JP4447331B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スリットノズルによって基板の主面に処理液を塗布する技術に関する。より詳しくは、塗布を開始する前に、スリットノズルと基板との間に、予め適切な液溜まりを効率よく形成する技術に関する。
直線状のスリットが設けられたスリットノズルからレジスト液などの処理液を吐出しつつ、基板の主面に沿ってスリットノズルを移動させることによって走査して、基板の主面にレジスト液の膜を形成する基板処理装置(スリットコータ)が知られている。
スリットコータでは、スリットノズルにレジスト液の供給を開始することによって、スリットノズルからレジスト液の吐出が開始される。しかし、スリットノズルによる走査を開始する瞬間に、スリットノズルへの供給を開始すると、応答遅延などにより塗布開始位置付近におけるレジスト液の膜が不完全に形成されるという問題があった。
そこで従来より、スリットコータでは、塗布開始端部における塗布精度を向上させるために、スリットノズルによる走査を開始する前に、予めレジスト液をスリットノズルに供給し、スリットノズルの先端にレジスト液の液溜まり(メニスカス)を形成する技術が提案されている。このようなスリットコータに関する技術が、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載されている基板処理装置では、スリットノズルによる走査を開始する前に、スリットノズルを基板に近接させて、レジスト液の吐出を開始する。そして、一定時間だけスリットノズルを基板に対して停止させておくことにより液溜まりを形成する。すなわち、レジスト液の吐出を開始してから一定時間が経過した時点でスリットノズルによる走査を開始する。
特開平8−229497号公報
図23は、特許文献1に記載されている基板処理装置において、スリットノズルSNの先端部に形成されるレジスト液Rの液溜まりの様子を示す概略図である。図24は、図23に示す状態のスリットノズルSNによって走査を開始した場合に、基板91上に形成されるレジスト液Rの膜の状態を示す概略図である。
スリットノズルSNから吐出されるレジスト液Rは、吐出された直後では、図23に示すように、スリットノズルSNの長手方向の加工不均一性などに起因して、略球状の液溜まりを形成する。ところが、特許文献1に記載されている基板処理装置では、このような状態で、スリットノズルSNによる走査を開始すると、図24に示すように、レジスト液Rの膜が塗布開始端部が不均一になるという問題があった。
このような問題を解決するためには、例えば、スリットノズルSNによる走査を開始するタイミングを遅らせることも考えられる。図25は、スリットノズルSNによる走査開始を比較的遅らせた場合のスリットノズルSNの先端部に形成されるレジスト液Rの液溜まりの様子を示す概略図である。この場合、最初略球状に形成された液溜まりは、さらなるレジスト液Rの吐出により、互いに十分に接触する。しかし、レジスト液Rの吐出量が多くなるため、余分なレジスト液RがスリットノズルSNの先端部側面に沿って上昇し、当該側面に付着する。このような状態のスリットノズルSNによって塗布処理を行うと、レジスト液Rの膜厚が不均一になり、塗布ムラが発生するという問題がある。
また、特許文献1に記載されている基板処理装置では、スリットノズルを基板に近接させた状態からレジスト液の液溜まりを形成するため、液溜まり形成に要する時間だけ処理時間が長くなるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、塗布開始位置におけるレジスト液の膜の不均一さを防止するために、効率よく適切な液溜まりを形成することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理装置であって、基板を保持する保持台と、先端に設けられたスリット状の吐出口から前記保持台に保持された前記基板の主面に、前記所定の処理液を吐出するスリットノズルと、前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する処理液供給手段と、前記基板の主面に沿って前記スリットノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが近接する近接位置にある状態で、前記処理液供給手段に前記所定の処理液の供給を行わせ、その後、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に前記所定の処理液の液溜まりを形成する液溜まり形成手段と、前記液溜まり形成手段により前記液溜まりが形成された後、前記処理液供給手段による供給を再開させつつ前記ノズル移動手段によって前記基板と前記スリットノズルとを相対的に移動させるように制御する塗布制御手段とを備え、前記処理液供給手段が、前記スリットノズルに向けて前記所定の処理液を送液するポンプと、前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開閉するバルブとを備え、前記塗布制御手段は、前記所定の処理液の供給を開始させる前に予め前記ポンプの駆動を開始させた後、前記所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて前記バルブが前記流路を開放状態とするように前記処理液供給手段を制御する
また、請求項2の発明は、基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理装置であって、基板を保持する保持台と、先端に設けられたスリット状の吐出口から前記保持台に保持された前記基板の主面に、前記所定の処理液を吐出するスリットノズルと、前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する処理液供給手段と、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間隔を相対的に変更する変更手段と、前記基板の主面に沿って前記スリットノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが離間する離間位置にある状態で、前記処理液供給手段を駆動して前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給し、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に前記所定の処理液の液溜まりを形成する液溜まり形成手段と、前記液溜まり形成手段により前記液溜まりが形成された後に、前記変更手段を制御することにより、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが近接する近接位置にある状態とするとともに、前記処理液供給手段により前記所定の処理液を供給させつつ前記ノズル移動手段により前記基板と前記スリットノズルとを相対的に移動させるように前記処理液供給手段および前記ノズル移動手段を制御する塗布制御手段とを備え、前記処理液供給手段が、前記スリットノズルに向けて前記所定の処理液を送液するポンプと、前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開閉するバルブとを備え、前記塗布制御手段は、前記所定の処理液の供給を開始させる前に予め前記ポンプの駆動を開始させた後、前記所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて前記バルブが前記流路を開放状態とするように前記処理液供給手段を制御する
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理装置であって、前記液溜まり形成手段は、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を開始し、その後、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、前記液溜まりを形成する。
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記液溜まり形成手段は、前記処理液供給手段からの出力に基づいて、前記処理液供給手段から供給される前記所定の処理液の量が第1吐出量となるように、前記処理液供給手段を制御し、前記第1吐出量は、前記スリットノズルが前記近接位置にある状態において、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に形成される隙間空間の体積と略同一体積以下とされる。
また、請求項の発明は、請求項1ないしのいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記塗布制御手段は、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給が行われている状態で、前記ノズル移動手段による前記スリットノズルの移動を開始させる。
