JP4453839B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒判定(いずれの気筒が特定の行程にあるかを判定)等に用いられるクランク角センサやカム角センサ等の回転角センサを備えたエンジンの制御装置に係り、特に、前記回転角センサから得られる信号に基づき、回転角センサ系の異常(瞬断、ノイズ、歯欠け等)の有無を誤り無く確実に判定することのできるエンジンの制御装置に関する。
エンジンは、その動作の1サイクルが、例えば2、又は4の複数の行程で成り立っており、このため2気筒以上の多気筒エンジンでは、点火時期や燃料噴射時期等の制御のために、いずれの気筒が特定の行程、例えば圧縮行程にあるかを識別するため、通常、クランク角センサやカム角センサ等の回転角センサを備える。この回転角センサは、通常、例えば下記特許文献1、2等にも見られるように、シグナルプレート(円形回転部材)とこの外周に近接配置される検知器とからなっており、例えば、クランク軸等の回転部に装着されるシグナルプレートの外周部に多数の突起等(被検知部)を所定の配列状態で設け、前記検知器は、前記被検知部を検知する度に信号としてのパルスを発生するようにされ、この検知器から得られるパルス信号に基づいて、所定気筒の所定のクランク角度位置を検出し、気筒判定を行う。よって、前記回転角センサから得られるパルス信号が異常である場合には、気筒判定不能となり、点火時期や燃料噴射時期等の制御が行えず、始動不能となる。そのため、従来においても、始動不能の原因が、回転角センサ系の異常によるものか否かを判定し、原因究明時間及び修理時間の短縮を図っている。
そして、回転角センサ系の異常の有無の判定方法としては、例えば下記特許文献1に見られるように、回転角センサから到来する信号(パルス)をカウントするとともに、このカウント期間を回転角センサ信号の周期から設定し、該カウント期間でのカウント値、つまり回転角センサから到来した信号パルス数が、予め定められた値と異なっている場合、異常と判定する等の方法が知られている。
また、特許文献2に所載のもののように、複数の回転角センサを備えている場合には、一方の回転角センサから得られる基準信号パルス間において他方の回転角センサからの信号パルスが何回到来したかをチェックすることにより前記異常判定を行う方法(相関チェック法)が知られている。
特開平11−316120号公報 特開2004−245179号公報
しかしながら、前記特許文献1に所載の回転角センサ系の異常判定方法では、エンジン停止直後の揺り返し等による逆回転発生時に、カウント期間を回転角センサ信号の周期から設定しているため、カウント期間にずれが発生し、誤判定を生じるおそれがある。
また、前記相関チェック法による異常判定方法では、どちらの回転角センサ系が異常なのかを特定できないという問題もある。
本発明は、前記した従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回転角センサ系の異常の有無を誤り無く確実に判定することができるとともに、複数の回転角センサを備えている場合には、どのセンサ系に異常が生じているかをも検出判定することができるエンジンの制御装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係るエンジンの制御装置の一つは、基本的には、外周に多数の被検知部が所定の配列状態をもって設けられ、エンジンの回転部と一体的に回転せしめられるシグナルプレート、及び、該シグナルプレートの外周に近接配置された検知器からなり、該検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを含むパルス信号が得られるようにされた回転角センサと、該回転角センサから得られるパルス信号に基づいて、気筒判定や前記回転角センサ系の診断等を行う制御手段と、を備える。
そして、前記制御手段は、前記基準信号パルスAが到来する毎に、前記回転角センサからの信号パルス到来数のカウントを開始するとともに、前回の信号数カウント値をリセットし、前記信号数カウント値に基づいて前記回転角センサ系の異常の有無を判定するとともに、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの時間間隔が所定の時間閾値より大きく、かつ、バッテリ電圧が所定の電圧閾値より大きいとき、前記異常判定を禁止するようにされていることを特徴としている。
