従来、例えば、電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体としての電子写真感光体(感光体)を帯電した後画像情報信号に応じて露光して静電像を形成し、この静電像を現像剤(トナー)を用いて現像剤像(トナー像)として現像する。そして、このトナー像を記録材などに転写した後、加熱加圧するなどして定着して記録画像を得る。
又、4色フルカラー画像を形成可能な画像形成装置などにおいて、中間転写体を用いた中間転写方式の画像形成装置がある。斯かる方式の画像形成装置としては、例えば、それぞれ色分解された画像情報信号に応じて第1の像担持体としての感光体にトナー像を形成する複数の画像形成部を有し、各感光体から、トナー像を第2の像担持体としての中間転写体(中間転写ベルトなど)に順次重ね合わせて一次転写した後、更にこのトナー像を、記録材に一括して二次転写し、最終的に記録材上に画像を形成する中間転写方式の画像形成装置がある。
又、従来、電子写真方式を利用した画像形成装置においては、感光体と、この感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザー自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこで、このプロセスカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。又、感光体に形成した静電像を現像するための現像装置を独立して装置本体に対して着脱可能なユニット(現像カートリッジ)としたものもある。
図8は、プロセスカートリッジ方式、中間転写方式を採用した画像形成装置の一例の概略断面構成を示す(例えば、特許文献1参照)。図示の例では、画像形成装置Bは、それぞれ異なる色のトナー像を形成する複数のプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kが装着され、各プロセスカートリッジ1が備える第1の像担持体としての感光体11Y、11M、11C、11Kに形成したトナー像を、第2の像担持体としてベルト状の中間転写体である中間転写ベルト42に順次重ね合わせて転写した後、記録材Sに一括して転写する。その後、記録材S上の未定着のトナー像は、定着されて、記録画像として機外に排出される。
このような画像形成装置Bでは、例えば、プロセスカートリッジ1に内包されるトナーが無くなった際には、操作者が、装置本体100に対して開閉可能に取り付けられている開閉部材(扉)300を開けて、プロセスカートリッジ1を交換する。この時、図1中破線で示すように、解除手段としてのハンドル20を持ち上げるなどして作動させることで、係合方向に付勢されたラッチ21が解除され、開閉部材300が開ける状態となる。
又、開閉部材300が、中間転写ベルト42などを一体化した転写ユニット400を保持可能な構成とされたものがある。転写ユニット400は、図9に示すように、駆動ローラ45へ装置本体100側から駆動を受け、中間転写ベルト42を周回移動させるようになっている。従って、装置本体100の駆動手段と駆動ローラ45との間の駆動伝達を連結/解除し得る駆動伝達手段であるカップリング機構50によって行い、開閉部材300を開く時は、カップリング機構50により駆動ローラ45と装置本体100側との駆動伝達経路を切り離す。従来は、開閉部材300に離間リンク36を連結し、この離間リンク36が、例えば図示のようにカップリング機構50の離間部材51を回動させ、これによってカップリング機構50のカップリング52をスラスト方向へ移動させて、駆動ローラ45から離間させる。こうして、開閉部材300が開閉可能となる。
又、それと同時に、開閉部材300の開閉に連動して装置本体に対し着脱可能なカートリッジ(プロセスカートリッジ、現像カートリッジなど)の保持手段(図示せず)を解除したり、又光学手段(画像書き込み手段)としてのレーザスキャナー70の安全装置(図示せず)を作動させたりすることもある。
図10は、従来技術におけるラッチ機構(ラッチユニット)200及び開閉部材300をより詳細に示す。ラッチ軸24に保持される、ハンドル20及びラッチ21は、ラッチバネ22によって、ラッチ21が装置本体100の係合部と係合する方向に付勢されている。これらラッチ軸24、及び、これに保持されるハンドル20及びラッチ21は、軸受23を介して開閉部材300に対して回動可能に保持されている。
一方、開閉部材300にはインターロックレバー35が一体に設けられおり、ハンドル20を操作し、開閉部材300を開くことによってインターロックレバー35が退避し、装置本体100に設けられたインターロックスイッチIへの押圧が解除され、インターロックスイッチIが切断される。その結果、装置本体100への通電は全て遮断され、例えば不慮のトラブル時においても、操作者が動作中の装置本体100内の機構部に触れること無く、装置本体100内にアクセス可能となり、プロセスカートリッジ1の交換作業等が安全に行えるようになる。