また、請求項の発明は、請求項1ないしのいずれかの発明に係る基板処理装置であって、前記塗布制御手段は、前記ノズル移動手段による前記スリットノズルの移動を開始した後に、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給加速度を低加速度状態から高加速度状態に変更する。
また、請求項の発明は、基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理方法であって、基板を保持する保持工程と、前記保持工程において保持された前記基板の主面に対して前記所定の処理液を吐出するスリットノズルに、前記所定の処理液を供給した後、一旦、前記所定の処理液の供給を停止することにより、前記スリットノズルの先端に前記所定の処理液の液溜まりを形成する形成工程と、前記形成工程によって前記液溜まりが形成された後に、前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する供給工程と、前記保持工程において保持された前記基板と前記スリットノズルとを前記基板の主面に沿う方向に相対的に移動させる移動工程とを有し、前記供給工程が、ポンプを駆動させる駆動工程と、前記駆動工程による前記ポンプの駆動が開始された後、前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開放する開放工程と、前記開放工程によって開放された前記流路を閉鎖する閉鎖工程とをさらに有する。
また、請求項の発明は、請求項の発明に係る基板処理方法であって、前記移動工程は、前記供給工程によって前記所定の処理液の供給を開始した後に、前記基板と前記スリットノズルとの相対的な移動を開始する。
また、請求項の発明は、請求項またはの発明に係る基板処理方法であって、前記供給工程が、前記移動工程が実行されていることにより前記基板と前記スリットノズルとが相対的に移動している状態で、前記所定の処理液の供給加速度を高加速度状態に変更する変更工程を有する。
請求項1に記載の発明では、基板の主面とスリットノズルの先端とが近接する近接位置にある状態で、処理液供給手段に所定の処理液の供給を行わせ、その後、処理液供給手段による所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、基板の主面とスリットノズルの先端との間に所定の処理液の液溜まりを形成することにより、形成される液溜まりが不均一になることを防止できる。したがって、塗布精度を向上させることができる。
さらに、請求項1に記載の発明では、所定の処理液の供給を開始させる前に予めポンプの駆動を開始させた後、所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて処理液の流路を開放状態とするように制御することにより、予めポンプに吐出圧を加えておくことができ、短時間でポンプを定常状態にすることができる。
請求項2に記載の発明では、基板の主面とスリットノズルの先端とが離間する離間位置にある状態で、処理液供給手段を駆動してスリットノズルに所定の処理液を供給し、基板の主面とスリットノズルの先端との間に所定の処理液の液溜まりを形成しておくことにより、近接位置に移動してから液溜まりを形成する場合に比べて、液溜まりを効率よく形成できる。したがって、タクト時間を短縮できる。
さらに、請求項2に記載の発明では、所定の処理液の供給を開始させる前に予めポンプの駆動を開始させた後、所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて処理液の流路を開放状態とするように制御することにより、予めポンプに吐出圧を加えておくことができ、短時間でポンプを定常状態にすることができる。
請求項3ないしに記載の発明では、処理液供給手段による所定の処理液の供給を開始し、その後、処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、液溜まりを形成することにより、形成される液溜まりが不均一になることを防止できる。したがって、塗布精度を向上させることができる。
請求項に記載の発明では、処理液供給手段からの出力に基づいて、処理液供給手段から供給される所定の処理液の量が第1吐出量となるように処理液供給手段を制御するところ、第1吐出量は、スリットノズルが近接位置にある状態において、基板の主面とスリットノズルの先端との間に形成される隙間空間の体積と略同一体積以下とされることにより、スリットノズルの先端部側面に処理液が付着することを防止することができる。
請求項およびに記載の発明では、所定の処理液の供給が行われている状態で、スリットノズルの移動を開始させることにより、スリットノズルの移動によって、液溜まりを形成している処理液が不足することを防止することができる。
請求項およびに記載の発明では、スリットノズルの移動を開始した後に、所定の処理液の供給加速度を低加速度状態から高加速度状態に変更することにより、予め低加速度状態で供給を開始することによって処理液の急激な吐出を抑制しつつ、途中で高加速度状態に変更することによって短時間で定常状態にすることができる。
請求項に記載の発明では、所定の処理液の供給を開始させる前に予めポンプの駆動を開始させた後、所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて処理液の流路を開放状態とするように制御することにより、予めポンプに吐出圧を加えておくことができ、短時間でポンプを定常状態にすることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の概略を示す斜視図である。図2は、基板処理装置1の本体2の側断面を示すと共に、レジスト液の塗布動作に係る主たる構成要素を示す図である。なお、図1において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の図についても同様である。
<全体構成>
基板処理装置1は、本体2と制御系6とに大別され、液晶表示装置の画面パネルを製造するための角形ガラス基板を被処理基板(以下、単に「基板」と称する)90としており、基板90の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングするプロセスにおいて、基板90の表面に処理液としてのレジスト液を塗布する塗布処理装置として構成されている。したがって、この実施の形態では、スリットノズル41はレジスト液を吐出するようになっている。なお、基板処理装置1は、液晶表示装置用のガラス基板だけでなく、一般に、フラットパネルディスプレイ用の種々の基板に処理液(薬液)を塗布する装置として変形利用することもできる。
本体2は、基板90を載置して保持するための保持台として機能するとともに、付属する各機構の基台としても機能するステージ3を備える。ステージ3は直方体形状を有する例えば一体の石製であり、その上面(保持面30)および側面は平坦面に加工されている。
ステージ3の上面は水平面とされており、基板90の保持面30となっている。保持面30には図示しない多数の真空吸着口が分布して形成されており、基板処理装置1において基板90を処理する間、基板90を吸着することにより、基板90を所定の水平位置に保持する。また、保持面30には、図示しない駆動手段によって上下に昇降自在な複数のリフトピンLPが、適宜の間隔をおいて設けられている。リフトピンLPは、基板90を取り除く際に基板90を押し上げるために用いられる。
保持面30のうち基板90の保持エリア(基板90が保持される領域)を挟んだ両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール31が固設される。走行レール31は、架橋構造4の両端部の最下方に固設される図示しない支持ブロックとともに、架橋構造4の移動を案内し(移動方向を所定の方向に規定する)、架橋構造4を保持面30の上方に支持するリニアガイドを構成する。
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡された架橋構造4が設けられている。架橋構造4は、例えばカーボンファイバ補強樹脂を骨材とするノズル支持部40と、その両端を支持する昇降機構43,44とから主に構成される。
ノズル支持部40には、スリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられている。Y軸方向に長手方向を有するスリットノズル41には、スリットノズル41にレジスト液を供給するための供給機構7が接続されている。
図3は、スリットノズル41を−Z方向から見た図である。また、図4は、図3に示すIV−IV線におけるスリットノズル41の部分断面図である。なお、図4は、スリットノズル41を近接位置(所望の液溜まりが形成されるときのスリットノズル41の位置)に配置した場合の基板90との位置関係を示している。なお、図4に示すように、本実施の形態において近接位置におけるスリットノズル41の先端と基板90の主面との間隔の値を「b」とする。
スリットノズル41は、供給機構7により供給されたレジスト液を、先端に設けられたスリット状の吐出口410からステージ3に保持された基板90の表面の所定の領域(以下、「レジスト塗布領域」と称する。)に吐出する。これにより、基板処理装置1は基板90にレジスト液を塗布する。ここで、レジスト塗布領域とは、基板90の表面のうちでレジスト液を塗布しようとする領域であって、通常、基板90の全面積から、端縁に沿った所定幅の領域を除いた領域である。