この場合、好ましい態様では、前記シグナルプレートの外周に、歯、突起、凹部、凸部、孔等からなる多数の第1の被検知部が等角度間隔で所定角度範囲にわたって配列された等間隔部と、少なくとも2個の前記第1の被検知部が前記等間隔部より大きな角度間隔で配列された不等間隔部とが設けられており、前記検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを出力するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、前記時間閾値及び前記電圧閾値を、前記エンジンの冷却水温に基づき補正するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの信号パルス到来数をカウントし、該信号数カウント値が所定値と不一致の場合、又は、今回の基準信号パルスA到来時点からの前記信号数カウント値が前記所定値に達しても次回の基準信号パルスAが到来しない場合、異常判定カウント値をカウントアップし、該異常判定カウンタ値が所定値より大きくなった場合に、前記回転角センサ系に異常が生じたと判定するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの時間間隔が前記所定の時間閾値より大きく、かつ、所定時間における前記バッテリ電圧の変化が所定値より大きいときは、前記異常判定カウント値をリセットするようにされる。
本発明に係るエンジンの制御装置の他の一つは、基本的には、外周に多数の被検知部が所定の配列状態をもって設けられ、エンジンの回転部と一体的に回転せしめられる第1のシグナルプレート、及び、該第1のシグナルプレートの外周に近接配置された第1の検知器からなり、該第1の検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを含むパルス信号が得られるようにされた第1の回転角センサと、外周に複数の被検知部が所定の配列状態をもって設けられ、エンジンの回転部と一体的に回転せしめられる第2のシグナルプレート、及び、該第2のシグナルプレートの外周に近接配置された第2の検知器からなり、該第2の検知器からは各気筒の所定行程における異なるクランク角度位置をあらわす信号パルスBを含む第2のパルス信号が得られるようにされた第2の回転角センサと、前記第1及び第2の回転角センサから得られる第1及び第2のパルス信号に基づいて、気筒判定や前記第1及び第2の回転角センサ系の診断等を行う制御手段と、を備える。
そして、前記制御手段は、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までにおける前記信号パルスBの到来パターンに基づいて、気筒判定を行うとともに、前記第2の回転角センサ系の異常の有無を判定するようにされていることを特徴としている。
この場合、好ましい態様では、前記第1のシグナルプレートの外周に、歯、突起、凹部、凸部、孔等からなる多数の第1の被検知部が等角度間隔で所定角度範囲にわたって配列された等間隔部と、少なくとも2個の前記第1の被検知部が前記等間隔部より大きな角度間隔で配列された不等間隔部とが設けられており、前記第1の検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを出力するようにされ、また、前記第2のシグナルプレートの外周には、歯、突起、凹部、凸部、孔等からなる複数の第2の被検知部が不等間隔で設けられており、前記第2の検知器から各気筒の所定行程における異なるクランク角度位置をあらわす信号パルスBを出力するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、前記基準信号パルスAが到来する毎に、前記第1の回転角センサからの信号パルス到来数のカウントを開始するとともに、前回の信号数カウント値をリセットし、前記信号数カウント値に基づいて前記第1の回転角センサ系の異常の有無を判定するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの信号パルス到来数をカウントし、該信号数カウント値が所定値と不一致の場合、又は、今回の基準信号パルスA到来時点からの前記信号数カウント値が前記所定値に達するまでの間に次回の基準信号パルスAが到来しない場合、第1の異常判定カウント値をカウントアップし、該第1の異常判定カウンタ値が所定値より大きくなった場合に、前記第1の回転角センサ系に異常が生じたと判定するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、前記第1の回転角センサ系が正常であると判定されているときのみ、前記第2の回転角センサ系の異常の有無を判定するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、前記信号パルスBの到来パターンが所定のパターンとは異なる場合、第2の異常判定カウント値をカウントアップし、該第2の異常判定カウンタ値が所定値より大きくなった場合に、前記第2の回転角センサ系に異常が生じたと判定するようにされる。
前記制御手段は、好ましくは、前記第2の回転角センサ系に異常が生じたと判定された場合、前記第1の回転角センサから得られるパルス信号に基づいて気筒判定を行うようにされる。
