JP4449221B2 - シート、およびシートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強靱で、且つ伸張性、柔軟性を有し、成形加工性、耐候性、耐薬品性に優れ、表示、包装用に好適な多層シート、及び前記シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車、二輪車、モーターボート、スノーモービル、家電、電子機器等の成形体や外装板、内装材、建材、各種案内板、交通標識、屋内・屋外広告、看板、シャッター、ウインドウなどに、着色、装飾、表示を施したり、さらには、耐候性や、防汚性、各種耐性等、種々の表面機能を付与する際に、様々なプラスチックシートが使用されている。また、各種の物品の品質低下を防いだり、各機能を保護するための包装材料としても、様々なプラスチックシートが使用されている。
【0003】
多くの場合、これらのプラスチックシート用材料には、半硬質もしくは軟質の塩化ビニル樹脂が用いられている。しかし、半硬質もしくは軟質の塩化ビニル樹脂には、成形加工性、伸張性、柔軟性等の物性を付与するために、低分子量化合物、例えば、フタル酸系の可塑剤などが多量に添加されている。これらの可塑剤は移行性が大きいため、経時的に表面に移行して外観を損ねたり、被着体に移行して接着力を低下させたり、基材の膨張によるふくれ、しわを発生させたりするという問題を有している。また、可塑剤が表面や被着体に移行することにより、塩化ビニル樹脂の伸張性が失われ、成形加工時の状態が保持できなくなるという問題も有している。また、軟質の塩化ビニル樹脂は、硬度が低く、耐摩耗性、耐擦傷性に劣るという問題も有している。
【0004】
プラスチックシート用材料としては、その他に、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等が一般に知られている。しかし、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートは、強靱性は有しているが、伸張性に劣るため、シートにした場合、特に常温では成形加工しにくく、軟質化するためには塩化ビニル樹脂と同様に、低分子量の可塑剤を添加しなければならない。また、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンは、高分子量の場合には、顔料などの着色剤の分散性が低く、着色が困難となり、装飾性が著しく損なわれるという問題を有しており、低分子量の場合には、シートにした時の強靱性に劣るという問題を有している。
また、伸張性を有するプラスチックシート用材料としては、ウレタン樹脂などが知られているが、これは、強靱性に劣る、耐候性が低い等の問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、強靱で、且つ伸張性、柔軟性を有し、成形加工性、耐候性、耐薬品性に優れ、表示、包装用に好適な多層シート、及び前記シートの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、伸張性、柔軟性を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエン構造を、強靱性と高耐候性を有するビニル系重合体の側鎖に導入した樹脂と、顔料分散性に優れ、且つ伸張性、柔軟性を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンを混合し、強靱な主鎖骨格につながった柔軟な側鎖部分どうしを直接に、または、他の柔軟な成分を介して、ポリイソシアネートで三次元架橋させ、強靱な高分子鎖を柔軟な高分子鎖でつないだ形の網目構造を形成させた硬化樹脂層を、プラスチック基材上に形成させることにより、強靱で且つ伸張性、柔軟性を有し、成形加工性、耐候性、耐薬品性に優れ、着色も容易なシートを作成し得ることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を、プラスチック基材上に有する多層シートに関する。
【0008】
また、本発明は、重合体(A)が、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体である上記の多層シートに関する。
【0009】
また、本発明は、樹脂組成物が、更に着色剤を含む上記いずれかの多層シートに関する。
また、本発明は、片面または両面に粘着剤層を有する上記いずれかの多層シートに関する。
また、本発明は、プラスチック基材がポリオレフィンである上記いずれかの多層シートに関する。
【0010】
また、本発明は、プラスチック基材上に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物を塗布し、硬化させる多層シートの製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、剥離シート上に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物を塗布し、硬化させた後、プラスチック基材に積層する多層シートの製造方法に関する。
【0012】
【発明実施の形態】
本発明を構成する、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)は、シートに強靱性、伸張性、柔軟性、成形加工性、耐候性、耐薬品性を付与するために用いられる。重合体(A)とは、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体を重合させて得られるビニル系共重合体の主鎖に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖として導入した、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエングラフトビニル系重合体をいう。
イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および得られるシートの成形加工性の点で水酸基が好適である。
【0013】
側鎖の導入方法は、特に限定されることはないが、例えば、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)を合成し、共重合体(a)のカルボン酸、もしくは無水カルボン酸部分と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基とを縮合反応させることにより導入することができる。
