JP4450236B2 - ダイカスト鋳造方法及びダイカスト鋳造装置 - Google Patents
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本発明のダイカスト鋳造方法によれば、スプルコアをスプルブッシュの開口部に結合させることにより、型締めが完了する以前に、射出スリーブへの注湯が可能になる。これにより、型締め完了後、直ちに射出動作を開始することが可能になり、製造工程を大幅に合理化することができる。
本発明のダイカスト鋳造装置によれば、スプルコア駆動手段によってスプルコアを駆動してスプルブッシュに結合させ、射出スリーブ内に形成された溶融金属収容部に溶融金属を収容することにより、型締めに並行して射出スリーブへの注湯を行うことが可能になり、製造工程を大幅に合理化することができる。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(5)項の各々が、請求項1〜5の各々に相当する。
本項に記載のダイカスト鋳造方法は、製品が金型から取り出された後、所定のタイミングでスプルコアをスプルブッシュの開口部に結合させることにより、型系動作に並行して注湯系動作を行うことが可能になる。これにより、型締め完了後、直ちに射出動作を開始することが可能になり、製造工程を大幅に合理化することができる。従来、型締めが完了しないと、射出スリーブ内に注湯された溶融金属がスプルブッシュの開口部から流出してしまうことから、注湯を開始することができなかったが、スプルコアをスプルブッシュに結合し、射出スリーブの内部に溶融金属を収容可能な空間を形成することで、型締め完了以前に、射出スリーブへの注湯を開始することができるのである。
本項の態様において、スプルコアをスプルブッシュに結合させるタイミングは、例えば、スプレー装置(離型剤塗布用ノズル及びエアブロー用ノズルを備える装置)を、製品が取り出された後の固定型と可動型との相互間に進入させるタイミングであってもよいし、スプレー装置による金型の成形面への離型剤の塗布が完了したタイミングであってもよいし、或いは、スプレー装置によるエアブローが完了し、スプレー装置が固定型と可動型との相互間から退出するタイミングであってもよい。
本項に記載の態様では、注湯動作が完了し、時間的にまだ余裕がある場合、注湯に引き続き、型系動作に並行して射出遅延を行うことにより、型締め完了後、直ちに射出動作を開始することが可能になり、射出遅延に要していた時間だけサイクルタイムが短縮され、製造工程を合理化することができる。
本項に記載の態様では、射出遅延が完了し、時間的にまだ余裕がある場合、注湯及び射出遅延に引き続き、型系動作に並行してプランジャチップを微前進させておくことにより、射出動作に要していた時間だけサイクルタイムが短縮され、製造工程を合理化することができる。また、スプルコア上部からキャビティへ連通する通路より溶融金属が流出しない範囲でプランジャチップの前進が可能であるため、射出動作開始時の溶融金属収容部における溶融金属充填率(スプルブッシュ及び射出スリーブに占める溶融金属の割合)が高まり、その結果、溶融金属をキャビティ内へ圧入する際の空気の巻き込みを低減することが可能になり、内部品質が良好な鋳物製品を得ることができる。
溶融金属凝固後、金型の型開きが完了してからスプルコアをスプルブッシュから分離させると、スプルコアをスプルブッシュから分離させるのに要した時間だけサイクルタイムが延びてしまう。本項に記載の態様では、スプルコアとスプルブッシュとの分離動作を型開き動作に同期させることにより、これを回避する。
本項に記載のダイカスト鋳造装置は、スプルコア駆動手段によってスプルコアをスプルブッシュに結合させ、射出スリーブ内に溶融金属収容部を形成することにより、型締めが完了する以前に、射出スリーブへの注湯動作を開始することが可能になり、製造工程を大幅に合理化することができる。
本態様において、スプルコア駆動手段は、例えば、油圧シリンダからなる駆動部と、スプルコアを所定方向へ案内する案内部とによって構成される。ここで、スプルコア駆動手段は、必要に応じて、固定型、可動型、ダイカスト鋳造装置本体のいずれかに設けられる。また、駆動部は、油圧シリンダに限らず、例えば、電動モータとボールねじ軸との組み合わせであってもよい。特に、電動モータとしてサーボモータを用いた場合、スプルコアをスプルブッシュに対して高い精度で位置決めすることができる。また、案内部によるスプルコアの案内方向(結合/分離時にスプルコアが移動する方向)は、型開閉方向であってもよいし、或いは、スプルコアと固定型とが干渉(衝突)しない条件を満たせば、スプルコアを金型の型分割面に対して平行に移動させてもよい。さらに、型開閉方向と型開閉方向に直交する方向とを組み合わせてスプルコアを移動させてもよい。