本発明に係るエンジンの制御装置では、回転角センサから基準信号パルスAが到来する毎に、回転角センサからの信号パルス到来数のカウントを開始するとともに、前回の信号数カウント値をリセットし、前記信号数カウント値に基づいて前記回転角センサ系の異常の有無を判定するとともに、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの時間間隔が所定の時間閾値より大きく、かつ、バッテリ電圧が所定の電圧閾値より大きいとき、前記異常判定を禁止するようにされているので、例えばエンジン停止直後の揺り返し等による逆回転発生時においても、カウント期間にずれが発生せず、そのため、回転角センサ系の異常の有無を誤り無く確実に判定することができる。
また、複数の回転角センサを備えている場合には、まず、一方の回転角センサ系の異常の有無を判定し、この一方の回転角センサ系が正常であると判定されているときのみ、他方の回転角センサ系の異常の有無を相関チェック法で判定するようにされるので、どのセンサ系に異常が生じているかをも正しく検出判定することができる。
以下、本発明のエンジンの制御装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るエンジンの制御装置の一実施形態を、それが適用された車載用V型6気筒エンジンと共に示す概略構成図である。
図1において、エンジン1は、6つの気筒(#1〜#6)が設けられたシリンダ1aと各気筒に摺動自在に嵌挿されたピストン1bとを備え、ピストン1b上方の燃焼室1cには、点火プラグ(イグニッションコイル14に接続)16が臨設されるとともに、吸気弁26及び排気弁27が設けられている。また、吸気系(吸気分岐管7aを含む吸気通路7)にはエアクリーナ31、吸入空気量を計測するエアフローセンサ2、吸入空気量を調整するスロットル弁5を備えたスロットルボディ4、スロットル弁5の開度を検出するスロットルセンサ6、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)3等が適宜に配置され、吸気分岐管7aには、電子制御式の燃料噴射弁8が設けられている。また、排気系には、空燃比センサ15や排気浄化用触媒コンバータ等が設けられている。
燃料タンク33の燃料は、燃料ポンプ32により吸い出され、燃料配管13を経てプレッシャーレギュレータ11で調圧されて前記燃料噴射弁8に導かれ、該燃料噴射弁8から吸気ポートに向けて噴射される。
また、エンジン1には、後で詳述するように、気筒判定に使用される第1の回転角センサであるクランク角センサ18、第2の回転角センサであるカム角センサ29、及びコントロールユニット100が備えられている。
コントロールユニット100には、エアフローセンサ2、スロットルセンサ6、空燃比センサ15、水温センサ17、クランク角センサ18、及びカム角センサ29等からの信号が入力され、コントロールユニット100は、それらの信号に基づいて、燃料噴射弁8による燃料噴射制御、点火プラグ16による点火時期の制御等を行うようになっている。
なお、図1において、符号21はバッテリー、符号22はコントロールユニット100に対するメインリレーを示している。
前記クランク角センサ18は、図16に概略図示されているように、クランク軸19と一体的に回転せしめられるクランク軸用シグナルプレート18A及び該シグナルプレート18Aの外周に近接配置されたクランク軸用検知器18Bからなる磁気式のものとされ、前記クランク軸用シグナルプレート18Aの外周部には、歯、突起、凹部、凸部、孔等(ここでは、矩形歯)からなる多数の被検知部18aが等角度間隔(ここでは、10°CA)で所定角度範囲にわたって配列された等間隔部と、少なくとも2個の前記被検知部18aが前記等間隔部より大きな角度間隔(ここでは、30°CA)で配列された不等間隔部(歯欠け部18z)とが、エンジン1の気筒数の1/2(ここでは、3)だけ設けられている(したがって、クランク軸19が2回転する間に前記歯欠け部18zをあらわす信号が6回到来する)。
前記クランク軸用検知器18Bは、前記被検知部18aがその真向かいを通過する毎に発生する磁界の変化をとらえ(被検知部を検知)、内部処理回路で信号としてのパルスを生成し、これをコントロールユニット100に供給する。したがって、前記クランク軸用検知器18B(クランク角センサ18)からは、図3及び図4に示される如くに、各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルス(REF信号)が得られる。
一方、前記カム角センサ29は、図17に概略図示されているように、カム軸28と一体的に回転せしめられるカム軸用シグナルプレート29A及び該シグナルプレート29Aの外周に近接配置されたカム軸用検知器29Bからなる磁気式のものとされ、前記カム軸用シグナルプレート29Aの外周部には歯、突起、凹部、凸部、孔等からなる7個の被検知部(ここでは、矩形歯29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g)が不等間隔(60°、30°、30°、30°、60°、30°、120°の間隔)で設けられている。前記カム軸用検知器29B(カム角センサ29)は、前記被検知部(矩形歯29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g)がその真向かいを通過する毎に発生する磁界の変化をとらえ(被検知部を検知)、内部処理回路で信号としてのパルスを生成し、これをコントロールユニット100に供給する。したがって、カム角センサ29からは、図3及び図4に示される如くに、各気筒の所定行程における異なるクランク角度位置をあらわす信号パルスが得られる。
