用導体2b〜2hとの間に形成された第1の容量を表し、ハッチング部分H2は、容量形成用導体4aとGND導体3aとの間に形成された第2の容量を表している。そして、ハッチング部分H1で示した容量形成部の合計容量を容量形成部の数で割った容量形成部1箇所当りの平均容量をC1、ハッチング部分H2で示した第2の容量の合計容量値をC2としたとき、C2をC1で割った値(C2/C1)が、1〜2.5となるようにする。特に、C2/C1が1.3〜2.0の範囲では、特に大きな減衰量が得られ良好な特性のフィルタ素子となる。尚、図2では、容量形成部は5箇所である。
図4は、以上の構成のフィルタ素子の等価回路図である。信号ラインの入力端子2aと、出力端子2iとの間に、前記コイル形成用導体2b〜2hによって形成された周回コイルが存在し、この周回コイルと容量形成用導体4a,4b,4cとの間に容量が形成され、さらに容量形成用導体4aとGND導体3aとの間に容量が形成される。したがって、LCからなるローパスフィルタ素子を構成することができる。このフィルタ素子によってノイズ除去機能などを実現することができる。
誘電体セラミック層1a〜1iの原料は、アルミナ(Al23),チタン酸バリウム(BaTiO3),二酸化チタン(TiO2)等の誘電体セラミック材料または、これらの誘電体セラミック材料と結晶化ガラスなどの混合物からなる。
コイル形成用導体2b〜2h、GND導体3a、容量形成用導体4a〜4cと、各接続ビアホール導体5a〜5f、6a,6bは、Agなどを主成分とする導電材料によって構成する。
入出力端子2a,2iとGNDラインの端子3は、Agを主成分とする下地導体及びその表面に付着したNiメッキや半田メッキなどの層から構成される。
次に、以上のフィルタ素子の製造方法を説明する。
まず、前述したチタン酸バリウムなどの誘電体セラミック材料を主原料とする混合物にバインダー等を混合してグリーンシートを作製し、プレス加工により所定位置にビアホールを貫通形成する。このビアホール付きのグリーンシートに、コイル形成用導体2b〜2h、GND導体3a、容量形成用導体4a〜4cを形成するために、Agを主成分とする導体ペーストを所定のパターンに印刷する。さらにビアホールには、前記導体ペーストを埋め込む。そして、各グリーンシートを所定の順番で積層し、プレスを行い一体化した後に、個々の形状にカットする。
それを900℃前後で焼成することで、図1に示したような直方体形状のセラミック積層体1を作成する。さらにAgを主成分とする導体ペーストを用いて、印刷方式又はDIP方式により、入出力端子2a,2iとGND端子3を、セラミック積層体1の表面に形成する。これらの入出力端子2a,2iとGND端子3を焼き付け処理し、Ni、半田メッキを施すことにより、フィルタ素子チップが作製される。
このようにして作製したフィルタ素子チップのフィルタ特性を評価するために、Sパラメータ(絶対値)のシミュレーションを行った。
図5はSパラメータの周波数特性を示す線図であり、横軸は周波数(GHz)を、縦軸はSパラメータの透過係数(S21)(単位dB)を表わしている。図中の実線曲線Aは本発明の構造(C2/C1=1.5)における透過係数(S21)の周波数特性、一点鎖線曲線B(C2/C1=0.5)のフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性、破線曲線Cは従来のセラミック積層体の中に2つのコイルを形成し、それらの間の分布容量を利用したフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を表す。
本発明のフィルタ素子(C2/C1が1.5:実線曲線A)では、減衰量の大きい優れたローパスフィルタ特性が得られている。一方、C2/C1が0.5のフィルタ(一点鎖線曲線B)では、減衰ピークが小さい。また、破線曲線Cの従来のフィルタでは、最初の減衰ピークの値が小さく、通過帯域と阻止帯域の間の変化が緩慢である。
本発明のフィルタ素子の構造では、図3に示すように1つのコイルだけが構成されることから、導体パターンも単純であり、小型化に適した、優れたフィルタ素子が実現できる。
図6は、本発明のフィルタ素子の、さらに他の構造を示す斜視図である。ここでは、誘電体セラミック層1c上のコイル形成用導体2cの線長を長くし、その部分のインダクタンスLを約1.3倍に増加させている。また図7は、誘電体セラミック層1fを薄くしたフィルタ素子の断面図を示す。誘電体セラミック層1fの厚さを、他の誘電体セラミック層の約半分にすることによって、容量形成用導体4cとコイル形成用導体2eとの間の容量を約2倍にしている。この場合、C1は誘電体セラミック層1fを薄くしない場合(図2)に比べて1.2倍大きくなる。
これらの、フィルタ素子のインダクタンスLを増加させたこと、容量Cを増加させたことに応じて、フィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性がどのように変わったのかを示すグラフが、図8である。同図において、破線曲線Dはコイルのインダクタンスを約1.3倍に増加させた場合の周波数特性を示し、一点鎖線曲線Eは、誘電体セラミック層1fの厚さを約半分にして、この部分の容量を2倍に増加させた場合の周波数特性を示す。破線曲線Dは、実線曲線Aと比べて、大きな透過減衰量が得られており、一点鎖線曲線Eは、破線曲線Dよりも更に大きな透過減衰量が得られている。
図8の実線曲線A、一点鎖線曲線E、破線曲線Dのフィルタについて、C2/C1の値を変化させた場合の減衰ピークにおけるS21の絶対値の変化を図9に示す。いずれの場合でも、C2/C1が1〜2.5の範囲で良好な減衰量が得られている。特にC2/C1が1.3〜2.0の範囲では、減衰量が大きく優れたフィルタ特性となることがわかる。
図10は、7層の誘電体セラミック層1bから1hの厚さを入力端子に近い側を厚く、それから出力端子にかけて徐々に薄くして作製したフィルタ素子を示す断面図である。誘電体セラミック層の厚さを徐々に薄くすることによって、容量形成用導体とコイル形成用導体との間の容量Cを入力側から出力側にかけて徐々に増加させることができる。