上記の従来技術を用いた開閉部材300及びそのラッチ機構200における技術的課題の一例を以下に述べる。
特にサイズが大きく、重い、転写ユニット400のような別ユニットを保持する開閉部材300の場合において、開閉部材300自体の剛性が不足することにより、例えば、開閉部材300を開く時、インターロックスイッチIを押し込む時の負荷や反力により開閉部材300に撓みや捩じれが発生し、図10に示したインターロックレバー35がインターロックスイッチIをOFFの位置に至らしめる前に、ラッチ21と装置本体100の係合部の係合が解除されてしまうことがある。特に、半ドアのような、開閉部材300が僅かに開かれた状態では、インターロックスイッチIがOFFにならない可能性が高く、装置本体100側の機構部が通電中で、装置本体100内の機構部が動作中にも拘わらず、操作者が半ドア状態の開閉部材300の隙間から指で装置本体100内に触れてしまう虞がある。
又、同様の理由で、開閉部材300を開く時に、離間リンク36が所定量だけカップリング機構50の離間動作を完了する前に、ラッチ21の係合が解除されてしまう虞があり、この場合はカップリング52が駆動ローラ45に半噛みした状態となる。この状態では、開閉部材300を開く時の引っ掛かりとなり、操作性の悪化や、最悪、開閉部材300が開かない、カップリング機構50を破損させてしまう、といった虞がある。
このような事態を防止するために、開閉部材300に補強のための別部材を追加することが考えられるが、コスト増や、開閉部材300の重量増による操作性悪化の要因となる。
特開平8−160839号公報
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。本発明は、例えば、カートリッジ着脱式の電子写真画像形成装置に好適に適用し得るものである。ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真方式を用いて記録媒体に画像を形成するものであり、例えば複写機、プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。又、画像形成装置に着脱可能なカートリッジとは、装置本体に対して着脱可能な、プロセスカートリッジ、着脱式の現像装置(現像カートリッジ)などである。又、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体を清掃するクリーニング手段、電子写真感光体上に形成した静電像を現像するための現像手段のうち少なくとも一つと、を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本実施例の画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置Aの概略断面を示す。本実施例の画像形成装置Aは、装置本体100に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器からの画像情報信号に応じて、電子写真方式にて4色フルカラーの画像を記録材S、例えば、記録用紙、OHPシート、布などに形成することのできる、プロセスカートリッジ方式、中間転写方式のカラーレーザビームプリンタである。
尚、以下の説明において、画像形成装置に関し、前(前方)とは、操作者が通常その前でプロセスカートリッジの着動作等の操作を行う図1中右側をいう。そして、画像形成装置に関し右側、左側とは、上記前方から画像形成装置を見たときの右側、左側をいう。
画像形成装置Aは、像形成手段として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する複数の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する。各画像形成部PY、PM、PC、PKは、第1の像担持体たる電子写真感光体(感光体)11Y、11M、11C、11Kを有する。又、画像形成装置Aは、各画像形成部PY、PM、PC、PK上に形成されたトナー像が転写され、このトナー像を記録材給送部から給送された記録材Sに更に転写するための、第2の像担持体たるベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)42を具備する転写ユニット400を有する。中間転写ベルト42は、駆動ローラ45、二次転写対向ローラ44、テンションローラ46に掛け回されて図示矢印方向に周回移動する。各画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤を用いる現像手段を具備する4色用のプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kが、装置本体100に対して個別に着脱可能に構成されている。