図2は、コントロールユニット100の内部構成を示したものである。コントロールユニット100は、入力回路191、A/D変化部192、中央演算部193、ROM194、RAM195、及び出力回路196を含んだマイクロコンピュータを内蔵している。入力回路191は、入力信号190がアナログ信号の場合(例えば、水温センサ17、スロットルセンサ6等からの信号)、該信号からノイズ成分の除去等を行い、当該信号をA/D変換部192に出力するためのものである。中央演算部193は、A/D変換結果を取り込み、ROM194等の媒体に記憶された燃料噴射制御プログラムやその他の制御プログラムを実行することによって、前記各制御及び診断等を実行する機能を備えている。なお、演算結果、及び、前記A/D変換結果は、RAM195に一時保管されるとともに、該演算結果は、出力回路196を通じて制御信号197として出力され、燃料噴射弁8、点火コイル14等の制御に用いられる。
一方、クランク角センサ18、カム角センサ29からのパルス信号(High/Low信号)は、入力回路191を介して配線198により、中央演算部193へ送られる。中央演算部193では、クランク角センサ18、カム角センサ29からのパルス信号の電圧レベルが、HighからLowに変化したとき、つまり、図3及び図4のクランク角センサ信号及びカム角センサ信号の立下り部分が当該信号パルス到来時点として認識されるとともに、該タイミングで割り込み処理が行われる構成となっている。
図3及び図4は、本実施形態において気筒判定を行う際の各部の動作・状態、すなわち、各気筒(#1〜#6)の行程、クランク角センサ信号及びカム角センサ信号の発生(到来)状態、並びに、クランク角センサ信号とカム角センサ信号の発生(到来)位置関係からの気筒判定データのビットパターン生成状態を示している。
以下に、図3、図4を参照しながらクランク角センサ18(からのパルス信号)とカム角センサ29(からのパルス信号)が正常である場合の信号形態と本信号形態に基づく気筒判定について説明する。
まず、前記クランク角センサ18から得られる信号パルスの時間間隔を計測するとともに、それを順次、CRT3、CRT2、CRT1として記憶し、該記憶された時間間隔CRT3、CRT2、CRT1を用いて、下記の(式1)及び(式2)を演算し、(式1)及び(式2)の両方が成立したときは前記不等間隔部と判断し、(式1)及び(式2)の少なくとも一方が不成立のときは前記等間隔部であると判断することにより、前記不等間隔部と前記等間隔部の識別検出を行う。すなわち、CRT2/CRT1>α、かつ、CRT2/CRT3>βが成立した場合に、今回のクランク角センサ信号(歯欠け部が到来した直後の信号)をBTDC75°信号(REF信号)と認識する。また、このREF信号を認識後6回目に到来するクランク角センサ信号をBTDC15°信号(1/2REF信号)と認識する。
CRT2/CRT1>α・・・・(式1)
CRT2/CRT3>β・・・・(式2)
ただし、
CRT1 :最新の時間間隔
CRT2 :前回の時間間隔
CRT3 :前々回の時間間隔
α :一定値(例えば、2)
β :一定値(例えば、2)
次に、前記REF信号及び前記1/2REF信号認識時に、気筒判定データ(CYLJDG)のデータを左に1ビットシフトし、カム角センサ信号カウンタ(CAMCNT)の値を、CYLJDGのデータの下位ビットに反映し、その後、CAMCNTの値をクリアする。なお、CAMCNTは、カム角センサ信号発生時にカウントアップする。
このようにして算出されたCYLJDGのデータのビットパターンを、図5に示される如くの予め定められたビットパターンと一致しているか否かのチェックを行い、どの気筒のREF信号かを判別する。本判別により、1/2REF信号においても、どの気筒の1/2REF信号かが判定できる。本判定結果から、燃料を噴射すべき気筒、及び点火すべき気筒等を選択決定する。
また、前回のREF信号到来時点から今回のREF信号到来時点まで(今回のREF信号到来時点から次回のREF信号到来時点まで)の時間(TDATA)を計測し、エンジン回転数を算出する。
次に、コントロールユニット100が前記の如くの気筒判定を行う際に実行する処理(ルーチン)を図6、図7、図8、図9、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