図11(a)は、各誘電体セラミック層の厚さが同一になるように作製したフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を示すグラフであり、図11(b)は、図10に示した7層の誘電体セラミック層1bから1hの厚さを入力端子に近い側を厚く、それから出力端子にかけて徐々に薄くして作製したフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を示すグラフである。
図11(a)と図11(b)の両グラフを比較すると、図11(b)のフィルタ素子では、図11(a)のフィルタ素子と比べて2.8GHz付近の減衰量が増加しており、従来では実現できなかった広い周波数帯域に渡って優れた減衰特性が保たれている。
なお、容量形成用導体とコイル形成用導体との間の容量を入力側から出力側にかけて変化させる構造として、絶縁層の厚さを変化させること以外に、絶縁層の誘電率を異ならせることによって実現してもよい。この場合、各層ごとに材料や組成成分比率の異なる誘電体セラミック材料を採用して誘電率の違うセラミックグリーンシートを作成する必要がある。また、容量の変化は、容量形成用導体4a,4b,4cと、コイル形成用導体2c,2e,2gとの相対位置をずらすことによって、絶縁層を介して対向する面積を異ならせても実現できる。
以上に説明したフィルタ素子をマザーボードなどに搭載して、種々の機能を実現する電子モジュールを製作することができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、前記コイル形成用導体2c,2e,2gの平面形状はコの字形をしていたが、角にアールをつけてU字形にして形成してもよい。より広く言えば、コイル形成用曲がり導体は、両端を有する曲線又は折れ線状の連続導体であればよい。その他本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
本発明のフィルタ素子の外観斜視図である。 本発明のフィルタ素子の断面図である。 誘電体セラミック層を積層構成したときの構造分解斜視図である。 本発明のフィルタ素子の等価回路図である。 本発明のフィルタ素子及び従来のフィルタ素子について、シミュレーションにより求めたSパラメータの周波数特性図である。 本発明のフィルタ素子の、コイル形成用導体2cの線長を長くした構造を示す分解斜視図である。 誘電体セラミック層1fを薄くして容量を増加させた、本発明のフィルタ素子の断面図である。 フィルタ素子のインダクタンスLを増加させた場合と、容量Cを増加させた場合の、フィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を示すグラフである。 C2/C1を変化させた場合の減衰量の変化を示すグラフである。 7層の誘電体セラミック層1bから1hの厚さを入力端子に近い側を厚く、それから出力端子にかけて徐々に薄くして作製したフィルタ素子を示す断面図である。 (a)は各誘電体セラミック層の厚さが同一になるように作製したフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を示すグラフであり、(b)は、図10に示した容量を徐々に変化させたフィルタ素子の透過係数(S21)の周波数特性を示すグラフである。 従来のフィルタ素子の等価回路図である。
符号の説明
1 セラミック積層体
2a 入力端子
2i 出力端子
3 GND端子
3a GND導体(接地用導体)
1a〜1i 誘電体セラミック層(絶縁層)
2b〜2h コイル形成用導体
4a〜4c 容量形成用導体
5a〜5f ビアホール導体
6a,6b ビアホール導体
H1 第1の容量
H2 第2の容量

Claims (9)

  1. 積層した状態で連続して周回するコイルを構成するためのコイル形成用導体が形成された複数の絶縁層、および接地用導体が形成された絶縁層を有し、
    前記コイル形成用導体または前記接地用導体のいずれにも接続されない容量形成用導体が、一部または全部の絶縁層に形成されており、
    前記コイル形成用導体と前記容量形成用導体との間で第1の容量を構成し、
    前記容量形成用導体と前記接地用導体との間で第2の容量を構成し、
    前記第1の容量を容量形成部の数で割った平均容量C1で、前記第2の合成容量C2を割った値(C2/C1)が1〜2.5であることを特徴とするフィルタ素子。
  2. 前記接地用導体は最上段または最下段の絶縁層に形成されている請求項1記載のフィルタ素子。
  3. 前記コイル形成用導体は、コイル形成用曲がり導体と、上下層接続用導体とからなる請求項1又は請求項2記載のフィルタ素子。
  4. 前記容量形成用導体は、上下層接続用導体が形成された絶縁層に、上下層接続用導体と分離して形成されており、当該容量形成用導体と、その上下の絶縁層に形成された前記コイル形成用曲がり導体との間に第1の容量が構成される請求項3記載のフィルタ素子。
  5. 前記容量形成用導体は、上下層接続用導体が形成された絶縁層に、上下層接続用導体と分離して形成されており、当該容量形成用導体と、その上又は下の絶縁層に形成された前記接地用導体との間に第2の容量が構成される請求項3又は請求項4記載のフィルタ素子。
  6. ある絶縁層に形成されたコイル形成用導体のインダクタンスは、他の層間に形成されたコイル形成用導体のインダクタンスと異なる請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフィルタ素子。
  7. ある絶縁層に形成された容量形成用導体とコイル形成用導体との間の当該絶縁層によって実現される容量と、他のある絶縁層に形成された容量形成用導体とコイル形成用導体との間の当該絶縁層によって実現される容量とが、少なくとも2つの絶縁層において異なる請求項1〜請求項6のいずれかに記載のフィルタ素子。
  8. 前記容量が、入力導体から出力導体にかけて徐々に変化する請求項7記載のフィルタ素子。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載のフィルタ素子を搭載していることを特徴とする電子モジュール。
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