スリットノズル41の先端部は、ステージ3に保持された基板90の主面に対向する平坦面411となっている。吐出口410は、Y軸方向に幅a、X軸方向に幅eの大きさを有する開口部としてスリットノズル41の平坦面411に形成されている。なお、スリットノズル41が近接位置にある状態において、基板90の主面とスリットノズル41の先端との間に形成される空間を「隙間空間DV」と称する。また、隙間空間DVのX軸方向の長さは、「幅c」となる。
スリットノズル41の内部は、吐出口410から(+Z)方向に延びる長さdの流路が設けられており、さらにその上部にはマニホールド412が形成されている。なお、スリットノズル41の内部は、Y軸方向に吐出口410の幅aに渡って、ほぼ同様の構造となっている。
ギャップセンサ42は、スリットノズル41の近傍となるよう、ノズル支持部40に取り付けられ、下方の存在物(例えば、基板90の表面や、レジスト膜の表面)との間の高低差(ギャップ)を測定して、測定結果を制御系6に伝達する。これにより、制御系6はギャップセンサ42の測定結果に基づいて、上記存在物とスリットノズル41との距離を制御できる。
昇降機構43,44は、スリットノズル41の両側に分かれて、ノズル支持部40によりスリットノズル41と連結されている。昇降機構43,44は主にACサーボモータ43a,44aおよび図示しないボールネジからなり、制御系6からの制御信号に基づいて、架橋構造4の昇降駆動力を生成する。これにより、昇降機構43,44は、スリットノズル41を並進的に昇降させる。また、昇降機構43,44は、スリットノズル41のYZ平面内での姿勢を調整するためにも用いられる。さらに、ACサーボモータ43a,44aは、その回転量を検出して制御系6に出力する機能を有している。
架橋構造4の両端部には、ステージ3の両側の縁側に沿って、それぞれ固定子(ステータ)50aと移動子50bおよび固定子51aと移動子51bを備える一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)50,51が、それぞれ固設される。また、架橋構造4の両端部には、それぞれスケール部と検出子とを備えたリニアエンコーダ52,53が、それぞれ固設される。リニアエンコーダ52,53は、リニアモータ50,51の位置を検出する。これらリニアモータ50,51とリニアエンコーダ52,53とが主として、架橋構造4が走行レール31に案内されつつステージ3上を移動するための走行機構5を構成する。すなわち、走行機構5は、スリットノズル41を基板90の表面に沿った略水平方向に相対的に移動させるノズル移動手段として作用する。リニアエンコーダ52,53からの検出結果に基づいて、制御系6がリニアモータ50の動作を制御することにより、ステージ3上における架橋構造4の移動、つまりはスリットノズル41による基板90の走査が制御される。
本体2の保持面30において、保持エリアの(−X)方向側には、開口32が設けられている。開口32はスリットノズル41と同じくY軸方向に長手方向を有し、かつ該長手方向長さはスリットノズル41の長手方向長さとほぼ同じである。また、図1および図2において図示を省略するが、開口32の下方の本体2の内部には、待機ポットと、ノズル洗浄機構と、プリ塗布機構とが設けられている。
ノズル支持部40には、スリットノズル41の上方となる位置に、スリットノズル41にレジスト液を供給する供給機構7が設けられている。図5は、供給機構7の構成を概略的に示す図である。基板処理装置1は、スリットノズル41にレジスト液を供給する供給機構7として、バッファタンク70、開閉バルブ71,72、フィルタ73、逆止弁74、および吐出ポンプ80を備える。
バッファタンク70は、レジスト液を一時的に貯留することによって、レジスト液に混入しているエアーを分離除去するために設けられている。すなわち、レジスト液に混入しているエアーは、レジスト液がバッファタンク70に貯留されている間に、バッファタンク70の貯留槽の上部に集まり、図示しない排気機構によって装置外に排気される。
バッファタンク70は、図1には図示しないが、昇降機構43の側方でスリットノズル41と略同じ高さ位置に設けられ、バッファタンク70内の液面はスリットノズル41の吐出口410よりもやや下方位置となるように設定される。
レジスト液は、制御系6からの制御信号に応じて、所定のタイミングで流路の開閉を行うバルブ72がいずれも開放状態である場合に、配管を通ってスリットノズル41に送液される。
フィルタ73は、図5に示すように、吐出ポンプ80の一次側に設けられ、スリットノズル41に送液されるレジスト液から異物を取り除く機能を有している。また、逆止弁74は、配管内のレジスト液が逆流することを防止するために配置され、図5において右側方向(吐出ポンプ80に向かう方向)にのみレジスト液を通過させる弁である。
図6は、吐出ポンプ80の詳細を示す図である。吐出ポンプ80は、本体部81および駆動機構82から主に構成される。なお、図6では、本体部81の断面を示している。
本体部81は、第1ベローズ811、第2ベローズ812、接合部材813、チューブ814を有している。また、本体部81には、レジスト液を吸引する際にレジスト液の入口となる吸引口815と、レジスト液を吐出する際にレジスト液の出口となる吐出口816とがそれぞれ設けられている。吸引口815は配管を介してバッファタンク70に連通接続され、吐出口816は配管を介してスリットノズル41に連通接続され、吸引口815が吐出口816よりも下方に位置するように設置されている。
なお、スリットノズル41からの吐出精度を向上させるためには、本体部81の吐出口816からスリットノズル41までの距離を短くすることが望ましい。本実施の形態における基板処理装置1では、吐出ポンプ80がノズル支持部40に配置されており、当該距離が短くなるように配置されているため、スリットノズル41の吐出精度を向上させることができる。
第1ベローズ811および第2ベローズ812は、Z軸方向に沿って伸縮可能な部材で構成されており、接合部材813を介して第1ベローズ811の(−Z)側の端部と、第2ベローズ812の(+Z)側の端部とが互いに固着されているとともに、内部が互いに連通している。また、第1ベローズ811と第2ベローズ812の合計長さ(図中X)が一定となるようにその両端が蓋810を介して図外の剛体に支持されている。第1ベローズ811の内径面積(Z軸に垂直な面の面積)は、第2ベローズ812の内径面積より小さいため、第1ベローズ811が伸びた状態と、第2ベローズ812が伸びた状態との間で状態を変化させることにより、本体部81の容積を変更することができる。
第1ベローズ811および第2ベローズ812の内部にはチューブ814が配置されている。チューブ814は管状の可塑性部材で構成され、両端がそれぞれ吸引口815および吐出口816に連通接続されている。すなわち、チューブ814はレジスト液の流路を構成している。なお、本実施の形態における基板処理装置1では、図6に示すように、チューブ814がZ軸に沿って略垂直方向に配置される。
第1・第2ベローズ811,812とチューブ814とによって囲まれた空間には、間接液LQが内封されている。間接液LQとしては、圧力や温度等の変化に対して体積変化率の低い液体が用いられる。これによって、第1ベローズ811および第2ベローズ812が伸縮により変形した場合であっても、間接液LQの体積はほとんど変化することはない。
このような構成により、本実施の形態における基板処理装置1では、第1ベローズ811が伸びる際(接合部材813を下方に移動させる場合)には、本体部81の第1・第2ベローズ811,812によって形成される空間の内部容積が減少することにより間接液LQが加圧される。間接液LQは加圧によっても体積がほとんど減少しない液体であるから、加圧された間接液LQによってチューブ814が収縮して(絞られて)、チューブ814内が加圧される。このとき吸引口815側には逆止弁74が設けられているため、チューブ814内のレジスト液が吸引口815から逆流することはない。そして、バルブ72が開放状態であれば、チューブ814内のレジスト液は吐出口816から吐出され、スリットノズル41に向かって送液される。
一方、第2ベローズ812が伸びる際(接合部材813を上方に移動させる場合)には、本体部81の第1・第2ベローズ811,812によって形成される空間の内部容積が増加し、間接液LQが減圧される。間接液LQは減圧によっても体積がほとんど増加しない液体であるから、間接液LQによってチューブ814が膨張し、チューブ814内が減圧される。このときバルブ72を閉鎖状態にしておけば、レジスト液がスリットノズル41側からチューブ814内に逆流することはない。そして、バルブ71が開放状態であれば、バッファタンク70内のレジスト液が吸引口815から吐出ポンプ80(チューブ814)内に吸引される。
すなわち、本体部81は接合部材813をZ軸方向に沿って往復移動させることにより、レジスト液の吸引動作と吐出動作とを繰り返し行うことができる。したがって、吐出ポンプ80は、レジスト液をスリットノズル41に向けて送液する機能を有している。