【0014】
共重合体(a)の合成に使用可能な不飽和二塩基酸の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、ジフェニルメタン- ジ- γ- ケトクロトン酸等が挙げられる。
不飽和二塩基酸は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。また、共重合体(a)中の不飽和二塩基酸の割合は、好ましくは0.01〜30重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%である。不飽和二塩基酸の割合が30重量%を越える場合には得られる重合体(A)の安定性が低下し、0.01重量%未満の場合には最終的に得られるシートの伸張性、柔軟性が不充分となる。
【0015】
エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体としては、(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル単量体、オレフィン系炭化水素単量体、ビニルエーテル単量体等を用いることができる。他の単量体は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等の官能基を有していてもよい。
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
アミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
N−メチロール基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N−アルコキシメチル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−モノアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0018】
上記以外の(メタ)アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
オレフィン系炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1,4−ペンタジエン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体の例としては、ビニルメチルエーテルが挙げられる。 エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
共重合体(a)は、公知の方法、例えば、溶液重合で得ることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
合成時の単量体の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジt−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシド等を使用することができ、重合温度は、50〜200℃、特に70〜140℃が好ましい。
【0021】
共重合体(a)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜100,000である。共重合体(a)の重量平均分子量が500,000を越える場合には得られるシートの伸張性が低下し、5,000未満の場合には得られるシートの強靱性、耐薬品性が低くなる。
共重合体(a)のガラス転移温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは10〜100℃である。共重合体(a)のガラス転移温度が150℃を越える場合には得られるシートの伸張性が低下し、0℃未満の場合には得られるシートの耐薬品性、表面硬度が低下する。
【0022】
化合物(b)としては、例えば、直鎖の末端または分岐した末端に、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とをそれぞれ1個以上ずつ有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネイト、またはポリブタジエンを用いることができる。中でも、得られるシートの伸張性、強靱性のバランスおよび成形加工性の点からポリエステルが好適である。
化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基としては、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられるが、反応性および得られるシートの成形加工性の点で水酸基が好適である。また、化合物(b)のイソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および得られるシートの成形加工性の点で水酸基が好適である。化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とは、同一の官能基でも構わないし、異なる官能基でも構わない。
【0023】
ポリエステルとして具体的には、ジカルボン酸の少なくとも1種と、多価アルコール、多価フェノール、またはこれらのアルコキシ変性物等のポリオールの少なくとも1種とをエステル化して得られる末端水酸基含有エステル化合物、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、またはN−アルコキシメチル基に変性したエステル化合物などが挙げられる。
ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタル酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシ)安息香酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライ酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。
【0024】
多価アルコールの例としては、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0025】
多価フェノールの例としては、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ヘキシルレゾルシン、トリヒドロキシベンゼン、ジメチロールフェノール等が挙げられる。
