JP4450141B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内の前後の各空調ゾーンをそれぞれ独立に空調制御するとともに、前席空調ゾーンの右側および左側の各空調ゾーンをそれぞれ独立に空調制御する車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2000−52748号公報において、車室内の前後の各空調ゾーンをそれぞれ独立に空調制御する車両用空調装置が提案されている。この従来装置では、前席および後席空調ゾーンをそれぞれ別々に空調制御するようになっており、後席空調ゾーンの空調制御は前席空調ゾーンの空調制御とは無関係に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前席への吹出風のうちフェイス吹出口からのフェイス吹出風は前席空調ゾーンから後席空調ゾーンに流れやすいため、このフェイス吹出風は後席空調ゾーンの空調状態に大きな影響を与えることが本発明者らの実験により明らかになった。
【0004】
しかし、前記公報の従来装置では前席空調ゾーンの空調制御とは無関係に後席空調ゾーンの空調制御を行うので、後席空調ゾーンが受ける影響の度合を予測して後席空調ゾーンへの吹出風の温度を補正することができず、後席の乗員の空調フィーリングが損なわれる。
【0005】
そして、前後のみならず前席空調ゾーンの左右をもそれぞれ独立に空調制御する空調装置において、左右の空調ゾーンのそれぞれでフェイス吹出風の風量が異なる場合には、左右の各空調ゾーンが後席空調ゾーンに与える影響の度合が異なるため、単純に、前席空調ゾーンの空調状態に基づいて後席空調ゾーンへの吹出風の温度を補正しても、後席乗員の空調フィーリングを向上させることはできない。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、車室内の前後の各空調ゾーンをそれぞれ独立に空調制御するとともに、前席空調ゾーンの右側および左側の各空調ゾーンをそれぞれ独立に空調制御する車両用空調装置において、後席空調ゾーンの乗員の空調フィーリングを向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内(100)の前席空調ゾーン(101a、102a)と後席空調ゾーン(103a)とをそれぞれ独立に空調制御するとともに、乗員の上半身に空調風を吹き出すフェイスモード、前記乗員の足元に空調風を吹き出すフットモード、および前記乗員の上半身および足元に空調風を吹き出すバイレベルモードのうちいずれか1つの吹出口モードを実施する空調制御を、前記前席空調ゾーンの右側空調ゾーン(101a)と左側空調ゾーン(102a)とでそれぞれ独立して実行する車両用空調装置において、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記フェイスモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードおよび前記バイレベルモードのうちいずれか一方の吹出口モードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの前記乗員の上半身に向けて吹き出される吹出風の温度に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正し、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記バイレベルモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの前記乗員の上半身および足元に向けて吹き出される吹出風の温度に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正することを特徴とする。
【0008】
これにより、右側および左側空調ゾーン(101a、102a)への吹出風のうち後席空調ゾーン(103a)の空調状態への影響が大きい方の吹出風の温度に基づいて後席空調ゾーン(103a)を空調制御することとなるので、後席空調ゾーン(103a)の乗員の空調フィーリングを向上できる。
【0009】
例えば、右側空調ゾーン(101a)の吹出口モードが乗員の上半身のみに送風するフェイスモードであり、左側空調ゾーン(102a)の吹出口モードが乗員の上半身および足元の双方に送風するバイレベルモードである場合には、右側空調ゾーン(101a)のフェイス吹出風の方が左側空調ゾーン(102a)のフェイス吹出風より風量が多くなるため、右側空調ゾーン(101a)のフェイス吹出風の温度に基づいて、後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正することとなる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記右側、左側および後席空調ゾーン(101a、102a、103a