本実施の形態における基板処理装置1では、接合部材813を駆動機構82によってZ軸方向に往復移動させる。駆動機構82は、ポンプ駆動モータ821、ボールネジ822、ナット部材823、取付部材824およびガイド825から構成される。
ポンプ駆動モータ821の駆動軸はボールネジ822に取り付けられている。これにより、ポンプ駆動モータ821は、軸Pを中心としてボールネジ822を回転させることが可能とされている。ボールネジ822は、ナット部材823を貫通するようにナット部材823に螺入されており、ボールネジ822が回転することによって、ナット部材823はボールネジ822の長手方向に沿って移動する。ナット部材823には取付部材824を介して接合部材813が固定されている。したがって、ナット部材823の移動に連動して、接合部材813が同じ方向に移動する。さらに、ナット部材823はガイド825に迎合しており、その移動方向がZ軸に沿う方向となるように規定されている。なお、図5に示すように、ポンプ駆動モータ821の回転方向、回転速度、および回転量は、制御系6からの制御信号により制御可能とされている。また、ポンプ駆動モータ821はその回転量を制御系6に対して出力する機能をも有している。すなわち、ポンプ駆動モータ821は、自己の回転量を検出するエンコーダ(図示せず)を有するモータである。
図1および図2に戻って、制御系6は、プログラムに従って各種データを処理する演算部60、プログラムや各種データを保存する記憶部61を内部に備える。また、前面には、オペレータが基板処理装置1に対して必要な指示を入力するための操作部62、および各種データを表示する表示部63を備える。
なお、具体的には、データを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、および磁気ディスク装置などが記憶部61に該当する。あるいは、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置などであってもよい。また、操作部62には、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などが該当する。もしくは、タッチパネルディスプレイのように表示部63の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部63には、液晶ディスプレイや各種ランプなどが該当する。
図7は、演算部60によって実現される機能構成をデータの流れとともに示す図である。図7に示す液溜まり形成部601および塗布制御部602は、演算部60がプログラムを実行することにより実現される機能構成である。
昇降量データ610とは、昇降機構43,44のACサーボモータ43a,44aから出力されるACサーボモータ43a,44aの回転量に基づいて生成されるデータである。本実施の形態における基板処理装置1では、ACサーボモータ43a,44aの回転によってスリットノズル41がZ軸方向に移動するため、演算部60は、昇降量データ610を参照することによって、スリットノズル41のZ軸方向の移動量を検出することができる。
また、駆動量データ611とは、ポンプ駆動モータ821から出力されるポンプ駆動モータ821の回転量に基づいて生成されるデータであって、吐出ポンプ80の接合部材813のZ軸方向の移動量を検出するためのデータである。本実施の形態における基板処理装置1では、演算部60が接合部材813の移動量を指標とすることによって、吐出ポンプ80の吐出量(スリットノズル41への供給量)や、吐出ポンプ80内の加圧状態などを検出することができる。
また、設定データ612とは、各工程において必要とされるレジスト液の吐出量(吐出量RV1,RV2)や各部材の移動量などの初期値に関するデータである。設定データ612に含まれるデータは、実験などによって予め適切な値が求められており、記憶部61に記憶されている。
さらに、移動量データ613とは、リニアエンコーダ52,53から出力されるリニアモータ50,51の位置に関するデータである。本実施の形態における基板処理装置1では、演算部60がリニアモータ50,51の位置を検出することによって、スリットノズル41のX軸方向の移動量を検出することができる。
液溜まり形成部601は、昇降量データ610、駆動量データ611、設定データ612、およびタイマ64からの入力を適宜参照しつつ、供給機構7のバルブ72およびポンプ駆動モータ821を制御することによって、基板90の主面とスリットノズル41の先端との間にレジスト液の液溜まりを形成する。また、液溜まり形成部601は、所望の液溜まりの形成が完了した時点で、その旨を塗布制御部602に出力することによって、液溜まりが形成されたタイミングを塗布制御部602に通知する。
塗布制御部602は、駆動量データ611、設定データ612、移動量データ613を参照しつつ、ACサーボモータ43a,44a、リニアモータ50,51、バルブ72、およびポンプ駆動モータ821を制御する。特に、液溜まり形成部601からの入力に基づいて、液溜まりの形成が完了したタイミングを検出し、供給機構7によるレジスト液の供給を再開しつつ、走行機構5(リニアモータ50,51)によって基板90とスリットノズル41とが相対的に移動するように制御する。
また、塗布制御部602は、走行機構5を制御してスリットノズル41を待機位置に移動させ、スリットノズル41が待機位置にある状態で、供給機構7を制御して所定量(第2吐出量)のレジスト液を吐出させる。すなわち、塗布制御部602は、本発明における予備塗布手段に相当する機能をも有している。なお、待機位置とは、基板処理装置1がスリットノズル41による塗布処理を行っていないときにスリットノズル41が配置される位置である。待機位置は、スリットノズル41から吐出されるレジスト液が基板90に付着することのないように、スリットノズル41と基板90の主面とが対向しない位置関係となるように設定される。さらに、待機位置は、例えば待機ポット(図示せず)の上方位置にスリットノズル41が配置される位置のように、吐出されるレジスト液を処理する機構が存在する位置として設定することが好ましい。
以上が本実施の形態における基板処理装置1の構成および機能の説明である。
<動作説明>
図8ないし図10は、本実施の形態における基板処理装置1の動作を示す流れ図である。また、図11は、基板処理装置1の動作における吐出ポンプ80の駆動速度と、スリットノズル41のX軸方向の移動速度を例示する図である。以下、図8ないし図10を用いて基板処理装置1の動作について説明する。なお、以下の基板処理装置1の動作は、特に明示しないかぎり、制御系6(演算部60)からの制御に基づいて行われるものである。
基板処理装置1では、オペレータまたは図示しない搬送機構によって、所定の位置に基板90が搬送されることにより、処理が開始される。このようにして搬送された基板90は、ステージ3によって保持面30上の所定の位置に保持される(ステップS11)。
続いて、昇降機構43,44が、架橋構造4を昇降させることによって、ノズル支持部40に取り付けられたギャップセンサ42を基板90の厚み分よりも高い所定の高度(以下、「測定高度」と称する。)に移動させる。
ギャップセンサ42が測定高度にセットされると、走行機構5のリニアモータ50,51が、架橋構造4を(+X)方向に移動させることにより、ギャップセンサ42をレジスト塗布領域の上方まで移動させる。このとき、制御系6は、リニアエンコーダ52,53の検出結果に基づいて、それぞれのリニアモータ50,51に制御信号を与えることにより、ギャップセンサ42のX軸方向の位置を制御する。
次に、ギャップセンサ42が(+X)方向に基板90の表面のレジスト塗布領域を走査しつつ、基板90表面とスリットノズル41とのギャップの測定を開始し、測定結果を制御系6に伝達する。このとき、制御系6は、ギャップセンサ42の測定結果を、記憶部61に保存する。
ギャップセンサ42による測定が終了すると、制御系6は演算部60により、ギャップセンサ42からの検出結果に基づいて、スリットノズル41を離間位置に移動させるためのZ軸方向の移動量を求める。なお、離間位置とは、スリットノズル41の先端部が基板90の主面と比較的離間する高さ位置であり、離間位置におけるスリットノズル41の先端部と基板90の主面との距離は予め設定データ612に設定されているものとする。なお、本実施の形態における離間位置は、スリットノズル41の先端部と基板90の主面との距離が十分に離間している位置であればよい。したがって、離間位置を高精度に決定する必要はないため、離間位置を測定高度を基準に設定してもよい。その場合、制御系6は離間位置への移動量を基板90ごとに改めて求めなくてもよい。
また、制御系6は、同じくギャップセンサ42からの検出結果に基づいて、スリットノズル41のYZ平面における姿勢が、適切な姿勢(スリットノズル41とレジスト塗布領域との間隔がレジスト液を塗布するために適切な間隔となる姿勢。以下、「適正姿勢」と称する。)となるノズル支持部40の位置を算出する。