市販品の水酸基を2個以上有するポリエステル(ポリエステルポリオール)としては、例えば、株式会社クラレ製のクラレポリオールP−510、P−1010、P−1510、P−2010、P−3010、P−4010、P−5010、P−6010、P−2011、P−2013、P−520、P−1020、P−2020、P−1012、P−2012、P−530、P−1030、P−2030、PMHC−2050、PMHC−2050R、PMHC−2070、PMHC−2090、PMSA−1000、PMSA−2000、PMSA−3000、PMSA−4000、F−2010、F−3010、N−2010、PNOA−1010、PNOA−2014、O−2010、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェン650MPA、651MPA/X、670、670BA、680X、680MPA、800、800MPA、850、1100、1140、1145、1150、1155、1200、1300X、1652、1700、1800、RD181、RD181X、C200、東洋紡績株式会社製のバイロン200、560、600、GK130、GK860、GK870、290、GK590、GK780、GK790等が挙げられる。
【0026】
また、ポリエーテルの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したエーテル化合物が挙げられる。市販の水酸基を2個以上有するポリエーテル(ポリエーテルポリオール)としては、例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェン250U、550U、1600U、1900U、1915U、1920D等が挙げられる。
【0027】
また、ポリカーボネートの例としては、下記一般式で表されるポリカーボネートジオール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したカーボネート化合物が挙げられる。
H−(O−R−OCO−)nR−OH
(R:アルキレン鎖、ジエチレングリコール等)
市販の水酸基を2個以上有するポリカーボネートとしては、例えば、株式会社クラレ製のクラレポリオールPNOC−1000、PNOC−2000、PMHC−2050、PMHC−2050R、PMHC−2070、PMHC−2070R、PMHC−2090R、C−2090等が挙げられる。
【0028】
また、ポリブタジエンの例としては、α,ω−ポリブタジエングリコール、α、β−ポリブタジエングリコール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したブタジエン化合物が挙げられる。市販の水酸基を2個以上有するポリブタジエンとしては、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB G−1000、G−2000、G−3000、GI−1000、GI−2000、GI−3000、GQ−1000、GQ−2000等が挙げられる。市販のエポキシ基を2個以上有するポリブタジエンとしては、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB BF−1000、EPB−13、EPB−1054等が挙げられる。
【0029】
化合物(b)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは500〜25,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。化合物(b)の重量平均分子量が25,000を越える場合には、溶剤への溶解性、共重合体(a)との相溶性、共重合体(a)との反応性が低下し、また得られるシートの強靱性が低下する。また、500未満の場合には、シートに充分な伸張性、柔軟性を付与することができない。
【0030】
重合体(A)は、共重合体(a)のカルボン酸、もしくは無水カルボン酸部分と、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基とを、公知の方法、例えば、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基が水酸基、エポキシ基の場合はエステル化、アミノ基の場合はアミド化、イソシアネート基の場合はイミド化して得ることができる。溶剤としては、共重合体(a)合成時の溶媒をそのまま用いることができ、更に、合成時の条件、塗工時の条件などに応じて、他の溶媒を加えたり、脱溶媒したりしても構わない。
反応触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどの3級アミンなどが用いられ、反応温度は、50〜300℃が好ましい。
【0031】
共重合体(a)と化合物(b)との反応比率は、共重合体(a)のカルボン酸、もしくは無水カルボン酸1モル等量に対して、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基が、0.2〜5モル等量となるのが好ましく、0.5〜2モル等量となるのが更に好ましい。化合物(b)の反応比率が5モル等量を越える場合には、樹脂組成物の塗工性、シートの強靱性が損なわれ、0.2未満の場合には、得られるシートの伸張性、柔軟性が低下する。
また、共重合体(a)、化合物(b)は、それぞれ1種類ずつを用いる必要はなく、目的、必要物性に応じて、それぞれ複数種を用いても構わない。
【0032】
重合体(A)が水酸基を有する場合、その水酸基価は、固形分換算で好ましくは1〜300KOHmg/g、更に好ましくは10〜100KOHmg/gである。重合体(A)の水酸基価が300KOHmg/gを越える場合には重合体(A)の保存安定性が低下し、1KOHmg/g未満の場合には得られるシートの強靱性、伸張性、耐薬品性が低くなる。
また、重合体(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜100,000である。重合体(A)の重量平均分子量が500,000を越える場合には、溶剤への溶解性、シートの伸張性が低下し、5,000未満の場合には、得られるシートの強靱性、耐薬品性が低下する。
【0033】
本発明を構成する、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)は、シートに柔軟性、伸張性を、樹脂組成物に顔料分散性を付与するために用いられる。また、化合物(B)は、重合体(A)の側鎖どうしをつなぎ、シートの架橋密度を増加させ、シートの強靱性、伸張性、柔軟性をより向上させるためにも用いられる。