)のそれぞれの温度を乗員が希望する設定温度(TsetDr、TsetPa、TsetRr)に設定するための温度設定手段(105、106、107)を備え、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記フェイスモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードおよび前記バイレベルモードのうちいずれか一方の吹出口モードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの設定温度(TsetDr)と、前記後席空調ゾーン(103a)の設定温度(TsetRr)との温度差に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正し、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記バイレベルモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの設定温度(TsetDr)と、前記後席空調ゾーン(103a)の設定温度(TsetRr)との温度差に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正することを特徴とする。
【0011】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1ないし図7は本発明の一実施形態を示したもので、車室内の前席(前側)空調ゾーンと後席(後側)空調ゾーンとをそれぞれ独立に空調制御するとともに、前席空調ゾーンの運転席側(右側)空調ゾーンと助手席側(左側)空調ゾーンとをそれぞれ独立に空調制御する車両用空調装置を示している。なお、本実施形態では、右ハンドル車にて説明するので、車室内のうち車両前席の右側が運転席側となり、車室内のうち車両前席の左側が助手席側となる。
【0013】
図1は、車室内100の各空調ゾーン101a、102a、103aの位置関係、および各空調ゾーン101a、102a、103aに対する空調空気の吹出口の配置を示す模式図である。符号100Dr、100Pa、100Rrはそれぞれ運転席101の乗員(運転者)、助手席102の乗員、後席103の乗員の上半身に向かって空調空気を吹き出すフェイス吹出口であり、それぞれ運転席側空調ゾーン101a、助手席側空調ゾーン102a、後席空調ゾーン103aに空調空気を吹き出すための吹出口である。
【0014】
図2は、本実施形態の車両用空調装置の全体構成を示す全体構成図であり、この空調装置は、運転席空調ゾーンおよび助手席空調ゾーン(以下、これらの空調ゾーンを前席空調ゾーンと呼ぶ)101a、102aをそれぞれ独立に空調するための前席用空調ユニット1と、後席空調ゾーン103aを空調するための後席用空調ユニット2とから構成されている。前席用空調ユニット1は計器盤104内側に配置されており、後席用空調ユニット2は車室内100の最後方に配置されている。
【0015】
前席用空調ユニット1は車室内100に空気を送るダクト10を備え、このダクト10内に空気流れ上流から下流に向かって次に示す構成部品を順次配置している。すなわち、ダクト10に開口する内気導入口10aおよび外気導入口10bを開閉して内気モードおよび外気モードを切り替える内外気切替ドア11、車室内100に向かう空気流を発生させるブロア12、図示しない冷凍サイクルの冷媒により空気を冷却するエバポレータ13、空気を加熱するヒータコア14、車室内100に吹き出す空気の温度を調節するエアミックスドア15、前席空調ゾーン101a、102aへの吹出口モードを切り替える吹出口切換ドア16を備える。
【0016】
そして、ダクト10内のうちエバポレータ13の下流部分には仕切り板17が備えられており、これによりダクト10内は運転席側フェイス吹出口100Drに空気を導く運転席側通路10cと助手席側フェイス吹出口100Paに空気を導く助手席側通路10dとに仕切られている。そして、前述のエアミックスドア15および吹出口切換ドア16は、両通路10c、10dのそれぞれに設けられている。
【0017】
なお、図2では、フット吹出口、デフロスタ吹出口を省略しているが、運転席側および助手席側通路10c、10dのそれぞれに各吹出口が開口しており、図示しない吹出口切換ドアにより開閉されるようになっている。そして、吹出口モードには、周知の如く、乗員の上半身のみに送風するフェイスモード、乗員の上半身および足元の双方に送風するバイレベルモード、乗員の足元のみに送風するフットモード、車両窓ガラスのみに送風するデフロスタモード、乗員の足元および窓ガラスの双方に送風するフットデフモード等がある。
【0018】
後席用空調ユニット2は車室内100に空気を送るダクト20を備え、このダクト20内に空気流れ上流から下流に向かって次に示す構成部品を順次配置している。すなわち、車室内100に向かう空気流を発生させるブロア22、図示しない冷凍サイクルの冷媒により空気を冷却するエバポレータ23、空気を加熱するヒータコア24、車室内100に吹き出す空気の温度を調節するエアミックスドア25、後席空調ゾーン103aへの吹出口モードを切り替える吹出口切換ドア26を備える。