図6は、クランク角センサ信号入力毎に行うルーチンであり、ステップ101で一回前のクランク角センサ信号(パルス)間の時間間隔(CRT2)と、二回前のクランク角センサ信号(パルス)間の時間間隔(CRT3)と、今回のクランク角センサ信号(パルス)間の時間間隔(CRT1)から、CRT2/CRT1>α、かつ、CRT2/CRT3>βが成立したか否かを判断する。成立した場合は、ステップ102へ進み、今回のクランク角センサ信号をREF信号と認識する。認識後、ステップ103へ進み、気筒判定用カウンタ(REFCNT)をクリアし、本ルーチンを終了する。成立しない場合は、ステップ104へ進み、REFCNTをカウントアップする。その後、ステップ105でREFCNTの値が6であるか否かを判断する。REFCNTが6であった場合、ステップ106へ進み、今回のクランク角センサ信号(パルス)を1/2REF信号と認識し、本ルーチンを終了する。REFCNTが6でない場合は、そのまま本フローを終了する。
図7は、クランク角センサ信号をREF信号及び1/2REF信号と認識した場合に実行するルーチンであり、まず、ステップ201で気筒判定データCYLJDGの値を1ビット左シフトする。その後、ステップ202へ進み、カム角センサ信号カウンタCAMCNTの値をCYLJDGの最下位ビットにセットし、ステップ203でCAMCNTの値をクリアし、本ルーチンを終了する。
図8は、クランク角センサ信号をREF信号と認識した場合で、特定気筒のREF信号の認識がなされていない場合に実行するルーチンである。ステップ301でCYLJDGの下位3ビットのパターンが1,0,1かどうかをチェックし、一致した場合は、ステップ302で第1気筒(#1)のREF信号と認識し、CYLCNTを0とする。パターンが一致しない場合は、ステップ303へ進み、パターンが0,0,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ304で第2気筒(#2)のREF信号と認識し、CYLCNTを5とする。パターンが一致しない場合は、ステップ305へ進み、パターンが1,0,0かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ306で第3気筒(#3)のREF信号と認識し、CYLCNTを4とする。パターンが一致しない場合は、ステップ307へ進み、パターンが0,1,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ308で第4気筒(#4)のREF信号と認識し、CYLCNTを3とする。パターンが一致しない場合は、ステップ309へ進み、パターンが1,1,0かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ310で第5気筒(#5)のREF信号と認識し、CYLCNTを2とする。パターンが一致しない場合は、ステップ311へ進み、パターンが1,1,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ312で第6気筒(#6)のREF信号と認識し、CYLCNTを1とする。
特定気筒のREF信号の認識後は、図9、図10に示されるルーチンを実行する。すなわち、ステップ401でCYLJDGの下位5ビットのパターンが0,0,1,0,1かどうかをチェックし、一致した場合は、ステップ402で第1気筒(#1)のREF信号と認識し、CYLCNTを0とする。パターンが一致しない場合は、ステップ403へ進み、パターンが1,0,0,0,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ404で第2気筒(#2)のREF信号と認識し、CYLCNTを5とする。パターンが一致しない場合は、ステップ405へ進み、パターンが0,1,1,0,0かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ406で第3気筒(#3)のREF信号と認識し、CYLCNTを4とする。パターンが一致しない場合は、ステップ407へ進み、パターンが1,1,0,1,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ408で第4気筒(#4)のREF信号と認識し、CYLCNTを3とする。パターンが一致しない場合は、ステップ409へ進み、パターンが1,1,1,1,0かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ410で第5気筒(#5)のREF信号と認識し、CYLCNTを2とする。パターンが一致しない場合は、ステップ411へ進み、パターンが1,0,1,1,1かどうかチェックし、一致した場合は、ステップ412で第6気筒(#6)のBTDC75°信号と認識し、CYLCNTを1とする。パターンが一致しない場合は、図10のステップ501へ進み、クランク角センサ系が異常かどうかチェックを行う。クランク角センサ系が異常でない場合、ステップ502へ進みCYLCNTが5かどうかチェックする。CYLCNTが5でない場合、ステップ503へ進みCYLCNTをカウントアップする。CYLCNTが5である場合、ステップ504へ進みCYLCNTを0とする。クランク角センサ系が異常の場合はステップ505へ進み気筒判定のやり直しを行う。以上から、特定気筒のREF信号の認識後は、クランク角センサ系が正常であれば、カム角センサ系異常で、上記ビットパターンが一致しなくても、次のREF信号は、どの気筒のREF信号か特定できるため、気筒判定を継続する。