次に、制御系6からの制御信号に応じて、昇降機構43,44がスリットノズル41のZ軸方向の位置調整を行い、スリットノズル41を離間位置に移動させる(ステップS12)。図12は、基板90の主面とスリットノズル41とが離間位置にある状態を示す図である。なお、測定高度を基準に離間位置を決定している場合は、測定高度におけるスリットノズル41の高さ位置を離間位置としてもよい。その場合、昇降機構43,44は、測定高度にあるスリットノズル41を離間位置に昇降させる必要はなく、ステップS12は実行されない。
スリットノズル41を離間位置に移動させる動作と並行して、走行機構5のリニアモータ50,51が架橋構造4を(−X)方向に移動させ、スリットノズル41を吐出開始位置に移動させる。ここで、吐出開始位置とは、レジスト塗布領域の一辺にスリットノズル41がほぼ沿う位置である。なお、この動作が完了するまでに、吐出ポンプ80には必要な量のレジスト液が吸引されているものとする。
次に、昇降機構43,44がスリットノズル41を(−Z)方向に下降させることにより、スリットノズル41を近接位置に移動させる(ステップS13)。図13は、基板90の主面とスリットノズル41とが近接位置にある状態を示す図である。なお、近接位置とは、図13に示すように、スリットノズル41の先端部が基板90の主面と比較的近接する高さとなる位置である。近接位置におけるスリットノズル41の先端部と基板の主面との間隔の値「b」は、予め設定データ612として保存されている。
基板処理装置1では、液溜まり形成部601が昇降量データ610を参照しつつ、離間位置からのスリットノズル41の下降量を演算することによって、降下中のスリットノズル41の位置を監視する。そして、スリットノズル41が近接位置に移動したことを検出すると、液溜まり形成部601がACサーボモータ43a,44aを停止させる。
このように、本実施の形態における基板処理装置1は、スリットノズル41を昇降させる場合(Z軸方向に移動させる場合)には、昇降機構43,44のACサーボモータ43a,44aから出力される昇降量データ610に基づいて、スリットノズル41の位置を制御する。したがって、例えば、所定速度でスリットノズル41の昇降を開始した後、経過時間を計測することによって移動量を推定し、これによってスリットノズル41の位置制御を行う場合に比べて、スリットノズル41の高さ位置(Z軸方向の位置)を高精度に制御することができる。なお、離間位置がギャップセンサ42の測定結果に基づいて求められていない場合には、近接位置をギャップセンサ42の測定結果に基づいて求めてもよい。これにより、スリットノズル41の先端部と基板90の主面との間隔が、近接位置における理想の値「b」となるように、スリットノズル41を正確に移動させることができる。
スリットノズル41が近接位置に移動すると、基板処理装置1は形成工程(ステップS14)を実行する。図10は、基板処理装置1の動作のうち、特にステップS14の形成工程における動作の詳細を示す流れ図である。
形成工程では、まず、スリットノズル41が近接位置にある状態で、供給機構7によってスリットノズル41にレジスト液が供給される(ステップS31)。
ステップS31の処理を具体的に説明すると、まず、液溜まり形成部601が、供給機構7のバルブ72およびポンプ駆動モータ821に制御信号を出力する。バルブ72は、この制御信号により、吐出ポンプ80からスリットノズル41までの配管を開放状態にする。また、ポンプ駆動モータ821が吐出ポンプ80の接合部材813を(−Z)方向に移動させることにより、吐出ポンプ80を駆動する。これにより、吐出ポンプ80からレジスト液の送液が開始され、レジスト液がスリットノズル41に供給される。図11に示す例では、時間t1においてステップS31におけるポンプ駆動モータ821の駆動が開始されている。スリットノズル41に供給されたレジスト液は吐出口410から基板90の主面に対して吐出される。
次に、液溜まり形成部601は、駆動量データ611を参照することにより、吐出ポンプ80の接合部材813の移動量を検出し、これに基づいて吐出ポンプ80の送液量(ほぼスリットノズル41から吐出されるレジスト液の吐出量に相当する)を演算する。さらに、設定データ612に予め設定されている吐出量RV1と、演算により求めた実際の吐出量とを比較することによって、液溜まりを形成するために所定量のレジスト液が吐出されたか否かを判定する(ステップS32)。液溜まり形成部601は、演算により求めた実際の吐出量が吐出量RV1より少ないと判定した場合(ステップS32においてNo)、ステップS31の処理を繰り返えさせることによって、供給機構7がさらにレジスト液を供給するよう制御する。
図14は、スリットノズル41の吐出口410からレジスト液が吐出されている状態を示す図である。ステップS31,32が繰り返し実行されることによって、近接位置にあるスリットノズル41からレジスト液が吐出され、スリットノズル41の先端部と基板90の主面との間に、レジスト液の液溜まりが形成されつつある。
一方、液溜まり形成部601は、演算により求めた実際の吐出量が吐出量RV1となったと判定した場合(ステップS32においてYes)、スリットノズル41が所定量(吐出量RV1)のレジスト液を吐出したと判定し、供給機構7によるレジスト液の供給を停止させる(ステップS33)。図11に示す例では、時間t2において吐出ポンプ80の速度が「0」となり、液溜まりを形成するためのレジスト液の供給が停止されている。
本実施の形態における基板処理装置1では、ステップS31,32によって吐出されるレジスト液の体積が、隙間空間DV(図4)の体積(a×b×c)以下となるように、吐出量RV1が予め設定データ612に設定されている。
これにより、液溜まりを形成する際にスリットノズル41から吐出されるレジスト液の量が過大となることを防止することができ、隙間空間DVからレジスト液が溢れることによりスリットノズル41の先端部側面にレジスト液が付着することを防止することができる。
また、本実施の形態における基板処理装置1は、ポンプ駆動モータ821から出力される実際の回転量(駆動量)に基づいて、スリットノズル41から吐出されたレジスト液の吐出量を判定する。したがって、例えば、駆動時間に基づいて間接的に実際の吐出量を求める場合に比べて、実際の吐出量を精度よく検出することができる。したがって、ステップS32において、正確な判定を行うことができ、実際の吐出量と理想的な吐出量(設定データ612に設定されている吐出量RV1)との誤差を抑制することができる。
液溜まり形成部601は、レジスト液の供給を停止してから所定時間Taが経過するまで待機し(ステップS34)、所定時間Taが経過した後に、塗布制御部602に液溜まりが形成された旨の信号を伝達する。液溜まり形成部601によって液溜まりが形成されると、基板処理装置1は、ステップS14の形成工程を終了して図8の処理に戻る。
このように、本実施の形態における基板処理装置1では、吐出量RV1のレジスト液を吐出させた後、所定時間Taが経過するまで、後の処理(スリットノズル41を移動させる処理)を行わずに待機する。これは、吐出されたレジスト液によって形成される球状の液溜まり(図23参照)が、Y軸方向に均一化するまで待つことに相当する。すなわち、本実施の形態における形成工程は、所定量のレジスト液を吐出する工程と、吐出したレジスト液によって所望の液溜まりが形成されるまで吐出ポンプ80およびスリットノズル41を停止させて待機する工程から構成されている。
これにより、液溜まりを形成するために吐出するレジスト液が比較的少量であっても、Y軸方向に均一な液溜まりを形成することができる。したがって、図24に示す例のように、レジスト塗布領域の端部(塗布開始端)が不均一になることを防止することができる。
図15は、液溜まり形成部601によって、スリットノズル41の先端部と基板90の主面との間に液溜まりが形成された状態を示す図である。本実施の形態における基板処理装置1は、吐出直後に形成される球状の液溜まりを解消するために、吐出時間を長くすることもないので、図15に示すように適切な量(隙間空間DVから溢れることのない量)のレジスト液によって液溜まりが形成される。したがって、従来の装置のようにレジスト液の吐出量が必要以上に多くなることがなく、隙間空間DVから溢れたレジスト液が図25に示す例のようにスリットノズル41の側面に付着することを防止することができる。これにより、基板処理装置1は、この後に行われる塗布処理において、塗布精度の向上を図ることができる。
図8に戻って、形成工程が終了すると、塗布制御部602が塗布処理を開始する(ステップS15ないしS19,ステップS21ないし23)。塗布処理とは、基板90のレジスト塗布領域にレジスト液を塗布するための処理であって、主に、供給機構7によってレジスト液をスリットノズル41に供給する工程(主に本発明における供給工程に相当する)と、レジスト液の供給を受けてレジスト液を吐出しているスリットノズル41を走行機構5によってX軸方向に移動させる工程(主に本発明における移動工程に相当する)から構成される。
まず、塗布制御部602が、ポンプ駆動モータ821に対して、加速度α1で回転するように制御信号を送信する。この制御信号により、ポンプ駆動モータ821が吐出ポンプ80の接合部材813を(−Z)方向に移動させる向きに加速度α1で回転を開始する。これによって、ポンプ駆動モータ821を駆動する駆動工程が開始され(ステップS15)、後述するステップS21が実行するまで継続される。図11に示す例では、時間t3において駆動工程が開始されている。なお、加速度α1は、吐出流量が緩やかに増加するように比較的低い値として予め設定データ612に設定されているものとする。