【0019】
なお、図2では、フット吹出口、デフロスタ吹出口を省略しているが、ダクト20には各吹出口が開口しており、図示しない吹出口切換ドアにより開閉されるようになっている。また、ダクト20内には内気導入口20aからの内気のみが導入され、常に内気循環モードとなる。また、吹出口モードには、周知のフェイスモード、フットモード、バイレベルモードがある。
【0020】
そして、以上の構成による前席用空調ユニット1および後席用空調ユニット2の作動は、共通の空調制御装置(以下、エアコンECUと呼ぶ)3により制御されるようになっている。
【0021】
エアコンECU3への入力信号には、外気温度センサ31により検出される車室外の外気温度Tam、冷却水温度センサ32により検出されるエンジンの冷却水温度Tw、日射センサ33により検出される運転席側および助手席側の日射量TsDr、TsPa、前席用および後席用の内気温度センサ34、35により検出される前席および後席空調ゾーン101a、102a、103aの内気温度TrFr、TrRr、エバ後温度センサ36、37により検出される前席用および後席用のエバポレータ13、23直後の空気温度(以下、エバ後温度と呼ぶ)TeFr、TeRr、運転席101、助手席102および後席103の各乗員が、運転席側、助手席側および後席空調ゾーン101a、102a、103aの空気温度を希望する温度に設定するための温度設定手段105、106、107からの設定温度TsetDr、TsetPa、TsetRr等が挙げられる。
【0022】
一方、エアコンECU3は上記入力信号に基づいて所定の演算処理を行い、下記の各アクチュエータに制御信号を出力する。そして、エアコンECU3からの出力信号には、内外気切換ドア11を駆動させるサーボモータ11a、ブロア12、22を駆動させる駆動モータ12a、22a、前述の冷凍サイクルの冷媒を吸入、圧縮、吐出するコンプレッサの電磁クラッチ、エバポレータ13、23の冷媒流れ上流側にて冷媒流れを断続する電磁弁、エアミックスドア15、25を駆動させるサーボモータ15a、25a、吹出口切換ドア16、26を駆動させるサーボモータ16a、26aの作動を制御するための信号等が挙げられる。
【0023】
図3はエアコンECU3が実行するプログラムのフローチャートを示しており、以下にフローチャートの内容を説明する。
【0024】
先ず、データやフラグなどの初期化(リセット)を行う(ステップS1)。そして、温度設定手段105、106、107から設定温度TsetDr、TsetPa、TsetRrを読み込む(ステップS2)。そして、上述の各センサから、外気温度Tam、冷却水温度Tw、日射量TsDr、TsPa、内気温度TrFr、TrRr、エバ後温度TeFr、TeRrを読み込む(ステップS3)。
【0025】
次に、前席用空調ユニット1により運転席側および助手席側フェイス吹出口100Dr、100Paから吹き出される吹出風の空調制御値である運転席目標吹出温度TaoDr、助手席目標吹出温度TaoPaを算出する。また、後席用空調ユニット2により吹出口100Rrから吹き出される吹出風の後席目標吹出温度(空調制御値)TaoRrを算出する(ステップS4)。
【0026】
ここで、運転席および助手席目標吹出温度TaoDr、TaoPaは以下の数1の式に基づいて算出される。なお、後席目標吹出温度TaoRrについては図7のフローチャートを用いて後に詳述する。
【0027】
【数1】
Tao(i)=Kset(i)・Tset(i)−KrFr・TrFr−Kam・Tam−Ks(i)・Ts(i)+C+K(i)
但し、iはDrまたはPa、Ksetは温度設定ゲイン、Krは内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、Ksは日射ゲイン、Cは補正定数である。
【0028】
次に、上述のステップS4にて算出されたTaoDr、TaoPaに基づいて図4の特性図から前席用空調ユニット1の内外気モードを決定する(ステップS5)。なお、図4中、SW1は内外気切換ドア11の目標開度であり、本実施形態においては内気導入口10aを全閉し、外気導入口10bを全開する場合を目標開度SW1=100%とする。
【0029】
次に、上述のステップS4にて算出されたTaoDr、TaoPa、TaoRrに基づいて図5の特性図から前席用空調ユニット1の運転席側および助手席側の吹出口モードをそれぞれ決定するとともに、後席用空調ユニット2の吹出口モードを決定する(ステップS6)。
【0030】
次に、上述のステップS4にて算出されたTaoDr、TaoPa、TaoRrに基づいて図6の特性図から前席用および後席用空調ユニット1、2のブロア12、22の駆動モータ12a、22aに印加されるブロア電圧(V)をそれぞれ決定して、ブロア12、22に所定の風量を生じさせる(ステップS7)。なお、前席用空調ユニット1の駆動モータ12aへのブロア電圧は、TaoDr、TaoPaに基づいて図6の特性図によりそれぞれ決定されたブロア電圧を平均化処理することにより得られている。