次に、前記クランク角センサ18の診断について説明する。すなわち、REF信号到来(認識)毎に、前回のREF信号到来時点から今回のREF信号到来時点までのクランク角センサ18からの信号パルス到来数(今回のREF信号到来時点から次回のREF信号到来時点までのクランク角センサ18からの信号パルス到来数)をカウントし、このカウント値が所定値、すなわち正規の数(図3の例では10)であるかどうかを判断することによりクランク角センサ系の異常の有無を判定する(カウント値と正規の数とが不一致の場合はクランク角センサ系に異常が生じていると判定する)。また、今回のREF信号到来時点から前記カウント値が前記正規の数に達するまでの間に次回のREF信号が到来しない場合も、クランク角センサ系に異常が生じていると判定する。
なお、前記ようにパルス到来数が正規の数と一致しない場合や次回のREF信号が到来しない場合において、直ちにクランク角センサ系に異常が生じたとは判定せずに、異常判定カウント値(NGカウンタ)をカウントアップするようにして、該異常判定カウンタ値が所定値KNGP#(例えば、5)より大きくなった場合に、前記クランク角センサ系に異常が生じたと判定するようにしてもよい。
以下、詳細を図11のフローチャートを参照しながら説明する。本ルーチンは、クランク角センサ信号(パルス)入力毎に行われる。まず、ステップ601で初回のREF信号の認識が済んでいるか否かをチェックし、済んでいる場合は、ステップ602へ進み、今回入力のクランク角センサ信号が、REF信号であるかどうかをチェックする。REF信号である場合、ステップ603へ進み、クランク角センサ信号の数(REFCNT)が正規の数(ここでは、10)であるかどうかチェックする。正規の数である場合は、ステップ604へ進みREF信号間の時間間隔(TDATA)を算出して終了となる。
ステップ603で、REFCNTが10でないと判断された場合、ステップ605へ進み、クランク角センサ系のNGカウンタ(NGCNTP)のカウントアップ条件が成立しているかチェックする。成立している場合は、ステップ606へ進み異常判定カウント値NGCNTPをカウントアップする。ステップ607で、異常判定カウント値NGCNTPが所定値(KNGP#)以上かどうかチェックする。NGCNTPがKNGP#以上の場合は、ステップ608へ進みクランク角センサ系の異常と判定し、ステップ609へ進み、NGCNTPをクリアする。ステップ605でNGCNTPのカウントアップ条件が不成立の場合と、ステップ607でNGCNTPがKNGP#以上でない場合は、ステップ604へ進み、TDATAを算出して本フローを終了する。
また、ステップ602でクランク角センサ信号が、REF信号ではないと判断された場合は、ステップ610へ進み、クランク角センサ信号の数REFCNTが10かどうかチェックする。10の場合、つまり、REF信号でないのにクランク角センサ信号数が10となっている場合は、ステップ605へ進み、クランク角センサ系のNGカウンタ(NGCNTP)のカウントアップ条件が成立しているかチェックし、以降クランク角センサ系の異常判定ルーチンへ移る。10でない場合、通常のクランク角センサ信号入力であるため、何もせず本ルーチンを終了する。
次に、前記したステップ605のNGカウンタ(NGCNTP)のカウントアップ条件について詳細を以下に説明する。まず、上記したクランク角センサ系の異常の判定は、今回のREF信号到来時点から次のREF信号到来時点までのクランク角センサ信号(パルス)数をチェックするため、図13に示される如くに、エンジンの逆回転により、あるREF信号到来時点から次のREF信号を認識する前にREFCNTが10になってしまい、誤判定が発生するおそれがある。また、エンジン回転数が急激に低下した場合などは、クランク角センサ信号間の時間間隔が急激に大きくなり、REF信号の誤認識が発生し、その結果、REF信号間のREFCNTが10でなくなり、誤判定が発生するおそれがある。このような問題は、エンジン停止直前や直後等、低回転時に発生する傾向があるので、低回転時に上記異常判定を禁止する方法もあるが、始動時、つまりクランキング中は、異常の有無の判定を行い、エンジン始動不可時の原因確認に要する時間を短縮させたい。
そこで、本実施形態では、クランキング中以外の回転数の急激低下時は、異常判定を禁止することで対応する。具体的には、図14、図15に示される如くに、一般的にクランキング中のバッテリ電圧は通常時よりも低く、クランキング中のエンジン回転数もアイドル時の回転数よりも低いので、バッテリ電圧が所定の電圧閾値よりも大きく、かつ、エンジン回転数が所定の閾値より低いとき(前記した時間間隔TDATAが所定の時間閾値より大きいとき)に異常の有無の判定を禁止するようにされる。なお、エンジンの冷却水温により、クランキング中のバッテリ電圧及びクランキング回転数も変化するため、上記閾値は、エンジンの冷却水温に基づいて補正することがより好ましい。さらに、エンジン回転中にクランキングを繰り返した場合等、エンジン回転数が急激に変化する場合には誤判定を生じるおそれがあるので、クランキング開始時、つまり所定時間内におけるバッテリ電圧の変化が大きく、エンジン回転数が所定値より低いときに前記NGCNTPをリセットするほうがより好ましい。