以下、画像形成装置Aの各部の構成、画像形成動作について更に説明するが、本実施例では、各画像形成部PY、PM、PC、PKの基本構成及び動作は共通であるので、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の画像形成部に属する要素であることを示すために図中符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
画像形成時には、先ず、記録材積載手段としてのカセット61の中板61a上に積載された記録材Sは、供給ローラ62によって一枚ずつ分離され、中間搬送ローラ対63などを介して、レジストローラ対64へと搬送される。
一方、感光体11と、転写ユニット400が備える中間転写ベルト42とが、各々所定の外周速度(プロセス速度)で図示矢印方向に回転する。感光体11の表面は、帯電手段としての帯電ローラ12によって均一に帯電される。次いで、感光体11は、各色の画像情報信号に応じて、光学手段(画像書き込み手段)としてのレーザスキャナー70により発されるレーザ光の走査露光を受ける。こうして、感光体11上に静電像が形成される。
感光体11に形成された静電像は、次いで、現像手段たる現像器13が、容器13b内の現像剤(トナー)を用いて現像する。つまり、対応する色の画像情報信号に応じたレーザ光の照射により感光体11上に静電像を形成すると、現像剤担持体たる現像ローラ13aが、容器13b内の現像剤を担持搬送して、感光体11との対向部(現像領域)に搬送し、感光体11上の静電像に応じて感光体11にトナーを供給することによって、感光体11上の静電像をトナー像として現像する。
感光体11に形成されたトナー像は、感光体11と、一次転写手段としての一次転写対向ローラ41とで挟まれた一次転写位置T1において、中間転写ベルト42の外周に一次転写される。この時、一次転写対向ローラ41には、トナーと逆特性の電圧が印加される。
例えば、4色フルカラー画像の形成時には、上述のような静電像の形成、現像及び一次転写の動作を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に各画像形成部PY、PM、PC、PKで行い、中間転写ベルト42の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種のトナーが順次重畳転写されたフルカラーのトナー像が形成される。
そして、4色目のブラックトナーの一次転写を終えてフルカラーのトナー像がその上に形成された中間転写ベルト42の画像先端が、二次転写手段としての二次転写ローラ43と、二次転写対向ローラ44とが形成する二次転写部T2へ到達する前に、先述のレジストローラ対64で待機させておいた記録材Sを、タイミングを合わせて二次転写部T2へと搬送する。こうして、中間転写ベルト42上に多重転写されたフルカラーのトナー像は、二次転写部T2において二次転写ローラ43と中間転写ベルト42との間で記録材Sを挟持搬送することで、記録材Sに一括して二次転写する。このとき、二次転写ローラ43には、トナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト42と二次転写ローラ43との間に電位差を設け、静電吸着力に大小の差を設けることで、記録材Sにトナー像を転写させる。
未定着のトナー像を担持した記録材Sは、搬送ベルト65によって定着手段たる定着器80に導入され、ここで加熱、加圧されることでトナー像が記録材Sに定着される。その後、記録材Sは、複数の排出ローラ対92、93により排出搬送路91を経て、排出積載部94に排出される。
尚、一次転写工程後に感光体11上に残留するトナー、及び二次転写工程後に中間転写体に残留するトナーは、それぞれ被清掃対象に当接してトナーを掻き取るクリーニングブレードなどのクリーニング手段(図示せず)によって除去され、感光体11、中間転写ベルト42は繰り返し画像形成に供される。
又、例えば、モノクロ画像などの単色画像の形成時には、所望の色用の画像形成部によってのみ中間転写ベルト42上にトナー像を形成し、これを記録材Sに二次転写して、定着すればよい。
本実施例では、各画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて、感光体11、帯電ローラ12、現像器13及びクリーニング手段(図示せず)などは、一体的にカートリッジ化されて、装置本体100に対して着脱可能なプロセスカートリッジ1を構成する。プロセスカートリッジ1は、プロセスカートリッジ1の装着手段たるカートリッジ保持フレーム500を介して、取り外し可能に装置本体100に装着される。