塗布制御部602は、駆動量データ611を参照することによって、ポンプ駆動モータ821を所定量だけ回転させてから、バルブ72に制御信号を出力し、バルブ72を開放状態にする。これにより、吐出ポンプ80からスリットノズル41までのレジスト液の配管が開放され(開放工程:ステップS16)、後述するステップS22において閉鎖工程が実行されるまでレジスト液の配管は開放状態となる。したがって、吐出ポンプ80によってレジスト液がスリットノズル41に送液され、スリットノズル41にレジスト液が供給される。
このように、本実施の形態における基板処理装置1は、スリットノズル41にレジスト液の供給を開始する前(バルブ72が開放状態となる前)に、予め、所定時間吐出ポンプ80を駆動しておくことにより、吐出ポンプ80内に適度に吐出圧を加えておくことができる。
図16は、予め吐出圧を加えておくことなく、レジスト液の塗布を開始した場合のレジスト液の膜厚を示す図である。図17は、本実施の形態における基板処理装置1によって塗布されたレジスト液の膜厚を示す図である。なお、図16および図17において、横軸はX軸に対応し、左端付近が塗布開始位置付近を示している。
吐出ポンプ80の駆動と同時にバルブ72を開放状態にしてスリットノズル41からレジスト液を吐出させると、吐出ポンプ80の吐出速度が定常状態に至るまでに比較的長時間を要することとなる。したがって、スリットノズル41の応答性の遅れから、図16に示すように、塗布を開始した位置においてレジスト液の膜厚が薄くなり、レジスト液の膜が窪む減少が発生する。この現象は、特に使用されるレジスト液の粘度が高いもの(例えば10cp以上)であったり、塗布しようとするレジスト液の膜厚が比較的厚い場合に顕著に発生する。
しかし、本実施の形態における基板処理装置1は、前述のように、予め吐出圧を加えておくことにより、スリットノズル41の応答性が向上する。したがって、レジスト液の膜が窪むことなく、図17に示すように均一な塗布が実現される。すなわち、塗布精度が向上する。
ステップS16の開閉工程を実行することによってレジスト液の供給を開始する動作と並行して、基板処理装置1は、昇降機構43,44によってノズル支持部40をZ軸方向に移動させ、スリットノズル41を適正姿勢に調整する動作を開始する。一般に、レジスト液の均一な塗布を実現するためには、スリットノズル41と基板90の表面との距離を厳密に調整する必要がある。基板処理装置1では、制御系6が個々の基板90ごとに得られるギャップセンサ42の検出結果に基づいて適正姿勢を決定し、昇降機構43,44を制御することにより、当該距離の調整を高精度に行っている。
スリットノズル41を近接位置から適正姿勢に移動させると、隙間空間DVの容積が時間の経過とともに増加するが、本実施の形態における基板処理装置1では、この動作中において、すでにスリットノズル41からレジスト液の吐出が開始されているため、液溜まり部分のレジスト液の量が不足することはない。したがって、塗布開始位置においてレジスト液の薄膜が不均一になることを防止することができる。
また、前述のように、このときの吐出ポンプ80の駆動加速度α1は、比較的低く設定されている。これにより、基板処理装置1では、多量のレジスト液が急激に吐出されることによって、スリットノズル41の先端部側面にレジスト液が付着することを防止することができる。
スリットノズル41が適正姿勢となり、かつ、スリットノズル41から所定量のレジスト液が吐出されると、塗布制御部602は、走行機構5に制御信号を出力する。この制御信号に応じて、走行機構5のリニアモータ50,51が駆動し、架橋構造4の(+X)方向への移動が開始される。これにより、スリットノズル41がレジスト液を吐出しつつ、基板90の主面に沿った方向に移動を開始し、本発明における移動工程が開始される(ステップS17)。なお、塗布制御部602は、駆動量データ611を参照することにより、所定量のレジスト液が吐出されたか否かを判定する。図11に示す例では、時間t4において、移動工程が開始されている。
移動工程を開始すると、塗布制御部602は、供給機構7のポンプ駆動モータ821の加速度(供給加速度に対応する)を比較的低い加速度α1の状態から比較的高い加速度α2の状態に変更する(ステップS18)。図11に示す例では、時間t5において、変更工程が実行されている。
このように、本実施の形態における基板処理装置1は、予め低加速度状態で供給を開始することによって、前述のようにレジスト液の急激な吐出を抑制しつつ、途中で高加速度状態に変更することにより、低加速度状態のままで加速する場合に比べて、吐出ポンプ80の駆動状態を短時間で定常状態にすることができる。したがって、定常状態における速度を比較的高速に設定することができ、速度の有効範囲を広くとることができる。
次に、塗布制御部602は、走行機構5および供給機構7の速度が定常状態における速度に達すると、それらの加速度を「0」として定速で駆動させる。なお、本実施の形態における基板処理装置1では、定常状態において、スリットノズル41の移動速度および吐出ポンプ80の供給速度は定速度であるが、これに限られるものではない。
ステップS18の変更工程が実行された後、制御系6は、リニアエンコーダ52,53の検出結果に基づいて、スリットノズル41が塗布終了位置に移動するまでスリットノズル41による走査を継続する(ステップS19)。以上のような動作により、スリットノズル41がレジスト塗布領域にレジスト液を吐出し、基板90の表面上にレジスト液の層(薄膜)が形成される。
スリットノズル41が塗布終了位置まで移動すると、塗布制御部602が制御信号をポンプ駆動モータ821およびバルブ72に出力する。この制御信号によって、ポンプ駆動モータ821が停止して駆動工程が終了する(ステップS21)とともに、バルブ72が閉鎖状態になることによって閉鎖工程が実行される(ステップS22)。これにより、スリットノズル41からのレジスト液の吐出が停止し、基板処理装置1の供給工程が終了する。また、塗布制御部602は、走行機構5のリニアモータ50,51に制御信号を出力して、架橋構造4の移動を停止させる。これにより、基板処理装置1の移動工程が終了する(ステップS23)。そして、供給工程および移動工程が終了することによって、基板処理装置1の塗布処理が終了する。
塗布処理が終了すると、塗布制御部602は、走行機構5および昇降機構43,44に制御信号を出力して、スリットノズル41を待機位置に移動させる(ステップS24)。
このスリットノズル41を待機位置に移動させる処理と並行して、基板処理装置1では、処理した基板90の搬出処理が実行される。搬出処理では、ステージ3による基板90の吸着を停止し、リフトピンLPが基板90を持ち上げる。そして、オペレータまたは搬送機構が基板90を保持面30から受け取り、次の処理工程に搬送する。
次に、基板処理装置1は、さらに処理すべき基板90が存在するか否かによって処理を終了するか否かを判定する(ステップS25)。そして、処理すべき基板90が存在する場合には、予備吐出工程を実行する(ステップS26)。
予備吐出工程において、塗布制御部602は、スリットノズル41が待機位置にある状態で、供給機構7のポンプ駆動モータ821を駆動し、スリットノズル41にレジスト液を供給するように制御する。
このように、本実施の形態における基板処理装置1では、塗布処理が終了した後、直ちに予備吐出工程を実行する。これにより、サックバックなどによってスリットノズル41の吐出口410からスリットノズル41内に混入した空気をスリットノズル41内に設けられたマニホールド412に達する前に押し出すことができる。したがって、スリットノズル41から容易に空気を抜くことができる。
さらに、塗布制御部602は、駆動量データ611を参照しつつ、スリットノズル41から吐出されるレジスト液の量を監視し、吐出されるレジスト液の量が吐出量RV2(第2吐出量)となった時点で、ポンプ駆動モータ821を停止させる。
このように、本実施の形態における基板処理装置1は、ポンプ駆動モータ821から出力される実際の回転量(駆動量データ611)に基づいて、スリットノズル41から吐出されたレジスト液の吐出量を判定する。これにより、例えば、駆動時間に基づいて間接的に実際の吐出量を求める場合に比べて、実際の吐出量を精度よく検出することができる。したがって、予備吐出工程において、過不足なくレジスト液を吐出することができる。
さらに、本実施の形態における基板処理装置1では、吐出量RV2は、吐出口410とマニホールド412との間に形成されるレジスト液の流路(図4)の容積(a×d×e)と略同一の体積として設定されている。
これにより、本実施の形態における基板処理装置1は、予備吐出工程において吐出されるレジスト液の量を抑制して、必要最小限度の量のレジスト液で最大限の効果を得ることができる。
ポンプ駆動モータ821が停止し、供給機構7からスリットノズル41へのレジスト液の供給が停止すると、予備吐出工程が終了する。基板処理装置1は、予備吐出工程が終了すると、ステップS11に戻って、他の基板90に対して前述の処理を繰り返す。