【0031】
次に、上述のステップS4にて算出されたTaoDr、TaoPaに基づいて、前席用空調ユニット1のエアミックスドア15の目標開度θDr、θPaを次の数2の式により算出する。また、後席用空調ユニット2のエアミックスドア25の目標開度θRrをTaoRrに基づいて数3の式により算出する(ステップS8)。
【0032】
【数2】
θ(i)={(Tao(i)−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%)
但し、iはDrまたはPaである。
【0033】
【数3】
θRr={(TaoRr−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%)
次に、上述のステップS4〜ステップS8にて決定または算出された空調制御状態となるように、前述の各種出力モータ等の作動を制御する信号を出力する(ステップS9)。そして、所定の制御周期時間(t)が経過したか否かを判定する(ステップS10)。この判定結果がYESの場合にはステップS2にリターンされ、その判定結果がNOの場合には制御周期時間(t)の経過を待つ。
【0034】
次に、ステップS4におけるTaoRrの算出および補正の方法を図7のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
先ず、吹出口モードを自動で選定するオートモードおよび手動で選定する手動モードのうち、オートモードが選定されているか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果がYESの場合にはステップS42へ進み、NOの場合にはステップS48に進む。
【0036】
次に、運転席側空調ゾーン101aおよび助手席側空調ゾーン102aをそれぞれ独立に空調制御する左右独立モードと、両空調ゾーン101a、102aを同様に空調制御する左右同一モードとのうち、独立モードが選定されているか否かを判定する(ステップS42)。そして、独立モードである場合にはステップS43へ進み、左右同一モードである場合にはステップS48に進む。
【0037】
次に、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがフェイスモードであるか否かを判定する(ステップS43)。そして、フェイスモードである場合にはステップS47へ進み、フェイスモード以外の吹出口モードである場合にはステップS44に進む。
【0038】
次に、助手席側空調ゾーン102aの吹出口モードがフェイスモードであるか否かを判定する(ステップS44)。そして、フェイスモードである場合にはステップS49へ進み、フェイスモード以外の吹出口モードである場合にはステップS45に進む。
【0039】
次に、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがバイレベルモードであるか否かを判定する(ステップS45)。そして、バイレベルモードである場合にはステップS47へ進み、バイレベルモード以外の吹出口モードである場合にはステップS46に進む。
【0040】
次に、助手席側空調ゾーン102aの吹出口モードがバイレベルモードであるか否かを判定する(ステップS46)。バイレベルモードである場合にはステップS49へ進み、バイレベルモード以外の吹出口モードである場合にはステップS48に進む。
【0041】
そして、ステップS47では後席目標吹出温度TaoRrを運転席側空調ゾーン101aの空調状態に基づいて補正する。また、ステップS48では後席目標吹出温度TaoRrを、運転席および助手席空調ゾーン101a、102aの空調状態の平均値に基づいて補正する。また、ステップS49では後席目標吹出温度TaoRrを、助手席側空調ゾーン102aの空調状態に基づいて補正する。すなわち、運転席側および助手席側空調ゾーン101a、102aの各乗員の上半身に向けて吹き出される運転席側フェイス吹出風および助手席側フェイス吹出風のうち吹出風量の多い側のフェイス吹出風の温度に基づいて、後席目標吹出温度TaoRrを補正するようになっている。
【0042】
本実施形態では、ステップS47、S48、S49における後席目標吹出温度TaoRrの算出および補正を以下の数4の式に基づいて行う。
【0043】
【数4】
TaoRr=KsetRr・TsetRr−KrRr・TrRr−Kam・Tam−KsRr・(TsDr+TsPa)/2+C+f(j)
但し、KsetRrは後席用温度設定ゲイン、KrRrは後席用内気温ゲイン、Kamは外気温ゲイン、KsRrは後席用日射ゲイン、Cは補正定数、f(j)は前席空調ゾーン101a、102aの空調状態に応じた補正ゲインを決定する(後に詳述する)補正関数であり、変数jはステップS41〜S46の判定結果に応じて変化する変数である。そして、補正関数f(j)による補正は、後席空調ゾーン103aの空調状態が前席空調ゾーン101a、102aの空調状態から受ける影響を打ち消すための温度補正であり、補正関数f(j)は以下の数5の多項式によるものである。