最後に、前記カム角センサの診断について図12のフローチャートを参照しながら説明する。
本ルーチンは、REF信号認識毎に実行する。まず、ステップ701でクランク角センサ系に異常が生じているか否かを判断する。クランク角センサ系に異常が生じていない場合(正常の場合)は、ステップ702へ進み、気筒判定データCYLJDGの下位5ビットが正規パターンかどうかをチェックする。
正規パターンであれば、カム角センサ系も問題ない(正常である)と判断し、ステップ706へ進みカム角センサ系のNGカウンタ(NGCNTC)をクリアし、本ルーチンを終了する。それに対し、正規パターンでない場合、ステップ703へ進みNGCNTCをカウントアップする。ステップ704では、前記NGCNTCが所定値(KNGC#)以上かどうかをチェックし、所定値以上の場合はステップ705へ進み、カム角センサ系が異常であると判定し、続くステップ706でNGCNTCをリセット(=0)して本ルーチンを終了する。前記NGCNTCが所定値以上でない場合は、そのまま本ルーチンを終了する。ステップ701でクランク角センサ系が異常である場合は、カム角センサ系の異常の有無の判定を行わず、本ルーチンを終了する。これは、クランク角センサ系が異常の場合は、CYLJDGの下位5ビットのパターンが正規パターンでなくなる場合も考えられるため、カム角センサ系の異常の有無の判定を誤り無く確実に行うためである。
以上の如くに、本実施形態では、クランク角センサ18からREF信号が到来する毎に、クランク角センサ18からの信号パルス到来数のカウントを開始するとともに、前回の信号数カウント値をリセットし、前記信号数カウント値に基づいてクランク角センサ系の異常の有無を判定するとともに、今回のREF信号到来時点から次回のREF信号到来時点までの時間間隔が所定の時間閾値より大きく、かつ、バッテリ電圧が所定の電圧閾値より大きいとき、前記異常判定を禁止するようにされているので、例えばエンジン停止直後の揺り返し等による逆回転発生時においても、カウント期間にずれが発生せず、そのため、クランク角センサ系の異常の有無を誤り無く確実に判定することができる。
また、クランク角センサ18に加えてカム角センサ29を備えていることから、まず、クランク角センサ系の異常の有無を判定し、このクランク角センサ系が正常であると判定されているときのみ、カム角センサ系の異常の有無を相関チェック法で判定するようにされるので、どのセンサ系に異常が生じているかをも正しく検出判定することができる。
以上、本発明の一実施形態について、詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。
本発明に係るエンジンの制御装置の一実施形態を、それが適用された車載用V型6気筒エンジンと共に示す概略構成図。 コントロールユニットの内部構成図。 エンジンの各気筒の行程、クランク角センサ信号、カム角センサ信号等の関係を示す図(クランク角が0°〜330°の範囲)。 エンジンの各気筒の行程、クランク角センサ信号、カム角センサ信号等の関係を示す図(クランク角が330°〜720°の範囲)。 ビットパターンと各気筒の基準位置の関係を示す図 コントロールユニットが気筒判定を行う際に実行する一つのルーチンの例を示すフローチャート(その1)。 コントロールユニットが気筒判定を行う際に実行する一つのルーチンの例を示すフローチャート(その2)。 コントロールユニットが気筒判定を行う際に実行する一つのルーチンの例を示すフローチャート(その3)。 コントロールユニットが気筒判定を行う際に実行する一つのルーチンの例を示すフローチャート(その4)。 コントロールユニットが気筒判定を行う際に実行する一つのルーチンの例を示すフローチャート(その5)。 コントロールユニットがクランク角センサ系の異常の有無の判定を行う際に実行するルーチンの例を示すフローチャート。 コントロールユニットがカム角センサ系の異常判定を行う際に実行するルーチンの例を示すフローチャート。 クランク角センサ系の異常の有無の判定の説明に供される図。 通常時とクランキング中のバッテリ電圧を示す図。 アイドル時とクランキング中のエンジン回転数を示す図。 クランク角センサの構造を概略的に示す図。 カム角センサの構造を概略的に示す図。
符号の説明
1 ・・・エンジン
16 ・・・点火プラグ
18 ・・・クランク角センサ
18A・・・シグナルプレート
18B・・・検知器
29 ・・・カム角センサ
29A・・・シグナルプレート
29B・・・検知器
100・・・コントロールユニット
#1〜#6・・・気筒



Claims (10)