一方、他に処理すべき基板90が存在しない場合(ステップS25においてYes)には、処理を終了する。
以上のように、本実施の形態における基板処理装置1は、スリットノズル41が近接位置にある状態で、供給機構7にレジスト液の供給を行わせ、その後、供給機構7によるレジスト液の供給を時間Taが経過するまで停止させることによって、基板90の主面とスリットノズル41の先端との間にレジスト液の液溜まりを形成することにより、形成される液溜まりが不均一になることを防止できる。したがって、塗布精度を向上させることができる。
また、供給機構7(ポンプ駆動モータ821)からの出力に基づいて、供給機構7から供給されるレジスト液の量が吐出量RV1となるように、供給機構7を制御することにより、レジスト液の吐出量を正確に制御することができる。
また、吐出量RV1は、スリットノズル41が近接位置にある状態において、基板90の主面とスリットノズル41の先端との間に形成される隙間空間DVの体積と略同一体積以下とされることにより、スリットノズル41の先端部側面にレジスト液が付着することを防止することができる。
また、供給機構7によるレジスト液の供給が行われている状態で、走行機構5によるスリットノズル41の移動を開始させることにより、スリットノズル41の移動によって、液溜まりを形成しているレジスト液が不足することを防止することができる。
また、走行機構5によるスリットノズル41の移動を開始した後に、供給機構7によるレジスト液の供給加速度を低加速度状態から高加速度状態に変更することにより、予め低加速度状態で供給を開始することにより、レジスト液の急激な吐出を抑制しつつ、途中で高加速度状態に変更することにより、短時間で供給速度を定常状態にすることができる。
また、塗布処理を行うためのレジスト液の供給を開始させる前に、予め吐出ポンプ80の駆動を開始させた後、レジスト液の供給を開始させるタイミングに応じてバルブ72が開放状態となることにより、吐出を開始する前に予め吐出ポンプ80に吐出圧を加えておくことができるため、短時間で吐出ポンプ80を定常状態にすることができる。
さらに、スリットノズルが基板90の主面と対向しない待機位置にある状態において、供給機構7からの出力に基づいて、スリットノズル41から吐出されるレジスト液の量が予め設定された吐出量RV2(第2吐出量)となるように供給機構7を制御することにより、サックバックなどによってスリットノズル41内に混入した空気を容易に抜くことができる。
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、スリットノズル41が近接位置に移動してから液溜まりを形成するように構成した。すなわち、ステップS14の形成工程は、ステップS13の後に実行されていた。しかし、形成工程は、スリットノズル41が近接位置に移動する前に実行されてもよい。
図18は、このような原理に基づいて構成した第2の実施の形態における基板処理装置1の動作を示す流れ図である。なお、第2の実施の形態における基板処理装置1の構成は、第1の実施の形態における基板処理装置1とほぼ同様であるため説明は省略する。また、第2の実施の形態における基板処理装置1の動作は、第1の実施の形態における基板処理装置1の動作のうち、ステップS13の処理とステップS14の処理との実行順序が逆になっている点を除いてほぼ同様であるため、適宜、説明を省略する。
本実施の形態における基板処理装置1においても、ステージ3の保持面30によって基板90が保持されることにより処理が開始され(ステップS41)、スリットノズル41を離間位置に移動させる(ステップS42)。図19は、スリットノズル41がステップS42が実行されることにより、離間位置に移動した状態を示す図である。
スリットノズル41が離間位置に移動すると、ギャップセンサ42によるギャップ測定が行われる。すなわち、本実施の形態においては離間位置における基板90の主面とスリットノズル41の先端部との距離は、測定高度とされている。
このギャップ測定が行われる処理と並行して、液溜まり形成部601は、形成工程を実行する(ステップS43)。本実施の形態における形成工程は、図10に示す第1の実施の形態における形成工程とほぼ同様である。すなわち、吐出量RV1のレジスト液が吐出されるまで、供給機構7によるスリットノズル41へのレジスト液の供給を行い、吐出量RV1のレジスト液が吐出された時点で供給機構7によるレジスト液の供給を停止する。さらに、供給を停止してから所定時間Taが経過するまで待機し、その後、形成処理を終了して、図18に示す処理に戻る。これにより、本実施の形態における基板処理装置1においても、形成される液溜まりがY軸方向に均一化される。
図20は、本実施の形態における形成処理によって形成された液溜まりを示す図である。本実施の形態における形成処理(ステップS43)においても、第1の実施の形態における形成処理(ステップS14)と同様の量のレジスト液が吐出されるが、スリットノズル41が離間位置にあるため、この時点において、未だ液溜まりは基板90の主面と接触しない。
また、一般に基板処理装置1において、形成処理は、ギャップセンサ42によるギャップ測定処理などに比べて短時間で終了する処理である。したがって、ギャップ測定処理が終了するまでの間に形成処理は終了する。これにより、本実施の形態における基板処理装置1は、近接位置に移動してから液溜まりを形成する場合に比べて、処理時間を短縮することができる。
形成処理およびギャップ測定処理が終了すると、塗布制御部602は、昇降機構43,44に制御信号を出力することにより、ノズル支持部40を下降させて、スリットノズル41を近接位置に移動させる(ステップS44)。図21は、スリットノズル41が離間位置から近接位置に移動している途中の状態を示す図である。また、図22は、スリットノズル41が近接位置に配置された状態を示す図である。図22に示すように、スリットノズル41が近接位置に配置された状態において、液溜まりの状態は、図15に示す第1の実施の形態における状態とほぼ同じ状態となっている。
その後、第2の実施の形態における基板処理装置1は、第1の実施の形態における基板処理装置1のステップS15ないし19(図8)およびステップS21ないしS26(図9)と同様の処理を繰り返す。
以上のように、第2実施の形態における基板処理装置1においても、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様の効果を得ることができる。
また、スリットノズル41が離間位置にある状態で、供給機構7を駆動してスリットノズル41にレジスト液を供給し、基板90の主面とスリットノズル41の先端との間にレジスト液の液溜まりを形成することにより、近接位置に移動してから液溜まりを形成する場合に比べて、液溜まりを効率よく形成できる。したがって、タクト時間を短縮できる。
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、吐出ポンプ80は、一般に用いられるシリンジポンプであってもよい。すなわち、吐出量に係る駆動機構(上記実施の形態ではポンプ駆動モータ821)の駆動量を制御系6に出力することができるポンプであれば、どのような構造のポンプを用いてもよい。
また、上記実施の形態では、スリットノズル41内のマニホールド412が、Y軸に沿って設けられているとして説明したが、マニホールド412はスリットノズル41のY軸方向の両端部に向かって傾斜するように設けられていてもよい。この場合、マニホールド412から吐出口410までの間に設けられるレジスト液の流路のZ軸方向の長さ「d」は、スリットノズル41の全幅において変化することとなる。しかし、その場合であっても、吐出量RV2は、当該流路の容積と略同一体積とすることにより、余分なレジスト液が予備吐出工程において消費されることを抑制することができる。
本発明に係る基板処理装置の概略を示す斜視図である。 基板処理装置の本体の側断面を示すと共に、レジスト液の塗布動作に係る主たる構成要素を示す図である。 スリットノズルを−Z方向から見た図である。 図3に示すIV−IV線におけるスリットノズルの部分断面図である。 供給機構の構成を概略的に示す図である。 吐出ポンプの詳細を示す図である。 演算部によって実現される機能構成をデータの流れとともに示す図である。 第1の実施の形態における基板処理装置の動作を示す流れ図である。 第1の実施の形態における基板処理装置の動作を示す流れ図である。 基板処理装置の形成工程における動作の詳細を示す流れ図である。 基板処理装置の動作における吐出ポンプの駆動速度と、スリットノズルのX軸方向の移動速度を例示する図である。 基板の主面とスリットノズルとが離間位置にある状態を示す図である。 基板の主面とスリットノズルとが近接位置にある状態を示す図である。 スリットノズルの吐出口からレジスト液が吐出されている状態を示す図である。 液溜まり形成部によって、スリットノズルの先端部と基板の主面との間に液溜まりが形成された状態を示す図である。 予め吐出圧を加えておくことなく、レジスト液の塗布を開始した場合のレジスト液の膜厚を示す図である。 本発明に係る基板処理装置によって塗布されたレジスト液の膜厚を示す図である。 第2の実施の形態における基板処理装置の動作を示す流れ図である。 スリットノズルが離間位置に移動した状態を示す図である。 第2の実施の形態における形成処理によって形成された液溜まりを示す図である。 スリットノズルが離間位置から近接位置に移動してる途中の状態を示す図である。 スリットノズルが近接位置に配置された状態を示す図である。 従来の基板処理装置において、スリットノズルの先端部に形成される液溜まりの様子を示す概略図である。 図23に示す状態のスリットノズルによって走査を開始した場合におけるレジスト液の膜の状態を示す概略図である。 従来の基板処理装置において、スリットノズルによる走査を遅らせた場合に、スリットノズルの先端部に形成される液溜まりの様子を示す概略図である。