本ダイカスト鋳造装置は、スプルコア1と可動型7とが別個に切離されて構成される。また、スプルコア1は、スプルコア駆動部2(スプルコア駆動手段)の駆動によって駆動され、係合部12がスプルブッシュ3の開口部3aに結合/分離される。そして、スプルコア1の係合部12がスプルブッシュ3の開口部3aに結合されることにより、射出スリーブ4内におけるプランジャチップ8と係合部12との相互間に溶融金属収容部5が形成される。
したがって、従来のダイカスト鋳造装置では、溶融金属がスプルブッシュ3の開口部3aから流出してしまうため、型締めが完了する以前に射出スリーブ4への注湯を開始することができなかったが、本ダイカスト鋳造装置では、スプルブッシュ3の係合部12をスプルブッシュ3の開口部3aに係合させることにより、型締めが完了する以前に、製品が金型から取り出されてから型締めが完了するまでの一連の型系動作に並行し、射出スリーブ4内への注湯を行うことが可能になり、型締め完了後、直ちに射出動作(プランジャチップ8前進)を開始することにより、注湯に要する時間が短縮され、ダイカストの製造工程を大幅に合理化することができる。
また、本ダイカスト鋳造装置は、製品が金型6,7から取り出されてから型締めが完了するまでの一連の型系動作に並行し、注湯及び射出遅延に引き続きプランジャチップ8が微前進されるので、射出動作に要する時間が短縮され、ダイカストの製造工程を合理化することができる。
また、本ダイカスト鋳造装置は、スプルコア1上部からキャビティへ連通する通路より溶融金属が流出しない範囲でプランジャチップ8の前進が可能であるため、射出動作開始時の溶融金属収容部5における溶融金属充填率(スプルブッシュ3及び射出スリーブ4に占める溶融金属の割合)が高まり、その結果、溶融金属をキャビティ内へ圧入する際の空気の巻き込みを低減することが可能になり、内部品質が良好な鋳物製品を得ることができる。
また、本ダイカスト鋳造装置は、可動型7の型開き動作に同期させてスプルコア1をスプルブッシュ3から分離させるので、スプルコア1をスプルブッシュ3から分離させる動作(スプルコア1の後退動作)が可動型7の型開き動作中に行われ、サイクルタイムが増加するのを回避することができる。
本実施形態では、スプルコア1をスプルブッシュ3に結合させるタイミング(プランジャチップ8を前進させるタイミング)を、スプレー装置のエアブローが完了するタイミングとしたが、例えば、スプレー装置が固定型6と可動型7との相互間から退出するタイミングであってもよし、不具合がなければ、スプレー装置を製品が取り出された後の固定型6と可動型7との相互間に進入させるタイミングであってもよい。
本実施形態では、スプルコア駆動部2の駆動源に油圧シリンダ13を用いたが、油圧シリンダ13の代わりに、例えば、電動モータとボールねじ軸とを組み合わせて用いてスプルコア駆動部2を構成してもよい。この場合、スプルコア1をスプルブッシュ3に対して高い精度で位置決めすることができる。
本実施形態では、スプルコア駆動部2を可動型7に設けたが、スプルコア駆動部2を固定型6、或いはダイカスト鋳造装置本体に設けてダイカスト鋳造装置を構成してもよい。さらに、本実施形態では、スプルコア駆動部2を可動型7の型分割面7aのスプルコア収容部10に配設したが、可能であれば、必要に応じて、可動型7の側面、或いは底面等であってもよい。
本実施形態では、スプルコア駆動部2によってスプルコア1が型開閉方向へ駆動されるが、例えば、スプルコア1がベース部11だけの平坦な形状である場合、スプルコア1を型分割面6a,7aに対して平行に駆動させてもよい。この場合、スプルコア1の係合部12(ベース部11に対して突出される部分)を廃止する。
Claims (5)
- 製品が金型から取り出されてから型締めが完了するまでの一連の型系動作に並行し、
スプルコアをスプルブッシュの開口部に結合させ、射出スリーブ内の前記スプルコアとプランジャチップとの相互間に注湯する注湯系動作が行われることを特徴とするダイカスト鋳造方法。 - 前記型系動作に並行し、前記注湯系動作の注湯完了後、射出遅延が行われることを特徴とする請求項1に記載のダイカスト鋳造方法。
- 前記型系動作に並行し、前記射出遅延後、プランジャチップが微前進されることを特徴とする請求項2に記載のダイカスト鋳造方法。
- スプルコアをスプルブッシュから分離させる動作を、金型の型開き動作に同期させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイカスト鋳造方法。
- 射出スリーブに注湯された溶融金属が金型のキャビティに圧入されるダイカスト鋳造装置であって、
円筒状に形成され固定型に設けられるスプルブッシュと、可動型と別個に設けられるスプルコアと、該スプルコアを駆動して前記スプルブッシュに結合/分離させるスプルコア駆動手段と、前記スプルコアが前記スプルブッシュに結合されることで射出スリーブ内に形成される溶融金属収容部と、を具備することを特徴とするダイカスト鋳造装置。
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