化合物(B)は、例えば、直鎖の末端または分岐した末端にイソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネ−ト、またはポリブタジエンである。中でも、得られるシートの伸張性、強靱性のバランスおよび成形加工性の点からポリエステルが好適である。
【0034】
イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および得られるシートの成形加工性の点で水酸基が好適である。
また、イソシアネート基と反応可能な官能基数は、2個の場合と比べて少量で伸張性が得られ、塗膜の強靱性も損なわれないため、3個が特に好ましい。
【0035】
化合物(B)としては、上記化合物(b)と同様の化合物を用いることができる。
化合物(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは500〜25,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。化合物(B)の重量平均分子量が25,000を越える場合には、溶剤への溶解性が低下し、また得られるシートの伸張性が低下する。また、500未満の場合には、他の成分との相溶性が低下し、均一かつ平滑なシートの作成が困難となり、また得られるシートの強靱性が低下する。
化合物(B)は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。得られるシートを外装用途に用いる場合には、シートが経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
【0036】
重合体(A)と化合物(B)との混合比(重量比)は、好ましくは(A):(B)=99:1〜10:90、更に好ましくは(A):(B)=95:5〜30:70、特に好ましくは(A):(B)=95:5〜50:50である。重合体(A)の比率が上記範囲より多い場合には、顔料分散性、得られるシートの伸張性、柔軟性、成形加工性が低下し、上記範囲より少ない場合には、得られるシートの強靱性、耐薬品性が低くなる。
【0037】
本発明を構成する、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)は、重合体(A)と化合物(B)、重合体(A)と重合体(A)、化合物(B)と化合物(B)をそれぞれ架橋させ、強靱で且つ伸張性、柔軟性、成形加工性、耐薬品性を有するシートを形成するために用いられる。
得られるシートを外装用途に用いる場合には、シートが経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
【0038】
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、上記化合物とグリコール類またはジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を用いても構わない。
【0040】
特に、ポリイソシアネート化合物(C)がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、より強靱、且つ伸張性を有するシートを得ることができるため好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールン3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL−2、FL−3、FL−4、HL BA)が挙げられる。
【0041】
また、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、例えば、メタノール、エタノール、n−ペンタノール、エチレンクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、フェノール、p−ニトロフェノール、mクレゾール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ε- カプロラクタムなどのブロック剤と反応させてブロック化した、ブロック変性体を用いても構わない。
【0042】
更に、ポリイソシアネート化合物(C)として、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(c)と両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(d)とを反応させてなる、両末端イソシアネートプレポリマーを用いても構わない。化合物(C)が上記両末端イソシアネートプレポリマーを含む場合には、少量で伸張性が得られ、塗膜の強靱性も損なわれない。また、重合体(A)と化合物(B)の相溶性を向上させる効果も有している。
【0043】
化合物(c)としては、化合物(b)と同様の化合物を用いることができる。化合物(d)としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0044】
両末端イソシアネートプレポリマーは、化合物(c)のイソシアネート基と反応可能な官能基数1に対して、化合物(d)のイソシアネート基数が1より大きくなるような比率で化合物(c)と化合物(d)を混合し、加熱撹拌して反応させることにより得られる。プレポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1 ,000〜50,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。プレポリマーの重量平均分子量が50,000を越える場合には溶剤への溶解性、他成分との相溶性が低下し、1 ,000未満の場合には、得られるシートの強靱性、及び伸張性が不足する。
【0045】
ポリイソシアネート化合物(C)は、要求性能に応じて、重合体(A)の官能基と化合物(B)の官能基との総数に対して、イソシアネート基の総数が、好ましくは0.1倍〜5.0倍、更に好ましくは0.5倍〜3.0倍となるような比率で、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
なお、上記化合物(B)と化合物(C)とは、あらかじめ反応させて末端イソシアネートプレポリマーとしてもよい。この場合、樹脂組成物は、上記重合体(A)、及び化合物(B)と化合物(C)とを反応させてなる末端イソシアネートプレポリマーを含む組成物となる。