符号の説明
1 基板処理装置
3 ステージ
30 保持面
4 架橋構造
41 スリットノズル
410 吐出口
412 マニホールド
43,44 昇降機構
43a,44a サーボモータ
5 走行機構
50,51 リニアモータ
52,53 リニアエンコーダ
6 制御系
60 演算部
601 液溜まり形成部
602 塗布制御部
61 記憶部
610 昇降量データ
611 駆動量データ
612 設定データ
613 移動量データ
64 タイマ
7 供給機構
71,72 バルブ
80 吐出ポンプ
821 ポンプ駆動モータ
90 基板

Claims (9)

  1. 基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理装置であって、
    基板を保持する保持台と、
    先端に設けられたスリット状の吐出口から前記保持台に保持された前記基板の主面に、前記所定の処理液を吐出するスリットノズルと、
    前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する処理液供給手段と、
    前記基板の主面に沿って前記スリットノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、
    前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが近接する近接位置にある状態で、前記処理液供給手段に前記所定の処理液の供給を行わせ、その後、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に前記所定の処理液の液溜まりを形成する液溜まり形成手段と、
    前記液溜まり形成手段により前記液溜まりが形成された後、前記処理液供給手段による供給を再開させつつ前記ノズル移動手段によって前記基板と前記スリットノズルとを相対的に移動させるように制御する塗布制御手段と、
    を備え
    前記処理液供給手段が、
    前記スリットノズルに向けて前記所定の処理液を送液するポンプと、
    前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開閉するバルブと、
    を備え、
    前記塗布制御手段は、前記所定の処理液の供給を開始させる前に予め前記ポンプの駆動を開始させた後、前記所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて前記バルブが前記流路を開放状態とするように前記処理液供給手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  2. 基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理装置であって、
    基板を保持する保持台と、
    先端に設けられたスリット状の吐出口から前記保持台に保持された前記基板の主面に、前記所定の処理液を吐出するスリットノズルと、
    前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する処理液供給手段と、
    前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間隔を相対的に変更する変更手段と、
    前記基板の主面に沿って前記スリットノズルを相対的に移動させるノズル移動手段と、
    前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが離間する離間位置にある状態で、前記処理液供給手段を駆動して前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給し、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に前記所定の処理液の液溜まりを形成する液溜まり形成手段と、
    前記液溜まり形成手段により前記液溜まりが形成された後に、前記変更手段を制御することにより、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端とが近接する近接位置にある状態とするとともに、前記処理液供給手段により前記所定の処理液を供給させつつ前記ノズル移動手段により前記基板と前記スリットノズルとを相対的に移動させるように前記処理液供給手段および前記ノズル移動手段を制御する塗布制御手段と、
    を備え
    前記処理液供給手段が、
    前記スリットノズルに向けて前記所定の処理液を送液するポンプと、
    前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開閉するバルブと、
    を備え、
    前記塗布制御手段は、前記所定の処理液の供給を開始させる前に予め前記ポンプの駆動を開始させた後、前記所定の処理液の供給を開始させるタイミングに応じて前記バルブが前記流路を開放状態とするように前記処理液供給手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記液溜まり形成手段は、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を開始し、その後、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給を所定の時間停止させることにより、前記液溜まりを形成することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記液溜まり形成手段は、前記処理液供給手段からの出力に基づいて、前記処理液供給手段から供給される前記所定の処理液の量が第1吐出量となるように、前記処理液供給手段を制御し、
    前記第1吐出量は、前記スリットノズルが前記近接位置にある状態において、前記基板の主面と前記スリットノズルの先端との間に形成される隙間空間の体積と略同一体積以下とされることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記塗布制御手段は、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給が行われている状態で、前記ノズル移動手段による前記スリットノズルの移動を開始させることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記塗布制御手段は、前記ノズル移動手段による前記スリットノズルの移動を開始した後に、前記処理液供給手段による前記所定の処理液の供給加速度を低加速度状態から高加速度状態に変更することを特徴とする基板処理装置。
  7. 基板に所定の処理液の膜を形成する基板処理方法であって、
    基板を保持する保持工程と、
    前記保持工程において保持された前記基板の主面に対して前記所定の処理液を吐出するスリットノズルに、前記所定の処理液を供給した後、一旦、前記所定の処理液の供給を停止することにより、前記スリットノズルの先端に前記所定の処理液の液溜まりを形成する形成工程と、
    前記形成工程によって前記液溜まりが形成された後に、前記スリットノズルに前記所定の処理液を供給する供給工程と、
    前記保持工程において保持された前記基板と前記スリットノズルとを前記基板の主面に沿う方向に相対的に移動させる移動工程と、
    を有し、
    前記供給工程が、
    ポンプを駆動させる駆動工程と、
    前記駆動工程による前記ポンプの駆動が開始された後、前記ポンプから前記スリットノズルまでの前記所定の処理液の流路を開放する開放工程と、
    前記開放工程によって開放された前記流路を閉鎖する閉鎖工程と、
    をさらに有することを特徴とする基板処理方法。
  8. 請求項7に記載の基板処理方法であって、
    前記移動工程は、前記供給工程によって前記所定の処理液の供給を開始した後に、前記基板と前記スリットノズルとの相対的な移動を開始することを特徴とする基板処理方法。
  9. 請求項7または8に記載の基板処理方法であって、
    前記供給工程が、
    前記移動工程が実行されていることにより前記基板と前記スリットノズルとが相対的に移動している状態で、前記所定の処理液の供給加速度を高加速度状態に変更する変更工程を有することを特徴とする基板処理方法。
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