そして、図1に示すように、画像形成装置Aは、装置本体100の内部を露出させてプロセスカートリッジ1の着脱操作を可能とするための開閉部材300を備えている。開閉部材300は、本実施例では、装置本体100の前面下端部近傍に設けられた回動軸32を中心として回動する。又、開閉部材300のドア本体31には、中間転写ベルト42、一次転写対向ローラ41及び二次転写対向ローラ44などを一体化した転写ユニット400が取り付けられており、開閉部材300はこの転写ユニット400を保持して開閉可能とされている。このため、開閉部材300を開くことで、操作開口部100Aが開放され、操作者は、各色のプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kへのアクセスが可能となる。
本実施例では、開閉部材300は、閉じた状態の下端部よりも上端部の移動量が大きくなる位置の回動中心を中心として開閉する。本実施例では、開閉部材300は下端部の回動軸32を中心として、前方下に向けて開く。これにより、広い操作開口部100Aを開放することができる。
[中間転写体の駆動伝達及び安全装置]
上述のように、本実施例では、開閉部材300は、被駆動体として回転体たる中間転写ベルト42などを備えた転写ユニット400を保持する。又、転写ユニット400は、駆動ローラ45が装置本体100側から駆動を受けて回転することで、中間転写ベルト42を周回移動させるようになっている。従って、開閉部材300を開く時は、装置本体100の駆動手段と駆動ローラ45との駆動伝達経路を切り離す必要がある。
図3は、本実施例の画像形成装置Aにおける転写ユニット400の駆動伝達経路分離部近傍を示す。本実施例では、装置本体100側に設けられた駆動伝達手段としてのカップリング機構50は、転写ユニット400の駆動ローラ45の駆動受け部(図示せず)と噛み合って、駆動ローラ45に駆動を伝達するカップリング52、カップリング52を移動させる離間部材51、離間部材51に開閉部材300側から駆動力を伝達する離間アーム53とを有する。カップリング開閉部材300側に設けられた離間レバー26(詳しくは後述する。)によって、離間アーム53が図示矢印A1方向に回動させられることで、離間部材51を図示矢印A2方向に回動させ、カップリング52を駆動ローラ45から図示矢印A3で示すスラスト方向へ解除させるようになっている。
離間アーム53は、回動中心53aを中心として回動可能であり、該回動中心53aから突出して設けられた受け部53bで、開閉部材300側に設けられた離間レバー26の作用を受ける。他方、回動中心53aから突出して設けられたギア53cが、離間部材51が備えるギア部51aと噛合しており、離間アーム53が回動させられると、この駆動力がこれらギア53c、51aを介してカップリング52に伝達され、駆動ローラ45からスラスト方向へ待避するようになっている。
又、本実施例の画像形成装置Aは、安全装置として、電気的な安全装置である通電遮断機構を備えている。通電遮断機構は、該通電遮断機構が備える装置本体100に設けられたインターロックスイッチIへの押圧が、開閉部材300の開放動作と連動して解除され(詳しくは後述する。)、インターロックスイッチIが切断されると、装置本体100への通電を全て遮断する。
[ラッチ機構]
画像形成装置Aは、開閉部材300を閉じた状態で維持すると共に、開閉部材300を開放する際に開閉部材300を開放可能とし、且つ、開閉部材300を開く動作に連動して通電遮断機構、転写ユニット400への駆動伝達手段などの解除対象の状態を、開閉部材300の閉状態に対応する第1の状態から、開閉部材300の開状態に対応する第2の状態へと変化させる解除手段として機能するラッチ機構(ラッチユニット)200を有する。
図2は、本実施例における開閉部材300のラッチ機構200を示す。
ラッチ機構200は、係合方向に付勢されたラッチ21、開閉部材300に対し回動可能でありラッチ21が固定されたラッチ軸24、ラッチ軸24に固定されるハンドル20、そしてラッチ軸24に固定される解除作用部としての第1、第2のレバー25、26を有する。
ラッチ21は、ラッチ軸24に固定され、ラッチ軸24の軸線方向と交差する方向(本実施例では略直交方向)に延在するラッチ基部21bと、ラッチ基部21bの先端に設けられた係止部21aとを有する。開閉部材300が閉じられた状態で、ラッチ基部21bは、装置本体100の内部に向けて突出する。詳しくは後述するが、本実施例では、係止部21aは、装置本体100内にて上方から下方に突出した係合部102(図4)と係合する、上方に向けて凹形状の係止溝21a2を形成しており、又、その先端には、開閉部材300を閉じる際に装置本体100の係合部102をその上で滑動させ、上記係止溝21a2に導くための傾斜面21a1が形成されている。本実施例では、ラッチ21は、ラッチ軸24の軸線方向において所定の間隔を開けて2つ設けられている。ラッチは、付勢手段としてのラッチバネ22によって係合方向に付勢されている。
ラッチ軸24は、これに同軸的に固定された軸受23、23を介して開閉部材300に回動可能に保持される。一方の軸受23(装置左側)は、ラッチ軸24の軸線方向端部第1のレバー25の近傍に固定され、他方の軸受23(装置右側)は、ラッチ軸24の軸線方向他端部の第2のレバー26の近傍に設けられている。