【0046】
本発明の樹脂組成物には、重合体(A)及び化合物(B)と化合物(C)との架橋反応を促進させるために、それぞれの官能基に応じて、種々の架橋触媒を含有させることができる。代表的な架橋触媒としては、有機金属化合物、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩、アミン類、有機過酸化物などが挙げられる。
有機金属化合物として具体的には、酢酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキシ)チタンなどが挙げられる。
【0047】
酸として具体的には、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸、p−トルエンスルホン酸、無水フタル酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸などが挙げられる。
アミン類として具体的には、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N' ,N' −テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミンなどが挙げられる。
【0048】
有機過酸化物としては、ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2-エチルヘキサノエート、t- ブチルペルオキシラウレートなどが挙げられる。
【0049】
これらの架橋触媒の中で、重合体(A)ないし化合物(B)の官能基が水酸基の場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。アミノ基の場合は、有機過酸化物、酸無水物、カルボン酸、酸化亜鉛−マグネシウムなどの使用が好ましい。カルボキシル基の場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。エポキシ基の場合は、有機金属化合物、アミン類などの使用が好ましい。N−メチロール基または、N−アルコキシメチル基の場合は、酸、そのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。
これらの架橋触媒は2種類以上使用してもよく、その総使用量は重合体(A)、化合物(B)及び化合物(C)の総量100重量%に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0050】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、本発明の効果を妨げない範囲で、顔料や染料等の各種の着色剤を含有させてもよい。
顔料としては、従来公知のものを用いることができるが、なかでも、耐光性、耐候性の高いものが好ましい。具体的には、例えば、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの金属塩、カーボンブラック、アルミニウム、雲母などの無機顔料、アルミニウムなどの金属微粉やマイカ微粉等が挙げられる。
染料としては、例えば、アゾ系、キノリン系、スチルベン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。
着色剤は、粉体をそのまま用いても構わないし、あらかじめ着色ペースト、着色ペレット等に加工してから用いても構わない。
【0051】
また、本発明の樹脂組成物には、シートの強度を上げるために、本発明の効果を妨げない範囲で、重合体(A)及び化合物(B)以外の各種の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。
かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリエステル等が挙げられる。
【0052】
重合体(A)及び化合物(B)以外の熱可塑性樹脂の添加量は、重合体(A)及び化合物(B)の合計重量の50重量%以下が好ましく、30重量%以下が更に好ましい。この上限を越えると、他成分との相溶性が低下する場合がある。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル補足剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、重合体(A)、化合物(B)、化合物(C)、必要に応じて着色剤、架橋触媒、添加剤、及び溶剤を混合して得られる。
溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
【0054】
混合方法に特に限定はないが、通常は、重合体(A)の重合時に得られる重合体溶液に、化合物(B)、化合物(C)及び他の成分を混合し、攪拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機などで攪拌すればよい。また、サンドミル、3本ロール、2本ロールなどを用いて混合してもよい。塗工性などの向上のために、さらに溶剤を追加したり、濃縮してもよい。
【0055】
また、着色剤、特に顔料を添加する場合は、まず、着色剤、分散樹脂、必要に応じて分散剤、及び溶剤を混合した顔料ペーストを作成した後、他の成分と混合するのが好ましい。分散樹脂としては、化合物(B)を用いるのが好ましいが、特に限定はなく、顔料分散性に優れた極性基、例えば水酸基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、アミド基、ケトン基等を有する、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。分散剤としては、例えば、顔料誘導体、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。また、金属キレート、樹脂コートなどにより、顔料表面の改質を行うこともできる。
【0056】
こうして得られた樹脂組成物をプラスチック基材上に塗布し、硬化して成膜させ、プラスチック基材上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を形成させてシートとすることができる。プラスチック基材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリエステル等を材料とするシート状、板状、ブロック状の基材が挙げられる。より優れた成形加工性を得るためには、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの基材が好ましい。