【0044】
【数5】
f(j)=α(TsetRr−j)
但し、αは温度補正係数である。また、変数jは、ステップS48ではTsetDrおよびTsetPaの平均値((TsetDr+TsetPa)/2)とされ、ステップS47ではTsetDrとされ、ステップS49ではTsetPaとされている。
【0045】
以上により、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがフェイスモードである場合と、助手席側空調ゾーン102aの吹出口モードがフェイスモードでなく、かつ、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがバイレベルモードである場合とにおいては、後席目標吹出温度TaoRrはTsetDrに基づいて補正される(ステップS47)。
【0046】
また、運転席および助手席空調ゾーン101a、102aの吹出口モードがいずれもフットモードである場合においては、後席目標吹出温度TaoRrはTsetDrおよびTsetPaの平均値に基づいて補正される(ステップS48)。
【0047】
また、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがフェイスモードでなく、かつ、助手席側空調ゾーン102aの吹出口モードがフェイスモードである場合と、運転席側空調ゾーン101aの吹出口モードがフェイスモードでもなくバイレベルモードでもなく、かつ、助手席側空調ゾーン102aの吹出口モードがバイレベルモードである場合とにおいては、後席目標吹出温度TaoRrはTsetPaに基づいて補正される(ステップS49)。
【0048】
ところで、運転席側および助手席側フェイス吹出口100Dr、100Paからの吹出風の風量が多いほど後席空調ゾーン103aの空調状態への影響の度合が大きくなる。特に、フェイス吹出口100Dr、100Paのうち車両左右側方のサイドフェイス吹出口から吹き出される吹出風は、図1中の矢印に示すように、車室内の側壁を伝って後席空調ゾーン103aへ流入しやすいので、後席空調ゾーン103aの空調状態への影響の度合が大きい。
【0049】
従って、前席空調ゾーン101a、102aの吹出口モードがフェイスモードであるときが前記度合が最も大きくなり、次にバイレベルモード、フットモードの順で前記度合が小さくなる。
【0050】
よって、上記ステップS47、S49による後席目標吹出温度TaoRrの補正によれば、運転席側および助手席側空調ゾーン101a、102aへの吹出風のうち後席空調ゾーン103aの空調状態への影響が大きい方の吹出風の温度に基づいて後席空調ゾーン103aを空調制御することができるので、後席空調ゾーン103aの乗員の空調フィーリングを向上できる。
【0051】
因みに、本実施形態によれば、運転席側および助手席側空調ゾーン101a102aの吹出口モードが共にフェイスモードまたはバイレベルモードである場合には、前述のステップS47による補正を行うこととなり、助手席側の空調ゾーン102aよりも運転席側の空調ゾーン101aの空調状態を優先させて後席空調ゾーン103aを空調制御するようになっている。これは、運転席には必ず乗員が存在するためである。
【0052】
また、運転席側および助手席側空調ゾーン101a102aの吹出口モードが共にフットモードの場合には、前席空調ゾーン101a、102aへの吹出風による後席空調ゾーン103aの空調状態への影響は殆どないため、前述したようにステップS48による補正を行うようになっている。
【0053】
次に、上記構成による前席用空調ユニット1および後席用空調ユニット2の作動を簡単に説明する。
【0054】
初めに前席用空調ユニット1の作動を説明すると、ステップS5、S6、S7、S8による各決定に基づいて、内外気切換ドア11、運転席側および助手席側の各吹出口切換ドア16、ブロア12、運転席側および助手席側の各エアミックスドア15が駆動される。
【0055】
これにより、内気導入口10aおよび外気導入口10bからダクト10内に空気が導入される。ダクト10内を流れる空気は、エバポレータ13を通過する際に冷媒と熱交換して冷却される。ここで、エバ後温度TeFr、TeRrの検出値等に基づいてエアコンECU3によってコンプレッサの回転数を制御することにより、冷凍サイクル内を流れる冷媒の流量を制御して、エバポレータ13の冷却性能を調整している。エバポレータ13で冷却された空気は、ヒータコア14を通過する際にエンジン冷却水と熱交換して加熱される。そして、エアミックスドア15によってヒータコア14を通過する空気とヒータコア14を迂回する空気との割合が調節され、こうして所定の温度に左右独立して調整された空調空気が、運転席側および助手席側の各吹出口100Dr、100Paから吹き出される。