ハンドル20は、ラッチ軸24に固定され、ラッチ軸24の軸線方向と交差する方向(本実施例では略直交方向)に延在するハンドル固定軸20b、20bと、ハンドル固定軸20b、20bに固定されたハンドル本体20aとを備えて成る。開閉部材300が閉じられた状態で、ハンドル本体20aの全部若しくは一部が開閉部材300のドア本体31から外部に露出し、操作者が開閉部材300の外側から操作可能とされている。
そして、解除作用部としての第1、第2のレバーは、本実施例では、それぞれ装置本体100に設置されるインターロックスイッチIを押すためのインターロックレバー25、カップリング機構50を作動させるための離間レバー26である。本実施例では、これらインターロックレバー25、離間レバー26は、ラッチ21、ハンドル20と同軸上、つまり、ラッチ軸24に固定されている。即ち、ラッチ21、インターロックレバー25及び離間レバー26は、操作者がハンドル20を操作することによって、一体で同一方向に回動動作をする。
本実施例では、インターロックレバー25と離間レバー26とは、それぞれラッチ軸24の軸線方向反対側の端部に固定される。インターロックレバー25は、図4をも参照すると分かるように、ラッチ軸24からその回動半径方向に離間した位置にて、ラッチ軸24の軸線方向と交差する方向(本実施例では略直交方向)に突出して、装置本体100のインターロックスイッチIに当接する当接部25aを有する。詳しくは後述するが、インターロックレバー25は、開閉部材300が閉じた状態で、装置本体100の内側に面する当接部25aで、インターロックスイッチIを装置本体100の内側(装置後ろ側)に向かって押圧する。
離間レバー26は、ラッチ軸24の軸線方向と交差する方向(本実施例では略直交方向)に延在する作動部26aを有する。詳しくは後述するが、作動部26aの、装置本体100の前方側側面の先端部(当接部)26a1が、装置本体100に設けられた離間アーム53に作用してこれを回動させ、上述のようにして離間部材51を介してカップリング52を移動させて、装置本体100側と転写ユニット400の駆動ローラ45との間の駆動伝達経路を切り離す。
本実施例では、ラッチ軸24上に固定されるインターロックレバー25及び離間レバー26は、離間レバー26がカップリング機構50を必要量作動させきる(即ち、カップリング52の駆動ローラ45からの離間を完了させるのに必要な量だけ離間アーム53を回動させる)までに、装置本体100のインターロックスイッチIをOFFするような位相関係に配置する。又、本実施例ではラッチ軸24に固定されるラッチ21は、離間レバー26がカップリング機構50を必要量作動させきると同時若しくはそれより後に、ラッチ21と装置本体100の係合部102(図4)との係合が解除される位相関係に配置する。以下、更に説明する。
開閉部材300の開放時におけるラッチ機構200の動作の詳細を、図4に示す。図4(a)は、ラッチ21が装置本体100の係合部102に係合された状態である。この状態から、操作者がハンドル20を操作すると、即ち、上方(図4中時計方向)に引き上げると、図4(b)に示すように、ラッチ軸24は、先ず、図示矢印方向にα°回動する。これにより、本実施例では、ラッチ軸24に固定されたラッチ21、インターロックレバー25及び離間レバー26がα°揺動する。この時、インターロックレバー25は、インターロックスイッチIに対する押圧を解除して、これをOFFするような位相関係にある。又、この時、ラッチ21と装置本体100の係合部102との係合は解除されきっておらず、更に、この時離間レバー26は、装置本体100側に設置されるカップリング機構50を必要量作動させきらない位相関係にある。
このため、離間レバー26がカップリング機構50を必要量作動させきっていない状態で、開閉部材300が開いてしまうようなことは無い。従って、仮に不慮の故障等の理由で画像形成装置Aが電気的に暴走し、画像形成装置Aの内部機構が動作中に開閉部材300を開くような場合でも、ラッチ21の係合が解除される前に、即ち、開閉部材300が開かない状態で既にインターロックスイッチIを確実に切断することが可能であり、如何なる状況でも電気的な安全性を確保することができる。
その後、更に操作者がハンドル20を上方に引き上げると、図4(c)に示すように、ラッチ軸24が更にβ°、即ち、全体でα°+β°回動する。これにより、本実施例では、ラッチ軸24に固定されたラッチ21、インターロックレバー25、離間レバー26がα°+β°揺動する。この時、離間レバー26がカップリング機構50を必要量作動させきるのとほぼ同時期若しくはその後に、ラッチ21と装置本体100の係合部102との係合が完全に解除される。
これによって、開閉部材300は、機構的にも電気的にも完全に装置本体100との接続が切れ、安全な状態となった後のみ開くことが可能となる。