【0057】
また、本発明の樹脂組成物を剥離シート上に塗布し、硬化して成膜させた硬化樹脂層を、プラスチック基材に積層して、シートとすることもできる。剥離シートとしては、例えば、紙、またはポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロースアセテート等のプラスチックフィルムや、アルミ、ステンレスなどの金属箔等を用いることができ、厚みが10〜250μm のものが好適に使用される。
【0058】
塗布は、従来公知の方法、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式、バーコート方式等により行うことができる。樹脂組成物は、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよい。また、異なる方式を複数組み合わせてもよい。
樹脂組成物の塗布膜厚は、通常、10〜200μm 程度であるが、この範囲内に限定されるものではなく、用途、要求性能に適した膜厚となるように塗布すればよい。
樹脂組成物の硬化は、樹脂組成物の種類、剥離シート、プラスチック基材の種類、膜厚、及び用途に応じた温度、時間で行えばよく、通常、室温〜350℃で行われるが、硬化の効率化および生産性の向上の点から、30〜350℃で行うことが好ましい。
【0059】
上記方法で得られるシートの片面または両面には、必要に応じて、粘着剤層を設けることができる。その際、樹脂組成物の硬化物からなる層に被着した剥離シートは、そのままにしても、剥がしてもよいが、両面に粘着剤層を設ける場合には、剥離シートを剥がす。
粘着剤としては、例えば、一般的な天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム等を主成分とするゴム系粘着剤や、(メタ)アクリル酸エステル(C2〜C12)を主体にアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等の単量体を共重合した重合体を主成分とするアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤等を用いることができ、用途、被着体の材質に応じた適当な接着力を有する物を選択することができる。
【0060】
粘着剤層は、粘着剤の種類、塗工適性に応じ、従来公知の方法、例えば、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、バーコート方式等の種々の方式を利用して、プラスチック基材上または硬化樹脂層上に直接塗工して積層させてもよいし、一旦工程紙上に塗工した粘着剤をプラスチック基材上または硬化樹脂層上にラミネートして積層させてもよい。
【0061】
また、プラスチック基材には、硬化樹脂層、または必要に応じて積層する接着剤層との接着性を向上させる目的で、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、電子線照射処理、粗面化処理、オゾン処理等の表面処理、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のドライプレーティング処理が施されていてもよい。また、プラスチック基材には、基材、硬化樹脂層、粘着材層に応じ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを無水マレイン酸などの酸含有化合物で変性したもの、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ヒドラジン系化合物などにより変性したもの、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フォスファイトカップリング剤等のカップリング剤、水酸基を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂と多官能イソシアネート化合物とを組み合わせたもの、合成ゴム系化合物、ポリエチレンイミン等の少なくとも1種からなる接着層を1層、もしくは2層以上設けてもよい。
【0062】
更に、シートの硬化樹脂層上またはプラスチック基材上に、硬度、耐候性、防汚性などの表面機能の付与、向上を目的として、本発明の効果を妨げない範囲で、トップコート層を設けても構わない。トップコート層は、例えば、紫外線遮断効果のある透明フィルムのラミネートや、透明樹脂の塗工、さらには硬化型樹脂を塗工し熱や活性放射線により硬化させる等の方法で形成される。透明フィルム、透明樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0063】
こうして得られたシートは、自動車、二輪車、モーターボート、スノーモービル、家電、電子機器等の成形体や外装板、内装材、建材、各種案内板、交通標識、屋内・屋外広告、看板、シャッター、ウインドウなどの、各種装飾、着色、表示材料として、さらには、耐候性や、防汚性、各種耐性等の様々な表面機能を付与するシートとして、また、各種の物品の品質低下を防いだり、各機能を保護するための包装材料として使用される。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の部および%は、すべて重量部および重量%を示している。また、得られた重合体等のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー装置を用いて測定した。
【0065】
(合成例a1〜a8)
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す不飽和二塩基酸、エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体および溶媒を表1に示す配合比(重量比)に基づいて仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比の70%加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比(重量比)の15%加えてさらに2時間重合反応を行い、更にアゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比(重量比)の15%量を加えてさらに2時間重合反応を行い共重合体(a)の溶液を得た。得られた共重合体(a)の重量平均分子量、ガラス転移温度を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