【0056】
次に後席用空調ユニット2の作動を説明すると、ステップS6、S7、S8による各決定に基づいて、各吹出口切換ドア26、ブロア22、エアミックスドア25が駆動される。そして、前席用空調ユニット1と同様の方法により調整された空調空気が後席側の吹出口100Rrから吹き出される。
【0057】
(他の実施形態)
上記実施形態では、前後2つに区画された空調ゾーンを独立して空調する空調装置に本発明を適用しているが、前後方向に複数列のシートを有する車両の空調装置に採用されているように、前後方向に複数に区画された空調ゾーンを独立して空調する空調装置に本発明を適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における空調空気の吹出口の配置を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態における車両用空調装置の全体構成を示す全体構成図である。
【図3】図2の空調装置におけるエアコンECUが実行するプログラムのフローチャートである。
【図4】図2の空調装置における目標吹出温度と内外気モードとの関係を表す特性図である。
【図5】図2の空調装置における目標吹出温度と吹出口モードとの関係を示す特性図である。
【図6】図2の空調装置における目標吹出温度とブロア電圧との関係を示す特性図である。
【図7】図2の空調装置における後席目標吹出温度の算出および補正の方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101a…、102a…、103a…後席空調ゾーン、
105、106、107…温度設定手段、
TsetDr…運転席側空調ゾーンの設定温度、
TsetPa…助手席側空調ゾーンの設定温度、
TsetRr…後席空調ゾーンの設定温度。
Claims (2)
- 車室内(100)の前席空調ゾーン(101a、102a)と後席空調ゾーン(103a)とをそれぞれ独立に空調制御するとともに、乗員の上半身に空調風を吹き出すフェイスモード、前記乗員の足元に空調風を吹き出すフットモード、および前記乗員の上半身および足元に空調風を吹き出すバイレベルモードのうちいずれか1つの吹出口モードを実施する空調制御を、前記前席空調ゾーンの右側空調ゾーン(101a)と左側空調ゾーン(102a)とでそれぞれ独立して実行する車両用空調装置において、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記フェイスモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードおよび前記バイレベルモードのうちいずれか一方の吹出口モードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの前記乗員の上半身に向けて吹き出される吹出風の温度に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正し、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記バイレベルモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの前記乗員の上半身および足元に向けて吹き出される吹出風の温度に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記右側、左側および後席空調ゾーン(101a、102a、103a)のそれぞれの温度を乗員が希望する設定温度(TsetDr、TsetPa、TsetRr)に設定するための温度設定手段(105、106、107)を備え、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記フェイスモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードおよび前記バイレベルモードのうちいずれか一方の吹出口モードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの設定温度(TsetDr)と、前記後席空調ゾーン(103a)の設定温度(TsetRr)との温度差に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正し、
前記右側および左側空調ゾーン(101a、102a)のうち一方の空調ゾーンで前記バイレベルモードが実施され、他方の空調ゾーンで前記フットモードが実施される場合には、前記一方の空調ゾーンの設定温度(TsetDr)と、前記後席空調ゾーン(103a)の設定温度(TsetRr)との温度差に基づいて、前記後席空調ゾーン(103a)への吹出風の温度を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
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