開閉部材300を閉じる際には、上記開閉部材300を開く際の動作の逆の手順となる。この時、積極的にハンドル20を操作しなくても、ラッチ21の先端の傾斜面21a1の作用によって、ラッチ21に働く付勢力に抗して自動的にラッチ21が装置本体100の係合部102との係合状態に至るようにすることができる。
要するに、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ軸24の回動角X°(本実施例では、ラッチ軸24に固定されたラッチ21の揺動角Z°と等しい。)は、解除作用部(本実施例では、インターロックスイッチ25及び離間レバー26)が装置本体100に設けられた解除対象(本実施例では、インターロックスイッチI及びカップリング機構50)の状態変化を完了させるのに必要なラッチ軸24の回動角Y°以上(即ち、X°≧Y°、Z°≧Y°)とする。又、本実施例では、先ず、電気的な安全を確保した後に中間転写ベルト42への駆動伝達経路を切り離すために、離間レバー26がカップリング機構50を作動させきるのに必要なラッチ軸24の回動角は、インターロックスイッチIをOFFするのに必要なラッチ軸24の回動角α°に所定角度βを足したα°+β°として、X°≧α°+β°、Z°≧α°+β°の関係になっている。
以上、本実施例の構成によれば、ラッチ21が装置本体100の係合部102より外れる動作の過程と、インターロックレバー25及び離間レバー26の連続的な作動とを、確実に同期させることが可能であり、且つ、開閉部材300の撓みなどの影響を受けずらい構成となる。このため、操作者が特別に気を使わずにハンドル20を操作するだけで、確実にインターロックスイッチIがOFFし、電気的な安全性を確保した後に、開閉部材300を開くことが可能となる。特に、本実施例によれば、インターロックレバー25を、離間レバー26が回動しきるまでにインターロックスイッチIをOFFするような位相関係に配置することで、操作者がハンドル20を操作して開閉部材300を開く時は、先ず、インターロックスイッチIがOFFになり、次にカップリング機構50が開閉部材300上の転写ユニット400から解除された後に、ラッチ21の係合が解除され、開閉部材300が開き出す、という手順が実現可能である。これにより、電気的にも機構的にも、全く安全な状態で、開閉部材300の開閉動作を行うことができる。又、開閉部材300が開き出すまでに、離間レバー26はカップリング機構50を完全に転写ユニット400から解除することが可能であり、カップリング52が半噛み状態で開閉部材300を開くことがなくなり、カップリング機構の引っかかりによる破損や、操作感の悪化を回避することが可能となる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例においては、画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同じであるので、実施例1の画像形成装置と同一若しくは相当する機能、構成の要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1においては、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ21の揺動角は、インターロックレバー25及び離間レバー26の揺動角とほぼ同一であった。即ち、実施例1では、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ21の揺動角と、インターロックレバー25及び離間レバー26の揺動角は、ラッチ21の係合解除までのラッチ軸24の回動角と一致する。
しかしながら、画像形成装置内における他の構成要素の制約、画像形成装置の外寸の制約などにより、インターロックレバー25、離間レバー26などの解除作動部の作動に必要な揺動角と同等以上に、ラッチ21の係合解除に要するラッチ21の揺動角が確保できないことがある。
この状態では、カップリング機構50の転写ユニット400への接続解除が不完全、即ち、カップリング52が半噛み状態のまま、開閉部材300が開いてしまうことになり、カップリング機構50などの破損につながる虞がある。そこで、本実施例の開閉部材300のラッチ機構200は、以下のように構成する。
図5を参照して、本実施例における開閉部材300のラッチ機構200は、実施例1におけるものと概略同様の構成を有し、係合方向に付勢されたラッチ21、開閉部材300に対し回動可能なラッチ軸24、ラッチ軸24に固定されるハンドル20、そしてラッチ軸24に固定される解除作用部としての第1のレバー(インターロックレバー)25及び第2のレバー(離間レバー)26を有する。
ハンドル20、インターロックレバー25、離間レバー26の構成及び作用は、実施例1のものと同じである。
但し、本実施例では、ラッチ21は、実施例1のものと比較し係合高さが低く、即ち、係合解除に必要な揺動角が実施例1におけるラッチ21に対し小さくなっており、且つ、ラッチ軸24に対して揺動可能に保持されている。