MAH:無水マレイン酸 MA:メタクリル酸
FA :フマル酸 Tol :トルエン
ST:スチレン BuAc:酢酸ブチル
MMA:メチルメタクリレート AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
BMA:n-ブチルメタクリレート Mw:重量平均分子量
HA :ヘキシルアクリレート Tg:ガラス転移温度
【0068】
(合成例A1〜A14)
共重合体(a)を重合した後、共重合体(a)を重合したフラスコに、表2に示す化合物(b)を表2に示す配合比(固形分重量比)となるよう添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、トリエチルアミンを表2に示す配合比に基づいて加え、6時間加熱撹拌を行い、重合体(A)溶液を得た。得られた重合体(A)の重量平均分子量、水酸基価を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
P-3010:ポリエステルポリオール
(株式会社クラレ製「クラレポリオールP-3010」、Mw=3000 )
1900U :ポリエーテルポリオール
(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモフェン1900U 」、Mw=2000 )PM
HC-2050 :ポリカーボネートポリオール
(株式会社クラレ製「クラレポリオールPMHC-2050 」、Mw=2000 )
G-2000:ポリブタジエンポリオール
(日本曹達株式会社製「NISSO-PB G-2000」、Mw=2000 )
P-510 :ポリエステルポリオール
(株式会社クラレ製「クラレポリオールP-510 」、Mw=500)
GK870 :ポリエステルポリオール
(東洋紡績株式会社製「バイロン GK870」、Mw=10000〜15000 )
BF-1000 :エポキシ変性ポリブタジエン
(日本曹達株式会社製「NISSO-PB BF-1000 」、Mw=1000 )
TEA :トリエチルアミン
Mw:重量平均分子量
OHV :水酸基価
【0071】
(合成例C1)
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を2個以上有するポリエステル(株式会社クラレ製「クラレポリオールP−2010」)100部、イソホロンジイソシアネート22部、メチルエチルケトン(MEK)122部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温した後、1時間加熱撹拌を行い、重量平均分子量2500の両末端イソシアネートプレポリマーC1を得た。
【0072】
(実施例1〜33、比較例1〜3)
表3に示す重合体(A)、化合物(B)、化合物(C)、及び添加剤を、固形分換算で表3に示す割合となるように混合し、トルエン/酢酸ブチル=50/50(重量比)の混合溶媒で固形分濃度が60%となるよう希釈して樹脂組成物を作成した。
【0073】
【表3】
【0074】
NCO 当量:イソシアネート基総数/重合体(A)と化合物(B)の官能基総数F-3010:ポリエステルポリオール
(株式会社クラレ製「クラレポリオールF-3010」、Mw=3000 )
Z4470 :イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート
(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュール Z4470」)
N3300 :イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(住友バイエルウレタン株式会社製「スミジュール N3300」
HT:トリメチロールプロパンアダクト変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(住友バイエルウレタン株式会社製「スミジュール HT 」)
BL3175:ブロック変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュール BL3175 」)
触媒:エステルアミン
(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモラピッPP」)
樹脂:アクリル系樹脂(大成化工株式会社製「アクリット1422TM」)
赤:赤色顔料(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製
「シンカシア マゼンタ BRT343D」)
黒:カーボンブラック顔料(デグサ社製「プリンテックス85」)
白:酸化チタン顔料(石原産業株式会社製「タイペーク CR97 」)
【0075】
得られた樹脂組成物を、膜厚60μm のポリプロピレンシート(出光石油株式会社製「ピュアソフティ」)上に、コンマコーターを用いて、乾燥時の膜厚が約30〜50μm となるように塗布し、80℃のガスオーブン中で2分間加熱して乾燥、硬化させ、シートを作成した。乾燥、硬化後の膜厚を表4に示す。
得られたシートについて、各種の試験を行った。試験方法、及び評価方法は以下の通りである。試験結果を表4に示す。
【0076】
塗工性試験:硬化樹脂層の表面平滑性を目視にて、表面のべたつきを指触覚にて、5段階(5:優、4:良、3:可、2:不良、1:著しく不良)で評価した。
引張強度試験:シートから、幅1cm×長さ5cmの試験片を切り抜き、引張試験機(不動工業株式会社製「REO METER NRM−2010J−CW」)に取り付け、レンジ10kg、速度30cm/分の条件で引っ張り、試験片の破断に至るまでの最大荷重と試験片の断面積から引張強度(破断応力×レンジ/サンプルの断面積)を測定し、5段階(5:400kg/cm2以上、4:300kg/cm2以上400kg/cm2未満、3:200kg/cm2以上300kg/cm2未満、2:100kg/cm2以上200kg/cm2未満、1:100kg/cm2未満)で評価した。
【0077】
伸張性試験:引張強度試験と同様の方法で試験を行い、試験片が破断に至るまでの伸張率を測定し、5段階(伸張前を0%として、5:200%以上、4:150%以上200%未満、3:100%以上150%未満、2:50%以上100%未満、1:50%未満)で評価した。