  1. 外周に多数の被検知部が所定の配列状態をもって設けられ、エンジンの回転部と一体的に回転せしめられるシグナルプレート、及び、該シグナルプレートの外周に近接配置された検知器からなり、該検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを含むパルス信号が得られるようにされた回転角センサと、該回転角センサから得られるパルス信号に基づいて、前記回転角センサ系の診断を行う制御手段と、を備えたエンジンの制御装置であって、
    前記制御手段は、
    前記基準信号パルスAが到来してから次の前記基準信号パルスAが到来するまでの間の期間において前記回転角センサから到来した信号パルス数をカウントし、
    そのカウント値に基づいて前記回転角センサ系の異常の有無を判定
    今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの時間間隔が所定の時間閾値より大きく、かつ、バッテリ電圧が所定の電圧閾値より大きいとき、前記異常判定を禁止することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 前記シグナルプレートの外周に、歯、突起、凹部、凸部、または孔からなる多数の第1の被検知部が等角度間隔で所定角度範囲にわたって配列された等間隔部と、少なくとも2個の前記第1の被検知部が前記等間隔部より大きな角度間隔で配列された不等間隔部とが設けられており、前記検知器から各気筒の所定行程における同一クランク角度位置をあらわす基準信号パルスAを出力するようにされていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記時間閾値及び前記電圧閾値を、前記エンジンの冷却水温に基づき補正すること特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記制御手段は、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの信号パルス到来数をカウントし、該信号数カウント値が所定値と不一致の場合、又は、今回の基準信号パルスA到来時点からの前記信号数カウント値が前記所定値に達しても次回の基準信号パルスAが到来しない場合、異常判定カウント値をカウントアップし、該異常判定カウンタ値が所定値より大きくなった場合に、前記回転角センサ系に異常が生じたと判定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記制御手段は、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までの時間間隔が前記所定の時間閾値より大きく、かつ、所定時間における前記バッテリ電圧の変化が所定値より大きいときは、前記異常判定カウント値をリセットすることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの制御装置。
  6. 外周に複数の被検知部が所定の配列状態をもって設けられ、エンジンの回転部と一体的に回転せしめられる第2のシグナルプレート、及び、該第2のシグナルプレートの外周に近接配置された第2の検知器からなり、該第2の検知器からは各気筒の所定行程における異なるクランク角度位置をあらわす信号パルスBを含む第2のパルス信号が得られるようにされた第2の回転角センサを備え、
    前記制御手段は、今回の基準信号パルスA到来時点から次回の基準信号パルスA到来時点までにおける前記信号パルスBの到来パターンに基づいて前記第2の回転角センサ系の異常の有無を判定するようにされていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記第2のシグナルプレートの外周には、歯、突起、凹部、凸部、または孔からなる複数の第2の被検知部が不等間隔で設けられており、前記第2の検知器から各気筒の所定行程における異なるクランク角度位置をあらわす信号パルスBを出力するようにされていることを特徴とする請求項6に記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記回転角センサ系が正常であると判定されているときのみ、前記第2の回転角センサ系の異常の有無を判定することを特徴とする請求項6に記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記信号パルスBの到来パターンが所定のパターンとは異なる場合、第2の異常判定カウント値をカウントアップし、該第2の異常判定カウンタ値が所定値より大きくなった場合に、前記第2の回転角センサ系に異常が生じたと判定することを特徴とする請求項6に記載のエンジンの制御装置。
  10. 前記制御手段は、前記第2の回転角センサ系に異常が生じたと判定された場合、前記回転角センサから得られるパルス信号に基づいて気筒判定を行うことを特徴とする請求項6に記載のエンジンの制御装置。
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