本実施例では、ラッチ21は、ラッチ軸24の回動角に応じてラッチ21を係合解除方向に回動させるためのラッチ軸受28によって、ラッチ軸24に対して揺動可能に保持されている。即ち、ラッチ21はラッチ軸24に固定されるインターロックレバー25及び離間レバー26に対して、ある範囲において独立して揺動可能となっている。ラッチ21は、付勢手段としてのラッチバネ22によって係合方向に付勢されている。
ラッチ21は、基部21bの一端部の保持部21cがラッチ軸受28に摺動可能に嵌合してラッチ軸受28に保持される。図7をも参照して、ラッチ21の保持部21cにおいて、ラッチ軸24の軸線方向一方の縁部には、溝形状部21dが形成されており、ラッチ軸受28の対応する縁部には凸形状部28aが設けられている。詳しくは後述するように、溝形状部21dは、ラッチ軸24の回動方向において、凸形状部28aの幅よりも広く形成されており、ラッチ軸24に固定されたラッチ軸受28は、ラッチ軸24が回動することにより、溝形状部21dの範囲内でラッチ21とは独立して回動する。
又、本実施例では、ラッチ軸24には、付勢手段としてのラッチ軸バネ27によって付勢され、且つ、ラッチ軸バネ27の付勢力を受けるアーム29bと軸受部29aとが一体とされた軸受(アーム付き軸受)29(装置右側)が、ラッチ軸24の軸線方向端部の離間レバー26の近傍に設けられている。そして、この軸受29と、ラッチ軸24の軸線方向他端部のインターロックレバー25の近傍に設けられた実施例1と同様の軸受23(装置左側)とによって、ラッチ軸24は、開閉部材300に回動可能に保持されている。ラッチ軸24は、ラッチ軸バネ27によって、ハンドル20の閉じ方向に付勢されている。
図6を参照して本実施例におけるラッチ機構200動作手順を説明する。図6(a)は、ラッチ21が、装置本体100の係合部102に係合された状態である。この状態から、操作者がハンドル20を操作し始めると、即ち、上方(図6中時計方向)に引き上げると、先ず、ラッチ軸24に固定されたインターロックレバー25及び離間レバー26が揺動を始める。そして、図7に示すラッチ軸受28の凸形状部28aとラッチ21の溝形状部21cとの位置関係により、ラッチ軸24がα°回動するまでは、図6(b)に示すように、ラッチ21は、装置本体100の係合部102に係合されたままである。この時、先ず、インターロックレバー25のインターロックスイッチIに対する押圧が解除されて、インターロックスイッチIがOFFになる。又、この時、離間レバー26のカップリング機構50の解除動作は途中まで進行する(即ち、この時、離間レバー26は、装置本体100側に設置されるカップリング機構50の作動を完了させていない。)。
このように、ラッチ軸24がα°回動するまでは、ラッチ21の係合は解除されないので、開閉部材300が開かれることは無い。しかも、この時点で装置本体100の通電は完全に切断される。従って、仮に不慮の故障などの理由で画像形成装置Aが電気的に暴走し、画像形成装置Aの内部機構が動作中に開閉部材300を開くような場合でも、ラッチ21の係合が解除される前に、即ち、開閉部材300が開かない状態で既にインターロックスイッチIを確実に切断することが可能であり、如何なる状況でも電気的な安全性を確保することができる。
その後、更に操作者がハンドル20を上方に引き上げ、ラッチ軸24の回動角が進むと、ラッチ軸受28の凸形状部28aが、ラッチ21の溝形状部21dの端面21d1を押すことで、ラッチ21の揺動が開始し、その係合が解除され始める。同時に、離間レバー26も更に揺動を続けて、カップリング機構50の解除動作を更に進行させる。そして、最後には図6(c)に示すようにラッチ軸24がα°+β°回動すると、カップリング機構50の転写ユニット400への接続は完全に切断され、これとほぼ同時期若しくはその後にラッチ21の係合が完全に解除される。
これによって、開閉部材300は、機構的にも電気的にも完全に装置本体100との接続が切れ、安全な状態となった後のみ開くことが可能となる。
開閉部材300を閉じる際には、上記開閉部材300を開く際の動作の逆の手順となる。この時、積極的にハンドル20を操作しなくても、ラッチ21の先端の傾斜面21a1の作用によって、ラッチ21に働く付勢力に抗して自動的にラッチ21が装置本体100の係合部102との係合状態に至るようにすることができる。
要するに、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ軸24の回動角をX°、解除作用部(本実施例では、インターロックスイッチ25及び離間レバー26)が装置本体100に設けられた解除対象(本実施例では、インターロックスイッチI及びカップリング機構50)の状態変化を完了させるのに必要な回動角をY°とすると、本実施例においても実施例1と同様に、X°≧Y°の関係になっている。但し、本実施例では、図7に示すラッチ軸受28の凸形状部28aとラッチ21の溝形状部21cとの位置関係により、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ21の揺動角をZ°とすると、Z°<Y°の関係になっている。