引裂強度試験:シートから、JIS K6301 引裂B型で試験片を打ち抜き、引張試験機(不動工業株式会社製「REO METER NRM−2010J−CW」)に取り付け、レンジ10kg、速度30cm/分の条件で引っ張り、試験片の引裂時の最大荷重から引裂強度(破断応力×レンジ)を測定し、5段階(5:400g以上、4:300g以上400g未満、3:200g以上300g未満、2:100g以上200g未満、1:100g未満)で評価した。
【0078】
成形加工性試験1:JIS Z2247 に準拠したエリクセン試験A方法で、シートに10mm押し付けたときの、シートの外観上の変化を目視にて5段階(5:変化無し、4:僅かに変化有り、3:変化有り、2:劣化、1:著しく劣化)で評価した。
成形加工性試験2:カッティング試験機(ローランド社製「CM24」)を用いて、シートを各種パターンの形状にカッティングし、カッティングの精度を目視にて5段階(5:優、4:良、3:可、2:不良、1:著しく不良)で評価した。
【0079】
密着性試験:樹脂組成物硬化剤面を、JIS K5400 6.15碁盤目試験に準拠した方法で、碁盤目状にカットした。カットの切削を行った面上に、接着テープ(幅24mm、ニチバン製「セロテープLパック24」)を、気泡を含まないように指先で均一に圧着し、接着テープの一方の端を持ち、塗膜に対して上方45°の角度で急激に引っ張って剥がした。この時、ポリプロピレンシート基材上から50%以上剥離したものの数を測定し、5段階(剥離した数が、5:0/100〜20/100、4:21/100〜40/100、3:41/100〜60/100、2:61/100〜80/100、1:81/100〜100/100)で評価した。
促進耐候性試験:JIS B7750規定の紫外線カーボンアーク燈式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製)で、JIS K5400 6.17に準拠した試験を行い、1000時間経過後の外観の変化を目視にて5段階(5:変化無し、4:僅かに変化有り、3:変化有り、2:劣化、1:著しく劣化)で評価した。
【0080】
耐薬品性試験:下記の薬品を、下記の条件で浸漬した後の外観上の変化を目視にて5段階(5:変化無し、4:僅かに変化有り、3:変化有り、2:劣化、1:著しく劣化)で評価した。
番号 薬品 条件
1 沸騰水 98℃沸騰水中に5分間浸漬
2 イソプロピルアルコール 標準状態下で1時間浸漬
3 キシレン 標準状態下で1時間浸漬
4 ガソリン 標準状態下で1時間浸漬
5 5%食塩水 標準状態下で240時間浸漬
6 5%硫酸水溶液 標準状態下で7時間浸漬
7 5%水酸化ナトリウム水溶液 標準状態下で7時間浸漬
【0081】
(実施例34)
粘着剤溶液(2液硬化型アクリル系粘着剤/硬化剤=100/8.7)を、膜厚100μm の剥離シート(カイト化学株式会社製「TSM−110K」)上に、コンマコーターを用いて、乾燥時の膜厚が約10〜20μm となるように塗布し、80℃のガスオーブン中で2分間加熱して乾燥、硬化させ粘着剤シートを作成した。作成した粘着剤シートと実施例1で作成したシートをそれぞれ、粘着剤塗布面と硬化樹脂層面とを貼り合わせるかたちでラミネート接着して、粘着シートを作成した。得られた粘着シートについて、実施例1と同様の試験を行った。試験結果を表4に示す。
【0082】
(実施例35〜36)
下記のアンカーコート剤(固形分濃度20%)を、膜厚60μm のポリプロピレンシート(出光石油株式会社製「ピュアソフティ」)上に、バーコーター(R.D.specialties,U.S.A.ラボラトリー・コーティング・ロッド No.10)を用いて、乾燥時の膜厚が約5〜10μm となるように塗布し、下記の条件で乾燥、硬化させた上に、実施例1と同様の樹脂組成物を、コンマコーターを用いて、乾燥時の膜厚が約30〜50μm となるように塗布し、80℃のガスオーブン中で2分間加熱して乾燥、硬化させ、シートを作成した。乾燥、硬化後の膜厚を表4に示す。
【0083】
(実施例37〜39)
実施例1で作成したシートの硬化樹脂層上に、下記のトップコートを下記の方法で積層してシートを作成し、実施例1と同様の試験を行った。試験結果を表4に示す。
* PET :ポリエチレンテレフタレート
* MMA :メチルメタクリレート、HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
* Mw:重量平均分子量
* UF-1003LN :共栄社化学株式会社製ウレタンアクリレート
* イルガキュア6907:チバスペシャリティケミカルズ株式会社製光重合開始剤
【0084】
(比較例4〜6)
膜厚80μmの軟質ポリ塩化ビニルシート(比較例4)、膜厚80μmのポリエチレンテレフタレートシート(比較例5)、膜厚80μmのポリプロピレンシート(比較例6)について、実施例1と同様の試験を行った。試験結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】
【発明の効果】
本発明により、強靱で、且つ伸張性、柔軟性を有し、成形加工性、耐候性、耐薬品性に優れ、表示、包装用に好適な多層シートを得ることができた。
Claims (7)
- イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を、プラスチック基材上に有する多層シート。
- 重合体(A)が、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体である請求項1記載の多層シート。
- 樹脂組成物が、更に着色剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の多層シート。
- 片面または両面に粘着剤層を有する請求項1ないし3いずれか記載の多層シート。
- プラスチック基材がポリオレフィンであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の多層シート。
- プラスチック基材上に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物を塗布し、硬化させることを特徴とする多層シートの製造方法。
- 剥離シート上に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(B)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む樹脂組成物を塗布し、硬化させた後、プラスチック基材に積層することを特徴とする多層シートの製造方法。
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