又、本実施例においても実施例1と同様に、インターロックスイッチIをOFFするのに必要なラッチ軸24の回動角をα°とすると、離間レバー26がカップリング機構50を作動させきるのに必要なラッチ軸24の回動角はこれに所定角度βを足したα°+β°として、X°≧α+β°の関係になっている。但し、本実施例では、図7に示すラッチ軸受28の凸形状部28aとラッチ21の溝形状部21cとの位置関係により、ラッチ21の係合解除に必要なラッチ21の揺動角をZ°とすると、Z°<α°+β°の関係になっている。
上述のように、本実施例によれば、開閉部材300を開くためにハンドル20を操作者が動かすと、先ずラッチ軸24及びこれに固定されたインターロックレバー25と離間レバー26とが回動し、所定角度だけラッチ軸24が回動した後に、ラッチ軸24の回動によって、ラッチ21が装置本体100の係合部102との係合を解除する方向に動き出す。上記所定角度分で、ラッチ21の係合が解除されるまで、即ち、開閉部材300が開き出すまでに、離間レバー26はカップリング機構50を完全に転写ユニット400から解除することが可能であり、画像形成装置A内における他の構成要素の制約等により、ラッチ21の係合解除に必要な揺動角が、インターロックレバー25、離間レバー26などの解除作用部の揺動角を上回ることが不可能な場合においても、カップリング52が半噛み状態で開閉部材300を開くことがなくなり、カップリング機構の引っかかりによる破損や、操作感の悪化を回避することが可能となる。
又、実施例1と同様に、インターロックレバー25が、離間レバー26が回動しきるまでにインターロックスイッチIをOFFするような位相関係に配置されることで、操作者がハンドル20を操作して開閉部材300を開く時は、先ず、インターロックスイッチIがOFFになり、次にカップリング機構50が開閉部材300上の転写ユニット400から解除された後に、ラッチ21の係合が解除され、開閉部材300が開き出す、という手順を実現可能である。これにより、電気的にも機構的にも、全く安全な状態で、開閉部材300の開閉動作を行うことができる。
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではないことを理解されたい。
例えば、実施例1においてはラッチ軸24、ハンドル20、ラッチ21など、又実施例2においてはラッチ軸24、ハンドル20、ラッチ軸受28などは、全て別部品として構成されているが、これらを全て一体化し、且つ、同軸の回動中心を持ったものであっても良い。又、上記各実施例では、ラッチ21は2個用いたが、勿論1個でも3個以上であっても同様の効果を得ることが可能である。更に、上記各実施例において、ラッチ軸24は、ハンドル20などの固定の容易さ、インターロックレバー25や離間レバー26の位相合わせのし易さなどを考慮し角軸で示しているが、無論、丸軸であっても良い。
又、上記各実施例では、開閉部材300には、中間転写ベルト42を具備する転写ユニット400が保持されるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、当業者には周知のように、例えば複数の画像形成部にて静電像を現像剤にて現像して形成した現像剤像を、記録材担持体(記録材担持ベルトなど)上に担持された記録材に転写する方式の画像形成装置がある。装置本体に設けられた駆動手段から、上記各実施例におけるものと同様の駆動伝達手段によって駆動が伝達される、このような記録材担持体が開閉部材に保持される場合にも本発明は等しく適用可能である。
尚、上記各実施例においては、ラッチ軸24に設ける解除作用部の解除対象は、電気的な安全装置としてのインターロックスイッチIと、転写ユニット400への駆動伝達手段としてのカップリング機構50との組み合わせであるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置に設けられる開閉部材の開閉に連続して動作する他の機構として、例えば、装置本体に着脱可能なカートリッジ(プロセスカートリッジ、現像カートリッジなど)を保持する第1の状態からカートリッジの保持を解除する第2の状態へと状態変化が成されるカートリッジ保持手段や、装置本体が備えた光学手段を作動可能とする第1の状態から光学手段を作動不能とする第2の状態へと状態変化が成される光学手段用安全装置がある。これらカートリッジ保持手段、光学手段用の安全手段自体は当業者には周知であり、その具体的構成は本発明においては任意であるので、これ以上の説明は省略する。
本発明は、上記各実施例における電気的な安全装置、転写ユニットへの駆動伝達手段、カートリッジ保持手段、光学手段用安全装置を含む、任意の解除対象又はその組み合わせにおいて適用可能である。